説明

自動取引装置への更新ファイル配布装置

【課題】自動取引装置への更新ファイルの配布をより確実に行う。
【解決手段】更新ファイル配布装置は、通信回線を介して、複数の自動取引装置により共通に使用されるファイルを更新するための更新ファイルを複数の自動取引装置に配布する。この更新ファイル配布装置は、各自動取引装置の設置状態に関する個別設置状態情報を含む取引装置情報を取得する。そして、取得された取引装置情報に基づいて、複数の自動取引装置への更新ファイルの配布時期を設定する。更新ファイル配布装置から複数の自動取引装置への更新ファイルの配布は、このように設定された配布時期に従って、通信回線を介して行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動取引装置により使用されるファイルを更新するための更新ファイルを配布する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
銀行等の金融機関に設置される自動取引装置には、自動取引装置の制御を行うための制御プログラムや、取引処理などの自動取引装置で行われる種々の処理条件を設定する設定データが格納される。制御プログラムは、例えば、自動取引装置で提供可能なサービスの追加等の自動取引装置の機能を向上させるために、必要に応じて更新される。また、設定データも、制御プログラムと同様に必要に応じて更新される。これらの自動取引装置で使用されるファイルを更新する場合、更新のためのファイル(更新ファイル)は、遠隔地から自動取引装置のメンテナンスを行うためのリモートメンテナンスシステムから、通信回線(ネットワーク)を介して自動取引装置に配布される。
【0003】
ところで、ファイルの更新は、自動取引装置のセキュリティの強化等のためにより頻繁に行われるようになってきている。また、自動取引装置の機能の高度化に従って、制御プログラムや設定データのファイルサイズも増加している。そこで、リモートメンテナンスシステムから端末装置へのデータ量の増大を抑制するため、更新前のデータの内容と更新後のデータの内容とを比較して差分情報を抽出し、差分情報を含むデータを端末装置に送信することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平11−265309号公報
【特許文献2】特開2004−126960号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このように送信データ量を低減しても、更新ファイルを配布先が多数になると、全体の送信データ量が増大し、リモートメンテナンスシステムと自動取引装置との間の通信回線のトラフィックが増大する可能性がある。このように、通信回線のトラフィックが増大すると、更新ファイルの配布時間の増大や更新ファイルの配布の失敗などにより、更新ファイルの配布を確実に行い得ないおそれがある。
【0006】
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、自動取引装置への更新ファイルの配布をより確実に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的の少なくとも一部を達成するために、本発明の自動取引装置は、複数の自動取引装置により共通に使用されるファイルを更新するための更新ファイルを通信回線を介して前記複数の自動取引装置に配布する更新ファイル配布装置であって、各自動取引装置の設置状態に関する個別設置状態情報を含む取引装置情報を取得する取引装置情報取得部と、前記取引装置情報取得部が取得した前記取引装置情報に基づいて、前記複数の自動取引装置への前記更新ファイルの配布時期を設定する配布時期設定部と、前記配布時期設定部により設定された前記配布時期に従って、前記通信回線を介して前記更新ファイルを前記複数の自動取引装置に配布するファイル配布実行部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、各自動取引装置の設置状態に関する個別設置状態情報を含む取引装置情報に基づいて自動取引装置への更新ファイルの配布時期が設定される。更新ファイルは、設定された配布時期に従って自動取引装置に配布される。そのため、自動取引装置の設置状態に応じて設定されたより適切な時期に更新ファイルを配布することができ、自動取引装置への更新ファイルの配布をより確実に行うことが可能となる。
【0009】
前記取引装置情報は、さらに、各自動取引装置の運用状態に関する個別運用情報を含み、前記配布時期設定部は、前記個別運用情報に基づいて、自動取引装置の営業時間外を優先して前記更新ファイルを配布するように、前記配布時期を設定するものとしても良い。
【0010】
この構成によれば、更新ファイルは、自動取引装置の営業時間外を優先して配布が行われる。自動取引装置への更新ファイルの配布により、自動取引装置における取引処理の遅延をより抑制することが可能となる。
【0011】
前記更新ファイル配布装置による前記更新ファイルの配布は、予め定められた配布指定時間内に行われ、前記配布時期設定部は、前記個別運用情報と前記配布指定時間とに基づいて、自動取引装置への更新ファイルの配布が可能な時間と前記配布指定時間とが重複する時間帯を優先して前記更新ファイルを配布するように、前記配布時期を設定するものとしても良い。
【0012】
自動取引装置の運用状態によっては、自動取引装置への更新ファイルの配布が不可能な時間帯が発生する。この構成によれば、更新ファイルの配布可能な時間と配布指定時間とが重複した時間帯に優先して更新ファイルが配布される。そのため、更新ファイルの配布が失敗する可能性を低減し、限られた配布指定時間内に、より確実に更新ファイルを配布することが可能となる。
【0013】
前記個別設置状態情報は、各自動取引装置の設置場所を表す場所情報を含んでおり、前記配布時期設定部は、前記複数の自動取引装置への前記更新ファイルの配布順が、前記配布順中に前記設置場所が分散して現れるように前記配布時期を設定するものとしても良い。
【0014】
この構成によれば、更新ファイルの配布順中には、設置場所が分散して現れる。そのため、同一の設置場所に設置された自動取引装置に更新ファイルの配布が集中することを抑制することができる。
【0015】
前記更新ファイル配布装置は、さらに、2つ以上の自動取引装置に前記更新ファイルを配布するための中継装置に関する中継装置情報を取得する中継装置情報取得部と、前記取引装置情報取得部により取得された前記取引装置情報を、前記中継装置情報に基づいて変更する取引装置情報変更部と、を備え、前記取引装置情報変更部は、前記中継装置から前記更新ファイルが配布される自動取引装置に関する情報を前記取引装置情報から削除するとともに、前記中継装置を自動取引装置として前記取引装置情報に登録するものとしても良い。
【0016】
この構成によれば、中継装置から2つ以上の自動取引装置に更新ファイルを配布することにより、更新ファイル配布装置と自動取引装置との間のトラフィックを低減することができる。また、中継装置への更新ファイルの配布時期も自動取引装置と同様に設定されるため、更新ファイル配布装置から、中継装置への更新ファイルの配布時期の設定がより容易となる。
【0017】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、更新ファイル配布装置および更新ファイル配布方法、それらの装置および方法、を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の態様で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
B.第2実施例:
C.第3実施例:
D.変形例:
【0019】
A.第1実施例:
図1は、第1実施例における更新ファイル配布システム10(以下、単に「配布システム10」とも呼ぶ)の構成を示す説明図である。この配布システム10では、4つのネットワークシステム20,30,40,50が互いに広域ネットワーク12(以下、単に「ネットワーク」とも呼ぶ)に接続されている。
