説明

自動取引装置

【課題】生体情報取得部に光が当ることで顧客の生体情報が認識できないあるいは誤認識してしまうことを防止するための手段を提供する。
【解決手段】カードリーダライタ部と、生体情報取得部6とを備え、生体情報取得部6におかれた指を覆うことが可能な遮光カバー20を備え、顧客の取引カードから読み取った指静脈情報と、生体情報取得部6から取得した指静脈情報とが一致しなかった場合、遮光カバー20により光を遮断して、再度生体情報取得部6によって指静脈情報を取得することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報によって取引を行う顧客を確認する自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の顧客認証装置を備えた自動取引装置は、顧客が指紋読取装置に置いた指から指紋情報を取得し、顧客の取引カードに予め記憶されている登録指紋情報を読み取り、上記の指紋情報と登録指紋情報とを比較することで顧客本人の指紋であることを確認し、次に顧客に暗証番号を入力させてその入力された暗証番号をホストコンピュータに送信し、ホストコンピュータでの暗証番号の照合結果を受け取ることによって顧客認証を行っている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−133491号公報(段落「0014」−「0016」)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来の技術においては、指紋読取装置の指紋を読取面が露出している場合があり、そのような場合に自然光や金融機関の店舗内の照明によって顧客の指紋を認識できないことや、誤認識してしまうという問題がある。
そのため、読取面を常時カバー等によって遮光することが考えられているが、そのようにすると顧客は見えない場所に指を伸ばすこととなり、顧客に違和感を与えてしまうという問題がある。
【0004】
本発明は、上記の問題点を解決するための手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために、顧客の取引カードの読み取りを行うカードリーダ部と、顧客の指から生体情報を取得する生体情報取得部とを備えた自動取引装置において、前記生体情報取得部におかれた指を覆うことが可能な遮光カバーを備え、顧客の取引カードから読み取った生体情報と、前記生体情報取得部から取得した生体情報とが一致しなかった場合、前記遮光カバーにより光を遮断して、再度生体情報取得部によって顧客の生体情報を取得することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
これにより、本発明は、生体情報取得部に光が当ることによって顧客の生体情報を誤認識してしまうことを防止して、確実に顧客から生体情報を取得することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、図面を参照して本発明による自動取引装置の実施例について説明する。
【実施例1】
【0008】
図1は実施例1の自動取引装置を含む自動取引システムを示すブロック図、図2は実施例1の自動取引装置を示す外観図である。
図1、図2において、1は自動取引装置である。
2は制御部であり、記憶部4に格納されている制御プログラムに基づいて、自動取引装置1の各部の動作を制御して各種の取引を遂行する機能を有する他、通信部3によって通信回線17を介してホストコンピュータ15と通信可能に接続する。
【0009】
4は記憶部であり、制御部2による処理結果等を記憶する他、指静脈情報を用いる顧客認証でのエラー回数を記憶して、そのエラー回数の閾値(例えば3回)を格納する機能を有する。
5は表示操作部であり、自動取引装置1正面の接客面に露出させて設けられており、表示面を上に向けたCRTディスプレイまたは液晶ディスプレイ等の表示部と、表示部上に配置したタッチパネル等の入力部により構成され、各種取引における顧客の操作を誘導するメッセージを配した画面やそのための入力キーを表示し、その入力キーをタッチパネル上から指で押下することにより、入力キーに定義された情報を入力できるものとなっており、入力された情報の表示等も行うようになっている。
【0010】
6は生体情報取得部であり、その上に置かれた顧客の指から指静脈情報(生体情報)を取得する機能を有しており、前記接客面に設けられている。
7は現金入出金部であり、取引に伴う現金の入出金処理を行うもので、紙幣を取扱う紙幣入出金機と硬貨を取扱う硬貨入出金機により構成され、その紙幣入出金口と硬貨出金口は前記接客面に設けられている。
