説明

自動化されたライン上で含水レンズを移送するためのシステム及び方法

コンタクトレンズ(310)を第1の場所から一次パッケージ(330)に移送する方法は、コンタクトレンズ(310)を中間移送部材(300)と共に一次パッケージ(330)に移送することを含み、ここで移送部材(300)はコンタクトレンズ(310)と共に一次パッケージ(330)に密封される。加えて、多くの例示的実施形態のうち別のものに従えば、コンタクトレンズ(310)を一次パッケージ(330)に移送するためのシステムは、コンタクトレンズ(310)及びコンタクトレンズ(310)に関連する移送部材(300)を含み、ここで自動レンズ移送装置(258)がコンタクトレンズ(310)及びレンズ移送部材(300)を連結するよう構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、「自動化されたライン上で含水レンズを移送するためのシステム及び方法(System and Metod for Transferring Hydrated Lenses on an Automated Line)」と題される2006年10月27日出願の米国特許出願第60/854,875号の恩典を主張し、同出願の内容全体を参考文献としてここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来からコンタクトレンズの生産プロセスには、モノマー又はモノマー混合物をフロントカーブ(下部)成形部分とバックカーブ(上部)成形部分との間に挟むことによる各レンズの形成が伴う。モノマーが重合することによりレンズが形成され、次にそのレンズが成形部分から取り外され、消費者向けに乾燥状態で包装されるか、又は水和槽でさらに処理されたうえ包装される。
【0003】
「ソフトコンタクトレンズを水和させるための自動化方法および装置(Automated Method and Apparatus for Hydrating Soft Contact Lenses)」と題される米国特許第5,476,111号に教示されるような含水性コンタクトレンズの水和及び自動化処理における近年の発展により、水和中、及び自動レンズ検査システムによるレンズの検査の前まで、レンズを自動的にロボットにより取り扱うことが可能となっている。加えて、含水レンズをレンズ水和パレット又は槽から一次パッケージに移送するための数多くの自動化されたシステムが設計されており、レンズは一次パッケージ内で滅菌され、保存され、消費者である患者に引き渡される。従来から自動レンズ移送機器は、レンズを保持する真空を発生させて、それを用いることにより、レンズを一次パッケージに移送する間、レンズを吸着体に維持するよう構成された吸着体を含め、数多くの移送要素を含む。典型的には、従来式一次パッケージは予成形されたポリプロピレン部材又はボートを含み、これがコンタクトレンズ及び規定量の包装用生理食塩水を収容し、封入する。従来式の包装プロセスにおいては、ボートに一定量の生理食塩水が充填され、そこに重合したコンタクトレンズが加えられる。レンズ及び生理食塩水がボートの中に入れられると、パッケージの上面にラミネートフォイルを熱融着することによってパッケージが閉じられる。
【0004】
しかしながら、従来式の含水コンタクトレンズを一次パッケージに移送するためのシステム及び方法は、数多くの欠点を抱えている。具体的には、少なくとも部分的に含水したレンズをレンズ水和槽から一次パッケージに移送する結果、レンズが吸着機器上で反転したり、滑ったり、滑り落ちたり、又はその他の方法で動いたりすることが多い。そのため、続いてレンズを一次パッケージの中に置いたとき、それは理想的なものとはならない。特に、レンズを一次パッケージの中に正確に置くことが重要な場合、従来式システムは適当ではない。結果的に、従来式のレンズ移送は典型的には手作業か、又は乾燥状態のレンズによって実施される。
【0005】
従来式レンズ移送システム及び方法にはさらなる欠点があり、レンズが吸着移送機器上に確実に位置が定まると、レンズと吸着移送機器との間の表面張力がレンズを移送機器上に維持するのを補助し得る。しかしながら、レンズの吸着移送機器からの取り外しを成功させるには、この表面張力に完全に勝る必要がある。結果的に従来式システムは、空気及び流体、或いはそのどちらか一方のブラストを吸着移送機器から吐き出すことによってレンズを取り外すことが多い。多くの場合に、レンズと吸着移送機器の一部分との間に表面張力が存在するため、レンズが部分的に保持されることが起こる。或いは、十分な空気及び流体、或いはそのどちらか一方がレンズに吹き付けられることでレンズが吸着移送機器から取り外される場合には、レンズが破損する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,476,111号明細書
【特許文献2】米国特許第7,086,526号明細書
【特許文献3】米国特許出願第10/781,321号明細書
【特許文献4】米国特許出願第60/832,324号明細書
