説明

自動取引装置利用手数料蓄積システム

【課題】自動取引装置の手数料が特別の手続きを行うことなく累積され、累積手数料額に応じたサービスが顧客に対して提供されて顧客満足度が向上し、店舗の売り上げが増加し、前記自動取引装置を使用した取引回数が増加して手数料収入が増加し、自動取引装置の導入台数が増加するようにする。
【解決手段】顧客が操作して取引を行う自動取引装置と、金融機関の勘定系上位装置と、クーポンの管理を行うクーポンサーバと、店舗における代金精算を行うPOS端末とを有する自動取引装置利用手数料蓄積システムであって、前記自動取引装置は、前記顧客の累積手数料額に応じたクーポンを発行し、前記POS端末は、前記クーポンに応じた割引額を減算して代金精算を行い、前記勘定系上位装置は、前記店舗に対応する口座に前記割引額に対応する額の振込を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置利用手数料蓄積システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行、信用金庫、郵便局、消費者金融会社等の金融機関の支店等に配設されたATM(Automatic Teller Machine:現金自動預払機)、CD(Cash Dispenser:現金自動支払機)等の自動取引装置を使用して顧客が金融取引を行う場合、手数料が無料となるときと有料となるときとがある。
【0003】
例えば、前記自動取引装置を管理する金融機関と顧客が使用するキャッシュカードを発行した金融機関とが同一である場合、平日の昼間の時間帯では手数料が無料になるが、土日や祝祭日、又は、平日であっても夜間の時間帯には、手数料が有料であり、前記金融機関が手数料を引き落とすようになっている。また、前記自動取引装置を管理する金融機関と顧客が使用するキャッシュカードを発行した金融機関とが同一でない場合には、土日、祝祭日及び夜間だけでなく、平日の昼間の時間帯でも手数料が有料であり、前記金融機関が手数料を引き落とすようになっている。
【0004】
さらに、自動取引装置が金融機関の支店等でなく、コンビニエンスストアの店舗等内に配設されたものである場合、金融取引の種類に関わらず、また、自動取引装置を管理する金融機関と顧客が使用するキャッシュカードを発行した金融機関とが同一であるか否かに関わらず手数料が有料であり、金融機関が手数料を引き落とすようになっている。
【0005】
もっとも、前記手数料の割引サービスを顧客に対して提供するシステムも提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、自動取引装置を管理する金融機関とカードローンの契約があること、クレジットカードの引き落としがあること等の条件を満たした場合には、前記手数料が無料となるサービスも提供されている。
【特許文献1】特開2002−245509号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来のシステムにおいては、特定の条件を満たした自動取引装置を使用した顧客のみがサービスを受けることができ、しかも、何らかの手続きを行う必要がある。そして、手続きによっては、面倒な手順を実行する必要があり、手軽にサービスを受けることができなかった。
【0007】
本発明は、前記従来のシステムの問題点を解決して、自動取引装置の手数料が特別の手続きを行うことなく累積され、累積手数料額に応じたサービスが顧客に対して提供されて顧客満足度が向上し、店舗の売り上げが増加し、前記自動取引装置を使用した取引回数が増加して手数料収入が増加し、自動取引装置の導入台数が増加する自動取引装置利用手数料蓄積システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのために、本発明の自動取引装置利用手数料蓄積システムおいては、顧客が操作して取引を行う自動取引装置と、金融機関の勘定系上位装置と、クーポンの管理を行うクーポンサーバと、店舗における代金精算を行うPOS(Point of Sales)端末とを有する自動取引装置利用手数料蓄積システムであって、前記自動取引装置は、前記顧客の累積手数料額に応じたクーポンを発行し、前記POS端末は、前記クーポンに応じた割引額を減算して代金精算を行い、前記勘定系上位装置は、前記店舗に対応する口座に前記割引額に対応する額の振込を行う。
【0009】
本発明の他の自動取引装置利用手数料蓄積システムおいては、さらに、前記勘定系上位装置は、顧客が自動取引装置を操作して行う有料の取引にかかる手数料額を累積し、前記顧客に対応する累積手数料額として格納する。
【0010】
