説明

自動分析装置

【課題】試料を精度よく分注することができる自動分析装置を提供する。
【解決手段】試料容器17から試料をサンプル分注プローブ16内に吸引して反応容器3又は電解質測定ユニット13に吐出する分注を行うサンプル分注ポンプ16aを有するサンプル分注手段を備え、サンプル分注手段は、1回目の分注では、試料容器17からダミー用試料を吸引した後に1回目の測定用試料を吸引し、n回目(nは2以上の整数)の分注では、試料容器17から(n−1)回吸引した測定用試料の総量が所定量以上である場合、試料容器17から追加のダミー用試料を吸引した後にn回目の測定用試料を吸引する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体に含まれている成分を分析する自動分析装置に係り、特に、ヒトから採取した試料を分注して、その試料に含まれる成分を分析する自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は生化学検査項目や免疫検査項目等を対象とし、被検体から採取された被検試料と各検査項目の試薬との混合液の反応によって生ずる色調や濁りの変化を、分光光度計や比濁計等の測光ユニットで光学的に測定することにより、被検試料中の様々な検査項目成分の濃度や酵素の活性等で表される分析データを生成する。また、生化学検査項目の内、ナトリウムイオン、カリウムイオン、塩素イオン等の電解質の項目を、この電解質に選択的に応答するイオンセンサと一定の電位を発生する参照電極間を電解質測定ユニットで測定することにより、分析データを生成する。
【0003】
この自動分析装置では、被検試料毎に多数の検査項目の中から選択された検査対象の項目の分析を行う。そして、分析を行うために、被検試料をサンプル分注プローブで試料容器から反応容器に分注し、各検査項目の試薬を試薬分注プローブで試薬容器から反応容器に分注する。次いで、反応容器に分注された被検試料及び試薬の混合液を撹拌子で撹拌した後、測光ユニットで測定する。また、被検試料をサンプル分注プローブで試料容器から電解質測定ユニットに分注して、電解質測定ユニットで測定する。更に被検試料及び試薬に接触したサンプル分注プローブ及び試薬分注プローブ、並びに混合液に接触した撹拌子及び反応容器を洗浄した後、繰り返して測定に使用する。
【0004】
ところで、自動分析装置の被検試料を分注するユニットは、サンプル分注プローブ、被検試料を収容した試料容器から反応容器や電解質測定ユニットへサンプル分注プローブを移動するアーム、試料容器の被検試料をサンプル分注プローブ内に吸引し、吸引した被検試料をサンプル分注プローブから反応容器や電解質測定ユニットへ吐出するサンプル分注ポンプ、及びサンプル分注プローブとサンプル分注ポンプ間を連通する純水などの圧力伝達媒体が封入されたチューブ等により構成される。そして、被検試料における検査対象の検査項目の数が複数である場合、その被検試料を検査項目の数に応じた回数の分注が行われる。
【0005】
1回目の分注では、サンプル分注プローブ内にエアを吸引した後、試料容器から測定に使用しない被検試料(ダミー用試料)を吸引し、更に1回目の検査項目に対応する測定用の被検試料(測定用試料)を吸引する。次いで、吸引した測定用試料のみを反応容器又は電解質測定ユニットに吐出する。
【0006】
n回目(n≧2)の分注では、1回目の分注で吸引したエア及びダミー用試料をサンプル分注プローブ内に保持した状態で、n回目の検査項目に対応する測定用試料を吸引した後、吸引した測定用試料のみを反応容器又は電解質測定ユニットに吐出する。
【0007】
そして、検査対象の検査項目分の被検試料の分注が終了した後、1回目の分注で吸引したエア及びダミー用試料をサンプル分注プローブ内から排出し、排出後にサンプル分注プローブの内外の洗浄を行う。
【0008】
このエア及びダミー用試料は、ダミー用試料に隣接する測定用試料を圧力伝達媒体から隔離し、圧力伝達媒体の混入により測定用試料が希釈されて分注精度が低下するのを防ぐために設けられていることが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−162401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、エア及びダミー用試料は圧力伝達媒体と共に、サンプル分注プローブ内で分注回数往復移動するため、検査対象の検査項目の数が多いとダミー用試料が圧力伝達媒体に希釈される。このため、ダミー用試料が希釈された後に分注精度の誤差要因の占める割合の大きい検査項目に対応する測定用試料の吸引が行われると、希釈されたダミー用試料に隣接する測定用試料が希釈されて分注精度が低下し、その測定用試料に対応する検査項目の分析データが悪化する問題がある。
【0011】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、試料を精度よく分注することができる自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1に係る本発明の自動分析装置は、試料及びこの試料の検査対象の検査項目に該当する試薬を反応容器に分注して、その混合液を測定する自動分析装置において、前記試料を収容する試料容器からその試料を分注プローブ内に吸引して前記反応容器内に吐出する分注を行う分注手段を備え、前記分注手段は、1回目の分注では、前記試料容器からダミー用試料を吸引した後に1回目の測定用試料を吸引し、n回目(nは2以上の整数)の分注では、前記試料容器から(n−1)回吸引した測定用試料の総量が所定量以上である場合、前記試料容器から追加のダミー用試料を吸引した後にn回目の測定用試料を吸引することを特徴とする。
