説明

自動改札機

【課題】 記念乗車券等の特定種の非接触媒体については使用済みとなった場合でも、利用者が使用済みとなった非接触媒体を持って退場することができる自動改札機を提供する。
【解決手段】 自動改札機1は、利用者が所持しているトークン10が使用済みとなった場合、このトークン10が記念乗車券等、多くの利用者が手元に残したいと考える特定の種類のトークン10であるかどうかを判定し、特定の種類のトークン10でなければ、投入口シャッタ6aを開し、トークン10が本体に投入されるのを待って利用者の通行を許可する。反対に、特定の種類のトークン10であれば、投入口シャッタ6aを開することなく、利用者の通行を許可する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、駅の改札口やテーマパークの入口等に設置される自動改札機に関し、特に無線通信機能を有する非接触媒体から利用者の入退場の可否の判定に用いる乗車券情報や入園券情報等の券情報を取得する自動改札機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駅の改札口や、テーマパークの入口等に自動改札機が設置されている。自動改札機は、周知のように利用者が所持するキップ等に記録されている券情報、例えば乗車券情報や入園券情報、を読み取り、この券情報を用いて利用者の通行可否(入退場の可否)を判定し、この判定結果に基づいて利用者の通行(入退場)を制限する。最近、無線通信機能を有する非接触媒体に券情報を記録し、この非接触媒体との無線通信により券情報を取得して、この非接触媒体を所持する利用者の通行可否を判定する自動改札機が実用化されている。非接触媒体は、これまでの磁気式のキップに比べて高価であることから、退場する利用者から使用済みの非接触媒体を回収し、回収した非接触媒体をリサイクルすることが考えられている。例えば、特許文献1には、利用者が所持している非接触媒体が使用済みとなったかどうかを判定し、使用済みとなったと判定した場合に、自動改札機本体に設けた非接触媒体の投入口を開して、利用者に使用済みとなった非接触媒体を投入口に投入させることで、使用済みとなった非接触媒体を回収する構成を備えた自動改札機が記載されている。また、使用済みになっていない非接触媒体であると判定すると、投入口を開しないことで、使用済みになっていない非接触媒体が誤って投入されるのを防止することが記載されている。
【0003】
ところで、特許文献1に記載された自動改札機は、使用済みとなった非接触媒体が投入口から本体に投入されるまで、利用者の通行を制限することから、利用者は使用済みとなった記念乗車券である非接触媒体を持ち帰ることができない。このため、例えば記念乗車券を非接触媒体で発行した場合、利用者が退場するときに記念乗車券である非接触媒体を投入口から本体に投入することになり、利用者の手元に記念乗車券を残すことができない。そこで、使用済みとなって本体に投入された非接触媒体が記念乗車券として発行されたものであれば、この記念乗車券である非接触媒体に代わる記念券を発行することで利用者の手元に記念券を残す自動改札機が特許文献2で提案されている。
【特許文献1】特開2001−307157号公報
【特許文献2】特開2001−256523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2で提案されている自動改札機は、記念乗車券である非接触媒体に代わる記念券を発行するための構成が必要になり、自動改札機本体が大型化するという問題があった。
【0005】
この発明の目的は、記念乗車券等の特定種の非接触媒体については使用済みとなった場合でも、利用者が使用済みとなった非接触媒体を持って退場することができる自動改札機を提供することにある。
【0006】
また、この発明は、記念乗車券等の特定種の非接触媒体については使用済みとなった場合でも、利用者が使用済みとなった非接触媒体を持って退場することができ、且つ利用者が必要に応じて使用済みとなった特定種の非接触媒体を本体に回収させることができる自動改札機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の自動改札機は、上記課題を解決するために以下の構成を備えている。
【0008】
(1)利用者の通行可否の判定に用いる券情報を記録した非接触媒体との間における無線通信により前記券情報を取得する券情報取得手段と、
