説明

自動取引管理システムおよび自動取引管理方法

【課題】顧客の利便性を損なうことなく、消費電力の面で適正な台数の自動取引装置を稼動させること。
【解決手段】カメラが、自動取引装置での取引を待つ利用者を含んだ画像を撮像し、待ち行列検出部が、撮像された画像を解析することによって利用者の待ち行列を検出し、稼動状態切替部が、検出された待ち行列の状態に基づいて自動取引装置の稼動状態を切り替えるように稼動状態切替装置を構成する。また、稼動状態切替部が、検出された待ち行列の待ち人数または待ち時間に基づいて自動取引装置の稼動状態を切り替えるように稼動状態切替装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、貨幣を入出金する自動取引装置の消費電力を制御する自動取引管理システムおよび自動取引管理方法に関し、特に、顧客の利便性を損なうことなく、消費電力の面で適正な台数の自動取引装置を稼動させることができる自動取引管理システムおよび自動取引管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題についての関心の高まりから、製造業では工場等の消費電力に規制がかかってきている。また、製造業以外の業種においても、将来的に、このような規制が設けられる可能性は高く、オフィスの照明などをこまめに消灯したり、低消費電力の事務機器に交換したりといった自主的な努力も行われている。
【0003】
このような背景から一般的にATM(Automated Teller Machine)と呼ばれる自動出納機(以下、「自動取引装置」と記載する)が多数設置されている銀行などの金融機関では、顧客が少ない場合には、稼動中の自動取引装置の台数を減らすなどの取り組みが行われている。
【0004】
たとえば、特許文献1には、店内に複数の自動取引装置が設置されている金融機関の入口および出口にセンサを設けて店内に存在する顧客の人数を算出し、算出した人数に基づいて自動取引装置の稼動台数を決定する技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平8−83312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術は、自動取引装置の稼動台数を、店内に存在する顧客の人数に基づいて決定するため、適切な台数の自動取引装置を稼動させることができないという問題がある。その理由は、店内の顧客は、必ずしも自動取引装置で取引を行うとは限らず、カウンタにおける入出金待ちや、相談待ちをする場合も多いためである。
【0007】
したがって、店舗の入口および出口にセンサを設けて店内に存在する顧客の人数を算出しても、算出された人数は、自動取引装置の取引待ちをする待ち人数よりも大きい値となる。このため、必要数以上の自動取引装置を稼動させてしまう結果となる。
【0008】
また、休止させる自動取引装置の電源をOFFしてしまえば、自動取引装置の消費電力を最大限に抑制することができる一方で、いったん電源OFFした自動取引装置を電源ONして取引可能な状態にするには、数分程度(たとえば、5分程度)の時間が必要となる。したがって、自動取引装置をむやみに電源OFFすると、待ち人数の急激な増加に対応できず、顧客に不便を強いることとなってしまう。
【0009】
これらのことから、自動取引装置の運用状態を管理することで、顧客の利便性を損なうことなく、消費電力の面で適正な台数の自動取引装置を稼動させることができる自動取引管理システムあるいは自動取引管理方法をいかにして実現するかが大きな課題となっている。
【0010】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、顧客の利便性を損なうことなく、消費電力の面で適正な台数の自動取引装置を稼動させることができる自動取引管理システムおよび自動取引管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するため本発明は、貨幣を入出金する自動取引装置の消費電力を制御する自動取引管理システムであって、前記自動取引装置での取引を待つ利用者を含んだ画像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段によって撮像された前記画像を解析することによって前記利用者の待ち行列を検出する待ち行列検出手段と、前記待ち行列検出手段によって検出された前記待ち行列の状態に基づいて前記自動取引装置の稼動状態を切り替える切替手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記の発明において、前記自動取引装置は、正常に取引を行うことができる電源ON状態および取引を行うことができない電源OFF状態間を遷移するものであって、前記切替手段は、前記待ち行列検出手段によって検出された前記待ち行列の状態に基づいて前記自動取引装置の稼動状態を前記電源ON状態または前記電源OFF状態のいずれかに切り替えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記の発明において、前記自動取引装置は、前記電源ON状態への復旧が容易な省電力状態であるスリープ状態へさらに遷移するものであって、前記切替手段は、前記待ち行列検出手段によって検出された前記待ち行列の状態に基づいて前記自動取引装置の稼動状態を前記電源ON状態から前記スリープ状態へ切り替え、前記スリープ状態が所定時間継続した場合に、前記スリープ状態から前記電源OFF状態へ切り替えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記の発明において、前記切替手段は、前記待ち行列検出手段によって検出された前記待ち行列の待ち人数に基づいて前記自動取引装置の稼動状態を切り替えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記の発明において、前記切替手段は、前記待ち行列検出手段によって検出された前記待ち行列の待ち時間に基づいて前記自動取引装置の稼動状態を切り替えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記の発明において、前記切替手段は、前記待ち行列検出手段によって検出された前記待ち行列の状態の変化率に基づいて前記自動取引装置の稼動状態を切り替えることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記の発明において、前記待ち行列検出手段によって検出された前記待ち行列の状態を営業日ごとに蓄積する蓄積手段と、前記蓄積手段によって蓄積された営業日ごとの前記待ち行列の状態の中から所定の日に使用する前記待ち行列の状態を抽出する抽出手段とをさらに備え、前記切替手段は、前記抽出手段によって抽出された前記待ち行列の状態に基づいて前記所定の日の前記自動取引装置の稼動状態を切り替えることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、貨幣を入出金する自動取引装置の消費電力を制御する自動取引管理方法であって、前記自動取引装置での取引を待つ利用者を含んだ画像を撮像する撮像工程と、前記撮像手段によって撮像された前記画像を解析することによって前記利用者の待ち行列を検出する待ち行列検出工程と、前記待ち行列検出工程によって検出された前記待ち行列の状態に基づいて前記自動取引装置の稼動状態を切り替える切替工程とを含んだことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、自動取引装置での取引を待つ利用者を含んだ画像を撮像し、撮像された画像を解析することによって利用者の待ち行列を検出し、検出された待ち行列の状態に基づいて自動取引装置の稼動状態を切り替えることとしたので、自動取引装置での取引を待つ利用者の待ち行列の状態に基づいて自動取引装置の稼動状態を切り替えることで、利用者の利便性を損なうことなく、消費電力の面で適正な台数の自動取引装置を稼動させることができるという効果を奏する。
【0020】
また、本発明によれば、自動取引装置は、正常に取引を行うことができる電源ON状態および取引を行うことができない電源OFF状態間を遷移し、検出された待ち行列の状態に基づいて自動取引装置の稼動状態を電源ON状態または電源OFF状態のいずれかに切り替えることとしたので、待ち行列の状態からみて稼動が不要な自動取引装置を電源OFFすることで、消費電力の面で適正な台数の自動取引装置を稼動させることができるという効果を奏する。
【0021】
また、本発明によれば、自動取引装置は、電源ON状態への復旧が容易な省電力状態であるスリープ状態へさらに遷移し、検出された待ち行列の状態に基づいて自動取引装置の稼動状態を電源ON状態からスリープ状態へ切り替え、スリープ状態が所定時間継続した場合に、スリープ状態から電源OFF状態へ切り替えることとしたので、急激に待ち行列をなす利用者が増加した場合であっても、スリープ状態から電源ON状態へ遷移させることで利用者を過度に待たせることを防止することができるという効果を奏する。
【0022】
また、本発明によれば、検出された待ち行列の待ち人数に基づいて自動取引装置の稼動状態を切り替えることとしたので、待ち人数からみて適切な台数の自動取引装置を稼動させることができるという効果を奏する。したがって、すべての自動取引装置全体としての消費電力を低減することができるという効果を奏する。
【0023】
また、本発明によれば、検出された待ち行列の待ち時間に基づいて自動取引装置の稼動状態を切り替えることとしたので、待ち時間からみて適切な台数の自動取引装置を稼動させることができるという効果を奏する。したがって、すべての自動取引装置全体としての消費電力を低減することができるという効果を奏する。
【0024】
また、本発明によれば、検出された待ち行列の状態の変化率に基づいて自動取引装置の稼動状態を切り替えることとしたので、急激な待ち行列の変動があった場合であっても、適切な台数の自動取引装置を稼動させることができるという効果を奏する。したがって、すべての自動取引装置全体としての消費電力を低減することができるという効果を奏する。
【0025】
また、本発明によれば、検出された待ち行列の状態を営業日ごとに蓄積し、蓄積された営業日ごとの待ち行列の状態の中から所定の日に使用する待ち行列の状態を抽出し、抽出された待ち行列の状態に基づいて所定の日の自動取引装置の稼動状態を切り替えることとしたので、過去の稼動実績に基づいて所定の営業日における自動取引装置の稼動台数を決定することで、5がつく日、10がつく日、曜日、月初や月末といった営業日の種別に応じて適切な台数の自動取引装置を稼動させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る自動取引管理システムおよび自動取引管理方法の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下では、自動取引装置での取引を待つ行列を上方から撮像するカメラを用いて待ち行列の状態を取得する場合について説明する。
【0027】
また、以下では、本発明に係る自動取引管理手法の概要について図1を用いて説明した後に、本発明に係る自動取引管理手法を適用した自動取引管理システムについての実施例を図2〜図11を用いて説明することとする。
【0028】
まず、本発明に係る自動取引管理手法の概要について図1を用いて説明する。図1は、本発明に係る自動取引管理手法の概要を示す図である。なお、同図では、銀行等の金融機関に設けられたATM(Automated Teller Machine)コーナーにおいて待ち行列検出を行う場合について示している。
【0029】