本発明の更に他の自動取引装置利用手数料蓄積システムおいては、さらに、前記自動取引装置は、前記勘定系上位装置及びクーポンサーバと通信を行って、前記累積手数料額に応じたクーポンを発行する。
【0011】
本発明の更に他の自動取引装置利用手数料蓄積システムおいては、さらに、前記POS端末は、前記割引額の情報を前記勘定系上位装置及びクーポンサーバに送信する。
【0012】
本発明の更に他の自動取引装置利用手数料蓄積システムおいては、さらに、前記自動取引装置は、正当性を確認する情報を含むクーポン情報を取引明細票に印刷してクーポンを発行する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、自動取引装置利用手数料蓄積システムにおいては、自動取引装置の手数料が特別の手続きを行うことなく累積され、累積手数料額に応じたサービスが顧客に対して提供されて顧客満足度が向上し、店舗の売り上げが増加し、前記自動取引装置を使用した取引回数が増加して手数料収入が増加し、自動取引装置の導入台数が増加する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明の第1の実施の形態における自動取引装置利用手数料蓄積システムの構成を示すブロック図である。
【0016】
図において、11は、銀行、信用金庫、郵便局等の金融機関の本店、支店等の営業店に配設されたATM、CD等の自動取引装置であり、前記金融機関の顧客が自分で操作して入金、出金、通帳記帳、残高照会、振込や振替のような送金取引、定期性預金設定等の取引を行うための装置である。なお、前記自動取引装置11は、前記金融機関の営業店のみならず、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、デパート等の商店の店舗、駅の構内、地下街、市役所、病院等の公共施設、工場、事務所等の私企業、駐車場、道路脇(わき)等の屋外等、いかなる場所に配設されていてもよい。また、前記自動取引装置11は、他の機能、例えば、チケット予約機能、商品購入申込み機能、クレジットカードの与信確認機能、施設情報案内機能等を有するキオスク端末のような多機能端末であってもよいし、拡大して、ネットバンキング用端末でもよい。なお、前記顧客は、金融機関に自己の口座を開設し、前記金融機関を利用する者であり、一般的には個人である。
【0017】
そして、前記自動取引装置11は、CPU、MPU等の演算手段、半導体メモリ、磁気ディスク等の記憶手段、通信するための通信手段等を備える一種のコンピュータであり、外部の装置と通信する通信部12、前記自動取引装置11の各部の動作を制御する制御部13、及び、各種のデータを記憶する記憶部14を有する。
【0018】
そして、前記制御部13は、キーボード、タッチパネル等の入力装置、CRT、液晶ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ等の表示装置、顧客の音声を入力するためのマイクロフォン等の音声入力装置、音声案内を出力するためのスピーカ等の音声出力装置等を備える顧客操作部13aを有する。なお、顧客が操作を行いやすいようにするために、前記入力装置は、表示装置の機能を兼ね備えるタッチパネルであることが望ましい。
【0019】
また、前記制御部13は、キャッシュカード等のカードを取り扱うカード挿入部13bを有する。ここで、前記カードは、金融機関が顧客に対して発行した入金、出金、残高照会、振込、振替等の金融取引を行うためのカードであり、顧客の氏名、口座番号、暗証番号等の情報を格納する磁気ストライプを備える。なお、前記情報を格納する部材としては、前記磁気ストライプに代えて、カードに埋め込まれたICであってもよい。特に、前記カードが生体認証対応カードであって、顧客の生体認証のデータを格納するものである場合には、前記情報を格納する部材はICであること、すなわち、前記カードがICカードであることが望ましい。
【0020】
そして、前記カード挿入部13bは、カードが挿入されるカードスロットを備え、該カードスロット内には、図示されないカードを搬送する搬送装置、及び、カードの磁気ストライプやICに格納された情報の読取、上書、消去等を行うための磁気ヘッド等の記録ヘッドが配設される。なお、前記カード挿入部13bは他の金融機関の発行したキャッシュカードやクレジットカード、デビットカード等の他の種類のカードも取り扱えることが望ましい。さらに、前記カード挿入部13bは取引明細票を発行する図示されないプリンタを備える。前記取引明細票は、入金、出金、残高照会、振込、振替、定期性預金設定等の顧客が行った金融取引に関する情報が印刷される紙片であり、口座番号、金融取引の種類、取引金額等が印刷される。なお、前記取引明細票は、顧客が希望したときだけに発行されるようにしてもよい。