【特許文献5】米国特許出願第11/404,200号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一例示的実施形態に従えば、コンタクトレンズを一次パッケージに移送する方法は、レンズ及び中間移送部材の双方を第1の場所から一次パッケージに移送するステップを含み、ここで中間移送部材はコンタクトレンズと共に一次パッケージに密封される。
【0008】
加えて、多くの例示的実施形態のうち別のものに従えば、コンタクトレンズを一次パッケージに移送するためのシステムは、コンタクトレンズ及びコンタクトレンズに関連する中間移送部材を含み、自動レンズ移送装置がコンタクトレンズ及び中間レンズ移送装置を配置するために連結するよう構成される。
【0009】
添付の図面は本システム及び方法の様々な実施形態を例示するもので、本明細書の一部である。例示される実施形態は単に本システム及び方法の例に過ぎず、特許請求の範囲の範囲を限定するものではない。本システム及び方法の概要並びに他の特徴及び態様は、以下の詳細な説明を読み、図面を参照すれば、さらに明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一例示的実施形態に従うコンタクトレンズの製造プロセスを示す。
【図2】本明細書に記載される例示的な原理に従うレンズ移送機器を示す。
【図3A】本明細書に記載される原理の一例示的実施形態に従う、コンタクトレンズ及び中間移送部材の双方を一次パッケージに移送するための方法を示す。
【図3B】一例示的実施形態に従う例示的中間移送部材の斜視図である。
【図4A】様々な例示的実施形態に従うコンタクトレンズ及び中間移送部材の様々な一次パッケージへの挿入を示す。
【図4B】様々な例示的実施形態に従うコンタクトレンズ及び中間移送部材の様々な一次パッケージへの挿入を示す。
【図4C】様々な例示的実施形態に従うコンタクトレンズ及び中間移送部材の様々な一次パッケージへの挿入を示す。
【図4D】様々な例示的実施形態に従うコンタクトレンズ及び中間移送部材の様々な一次パッケージへの挿入を示す。
【0011】
図面全体を通じて同一の参照符号は、類似しているが、必ずしも同一とは限らない要素を指示する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、中間移送部材を使用して少なくとも部分的に含水したコンタクトレンズを移送するための方法及びシステムを詳述する。より具体的には、本明細書は、中間移送部材を使用して少なくとも部分的に含水したコンタクトレンズを水和槽又は任意の他の場所から一次パッケージに移送するための方法及びシステムを記載し、移送部材は、少なくとも部分的に含水したコンタクトレンズと共に一次パッケージの中に配置される。
【0013】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるとき、用語「一次パック」は、まだ使用されていないコンタクトレンズを収容する任意のコンタクトレンズケース又は包装体を含むように広義に解釈されるものとする。特に、本明細書で使用されるとき、一次パックという用語は、使用者に引き渡される前の、まだ使用されていないコンタクトレンズを収めておくために用いられる任意のコンタクトレンズ包装体を含むものとする。
【0014】
以下の明細書においては、少なくとも部分的に含水したレンズを移送するための本システム及び方法についての完全な理解を提供するよう、説明の目的上、多数の具体的な詳細が記載される。本明細書での「一実施形態」又は「ある実施形態」への言及は、その実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造又は特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書において語句「一実施形態において」が様々な箇所に見られるが、必ずしも全てが同じ実施形態を指しているとは限らない。
【0015】
先述のとおり、コンタクトレンズを吸着体又は他の従来型の移送機器によって直接移送すると、数多くの付着上の困難がもたらされる。特に、少なくとも部分的に含水したレンズがレンズ水和槽又は別の場所から一次パッケージに移送されるとき、レンズが吸着機器上で反転したり、滑ったり、滑り落ちたり、又はその他の方法で動いたりすることが多く、従って移送方法の再現可能性が低減する。同様に、少なくとも部分的に含水したレンズを従来型の移送機器から完全且つ確実に取り外すことも難しく、これは、少なくとも部分的に含水したレンズは表面張力によって移送機器に付着したままであることが多いためである。加えて、移送機器とレンズそれ自体との間の接触によりコンタクトレンズを破損する可能性がある。
【0016】
本例示的システム及び方法は中間レンズ移送部材を組み込み、これにより少なくとも部分的に含水したレンズを一次パッケージに移送する間、レンズ移送機器とレンズそれ自体との間の接触がなくなる。結果的に、表面張力に付随する問題、汚染及びレンズ移送機器によるレンズの破損の可能性がなくなる。加えて、本明細書に開示される様々な例示的実施形態に従えば、例示的中間レンズ移送部材は、少なくとも部分的に含水したレンズと共に一次パッケージ内に配置され得る。