【0020】
第1ないし第3のネットワークシステム20,30,40は、金融機関の店舗内や出張所等に設けられたネットワークシステムである。これらのネットワークシステム20,30,40には、それぞれ、ルータRTを介してネットワーク12に接続されたLAN22,32,42が設けられている。第1のネットワークシステム20は、LAN22に接続された2台の自動取引装置(ATM:Automatic Teller Machine)100a,100bを有している。第2のネットワークシステム30は、LAN32に接続されたATM100cを有している。同様に、第3のネットワークシステム40は、LAN42に接続されたATM100dを有している。これらの4台のATM100a〜100dは、ネットワーク12に接続された図示しない勘定系ホストコンピュータ(以下、「ホストコンピュータ」とも呼ぶ)との間でデータの授受を行うことにより、入金や出金等の種々の取引処理を利用者の操作に応じて実行する。
【0021】
第4のネットワークシステム50は、ATM100a〜100dの管理を行う管理センタなどに設けられたネットワークシステムである。第4のネットワークシステム50は、更新ファイル(後述する)の配布を行う配布サーバ300を有している。配布サーバ300は、ローカルエリアネットワーク(LAN)52に接続されている。LAN52とネットワーク12との間には、ルータRTが設けられている。
【0022】
なお、配布システム10は、広域ネットワーク12に4つのネットワークシステム20,30,40,50のそれぞれが別個に接続されているが、配布システム10は、他の形態のものとすることも可能である。例えば、配布サーバ300と複数のATMとがリング状に接続することによって配布システムを構成することも可能である。一般に、配布システム10は、配布サーバ300とATMとの間で通信可能であれば、任意の形態とすることができる。
【0023】
図2は、配布システム10の機能的な構成を示すブロック図である。図1に示す4台のATM100a〜100dはいずれも同様な構成である。そのため、図2では、これらのATM100a〜100dを代表する1台のATM100を図示している。図2では、4カ所のLAN22,32,42,52とネットワーク12との間に設けられたルータRT(図1)の図示を省略している。また、これらのLAN22,32,42,52とネットワーク12とで構成されるネットワーク全体をネットワーク12として図示している。
【0024】
ATM100は、通信制御部120と、カード機構部132と、通帳機構部134と、明細票機構部136と、紙幣入出金機構部142と、硬貨入出金機構部144と、操作部152と、音声ガイダンス部154と、これら各部を制御する制御部110と、を備えている。制御部110は、図示しないCPUやメモリ等を備えるコンピュータとして構成されている。
【0025】
制御部110は、制御プログラムと設定データとログデータとを格納する書換可能な記憶装置112を有している。制御プログラムは、ATM100の各部の制御や取引処理等の種々の処理を実現するためのプログラムであり、制御部110のCPUにより実行される。設定データは、制御部110における種々の処理に使用されるデータである。設定データには、例えば、全国銀行協会(全銀協)で規定された銀行名や店舗名等を銀行コードや店番号等に対応付けるための金融機関に関するデータが含まれる。ログデータは、ATM100において実行された取引処理に関する情報である。記憶装置112に格納された制御プログラムは、ATM100で提供可能なサービスの追加などATM100の機能を向上させるために、必要に応じて更新される。設定データも、また、制御プログラムと同様に必要に応じて更新される。これらの制御プログラムや設定データは、少なくとも同一の機種のATMにおいて、共通に使用される。
【0026】
通信制御部120は、制御部110とネットワーク12との間のデータの転送を仲介する。制御部110は、通信制御部120とネットワーク12とを介して、ホストコンピュータとの間で通信を行うことにより、取引処理を実行する。制御部110は、また、通信制御部120とネットワーク12とを介して、配布サーバ300との間で種々のデータの授受を行う。
【0027】
カード機構部132は、利用者が挿入したカードを受け入れ、受け入れたカードの搬送および排出を行う機構である。カード機構部132は、受け入れたカードの磁気ストライプやICチップ(以下、これらを併せて「ICチップ等」とも呼ぶ)から読み込む機能、ICチップ等に情報を書き込む機能、カードのエンボス部分のイメージを読み取る機能等のカードの取り扱いに関する種々の機能を有している。
【0028】
通帳機構部134は、利用者が挿入した通帳を受け入れ、受け入れた通帳の搬送および排出を行う機構である。通帳機構部134は、受け入れた通帳の磁気ストライプから情報を読み込む機能、磁気ストライプに情報を書き込む機能を有している。通帳機構部134は、受け入れた通帳への印字を行う通帳印字部(図示しない)を有している。
【0029】
明細票機構部136は、取引内容を明細票に印字する明細票印字部(図示しない)を有している。明細票印字部により印字された明細票は、明細票機構部136の搬送機構により、ATM100から排出される。
【0030】
紙幣入出金機構部142と硬貨入出金機構部144は、それぞれ、現金の入出金を行う機能、現金の入手金を行うための鑑別および搬送を行う機能、現金を収納する収納機能等の現金の取扱に関する種々の機能を有している。
【0031】
操作部152と音声ガイダンス部154は、ATM100の利用者とATM100との間のユーザインタフェースである。操作部152は、画面表示機能とキー入力検知機能とを有している。操作部152は、画面表示機能により、ATM100の利用者が取引を行う際の取引操作を誘導する誘導画面を表示する。操作部152は、キー入力検知機能により、暗証番号の入力等の指による利用者の入力を受け付ける。なお、操作部152は、タッチパネル等の入力兼表示部(「入力表示部」ともいう)として構成されるのがより好ましい。入力兼表示部では、様々な情報を表示画面に表示するとともに、利用者による表示画面中のボタンの操作を検知する。音声ガイダンス部154は、取引操作を誘導する案内音声を発生する。
【0032】
配布サーバ300は、通信制御部320と、表示部330と、入力操作部340と、記憶部350と、これら各部を制御する制御部310と、を備えている。制御部310は、図示しないCPUやメモリ等を備えるコンピュータとして構成されている。
【0033】
通信制御部320は、制御部310とネットワーク12との間のデータの転送を仲介する。制御部310は、通信制御部320とネットワーク12とを介してATM100との間で通信を行うことにより、ATM100の記憶装置112に格納された制御プログラムや設定データを更新するための更新ファイルをATM100に配布する。なお、具体的な更新ファイルの配布方法については、後述する。
【0034】
表示部330と入力操作部340は、配布サーバ300のオペレータと配布サーバ300との間のユーザインタフェースである。表示部330は、配布サーバ300のディスプレイ装置(図示しない)に画面を表示する。入力操作部340は、キーボードやマウス(図示しない)等の入力装置のオペレータによる操作を検知する。オペレータは、表示部330により表示される画面を見ながら、キーボードやマウス等を操作することにより、配布サーバ300に更新ファイルの配布指示を与える。また、オペレータは、表示部330により表示された配布先のATM100に関する情報や更新ファイルの配付状況を確認する。
【0035】
記憶部350は、更新ファイルの配布に使用される種々のファイルを格納する。図2の例では、ATM情報ファイル352と、配布条件設定ファイル354と、配布タイミング設定ファイル356と、が記憶部350に格納されている。これらのファイル352〜356の内容については、後述する。