同図に示すように、ATMコーナーには、複数台の自動取引装置100が設置されている。本発明に係る自動取引管理手法では、ATMコーナー前の待ち行列を撮像し、撮像画像を解析することによって得られた待ち行列の状態に基づいて自動取引装置100の稼動状態を制御する点に主たる特徴がある。
【0030】
具体的には、ATMコーナーの天井などに設けられたカメラで待ち行列を撮像し(同図の(1)参照)、撮像画像を画像解析することで、待ち人数または待ち時間を取得する(同図の(2)参照)。そして、取得された待ち人数または待ち時間に基づいて自動取引装置100の稼動状態を決定する(同図の(3)参照)。
【0031】
このように、本発明に係る自動取引管理手法では、ATMコーナーにおける待ち行列の状態に基づいて自動取引装置100の稼動状態を決定することとしたので、店内に存在する顧客の人数に基づいて自動取引装置100の稼動状態を決定する従来手法と比べて正確な待ち人数あるいは待ち時間を取得することが可能となる。
【0032】
したがって、自動取引装置100での取引待ちを行う顧客の人数あるいは待ち時間に応じた適切な台数の自動取引装置100を稼動させることができる。これにより、ATMコーナーにおけるすべての自動取引装置100全体としての消費電力を低減することができる。
【0033】
なお、本発明に係る自動取引管理手法は、撮像した待ち行列の状態をログ情報として蓄積し、所定の営業日における自動取引装置100の稼動台数を示す稼動スケジュールの生成処理に、上記したログ情報を利用するが、この点については、図7などを用いて後述することとする。
【0034】
また、本発明に係る自動取引管理手法が消費電力の制御対象とする自動取引装置100は、取引可能な通常状態を示す電源ON状態、電源ON状態への復旧が容易な省電力状態であるスリープ状態、取引を行うことができない電源OFF状態の各状態間を遷移するものとするが、この点についても、図5を用いて後述することとする。
【0035】
以下では、図1を用いて説明した自動取引管理手法を適用した自動取引管理システムの実施例を説明する。
【実施例】
【0036】
図2は、本実施例に係る自動取引管理システムの構成を示すブロック図である。なお、同図では、カメラ200および自動取引装置100に接続された稼動状態切替装置10が、自動取引管理を行う場合について示したが、稼動状態切替装置10を複数台の装置から構成することとしてもよい。
【0037】
たとえば、カメラ200を含んだ待ち行列検出装置あるいは待ち行列検出システムが、カメラ200による撮像画像の解析を行って待ち行列の待ち人数などを検出し、検出した待ち人数などの待ち行列に係る情報を、稼動状態切替装置10へ通知することとしてもよい。この場合、稼動状態切替装置10は、受け取った待ち行列に係る情報に基づいて自動取引装置100の稼動状態を決定することになる。
【0038】
図2に示したように、稼動状態切替装置10は、待ち行列を撮像するCCD(Charge Coupled Devices)カメラなどのカメラ200と、複数台の自動取引装置100とに接続されている。また、稼動状態切替装置10は、制御部11と、記憶部12とを備えており、制御部11は、待ち行列検出部11aと、待ち人数取得部11bと、稼動状態切替部11cと、稼動状態取得部11dとをさらに備えている。そして、記憶部12は、閾値情報12aと、稼動情報12bとを記憶する。
【0039】
制御部11は、カメラ200による撮像画像を受け取り、受け取った撮像画像から待ち行列の状態を取得するとともに、取得した待ち行列の状態および自動取引装置100の現在の稼動状態に基づいて各自動取引装置100の稼動状態を切り替える処理を行う処理部である。
【0040】
待ち行列検出部11aは、カメラ200によって撮像された撮像画像を画像解析することで待ち行列を構成する利用者を検出する処理を行う処理部である。また、待ち人数取得部11bは、待ち行列検出部11aによって検出された利用者の人数を待ち人数として取得する処理を行う処理部である。
【0041】
ここで、待ち行列検出部11aおよび待ち人数取得部11bが行う処理の概要について図3を用いて説明しておく。図3は、待ち行列検出処理および待ち人数取得処理の概要を示す図である。
【0042】
なお、同図に示す「ピクセル特徴」とは、所定の条件を満たす輝度変化の推移がみられる画素のことを指す。このようにピクセル特徴を用いるのは、静止人物であっても微妙に体が動くことによって生じる輝度変化の推移を人物検出に反映するためである。
【0043】
また、同図に示す「エッジ特徴」とは、検出されたエッジから、所定時間静止しているエッジおよび同一方向に一定画素以上連続したエッジを除いた画素を指す。このようにエッジ特徴を用いるのは、背景画像におけるエッジを除去するためである。なお、エッジとは、画像における輝度変化が急な部分を指し、たとえば、ラプラシアンフィルタを用いることで検出することができる。
【0044】
また、同図の31に示したのは、カメラ200によって撮像された撮像画像である。そして、同図の32に示したのは、同図の31に示した撮像画像に対して再定義可能な「定義枠」(同図の1a、1b、1c、1dおよび1e参照)および人物候補として抽出された「人物候補ブロック」(同図のA、BおよびC)を含んだ解析画像である。
【0045】
ここで、再定義可能な「定義枠」は、人物計数の対象となる領域内に、一人の人物と対応する大きさ(足元位置から頭位置までを含んだ人物サイズ)としてあらかじめ設定され、たとえば、ポールおよびロープで区切られた通路の床面を60cm〜70cm間隔で区切るように設けられる。
【0046】
また、定義枠の形状は、人物計数の対象となる領域を撮像する撮像視点(カメラ位置)からの距離によって異なるものとなり、さらに、撮像視点から離れた位置の定義枠同士は重なりあうことになる。これは、撮像視点から離れるに従って人物が重なりあうように撮像されるためである。