【0017】
図1を参照すると、コンタクトレンズの例示的製造及び滅菌プロセスが示されている。図1に示されるとおり、コンタクトレンズの製造及び滅菌は、所望のレンズを作製する成形型(103)を含み得る。一例示的実施形態に従えば、成形型(103)は、何ら限定はされないが、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、又はポリスチレン(102)を含む、成形型加工プロセス(101)を通じて必要に応じて付形され得るいかなる好適な熱可塑性ポリマーで作製されてもよい。
【0018】
次にモノマー混合物(104)が成形型(103)に注入され、親水性コンタクトレンズが形成され得る。あらゆる公知の製造方法を使用して所望のレンズが形成され得るが、一例示的実施形態に従えば、スピンキャスト法を使用してモノマーが成形型内で所望のレンズ形状に形成される。次にモノマー混合物を熱的に、又は光化学的に重合させると、それにより乾燥状態のレンズ(105)が形成される。使用される材料としては、何ら限定はされないが、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、又はグリセロールモノメタクリレートとHEMAとの、若しくはメタクリル酸とHEMAとのコポリマーを挙げることができる。レンズはまた、ハンドリングティント剤(handling tint)、例えば、アントラキノン(anthroquinone)染料又は銅フタロシアニン色素なども含み得る。重合の後、コンタクトレンズは水和及び他の処理工程、例えば品質検査に供され得る。
【0019】
一例示的実施形態に従えば、レンズは形成後、水和されて包装される。一例示的実施形態に従えば、レンズはまず初めに水和槽又は水和溶液(106)内に入れられ、典型的にはここで脆性のレンズが含水することにより、柔軟性が付与され、材料内部の応力が低減される。レンズは含水すると、その初期包装体(110)に移送される。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるとき、「初期包装体」又は「一次包装体」は、コンタクトレンズが入れられ、且つ患者又は最終使用者のもとに送り届けられる包装体を指し、その後患者又は最終使用者が初期包装体を開封してレンズを手に取り、装用する。従って初期包装体は、装用者によって使用される間、洗浄又は保管のためにレンズが入れられ得るいかなる後続の保管容器とも区別される。
【0020】
図1に示されるとおり、包装体(110)はまた、所定量の水和溶液(106)も含むことがあり、これはレンズの含水性を維持するために用いられ、また、装用者によって初期包装体が開封されたとき、レンズが眼に装着されるまでの間レンズを湿潤させておくためにも用いられる。任意のかかる水和溶液に加え、レンズは典型的には、包装用溶液とも称される所定量の生理食塩水(108)中に包装され、それによりレンズが最初に使用されるまで含水状態に維持される。生理食塩水(108)はまた、リン酸塩、ホウ酸塩又は重炭酸塩などの好適な緩衝剤を含有してもよく、また、ポロキサマー(poloaxamer)407又はラウロアンホアセテートなどのごく少量の界面活性剤も含有することで、レンズが包装体に貼り付くのを防止し得る。
【0021】
上記のとおり、レンズ及び包装用生理食塩水は典型的には、ボートと称される容器に入れられる。次にボートはフォイル(107)などの基材で密封される。一例示的実施形態に従えば、フォイル(107)としては、ボートと共にシールを形成して一次包装体内の水分が失われないように構成されるラミネートアルミフォイルが挙げられる。
【0022】
本例示的方法に従えば、以上で包装が済んだレンズは次に、オートクレーブ(111)での処理などによって滅菌されることになる。滅菌されると、包装済みレンズが二次パッケージ(113)と称されるカートン(112)又は他の容器の中に組み入れられ得る。二次パッケージ(113)は所定数の同一のレンズ、又は例えば右眼用及び左眼用といった関連するレンズを収納する。二次包装体(113)に入れられると、レンズは、例えば消費者又は装用者に直接、発送(114)する準備が整う。
【0023】
図1に示されるプロセス全体は、オートクレーブ処理(111)を除き、流れラインプロセスとして実現できる。明らかに、自動化された装置と併せて運用されるとき、流れラインプロセスは最も効率的である。
【0024】
