説明

自動列車制御装置

【課題】単軌条軌道回路に送信された制御信号を車上装置で正しく選択して隣接する軌道回路に送信されている制御信号を誤って採用することを防護する。
【解決手段】軌道回路識別情報を含む制御信号を軌道回路1T〜5T毎に異なる搬送周波数f1〜f5により生成して各軌道回路1T〜5Tに送信されている制御信号を車上装置2で受信し、受信した全ての制御信号に含まれる軌道回路識別情報により車上装置2に記憶した軌道回路種別情報を確認して軌道回路識別情報に単軌条軌道回路が含まれているときに、制御信号の受信レベルの最小受信感度を示す閾値を高くして単軌条軌道回路に送信されている制御信号を確実に選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、異なる数波の搬送周波数による符号式ATC信号又はATS信号を使用した自動列車制御装置、特に軌道回路における漏れや誘導により隣接する軌道回路に送信されている制御信号を誤って採用することを防ぐことに関するものである。
【背景技術】
【0002】
列車の速度を自動的に制限速度以下に制御するため軌道回路を利用して地上と列車の間で情報を授受する自動列車制御装置が例えば特許文献1等に開示されている。特許文献1に示された自動列車制御装置は、図5に示すように、各軌道回路1T,2T,3T,4T,5Tの境界に送信器3a〜3eを接続し、各送信器3a〜3eから軌道回路1T〜5Tに互いに異なる搬送周波数f1,f2の信号波の制御信号を送信し、列車1に搭載した車上装置は受信した信号波の制御信号に基づいて列車の速度を制御している。各軌道回路1T〜5Tは隣接する軌道回路からの誘導や上下線誘導、回り込み等が許容範囲以下になるように信号電流を制御したりしてシステムで隣接する軌道回路に送信されている制御信号を誤って採用することを防いでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一方、例えば片側レールにだけレール絶縁を用いた単軌条軌道回路では隣接する軌道回路からの誘導や回り込みによる迷流が多く流れて、単軌条軌道回路に送信される制御信号のみを車上装置で受信することは困難である。この単軌条軌道回路は電気回路が不平衡であるため、隣接する軌道回路からの誘導や上下線誘導、回り込み等が許容範囲以下にするには軌道回路の平衡度やレベル設定、回り込み部分の阻止等の軌道回路調整に多大な費用を要する。また、単軌条軌道回路を両側レールにレール絶縁を用いた複軌条化するにも多額の費用が掛かってしまう。
【0004】
この発明は、このような問題を解消し、単軌条軌道回路を複軌条化にしなくても単軌条軌道回路に送信された制御信号を車上装置で正しく選択できて隣接する軌道回路に送信されている制御信号を誤って採用することを防護することができる自動列車制御装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の自動列車制御装置は、単軌条軌道回路を含む各軌道回路にそれぞれ接続された送信器と、列車に搭載された車上装置とを有し、前記送信器は、軌道回路識別情報を含む制御信号を軌道回路毎に異なる搬送周波数により生成して各軌道回路の列車進出側の境界から送信し、前記車上装置は、受信器と制御装置を有し、前記受信器は受信部と復調部及び受信閾値切換部を有し、前記受信部は前記軌道回路毎に送信される異なる搬送周波数の制御信号を受信し、受信した制御信号を前記復調部に出力し、前記復調部は入力した制御信号の前記受信閾値切換部に設定された制御信号の受信レベルの最小受信感度を示す閾値以上の制御信号を復調して前記制御装置に出力し、前記制御装置は、データ記憶部及び軌道回路種別判定部を有し、前記データ記憶部には各軌道回路識別情報に関連付けて軌道回路種別情報があらかじめ格納され、前記軌道回路種別判定部は前記復調部から出力される全ての制御信号に含まれる軌道回路識別情報を認識し、認識した軌道回路識別情報により前記データ記憶部に記憶した軌道回路種別情報を確認し、認識した軌道回路識別情報の軌道回路に単軌条軌道回路が含まれているか否を判定し、認識した軌道回路識別情報の軌道回路に単軌条軌道回路が含まれているときは単軌条軌道回路を示す軌道回路情報を前記受信器の受信閾値切換部に出力し、前記受信器の受信閾値切換部は、前記軌道回路種別判定部から単軌条軌道回路を示す軌道回路情報が入力したとき制御信号の受信レベルの最小受信感度を示す閾値を高くすることを特徴とする。