【0036】
図3は、配布サーバ300(図2)の制御部310により実行されるファイル配布実行ルーチンを示すフローチャートである。このファイル配布実行ルーチンは、オペレータが配布サーバ300にファイル配布プログラムの実行を指示することにより実行が開始される。なお、ファイル配布プログラムは、例えば、配布サーバ300の記憶部350内に格納される。
【0037】
ステップS110において、制御部310は、更新ファイルの配布先のATMに関する情報(ATM情報)を格納したATM情報ファイル352(図2)を生成する。図4は、ステップS110において生成されるATM情報ファイル352に格納されるATM情報の一例を示している。ATM情報は、ATMが設置されている店舗の店番号と、店舗内でATMを識別するための機番と、ATMの機種と、ATMの電源が投入されている時間(電源オン時間)と、ATMが稼働状態となっている時間(稼働時間)と、ATMにおける取引処理が頻繁に行われる時間(繁忙時間)と、ATMとネットワーク12(図2)との間の通信経路の帯域幅(ネットワーク帯域幅)と、が登録されている。本明細書において、このように、ATMに関する情報を登録することを、「ATMを登録する」ともいう。なお、制御部310は、ATM情報ファイル352の生成にあたって、個々のATMに関する情報を取得する。そのため、制御部310は、ATM情報を取得する「取引装置情報取得部」としての機能を有している。
【0038】
ATM情報のうち、店番号、機番、機種、および、ネットワーク帯域幅は、ATMを登録するために予め配布サーバ300に格納されたATM登録データ(図示しない)に登録されている値が用いられる。なお、ATM登録データは、管理対象のATMのリストを生成するプログラムを実行することにより生成される。このように生成されるATM登録データでは、通常、店番号順にATMが配列される。そのため、図4に示すように、ATM情報には、個々のATMの情報が、店番号順に登録されている。
【0039】
制御部310は、店番号と機番とにより特定されるATM100(図2)に対して、電源オン時間と稼働時間とを問い合わせる。電源オン時間および稼働時間の問い合わせを受けたATM100は、ATM100の電源オン時間と稼働時間とが設定されたタイマ(図示しない)の設定値を読み取り、配布サーバ300に送信する。次に、制御部310は、ATM100に取引処理の実行時間を問い合わせる。取引処理実行時間の問い合わせを受けたATM100は、記憶装置112に格納されたログデータから取引処理の実行時間を抽出し、配布サーバ300に送信する。制御部310は、ATM100から受信した取引処理実行時間を解析することによりATM100の繁忙時間を求める。なお、繁忙時間は、例えば、所定の時間間隔(例えば、30分)に実行された取引処理の件数が予め定められた件数(例えば、6件)を超えている時間とすることができる。制御部310は、ATM100から受信した電源オン時間および稼働時間と、取引処理実行時間から求められた繁忙時間と、を店番号および機番に関連付けてATM情報に登録する。
【0040】
なお、第1実施例では、機種およびネットワーク帯域幅をATM登録データに基づいて生成しているが、これらの機種およびネットワーク帯域幅の少なくとも一方をATM100から取得するものとしても良い。また、電源オン時間と稼働時間との少なくとも一方を、予め配布サーバ300に格納された情報から取得するものとしても良い。制御部310は、ATM100から取得した取引処理実行時間からATM100の繁忙時間を求めているが、繁忙時間は他の方法によって取得することができる。例えば、取引処理実行時間をホストコンピュータ取得し、取得した取引処理実行時間から繁忙時間を求めるものとしても良い。また、ATM100において繁忙時間を求めておき、ATM100で求められた繁忙時間を取得するものとしても良い。
【0041】
図3のステップS120において、制御部310は、更新ファイルを取得する。具体的には、配布サーバ300に設けられたCD−ROM等の媒体読取装置やネットワーク12(図2)に接続されたファイルサーバ等から更新ファイルを取得し、記憶部350に格納する。
【0042】
ステップS130において、制御部310は、更新ファイルの配布条件に関するデータを格納する配布条件設定ファイル354を生成する。図5は、配布条件設定ファイル354に登録された情報の一例を示している。制御部310は、配布サーバ300に予め格納された種々のデータに基づいて、図5(a)に示す配布ファイル情報と、図5(d)に示す所要時間実績情報と、を生成する。図5(b)に示す配布指定時間情報と、図5(c)に示す配布台数設定情報とは、オペレータにより入力された情報に基づいて生成される。
【0043】
図5(a)に示す配布ファイル情報は、配布される更新ファイルの大きさ(ファイルサイズ)に関する情報である。配布ファイル情報には、更新ファイルの配布対象となるATMの機種と、そのATMに対して配布される更新ファイルの大きさが登録されている。
【0044】
図5(b)に示す配布指定時間情報は、更新ファイルの配布を行う時間を指定するための情報である。配布指定時間情報には、配布を行う日(配布日)と、配布日の中で配布を行う時間帯(指定時間)とが登録されている。図5(b)の例では、ファイルの配布は、3回の日程に分けて行われる。なお、配布指定時間は、ATMが設置されている金融機関側のATM運用方針や保守の体制に応じて設定される。例えば、更新に起因するトラブルの発生時にそのトラブルに対処しうるように、オペレータが作業可能な時間が設定される。
【0045】
図5(c)に示す配布台数設定情報には、同時に更新ファイルの配布を行うATMの台数の上限値(同時配布台数)が登録されている。図5(c)の例では、同時配布台数が20第2設定されている。同時配布台数は、配布サーバ300の処理能力や、ネットワーク(図1)の帯域幅や、ネットワーク12と管理センタのLAN52(図1)との間の帯域幅等に応じて適宜設定される。
【0046】
図5(d)に示す所要時間実績情報は、先に行われた更新ファイルの配布の際に、更新ファイルの配布に要した時間が登録されている。所要時間実績情報は、ATMの機種と、配布した更新ファイルのファイルサイズ(実績配布サイズ)と、ATMとネットワーク12(図2)との間のネットワーク帯域幅と、実績所要時間と、の関係が登録されている。実績所要時間は、例えば、先に行われた更新ファイル配布時の、ATMへの配布開始時刻と配布終了時刻とを個々のATMごとに配布ログデータに保存し、保存した配布ログデータに基づいて求めることができる。この場合、機種やネットワーク帯域幅が同一のATMに対する更新ファイルの配布所要時間の平均値や最大値を算出することにより求めることができる。なお、図5(d)に示すように、ネットワーク帯域幅が同一であっても、機種によって更新ファイルの転送速度(実績配布サイズ/実績所要時間)が異なっている。これは、ATMの制御部110(図2)の処理能力によって、更新ファイルの受信速度が異なっているためである。
【0047】
図3のステップS140において、配布サーバ300の制御部310は、個々のATMのそれぞれに対する更新ファイルの配布時期(配布タイミング)を設定する。図6は、図3のステップS140において実行される、配布タイミング設定ルーチンを示すフローチャートである。
【0048】
ステップS210において、制御部310は、ATM情報(図4)に登録された個々のATMごとに、更新ファイルの配布所要時間の予測値(予測所要時間)を算出する。具体的には、制御部310は、ATM情報に登録された機種およびネットワーク帯域幅と、配布ファイル情報(図5(a))に登録された機種ごとのファイルサイズと、所要時間実績情報(図5(d))に登録された情報と、に基づいて予測所要時間を算出する。例えば、店番号111の機番1のATM(以下、機番がNのATMを「N号機」とも呼ぶ)は、機種が「JX−PC」であり、ネットワーク帯域幅が1Mbps(bps:bit per second)である。そのため、制御部310は、図5(a)の配布ファイル情報から、配布されるファイルサイズとして10000kByteを取得する。制御部310は、図5(d)の所要時間実績情報から、実績配布サイズとして10000kByteを、実績所要時間として10分を取得する。制御部310は、このように取得したファイルサイズと実績配布サイズと実績所要時間とから、次の式(1)を用いて予測所要時間を算出する。