図2は、少なくとも部分的に含水したレンズを水和槽などのある場所から一次パッケージに移送するために使用され得る例示的な自動化された装置を示す。いかなる自動化された移送装置及び構成、或いはそのどちらか一方を用いて少なくとも部分的に含水したレンズを移送してもよいが、本例示的システム及び方法は、説明を簡単にするために過ぎないが、標準的な吸着体又は吸着体アレイにより実施されるものとして説明される。図2に示される例示的実施形態に従えば、自動移送機器は、何ら限定はされないが、回転シャフト(254)の下端に取り付けられる支持体(252)を含む。シャフト(254)の上端は回転手段(図示せず)と連結され、これが支持体を水平面で90度にわたり回転させる。支持体(252)から下方には、一定間隔で並んだフィンガ(258)が伸張し、フィンガ(258)の先端(260)は中空であるため、そこを通じて真空が引かれ得る。この真空を用いて搬送中に少なくとも部分的に含水したレンズ及び搬送部材を確実に保持する。フィンガ(258)は、真空を引き得る導管を形成するよう中空であり、真空圧をフィンガ先端(260)に供給する目的で支持体(252)のところでチューブ(262)と連結される。
【0025】
一例示的実施形態に従えば、回転シャフト(254)は回転手段を介して取付け台(251)と連結される。次に取付け台が二軸駆動手段に取り付けられる。トラック(253)が水平軸方向部品を含み、それに従って取付け台が並進する。動作中、このアセンブリはレンズ水和槽の上方に位置決めされる。センサ素子によって、並んだレンズが少なくとも部分的に含水したことが判断されると、マニホルド(252)及びフィンガ(258)を二軸駆動手段によって降下させることにより、少なくとも部分的に含水したレンズが回収され、並進する。
【0026】
一例示的実施形態に従えば、以下にさらに詳細に記載されるとおり、少なくとも部分的に含水したレンズはレンズとフィンガ先端(260)との間の中間レンズ移送部材(300;図3A)によって位置決めされる。フィンガ(258)は中間レンズ移送部材に接触するまで降下する。中間レンズ移送部材に接触すると真空がフィンガ先端(260)に引かれ、それによりレンズ及び中間レンズ移送部材の確実な把持が維持され得る。次にマニホルド(252)及びフィンガ(258)が上昇し、回転し、並進することで所望の一次パッケージの上方の位置にくる。次にレンズ及び中間レンズ移送部材は、さらに処理して消費者に発送するため、一次パッケージの中に入れられ、密封される。
【0027】
本例示的システム及び方法に従えば、中間レンズ移送部材の使用によって移送フィンガ(258)とレンズとの間の接触がなくなり、従って従来式の方法に存在する上述の問題がなくなる。具体的には、図3Aに示される一例示的実施形態に従えば、表面張力などの少なくとも部分的に含水したレンズの付着特性は、レンズ水和槽(320)から一次パッケージ(330)への搬送中、レンズ(310)を中間移送部材(300)に拘束するのに役立つ点で有益である。示されるとおり、中空のルーメン(260)を含むフィンガ(258)の先端が中間移送部材(300)に接触してその中間移送部材、及び結果的にレンズ(310)を拘束し、従ってそれらの一次パッケージ(330)への移送が容易となる。所望の一次パッケージ(330)の上方に適切に配置されると、中空のルーメン(260)によって生じる真空が解放され、中間移送部材(300)を落下させるか、又はその他の方法で取り外される。
【0028】
一例示的実施形態に従えば、本例示的システム及び方法により先行技術の数多くの不都合がなくなる。具体的には、一例示的実施形態に従えば、本システム及び方法はフィンガ(258)がレンズに直接接触することが一切ないため、レンズの挟圧が回避される。加えて、中間移送部材の形状の長所によってレンズの折れが防止される。一例示的実施形態に従えば、中間移送部材は凸面形状のディスクである。さらに、レンズの位置決めは、中間移送部材(300)を位置決めすることによって制御される。結果的に、レンズ(310)及び中間移送部材(300)は表面張力及び含水レンズに付随する他の問題に関係なく位置決めできる。この例示的方法により、現状において従来式レンズ移送システム及び方法に存在するようなレンズに破損を引き起こす可能性のある、又はレンズを好ましくない位置に動かしたり、若しくはレンズを失ったりする可能性のある状況のほとんどがなくなる。
【0029】
図3Aは、一例示的実施形態に従う凸面状ヘッドを有する例示的移送フィンガ(258)を示す。図3Aには移送フィンガ(258)の例示的なヘッド形状が示されるが、中間移送部材(300)を連結するよう構成されたいかなるヘッド形状が用いられてもよい。加えて、単に説明を簡単にするために本明細書には真空連結システムが記載されるが、中間移送部材を例示的移送フィンガ(258)と連結及び連結解除するために、何ら限定はされないが、機械的なアタッチメントシステム、イジェクタピン、嵌め合い機構などを含む、いかなる連結手段が用いられてもよい。
【0030】
図3Bは、一例示的実施形態に従う例示的中間移送部材(300)を示す。先述のとおり、例示的中間移送部材(300)は、何ら限定はされないが、ポリプロピレンディスク、ポリビニルアルコール(PVA)発泡体などの発泡体、及びフォイルなどを含め、いかなる形状及び構造をとってもよい。図3Bは凸面状ポリプロピレンディスクの形態の例示的中間移送部材(300)を示し、これはまたスプリングディスク構造としても使用され得る。図3Bに図示されるとおり、例示的中間移送部材は、開口部、突起部、及びローブ部など、いかなる特徴を含んでもよい。先述のとおり、例示的中間移送部材(300)は結果としてもたらされる一次パッケージに対し、何ら限定はされないが、形状の回復、位置の維持、水和、及び溶液の貯蔵などを含むさらなる機能性を提供し得る。