【0013】
また、請求項5に係る本発明の自動分析装置は、試料及びこの試料の検査対象の検査項目に該当する試薬を反応容器に分注して、その混合液を測定する自動分析装置において、前記試料を収容する試料容器からその試料を分注プローブ内に吸引して前記反応容器内に吐出する分注を行う分注手段を備え、前記分注手段は、1回目の分注では、前記試料容器からダミー用試料を吸引した後に1回目の測定用試料を吸引し、n回目(nは2以上の整数)の分注では、n回目の測定用試料が予め設定された検査項目の試料である場合、前記試料容器から追加のダミー用試料を吸引した後にn回目の測定用試料を吸引し、前記検査項目以外の項目の試料である場合、前記n回目の測定用試料のみを吸引することを特徴とする。
【0014】
更に、請求項8に係る本発明の自動分析装置は、試料及びこの試料の検査対象の検査項目に該当する試薬を反応容器に分注して、その混合液を測定する自動分析装置において、前記試料を収容する試料容器からその試料を分注プローブ内に吸引して前記反応容器内に吐出する分注を行う分注手段を備え、前記分注手段は、1回目の分注では、前記試料容器からダミー用試料を吸引した後に1回目の測定用試料を吸引し、n回目(nは2以上の整数)の分注では、前記n回が予め設定された回数である場合、前記試料容器から追加のダミー用試料を吸引した後にn回目の測定用試料を吸引することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、同じ被検試料を複数回分注する場合、1回目の分注ではダミー用試料を吸引した後に1回目の測定用試料を吸引し、n回目(2以上の整数)の分注では追加のダミー用試料を吸引した後にn回目の測定用試料を吸引することにより、試料を精度よく分注することができる。これにより、分析データの悪化を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例に係る自動分析装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施例に係る分析部の構成を示す斜視図。
【図3】本発明の実施例に係る分析部の各試料を分注する位置を示す図。
【図4】本発明の実施例に係るサンプル分注ポンプによりサンプル分注プローブ内に各試料を吸引する原理を説明するための図。
【図5】本発明の実施例に係る被検試料の分注におけるサンプル分注プローブ内を示す図。
【図6】本発明の実施例に係る表示部に表示されたダミー用試料設定画面の一例を示す図。
【図7】本発明の実施例に係る被検試料を分注する試料分注工程の構成を示す図。
【図8】図7に示した試料分注工程の第1の試料分注工程を示すフローチャート。
【図9】図7に示した試料分注工程の第nの試料分注工程を示すフローチャート。
【図10】本発明の実施例に係る被検試料の分注におけるサンプル分注プローブ内を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0018】
以下、本発明による自動分析装置の実施例を、図1乃至図10を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施例に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析装置100は、各検査項目の標準試料や被検体から採取された被検試料と各検査項目に該当する試薬との混合液を測定して標準データや被検データを生成する分析部24と、分析部24の測定に関る各分析ユニットの駆動及び制御を行う分析制御部25とを備えている。
【0020】
また、自動分析装置100は、分析部24で生成された標準データや被検データを処理して検量データや分析データの生成を行うデータ処理部30と、データ処理部30で生成された検量データや分析データを印刷出力や表示出力する出力部40と、各種コマンド信号の入力等を行う操作部50と、分析制御部25、データ処理部30、及び出力部40を統括して制御するシステム制御部60とを備えている。
【0021】
図2は、分析部24の構成を示した斜視図である。この分析部24は、標準試料や被検試料等の各試料を収容する試料容器17と、この試料容器17を保持するサンプルディスク5と、各試料に含まれる検査項目の成分と反応する1試薬系及び2試薬系の第1試薬を収容する試薬容器6と、この試薬容器6を回動可能に保持する試薬ラック1aを有する試薬庫1と、2試薬系の第1試薬と対をなす第2試薬を収容する試薬容器7と、この試薬容器7を回動可能に保持する試薬ラック2aを有する試薬庫2と、円周上に配置された複数の反応容器3を回転可能に保持する反応ディスク4とを備えている。
【0022】
また、検査項目の内のナトリウムイオン、カリウムイオン、及び塩素イオン等の電解質項目を分析するための測定を行う電解質測定ユニット23と、サンプルディスク5に保持された試料容器17の各試料をサンプル分注プローブ16内に吸引して反応容器3や電解質測定ユニット23へ吐出する分注を行うサンプル分注ポンプ16aと、サンプル分注プローブ16を回動及び上下移動可能に保持するサンプル分注アーム10と、各試料の分注終了毎にサンプル分注プローブ16を洗浄する洗浄槽16bとを備えている。
【0023】
また、試薬庫1に収納された試薬容器6内の第1試薬を第1試薬分注プローブ14内に吸引して各試料が吐出された反応容器3内に吐出する分注を行う第1試薬分注ポンプ14aと、第1試薬分注プローブ14を回動及び上下移動可能に保持する第1試薬分注アーム8と、第1試薬の分注終了毎に第1試薬分注プローブ14を洗浄する洗浄槽14bとを備えている。