【0047】
一方、「人物候補ブロック」は、たとえば、8画素×8画素の大きさをもつブロックの集合としてあらわされ、人物候補ブロックを構成するすべてのブロックは、エッジ特徴があり、かつ、ピクセル特徴があるとされたブロックである。
【0048】
具体的には、ピクセル特徴があると検知された画素が、ブロック内に1つでもあれば、このブロックは、ピクセル特徴があるブロックとされる。また、エッジ特徴があると検知された画素が、ブロック内に所定数(たとえば、3個)以上であれば、このブロックは、エッジ特徴があるブロックとされる。
【0049】
ところで、同図の31には、4人の人物が含まれているが、同図の32では、重なりあって撮像された人物(同図の31における右側の2人)は、一つの塊として検出される(同図のC参照)。待ち人数取得部11bは、このように重なりあって撮像された人物を、定義枠間で重複カウントしないように処理する。
【0050】
具体的には、各人物候補ブロックについて、撮像視点に近い定義枠から順に人物有無を判定する。同図に示した場合では、定義枠1a、定義枠1b、定義枠1c、定義枠1d、定義枠1eの順序で各定義枠内における人物の有無が判定される。ここで、各定義枠における人物有無判定においては、直前の定義枠における人物有無に基づき、注目する定義枠内の人物有無判定領域を決定する。
【0051】
たとえば、同図の定義枠1dが人物あり枠と判定され、つづいて定義枠1eにおける人物有無を判定する場合には、定義枠1eから定義枠1dとの重複部分を差し引いた領域を人物有無判定領域とすることで、定義枠1dにおいて既にカウントされた人物が、定義枠1eにおいても重複してカウントされることを防止する。
【0052】
なお、直前定義枠に人物なしと判定された場合には、今度は、直後定義枠との重複部分を注目定義枠から差し引いた領域を人物有無判定領域とする。このように、直後定義枠との重複領域を差し引くのは、直後定義枠に存在する人物が注目定義枠でも重複してカウントされることを防止するためである。
【0053】
このようにして、待ち人数取得部11bは、待ち行列における待ち人数を取得する。なお、図3では、重複した定義枠を用いる場合について示したが、重複しない定義枠を用いて待ち行列の待ち人数を取得することとしてもよい。
【0054】
図2の説明に戻り、稼動状態切替部11cについて説明する。稼動状態切替部11cは、待ち人数取得部11bから受け取った待ち人数、記憶部12の閾値情報12aおよび稼動情報12bに基づいて自動取引装置100の稼動状態を切り替える処理を行う処理部である。
【0055】
ここで、閾値情報12aの例、稼動状態遷移および稼動情報12bの例について図4および図5を用いて説明しておく。図4は、閾値情報12aの一例を示す図である。同図に示すように、閾値情報12aは、待ち人数の範囲を示す「待ち人数」項目と、各待ち人数範囲に対応する自動取引装置100の理想的な稼動台数を示す「稼動台数」項目とを含んだ情報である。
【0056】
たとえば、同図に示した場合では、待ち人数が0人〜5人の範囲では、稼動台数は2台と定義されており、待ち人数が6人〜10人の範囲では、稼動台数は3台と定義されている。なお、本実施例では、待ち人数の範囲ごとに稼動台数を対応付ける場合について示したが、所定の待ち人数を超えるごとに増加させるべき稼動台数を定義することとしてもよい。また、所定の待ち人数を下回るごとに減少させるべき稼動台数を定義することとしてもよい。
【0057】
たとえば、初期台数を2台としておき、待ち人数が5人となったならば稼動台数を1台追加し、待ち人数が10人となったならば稼動台数をさらに2台追加する、というように閾値情報12aを定義することとしてもよい。また、初期台数を2台としておき、待ち人数が3人を下回ったならば稼動台数を1台減少させるように閾値情報12aを定義することとしてもよい。
【0058】
図5は、稼動状態遷移および稼動情報12bを示す図である。なお、同図の(A)には、自動取引装置100の稼動状態遷移図を、同図の(B)には、稼動情報12bの一例を、それぞれ示している。
【0059】
図5の(A)に示したように、自動取引装置100は、取引可能な通常状態を示す電源ON状態、電源ON状態への復旧が容易な省電力状態であるスリープ状態、取引を行うことができない電源OFF状態へ、それぞれ遷移することができる。
【0060】
たとえば、自動取引装置100は、電源ON状態から電源OFF状態へ遷移することも可能であるが(同図の(A−1)参照)、稼動状態切替部11cは、電源ON状態からスリープ状態へ遷移させ(同図の(A−3)参照)、スリープ状態が所定時間継続した場合に、スリープ状態から電源OFF状態へ遷移させる(同図の(A−4)参照)。
【0061】
このように、電源ON状態からスリープ状態を経て電源OFF状態へ遷移させることで、急激に待ち人数が増加した場合などにスリープ状態の自動取引装置100をただちに電源ON状態へ遷移させることが可能となる。これにより、急激な待ち人数の増加があった場合であっても、顧客の待ち時間を減少させることができる。
【0062】
なお、稼動状態切替部11cは、自動取引装置100を電源OFF状態から電源ON状態へ遷移させるものとするが(同図の(A−2)参照)、電源OFF状態からスリープ状態を経由させて電源ON状態へ遷移させることとしてもよい。
【0063】
図5の(B)に示した稼動情報12bは、各自動取引装置100が、図5の(A)に示した稼動状態のうちどの稼動状態にあるかを示す情報である。同図に示したように、稼動情報12bは、自動取引装置100を識別する識別子を示す「装置番号」項目と、電源ON状態へ遷移させる場合の優先順位を示す「優先順位」項目と、図5の(A)に示した各稼動状態を示す「稼動状態」項目とを含んだ情報である。
【0064】