【0049】
予測所要時間=実績所要時間×ファイルサイズ/実績配布サイズ …(1)
【0050】
式(1)から、図4のATM情報に登録された店番号111の1号機の予測所要時間は、10分と算出される。同様に、店番号141の1号機の予測所要時間は70分、店番号151の5号機の予測所要時間は10分と算出される。
【0051】
なお、第1実施例では、実績所要時間とファイルサイズと実績配布サイズとの3つの値から予測所要時間を算出しているが、予測所要時間は他の方法によっても算出することができる。例えば、ネットワーク帯域幅と更新ファイルのファイルサイズとから予測所要時間を算出することも可能である。この場合、予測所要時間は、ネットワーク帯域幅とファイルサイズと安全係数(≧1)とを用いて、次の式(2)により算出される。
【0052】
予測所要時間=安全係数×ファイルサイズ/ネットワーク帯域幅 …(2)
【0053】
図6のステップS220において、制御部310は、更新ファイルが配布されるATMの店舗が分散するように図4のATM情報の配列順を並べ替えた、店舗分散ATMテーブルを生成する。図7は、ステップS220において生成される店舗分散ATMテーブルを示している。店舗分散ATMテーブルには、ATM情報に登録された店番号と機番と電源オン時間と繁忙時間、および、ステップS210において算出された予測所要時間と、が登録されている。
【0054】
図7に示すように、店舗分散ATMテーブルでは、更新ファイルが配布される個々のATMは機番順に配列されている。そのため、店舗分散ATMテーブルでは、テーブル上で隣接するATMは、店番号が異なったものとなっており、テーブル中には店番号が分散して現れている。なお、店舗分散ATMは、必ずしも機番順に配列されたものでなくても良い。例えば、ATM情報に登録されたATMをランダムに抽出し、抽出順にATMを店舗分散ATMテーブルに登録するものとしても良い。この場合、店番号が同一のATMが続いて抽出されたときには、再度ランダムにATMを抽出するのがより好ましい。一般に、店舗分散ATMテーブルは、少なくとも1つの店番号について、店番号ごとにATMを配列した場合よりも、連続して配列される同一店番号のATM数が少なくなるようにATMが配列されていればよい。本明細書においては、このようにATMを配列することを「店番号を分散する」ともいう。ただし、店舗分散ATMテーブルにおいては、隣接するATMの店番号が異なったものとされるのがより好ましい。さらに好ましくは、店番号が同一のATMは、店舗分散ATMテーブル上で所定の間隔以上離れるように配列される。このような店舗分散ATMテーブルは、店舗分散ATMテーブル上で同一店番号の2つのATMが所定の間隔より近接している場合に、その一方の位置を変更することにより生成することができる。
【0055】
図6のステップS230において、制御部310は、更新ファイルの配布日程の全ての日程について配布時期の設定が完了したか否かを判断する。第1実施例では、図5(b)に示すように、配布日程は、3日設定されている。そのため、第1日目から第3日目までのそれぞれの日程の配布時間の設定が完了するまで、制御はS240に移される。そして、第3日目の設定が完了したと判断されると、制御はステップS250に移される。
【0056】
ステップS240において、制御部310は、配布日程のうちのここの日程ごとに、更新ファイル配布のタイミングを設定する。図8は、ステップS240において実行される日程別タイミング設定ルーチンを示すフローチャートである。
【0057】
ステップS310において、配布サーバ300(図2)の制御部310は、配布指定時間を取得する。具体的には、制御部310は、図3のステップS130で生成された配布条件設定ファイル354(図2)中の配布指定時間情報(図5(b))を参照し、配布時間を設定する日程の指定時間を取得する。取得した配布指定時間に基づいて、制御部310は、更新ファイルの配布開始時刻を設定するための配布チャンネルテーブルを初期化する。
【0058】
図9は、ステップS310において初期化される配布チャンネルテーブルを示している。配布チャンネルテーブルには、配布チャンネルと、配布開始時刻と、配布終了時刻と、予測所要時間とが登録される。配布チャンネルは、変更ファイルの配布を同時に行うための通信チャンネルを表している。なお、この配布チャンネルは、配布タイミングの設定に用いる便宜的な通信チャンネルであって、変更ファイルの実際の配布に使用される通信チャンネルとは関係なく設定される。本実施例では、図5(c)に示すように、同時配布台数が20台に設定されているので、20個の配布チャンネル(#1〜#20)が設けられる。
【0059】
配布時間を設定する日程が第1日目の場合、配布指定時間情報(図5(b))は、18時〜22時となっている。そのため、配布チャンネルテーブルは、図9(a)に示すように、配布開始時刻と配布終了時刻との両方に、配布指定時間の最初の時刻「18:00」が登録される。
【0060】
ステップS320において、制御部310は、配布開始時刻を取得する。具体的には、図9に示す配布チャンネルテーブルの配布終了時刻のうち最も早い配布終了時刻が抽出される。図9(a)に示す初期化後では、配布終了時刻はいずれも同じ時刻「18:00」となっている。そのため、最初の配布開始時刻は、「18:00」となる。20台の対象ATMの配布タイミングに、最初の配布開始時刻(18:00)を設定した場合、対象ATMの予測所要時間に応じて、配布終了時刻が変更される。図9(b)は、初期化の後、20個の配布チャンネルのそれぞれに対して対象ATMが割り当てられた状態の一例を示している。図9(b)に示すように、20個の配布チャンネルのうち、チャンネル#1,#3,#20の配布終了時刻は「18:10」に変更され、チャンネル#2の配布終了時刻は「19:10」に変更される。そのため、次の配布開始時刻は、チャンネル#1,#3,#20の配布終了時刻(18:10)となる。そして、図9(b)に示すように、チャンネル#1,#3,#20の配布開始時刻は「18:10」に変更される。また、チャンネル#1,#3の配布終了時刻は「18:20」に変更され、チャンネル#20の配布終了時刻は「19:20」に変更される。
【0061】
ステップS330において、制御部310は、最初の対象ATMに関する情報(対象ATM情報)を取得する。ここで、「対象ATM」とは、配布タイミングの設定対象となる配布タイミングが未設定のATMのことをいう。また、最初の対象ATMとは、店舗分散ATMテーブル(図7)に登録された対象ATMのうち、もっとも先頭(図7の上方)に近い対象ATMのことをいう。具体的には、制御部310は、配布タイミングが設定されていないATMを店舗分散ATMテーブルの先頭から探索する。なお、特定のATMについて配布タイミングが設定されているか否かは、店番号と機番とで特定されるATMについて配布タイミングが設定されたことを表す設定済フラグを付加し、その設定済フラグの状態を調べることにより判断することができる。このような設定済フラグは、例えば、ATM情報(図4)や店舗分散ATMテーブルに付加することも可能であり、ATM情報や店舗分散ATMテーブルとは別個にテーブルを作成することも可能である。
【0062】
図8のステップS340において、制御部310は、全ての対象ATMについて、ステップS330で取得した配布開始時刻からの更新ファイルの配布の可否を判定したか否かを判断する。判定済みと判断された場合には、制御は図6の配布タイミング設定ルーチンに戻される。一方、判定がすんでいないと判断された場合には、制御はステップS350に移される。
【0063】