【0024】
また、反応容器3内に吐出された各試料と第1試薬の混合液を撹拌する第1撹拌子18と、第1撹拌子18を回動及び上下移動可能に保持する第1撹拌アーム20と、混合液の撹拌終了毎に第1撹拌子18を洗浄する洗浄槽18aとを備えている。
【0025】
また、試薬庫2に収納された試薬容器7内の第2試薬を第2試薬分注プローブ15内に吸引して各試料及び第1試薬が吐出された反応容器3内に吐出する分注を行う第2試薬分注ポンプ15aと、第2試薬分注プローブ15を回動及び上下移動可能に保持する第2試薬分注アーム9と、第2試薬の分注終了毎に第2試薬分注プローブ15を洗浄する洗浄槽15bとを備えている。
【0026】
また、反応容器3内の各試料、第1試薬、及び第2試薬の混合液を撹拌する第2撹拌子19と、第2撹拌子19を回動及び上下移動可能に保持する第2撹拌アーム21と、混合液の撹拌終了毎に第2撹拌子19を洗浄する洗浄槽19aとを備えている。
【0027】
また、反応容器3内の混合液に光を照射して光学的に測定する測光ユニット13と、測光ユニット13で測定を終了した反応容器3内を洗浄する洗浄ユニット12とを備えている。
【0028】
そして、測光ユニット13は、光路を通過する反応容器3に光を照射し、その反応容器3内の標準試料や被検試料を含む混合液を透過した各検査項目の波長光を検出する検出信号に基づいて、例えば吸光度データで表される標準データや被検データを生成する。また、電解質測定ユニット23は、標準試料や被検試料に含まれる各検査項目成分に選択的に応答するイオンセンサと一定の電位を発生する参照電極間を測定することにより例えば起電力データで表される標準データや被検データを生成する。そして、測光ユニット13や電解質測定ユニット23で生成した標準データや被検データをデータ処理部30に出力する。
【0029】
分析制御部25は、分析部24の各分析ユニットを駆動する機構を有する機構部26と、機構部26の各機構を制御して分析部24の各分析ユニットを作動させる制御部27とを備えている。そして、機構部26は分析サイクル毎に、サンプルディスク5、試薬庫1の試薬ラック1a、及び試薬庫2の試薬ラック2aを夫々回動した後に停止する機構、並びに反応ディスク45を回転した後に停止する機構を備えている。
【0030】
また、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、第2試薬分注アーム9、第1撹拌アーム20、及び第2撹拌アーム21を夫々回動及び上下移動する機構、並びにサンプル分注ポンプ16a、第1試薬分注ポンプ14a、及び第2試薬分注ポンプ15aを夫々吸引及び吐出駆動する機構等を備えている。
【0031】
図1に示したデータ処理部30は、分析部24の測光ユニット13や電解質測定ユニット23から出力された標準データや被検データを処理して各検査項目の検量データや分析データを生成する演算部31と、演算部31で生成された標準データや分析データを保存するデータ記憶部32とを備えている。
【0032】
演算部31は、測光ユニット13や電解質測定ユニット23から出力された標準データ及びこの標準データの標準試料に対して予め設定された標準値から、各検査項目成分の濃度や活性と標準データの関係を表す検量データを生成し、生成した検量データを出力部40に出力すると共にデータ記憶部32に保存する。
【0033】
また、測光ユニット13や電解質測定ユニット23から出力された被検データに対応する検査項目の検量データをデータ記憶部32から読み出す。そして、読み出した検量データを用いてその被検データから濃度値や活性値として表される分析データを生成し、生成した分析データを出力部40に出力すると共にデータ記憶部32に保存する。
【0034】
データ記憶部32は、ハードディスク等のメモリデバイスを備え、演算部31から出力された検量データを検査項目毎に保存する。また、演算部31から出力された各検査項目の分析データを被検試料毎に保存する。
【0035】
出力部40は、データ処理部30の演算部31から出力された検量データや分析データを印刷出力する印刷部41及び表示出力する表示部42を備えている。そして、印刷部41は、プリンタなどを備え、演算部31から出力された検量データや分析データを予め設定されたフォーマットに従って、プリンタ用紙などに印刷する。
【0036】
表示部42は、CRTや液晶パネルなどのモニタを備え、演算部31から出力された検量データや分析データを表示する。また、自動分析装置100で検査可能な検査項目の被検試料を反応容器3や電解質測定ユニット23に吐出する量(吐出量)等の分析パラメータを設定するための分析パラメータ設定画面、各検査項目に該当する試薬の試薬情報を設定するための試薬情報設定画面、分析部24のサンプル分注プローブ16内に測定に使用しない被検試料(ダミー用試料)を吸引する条件を設定するためのダミー用試料設定画面、被検試料毎にこの被検試料を識別する氏名やID等の識別情報及び検査対象の検査項目を設定するための被検試料情報設定画面等を表示する。
【0037】
操作部50は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、検査項目毎の分析パラメータの設定、試薬情報の設定、ダミー用試料吸引条件の設定、被検試料の識別情報及び検査項目の設定等の操作を行う。
【0038】
システム制御部60は、CPU及び記憶回路を備え、操作部50からの操作により入力されたコマンド信号、各検査項目の分析パラメータの情報、試薬情報、ダミー用試料の吸引条件、被検試料の識別情報及び検査項目の情報等の入力情報を記憶回路に記憶した後、これらの入力情報に基づいて、分析制御部25、データ処理部30、及び出力部40を統括してシステム全体を制御する。