【0006】
前記単軌条軌道回路に制御信号を送信する送信器は送信する信号レベルを他の送信器より高くし、前記受信器の受信閾値切換部には、前記受信部から出力される制御信号の受信レベルの最小受信感度を示す第1の閾値と、該最小受信感度を示す第1の閾値よりレベルが高く、かつ単軌条軌道回路に回り込む搬送周波数の制御信号の信号レベルより高く、単軌条軌道回路に送信する制御信号の信号レベルに対応した最小受信感度を示す第2の閾値が設定され、前記軌道回路種別判定部から単軌条軌道回路を示す軌道回路情報が入力したとき、制御信号の受信レベルの最小受信感度を第1の閾値から第2の閾値に切り換えることを特徴とする。
【0007】
また、前記制御装置の軌道回路種別判定部は、単軌条軌道回路を示す軌道回路情報を前記受信器の受信閾値切換部に出力してから引き続いて前記復調部から入力する制御信号の軌道回路識別情報により前記データ記憶部に記憶した軌道回路種別情報を確認し、前記復調部から入力する制御信号が単軌条軌道回路に送信された制御信号だけであることを確認すると、前記復調部から入力する制御信号を列車制御に必要な軌道回路情報として出力し、認識した軌道回路識別情報の軌道回路に単軌条軌道回路が含まれていないときは、前記復調部から入力している制御信号を列車制御に必要な軌道回路情報として出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明は、軌道回路識別情報を含む制御信号を軌道回路毎に異なる搬送周波数により生成して各軌道回路に送信されている制御信号を車上装置で受信して復調し、受信した全ての制御信号に含まれる軌道回路識別情報を認識し、認識した軌道回路識別情報によりデータ記憶部に記憶した軌道回路種別情報を確認して軌道回路識別情報に単軌条軌道回路が含まれているときに、復調する制御信号の受信レベルの最小受信感度を示す閾値を高くすることにより、単軌条軌道回路に在線して停止し、列車の電源をオフにして軌道回路情報が不明である状態で電源をオンにしたときに、単軌条軌道回路に送信されている制御信号を確実に選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の自動列車制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】車上装置の構成を示すブロック図である。
【図3】車上装置で受信する受信信号の受信レベルと最小受信感度の閾値を示す模式図である。
【図4】単軌条軌道回路に在線して軌道回路情報が不明の状態になっている列車で軌道回路情報を受信するときの処理を示すフローチャートである。
【図5】従来の自動列車制御装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、この発明の自動列車制御装置の駅構内における構成を示すブロック図である。図に示すように、自動列車制御装置は、列車1に搭載された車上装置2と、例えば本線Aと待避線Bを有する駅構内の各軌道回路1T、2T,3T,4T,5Tの列車進出側に設けられた送信器3a〜3eを有する。送信器3a〜3eは互いに異なる搬送周波数f1,f2,f3,f4,f5の信号波の制御信号を各軌道回路1T〜5Tに送信する。
【0011】
列車1の進出側の分岐器を有する軌道回路1Tと退避線Bの軌道回路2Tの境界及び軌道回路1Tと本線Aの軌道回路3Tの境界は、片側レールにだけレール絶縁を用いた単軌条軌道回路で構成されている。このため本線Aの軌道回路3Tには送信器3cから搬送周波数f3の制御信号が送信されるとともに送信器3aから軌道回路1Tに送信する搬送周波数f1の制御信号と送信器3bから待避線Bの軌道回路2Tに送信する搬送周波数f2の制御信号が回り込む。また、退避線Bの軌道回路2Tには送信器3bから搬送周波数f2の制御信号が送信されるとともに送信器3aから軌道回路1Tに送信する搬送周波数f1の制御信号と送信器3cから本線Aの軌道回路3Tに送信する搬送周波数f3の制御信号が回り込む。この単軌条軌道回路で構成された軌道回路3Tに接続された送信器3cと軌道回路2Tに接続された送信器3bは送信する信号レベルを他の送信器3a,3d,3eからの回り込みレベルより高く設定され、送信器3cから単軌条軌道回路の軌道回路3Tに送信する搬送周波数f3の制御信号の信号レベルは軌道回路3Tに回り込む搬送周波数f1の制御信号と搬送周波数f2の制御信号の信号レベルより高くなり、送信器3bから単軌条軌道回路の軌道回路2Tに送信する搬送周波数f2の制御信号の信号レベルは軌道回路2Tに回り込む搬送周波数f1の制御信号と搬送周波数f3の制御信号の信号レベルより高くなる。