たとえば、優先順位が「1」である自動取引装置100の装置番号は「2」であり、現在の稼動状態は「電源ON」である。また、優先順位が「2」である自動取引装置100の装置番号は「3」であり、現在の稼動状態は「スリープ」である。そして、優先順位が「6」および「「7」である自動取引装置100の現在の稼動状態は「電源OFF」である。
【0065】
この状態で、同図に示した装置番号「1」または「4」の自動取引装置100のいずれか1台を電源ON状態にして稼動台数を増やす場合、装置番号「1」の自動取引装置100のほうが高い優先順位を有しているので、稼動状態切替部11cは、装置番号「1」の自動取引装置100が電源ON状態となるように制御する。
【0066】
図2の説明に戻り、稼動状態切替部11cについての説明をつづける。稼動状態切替部11cは、待ち人数取得部11bから受け取った待ち人数が、閾値情報12aにおける待ち人数範囲のいずれに含まれるかを判定することで、待ち人数に最適な稼動台数を示す「必要稼動台数」を決定する。そして、稼動状態切替部11cは、決定した必要稼動台数と、稼動情報12bから取得した現在の稼動台数を示す現稼動台数とを対比し、稼動状態の切替処理を実行する。
【0067】
たとえば、必要稼動台数が4台であり、現稼動台数が2台である場合には、電源OFF状態の自動取引装置100のうち2台について、電源OFF状態から電源ON状態となるように稼動状態を切り替える。また、必要稼動台数が2台であり、現稼動台数が4台である場合には、電源ON状態の自動取引装置のうち2台について、電源ON状態から電源OFF状態となるように稼動状態を切り替える。
【0068】
なお、稼動状態切替部11cは、自動取引装置100をスリープ状態へ遷移させて所定時間が経過した場合には、この自動取引装置100をスリープ状態から電源OFF状態へ遷移させるものとするが、各自動取引装置100自体が、スリープ状態から電源OFF状態へ自動的に遷移することとしてもよい。
【0069】
稼動状態取得部11dは、各自動取引装置100から現在の稼動状態を取得し、取得した稼動状態で稼動情報12bを更新する処理を行う処理部である。なお、本実施例では、稼動状態取得部11dが、自動取引装置100から稼動状態を取得する場合について示したが、自動取引装置100から稼動状態を取得しないこととしてもよい。
【0070】
この場合、稼動状態切替部11cは、各自動取引装置100の稼動状態を変更する指示を行うたびに、遷移先となる稼動状態で稼動情報12bを更新し、待ち人数が変動して稼動状態を切り替えることが必要となった場合には、先に更新した稼動情報12bに基づいてあらたな稼動台数を決定することになる。
【0071】
記憶部12は、不揮発性メモリやハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部であり、閾値情報12aおよび稼動情報12bを記憶する。なお、閾値情報12aについては図4を用いて、稼動情報12bについては図5を用いて、それぞれ説明したので、ここでの説明を省略する。
【0072】
次に、自動取引管理システムが実行する処理手順について図6を用いて説明する。図6は、自動取引管理システムが実行する処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、カメラ200が待ち行列を撮像したならば(ステップS101)、待ち人数取得部11bは、待ち人数を検出する(ステップS102)。
【0073】
また、稼動状態切替部11cは、閾値情報12aと、ステップS102で検出された待ち人数とを対比することで必要稼動台数を取得する(ステップS103)。そして、ステップS103で取得した必要稼動台数が、稼動情報12bから取得した現稼動台数よりも大きいか否かを判定する(ステップS104)。
【0074】
そして、必要稼動台数が現稼動台数よりも大きい場合には(ステップS104,Yes)、稼動台数を増加させ(ステップS105)、ステップS101以降の処理を繰り返す。なお、ステップS105で増加させる稼動台数は、必要稼動台数から現稼動台数を差し引いた台数とするが、稼動台数を1台だけ増加させることとしてもよい。
【0075】
一方、ステップS104の判定条件を満たさなかった場合には(ステップS104,No)、必要稼動台数と現稼動台数とが等しいか否かを判定する(ステップS106)。そして、必要稼動台数と現稼動台数とが等しい場合には(ステップS106,Yes)、稼動台数を維持したうえで(ステップS107)、ステップS101以降の処理を繰り返す。
【0076】
一方、ステップS106の判定条件を満たさなかった場合、すなわち、必要稼動台数が現稼動台数よりも小さい場合には(ステップS106,No)、所定時間経過後に稼動台数を減少させる制御を行い(ステップS108)、ステップS101以降の処理を繰り返す。なお、ステップS108で減少させる稼動台数は、現稼動台数から必要稼動台数を差し引いた台数とするが、稼動台数を1台だけ減少させることとしてもよい。
【0077】
ところで、これまでは、待ち人数から算出される必要稼動台数および現稼動台数に基づいて自動取引装置100の稼動状態を制御する場合について説明してきたが、取得した待ち人数をログ情報として営業日ごとに蓄積しておき、蓄積したログ情報に基づいて所定の営業日における稼動状態を決定することとしてもよい。そこで、以下では、スケジュール生成機能を備えた稼動状態切替装置10aについて、図7〜図9を用いて説明することとする。
【0078】
図7は、自動取引管理システムの変形例その1の構成を示すブロック図である。なお、同図に示した稼動状態切替装置10aでは、図2に示した稼動状態切替装置10と同一の構成要素には同一の符号を付しており、以下では、符号が同一の構成要素についての説明は省略するか簡単な説明にとどめることとする。
【0079】
図7に示したように、変形例その1に係る稼動状態切替装置10aは、制御部11が、蓄積部11eと、選択部11fと、スケジュール生成部11gとをさらに備え、記憶部12が、待ち行列ログ情報12cと、スケジュール情報12dとをさらに記憶する点で、図2に示した稼動状態切替装置10とは異なる。