前記券情報取得手段により取得した券情報を用いて、利用者の通行可否を判定する通行可否判定手段と、
前記通行可否判定手段が通行可と判定した場合に、今回券情報を取得した前記非接触媒体が使用済みとなったかどうかを判定する使用済み判定手段と、
前記使用済み判定手段が今回券情報を取得した前記非接触媒体が使用済みとなったと判定した場合に、この非接触媒体が回収すべきものであるかどうかを判定する回収判定手段と、
前記回収判定手段が回収すべきものであると判定した場合に、前記非接触媒体を本体に取り込むための投入口を開して、回収すべきであると判定した非接触媒体が該投入口から本体に投入されるのを待って利用者の通行を許可し、反対に前記回収判定手段が回収すべきものでないと判定した場合、または前記使用済み判定手段が今回券情報を取得した前記非接触媒体が使用済みにならなかったと判定した場合に、本体に設けた前記非接触媒体の投入口を開することなく利用者の通行を許可する通行制御手段と、を備えている。
【0009】
この構成では、券情報取得手段が利用者の通行可否の判定に用いる券情報を無線通信により非接触媒体から取得し、この券情報を用いて通行可否判定手段が利用者の通行可否を判定する。また、使用済み判定手段が今回券情報を取得した非接触媒体が使用済みとなったかどうかを判定し、使用済みとなった非接触媒体であれば、回収判定手段が回収すべきかどうかを判定する。通行制御手段は、回収判定手段が回収すべき非接触媒体であると判定した場合、非接触媒体を本体に取り込むための投入口を開し、非接触媒体が投入口から本体に投入されるのを待って利用者の通行を許可する。また、回収判定手段が回収すべき非接触媒体でないと判定した場合、本体に設けた非接触媒体の投入口を開することなく利用者の通行を許可する。したがって、回収手段が回収すべきでないと判定する非接触媒体については使用済みとなっても、利用者はこの非接触媒体を投入口から本体に投入することなく通行でき、この非接触媒体を利用者の手元に残すことができる。
【0010】
ここで、回収判定手段が回収すべきものでないと判定する種類の非接触媒体を、記念乗車券や記念入園券等の多くの利用者が手元に残したいと思う種類の非接触媒体とすることで、利用者が手元に残したいと思う非接触媒体については、利用者の手元に残すことができる。また、利用者が手元に残したいと思う非接触媒体に代わる券を発行する構成を本体に設ける必要がないので、装置本体の大型化も防止できる。
【0011】
また、通常の乗車券として発行された非接触媒体等については、使用済みとなったときに回収すべきものであると判定するので、利用者が手元に残したいと思わない非接触媒体については確実に回収でき、非接触媒体のリサイクルが適正に行える。
【0012】
(2)前記回収判定手段が回収すべき非接触媒体でないと判定した後に、本体に対してこの非接触媒体の回収を要求する入力があったかどうかを判定する回収要求判定手段を備え、
前記通行制限手段は、前記回収要求判定手段が非接触媒体の回収を要求する入力があったと判定したとき、利用者の通行を許可した状態で本体に設けた前記非接触媒体の投入口を開する。
【0013】
この構成では、前記回収判定手段が使用済みとなった非接触媒体について回収すべき非接触媒体でないと判定した後に、利用者が本体に対してこの非接触媒体の回収を要求する入力操作を行うと、回収要求判定手段がこの非接触媒体の回収を要求する入力があったと判定する。回収要求判定手段が非接触媒体の回収を要求する入力があったと判定したとき、通行制限手段が本体に設けた非接触媒体の投入口を開する。したがって、記念乗車券や記念入園券等の多くの利用者が手元に残したいと思う種類の非接触媒体であっても、この非接触媒体を手元に残したいと思わない利用者から非接触媒体を回収することができ、非接触媒体のリサイクルが一層適正に行える。
【0014】
また、回収要求判定手段が非接触媒体の回収を要求する入力があったと判定した場合でも、利用者の通行については許可した状態を保持するようにしているので、利用者が非接触媒体の回収を要求する入力操作を行った後に、この非接触媒体を手元に残したいと気が変わった場合や、この入力操作を誤って行った場合であっても、利用者はこの非接触媒体を投入口から本体に投入することなく通行でき、この非接触媒体を手元に残すことができる。
【0015】
(3)前記回収要求判定手段は、前記券情報取得取得手段が無線通信により前記非接触媒体から前記券情報を取得した後、前記券情報取得手段とこの非接触媒体との無線通信が一旦切断され、その後再接続されたときに、この非接触媒体の回収を要求する入力があったと判定する。