【0031】
あらゆる形状をとったり、又は種々の材料を含んでなったりすることに加え、例示的中間移送部材(300)はまた、中間移送部材(300)と少なくとも部分的に含水したレンズとの同時移送を促進するためのいかなる特徴を含んでもよく、又はいかなる処理を受けてもよい。一例示的実施形態に従えば、中間移送部材(300)は、例示的移送フィンガ(258;図3A)の移送部材との連結を促進し得る、突起部、凹部又は任意の他の特徴を含み得る。加えて、一例示的実施形態に従えば、中間移送部材(300)の表面は表面処理を受けることにより移送部材の表面エネルギーを増加させ得る。一例示的実施形態に従えば、中間移送部材(300)の表面エネルギーが増加すると、その表面への少なくとも部分的に含水したレンズの機能的付着性が促進又は強化され得る。中間移送部材(300)に対しては、何ら限定はされないが、コロナ放電、火炎処理、プラズマ処理、又は任意の他の類似した公知の表面処理を含む、いかなる表面処理が実施されてもよい。
【0032】
さらに、図3Bは例示的中間移送部材(300)を、凸面形状を有するディスクとして示すが、本例示的システム及び方法は、何ら限定はされないが、ポリプロピレンディスク、ポリビニルアルコール(PVA)発泡体を含む発泡体、及びフォイルなどを含む、いかなる中間移送部材を組み込んでもよい。加えて中間移送部材は、何ら限定はされないが、平坦なディスク、湾曲したディスク、ローブ状部材、球形、半球形、ニップル付き部材、又は平坦な表面及び円弧状表面、或いはそのどちらか一方を有するあらゆる対称的な、若しくは不規則な形状を含む、いかなる形状及びサイズ、或いはそのどちらか一方をとってもよい。ポリプロピレンディスク及び発泡体基材、或いはそのどちらか一方のさらなる詳細は、米国特許第7,086,526号、米国特許出願第10/781,321号;米国特許出願第60/832,324号;及び米国特許出願第11/404,200号に見ることができ、これらの参考文献は全体として参照により本明細書に援用される。
【0033】
上述されるとおり、本例示的中間移送部材(300)は、一例示的実施形態に従えば、最終的には一次パッケージ(330)に入れられたうえ、一次パッケージの中にコンタクトレンズ(310)と共に密封されるか、又は代替的には、中間移送部材の表面を用いて一次パッケージの内側部分で一次パッケージと連結される。図4A〜4Dは、様々な例示的実施形態に従い少なくとも部分的に含水したレンズ(310)と中間移送部材(300)とを収容する例示的一次パッケージ(330)を示す。
【0034】
図4Aは、レンズ(310)及び中間移送部材(300)が基材部材(400)の裏面に置かれるところを示し、基材部材(400)はフォイル(410)によって反対側が剥離可能に封着されている。示されるとおり、中間移送部材(300)を基材(400)によって画定される開口部の中に入れると、レンズ(310)はおそらく圧迫されることになる。示される例示的実施形態に従えば、中間移送部材(300)を入れることは、レンズ(310)が比較的浅い開口部の中に押し込まれるので、レンズ(310)の挟圧又は他の破損を防止するうえで重要である。結果的に、本例示的システム及び方法は本アセンブリについて理想的なものである。図4Aに示される基材一次パッケージのさらなる詳細は、「使い捨てコンタクトレンズ用基材使用二重包装(Duo Packaging for Disposable Soft Contact Lenses Using a Substrate)」と題される米国特許出願第60/832,324号に提供され、この参考文献は全体として参照により本明細書に援用される。例示的レンズ(310)及び中間移送部材(300)が基材部材(400)によって画定される開口部の中に入れられると、次に別のフォイル又は他のバリア層が基材の背面部に永久的に封着され、従って例示的レンズ(310)及び移送部材(300)が画定された開口部の中に密封され得る。続いて、レンズ装用者が裏面のフォイル(410)を剥離することによってコンタクトレンズ(310)を手に取ることが実現される。
【0035】
ここで図4Bを見てみると、中間移送部材(300)及びコンタクトレンズ(310)が双方とも、フォイル基材(410)で作製されたサシェ型の一次パッケージに入れられ得る。図4Bに示されるとおり、レンズ(310)及び中間移送部材(300)が双方ともフォイル(410)上に配置されてもよく、次に別のフォイル(図示せず)がレンズ及び移送部材に被せて置かれてもよく、ここでレンズ及び移送部材は密封され、滅菌に向けて準備される。或いは、1枚のフォイル(410)が折り返されて二重にされ、縁端に沿って密封されることによりサシェ型の一次パッケージが作成されてもよい。図4Bに示される例示的一次パッケージ及び密封方法のさらなる詳細は、米国特許第7,086,526号、米国特許出願第10/781,321号及び米国特許出願第11/404,200号に見ることができ、これらの参考文献は、全体として参照により本明細書に援用される。