【0039】
次に、図1乃至図6を参照して、分析部24で被検試料を分注する分注動作の概略を説明する。図3は、分析部24の各試料を分注する位置を示す図である。図4は、分析部24のサンプル分注ポンプ16aによりサンプル分注プローブ16内に各試料を吸引する原理を説明するための図である。図5は、被検試料の分注におけるサンプル分注プローブ16内を示す図である。図6は、表示部42に表示されたダミー用試料設定画面の一例を示す図である。
【0040】
図3において、分析部24のサンプル分注アーム10は、回動軸を中心として上停止位置における高さで矢印方向に回動して、各試料の分注を行うためにサンプル分注プローブ16を破線で示した円形の軌道に沿って移動する。そして、サンプルディスク5に収納された試料容器17内の標準試料を吸引する位置である標準試料吸引位置T1及び試料容器17内の被検試料を吸引する位置である被検試料吸引位置T2、試料容器17から吸引した標準試料や被検試料を反応容器3内に吐出する位置である反応容器吐出位置T3及び電解質測定ユニット23に吐出する位置である電解質ユニット位置T4、並びにサンプル分注プローブ16を洗浄槽16bで洗浄する位置である洗浄位置T5の各位置の上方の上停止位置で停止する。そして、停止した各上停止位置でサンプル分注プローブ16を上下移動する。
【0041】
サンプル分注ポンプ16aは、標準試料吸引位置T1に停止した試料容器17内の標準試料をサンプル分注プローブ16内に吸引して反応容器吐出位置T3に停止した反応容器3や電解質ユニット位置T4の電解質測定ユニット23に吐出する。また、被検試料吸引位置T2に停止した試料容器17内の被検試料をサンプル分注プローブ16内に吸引して反応容器吐出位置T3に停止した反応容器3や電解質測定ユニット23に吐出する。
【0042】
図4は、サンプル分注ポンプ16aによりサンプル分注プローブ16内に各試料を吸引する原理を説明するための図である。各試料を分注するサンプル分注手段は、サンプル分注ポンプ16a、サンプル分注アーム10、サンプル分注プローブ16、サンプル分注ポンプ16aとサンプル分注プローブ16に接続されたチューブ等により構成される。そして、サンプル分注ポンプ16aの吸引動作及び吐出動作によるサンプル分注プローブ16内への各試料の吸引及びサンプル分注プローブ16からの各試料の吐出が可能なように、サンプル分注ポンプ16a、チューブ、及びサンプル分注プローブ16内には純水等の圧力伝達媒体が封入されている。
【0043】
なお、第1及び第2試薬も試料の吸引と同じ原理で、第1及び第2試薬分注プローブ14,15内に吸引される。第1及び第2試薬分注ポンプ14a,15aと第1及び第2試薬分注プローブ14,15は、夫々チューブで接続されている。また、第1及び第2試薬分注ポンプ14a,15aの吸引動作及び吐出動作による第1及び第2試薬分注プローブ14,15内への第1及び第2試薬の吸引及び第1及び第2試薬分注プローブ14,15からの第1及び第2試薬の吐出が可能なように、第1及び第2試薬分注ポンプ14a,15a、チューブ、及び第1及び第2試薬分注プローブ14,15内には夫々圧力伝達媒体が封入されている。
【0044】
このように圧力伝達媒体を利用してサンプル分注プローブ16内に各試料を吸引したとき、サンプル分注プローブ16の内壁に残留する圧力伝達媒体の試料への混入や拡散等により、吸引した試料が希釈されて各検査項目の分析対象成分の濃度が低下する問題がある。
【0045】
この問題を避けるために、例えば被検試料吸引位置T2の試料容器17から測定対象の被検試料をサンプル分注プローブ16内に吸引するとき、図5(a)に示すように、先ずエアを吸引する。次いで、図5(b)に示すように、ダミー用試料を吸引する。
【0046】
そして、1回目の分注では、図5(b)に示すように、エア及びダミー用試料を吸引した後に1回目の検査項目に対応する測定用試料を吸引する。測定用試料を吸引した後、図5(c)に示すように、1回目の測定用試料のみを反応容器3(又は電解質測定ユニット23)に吐出する。
【0047】
また、n回目(n≧2)の分注では、図5(d)に示すように、1回目の分注で吸引したエア及びダミー用試料をサンプル分注プローブ16内に保持した状態で、n回目の検査項目に対応する測定用試料を吸引し、n回目の測定用試料のみを反応容器3(又は電解質測定ユニット23)に吐出する。そして、検査対象の検査項目の被検試料の分注を終了した後、洗浄槽16bでエア及びダミー用試料をサンプル分注プローブ16内から排出し、排出後にサンプル分注プローブ16の内外の洗浄を行う。
【0048】
しかしながら、検査対象の検査項目数が多い被検試料においては、サンプル分注プローブ16内に測定用試料を吸引する回数が多くなるため、検査対象の最後の検査項目に近づくに従い、サンプル分注プローブ16内を繰り返し往復移動するダミー用試料が圧力伝達媒体で希釈され、この希釈されたダミー用試料に隣接する測定用試料が希釈される。この測定用試料の希釈により、試料の分注精度の誤差要因の占める割合の大きく、且つ分析データの許容範囲の狭い特定の検査項目の分析データが悪化する問題が発生する。
【0049】
この問題を避けるために、1回目の分注で吸引するダミー用試料を増量する方法が考えられるが、検査対象に特定の検査項目が含まれていないと、ダミー用として増量した被検試料が浪費されることになる。このダミー用試料の浪費を避けて必要に応じて追加のダミー用試料を吸引するために、表示部42に表示されるダミー用試料吸引条件設定画面で追加のダミー用試料の吸引条件を設定する。