【0012】
車上装置2は、図2のブロック図に示すように、受信器4と制御装置5を有する。受信器4は、受信部6と復調部7及び受信閾値切換部8を有する。受信部6は軌道回路0T〜5Tに送信される搬送周波数f1〜搬送周波数f5の制御信号を、受電器9を介して受信するf1受信部6a〜f5受信部6eを有する。復調部7はf1受信部6a〜f5受信部6eで受信した制御信号を復調する。受信閾値切換部8には、図3に示すように、あらかじめf1受信部6a〜f5受信部6eから出力される制御信号の受信レベルの最小受信感度を示す第1の閾値RL1と、最小受信感度を示す第1の閾値RL1よりレベルが高く、かつ単軌条軌道回路の軌道回路3Tに回り込む搬送周波数f1,f2の制御信号の信号レベルや単軌条軌道回路の軌道回路2Tに回り込む搬送周波数f1,f3の制御信号の信号レベルより高く、単軌条軌道回路の軌道回路3T,2Tに送信する制御信号の信号レベルに対応した最小受信感度を示す第2の閾値RL2が設定されている。この受信閾値切換部8は最小受信感度を示す第1の閾値RL1を復調部7で復調する制御信号の基準閾値として設定され、制御装置5から出力される軌条種別情報として単軌条軌道回路を含むことが示されている場合、復調部7で復調する制御信号の最小受信感度を第2の閾値RL2に切り換える。
【0013】
制御装置5はデータ記憶部10と軌道回路種別判定部11及び制御部12を有する。データ記憶部10には各軌道回路IDに関連付けて軌道回路種別情報があらかじめ格納されているとともに各種制御データが格納されている。例えば軌道回路2Tと軌道回路3Tを特定する軌道回路IDにはそれぞれ軌道回路種別情報として単軌条軌道回路が指定され、軌道回路4Tや軌道回路5Tを特定する軌道回路IDにはそれぞれ軌道回路種別情報として複軌条軌道回路が指定されている。軌道回路種別判定部11は受信器4の復調部7から出力される全ての制御信号に含まれる軌道回路IDを認識し、認識した軌道回路IDによりデータ記憶部10に記憶した軌道回路種別情報を確認し、認識した軌道回路IDの軌道回路に単軌条軌道回路が含まれているか否を判定し、認識した軌道回路IDの軌道回路に単軌条軌道回路が含まれているときは単軌条軌道回路を示す軌道回路情報を受信器4の受信閾値切換部8に出力し、引き続いて復調部7から入力する制御信号の軌道回路IDによりデータ記憶部10に記憶した軌道回路種別情報を確認した結果、復調部7から入力する制御信号が単軌条軌道回路に送信された制御信号だけであることを確認すると、復調部7から入力する制御信号を制御部12に出力する。また、認識した軌道回路IDの軌道回路に単軌条軌道回路が含まれていない場合は、復調部7から入力している制御信号を制御部12に出力する。制御部12は入力した制御信号を列車制御に必要な軌道回路情報として保持する。
【0014】
この列車制御装置で例えば駅構内の本線Aの単軌条軌道回路である軌道回路3Tに在線して停止し、電源をオフにしている列車1の電源をオンにして軌道回路3Tに送信されている制御信号を特定して受信するときの動作を図4のフローチャートを参照して説明する。
【0015】
単軌条軌道回路である軌道回路3Tに在線して停止し、電源をオフにしている列車1の車上装置2の受信器4は電源がオフになっているため、軌道回路3Tに送信されている制御信号を受信しなく、制御装置5の制御部12は軌道回路情報が不明の状態になっている。
【0016】