ステップS350において、制御部310は、対象ATMの電源オン時間内に、更新ファイルは配布可能か否かを判断する。具体的には、制御部310は、ステップS330で取得した配布開始時刻と、店舗分散ATMテーブル(図7)の予測所要時間とから、更新ファイルの配布が終了すると予測される時刻(予測終了時刻)を算出する。そして、配布開始時刻から予測終了時刻までの時間が、店舗分散ATMテーブルの電源オン時間内に入っているか否かを判断する。配布開始時刻から予測終了時刻までの時間が電源オン時間内に入っている場合には、更新ファイルの配布が可能であると判断され、制御はステップS360に移される。一方、配布開始時刻から予測終了時刻までの時間が電源オン時間内に入っていない場合には、更新ファイルの配布が不可能であると判断され、制御はステップS370に移される。
【0064】
ステップS360において、制御部310は、対象ATMの繁忙時間外に更新ファイルは配布可能か否かを判断する。具体的には、制御部310は、配布開始時刻から予測終了時刻までの時間が、店舗分散ATMテーブルの繁忙時間のいずれかに入っているか否かを否かを判断する。配布開始時刻から予測終了時刻までの時間が繁忙時間のいずれにも入っていない場合には、更新ファイルの配布が可能であると判断され、制御はステップS370に移される。一方、配布開始時刻から予測終了時刻までの時間が繁忙時間のいずれかに入っている場合には、更新ファイルの配布が不可能であると判断され、制御はステップS380に移される。
【0065】
ステップS370において、制御部310は、対象ATMを配布タイミング設定ファイル356(図2)に登録する。対象ATMの登録の後、制御はステップS320に戻される。これにより、配布タイミングが設定されていないATMのうち、配布指定時間内に更新ファイルが配布可能なATMに対しては、それぞれ配布タイミングが設定され、配布タイミングの設定結果が配布タイミング設定ファイル356に格納される。
【0066】
ステップS380において、制御部310は、更新ファイルの配布の可否を判定した対象ATMの次の対象ATMの情報を取得する。そして、次の対象ATMの情報の取得の後、制御はステップS340に戻される。そして、配布指定時間内に更新ファイルが配布可能で、かつ、配布タイミングが設定されていないATMがなくなるまで、ステップS320〜S370が繰り返し実行される。
【0067】
図10は、図8に示す日程別タイミング設定ルーチンを実行することにより、対象ATMに配布タイミングが設定される様子を示す説明図である。図10(a)は、図9(a)に示す初期化後の配布チャンネルテーブルのうちの、配布チャンネルと配布終了時刻との内容を示している。図10(b)は、図7に示す店舗分散ATMテーブルのうち、先頭部分に登録されたATM情報を示している。図10(c)は、配布タイミング設定ファイル356(図2)に格納される配布タイミングテーブルを示している。配布タイミングテーブルには、更新ファイルの配布日、更新ファイルの配布開始時刻と配布終了時刻、配布先となるATMの店番号と機番、および、予想所要時間が登録されている。
【0068】
図10の例は、変更ファイルの配布先のATMのいずれにも配布タイミングが設定されていない状態を示している。ATMのいずれにも配布タイミングが設定されていないため、配布日程は第1日目となる。そこで、初期化後の配布チャンネルテーブルの配布終了時刻は、図5(b)に示す配布指定時間情報の第1日目の指定時間の最初の時刻(18:00)となる。そのため、制御部310は、図8のステップS320において、配布チャンネル#1の配布終了時刻として「18:00」を取得する。
【0069】
次に、制御部310は、図8のステップS330において、最初の対象ATM情報を取得する。図10(b)の例では、店番号111の1号機の情報が取得される。そして、ステップS350において、配布開始時刻(18:00)から予測終了時刻(18:10)までの時間が、ハッチングで示す電源オン時間(7:00〜16:00)から外れていると判断される。そのため、制御はステップS380に移され、次の対象ATM情報、すなわち店番号121の1号機の情報が取得される。店番号121の1号機についても、配布開始時刻(18:00)から予測終了時刻(18:10)までの時間が、電源オン時間(7:00〜16:00)からはずれているため、さらに、ステップS380において、店番号131の1号機の情報が取得される。
【0070】
店番号131の1号機は、電源オン時間が7時から22時までとなっている。そのため、図8のステップS350において、電源オン時間内に更新ファイルが配布可能であると判断される。また、配布開始時刻(18:00)から予測終了時刻(18:10)までの時間は、繁忙時間(12:00〜13:00)に入っていない。そのため、ステップS370において、店番号131の1号機は、図10(c)の配布タイミングテーブルに登録される。配布タイミングテーブルには、変更ファイルの配布日(7/10)と、配布開始時刻(18:00)と、予測終了時刻(18:10)と、店番号(131)と、機番(1)と、予想所要時間(10分)と、が登録される。このとき、図10(b)および図10(c)のテーブルの左側に示すように、配布開始時刻(18:00)から行われる店番号131の1号機への更新ファイルの配布には、配布チャンネル#1が割り当てられる。そして、配布チャンネルテーブルの配布終了時刻のうち、配布チャンネル#1の配布終了時刻が予測終了時間(18:10)に変更される。
【0071】
同様に、店番号141の1号機は、配布開始時刻(18:00)からの変更ファイルの配布が可能である。配布タイミングテーブルには、配布チャンネル#2が割り当てられた店番号141の1号機に関する情報が追加される。一方、店番号151の1号機は、配布開始時刻(18:00)からの変更ファイルの配布が不可能である。そのため、店番号151の1号機は配布タイミングテーブルに登録されない。
【0072】
このように、図8の日程別タイミング設定ルーチンにより、図10(c)に示す配布タイミングテーブルには、更新ファイル配布日程のうちの、第1日目の指定時間内に変更ファイルが配布可能なATMが登録される。日程別タイミング設定ルーチンが終了すると、上述のように、制御は図6の配布タイミング設定ルーチンに戻される。そして、配布日程(図5(b))の全ての日程が終了するまで、ステップS230とステップS240とが繰り返し実行される。
【0073】
図11は、このように全ての配布日程について配布タイミングの設定が行われた後の、配布タイミングテーブルの一例を示している。図11に示すように、第1日目と第2日目の配布指定時間(18:00〜22:00)で更新ファイルの配布ができなかったATM(店番号111の1号機等)については、第3日目に配布タイミングが設定される。
【0074】
図6のステップS250において、制御部310(図2)は、配布タイミングが未設定のATMの有無を判断する。未設定のATMの有無は、店番号と機番とで特定されるATMに対して付加される設定済フラグが立っていないATMを検索することによって判断することができる。設定済みフラグが立っていないATMがあった場合には、未設定のATMがあると判断され、制御はステップS260に移される。一方、設定済みフラグが立っていないATMがない場合には、未設定のATMがないと判断され、制御は図3のファイル配布実行ルーチンに戻される。
【0075】
ステップS260において、制御部310は、配布タイミングが未設定のATMが残っていることをオペレータに通知する。具体的には、未設定のATMが残っていることを通知するための画面を表示部330に表示させる。そして、オペレータへの通知の後、図6の配布タイミング設定ルーチンはエラー終了する。オペレータは、この通知を見ることにより、未設定のATMが残らないように、配布日程の追加や指定時間の延長等を行うことができる。また、オペレータは、ATMの配置されている店舗等に電源オン時間の延長を依頼することによって、未設定のATMが残らないようすることも可能である。このように、第1実施例の配布タイミング設定ルーチンでは、オペレータへの通知の後エラー終了し、オペレータが通知に対応することにより未設定のATMが残らないようにしている。ただし、他の方法により未設定のATMが残らないようにすることも可能である。例えば、未設定のATMについて繁忙時間にも更新ファイルの配布を認めるか否かをオペレータに問い合わせ、オペレータが繁忙時間の配布を認めた場合には、未設定のATMについて繁忙時間に更新ファイルを配布するようにしても良い。これは、例えば、店舗分散ATM情報(図7)に登録された未設定のATMの繁忙時間の項目を削除し、その後ステップS230以降の各ステップを実行することにより行うことができる。