【0050】
図6は、表示部42に表示されたダミー用試料設定画面の一例を示した図である。このダミー用試料設定画面43は、n回目の測定用試料を分注する前に追加のダミー用試料を吸引する条件を設定するための「直前にダミー用試料を追加吸引する項目」の欄と、(n−1)回吸引した測定用試料の総量が所定量以上である場合にn回目の測定用試料を分注する前に追加のダミー用試料を吸引する条件を設定するための「所定量以上でダミー用試料を追加吸引する項目」の欄とにより構成される。そして、各欄に吸引条件を設定する操作部50からの入力操作により、各欄に設定された吸引条件の情報がシステム制御部60の記憶回路に保存されると共に表示部42に表示される。
【0051】
「直前にダミー用試料を追加吸引する項目」の欄に、表示部42の分析パラメータ設定画面で設定された検査項目の中から例えば電解質項目等の試料の分注精度の誤差要因の占める割合の大きく、且つ分析データの許容範囲の狭い特定の検査項目を選択入力する操作が行われると、ダイアログボックス441内に特定の検査項目である例えば「項目A」が表示される。そして、検査項目が選択入力されていないダイアログボックス442乃至44p内は空白になっている。
【0052】
ここでは、n回目の分注が、「項目A」に対応する測定用試料である場合に、1回目の分注で吸引したエア及びダミー用試料をサンプル分注プローブ16内に保持した状態で、追加のダミー用試料を吸引した後に「項目A」の測定用試料を吸引し、吸引した「項目A」の測定用試料を反応容器3(又は電解質測定ユニット23)に吐出する。
【0053】
そして、追加のダミー用試料の量は、「直前にダミー用試料を追加吸引する項目」の欄に設定された検査項目の分析パラメータ設定画面に設定された吐出量V1に応じて算出される例えば算出量Vc1{Vc1=A×V1+B}(A及びBは定数)となる。なお、追加のダミー用試料の量を、1回目の分注で吸引されるダミー用試料の量以下の一定量で固定して実施するようにしてもよい。
【0054】
このように、n回目の測定用試料が「直前にダミー用試料を追加吸引する項目」の欄に設定された特定の検査項目の試料である場合に、追加のダミー用試料を吸引した後にその検査項目に対応するn回目の測定用試料を吸引することにより、n回目の測定用試料に含まれる検査項目成分の濃度の低下を低減することができる。これにより、n回目の測定用試料を精度よく分注することができる。
【0055】
「所定量以上でダミー用試料を追加吸引する項目」の欄に、表示部42の分析パラメータ設定画面で設定された検査項目の中から「直前にダミー用試料を追加吸引する項目」の欄に設定した検査項目よりは要求精度が低いものの試料の分注精度の誤差要因の占める割合の大きく、且つ分析データの許容範囲の狭い特定の検査項目を選択入力する操作が行われると、ダイアログボックス451内に特定の検査項目である例えば「項目B」が表示される。そして、検査項目が選択入力されていないダイアログボックス452乃至45q内は空白になっている。
【0056】
ここでは、n回目の分注が「項目B」に対応する測定用試料である場合、(n−1)回吸引した測定用試料の総量を算出する。そして、算出した総量が予め設定された所定量以上である場合、1回目の分注で吸引したエア及びダミー用試料をサンプル分注プローブ16内に保持した状態で、追加のダミー用試料を吸引した後に「項目B」に対応する測定用試料を吸引し、吸引した「項目B」の測定用試料を反応容器3(又は電解質測定ユニット23)に吐出する。
【0057】
また、算出した総量が所定量未満である場合、1回目の分注で吸引したエア及びダミー用試料をサンプル分注プローブ16内に保持した状態で、「項目B」に対応する測定用試料のみを吸引し、吸引した「項目B」の測定用試料を反応容器3(又は電解質測定ユニット23)に吐出する。
【0058】
そして、追加のダミー用試料の量は、「所定量以上でダミー用試料を追加吸引する項目」の欄に設定された検査項目の分析パラメータ設定画面に設定された吐出量V2に応じて算出される例えば算出量Vc2{Vc=A×V2+B}となる。なお、追加のダミー用試料の量を、1回目の分注で吸引されるダミー用試料の量以下の一定量で固定して実施するようにしてもよい。
【0059】
なお、ダミー用試料や測定用試料の希釈は、サンプル分注―プローブ16内に試料を吸引する速度、サンプル分注分注プローブ16の内径等様々な条件によって異なるため、予め実験により1回目の分注で吸引したエア及びダミー用試料をサンプル分注プローブ16内に保持した状態でnの値を変数として、所定の吐出量の測定用試料をn回吸引したときのnとn回目に吸引した測定用試料の濃度の関係を求める。また、測定用試料の吐出量を変えて、nの値を変数として、測定用試料をn回吸引したときのnとn回目に吸引した測定用試料の濃度の関係を求める。この求めた関係から所定量を算出し、算出した所定量を操作部50から入力して制御部27に設定保存する。制御部27は、予め設定された所定量に基づいて、追加のダミー用試料を吸引するか否かを判定する。
【0060】
このように、n回目の測定用試料が「所定量以上でダミー用試料を追加吸引する項目」の欄に設定された特定の検査項目の試料であり、且つ(n−1)回吸引した測定用試料の総量が所定量以上である場合に追加のダミー用試料を吸引した後にn回目の測定用試料を吸引することにより、被検試料の浪費を防いで、n回目の測定用試料を精度よく分注することができる。
【0061】
以下、図1乃至図10を参照して、分析部24で被検試料を分注する動作の一例を説明する。図7は、被検試料を分注する試料分注工程の構成を示す図である。図8及び図9は、図7に示した試料分注工程の詳細を示すフローチャートである。図10は、被検試料の分注におけるサンプル分注プローブ16内を示す図である。