【0080】
蓄積部11eは、待ち人数取得部11bから待ち人数などの待ち行列の状態を示す情報を受け取り、受け取った情報を日付、時刻といった時刻情報と関連付けて待ち行列ログ情報12cとして蓄積する処理を行う処理部である。なお、本実施例では、蓄積部11eは、各営業日の開店時間から所定時間(たとえば、1時間)についての最大待ち人数をそれぞれ蓄積する場合について説明することとする。
【0081】
選択部11fは、待ち行列ログ情報12cの中から所定の営業日に対応するログ情報を選択する処理を行う処理部である。たとえば、選択部11fは、待ち行列ログ情報12cの中から、末尾に5がつく営業日、10がつく営業日、曜日、月初の営業日、月末の営業日などの条件を満たすログ情報を選択する。
【0082】
なお、選択部11fは、図示しない入力部経由の指示に基づいて上記した選択処理を行うこととしてもよいし、スケジュール生成に係る営業日に基づいて自動的に上記した選択処理を行うこととしてもよい。
【0083】
スケジュール生成部11gは、選択部11fによって待ち行列ログ情報12cの中から選択されたログ情報に基づき、開店時間における稼動台数の予定(スケジュール)を示すスケジュール情報12dを生成する処理を行う処理部である。
【0084】
たとえば、5がつく日のスケジュールを生成する場合、選択部11f経由で、待ち行列ログ情報12cの中から5がつく日のログ情報を受け取ったならば、受け取ったログ情報における最大待ち人数の平均値を算出する。そして、算出した平均値を図4に示した閾値情報12aと対比することで、該当する営業日における初期稼動台数を取得する。
【0085】
なお、スケジュール情報12dを、たとえば、1ヶ月分の稼動台数の予定(スケジュール)を示す情報としてカレンダ情報と関連付けることで、各営業日の予定稼動台数を色分けするなどして区別することとしてもよい。
【0086】
たとえば、通常の稼動台数が3台である場合に、予定稼動台数が通常稼動台数でよい場合には黒、予定稼動台数を通常稼動台数よりも増やしたほうがよい場合には赤、というように色分けする。このようにすることで、スケジュール情報12dを図示しない表示装置に表示したり、印字装置で印字したりした場合に、予定稼動台数の増減をわかりやすい形で利用者(たとえば、銀行の従業員)へ提示することが可能となる。
【0087】
稼動状態切替部11cは、営業開始時においては、当日のスケジュール情報12dを参照することで、初期稼動台数を決定し、初期稼動台数分の自動取引装置100を自動で立ち上げる。そして、以降は、図2に示した場合と同様に、最新の待ち人数に応じて稼動台数を調整する。
【0088】
次に、蓄積部11eが行う待ち行列ログ蓄積処理の処理手順について図8を用いて説明する。図8は、待ち行列ログ蓄積処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、同図に示す「MAX」は、最大の待ち人数を示す数値であり、記憶部12などに一時的に記憶される。また、図8に示したフローチャートは、営業開始と同時に開始されるものとする。
【0089】
同図に示すように、カメラ200が待ち行列を撮像したならば(ステップS201)、待ち人数取得部11bは、待ち人数を検出する(ステップS202)。そして、蓄積部11eは、待ち人数取得部11bから受け取った待ち人数がMAXよりも大きいか否かを判定する(ステップS203)。
【0090】
そして、待ち人数がMAXよりも大きい場合には(ステップS203,Yes)、待ち人数でMAXを更新する(ステップS204)。なお、ステップS203の判定条件を満たさなかった場合には(ステップS203,No)、ステップS201以降の処理を繰り返す。
【0091】
ステップS204につづいて、蓄積部11eは、現在時刻が完了時刻(たとえば、営業開始時刻の1時間後)であるか否かを判定し(ステップS205)、完了時刻である場合には(ステップS205,Yes)、MAXを日付と関連付け(ステップS206)、処理を終了する。なお、ステップS205の判定条件を満たさなかった場合には(ステップS205,No)、ステップS201以降の処理を繰り返す。
【0092】
なお、ステップS201に示した撮像処理は、随時行うこととしてもよいし、所定間隔ごと(たとえば、5分ごと)に行うこととしてもよい。また、図8では、営業開始時刻から完了時刻までの最大待ち人数を日付と関連付けて蓄積する場合について示したが、撮像画像から得られた待ち人数を、撮像画像の取得時刻と関連付けて随時蓄積することとしてもよい。
【0093】
図9は、スケジュール生成部11gが行うスケジュール生成処理の処理手順を示すフローチャートである。図示しない入力部によって曜日または日付が入力されたならば(ステップS301)、選択部11fは、入力された抽出条件に合致するログ情報を待ち行列ログ情報12cから抽出する(ステップS302)。
【0094】
つづいて、スケジュール生成部11gは、抽出されたログ情報の待ち人数の平均をとることで平均待ち人数を算出する(ステップS303)。そして、算出した平均待ち人数に対応する稼動台数を決定し(ステップS304)、該当する営業日についてのスケジュール情報12dを生成する(ステップS305)。
【0095】
つづいて、スケジュールを生成すべき全日程分の処理が完了したか否かを判定し(ステップS306)、全日程分完了した場合には(ステップS306,Yes)、処理を終了する。一方、ステップS306の判定条件を満たさなかった場合には(ステップS306,No)、ステップS301以降の処理を繰り返す。
【0096】