【0021】
さらに、前記制御部13は、生体認証を行うための生体認証装置を有するものであることが望ましい。該生体認証装置は、指紋、虹彩(アイリス)、手のひら静脈等の生物学的な特徴を示すバイオメトリクス情報を使用して顧客の生体認証を行う装置である。なお、必ずしも生体認証装置を有していなくてもよい。
【0022】
そして、前記制御部13は、預金通帳等の通帳に記帳する図示されない通帳記帳部を有する。ここで、前記通帳は、金融機関が顧客に対して発行した預金通帳等の冊子状の通帳であり、入金、出金、振込、振替、送金、定期性預金設定等の金融取引の記録が印刷されるものである。なお、前記通帳の表紙又は裏表紙には、顧客の氏名、口座番号、暗証番号等の情報を格納する磁気ストライプを備える。さらに、前記情報を格納する部材としては、前記磁気ストライプに代えて、通帳に埋め込まれたICであってもよい。また、前記通帳記帳部は、通帳が挿入される通帳スロットを備え、該通帳スロット内には、通帳を搬送する搬送装置、通帳に前記金融取引の記録を印刷する印字ヘッド、及び、通帳の磁気ストライプやICに格納された情報の読取、上書、消去等を行うための磁気ヘッド等の記録ヘッドが配設される。
【0023】
そして、前記制御部13は、紙幣を取り扱う紙幣入出金部13cを有する。該紙幣入出金部13cは、入金等の金融取引において顧客が入金した紙幣を受け取って鑑別し、カウントするとともに、出金等の金融取引において所定金額の紙幣を入出金口から払い出す。なお、該入出金口にはシャッタが配設され、該シャッタは、紙幣を払い出すときに開くようになっている。
【0024】
さらに、前記制御部13は、硬貨を取り扱う硬貨入出金部13dを有する。該硬貨入出金部13dは、入金等の金融取引において顧客が入金した硬貨を受け取って鑑別し、カウントするとともに、出金等の金融取引において所定金額の硬貨を入出金口から払い出す。なお、該入出金口にはシャッタが配設され、該シャッタは、紙幣又は硬貨を払い出すときに開くようになっている。
【0025】
また、前記通信部12は、金融機関の勘定系上位装置としてのホストコンピュータ21と通信する。さらに、前記記憶部14は、各種のデータとともに、前記制御部13が実行するプログラム、制御部13による処理結果等を格納する。
【0026】
そして、前記ホストコンピュータ21は、前記金融機関の統合管理センタ等のセンタ20に配設される顧客データ管理用の基幹システムとしてのコンピュータであり、磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶装置から成るデータベースとしての顧客情報データベース22を有する。該顧客情報データベース22には、各顧客の口座番号、暗証番号、預金残高、累積手数料額としての手数料の蓄積額等の顧客情報が格納されている。なお、前記ホストコンピュータ21は、CPU、MPU等の演算手段、半導体メモリ、磁気ディスク等の記憶手段、通信するための通信手段等を備える一種のコンピュータであり、プログラムに従って動作を行う。また、前記ホストコンピュータ21は、大型の汎(はん)用コンピュータのような単独のコンピュータによって構成されるものであってもよいし、分散型サーバのように複数のコンピュータを有機的に結合したものであってもよいし、大型のコンピュータ内に構築される複数のシステムの中の1つであってもよい。
【0027】
なお、前記自動取引装置11は、ネットワーク41を介して、ホストコンピュータ21と通信可能に接続され、該ホストコンピュータ21と通信を行うことによって、顧客の口座データを管理する。ここで、前記ネットワーク41は、専用通信回線網であることが望ましいが、有線又は無線の公衆通信回線網、インターネット、イントラネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、VPN(Virtual Private Network)、衛星通信回線網等いかなる通信回線網であってもよく、これらを適宜組み合わせたものであってもよい。
【0028】
次に、前記構成の自動取引装置利用手数料蓄積システムの動作について説明する。
【0029】
図2は本発明の第1の実施の形態における取引選択画面の例を示す図、図3は本発明の第1の実施の形態におけるカード挿入指示画面の例を示す図、図4は本発明の第1の実施の形態における暗証番号入力画面の例を示す図、図5は本発明の第1の実施の形態における出金金額入力画面の例を示す図、図6は本発明の第1の実施の形態における最終確認時画面の例を示す図、図7は本発明の第1の実施の形態における累積手数料額表示画面の例を示す図、図8は本発明の第1の実施の形態における自動取引装置利用手数料蓄積システムの動作を示すフローチャートである。
【0030】