【0062】
図7において、試料分注工程S1は、被検試料を1回目に分注する第1の試料分注工程S10と、複数回分注するときのn回目(2以上の整数)に分注する第nの試料分注工程S30とにより構成される。
【0063】
分析制御部25の制御部27は、システム制御部60から供給される各検査項目の分析パラメータ、被検試料の情報、及びこの被検試料に設定された検査対象の検査項目の情報に基づき機構部26の各機構を制御する。そして、反応ディスク5、サンプル分注アーム10、及びサンプル分注ポンプ16a等の各分析ユニットを作動させて、試料分注工程S1を実行する。
【0064】
図8は、試料分注工程S1の第1の試料分注工程S10を示したフローチャートである。この第1の試料分注工程S10は、ステップS11乃至ステップS14により構成される。
【0065】
1回目の分注では、サンプル分注アーム10は、サンプル分注プローブ16をホームポジションから被検試料吸引位置T2の上停止位置へ移動する。このサンプル分注プローブ16の移動に並行して、サンプル分注ポンプ16aは、サンプル分注プローブ16内に所定量のエアを吸引する(ステップS11)。
【0066】
サンプル分注プローブ16内へのエアの吸引後、サンプル分注アーム10は、サンプル分注プローブ16を下へ移動して、被検試料吸引位置T2に停止した試料容器17に収容された測定対象の被検試料の吸引が可能な吸引高で停止する。サンプル分注ポンプ16aは、サンプル分注プローブ16内にダミー用試料を吸引する(ステップS12)。
【0067】
ダミー用試料を吸引した後、サンプル分注ポンプ16aは、サンプル分注プローブ16内に1回目の検査項目に対応する測定用試料を吸引する(ステップS13)。
【0068】
1回目の分注における吸引後、サンプル分注アーム10は、サンプル分注プローブ16を例えば反応容器吐出位置T3に停止した反応容器3内へ移動する。サンプル分注プローブ16が反応容器3内へ移動した後、サンプル分注ポンプ16aは、反応容器3内にサンプル分注プローブ16内の1回目の測定用試料を吐出する(ステップS14)。
【0069】
1回目の測定用試料の吐出後、サンプル分注アーム10は、サンプル分注プローブ16を反応容器3内からホームポジションへ移動する。
【0070】
このように、1回目の分注では、エア及びダミー用試料を吸引した後に1回目の測定用試料を吸引することにより、1回目の測定用試料に含まれる検査項目成分の濃度の低下を低減することができる。これにより、1回目の測定用試料を精度よく分注することができる。
【0071】
図9は、図7に示した試料分注工程S1の第nの試料分注工程S30を示したフローチャートである。この第nの試料分注工程S30は、ステップS31乃至ステップS36により構成される。
【0072】
n回目の分注では、サンプル分注アーム10は、サンプル分注プローブ16をホームポジションから被検試料吸引位置T2の上停止位置へ移動する。被検試料吸引位置T2の上停止位置への移動後、サンプル分注アーム10は、サンプル分注プローブ16を下へ移動して試料吸引高で停止する。
【0073】
制御部27は、システム制御部60から供給されるダミー用試料吸引条件の情報に基づいて、各分析ユニットを制御する。そして、n回目の測定用試料の検査項目が図6に示したダミー用試料設定画面43の「直前にダミー用試料を追加吸引する項目」の欄に設定された検査項目以外の項目である場合(ステップS31のいいえ)、ステップS32へ移行する。また、ダミー用試料設定画面43の「直前にダミー用試料を追加吸引する項目」の欄に設定された検査項目である場合(ステップS31のはい)、ステップS34へ移行する。
【0074】
ステップS31の「いいえ」の後に、n回目の測定用試料がダミー用試料設定画面43の「所定量以上でダミー用試料を追加吸引する項目」の欄に設定された検査項目の試料である場合(ステップS32のはい)、ステップS33へ移行する。また、ダミー用試料設定画面43の「所定量以上でダミー用試料を追加吸引する項目」の欄に設定された検査項目以外の項目の試料である場合(ステップS32のいいえ)、ステップS35へ移行する。
【0075】
ステップ32の「はい」の後に、サンプル分注プローブ16内に(n−1)回吸引した測定用試料の総量が所定量以上である場合(ステップS33のはい)、ステップS34へ移行する。また、サンプル分注プローブ16内に(n−1)回吸引した測定用試料の総量が所定量未満である場合(ステップS33のいいえ)、ステップS35へ移行する。
【0076】
ステップS31の「はい」又はステップS33の「はい」の後に、サンプル分注ポンプ16aは、図10(a)に示すように、1回目の分注で吸引したエア及びダミー用試料をサンプル分注プローブ16内に保持した状態で追加のダミー用試料を吸引した後にn回目の測定用試料を吸引する(ステップS34)。
【0077】
なお、測定用試料の平均量を求め、求めた平均量の測定用試料を繰り返し吸引し、その測定用試料が「所定量以上でダミー用試料を追加吸引する項目」の欄に設定された検査項目の分析データが悪化する程度に希釈される回数を求める。そして、求めた回数を予め設定し、nが予め設定された回数である場合に、1回目の分注で吸引したエア及びダミー用試料をサンプル分注プローブ16内に保持した状態で追加のダミー用試料を吸引した後にn回目の測定用試料を吸引するように実施してもよい。
【0078】