なお、図7〜図9では、営業開始時刻から所定時間後までの待ち人数をログ情報として蓄積し、将来もしくは当日の営業開始時刻における初期稼動台数を決定する場合について説明したが、たとえば、1時間ごとの待ち人数をログ情報として蓄積することとしてもよい。このようにすることで、各営業日における1時間ごとの稼動計画を立てることができる。
【0097】
ところで、これまでは、待ち行列における待ち人数に基づいて自動取引装置100の稼動状態を制御する場合について説明してきたが、待ち行列における待ち時間を算出し、算出した待ち時間に基づいて自動取引装置100の稼動状態を制御することとしてもよい。そこで、以下では、待ち時間に基づいて自動取引装置100の稼動状態を制御する場合について説明することとする。
【0098】
図10は、自動取引管理システムの変形例その2の構成を示すブロック図である。なお、同図に示した稼動状態切替装置10bでは、図2に示した稼動状態切替装置10と同一の構成要素には同一の符号を付しており、以下では、符号が同一の構成要素についての説明は省略するか簡単な説明にとどめることとする。
【0099】
図10に示したように、変形例その2に係る稼動状態切替装置10bは、制御部11が、待ち時間算出部11hを備える点で図2に示した稼動状態切替装置10とは異なる。待ち時間算出部11hは、待ち人数取得部11bから受け取った待ち人数および稼動情報12bから受け取った現稼動台数に基づいて待ち行列における待ち時間を算出する処理を行う処理部である。
【0100】
たとえば、待ち時間算出部11hは、待ち人数を「W」、自動取引装置100の平均使用時間を「T」、自動取引装置100の稼動台数を「n」とした場合に、待ち時間「Tw」を、「Tw=W×T/nモデル」で算出する。なお、待ち行列理論において一般的に用いられているいわゆる「M/M/nモデル」を用いて待ち時間「Tw」を算出することとしてもよい。
【0101】
ここで、閾値情報12aは、図4に示した「待ち人数」項目を、「待ち時間」項目へ置き換えたものを使用するものとする。たとえば、待ち時間が、0分〜5分の範囲では、稼動台数は2台とし、待ち人数が6分〜10分の範囲では、稼動台数を3台とすることができる。なお、本実施例では、待ち時間の範囲ごとに稼動台数を対応付ける場合について示したが、所定の待ち時間を超えるごとに増加させるべき稼動台数を定義することとしてもよい。また、所定の待ち時間を下回るごとに減少させるべき稼動台数を定義することとしてもよい。
【0102】
図11は、変形例その2に係る自動取引管理システムが実行する処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、カメラ200が待ち行列を撮像したならば(ステップS401)、待ち人数取得部11bは、待ち人数を検出する(ステップS402)。
【0103】
また、待ち時間算出部11hは、ステップ402で検出された待ち人数と、稼動情報12bに基づいて求めた平均使用時間および稼動台数とを用いて待ち時間を算出する(ステップS403)。そして、稼動状態切替部11cは、閾値情報12aと、ステップS403で算出された待ち時間とを対比することで必要稼動台数を取得し(ステップS404)、ステップS404で取得した必要稼動台数が、稼動情報12bから取得した現稼動台数よりも大きいか否かを判定する(ステップS405)。
【0104】
そして、必要稼動台数が現稼動台数よりも大きい場合には(ステップS405,Yes)、稼動台数を増加させ(ステップS406)、ステップS401以降の処理を繰り返す。なお、ステップS406で増加させる稼動台数は、必要稼動台数から現稼動台数を差し引いた台数とするが、稼動台数を1台だけ増加させることとしてもよい。
【0105】
一方、ステップS405の判定条件を満たさなかった場合には(ステップS405,No)、必要稼動台数と現稼動台数とが等しいか否かを判定する(ステップS407)。そして、必要稼動台数と現稼動台数とが等しい場合には(ステップS407,Yes)、稼動台数を維持したうえで(ステップS408)、ステップS401以降の処理を繰り返す。
【0106】
一方、ステップS407の判定条件を満たさなかった場合、すなわち、必要稼動台数が現稼動台数よりも小さい場合には(ステップS407,No)、所定時間経過後に稼動台数を減少させる制御を行い(ステップS409)、ステップS401以降の処理を繰り返す。なお、ステップS409で減少させる稼動台数は、現稼動台数から必要稼動台数を差し引いた台数とするが、稼動台数を1台だけ減少させることとしてもよい。
【0107】
上述してきたように、本実施例では、カメラが、自動取引装置での取引を待つ利用者を含んだ画像を撮像し、待ち行列検出部が、撮像された画像を解析することによって利用者の待ち行列を検出し、稼動状態切替部が、検出された待ち行列の状態に基づいて自動取引装置の稼動状態を切り替えるように稼動状態切替装置を構成することとしたので、自動取引装置での取引を待つ利用者の待ち行列の状態に基づいて自動取引装置の稼動状態を切り替えることで、利用者の利便性を損なうことなく、消費電力の面で適正な台数の自動取引装置を稼動させることができる。
【0108】
なお、上述した実施例では、待ち行列における待ち人数または待ち時間に基づいて自動取引装置の稼動状態を切り替える場合について説明したが、待ち人数の変化率や、待ち時間の変化率に基づいて自動取引装置の稼動状態を切り替えることとしてもよい。たとえば、待ち人数の単位時間あたりの増加率が所定の閾値を超えた場合に稼動台数を増加させ、待ち人数の単位時間あたりの減少率が所定の閾値を下回った場合に稼動台数を減少させることができる。
【0109】
また、上述した実施例では、待ち人数等に基づいて算出された必要稼動台数を、現在稼動している自動取引装置の台数をあらわす現稼動台数と対比し、自動取引装置の稼動状態を切り替える場合について説明した。しかしながら、これに限らず、必要稼動台数を、現稼動台数と待ち人数との和と対比し、自動取引装置の稼動状態を切り替えることとしてもよい。
【0110】