【0011】
9はカードリーダライタ部であり、顧客のICカード(取引カード)のICチップに記録されているカード情報の読取及び書込みを行う機能を有する他、顧客との取引結果を明細票に印刷する機能を有し、そのカード挿入返却口および明細票印刷口は前記接客面に設けられている。
カード情報には、顧客氏名と金融機関コード、支店コード、口座番号、顧客が口座開設の際に登録した登録指静脈情報(登録生体情報)等が含まれる。
【0012】
10は通帳記帳部であり、顧客の通帳に設けられた磁気ストライプに対してデータの読取及び書込みを行う機能を有すると共に取引内容等を顧客の通帳に記帳する機能を有し、その通帳挿入返却口は前記接客面に設けられている。
15はホストコンピュータであり、金融機関のセンタに設置されており、顧客の口座の口座番号や口座残高等の顧客情報を保有して顧客の口座を管理する。
【0013】
ここで、図3は生体情報取得部の遮光カバーを示す説明図であり、(a)は接客面の表面から退避して収納した様子を示し、(b)は引出して外部に露出している様子を示している。
20は遮光カバーであり、樹脂材料等で製作されており、図3(b)に示すように、自動取引装置1正面から見て生体情報取得部6の左右両側に配される扇形の側板20aと、2枚の側板20a間に配され、生体情報取得部6上に伸びる上板20b(遮光材)とを備え、生体情報取得部6におかれた顧客の指を覆うことが可能に構成される。
【0014】
上記の側板20aは扇状に折り重なって畳まれるように構成され、その側板20aの形状に合わせて上板20bは蛇腹状に伸縮可能に構成される。
このように側板20aと上板20bの構成に加え、自動取引装置1の接客面に切り欠きを設けることによって、遮光カバー20は自動取引装置1内に収納され、かつ略垂直の位置まで引き出すことで、生体情報取得部6への照明等の光の透過、遮断を切り替えるように機能する。
【0015】
21はカバー開閉検知センサであり、例えば光学式のセンサであって、遮光カバー20が引出された際に発光部からの光を受光部で受光するようにする等のように構成することで遮光カバー20の開閉を検知する機能を有する。
なお、側板20aの根本に扇形部材がついており、遮光カバー20が収納されたときに、扇形部材が自動取引装置1内部に入り込んで、カバー開閉検知センサ21が扇形部材を検知することで遮光カバー20が閉じていることを確認できるようになっている。
【0016】
上述した構成の作用について、図4に示す実施例1の自動取引装置の動作を示すフローチャートを用い、Sで示すステップに従って説明する。
S1、自動取引装置1の制御部2は、表示操作部5に出金取引等の取引選択ボタンを配した取引選択画面を表示する。
S2、顧客が取引選択画面で出金取引の取引選択ボタンを押下すると、制御部2はその押下を認識して、表示操作部5にICカードの挿入を促す文言やイラスト等を配した画面を表示する。
【0017】
また、制御部2は記憶部4に記憶しているエラー回数をリセットして初期値の「0」にする。
顧客は、表示されている画面に従ってICカードをカードリーダライタ部9のカード挿入返却口に挿入する。
S3、カードリーダライタ部9がICカードから登録指静脈情報を読み取ると、制御部2はその登録指静脈情報を記憶部4に記憶し、表示操作部5に生体情報取得部6に指を載せるように促す画面を表示する。
【0018】
S4、生体情報取得部6が載せられた顧客の指から指静脈情報を取得すると、制御部2は記憶部4から登録指静脈情報を読み出し、登録指静脈情報と取得した指静脈情報とを比較して一定以上の割合で一致しているか否かを判断し、一致している場合はステップS5に進み、一致していない場合はステップS7に移行する。
S5、制御部2は、一致していると判断すると、表示操作部5に出金金額の入力を促す画面と入力のためのテンキー、出金金額入力欄等を配した出金金額入力画面を表示する。
【0019】
顧客は出金金額入力画面に従って出金金額を入力する。
S6、制御部2は、挿入されているICカードから口座番号を読み取り、その口座番号と入力された出金金額とを付した出金取引指示をホストコンピュータ15に送信することで、出金取引処理を通常通りに実行して終了する。
S7、制御部2は、指静脈情報が登録指静脈情報と一致していないと判断すると、記憶部4に記憶したエラー回数と閾値を読み出し、エラー回数が閾値未満であるか否かを判断し、閾値未満の場合は次のステップS8に進み、エラー回数が閾値である場合はステップS9に移行する。
【0020】