【0016】
この構成では、非接触媒体との無線通信が一旦切断された後に、その後再接続されると、この非接触媒体の回収を要求する入力があったと判定する。非接触媒体との無線通信エリアは自動改札機本体に設けられているアンテナから数cmの範囲である。したがって、利用者は通行時に非接触媒体をアンテナに近づけて本体との無線通信エリアに位置させた後、非接触媒体をアンテナから離して一旦この無線通信エリアの外に位置させ、再度アンテナに近づけるという簡単な操作で、非接触媒体の回収を要求する入力が行える。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、装置本体の大型化が防止でき、また多くの利用者が手元に残したいと思う記念乗車券や記念入園券等の種類の非接触媒体を利用者の手元に残すことができる。また、通常の乗車券として発行された非接触媒体等については確実に回収でき、非接触媒体のリサイクルが適正に行える。
【0018】
また、多くの利用者が手元に残したいと思う種類の非接触媒体であっても、この非接触媒体を手元に残したいと思わない利用者から、非接触媒体を回収することができ、非接触媒体のリサイクルが一層適正に行える。さらに、利用者が非接触媒体の回収を要求する入力操作を行った後であっても、この非接触媒体を投入口から本体に投入することなく通行できるので、操作後に気がかわったり誤操作で回収を要求した場合にも、この非接触媒体を手元に残すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の実施形態である自動改札機について説明する。
【0020】
この実施形態では、駅の改札口に設置される自動改札機を例にして説明する。図1はこの発明の実施形態である自動改札機の主要部の構成を示すブロック図であり、図2はこの自動改札機の外観を示す図である。図2(A)は上面図であり、図2(B)は通路側の側面図であり、図2(C)は通路入口側の正面図である。多くの場合、駅では自動改札機1を対向して配置し、その間に形成される通路における通行を双方向にしている。図2では一方の自動改札機1を示している。通路を通行する利用者の右側に配置されている自動改札機1がこの利用者の通行を制限する。
【0021】
この実施形態の自動改札機1は、本体の動作を制御する制御部2と、無線通信により乗車券(キップ、記念乗車券、定期券、回数券、プリペイド券等)である非接触媒体に記憶されている乗車券情報を、この非接触媒体との無線通信により取得する無線通信部3と、扉4aを開閉して通路における利用者の通行を制限する扉開閉部4と、通路における利用者の通行を検出する通行検出部5と、使用済みとなった乗車券を回収する回収部6と、利用者に対して案内画面を表示する表示部7と、を備えている。
【0022】
図3(A)は乗車券情報を記憶した非接触媒体の外形を示す図であり、図3(B)はこの非接触媒体の構成を示す図である。図3では、コイン形状の非接触媒体10(以下、トークン10と言う。)を示しているがカード形状等、他の形状であってもよい。トークン10は、制御部11と、自動改札機1と無線通信を行う無線通信部12と、乗車券情報を記憶する記憶部13と、を備えている。
【0023】
自動改札機1は、無線通信部3のアンテナ3aを通路の入口右側に配置している。無線通信部3は、このアンテナ3aから数cmの範囲が無線通信エリアである。無線通信部3は、通信エリア内に位置するトークン10に対して応答を要求するポーリング信号を一定時間間隔、例えば数ms〜数十ms、でアンテナ3aから繰り返し送信し、トークン10からレスポンスがあると、通信エリア内にトークン10が位置していると判定する。トークン10は、自動改札機1が送信してくるポーリング信号等の搬送波から動作電源を得る電源回路を無線通信部12に設けた、電池レスの非接触媒体である。トークン10は、自動改札機1の無線通信部3の通信エリア内に位置しているとき動作電源を得ることができる。記憶部13には、この非接触媒体10を識別するシリアル番号、発行日時、発行場所、料金、券種(通常の乗車券、記念乗車券、定期券、回数券、プリペイド券等)、有効期間等の情報を乗車券情報として記憶している。
【0024】
なお、有効期間は、トークン10自体の有効期間(リサイクルしてもよい期間)としてもよいし、乗車券として使用できる期間としてもよい。
【0025】