本実施の形態においては、顧客が、自動取引装置11の顧客操作部13aに表示された取引選択画面を操作して、出金取引を選択した場合の動作について説明する。この場合、自動取引装置11の顧客操作部13aには、図2に示されるような取引選択画面が表示されている。該取引選択画面には、出金取引のための「お引き出し」ボタン、入金取引のための「お預け入れ」ボタン、振込取引のための「お振り込み」ボタン、口座残高を照会するための「残高照会」ボタン等の各取引ボタンが表示されている。そして、顧客は、出金取引に対応する「お引き出し」ボタンを押下することによって、画面上の出金取引を選択する。すると、選択された情報が制御部13に送信される。
【0031】
続いて、前記情報を受信した該制御部13は、図3に示されるように、顧客に対してカードの挿入を促す内容のカード挿入指示画面を顧客操作部13aの画面に表示させる。前記カード挿入指示画面には、キャッシュカード等のカードの挿入を促すメッセージ、該メッセージを図解したイラスト及び取引を中止するための「取消」ボタンが表示されている。そして、前記顧客は、メッセージに従ってカードをカード挿入部13bのカードスロットに挿入する。すると、カード挿入部13bは、カードの磁気ストライプに格納されたカード情報としての磁気データを読み取り、制御部13に送信する。なお、「取消」ボタンが押下された場合は、顧客が挿入したカードがカード挿入部13bのカードスロットから排出され、制御部13は、取引処理を終了し、取引選択画面を顧客操作部13aの画面に表示させて待機する。
【0032】
続いて、カードの挿入を認識した制御部13は、図4に示されるように、顧客に対して暗証番号の入力を促す内容の暗証番号入力画面を顧客操作部13aの画面に表示させる。前記暗証番号入力画面には、暗証番号の入力を促すメッセージ、暗証番号を入力するためテンキー、暗証番号表示欄、入力の間違いを訂正するための「訂正」ボタン及び取引を中止するための「取消」のボタンが表示されている。そして、顧客はテンキーを使用して暗証番号を入力する。これにより、暗証番号の認証が行われる。なお、「取消」ボタンが押下された場合は、顧客が挿入したカードがカード挿入部13bのカードスロットから排出され、制御部13は、顧客がカードを受け取ったことを確認して取引処理を終了し、顧客操作部13aの画面に取引選択画面を表示させて待機する。
【0033】
続いて、暗証番号の入力を認識した制御部13は、暗証番号の正否でカードの所持者が正当であるか、すなわち、正当取引人であるか否かを判断する。そして、正当取引人でない場合は、暗証番号が違うことを示す内容を顧客操作部13aの画面に表示させた後、顧客操作部13aの画面に取引選択画面を表示させ、最初から取引をやり直す。
【0034】
また、正当取引人である場合、制御部13は、図5に示されるように、顧客に対して引出金額、すなわち、出金金額の入力を促す内容の出金金額入力画面を顧客操作部13aの画面に表示させる。前記出金金額入力画面には、出金金額の入力を促すメッセージ、操作方法、出金金額を入力するためのテンキー、出金金額入力欄、万の単位を入力するための「万」ボタン、千の単位を入力するための「千」ボタン、入力を終了を指示するための「確認」ボタン、「訂正」ボタン及び取引を中止するための「取消」ボタンが表示されている。そして、顧客は、テンキーによって引出金額の入力、すなわち、出金金額の入力を行い、「確認」ボタンを押下する。なお、「取消」ボタンが押下された場合は、顧客が挿入したカードがカード挿入部13bのカードスロットから排出され、制御部13は、取引処理を終了し、顧客操作部13aの画面に取引選択画面を表示させて待機する。
【0035】
続いて、「確認」ボタンが押下されたことを認識した制御部13は、図6に示されるように、最終確認時画面を顧客操作部13aの画面に表示させる。前記最終確認時画面には、入力された出金金額の確認を促すメッセージ、操作方法、表示内容を確認したことを指示するための「確認」ボタン及び出金金額の再入力を行うための「取消」ボタンが表示される。そして、顧客は表示内容を確認して「確認」ボタンを押下する。なお、「取消」ボタンが押下された場合、制御部13は、顧客操作部13aの画面に取引選択画面を表示させ、最初から取引をやり直す。
【0036】
ここで、制御部13は、手数料を支払うか否か、すなわち、前記出金取引が手数料がかかる取引であるか否かを判断する。そして、前記出金取引が有料であって手数料がかかる取引である場合、制御部13は、ホストコンピュータ21と通信を行って顧客情報データベース22の累積手数料額を更新する。このとき、顧客の口座から引き落とした手数料額を顧客情報データベース22内の累積手数料額に加算する。なお、該累積手数料額は1ケ月毎に集計され、集計後の累積手数料額はリセットされる。また、前記出金取引が無料であって手数料がかからない取引である場合、累積手数料額の更新は行われない。
