説明

自動回転刃を利用した発電装置

【解決手段】自動で回転する刃の中心円付近に、刃の回転に合わせて回転する回転受けを当接させ、その当接状態をアームと押付部により当接保持させ、回転受けが回転する動力を受けて発電する発電モータにより、自動回転刃を利用して発電する発電装置。
【効果】刃の中心円付近に当接させることで、刃の表面に当接させるよりも遠心力を受けにくくして当接状態を保持させやすくする。刃の回転を利用して発電することができ、回転刃のスライサーの付属機器の電力を賄うことが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として食肉用のスライサーの付属機器に用いるための発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自転車の車輪の回転を利用して発電する装置は数多く存在した。
(例えば特許文献1参照)。
しかし、自動回転丸刃を利用した発電装置は存在しなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−103071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
食肉用等のスライサーにおいては、研磨装置や洗浄装置など、メンテナンスのために必要な付属機器がある。これらの付属機器を用いる場合、スライサー本体と別途、動力源として電力を外部からの供給を受けなければならないとすると、スライサーが配置される場所によってはコンセントが近くになく、スライサー自体を移動させなければならなくなっていた。
【0005】
そこで、スライサーの付属機器に用いるために、電力を発生させる装置が求められていたが、自転車の発電ダイナモのように刃の表面にローラを取り付けるのみでは、使用者にとって安全ではなく、またスライサーの回転が速いので、安定的に固定することが難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明の自動回転刃を利用した発電装置は、自動で回転する刃と、刃の中心円付近に当接し、刃の回転に合わせて回転する回転受けと、回転受けを刃と当接状態に保持する当接保持体と、回転受けの回転の動力を受けて発電する発電モータと、を有することを特徴とするものである。
【0007】
また、当接保持体は、一端に回転受けを、他端に押付機構を有するアームであって、押付機構の押圧力により、回転受けを刃に当接した状態に保持することが好ましい。
【0008】
また、押付機構は、アームを支持位置で回動自在に支持するアーム支持部材と、アームの支持位置から回転受けと反対側に延長された被押付部と、アームを丸刃側へ回動する方向に被押付部を押し付ける押付部と、を有することが好ましい。
【0009】
また、アームは、その途中から先端側が刃側へ回動する方向に曲折され、途中から基端側にかけては刃側へ回動する方向とは反対側に曲折されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によって、スライサーの刃の回転によって発電をすることが可能になる。これにより、付属機器を利用するための電力を供給することができる。
そして、刃の中心円付近に回転受けを取り付けるため、刃の刃先付近に取り付けるよりも回転受けに受ける遠心力が軽減され、安定して刃に取り付けた状態を保持することができる。
また、使用者も刃の刃先に回転受けを取り付けるのでなく、刃の中心円付近に取り付けるのであるから、刃先に触れる可能性も低く、より安全に取り付けることが可能になる。
【0011】
請求項2に記載の発明によって、アームと押付機構による当接保持体により、回転受けを刃に当接した状態を保持するものであって、押付機構を刃から所定の距離を離して当接状態を保持させることで、使用者の安全を担保することが可能になる。
【0012】
請求項3に記載の発明によって、アームは、被押付部への押し付けにより、支持位置を支点に刃の方向に回動する。これにより、アームの回動を利用して、回転受けを刃に当接した状態を適切に保持することが可能になる。
【0013】
請求項4に記載の発明によって、被押付部への押し付けにより回転受けが丸刃側へ押圧する力が作用するが、アームが曲折していることにより、回転受けが刃を押圧する力がより直線的な方向に作用し、当接状態を適切に保持することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の発電装置を研磨装置に取り付けたうえで、丸刃に取り付けた状態を示す全体斜視図である。
【図2】研磨装置及び丸刃から取り外した本発明の発電装置を示す側面図である。
【図3】本発明の丸刃へ取り付ける状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の第二実施例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の発電装置を図面に沿って説明する。