【0076】
図3のステップS150において、制御部310は、上述のように生成された配布タイミングテーブルに格納された配布タイミングに従ってATMに更新ファイルを配布する。具体的には、制御部310は、ステップS120において記憶部350(図2)に格納した更新ファイルを、ネットワーク12(図2)を介してATM100(図2)に転送する。更新ファイルを受信したATM100は、受信した更新ファイルを記憶装置112内に格納する。なお、更新ファイルには、更新の対象となるファイル(対象ファイル)を表す情報と、対象ファイルを更新ファイルに切り替える時期を表す情報が格納されている。ATM100は、これらの情報に基づいて、対象ファイルの切替を行う。ただし、必ずしも、切替時期に関する情報を更新ファイルに格納する必要はない。この場合、対象ファイルの切替は、更新ファイルの受信後、ATM100の電源が投入されたときに行うようにしても良い。また、更新ファイルの受信後、直ちに行うようにようにしても良い。
【0077】
ステップS160において、制御部310は、ファイルの切替が完了したATM100から対象ファイルのバージョンを取得する。具体的には、制御部310は、配布タイミングテーブル(図11)等を参照して更新ファイルを配布したATM100に対し、対象ファイルに登録されているバージョン情報の送信を要求する。ATM100は、バージョン情報の送信要求に応答して、バージョン情報を配布サーバ300に送信する。制御部310は、ATM100から送信されたバージョン情報から、対象ファイルのバージョンを取得する。なお、ステップS160における対象ファイルのバージョンの取得は、対象ファイルの切替時期以降の適宜設定された日時に行われる。ただし、バージョンの取得は、オペレータによる配布サーバ300の操作に従って行うものとしても良い。
【0078】
ステップS170において、制御部310は、更新ファイルを配布した全てのATMについて、対象ファイルのバージョンが正しいか否かを判断する。具体的には、制御部310は、ステップS160において取得した対象ファイルのバージョン情報と、ステップS120において記憶部350に格納した更新ファイルのバージョン情報と比較する。そして、バージョン情報が同一であれば、対象ファイルのバージョンが正しいと判断される。バージョンの正否を表す情報は、記憶部350に格納されるとともに、表示部330を介してオペレータに通知される。
【0079】
このように、第1実施例では、店舗分散ATMテーブルが作成され、作成された店舗分散ATMテーブルに配列した順序に従って配布タイミングが設定される。これにより、ATMへの更新ファイルの配布順は、配布順中に店番号が分散して現れる。そのため、ATMへの更新ファイルの配布順は、店番号について分散している。そのため、店番号が同一のATM(すなわち、同一店舗に配置されたATM)に対して、同時に更新ファイルが配布されるのを抑制することができる。そのため、同一店舗に配置されたATMに同時に更新ファイルを配布することにより、その店舗のネットワークシステムと広域ネットワークとの間のトラフィックの増加を抑制することができる。このようにトラフィックの増加を抑制することにより、更新ファイルの配布に要する時間を短縮することができる。
【0080】
また、ATMへの更新ファイルの配布順は、店番号が分散して配列されている。そのため、同一店舗に配置されたすべてのATMについて更新ファイルの配布が完了するまでの時間をより長くすることができる。そのため、更新ファイルの配布に起因するトラブルが発生した場合においても、同一店舗のすべてのATMにトラブルが発生するまでに、配布の中止等の対処が可能となる。
【0081】
さらに、第1実施例では、個々のATMごとに、ネットワーク帯域幅と機種と配布ファイル情報と所要時間実績情報とを用いて更新ファイルの配布に要する時間を予測する。そして、予測された所要時間と電源オン時間とから、更新ファイルの配布が可能か否かを判断し、その判断結果に基づいて更新ファイルの配布タイミングが設定される。そのため、更新ファイルの配布先のATMの電源が投入されていないときに更新ファイルの配布を行うことが抑制され、更新ファイルの配布が失敗することを抑制することができる。なお、一般に、配布タイミングは、ATMへの更新ファイルの配布が可能な時間と配布指定時間とが重複する時間帯を優先して配布が行われるように設定されていればよい。この場合にも、更新ファイルの配布が失敗することを抑制することができる。
【0082】
第1実施例では、予測所要時間と繁忙時間とから、更新ファイルの配布が可能か否かを判断し、その判断結果に基づいて更新ファイルの配布タイミングが設定される。そのため、更新ファイルの配布は、配布先のATMの繁忙時間を避けて行うことが可能となり、取引画面切替時間の間延び等の更新ファイルの配布によるATMにおける取引処理の遅延を抑制することができる。
【0083】
B.第2実施例:
図12は、第2実施例における配布システム10aの構成を示す説明図である。図13は、配布システム10aの機能的な構成を示すブロック図である。図1および図2に示す第1実施例の配布システム10とは、管理センタに設けられた第4のネットワークシステム50aに、LAN52に接続された操作端末400が付加されている点で異なっている。他の点は、第1実施例と同じである。
【0084】
操作端末400は、通信制御部420と、表示部430と、入力操作部440と、これら各部を制御する制御部410と、を備えている。制御部410は、図示しないCPUやメモリ等を備えるコンピュータとして構成されている。これらの通信制御部420と表示部430と入力操作部440との機能は、それぞれ、配布サーバ300の通信制御部320と表示部330と入力操作部340との機能と同じである。制御部410は、通信制御部420とネットワーク12とを介して配布サーバ300との間で通信を行う。これにより、オペレータは、配布サーバ300を直接操作するのと同様に、ネットワーク12を介して、配布サーバ300に更新ファイルの配布指示を与え、ATM100に関する情報や更新ファイルの配付状況を確認することができる。
【0085】
なお、図12に示すように、操作端末400は、配布サーバ300と同一のLAN52に接続されているが、操作端末400は、必ずしも配布サーバ300と同一のLANに接続されている必要は内。例えば、操作端末400を、管理センタのネットワークシステム50にネットワーク12を介して接続された別個のネットワークシステムに配置するものとしても良い。このように、配布サーバ300と操作端末400とを配置するネットワークシステムを別個のものとすることにより、遠隔地のオペレータは、配布サーバ300に種々の指示を与えることができる。
【0086】
このように、第2実施例では、配布サーバ300とは別個にオペレータが操作する操作端末400を設けることにより、オペレータは配布サーバ300の設置場所と異なる場所から更新ファイルの配布操作を行うことができる。配布サーバ300の設置場所と異なる場所から更新ファイルの配布操作を行うことにより、オペレータは、配布サーバ300の設置場所に行くことなく、更新ファイルの配布に伴うトラブルが発生した場合の対応や、配布条件の設定などを行うことができる。そのため、更新ファイルの配布操作の利便性がより向上する。
【0087】