S8、制御部2は、エラー回数に1を加算して表示操作部5に生体情報取得部6に指を載せるように促す画面を表示し、上記ステップS4に戻り再度指静脈情報と登録指静脈情報とが一致しているか否かを判断する。
S9、エラー回数が閾値と同じであると判断した制御部2は、表示操作部5に遮光カバー15を引出すように促す旨の文字や動画、静止画等の画面を表示し、カバー開閉検知センサ21によって顧客が遮光カバー20を引出したことを確認すると、再度生体情報取得部6に指を載せるように促す画面を表示する。
【0021】
S10、生体情報取得部6が載せられた顧客の指から指静脈情報を取得すると、制御部2はその指静脈情報と上記で読み出している登録指静脈情報とを比較して一定以上の割合で一致しているか否かを判断し、一致している場合は次のステップS11に進み、一致していない場合はステップS12に進む。
S11、制御部2は、表示操作部5に遮光カバー20の収納を促す画面を表示し、カバー開閉検知センサ21によって遮光カバー20の収納を確認してから、上記ステップS5に移行して表示操作部5に出金金額入力画面を表示する。
【0022】
S12、制御部2は、表示操作部5に遮光カバー20の収納を促す画面を表示し、カバー開閉検知センサ21によって遮光カバー20の収納を確認してから、表示操作部5に顧客認証不可のため出金取引を中止する旨の画面を表示し、挿入された顧客のICカードを返却して出金取引を終了する。
以上説明したように、本実施例では、顧客の指静脈情報と登録指静脈情報とが一致しなかった場合に、顧客に遮光カバーを引出させて再度指静脈情報と登録指静脈情報との一致の有無を確認するため、その遮光カバーで外光を遮断した状態で指静脈情報を取得できるので外光が要因となって正確な指静脈情報が取得できず、顧客認証不可となってしまうことを防止できる。
【0023】
また、遮光カバーは普段は収納された状態で生体情報取得部から退避しているので、顧客にとっては見えない場所に指を伸ばすことがないので、顧客に違和感を与えることが無い。
なお、上記実施例1においては、遮光カバーを引出す旨の画面を表示操作部で表示して顧客に知らせるようにしたが、これに限らず音声案内によって知らせるようにしてもよくその場合は自動取引装置に音声出力のスピーカを設けるようにすればよい。
【実施例2】
【0024】
本実施例の自動取引装置1の内、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
また本実施例は、遮光カバー20に顧客の手に依らず自動で引き出し、収納を行うための図示しない駆動機構が設けられている点が上記実施例1と相違する。
上記の構成の作用について図5に示す実施例2の自動取引装置の動作を示すフローチャートを用い、SAで示すステップに従って説明する。
【0025】
SA1、自動取引装置1の制御部2は、表示操作部5に出金取引等の取引選択ボタンを配した取引選択画面を表示する。
SA2、顧客が取引選択画面で出金取引の取引選択ボタンを押下すると、制御部2はその押下を認識して、表示操作部5にICカードの挿入を促す文言やイラスト等を配した画面を表示する。
【0026】
また、制御部2は記憶部4に記憶しているエラー回数をリセットして初期値の「0」にする。
顧客は、表示されている画面に従ってICカードをカードリーダライタ部9のカード挿入返却口に挿入する。
SA3、カードリーダライタ部9がICカードから登録指静脈情報を読み取ると、制御部2はその登録指静脈情報を記憶部4に記憶し、表示操作部5に生体情報取得部6に指を載せるように促す画面を表示する。
【0027】
SA4、生体情報取得部6が載せられた顧客の指から指静脈情報を取得すると、制御部2は記憶部4から登録指静脈情報を読み出し、登録指静脈情報と取得した指静脈情報とを比較して一定以上の割合で一致しているか否かを判断し、一致している場合はステップSA5に進み、一致していない場合はステップSA7に移行する。
SA5、制御部2は、一致していると判断すると、表示操作部5に出金金額の入力を促す画面と入力のためのテンキー、出金金額入力欄等を配した出金金額入力画面を表示する。
【0028】
顧客は出金金額入力画面に従って出金金額を入力する。
SA6、制御部2は、挿入されているICカードから口座番号を読み取り、その口座番号と入力された出金金額とを付した出金取引指示をホストコンピュータ15に送信することで、出金取引処理を通常通りに実行して終了する。
SA7、制御部2は、指静脈情報が登録指静脈情報と一致していないと判断すると、記憶部4に記憶したエラー回数と閾値を読み出し、エラー回数が閾値未満であるか否かを判断し、閾値未満の場合は次のステップSA8に進み、エラー回数が閾値である場合はステップSA9に移行する。