扉開閉部4は、扉4a、4bを個別に開閉することができ、扉4a、4bの開閉により通路における利用者の通行を制限する。通路の出口側の扉4aは、無線通信部3においてトークン10から取得した乗車券情報に基づいて利用者の通行可否を判定した判定結果に応じて開閉される。また、通路の入口側の扉4bについては対向して配置されている図示していない側の自動改札機からの指示にしたがって開閉する。言い換えれば、自動改札機1は、通路を挟んで対向して配置されている図示していない側の自動改札機に対して、入口側の扉の開閉を指示する。
【0026】
なお、通路を挟んで対向している2つの自動改札機1は、一方の入口側の扉4aに他方の出口側の扉4b対向している。
【0027】
通行検出部5は、自動改札機1の通路側の側面に、通路に沿って設けた複数のセンサにより、通路における利用者の通過を検出する。また、アンテナ3aの近くには、使用済みとなったトークン10を投入する投入口6aが設けられている。この投入口6aには、図4に示すように、トークン10の投入を制限する投入口シャッタ6bが設けられている。また、回収シャッタ6cおよびリジェクトシャッタ6dにより、投入口6aから投入されたトークン10を一時保留する一時保留部が形成されている。この一時保留部の側面にも、無線通信部3のアンテナ(不図示)が設けられており、一時保留部に保留しているトークン10から乗車券情報を無線通信により取得できる。回収シャッタ6cを開すると、一時保留部に保留しているトークンが図示していないリサイクルボックスに送られる。リサイクルボックスに送られたトークン10は、リサイクルされる。リジェクトシャッタ6dを開すると、一時保留部に保留しているトークン10が自動改札機1の側面に設けられている返却口6eに放出される。回収部6が、投入口シャッタ6b、回収シャッタ6c、およびリジェクトシャッタ6dを個別に開閉する。
【0028】
回収部6は、利用者に対して通路の通行が許可され、且つこの利用者が所持している使用済みとなったトークン10を回収するときに投入口シャッタ6bを開する。このとき、回収シャッタ6c、およびリジェクトシャッタ6dについては閉しており、投入口6aから投入されたトークン10が一時保留部に保留される。回収部6は、一時保留部にトークン10を保留すると、投入口シャッタ6bを閉する。そして、一時保留部に保留したトークン10が適正なものであれば、回収シャッタ6cを開し、このトークン10をリサイクルボックスに回収する。その後、回収シャッタ6cを閉する。一方、一時保留部に保留したトークン10が適正なものでなければ、リジェクトシャッタ6dを開し、このトークン10を返却口6eに放出することで、このトークン10を利用者に返却する。その後、リジェクトシャッタ6dを閉する。投入口シャッタ6b、回収シャッタ6c、およびリジェクトシャッタ6dは通常閉されており、必要に応じて開される。
【0029】
また、表示部7は、利用者に対して通路の通行を案内する案内画面や、記念乗車券等のトークン10が使用済みとなったときに、このトークン10を所持している利用者に対する案内画面(記念乗車券等のトークン10を回収させる場合の案内画面)を表示器7aに表示する。表示器7aは、アンテナ3aの近くに設けられている。
【0030】
上述した説明から明らかなように、アンテナ3a、投入口6a、返却口6e、表示器7aは通路の右側の自動改札機1の入り口側に設けられている。
【0031】
次に、この実施形態の自動改札機の動作について説明する。図5、図6は、この実施形態の自動改札機の動作を示すフローチャートである。自動改札機1は、無線通信部3において通信エリア内に位置するトークン10に対するポーリングを数ms〜数十msの時間間隔で繰り返し行いながら、通信エリア内に位置するトークン10の有無を検出する(s1〜s3)。s3では、直前に行ったポーリングに対するレスポンスの有無により、通信エリア内に位置するトークン10の検出を行う。自動改札機1の通路を通行する利用者は、通路の入口で所持しているトークン10を無線通信部3の通信エリア内に位置させる。トークン10は、通信エリア内に位置すると、自動改札機1のアンテナ3aから送信されているポーリング信号等の搬送波から動作電源を得て、動作を開始する。トークン10は、自動改札機1からのポーリングに対してレスポンスを返す。このレスポンスに、トークン10の記憶部13に記憶している乗車券情報が含まれている。
【0032】
なお、このレスポンスに乗車券情報を含ませないで、自動改札機1がレスポンスの受信後にトークン10に対して乗車券情報の送信を要求し、この要求に応じてトークン10が自動改札機1へ乗車券情報を送信するようにしてもよい。