図1に示す本発明の発電装置1は、当接支持体となるアーム11と、回転受けとなる発電ローラ21と、発電モータ31とからなり、自動で回転する丸刃2に発電ローラ21を当接してその回転する力を受けて発電するものである。
【0016】
図1に示す発電装置1は、制御部4、取付部5を有する研磨装置3に取り付けられたものであり、発電装置1から発電された動力により、制御部4を含む研磨装置3を稼働させる。
この発電装置1の用途は、スライサーに付属し、電力を動力源として稼働する洗浄装置やその他の装置に用いることができ、必ずしも研磨装置3に限定されない。
【0017】
本実施例の刃は丸刃2を使用している。本発明の刃は回転するものであれば、勾玉型をした形状や方形状の形状をしたものであってもよく、丸刃2に限定されない。
また、本実施例の丸刃2は食肉スライサーに用いられるものである。本発明の発電装置1を用いる食肉スライサーは丸刃2が自動で回転することが必要である。例えば、図示しないが外部から電力の供給を受けて、その電力エネルギーにより自動で回転するものがこれにあたる。
【0018】
また、丸刃2も食肉スライサーに用いられるものに限定されず、野菜類などの食物を切断するためのものや、木工等の工作物を切断するために用いられるスライサーにも用いられるものでも、本発明の発電装置を用いることができる。
【0019】
図2に示すように、発電ローラ21は、当接側の面(図2における右側の面)に当接面23がある円筒状の回転体で、発電ローラ21の円周方向に回動自在に回転軸24に軸受け25により軸止されている。当接面23を含む発電ローラ21の表面は、丸刃2と当接して回転するため、摩擦を増やすために弾性体により形成されていることが好ましい。その他、摩擦を増やすために、すべり止めとなるようなスリッドなどが形成されていてもよい。
【0020】
アーム11の先端12は、孔16が開けられており、この孔16に回転軸24を通している。発電ローラ21は、アーム11の先端12の右側(図2の右側)に取り付けられており、アーム11の先端12の左側(図2の左側)に取り付けられた発電モータ31との間を回転軸24で繋いでいる。
この回転軸24により、発電ローラ21が丸刃2の回転を受けて回転した場合、回転軸24を通してその回転動力が発電モータ31に伝わり、発電される。
【0021】
発電モータ31には、送電線等の出力部(図示しない)があり、発電された電力を研磨装置や洗浄装置等の付属機器に供給することができる。
【0022】
アーム11は、所定幅を有する帯状のものであり、上記のごとく、先端12の孔16を通じて発電ローラ21、発電モータ31が取り付けられる。
アーム11の基端は被押付部となる垂直壁13が形成される。垂直壁13は、垂直方向に直立する壁面であり、図2に示すように、アーム11を支持するアーム支持部材41が平面上のものであって、アーム支持部材41から突出するように直立している。
【0023】
図1に示すように、垂直壁13の下縁14でアーム11を折曲し、その折曲する下縁14の位置で、その両側からアーム支持部材41により挟持されて、アーム11は支持される。このアーム11を下縁14でアーム支持部材41により支持する位置がアーム支持位置となる。
【0024】
アーム支持部材41は、平面の板状のものを含む部材であり、アーム11の幅方向長さを切り欠いた部分がアーム11を狭持する狭持部44となる。
狭持部44によるアーム11の支持は、アーム11の垂直壁13の下縁14の両側から突出した突出片(図示しない)と、その突出片が係合する位置にアーム支持部材41に係合孔(図示しない)とを設けて、その両者の係合により支持するものである。この支持により、アーム11は図2のB方向に回動するように支持される。
狭持部44による支持は必ずしもこれに限定されず、アームに突出片がある場合や、その他の手段であってもよい。
【0025】
図1、図2に示すように、アーム支持部材41は平面の板状の部材を含んでおり、この平板上に押付部42が配置される。押付部42の先端からは押付棒43が配置されており、押付棒43の先端は垂直壁13に当接している。押付部42は押付棒43を介して垂直壁13を押し付けるものであり、本実施例では押付部42に形成されるバネにより押し付ける力を作用させている。
【0026】
押付部42は、一定の圧力で押付棒43を介して垂直壁13を押し付けるため、垂直壁13には図2のA方向への押し付ける力が作用する。これにより、アーム11がその垂直壁13の下縁14の両側の狭持された部分を支点に、図2のB方向へ回動する力が作用する。そして、アーム11の先端12に取り付けられた発電ローラ21がC方向へ移動する力が作用する。
【0027】