【0029】
SA8、制御部2は、エラー回数に1を加算して表示操作部5に生体情報取得部6に指を載せるように促す画面を表示し、上記ステップSA4に戻り再度指静脈情報と登録指静脈情報とが一致しているか否かを判断する。
SA9、エラー回数が閾値と同じであると判断した制御部2は、図示しない駆動機構によって遮光カバー15を引出してカバー開閉検知センサ21に遮光カバー20を引出したことを確認すると、表示操作部5に再度生体情報取得部6に指を載せるように促す画面を表示する。
【0030】
SA10、生体情報取得部6が載せられた顧客の指から指静脈情報を取得すると、制御部2はその指静脈情報と上記で読み出している登録指静脈情報とを比較して一定以上の割合で一致しているか否かを判断し、一致している場合は次のステップSA11に進み、一致していない場合はステップSA12に進む。
SA11、制御部2は、遮光カバー20を収納するように動作させ、カバー開閉検知センサ21によって遮光カバー20の収納を確認して、上記ステップSA5に移行して表示操作部5に出金金額入力画面を表示する。
【0031】
SA12、制御部2は、遮光カバー20を収納するように動作させ、カバー開閉検知センサ21によって遮光カバー20の収納を確認して、表示操作部5に顧客認証不可のため出金取引を中止する旨の画面を表示し、挿入された顧客のICカードを返却して出金取引を終了する。
以上説明したように、本実施例では、上記実施例1の効果に加えて、駆動機構によって遮光カバーを動作させるようにしたので、顧客にとっての煩わしさを低減することができる。
【実施例3】
【0032】
本実施例は上記各実施例に対して、偏光板部31を備える遮光カバー30を設けた点が相違する。
図6は実施例3の遮光カバーを示す説明図、図7は回転検出機構を示す説明図である。
図6において、遮光カバー30は、自動取引装置1正面から見て生体情報取得部6の左右両側に配した側板30aと、2枚の側板30a間に配されて生体情報主頭部6の上方に位置し、一定方向の光を透す偏光板部31とによって構成される。
【0033】
偏光板部31は、偏光板31aと、その偏光板31aに重ねるように取り付けて偏光板31aの面と平行に回転する偏光回転板32とによって成る。
そして、偏光回転板32をその透す光の方向が偏光板31aと同じ方向となる位置まで回転させたときに、自動取引装置1の正面に立つ顧客は偏光板部31を透して生体情報取得部6が見えるようになり、その状態から偏光回転板32を略90度回転させることにより偏光板31aに光が透過せず、顧客からは生体情報取得部6が見えなくなる。
【0034】
また偏光回転板32には、顧客の手により回転させるためのつまみと、光が透過する初期位置と初期位置から略90度回転させた遮光位置を示す印が設けられているものとする。
図7において、33は回転検出機構であり、偏光回転板32と噛み合う歯車部34と、その歯車部34と同軸上でさらに下方に取り付けられた一部にスリットを備えた回転検出歯車35、回転検出歯車35のスリットに光が透ることで回転検出歯車35および歯車34の回転量を検出する回転検出センサ36等によって構成される。
【0035】
37は仕切り板であり、生体情報取得部6に指を載せる顧客が回転検出機構33に触れてしまうのを防ぐための板である。
上述した構成の作用について説明する。
ここで、図8は偏光板部による遮光の様子を示す説明図であり、(a)は偏光回転板が初期位置での様子を示し、(b)は偏光回転板を初期位置から略90度回転させた様子を示している。
【0036】
偏光板部30は、取引を行っていないときには、図8(a)に示すように生体情報取得部6が顧客から見える状態となっており、その状態での偏光回転板32の位置を初期位置として定めている。
本実施例では、上記実施例1の図4のステップS9に示す遮光カバー15を引出すように促す画面を表示する代わりに、制御部2は生体情報取得部6に光が入らないように偏光回転板32を回転させるように促す画面を表示し、回転検出センサ36によって偏光回転板32が回転したことを確認して、再度生体情報取得部6に指を載せるように促す画面を表示する。
【0037】
このときの偏光板部30は遮光するように機能して、図8(b)に示すように生体情報取得部6が顧客から見えないようなる。
そして、顧客との取引を終了する前に、制御部2は偏光回転板32を初期位置に戻すように促す旨の画面を表示するようにする。