第2実施例は、更新ファイルの配布操作の利便性がより向上する点で、第1実施例よりも好ましい。一方、第1実施例は、配布システムの構成がより簡単となる点で第2実施例よりも好ましい。
【0088】
C.第3実施例:
図14は、第3実施例における配布システム10bの構成を示す説明図である。図15は、配布システム10bの機能的な構成を示すブロック図である。図1および図2に示す第1実施例の配布システム10とは、店舗に設けられた第1のネットワークシステム20bに、LAN22に接続された中継サーバ200が付加されている点で異なっている。他の点は、第1実施例と同じである。
【0089】
中継サーバ200は、通信制御部220と、表示部230と、入力操作部240と、記憶部250と、これら各部を制御する制御部210と、を備えている。制御部210は、図示しないCPUやメモリ等を備えるコンピュータとして構成されている。これらの通信制御部220と表示部230と入力操作部240との機能は、それぞれ、配布サーバ300の通信制御部320と表示部330と入力操作部340との機能と同じである。制御部210は、通信制御部220とネットワーク12とを介して配布サーバ300との間で通信を行う。制御部210は、ネットワーク12を介して配布サーバ300から受信した更新ファイルを記憶部250に格納する。そして、記憶部250に格納した更新ファイルを同一店舗内に設けられたATM100a,100bに配布する。このような中継サーバ200は、通常、同一店舗内に多数のATMが設置される場合に、その店舗内に設けられる。
【0090】
中継サーバ200が、同一店舗内のATMに更新ファイルを配布するタイミングを規定する情報(配布設定情報)は、予めオペレータにより配布サーバ300で作成され、配布サーバ300からの更新ファイルの受信とともに受信される。中継サーバ200は、受信した配布設定情報に基づいて同一店舗内に設けられた個々のATMに更新ファイルを配布する。配布設定情報としては、例えば、配布に要する時間を短縮する時間優先モードと、配布に伴うトラブルの発生を低減する安全性優先モードと、のいずれのモードで配布を行うかを設定する情報が使用される。時間優先モードでは、更新ファイルは同一店舗内のATMに同時に配布され、安全性優先モードでは、更新ファイルは複数の日程に分けて配布される。なお、配布設定情報として、配布タイミングテーブル(図11)と同様に個々のATMに対して配布タイミングを規定する情報を利用することもできる。
【0091】
図16は、配布サーバ300(図15)の配布条件設定ファイル354に登録された情報の一例を示している。配布条件設定ファイル354には、図16(a)に示す中継サーバ情報と、図16(b)に示す配布ファイル情報と、図16(c)に示す所要時間実績情報と、が格納されている。なお、配布条件設定ファイル354には、配布指定時間情報と配布台数設定情報とが格納されているが、これらの情報は、図5の第1実施例における情報と同様であるので、ここでは図示と説明を省略する。
【0092】
図16(a)に示す中継サーバ情報は、中継サーバ200(図15)の設置状況に関する情報である。中継サーバ情報には、中継サーバ200が設置されている店舗の店番号と、中継サーバ200の機種と、中継サーバ200とネットワーク12との間のネットワーク帯域幅とが登録されている。図16(a)の例では、店番号151の店舗に機種RSの中継サーバが設置されている。その中継サーバとネットワーク12との間のネットワーク帯域幅が1Mbpsとなっている。
【0093】
図16(b)に示す配布ファイル情報および図16(c)に示す所要時間実績情報は、中継サーバに関する情報が付加されている点で、図5(a)に示す第1実施例の配布ファイル情報および図5(d)に示す第1実施例の所要時間実績情報と異なっている。他の点は同じである。
【0094】
図17は、第3実施例における配布タイミング設定ルーチンを示すフローチャートである。第3実施例における配布タイミング設定ルーチンは、ステップS210の前にステップS202が付加されている点で、図6に示す第1実施例の配布タイミング設定ルーチンと異なっている。他の点は第1実施例の配布タイミング設定ルーチンと同じである。
【0095】
ステップS202において、制御部310(図15)は、図16(a)に示す中継サーバ情報に基づいてATM情報(図4)を書き換える。図18は、ステップS202において書き換えられた書換ATM情報を示している。制御部310は、中継サーバの店番号と同一の店番号の機番が2以上のATMの情報を削除するとともに、中継サーバの店番号と同一の店番号の1号機に関する情報を中継サーバに関する情報に変更する。これにより、中継サーバに関する情報は、ATMと同様に書換ATM情報に登録される。そのため、中継サーバは、ATMとして登録されているともいうことができる。一般に、書換ATM情報は、中継サーバから更新ファイルが配布されるATM情報が削除され、中継サーバに関する情報が登録されているものであれば、他の方法によって生成されたものも使用することができる。なお、ATM情報を書き換える際(変更する際)に、制御部310は、中継サーバに関する情報を取得する。そのため、制御部310は、中継サーバ(中継装置)の情報を取得する「中継装置情報取得部」としての機能を有しているともいえる。
【0096】
図18の例では、制御部310は、太枠で囲まれた1号機についての種々の情報を変更する。制御部310は、右上から左下方向のハッチング部に示すように、機番を中継サーバであることを表す値(例えば、0)に変更し、図16(a)の中継サーバ情報に基づいて機種とネットワーク帯域幅とをそれぞれ機種「RS」と「1Mbps」に変更する。制御部310は、また、左上から右下方向のハッチング部に示すように、配布時期を制限する電源オン時間と稼働時間と繁忙時間とを変更する。具体的には、制御部310は、電源オン時間と稼働時間とを「0:00〜24:00」に変更し、繁忙時間の項目を削除する。なお、このように中継サーバで配布時期が制限されないのは、中継サーバが必要に応じて電源が投入できるためである。ただし、中継サーバが、限られた時間帯のみ電源が投入される場合、その時間帯が電源オン時間に登録される。
【0097】
このように、ATM情報を書き換えたのち、制御部310は、第1実施例と同様に、配布タイミング設定ルーチンを実行する。なお、第3実施例では、ステップS210以降のステップでは、図4に示すATM情報に替えて、図18に示す書換ATM情報が使用される。このようにATMへの更新ファイル配布タイミングを設定することにより、配布タイミングテーブルが第1実施例と同様に生成される。
【0098】
図19は、第3実施例において生成された、配布タイミングテーブルを示している。第3実施例の配布タイミングテーブルには、太枠で示すように、店番号151の店舗に配置された中継サーバ(機番=0)が登録される。この中継サーバには、第1日目(7/10)の18時から更新ファイルが配布される。第3実施例の配布タイミングテーブルには、店番号151のATM(機番=1〜5)が登録されていない。そのため、これらのATMには、配布サーバ300から更新ファイルは配布されない。
【0099】
このように、複数のATMが設置されている店舗に中継サーバを設置することにより、広域ネットワークを介して、直接複数のATMに更新ファイルを配布することが省略できる。そのため、更新ファイルを配布する際の、中継サーバが設けられた店舗へのトラフィックを低減することができる。
【0100】
また、中継サーバに関する情報を用いて、ATM情報を書き換えることにより、中継サーバとATMとを同様に扱うことができる。そのため、ATMへの更新ファイル配布時期を設定するのと同様に、中継サーバへの配布時期を設定することができる。そのため、中継サーバを有する配布システムにおいて、ATMと中継サーバとの双方に更新ファイルを配布することがより容易となる。
【0101】
第3実施例は、中継サーバが設けられた店舗へのトラフィックをより低減することが可能となる点で、第1および第2実施例よりも好ましい。一方、第1および第2実施例は、配布タイミング設定がより容易に行える点で、第3実施例よりも好ましい。