アーム11は、その途中から先端側が丸刃側へ回動する方向(図2の左側の方向)に曲折され、途中から基端側にかけては丸刃側へ回動する方向とは反対側(図2の右側)に曲折されている。この曲折とは、折れ曲げるように折曲することのみならず、湾曲状にすることも含まれる。さらに、折曲する箇所を増加させたりしてもよく、本実施例の形態に限定されない。
【0028】
本実施例では、アーム11は、垂直壁13の下縁14で丸刃を取り付ける方向と反対側の方向(図2の左側の方向)へ折曲し、その後、アーム11の中間付近よりやや上方の折曲点15で、丸刃2を取り付ける方向(図2の右側の方向)へ略直角に折曲し、その後、さらに折曲して、垂直方向となるように先端12が形成される。
これらの折曲により、押付部42の押し付けにより、アーム11が回動し、アーム11の先端12に取り付けられた発電ローラ12が丸刃を取り付ける方向(図2の右側の方向)に向けてほぼ直線状に力が加わるようにしている。
【0029】
図3に本実施例における発電ローラ21の取り付け状態を示す。
丸刃2の表面2aの中心円2bに発電ローラ21を押し付けて(図3のD方向)、発電ローラ21を丸刃2に当接する。この場合、好ましくは丸刃2の中心円2bと発電ローラ21の当接面23の中心とが当たるように当接させる。これにより、丸刃2の回転の力が円滑に発電ローラ21に伝わるのみならず、丸刃2の回転による遠心力が発電ローラ21にかかり難くすることができ、当接状態を適切に保持することが可能になる。
【0030】
丸刃2の表面2aに、発電ローラ21を中心円付近2bに当接するにあたって、この発電ローラ21が当接する位置に、発電ローラ21の形状と同じ形状に凹ませた凹み2cを形成することが好ましい。この凹み2cに発電ローラ21が当接して、係合し、この状態を保持し易くなる。
【0031】
また、本発明の第二実施例を図4に示す。この実施例は、当接保持体である丸刃係合部51が丸刃2の表面2aと回転軸24や軸受け25に取り付けられる。丸刃係合部51は、ステー52と、その両端に形成された係合ネジ53、53と、ステー52の中央に開けられた通し孔(図示しない)とからなる。
【0032】
ステー52の通し孔に回転軸24や軸受け25を通し、ステー52が回動できるように発電ローラ21に固定する。そして、発電ローラ21を丸刃2の中心円付近2bに当接した状態で、丸刃2の表面2aに向かってネジが突出した係合ネジ53、53を丸刃2の表面2aに開孔されたネジ孔(図示しない)にねじ込んで当接状態を保持する。
【0033】
図4に示す第二実施例では、丸刃2の表面2aに取り付けた丸刃係合部51により、発電ローラ21の当接状態が適切に保持される。これにより、最小限の部材で発電ローラ21の当接を保持することができる。この場合、第一実施例の当接保持体となるアーム11等は不要であるが、ともに用いてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1…発電装置、2…丸刃、2a…表面、2b…中心点付近、2c…凹み、11…アーム、13…垂直壁、21…発電ローラ、31…発電モータ、41…アーム支持部材、42…押付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動で回転する刃と、
刃の中心円付近に当接し、刃の回転に合わせて回転する回転受けと、
回転受けを刃と当接状態に保持する当接保持体と、
回転受けの回転の動力を受けて発電する発電モータと、
を有することを特徴とする自動回転刃を利用した発電装置。
【請求項2】
当接保持体は、一端に回転受けを、他端に押付機構を有するアームであって、
押付機構の押圧力により、回転受けを刃に当接した状態に保持することを特徴とする請求項1に記載の自動回転刃を利用した発電装置。
【請求項3】
押付機構は、アームを支持位置で回動自在に支持するアーム支持部材と、
アームの支持位置から回転受けと反対側に延長された被押付部と、
アームを丸刃側へ回動する方向に被押付部を押し付ける押付部と、
を有することを特徴とする請求項2に記載の自動回転刃を利用した発電装置。
【請求項4】
アームは、その途中から先端側が刃側へ回動する方向に曲折され、途中から基端側にかけては刃側へ回動する方向とは反対側に曲折されていることを特徴とする請求項3に記載の自動回転刃を利用した発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−66980(P2013−66980A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207963(P2011−207963)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(591076028)株式会社なんつね (27)
【Fターム(参考)】