以上説明したように、本実施例では、偏光板部によって外光を遮断することができるので、指静脈情報を取得したときに外光が要因となって正確な指静脈情報が取得できずに、顧客認証が不可となってしまうことを防止することができる。
【0038】
また、偏光回転板が初期位置のときには顧客は生体情報取得部を見ることができるので、顧客にとっては見えない場所に指を伸ばすことがないので、顧客に違和感を与えることが無い。
なお、上記実施例3においては、偏光回転板を顧客の手動によって回転させるものとして説明したが、モータ等の駆動源を設けてそれによって回転させるようにしてもよく、その場合は例えば、駆動源によって回転検出機構33の歯車34の回転軸を回転させて偏光回転板32を回転させるようにすればよく、この時に回転検出センサ36によって回転検出歯車35の回転量を監視することで偏光回転板32を初期位置と遮光する位置とで止まるように回転を調節するようにする。
【0039】
このようにすることによって、上記実施例3の効果に加えて、顧客にとっての偏光回転板を回転させる煩わしさを低減することができる。
【実施例4】
【0040】
なお、上記各実施例と同様の部分は同一の符号を付してその説明を省略する。
図9は実施例4の遮光カバーを示す説明図である。
本実施例の偏光板部31は、生体情報取得部6の上方に当たる箇所の周囲を透明材で形成した透過部40を備える点が上記実施例3と相違する。
そのため、偏光板31aと偏光回転板32は透過部40に該当する箇所が透明材となっている。
【0041】
図9において、透過部40は、生体情報取得部6に顧客が指を載せて偏光板部31を真上から見たときに、指先全体が生体情報取得部6からずれているか否かを顧客が視認できる程度の大きさに形成されているものとする。
上述した構成の作用について、図10に示す実施例4の自動取引装置の動作を示すフローチャートを用いてSBで示すステップに従って説明する。
【0042】
SB1、自動取引装置1の制御部2は、表示操作部5に出金取引等の取引選択ボタンを配した取引選択画面を表示する。
SB2、顧客が取引選択画面で出金取引の取引選択ボタンを押下すると、制御部2はその押下を認識して、表示操作部5にICカードの挿入を促す文言やイラスト等を配した画面を表示する。
【0043】
また、制御部2は記憶部4に記憶しているエラー回数をリセットして初期値の「0」にする。
顧客は、表示されている画面に従ってICカードをカードリーダライタ部9のカード挿入返却口に挿入する。
SB3、カードリーダライタ部9がICカードから登録指静脈情報を読み取ると、制御部2はその登録指静脈情報を記憶部4に記憶し、表示操作部5に生体情報取得部6に指を載せるように促す画面を表示する。
【0044】
SB4、生体情報取得部6が載せられた顧客の指から指静脈情報を取得すると、制御部2は記憶部4から登録指静脈情報を読み出し、登録指静脈情報と取得した指静脈情報とを比較して一定以上の割合で一致しているか否かを判断し、一致している場合はステップSB5に進み、一致していない場合はステップSB7に移行する。
SB5、制御部2は、一致していると判断すると、表示操作部5に出金金額の入力を促す画面と入力のためのテンキー、出金金額入力欄等を配した出金金額入力画面を表示する。
【0045】
顧客は出金金額入力画面に従って出金金額を入力する。
SB6、制御部2は、挿入されているICカードから口座番号を読み取り、その口座番号と入力された出金金額とを付した出金取引指示をホストコンピュータ15に送信することで、出金取引処理を通常通りに実行して終了する。
SB7、制御部2は、指静脈情報が登録指静脈情報と一致していないと判断すると、記憶部4に記憶したエラー回数と閾値を読み出し、エラー回数が閾値未満であるか否かを判断し、閾値未満の場合は次のステップSB8に進み、エラー回数が閾値である場合はステップSB9に移行する。
【0046】
SB8、制御部2は、エラー回数に1を加算して表示操作部5に生体情報取得部6に指を載せるように促す画面を表示し、上記ステップSB4に戻り再度指静脈情報と登録指静脈情報とが一致しているか否かを判断する。
SB9、エラー回数が閾値と同じであると判断した制御部2は、表示操作部5に偏光板部31の偏光回転板32を遮光位置まで回転させるように促す旨の画面を表示する。
【0047】
SB10、制御部2は、回転検出センサ36によって偏光回転板32が遮光位置まで回転したことを確認すると、再度生体情報取得部6に指を載せるように促すと共に、透過部40から見て指が生体情報取得部6上に載っていることを視認するよう促す画面を表示する。