【0037】
続いて、制御部13は、図7に示されるように、累積手数料額表示画面を顧客操作部13aの画面に表示させる。前記累積手数料表示画面には、今回の取引でかかった手数料額及び、月毎に蓄積された手料額、すなわち、累積手数料額が表示される。また、表示された累積手数料額がサービスを受けることが可能な額を超えている場合、表示された累積手数料額の範囲内で受けることが可能なサービスの内容を示すメッセージが表示される。
【0038】
続いて、前記累積手数料額表示画面に表示された「確認」ボタンが押下されると、制御部13は、カード挿入部13bのカードスロットからカード及び取引明細票を排出させ、さらに、紙幣入出金部13cの入出金口から現金を排出させて処理を終了する。
【0039】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 取引選択画面が表示される。
ステップS2 キャッシュカードをカード挿入部13bのカードスロットに挿入する。
ステップS3 暗証番号による認証が行われる。
ステップS4 正当取引人であるか否かを判断する。正当取引人である場合はステップS5に進み、正当取引人でない場合はステップS1に戻る。
ステップS5 引出金額の入力が行われる。
ステップS6 手数料を支払うか否かを判断する。手数料を支払う場合はステップS7に進み、手数料を支払わない場合はステップS8に進む。
ステップS7 顧客情報データベース22の累積手数料額を更新する。
ステップS8 累積手数料表示画面に、今回の取引でかかった手数料額及び累積手数料額が表示される。
ステップS9 カード挿入部13bのカードスロットからカード及び取引明細票を排出し、紙幣入出金部13cの入出金口から現金を排出して処理を終了する。
【0040】
このように、本実施の形態においては、顧客が自動取引装置11を使用して有料の取引を行った際にかかる手数料額が自動的に累積され、顧客は累積手数料額に応じたサービスを受けることができるようになっている。そのため、顧客自身では特別の手続きを行うことなく、累積手数料額に応じたサービスを受けることができ、顧客満足度が向上する。そして、このことが自動取引装置11を利用することの動機付けとなり、自動取引装置11が配設された店舗等に顧客が頻繁に立ち寄るので、店舗等の集客力が向上する。さらに、自動取引装置11の使用頻度が高くなり、自動取引装置11の手数料収入が増大する。
【0041】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0042】
図9は本発明の第2の実施の形態における自動取引装置利用手数料蓄積システムの構成を示す図である。
【0043】
本実施の形態においては、自動取引装置11の使用による累積手数料額に応じたクーポンが発行され、該クーポンを利用することによって、顧客は、商品又は役務を割引価格で購入することができるようになっている。
【0044】
そこで、図に示されるように、自動取引装置11は、クーポンを発行するためのクーポン発行処理部15を有する。なお、本実施の形態において、前記自動取引装置11は、金融機関の営業店45に配設されているものとする。
【0045】
また、ホストコンピュータ21には、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、デパート等の商店を運営する企業の口座情報を管理する勘定マスタ23が接続されている。そして、センタ20には、クーポンの管理を行うクーポンサーバ24が配設される。該クーポンサーバ24は、CPU、MPU等の演算手段、半導体メモリ、磁気ディスク等の記憶手段、通信するための通信手段等を備える一種のコンピュータであり、大型の汎用コンピュータのような単独のコンピュータによって構成されるものであってもよいし、分散型サーバのように複数のコンピュータを有機的に結合したものであってもよいし、大型のコンピュータ内に構築される複数のシステムの中の1つであってもよい。なお、前記自動取引装置11は、ネットワーク41を介して、クーポンサーバ24と通信可能に接続され、該クーポンサーバ24及びホストコンピュータ21と通信を行うことによって、累積手数料額に応じたクーポンを発行する。
【0046】
そして、前記クーポンサーバ24は、自動取引装置11によるクーポンの発行を処理するクーポン発行処理部25、及び、クーポンが利用された際の情報の消去等の管理を行うクーポン情報管理部26を備える。さらに、前記クーポンサーバ24には、クーポン情報等のデータを格納するデータベースとしてのクーポン発行情報データベース27が接続されている。該クーポン発行情報データベース27に格納されるデータは、例えば、クーポン発行ID、クーポン内容、顧客ID、利用可能店舗情報、発行日、利用期限、利用済みフラグ等である。