【0102】
D.変形例:
なお、この発明は上記実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0103】
D1.変形例1:
上記各実施例では、更新ファイルの配布を配布先のATMの繁忙時間を避けて行なっているが、更新ファイルの配布を配布先のATMの稼働時間を避け、ATMの営業時間外を優先して行うものとしても良い。この場合、図8のステップS360では、稼働時間外に更新ファイルが配布可能か否かが判断される。このようにしても、更新ファイルの配布は、ATMの取引処理が行われている稼働時間外に行われるため、更新ファイルの配布によるATMにおける取引処理の遅延を抑制することができる。なお、繁忙時間は営業時間内であるので、繁忙時間を避けて更新ファイルを配布することも、営業時間外を優先して配布するものということができる。
【0104】
D2.変形例2:
上記各実施例では、更新ファイルの配布が配布先のATMの電源オン時間内となるように配布タイミングを設定しているが、配布タイミングを電源オン時間とは無関係に設定することも可能である。このようにしても、更新ファイルの配布は、ATMの繁忙時間を割けて行われるため、更新ファイルの配布によるATMにおける取引処理の遅延を抑制することができる。
【0105】
D3.変形例3:
上記各実施例では、更新ファイルの配布を配布先のATMの繁忙時間を避けるように配布タイミングを設定しているが、配布タイミングは繁忙時間とは無関係に設定することも可能である。このようにしても、更新ファイルの配布先のATMの電源が投入されていないときに更新ファイルの配布を行うことが抑制され、更新ファイルの配布が失敗することを抑制することができる。
【0106】
D4.変形例4:
上記各実施例では、個々のATMの設置状態を表す個別設置状態情報(店番号、機番、機種、およびネットワーク帯域幅)と、個々のATMの運用状態を表す個別運用情報(電源オン時間、稼働時間、および繁忙時間)とに基づいて、更新ファイルの配布タイミングを設定しているが、個別設置状態情報のみに基づいて配布タイミングを設定することも可能である。このようにしても、設置状態に応じて適切な配布タイミングを設定することが可能である。この場合、更新ファイルの配布タイミングは、店番号、機番、機種、および、ネットワーク帯域幅のうちの少なくとも1つ以上に基づいて設定される。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】第1実施例における配布システム10の構成を示す説明図。
【図2】配布システム10の機能的な構成を示すブロック図。
【図3】ファイル配布実行ルーチンを示すフローチャート。
【図4】ATM情報ファイル352に格納されるATM情報の一例を示す説明図。
【図5】配布条件設定ファイル354に登録された情報の一例を示す説明図。
【図6】配布タイミング設定ルーチンを示すフローチャート。
【図7】図6のステップS220において生成される店舗分散ATMテーブルを示す説明図。
【図8】日程別タイミング設定ルーチンを示すフローチャート。
【図9】配布タイミングの設定に使用される配布チャンネルテーブルを示す説明図。
【図10】対象ATMに配布タイミングが設定される様子を示す説明図。
【図11】全ての配布日程について配布タイミングの設定が行われた後の、配布タイミングテーブルの一例を示す説明図。
【図12】第2実施例における配布システム10aの構成を示す説明図。
【図13】配布システム10aの機能的な構成を示すブロック図。
【図14】第3実施例における配布システム10bの構成を示す説明図。
【図15】配布システム10bの機能的な構成を示すブロック図。
【図16】第2実施例において、配布条件設定ファイル354に登録された情報の一例を示す説明図。
【図17】第3実施例における配布タイミング設定ルーチンを示すフローチャート。
【図18】ステップS202において書き換えられた書換ATM情報を示す説明図。
【図19】第3実施例において生成された、配布タイミングテーブルの一例を示す説明図。
【符号の説明】
【0108】
10,10a,10b…更新ファイル配布システム
12…広域ネットワーク
20,20b,30,40,50,50a…ネットワークシステム
22,32,42,52…LAN
100,100a,100b,100c,100d…ATM…ATM
110…制御部
112…記憶装置
120…通信制御部
132…カード機構部
134…通帳機構部
136…明細票機構部
142…紙幣入出金機構部
144…硬貨入出金機構部
152…操作部
154…音声ガイダンス部
200…中継サーバ
210…制御部
220…通信制御部
230…表示部
240…入力操作部
250…記憶部
300…配布サーバ
310…制御部
320…通信制御部
330…表示部
340…入力操作部
350…記憶部
352…ATM情報ファイル
354…配布条件設定ファイル
356…配布タイミング設定ファイル
400…操作端末
410…制御部
420…通信制御部
430…表示部
440…入力操作部
RT…ルータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の自動取引装置により共通に使用されるファイルを更新するための更新ファイルを通信回線を介して前記複数の自動取引装置に配布する更新ファイル配布装置であって、
各自動取引装置の設置状態に関する個別設置状態情報を含む取引装置情報を取得する取引装置情報取得部と、
前記取引装置情報取得部が取得した前記取引装置情報に基づいて、前記複数の自動取引装置への前記更新ファイルの配布時期を設定する配布時期設定部と、
前記配布時期設定部により設定された前記配布時期に従って、前記通信回線を介して前記更新ファイルを前記複数の自動取引装置に配布するファイル配布実行部と、
を備える、更新ファイル配布装置。
【請求項2】
請求項1記載の更新ファイル配布装置であって、
前記取引装置情報は、さらに、各自動取引装置の運用状態に関する個別運用情報を含み、
前記配布時期設定部は、前記個別運用情報に基づいて、自動取引装置の営業時間外を優先して前記更新ファイルを配布するように、前記配布時期を設定する、更新ファイル配布装置。
【請求項3】
請求項2記載の更新ファイル配布装置であって、
前記更新ファイル配布装置による前記更新ファイルの配布は、予め定められた配布指定時間内に行われ、
前記配布時期設定部は、前記個別運用情報と前記配布指定時間とに基づいて、自動取引装置への更新ファイルの配布が可能な時間と前記配布指定時間とが重複する時間帯を優先して前記更新ファイルを配布するように、前記配布時期を設定する、
更新ファイル配布装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか記載の更新ファイル配布装置であって、
前記個別設置状態情報は、各自動取引装置の設置場所を表す場所情報を含んでおり、
前記配布時期設定部は、前記複数の自動取引装置への前記更新ファイルの配布順が、前記配布順中に前記設置場所が分散して現れるように前記配布時期を設定する、
更新ファイル配布装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか記載の更新ファイル配布装置であって、さらに、
2つ以上の自動取引装置に前記更新ファイルを配布するための中継装置に関する中継装置情報を取得する中継装置情報取得部と、
前記取引装置情報取得部により取得された前記取引装置情報を、前記中継装置情報に基づいて変更する取引装置情報変更部と、
を備え、
前記取引装置情報変更部は、前記中継装置から前記更新ファイルが配布される自動取引装置に関する情報を前記取引装置情報から削除するとともに、前記中継装置を自動取引装置として前記取引装置情報に登録する、
更新ファイル配布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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