ここで、図11は偏光板部による遮光の様子を示す説明図であって(a)は偏光回転板が初期位置での様子を示し、(b)は偏光回転板を初期位置から略90度回転させた様子を示している。
【0048】
偏光回転板32の回転前は図11(a)に示すように偏光板部30は光を透過するので、顧客は生体情報取得部6の位置を視認することができる。
そして、偏光回転板32を回転させると、図11(b)に示すように偏光板部30は光を透さないようになるが、顧客は透過部40を透して生体情報取得部6と指の位置関係を視認し、指がずれないで生体情報取得部6に載せることができる。
【0049】
SB11、生体情報取得部6が載せられた顧客の指から指静脈情報を取得すると、制御部2はその指静脈情報と上記で読み出している登録指静脈情報とを比較して一定以上の割合で一致しているか否かを判断し、一致している場合は次のステップSB12に進み、一致していない場合はステップSB13に進む。
SB12、制御部2は、表示操作部5に偏光回転板32を初期位置に回転させるように促す画面を表示し、回転検出センサ36によって偏光回転板32が初期位置まで回転したことを確認してから、上記ステップSB5に移行して表示操作部5に出金金額入力画面を表示する。
【0050】
SB13、制御部2は、表示操作部5に偏光回転板32を初期位置に回転させるように促す画面を表示し、回転検出センサ36によって偏光回転板32が初期位置まで回転したことを確認してから、表示操作部5に顧客認証不可のため出金取引を中止する旨の画面を表示し、挿入された顧客のICカードを返却して出金取引を終了する。
以上説明したように、本実施例は上記実施例3の効果に加えて、透過部を設けたことによって顧客の指が生体情報取得部からずれた位置に載っていて、指静脈情報を正確な状態で取得できないために顧客認証が不可となってしまう事態を防止することができる。
【実施例5】
【0051】
なお、上記各実施例と同様の部分は同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例では、上記実施例3の遮光カバー30の偏光板部31の代わりに液晶板を備えた点が相違する。
図12は実施例5の遮光カバーを示す説明図である。
図12において、50は液晶板であり、顧客から生体情報取得部6が見えるように光を透過させる透過状態と、遮光する遮光状態との切り替えを電圧調整によって行う機能を有する。
【0052】
図13は液晶板の状態を切り替えた様子を示す説明図であり、(a)は透過状態を示し、(b)は遮光状態を示している。
上記の液晶板50を設けたことによって、制御部2は、顧客が生体情報取得部6に指を載せるときには液晶板50を図13(a)に示す透過状態にして、上記実施例4のステップSB7で顧客の指静脈情報が登録指静脈情報と一致しないことでエラー回数が閾値となった場合には、液晶板50を図13(b)に示す遮光状態に切り替えて指静脈情報を取得するようにする。
【0053】
以上説明したように、本実施例は上記実施例3と同様の効果に加えて、透過状態と遮光状態の切り替えを自動取引装置で行うので、その分顧客にとっての手間を省くことができる。
【実施例6】
【0054】
本実施例では、上記実施例5に対して、液晶板50における遮光状態とする範囲を例えば液晶板50全体から、生体情報取得部6の真上に当たる箇所のみとするように制御する点が相違する。
そのため、記憶部4には、制御部2が液晶板50による遮光する範囲を制御するための制御プログラムが格納されているものとする。
【0055】
図14は実施例6の液晶板の一部を遮光状態にした様子を示す説明図である。
本実施例では、液晶板50の全面を遮光状態にした後に生体情報取得部6によって顧客の指静脈情報を取得し、その指静脈情報と登録指静脈情報とが一致していなかった場合に図14に示すように液晶板50の生体情報取得部6の上方だけを遮光状態にする。
そして、指が生体情報取得部6からずれないよう注意を促す画面を表示操作部5に表示する。
【0056】
顧客は表示された画面に従い、液晶板50の透過状態となっている箇所を透して指の位置と生体情報取得部6の位置関係を視認し、生体情報取得部6の上から外れていればその位置を正して指を生体情報取得部6に載せるようにする。
以上説明したように、本実施例は、上記実施例5と同様の効果に加えて、一部を遮光状態にすることで、顧客は自身の指と生体情報取得部との位置関係を視認可能となるので、顧客の指が生体情報取得部から外れた位置にあって、指静脈情報が十分に取得できないことが原因で顧客認証が不可となることを防止することができる。
【0057】