【0047】
また、図において、30はコンビニエンスストア、スーパーマーケット、デパート等の商店の店舗であり、該店舗30のレジ等には、販売された商品又は役務の購入金額を精算するレジスタとしてのPOS端末31が配設されている。そして、該POS端末31は、QRコード(R)と称される二次元コードやJANコード等のバーコードのような各種のコードを読み取るためのコードリーダ32、顧客が使用するクーポンの情報を確認するクーポン情報確認部33、及び、クーポンを使用したことによる割引額を計算する割引額計算部34を備える。
【0048】
そして、前記POS端末31は、ネットワーク42を介して、クーポンサーバ24と通信可能に接続され、該クーポンサーバ24と通信を行うことによって、顧客が使用するクーポンの情報を確認する。なお、前記ネットワーク42は、有線又は無線の公衆通信回線網、インターネット、イントラネット、LAN、WAN、VPN、衛星通信回線網等いかなる通信回線網であってもよく、これらを適宜組み合わせたものであってもよく、さらに、前記ネットワーク41と同一のものであってもよい。
【0049】
また、本実施の形態において、自動取引装置11のカード挿入部13bは、クーポンのサービス内容等を含むクーポン情報を取引明細票に印刷する機能を有する。前記取引明細票は、クーポン券として機能し、店舗30における購入代金の精算業務を行う係員に提示することによって、購入代金の割引を受けることができる。
【0050】
なお、その他の点の構成については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0051】
次に、本実施の形態における自動取引装置利用手数料蓄積システムの動作について説明する。
【0052】
図10は本発明の第2の実施の形態における取引選択画面の例を示す図、図11は本発明の第2の実施の形態におけるクーポン発行画面の例を示す図、図12は本発明の第2の実施の形態におけるクーポン発行不可画面の例を示す第1の図、図13は本発明の第2の実施の形態におけるクーポン発行不可画面の例を示す第2の図、図14は本発明の第2の実施の形態における自動取引装置利用手数料蓄積システムの動作を示すフローチャートである。
【0053】
本実施の形態においては、時間外に自動取引装置11を使用することによる手数料を累積することによって、クーポンを発行するようになっている。ここでは、顧客が、自動取引装置11の顧客操作部13aに表示された取引選択画面を操作して、出金取引を選択した場合の動作について説明する。
【0054】
この場合、自動取引装置11の顧客操作部13aには、図10に示されるような取引選択画面が表示される。該取引選択画面には、前記第1の実施の形態における図2に示されるような取引ボタンに加えて、時間外に自動取引装置11を使用することによる手数料の累積額が規定額を超えた場合に店舗30で利用可能なクーポンを発行するための「クーポン発行」ボタンが表示されている。そして、顧客は、「クーポン発行」ボタンを押下することによって、クーポンの発行を選択する。すると、選択された情報が制御部13に送信される。
【0055】
続いて、前記情報を受信した前記制御部13は、顧客に対してカードの挿入を促す内容のカード挿入指示画面を顧客操作部13aの画面に表示させる。なお、これ以降、顧客が正当取引人であると判断するまでの動作は、前記第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0056】
そして、顧客が正当取引人であると判断すると、制御部13は、クーポンの発行が可能であるか否かを判断する。そして、クーポンの発行が不可である場合、累積手数料額がクーポンの発行に不足しているときには、図12に示されるようなクーポン発行不可画面を顧客操作部13aの画面に表示させ、処理を終了する。また、累積手数料額がクーポンの発行に十分であるときであっても、既に当月分のクーポンを発行してしまっているときは、図13のようなクーポン発行不可画面を顧客操作部13aの画面に表示させ、処理を終了する。
【0057】
また、クーポンの発行が可能である場合、すなわち、累積手数料額がクーポンの発行に十分であって、かつ、当月分のクーポンを発行していない場合には、制御部13は、図11に示されるようなクーポン発行画面を顧客操作部13aの画面に表示させる。そして、顧客は、「発行」ボタンを押下する。なお、「取消」ボタンが押下された場合、前記第1の実施の形態と同様に、制御部13は、顧客が挿入したカードがカード挿入部13bのカードスロットから排出させ、取引処理を終了し、顧客操作部13aの画面に取引選択画面を表示させて待機する。