この軌道回路3Tに在線して停止し、軌道回路情報が不明の状態の列車1で電源をオンにすると(ステップS1)、車上装置2の受信器4は軌道回路3Tに流れている全ての信号を受信する。この列車1が在線している単軌条の軌道回路3Tには送信器3cから搬送周波数f3の制御信号が送信されるとともに送信器3aから軌道回路1Tに送信する搬送周波数f1の制御信号と送信器3bから待避線Bの軌道回路2Tに送信する搬送周波数f2の制御信号等の回り込みや誘導した信号が流れ込んでいる。そこで軌道回路3Tに接続された送信器3cから軌道回路3Tに送信されている搬送周波数f3の制御信号を受信部6のf3受信部6cで受信するとともに送信器3aから軌道回路1Tに送信されて軌道回路3Tに回り込んでいる搬送周波数f1の制御信号をf1受信部6aで受信し、送信器3bから軌道回路2Tに送信されて軌道回路3Tに回り込んでいる搬送周波数f2の制御信号をf2受信部6bで受信して復調部7に出力する。復調部7は受信閾値切換部8に設定されている最小受信感度を示す第1の閾値RL1によりf1送信部6aとf2送信部6b及びf3送信部6cから入力する搬送周波数f1〜搬送周波数f3の制御信号を復調して軌道回路種別判定部11に出力する(ステップS2)。この軌道回路3Tに送信器3cから送信されている搬送周波数f3の制御信号以外の搬送周波数f1,f2の回り込み信号は場合によっては最小受信感度を示す第1の閾値RL1以上になる場合もある。このような場合、軌道回路3Tに流れる制御信号等の最小受信感度を示す第1の閾値RL1以上の全ての信号を復調部7で復調して出力する。
【0017】
軌道回路種別判定部11は復調部7から入力した制御信号の全てから軌道回路IDを認識し(ステップS3)、認識した全ての軌道回路IDによりデータ記憶部10に記憶した軌道回路種別情報を確認し(ステップS4)、認識した全ての軌道回路IDの軌道回路種別情報のなかに単軌条軌道回路を示す情報が含まれているか否を判定し、判定した結果、認識した全ての軌道回路IDの軌道回路種別情報に少なくとも1つの単軌条軌道回路を示す情報があるときは単軌条軌道回路を示す軌道回路種別情報を受信閾値切換部8に出力する(ステップS5)。すなわち列車1が単軌条軌道回路である軌道回路3Tに在線している場合は、軌道回路種別判定部11に復調部7から入力する制御信号には送信器3cから軌道回路3Tに送信した搬送周波数f3の制御信号が含まれているから、軌道回路種別判定部11から受信閾値切換部8に単軌条軌道回路を示す軌道回路種別情報が出力される。
【0018】
受信閾値切換部8は単軌条軌道回路を示す軌道回路種別情報を入力すると、復調部7で復調する制御信号の最小受信感度を第1の閾値RL1から第2の閾値RL2に切り換え(ステップS6)、受信部6から出力される制御信号のなかで切り換えられた最小受信感度を示す第2の閾値RL2以上の制御信号を入力して復調し出力する(ステップS7)。このとき送信器3cから軌道回路3Tに送信されている搬送周波数f3の信号レベルは軌道回路3Tに回り込む搬送周波数f1の制御信号と搬送周波数f2の制御信号の信号レベルより高く、かつ最小受信感度を示す第2の閾値RL2以上であるから復調部7はf3送信部6cから入力する搬送周波数f3の制御信号だけを復調して軌道回路種別判定部11に出力する。
【0019】
軌道回路種別判定部11は搬送周波数f3の制御信号を入力すると、入力した制御信号に含まれる軌道回路IDを認識し、認識した軌道回路IDにより入力した制御信号が単軌条軌道回路に送信された制御信号だけであることを確認すると入力した制御信号を制御部12に出力する。制御部12は入力した制御信号を列車制御に必要な軌道回路情報として保持する(ステップS8)。
【0020】
一方、受信閾値切換部8は復調部7で復調する制御信号の最小受信感度を第1の閾値RL1から第2の閾値RL2に切り換えてから、あらかじめ設定された一定時間Tだけ経過すると、復調部7で復調する制御信号の最小受信感度を第1の閾値RL1に戻し、列車1が軌道回路3Tから進出して軌道回路1Tに進入したときに軌道回路1Tに送信されている制御信号を受信できるようにする(ステップS9,S10)。
【0021】
このようにして単軌条軌道回路である軌道回路3Tに在線して停止し、列車1の電源をオフにして軌道回路情報が不明である状態で電源をオンにしたときに、単軌条軌道回路である軌道回路3Tに送信されている制御信号を確実に選択することができる。
【0022】