なお、上記各実施例においては、生体情報取得部によって指静脈情報を取得した場合を例に説明したが、指静脈情報の代わりに生体情報としての手のひら静脈情報や指紋情報を生体情報取得部から取得するようにしてもよい。
また、上記各実施例においては、生体情報取得部から取得した生体情報を、取引カード内に記憶されている登録生体情報と比較し、一致するか否かを確認するようにしたが、比較する登録生体情報は取引カードに記憶する代わりに、ホストコンピュータ等の上位装置に記憶しておくようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】実施例1の自動取引装置を含む自動取引システムを示すブロック図
【図2】実施例1の自動取引装置を示す外観図
【図3】生体情報取得部の遮光カバーを示す説明図
【図4】実施例1の自動取引装置の動作を示すフローチャート
【図5】実施例2の自動取引装置の動作を示すフローチャート
【図6】実施例3の遮光カバーを示す説明図
【図7】回転検出機構を示す説明図
【図8】偏光板部による遮光の様子を示す説明図
【図9】実施例4の遮光カバーを示す説明図
【図10】実施例4の自動取引装置の動作を示すフローチャート
【図11】偏光板部による遮光の様子を示す説明図
【図12】実施例5の遮光カバーを示す説明図
【図13】液晶板の状態を切り替えた様子を示す説明図
【図14】実施例6の液晶板の一部を遮光状態にした様子を示す説明図
【符号の説明】
【0059】
1 自動取引装置
2 制御部
3 通信部
4 記憶部
5 表示操作部
6 生体情報取得部
7 現金入出金部
9 カードリーダライタ部
10 通帳記帳部
15 ホストコンピュータ
17 通信回線
20、30 遮光カバー
20a、30a 側板
20b 上板
21 カバー開閉検知センサ
31 偏光板部
31a 偏光板
32 偏光回転板
33 回転検出機構
34 歯車部
35 回転検出歯車
36 回転検出センサ
37 仕切り板
40 透過部
50 液晶板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客の取引カードの読み取りを行うカードリーダ部と、顧客の指から生体情報を取得する生体情報取得部とを備えた自動取引装置において、
前記生体情報取得部におかれた指を覆うことが可能な遮光カバーを備え、
顧客の取引カードから読み取った生体情報と、前記生体情報取得部から取得した生体情報とが一致しなかった場合、前記遮光カバーにより光を遮断して、再度生体情報取得部によって顧客の生体情報を取得することを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動取引装置において、
前記遮光カバーは、伸縮可能な遮光材を備え、
前記遮光材が前記生体情報取得部上に伸びるように前記遮光カバーを引き出すことで、前記生体情報取得部への光を遮断することを特徴とする自動取引装置。
【請求項3】
請求項1に記載の自動取引装置において、
前記遮光カバーは、前記生体情報取得部に対向する位置に配する偏光板と、該偏光板に重ねて偏光回転板とを有し、
前記偏光回転板を回転させて、前記生体情報取得部への光を遮断することを特徴とする自動取引装置。
【請求項4】
請求項3に記載の自動取引装置において、
前記偏光板と前記偏光回転板の前記生体情報取得部への光を遮断する箇所周辺に、光を透過する透過部を設け、
前記生体情報取得部で生体情報を取得するときに、顧客に指の位置を該透過部から視認させることを特徴とする自動取引装置。
【請求項5】
請求項1に記載の自動取引装置において、
前記遮光カバーは、前記生体情報取得部に対向する位置に配されて、前記生体情報取得部への光を遮断する液晶板とすることを特徴とする自動取引装置。
【請求項6】
請求項5に記載の自動取引装置において、
前記液晶板で光を遮断する範囲を、前記生体情報取得部に該当する範囲のみとなるように制御することを特徴とする自動取引装置。
【請求項7】
請求項1から請求項5、または請求項6に記載の自動取引装置において、
表示部を備え、
前記遮光カバーによって光を遮断して、前記生体情報取得部で生体情報を取得するとき、顧客の生体情報を取得する旨の案内を前記表示部に表示することを特徴とする自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−75935(P2009−75935A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−245416(P2007−245416)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】