【0058】
続いて、「発行」ボタンが押下されたことを認識した制御部13は、クーポン情報を取引明細票に印刷させ、該取引明細票をクーポン券として排出させて処理を終了する。なお、前記クーポン情報は、例えば、QRコード(R)等のコードとして取引明細票に印刷される。また、前記クーポン情報には、発行金融機関コード、顧客ID、クーポン発行ID、利用可能店舗情報、クーポン内容、例えば、20円引き、0.5〔%〕引き等の割引額が含まれていることが望ましい。これらのクーポン情報は、クーポン発行情報データベース27にも格納されている。なお、前記クーポンIDは、チェックディジットが含まれ、正当性を確認することができるようになっていることが望ましい。
【0059】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS11 取引選択画面が表示される。
ステップS12 キャッシュカードをカード挿入部13bのカードスロットに挿入する。
ステップS13 暗証番号による認証が行われる。
ステップS14 正当取引人であるか否かを判断する。正当取引人である場合はステップS15に進み、正当取引人でない場合はステップS11に戻る。
ステップS15 クーポンの発行が可能であるか否かを判断する。クーポンの発行が可能である場合はステップS17に進み、クーポンの発行が可能でない場合はステップS16に進む。
ステップS16 クーポン発行不可画面を顧客操作部13aの画面に表示し、処理を終了する。
ステップS17 クーポン発行画面を顧客操作部13aの画面に表示する。
ステップS18 取引明細票をクーポン券として排出し、処理を終了する。
【0060】
次に、発行されたクーポンを利用する動作について説明する。
【0061】
図15は本発明の第2の実施の形態におけるクーポンを利用する動作を示すフローチャート、図16は本発明の第2の実施の形態における効果を説明する図である。
【0062】
まず、顧客は、店舗30で販売される商品や役務を購入して代金の精算を行うとき、自動取引装置11のカード挿入部13bによって発行されたクーポン券を前記店舗30におけるレジ係等の代金精算業務を行う係員に提示する。すなわち、クーポンの提示を行う。すると、係員は、POS端末31のコードリーダ32を使用してクーポン情報を読み取る。
【0063】
続いて、クーポン情報確認部33は、発行金融機関コードにより通信すべき金融機関のセンタ20及びクーポンサーバ24を特定し、該クーポンサーバ24と通信を行うことによって前記クーポン情報の正当性を確認する。そして、クーポン情報の正当性が確認されると、前記顧客に対してクーポン内容に応じたサービスが提供される。ここでは、割引額計算部34がクーポン内容に応じた割引額を計算し、該割引額が代金から減算されて精算が行われる。また、計算されたクーポンの割引額情報は、POS端末31からセンタ20に通知される。この場合、前記割引額情報は、店舗30の情報、例えば、店舗30を運営する企業のID、店舗番号等とともに通知され、ホストコンピュータ21によって受信される。
【0064】
すると、該ホストコンピュータ21は、前記店舗30に対応する口座、具体的には、前記店舗30を運営する企業の口座にクーポンの割引額分の振込を行う。この場合、前記企業のIDに基づいて勘定マスタ23にアクセスすることによって、前記企業の口座を特定することができる。なお、クーポンの割引額分の振込は、その都度行われてもよいし、月末等の所定の時期にまとめて行われるようにしてもよい。
【0065】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS21 クーポンの提示を行う。
ステップS22 計算されたクーポンの割引額情報が、POS端末31からセンタ20に通知される。
ステップS23 店舗30を運営する企業の口座にクーポンの割引額分の振込が行われ、処理を終了する。
【0066】
このように、本実施の形態においては、顧客が自動取引装置11を使用して有料の取引を行った際にかかる手数料額が自動的に累積され、顧客は累積手数料額に応じて、商品又は役務を割引価格で購入するクーポンを取得することができるようになっている。
【0067】
したがって、図16に示されるように、顧客は、店舗30において、クーポンを利用することによって、商品又は役務を割引価格で購入することができる。これにより、店舗30を運営する企業は、店舗30への来客数が増加するとともに、割引額の補填(てん)を金融機関から受けることができる。また、自動取引装置11を運営する金融機関は、自動取引装置11の使用頻度が高くなるので、該自動取引装置11の手数料収入が増大するとともに、顧客満足度を向上させることができる。