【0036】
さらに、図4Cに示されるとおり、本例示的システム及び方法を使用して中間移送部材(300)及びコンタクトレンズ(310)を、レンズを圧迫しない一次パッケージに入れてもよい。さらに言えば、図4Cの例示的実施形態に示されるとおり、中間移送部材(300)は、先行技術において公知のとおりの、溶液(420)を含み、且つフォイル開封システムを備えるボート(430)の上面又は底面を形成し得る。具体的には、図示されるとおり、従来式ボートが底表面を取り外され、従って突出した壁(435)が残った状態で形成され得る。図示されるとおり、次に中間移送部材(300)及びコンタクトレンズが突出した壁(435)の内部に入れられ、それにより中間移送部材が突出した壁(435)と連結され得る。この例示的実施形態においては、次に中間移送部材(300)が突出した壁(435)と固定的に連結され、ボートの底表面を形成し得る。反転させると、次に溶液(420)によってレンズ(310)が含水する。或いは、レンズ(310)が中間移送部材(300)と共に移送され、その中間移送部材(300)がポリマー又はフォイル基材などのボートの上面密封部材を形成してもよい。
【0037】
加えて、図4Dに示されるとおり、中間移送部材(300)及びレンズ(310)は従来式ボート(450)に配置されてもよく、続いて従来式密封部材(図示せず)が配置されてもよい。具体的には、図4Cに示される実施形態と対照的に、図4Dに示される移送部材(300)はボート(450)の底面又は上面を形成しない。さらに言えば、中間移送部材(300)及びレンズ(310)は所望の向きでボート(450)内に挿入でき、続いてフォイル基材などのバリア層が置かれる。次に基材がボート(450)に封着されてもよく、移送部材及びレンズ(310)が密閉状態に密封される。
【0038】
結論として、本例示的製造システム及び方法は、レンズ移送機器とレンズそれ自体との間の接触をなくす中間レンズ移送部材を組み込む。結果的に、表面張力に付随する問題、汚染及びレンズ移送機器によるレンズの破損の可能性がなくなる。
【0039】
先述の説明は単に例示するために提示されたに過ぎず、例示的システム及び方法の実施形態を説明するものである。これは、包括的なものであったり、又は本システム及び方法を開示された任意の正確な形態に限定するものであったりすることは意図されない。上記の教示をふまえて、多くの修正及び変更が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクトレンズ(310)を一次パッケージ(330)に移送する方法であって、前記レンズ(310)を中間移送部材(300)と共に前記一次パッケージ(330)に移送するステップを含む、方法。
【請求項2】
前記レンズ(310)を移送する前記ステップ中に前記中間移送部材(300)が自動移送装置(258)と連結される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記中間移送部材(300)が前記コンタクトレンズ(310)と共に前記一次パッケージ(330)に密封される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記中間移送部材(300)がフォイルを含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記中間移送部材(300)がディスクを含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記中間移送部材(300)が発泡体を含んでなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記中間移送部材(300)が円弧状表面を含んでなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記コンタクトレンズ(310)を中間移送部材(300)と共に移送するステップが、
前記コンタクトレンズ(310)を前記中間移送部材(300)と連結するステップと、
前記中間移送部材(300)を自動移送装置(258)と連結するステップと、
前記自動移送装置(258)を前記一次パッケージ(330)まで並進させるステップと、
前記コンタクトレンズ(310)及び前記中間移送部材(300)を前記一次パッケージ(330)の中に分配するステップと、