【0033】
自動改札機1は、通信エリア内に位置しているトークン10から乗車券情報を取得すると(s4)、今回取得した乗車券情報を用いて利用者の通行可否を判定する(s5)。s5では乗り越し等にともなう精算が必要な利用者に対して通行不可と判定する。自動改札機1は、s5で通行不可と判定すると、扉4aを閉し(s34)、利用者の通行を禁止する。また、このとき、通行が許可されなかった理由のメッセージ、例えば乗り越し等にともなう精算が必要である旨のメッセージ、を表示器7aに表示し、通行が許可されなかった理由を利用者に通知するようにしてもよい。一方、s5で通行可と判定すると、トークン10が使用済みとなったかどうかを判定する(s6)。キップとして発行されたトークン10であれば、駅からの出場時に使用済みとなったと判定される。また、プリペイドカードとして発行されたトークン10であれば、駅からの出場時に残高が0であれば使用済みとなったと判定される。
【0034】
自動改札機1は、s6で使用済みとなっていないと判定すると、扉4aを開し(s7)、利用者の通行が完了するのを待って(s8)、本処理を終了する。また、s6で使用済みとなったと判定すると、多くの利用者が手元に残したいと思う特定の種類の乗車券、例えば記念乗車券、として発行されたトークン10であるかどうかを判定する(s9)。自動改札機1は、s9で特定の種類の乗車券でないと判定すると、投入口シャッタ6bを開するとともに、トークン10を投入口6aから本体に投入することを促す案内画面を表示器7aに表示する(s10、s11)。このとき、回収シャッタ6cおよびリジェクトシャッタ6dについては閉されている。
【0035】
自動改札機1は、トークン10が投入口6aから本体に投入されるか、または利用者がトークン10を投入口6aから本体に投入することなく通路を進行していないかを監視する(s12、s13)。自動改札機1は、s12で投入口6aからトークン10が投入されたことを検出すると、投入口シャッタ6bを閉し(s14)、今回投入されたトークン10が適正であるかどうかを判定する(s15)。上述したように、この時点では、回収シャッタ6cおよびリジェクトシャッタ6dを閉しているので、投入口6aから投入されたトークン10は一時保留部で保留されている。s15では、一時保留部で保留しているトークン10が記憶している乗車券情報を無線通信により取得し、s4で取得した乗車券情報に含まれていたトークン10のシリアル番号と、今回取得した乗車券情報に含まれているシリアル番号と、が一致しているかどうかを判定する。自動改札機1は、2つのシリアル番号が一致していれば適正なトークン10が投入されたと判定し、反対に2つのシリアル番号が一致していなければ適正なトークン10が投入されなかったと判定する。
【0036】
自動改札機1は、s15で適正なトークン10が投入されていないと判定すると、リジェクトシャッタ6dを一定時間(2〜3秒)開して、一時保留部に保留しているトークン10を返却口6eに放出する(s16)。これにより、利用者が投入口6aに誤って投入したトークン10を利用者に返却できる。また、自動改札機1がリジェクトシャッタ6を開する一定時間は、一時保留部に保留しているトークン10を返却口6eに放出するのに十分な時間である。自動改札機1は、一時保留部に保留していたトークン10を返却口6eに放出すると、s12に戻って上記処理を繰り返す。また、自動改札機1はs13で利用者がトークン10を投入口6aから本体に投入することなく通路を進行していることを検出すると、扉4aを閉して利用者の通行を制限し(s17)、s12に戻る。このとき、自動改札機1は、対向して配置されている自動改札機1対して、扉4aに対向する扉4bの閉を指示し、この指示にしたがって対向して配置されている自動改札機1が扉4bを閉する。したがって、利用者は使用済みとなったトークン10を投入口6aから本体に投入するまで、通路の通行が許可されない。言い換えれば、利用者は使用済みとなった特定の種類でないトークン10を投入口6aから本体に投入することなく通路を通行することができない。
【0037】
自動改札機1は、s15で今回投入されたトークン10が適正であると判定すると、回収シャッタ6cを開して投入されたトークン10をリサイクルボックスに送る(s18)。自動改札機1は、トークン10をリサイクルボックスに送ると、回収シャッタ6cを閉する。自動改札機1は、扉4aを開して、利用者に対して通行を許可する(s19)。自動改札機1は利用者が通路の通行を終えるのを待って(s20)、本処理を終了する。