【0068】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1の実施の形態における自動取引装置利用手数料蓄積システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における取引選択画面の例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるカード挿入指示画面の例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における暗証番号入力画面の例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における出金金額入力画面の例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における最終確認時画面の例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における累積手数料額表示画面の例を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態における自動取引装置利用手数料蓄積システムの動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施の形態における自動取引装置利用手数料蓄積システムの構成を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態における取引選択画面の例を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態におけるクーポン発行画面の例を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態におけるクーポン発行不可画面の例を示す第1の図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態におけるクーポン発行不可画面の例を示す第2の図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態における自動取引装置利用手数料蓄積システムの動作を示すフローチャートである。
【図15】本発明の第2の実施の形態におけるクーポンを利用する動作を示すフローチャートである。
【図16】本発明の第2の実施の形態における効果を説明する図である。
【符号の説明】
【0070】
11 自動取引装置
21 ホストコンピュータ
24 クーポンサーバ
30 店舗
31 POS端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)顧客が操作して取引を行う自動取引装置と、
(b)金融機関の勘定系上位装置と、
(c)クーポンの管理を行うクーポンサーバと、
(d)店舗における代金精算を行うPOS端末とを有する自動取引装置利用手数料蓄積システムであって、
(e)前記自動取引装置は、前記顧客の累積手数料額に応じたクーポンを発行し、
(f)前記POS端末は、前記クーポンに応じた割引額を減算して代金精算を行い、
(g)前記勘定系上位装置は、前記店舗に対応する口座に前記割引額に対応する額の振込を行うことを特徴とする自動取引装置利用手数料蓄積システム。
【請求項2】
前記勘定系上位装置は、顧客が自動取引装置を操作して行う有料の取引にかかる手数料額を累積し、前記顧客に対応する累積手数料額として格納する請求項1に記載の自動取引装置利用手数料蓄積システム。
【請求項3】
前記自動取引装置は、前記勘定系上位装置及びクーポンサーバと通信を行って、前記累積手数料額に応じたクーポンを発行する請求項1又は2に記載の自動取引装置利用手数料蓄積システム。
【請求項4】
前記POS端末は、前記割引額の情報を前記勘定系上位装置及びクーポンサーバに送信する請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動取引装置利用手数料蓄積システム。
【請求項5】
前記自動取引装置は、正当性を確認する情報を含むクーポン情報を取引明細票に印刷してクーポンを発行する請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動取引装置利用手数料蓄積システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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