このように、n回目の分注では、n回目に分注する測定用試料がダミー用試料設定画面43の「直前にダミー用試料を追加吸引する項目」の欄に設定された検査項目の試料である場合、1回目の分注で吸引したエア及びダミー用試料をサンプル分注プローブ16内に保持した状態で、追加のダミー用試料を吸引した後にn回目の測定用試料を吸引することにより、被検試料の浪費を防いで、n回目の測定用試料を精度よく分注することができる。
【0079】
また、n回目に分注する測定用試料がダミー用試料設定画面43の「所定量以上でダミー用試料を追加吸引する項目」の欄に設定した検査項目に対応する試料であり、且つ(n―1)回吸引した測定用試料の総量が所定量以上である場合、1回目の分注で吸引したエア及びダミー用試料をサンプル分注プローブ16内に保持した状態で、追加のダミー用試料を吸引した後にn回目の測定用試料を吸引することにより、被検試料の浪費を防いで、n回目の測定用試料を精度よく分注することができる。
【0080】
ここで、データ処理部30の演算部31は、制御部27から供給される追加ダミー用試料の情報に基づいて、追加のダミー用試料を吸引した後に分注された測定用試料の測定により生成した分析データに、追加のダミー用試料が吸引された後の測定用試料から生成されたデータであることを示すフラグを付加する。そして、そのフラグが付加された分析データをデータ記憶部32に保存すると共に出力部40に出力する。出力部40の印刷部41及び表示部42は、演算部31から出力されたフラグが付加された分析データを印刷出力及び表示出力する。
【0081】
ステップS32の「いいえ」、又はステップS33の「いいえ」の後に、サンプル分注ポンプ16aは、1回目の分注で吸引したエア及びダミー用試料をサンプル分注プローブ16内に保持した状態でn回目の検査項目に対応する測定用試料のみを吸引する(ステップS35)。
【0082】
このように、n回目の分注では、n回目に分注する測定用試料がダミー用試料設定画面43に設定された検査項目以外の項目である場合、1回目の分注で吸引したエア及びダミー用試料をサンプル分注プローブ16内に保持した状態で、n回目の測定用試料のみを吸引することにより、分析データを悪化させることなく、被検試料の消費を低減することができる。
【0083】
また、n回目に分注する測定用試料がダミー用試料設定画面43の「所定量以上でダミー用試料を追加吸引する項目」の欄に設定した検査項目に対応する試料であり、且つ(n―1)回吸引した測定用試料の総量が所定量未満である場合、1回目の分注で吸引したエア及びダミー用試料をサンプル分注プローブ16内に保持した状態で、n回目の測定用試料のみを吸引することにより、分析データを悪化させることなく、被検試料の消費を低減することができる。
【0084】
n回目の分注における吸引後、サンプル分注アーム10は、サンプル分注プローブ16を例えば反応容器吐出位置T3に停止した反応容器3内へ移動する。サンプル分注プローブ16を反応容器3内へ移動した後、サンプル分注ポンプ16aは、サンプル分注プローブ16内のn回目の測定用試料を反応容器3内に吐出する(ステップS36)。
【0085】
n回目の分注における測定用試料の吐出後、サンプル分注アーム10は、サンプル分注プローブ16を反応容器3内からホームポジションへ移動する。そして、検査対象の全ての検査項目の被検試料の分注終了後に、サンプル分注プローブ16内のエア及びダミー用試料を排出した後、サンプル分注プローブ16の洗浄が行われる。洗浄後に、サンプル分注アーム10は、サンプル分注プローブ16をホームポジションに移動して、次の被検試料の分注に備えて待機する。
【0086】
なお、複数の被検試料に検査対象として設定された検査項目が1項目であり、且つ複数の被検試料に検査対象として設定された検査項目が全て同じ検査項目である場合、被検試料と同様にして、1試薬系における第1試薬や2試薬系における第1及び第2試薬を分注するように実施してもよい。以下に、第1試薬を分注する例を説明する。
【0087】
1回目の分注では、エア及び測定に使用しない第1試薬(ダミー用試薬)を吸引した後に1回目の測定に使用する第1試薬(測定用試薬)を吸引することにより、1回目の測定用試薬を精度よく分注することができる。
【0088】
また、n回目の分注では、n回目に分注する測定用試薬が予め設定された検査項目の試薬以外の試薬である場合、又は予め設定された検査項目の試薬であり、且つ(n―1)回吸引した測定用試薬の総量が所定量未満である場合、1回目の分注で吸引したエア及びダミー用試薬を第1試薬分注プローブ14内に保持した状態で、n回目の測定用試薬のみを吸引することにより、第1試薬の消費を低減することができる。
【0089】
更に、n回目の分注では、n回目に分注する測定用試薬が予め設定された検査項目に対応する第1試薬であり、且つ(n―1)回吸引した測定用試薬の総量が所定量以上である場合、1回目の分注で吸引したエア及びダミー用試薬を第1試薬分注プローブ14内に保持した状態で、追加のダミー用試薬を吸引した後にn回目の測定用試薬を吸引することにより、第1試薬の浪費を防いで、n回目の測定用試薬を精度よく分注することができる。
【0090】
以上述べた本発明の実施例によれば、1回目の分注では、エア及びダミー用試料を吸引した後に1回目の測定用試料を吸引することにより、1回目の測定用試料を精度よく分注することができる。これにより、良好な分析データを得ることができる。
【0091】
また、n回目の分注では、n回目に分注する測定用試料がダミー用試料設定画面43に設定された検査項目以外の項目である場合、又はn回目に分注する測定用試料がダミー用試料設定画面43の「所定量以上でダミー用試料を追加吸引する項目」の欄に設定した検査項目の試料であり、且つ(n―1)回吸引した測定用試料の総量が所定量未満である場合、1回目の分注で吸引したエア及びダミー用試料をサンプル分注プローブ16内に保持した状態で、n回目の測定用試料のみを吸引することにより、分析データを悪化させることなく、被検試料の消費を低減することができる。