【0038】
また、自動改札機1はs9で多くの利用者が手元に残したいと思う、特定の種類の乗車券であると判定すると、このトークン10が不要であれば、トークン10を一旦通信エリアの外に移動させ、再度通信エリアに位置させる2回タッチを行うことで、投入口6aからトークン10を本体に投入できることを案内する画面を表示する(s21)。例えば、図7に示す案内画面A、Bを一定時間間隔で交互に表示する。このとき、投入口シャッタ6bは閉された状態であり、利用者がトークン10を投入口6aから本体に投入することができない。また、自動改札機1は、扉4aを開して、利用者に対して通行を許可する(s22)。自動改札機1は利用者が通路の通行を終えるか、または一旦通信エリアの外に移動したトークン10を再度通信エリア内に位置させる、2回タッチが行われたことを検出するの待つ(s23、s24)。自動改札機1は、s23で利用者が通路の通行を終えたことを検出すると、本処理を終了する。したがって、利用者は、記念券等として発行されたトークン10を持ち帰ることができ、このトークン10を手元に残せる。
【0039】
また、利用者が通路の通行を終えたことを検出する前に、一旦通信エリアの外に移動されたトークン10が再度通信エリア内に位置された2回タッチを検出すると、投入口シャッタ6bを開する(s25)。自動改札機1は利用者が通路の通行を終えるか、または投入口6aからトークン10が本体に投入されるの待つ(s26、s27)。このとき、自動改札機1は扉4aを開しており、利用者に対して通路の通行を許可した状態を維持している。したがって、利用者はトークン10を投入口6aから本体に投入しなくても、通路を通行することができる。このため、トークン10を持ち帰る必要がないと思って、トークン10を一旦通信エリアの外に移動させ、再度トークン10を通信エリア内に位置させた利用者がトークン10を持ち帰りたいという気持ちに変化しても、トークン10を投入口6aから本体に投入する前であれば、このトークン10を持ち帰ることができる。また、利用者の誤操作により、一旦通信エリアの外に移動されたトークン10が再度通信エリア内に位置された場合であっても、同様に利用者はトークン10を持ち帰ることができる。
【0040】
自動改札機1は、s26で利用者が通路の通行を終えたことを検出すると、投入口シャッタ6bを閉し(s28)、本処理を終了する。一方、s25で投入口6aからトークン10が本体に投入されたことを検出すると、投入口シャッタ6bを閉し(s29)、今回投入されたトークン10が適正であるかどうかを判定する(s30)。上述したように、この時点では、回収シャッタ6cおよびリジェクトシャッタ6dについては閉しているので、投入口6aから投入されたトークン10は一時保留部で保留される。s30では上述したs15と同様に、一時保留部で保留しているトークン10が記憶している乗車券情報を無線通信により取得し、s4で取得した乗車券情報に含まれていたトークン10のシリアル番号と、今回取得した乗車券情報に含まれているシリアル番号と、が一致しているかどうかを判定する。自動改札機1は、2つのシリアル番号が一致していれば適正なトークン10が投入されたと判定し、反対に2つのシリアル番号が一致していなければ適正なトークン10が投入されなかったと判定する。
【0041】
自動改札機1は、s28で適正なトークン10が投入されていないと判定すると、リジェクトシャッタ6dを一定時間(2〜3秒)開して、一時保留部に保留しているトークン10を返却口6eに放出する(s31)。これにより、利用者が誤って投入したトークン10を利用者に返却する。自動改札機1は、トークン10の放出完了後、s25に戻る。また、自動改札機1はs30で今回投入されたトークン10が適正であると判定すると、回収シャッタ6cを開して投入されたトークン10をリサイクルボックスに送る(s32)。自動改札機1は、利用者が通路の通行を終えるのを待って(s33)、本処理を終了する。
【0042】
このように、この実施形態の自動改札機1は、多くの利用者が手元に残したいと思う記念乗車券等のトークン10については利用者が持ち帰ることができ、且つ通常のトークン10については確実に回収することができる。また、記念乗車券等のトークン10についても利用者の意志で自動改札機1に投入することができる。したがって、記念乗車券等のトークン10を手元に残したいと思わない利用者からトークン10を回収し、リサイクルすることができる。また、従来の装置のように、装置本体に記念乗車券として発行したトークン10に代わる記念券を発行するための構成を設ける必要がなく、装置本体を大型化させることもない。