を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記コンタクトレンズ(310)が表面張力によって前記中間移送部材(300)と連結される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記中間移送部材(300)が、真空又は機械的な絞め代の一方によって前記自動移送装置(258)と連結される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記中間移送部材(300)が一次パッケージ(330)の底面を含んでなる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記中間移送部材(300)が一次パッケージ(330)の上面を含んでなる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記コンタクトレンズ(310)を中間移送部材(300)と共に前記一次パッケージ(330)に移送する前記ステップが、
開口部を画定する基材部材(400)を提供するステップであって、前記基材部材(400)が表側表面と、前記表側表面に剥離可能に封着される第1のバリア部材(410)とを含む、ステップと、
前記コンタクトレンズ(310)及び前記中間移送部材(300)を前記基材部材(400)の背面から前記開口部に配置するステップと、
第2のバリア部材を前記基材部材(400)の前記背面と連結するステップであって、それにより前記コンタクトレンズ(310)及び前記中間移送部材(300)を前記開口部に密閉状態に密封する、ステップと、
を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
第2のバリア部材を前記基材部材(400)の前記背面と連結する前記ステップが、前記コンタクトレンズ(310)及び前記中間移送部材(300)を前記開口部に押し込む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記中間移送部材(300)の表面を処理して前記中間移送部材(300)の表面エネルギーを増加させるステップをさらに含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記中間移送部材(300)の表面を処理する前記ステップが、コロナ放電処理、火炎処理、又はプラズマ処理のうち1つによって処理するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
コンタクトレンズ(310)を一次パッケージ(330)に移送するためのシステムであって、
少なくとも部分的に含水したコンタクトレンズ(310)と、
前記コンタクトレンズ(310)に関連する移送部材(300)と、
自動移送装置(258)と、
を含み、前記自動移送装置(258)が、前記コンタクトレンズ(310)及び前記移送部材(300)を選択的に連結するよう構成される、システム。
【請求項18】
前記自動移送装置(258)が移送フィンガ(258)を備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記移送部材(300)がフォイルを含んでなる、請求項17又は18に記載のシステム。
【請求項20】
前記移送部材(300)がディスクを含んでなる、請求項17〜19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記移送部材(300)が発泡体部材を含んでなる、請求項17〜20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記移送フィンガ(258)が、
本体と、
前記本体を挿通する真空ルーメン(260)と、
を備える、請求項17〜21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記自動移送装置(258)が、前記コンタクトレンズ(310)及び前記移送部材(300)を機械的な締まり嵌めによって選択的に連結するよう構成される、請求項17〜22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記自動移送装置(258)が、前記コンタクトレンズ(310)及び前記移送部材(300)を、表面張力を介して選択的に連結するよう構成される、請求項17〜22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項25】
前記自動移送装置(258)が、前記コンタクトレンズ(310)及び前記移送部材(300)を、真空を介して選択的に連結するよう構成される、請求項17〜22のいずれか一項に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【公表番号】特表2010−507814(P2010−507814A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518661(P2009−518661)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【国際出願番号】PCT/JP2007/001175
【国際公開番号】WO2008/053587
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(000138082)株式会社メニコン (150)
【Fターム(参考)】