前記説明ではデータ記憶部10に各軌道回路IDに関連付けて軌道回路種別情報があらかじめ格納した場合について示したが、送信器3a〜3eから軌道回路1T〜5Tに送信する制御信号に軌道回路IDとともに軌道回路種別情報を付加しても良い。
【符号の説明】
【0023】
1;列車、2;車上装置、3;送信器、4;受信器、5;制御装置、6;受信部、
7;復調部、8;受信閾値切換部、9;受電器、10;データ記憶部、
11;軌道回路種別判定部、12;制御部。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】特開2005−22558号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単軌条軌道回路を含む各軌道回路にそれぞれ接続された送信器と、列車に搭載された車上装置とを有し、
前記送信器は、軌道回路識別情報を含む制御信号を軌道回路毎に異なる搬送周波数f1〜fnにより生成して各軌道回路の列車進出側の境界から送信し、
前記車上装置は、受信器と制御装置を有し、前記受信器は受信部と復調部及び受信閾値切換部を有し、前記受信部は前記軌道回路毎に送信される異なる搬送周波数f1〜fnの制御信号を受信し、受信した制御信号を前記復調部に出力し、前記復調部は入力した制御信号の前記受信閾値切換部に設定された制御信号の受信レベルの最小受信感度を示す閾値以上の制御信号を復調して前記制御装置に出力し、
前記制御装置は、データ記憶部及び軌道回路種別判定部を有し、前記データ記憶部には各軌道回路識別情報に関連付けて軌道回路種別情報があらかじめ格納され、前記軌道回路種別判定部は前記復調部から出力される全ての制御信号に含まれる軌道回路識別情報を認識し、認識した軌道回路識別情報により前記データ記憶部に記憶した軌道回路種別情報を確認し、認識した軌道回路識別情報の軌道回路に単軌条軌道回路が含まれているか否を判定し、認識した軌道回路識別情報の軌道回路に単軌条軌道回路が含まれているときは単軌条軌道回路を示す軌道回路情報を前記受信器の受信閾値切換部に出力し、
前記受信器の受信閾値切換部は、前記軌道回路種別判定部から単軌条軌道回路を示す軌道回路情報が入力したとき制御信号の受信レベルの最小受信感度を示す閾値を高くすることを特徴とする列車制御装置。
【請求項2】
前記単軌条軌道回路に制御信号を送信する送信器は送信する信号レベルを他の送信器より高くし、
前記受信器の受信閾値切換部には、前記受信部から出力される制御信号の受信レベルの最小受信感度を示す第1の閾値と、該最小受信感度を示す第1の閾値よりレベルが高く、かつ単軌条軌道回路に回り込む搬送周波数の制御信号の信号レベルより高く、単軌条軌道回路に送信する制御信号の信号レベルに対応した最小受信感度を示す第2の閾値が設定され、前記軌道回路種別判定部から単軌条軌道回路を示す軌道回路情報が入力したとき、制御信号の受信レベルの最小受信感度を第1の閾値から第2の閾値に切り換えることを特徴とする請求項1記載の列車制御装置。
【請求項3】
前記制御装置の軌道回路種別判定部は、単軌条軌道回路を示す軌道回路情報を前記受信器の受信閾値切換部に出力してから引き続いて前記復調部から入力する制御信号の軌道回路識別情報により前記データ記憶部に記憶した軌道回路種別情報を確認し、前記復調部から入力する制御信号が単軌条軌道回路に送信された制御信号だけであることを確認すると、前記復調部から入力する制御信号を列車制御に必要な軌道回路情報として出力し、認識した軌道回路識別情報の軌道回路に単軌条軌道回路が含まれていないときは、前記復調部から入力している制御信号を列車制御に必要な軌道回路情報として出力することを特徴とする請求項1又は2記載の列車制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−240647(P2012−240647A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115840(P2011−115840)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000001292)株式会社京三製作所 (324)
【Fターム(参考)】