【0043】
なお、上記実施形態では、記念乗車件等のトークン10を手元に残したいと思わない利用者に、トークン10を一旦通信エリアの外に移動させ、再度通信エリア内に位置させる2回タッチを行わせるとしたが、表示器7aにタッチパネルを設け、トークン10を持ち帰るか、本体に投入するかを選択させるボタンを表示して、利用者に操作させるようにしてもよいし、他の方法でトークン10を持ち帰るか、本体に投入するかを選択させるようにしてもよい。また、自動改札機1は、s7、s19、s22で扉4aを開する処理を行うときに、扉4aがすでに開の状態であれば、この状態を維持する。同様に、s17、s34で扉4aを閉する処理を行うときに、扉4aがすでに閉の状態であれば、この状態を維持する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明の実施形態である自動改札機の主要部の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施形態である自動改札機の外観を示す図である。
【図3】非接触媒体の構成を示すブロック図である。
【図4】この実施形態の自動改札機における投入口付近を示す図である。
【図5】この実施形態の自動改札機の動作を示すフローチャートである。
【図6】この実施形態の自動改札機の動作を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施形態である自動改札機の表示器に表示される案内画面を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
1−自動改札機
2−制御部
3−無線通信部
4−扉開閉部
5−通行検出部
6−回収部
7−表示部
10−トークン(非接触媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の通行可否の判定に用いる券情報を記録した非接触媒体との間における無線通信により前記券情報を取得する券情報取得手段と、
前記券情報取得手段により取得した券情報を用いて、利用者の通行可否を判定する通行可否判定手段と、
前記通行可否判定手段が通行可と判定した場合に、今回券情報を取得した前記非接触媒体が使用済みとなったかどうかを判定する使用済み判定手段と、
前記使用済み判定手段が今回券情報を取得した前記非接触媒体が使用済みとなったと判定した場合に、この非接触媒体が回収すべきものであるかどうかを判定する回収判定手段と、
前記回収判定手段が回収すべきものであると判定した場合に、前記非接触媒体を本体に取り込むための投入口を開して、回収すべきであると判定した非接触媒体が該投入口から本体に投入されるのを待って利用者の通行を許可し、反対に前記回収判定手段が回収すべきものでないと判定した場合、または前記使用済み判定手段が今回券情報を取得した前記非接触媒体が使用済みにならなかったと判定した場合に、本体に設けた前記非接触媒体の投入口を開することなく利用者の通行を許可する通行制御手段と、を備えた自動改札機。
【請求項2】
前記回収判定手段が回収すべき非接触媒体でないと判定した後に、本体に対してこの非接触媒体の回収を要求する入力があったかどうかを判定する回収要求判定手段を備え、
前記通行制限手段は、前記回収要求判定手段が非接触媒体の回収を要求する入力があったと判定したとき、利用者の通行を許可した状態で本体に設けた前記非接触媒体の投入口を開する請求項1に記載の自動改札機。
【請求項3】
前記回収要求判定手段は、前記券情報取得取得手段が無線通信により前記非接触媒体から前記券情報を取得した後、前記券情報取得手段とこの非接触媒体との無線通信が一旦切断され、その後再接続されたときに、この非接触媒体の回収を要求する入力があったと判定する請求項2に記載の自動改札機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−31157(P2006−31157A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−205850(P2004−205850)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】