たとえば、総台数が20台であり、必要稼動台数が17台である場合に、現稼動台数が15台で待ち人数が3人であれば、「必要稼動台数<現稼動台数+待ち人数」となるので、自動取引装置の稼動状態切替を行わないこととすることができる。このようにすることで、現稼動台数が十分に多い状態にもかかわらず、あらたに自動取引装置を稼動させてしまう事態を回避することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
以上のように、本発明に係る自動取引管理システムおよび自動取引管理方法によれば、利用者の利便性を損なうことなく、消費電力の面で適正な台数の自動取引装置を稼動させたい場合に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明に係る自動取引管理手法の概要を示す図である。
【図2】本実施例に係る自動取引管理システムの構成を示すブロック図である。
【図3】待ち行列検出処理および待ち人数取得処理の概要を示す図である。
【図4】閾値情報の一例を示す図である。
【図5】稼動状態遷移および稼動情報を示す図である。
【図6】自動取引管理システムが実行する処理手順を示すフローチャートである。
【図7】自動取引管理システムの変形例その1の構成を示すブロック図である。
【図8】待ち行列ログ蓄積処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】スケジュール生成処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】自動取引管理システムの変形例その2の構成を示すブロック図である。
【図11】変形例その2に係る自動取引管理システムが実行する処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0113】
10 稼動状態切替装置
11 制御部
11a 待ち行列検出部
11b 待ち人数取得部
11c 稼動状態切替部
11d 稼動状態取得部
11e 蓄積部
11f 選択部
11g スケジュール生成部
11h 待ち時間算出部
12 記憶部
12a 閾値情報
12b 稼動情報
12c 待ち行列ログ情報
12d スケジュール情報
100 自動取引装置
200 自動取引装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨幣を入出金する自動取引装置の消費電力を制御する自動取引管理システムであって、
前記自動取引装置での取引を待つ利用者を含んだ画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された前記画像を解析することによって前記利用者の待ち行列を検出する待ち行列検出手段と、
前記待ち行列検出手段によって検出された前記待ち行列の状態に基づいて前記自動取引装置の稼動状態を切り替える切替手段と
を備えたことを特徴とする自動取引管理システム。
【請求項2】
前記自動取引装置は、
正常に取引を行うことができる電源ON状態および取引を行うことができない電源OFF状態間を遷移するものであって、
前記切替手段は、
前記待ち行列検出手段によって検出された前記待ち行列の状態に基づいて前記自動取引装置の稼動状態を前記電源ON状態または前記電源OFF状態のいずれかに切り替えることを特徴とする請求項1に記載の自動取引管理システム。
【請求項3】
前記自動取引装置は、
前記電源ON状態への復旧が容易な省電力状態であるスリープ状態へさらに遷移するものであって、
前記切替手段は、
前記待ち行列検出手段によって検出された前記待ち行列の状態に基づいて前記自動取引装置の稼動状態を前記電源ON状態から前記スリープ状態へ切り替え、前記スリープ状態が所定時間継続した場合に、前記スリープ状態から前記電源OFF状態へ切り替えることを特徴とする請求項2に記載の自動取引管理システム。
【請求項4】
前記切替手段は、
前記待ち行列検出手段によって検出された前記待ち行列の待ち人数に基づいて前記自動取引装置の稼動状態を切り替えることを特徴とする請求項1、2または3に記載の自動取引管理システム。
【請求項5】
前記切替手段は、
前記待ち行列検出手段によって検出された前記待ち行列の待ち時間に基づいて前記自動取引装置の稼動状態を切り替えることを特徴とする請求項1、2または3に記載の自動取引管理システム。
【請求項6】
前記切替手段は、
前記待ち行列検出手段によって検出された前記待ち行列の状態の変化率に基づいて前記自動取引装置の稼動状態を切り替えることを特徴とする請求項1、2または3に記載の自動取引管理システム。
【請求項7】
前記待ち行列検出手段によって検出された前記待ち行列の状態を営業日ごとに蓄積する蓄積手段と、
前記蓄積手段によって蓄積された営業日ごとの前記待ち行列の状態の中から所定の日に使用する前記待ち行列の状態を抽出する抽出手段と
をさらに備え、
前記切替手段は、
前記抽出手段によって抽出された前記待ち行列の状態に基づいて前記所定の日の前記自動取引装置の稼動状態を切り替えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の自動取引管理システム。
【請求項8】
貨幣を入出金する自動取引装置の消費電力を制御する自動取引管理方法であって、
前記自動取引装置での取引を待つ利用者を含んだ画像を撮像する撮像工程と、
前記撮像手段によって撮像された前記画像を解析することによって前記利用者の待ち行列を検出する待ち行列検出工程と、
前記待ち行列検出工程によって検出された前記待ち行列の状態に基づいて前記自動取引装置の稼動状態を切り替える切替工程と
を含んだことを特徴とする自動取引管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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