【0092】
更に、n回目の分注では、n回目に分注する測定用試料がダミー用試料設定画面43の「直前にダミー用試料を追加吸引する項目」の欄に設定された検査項目の試料である場合、又はn回目に分注する測定用試料がダミー用試料設定画面43の「所定量以上でダミー用試料を追加吸引する項目」の欄に設定した検査項目の試料であり、且つ(n―1)回吸引した測定用試料の総量が所定量以上である場合、1回目の分注で吸引したエア及びダミー用試料をサンプル分注プローブ16内に保持した状態で、追加のダミー用試料を吸引した後にn回目の測定用試料を吸引することにより、被検試料の浪費を防いで、n回目の測定用試料を精度よく分注することができる。これにより、分析データの悪化を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0093】
3 反応容器
4 反応ディスク
5 サンプルディスク
10 サンプル分注アーム
16 サンプル分注プローブ
16a サンプル分注ポンプ
16b 洗浄槽
17 試料容器
23 電解質測定ユニット
24 分析部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料及びこの試料の検査対象の検査項目に該当する試薬を反応容器に分注して、その混合液を測定する自動分析装置において、
前記試料を収容する試料容器からその試料を分注プローブ内に吸引して前記反応容器内に吐出する分注を行う分注手段を備え、
前記分注手段は、
1回目の分注では、前記試料容器からダミー用試料を吸引した後に1回目の測定用試料を吸引し、
n回目(nは2以上の整数)の分注では、前記試料容器から(n−1)回吸引した測定用試料の総量が所定量以上である場合、前記試料容器から追加のダミー用試料を吸引した後にn回目の測定用試料を吸引することを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記検査項目を設定する設定手段を有し、
前記分注手段は、前記n回目の測定用試料が前記設定手段により設定された検査項目の試料である場合、前記試料容器から追加のダミー用試料を吸引した後にn回目の測定用試料を吸引することを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記分注手段は、前記n回目の測定用試料が前記設定手段により設定された検査項目以外の項目の試料である場合、前記試料容器から前記n回目の測定用試料のみを吸引することを特徴とする請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記分注手段は、前記試料容器から(n−1)回吸引した測定用試料の総量が所定量未満である場合、前記試料容器から前記n回目の測定用試料のみを吸引することを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項5】
試料及びこの試料の検査対象の検査項目に該当する試薬を反応容器に分注して、その混合液を測定する自動分析装置において、
前記試料を収容する試料容器からその試料を分注プローブ内に吸引して前記反応容器内に吐出する分注を行う分注手段を備え、
前記分注手段は、
1回目の分注では、前記試料容器からダミー用試料を吸引した後に1回目の測定用試料を吸引し、
n回目(nは2以上の整数)の分注では、n回目の測定用試料が予め設定された検査項目の試料である場合、前記試料容器から追加のダミー用試料を吸引した後にn回目の測定用試料を吸引し、前記検査項目以外の項目の試料である場合、前記n回目の測定用試料のみを吸引することを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
前記追加のダミー用試料の量は、前記n回目の測定用試料の量に応じて算出される量であることを特徴とする請求項1又は請求項5に記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記追加のダミー用試料が吸引された後に吸引される測定用試料の測定により生成された分析データに、前記追加のダミー用試料が吸引された後の測定用試料から生成されたデータであることを示すフラグを付加するようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項5に記載の自動分析装置。
【請求項8】
試料及びこの試料の検査対象の検査項目に該当する試薬を反応容器に分注して、その混合液を測定する自動分析装置において、
前記試料を収容する試料容器からその試料を分注プローブ内に吸引して前記反応容器内に吐出する分注を行う分注手段を備え、
前記分注手段は、
1回目の分注では、前記試料容器からダミー用試料を吸引した後に1回目の測定用試料を吸引し、
n回目(nは2以上の整数)の分注では、前記n回が予め設定された回数である場合、前記試料容器から追加のダミー用試料を吸引した後にn回目の測定用試料を吸引することを特徴とする自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−204048(P2010−204048A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−52586(P2009−52586)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】