説明

自動水栓システム

【課題】 実際の使用状態を的確かつ容易に把握し、発展させた節水対策を行ったり節水意識を高め得るようにするとともに、モニタデータを容易に収集可能にする。
【解決手段】 水栓制御部3に、所定の操作により、データ転送モードに切換わることによりモニタデータDmを無線通信により送信可能なデータ転送機能Fcを設けるとともに、自動水栓装置Mに対して無線通信を行うリモコンRを備え、このリモコンRに、少なくともデータ転送モードに切換わった水栓制御部3からモニタデータDmを受信し、かつ受信したモニタデータDmをメモリ7に記憶するリモコン制御部6を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検出体の検出により開閉弁を自動で開制御し、かつ被検出体の非検出により開閉弁を自動で閉制御する自動水栓システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水路を開閉する開閉弁を有する水路開閉部と、センサ部による被検出体の検出により開閉弁を開制御し、かつセンサ部による被検出体の非検出により開閉弁を閉制御する水栓制御部とを備えた自動水栓装置は知られており、例えば、特許文献1には、水栓金具の前に差し出された手を、該水栓金具に設けた光学系センサによって検知し、該水栓金具に連通した止水弁を中央制御回路により開閉駆動して自動的に止水を行う自動水栓装置であって、光学系センサの光電変換回路を光学系検知端部と離間設置すると共に、該光電変換回路と光学系検知端部間を光ファイバケーブルを介して結合した自動水栓装置が開示されている。
【特許文献1】特開平5−311709号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述した自動水栓装置をはじめ従来の自動水栓装置は、次のような問題点があった。
【0004】
第一に、この種の自動水栓装置は、必要なときだけ給水が行われるため、一定の節水効果は得れるものの、更なる発展させた節水対策を行ったり節水意識を高めにくい。即ち、実際の使用状態を的確かつ容易に把握できないため、例えば、データ解析を行うなどにより、自動水栓装置の本来の機能や利便性を確保しつつ、更なる発展させた節水対策を行ったり節水意識を高めにくく、節水効果や節水意識を高めるにも限界がある。
【0005】
第二に、実際の使用状態を的確かつ容易に把握するためには、使用状態に係わるモニタデータの収集が必要となる。この場合、モニタデータを収集するデータ処理系を含む電気回路ユニットを自動水栓装置に付設又は内蔵させる必要があるが、電気系回路やコネクタ等は、防水性を考慮して水廻り場所から離したり厳重なケーシング等に内蔵させる必要があり、モニタデータを容易に収集することができない。
【0006】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した自動水栓システムの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するため、水路Pを開閉する開閉弁2vを有する水路開閉部2と、センサ部3sによる被検出体Hの検出により開閉弁2vを開制御し、かつセンサ部3sによる被検出体Hの非検出により開閉弁2vを閉制御する水栓制御部3とを有する自動水栓装置Mを備える自動水栓システム1を構成するに際して、水栓制御部3に、所定の操作により、データ転送モードに切換わることによりモニタデータDmを無線通信により送信可能なデータ転送機能Fcを設けるとともに、自動水栓装置Mに対して無線通信を行うリモコンRを備え、このリモコンRに、少なくともデータ転送モードに切換わった水栓制御部3からモニタデータDmを受信し、かつ受信したモニタデータDmをメモリ7に記憶するリモコン制御部6を設けたことを特徴とする。
【0008】
この場合、発明の好適な態様により、水栓制御部3には、所定の操作体4が接近することにより非接触にてON(又はOFF)に切換わるスイッチ手段5と、このスイッチ手段5のON(又はOFF)により、少なくともデータ転送モードに切換わるデータ転送機能Fcを設けるとともに、操作体4が付属するリモコンRを備えることができる。また、操作体4には、マグネット4mを用いることができるとともに、スイッチ手段5には、マグネット4mが接近することにより非接触にてON(又はOFF)に切換わるリードスイッチ5sを用いることができる。さらに、水栓制御部3には、少なくともセンサ部3sの検出及び非検出に基づくモニタデータDmを収集して記憶するデータ収集機能Fdを設けることができる。なお、モニタデータDmには、センサ部3sによる検出の回数,検出と非検出間の時間の少なくとも一方又は双方を含ませることができる。一方、リモコンRと自動水栓装置M間は、単方向通信又は双方向通信可能に構成することができる。さらに、リモコンRには、外部メモリを接続する入出力ポート8a,8bを設けることができる。
【発明の効果】
【0009】
このような構成を有する本発明に係る自動水栓システム1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0010】
(1) 水栓制御部3に、所定の操作により、データ転送モードに切換わることによりモニタデータDmを無線通信により送信可能なデータ転送機能Fcを設けるとともに、自動水栓装置Mに対して無線通信を行うリモコンRを備え、このリモコンRに、少なくともデータ転送モードに切換わった水栓制御部3からモニタデータDmを受信し、かつ受信したモニタデータDmをメモリ7に記憶するリモコン制御部6を設けたため、実際の使用状態を的確かつ容易に把握することができる。したがって、自動水栓装置Mの本来の機能や利便性を確保しつつ、例えば、データ解析を行うなどにより更なる発展させた節水対策を行ったり節水意識を高めることができるとともに、モニタデータDmも容易に収集することができる。
【0011】
(2) 好適な態様により、水栓制御部3に、所定の操作体4が接近することにより非接触にてON(又はOFF)に切換わるスイッチ手段5と、このスイッチ手段5のON(又はOFF)により、少なくともデータ転送モードに切換わるデータ転送機能Fcを設けるとともに、操作体4が付属するリモコンRを備えて構成すれば、防水性の高い構造にできるため、スイッチ手段5をスパウトの吐水口付近に配設することも可能となる。したがって、リモコンRを利用したメンテナンス作業も容易となり、メンテナンス作業の利便性及び能率性を高めることができる。
【0012】
(3) 好適な態様により、操作体4に、マグネット4mを用いるとともに、スイッチ手段5に、マグネット4mが接近することにより非接触にてON(又はOFF)に切換わるリードスイッチ5sを用いれば、防水性の高い構造にできる観点から最適な形態として実施できる。
【0013】
(4) 好適な態様により、水栓制御部3に、少なくともセンサ部3sの検出及び非検出に基づくモニタデータDmを収集して記憶するデータ収集機能Fdを設ければ、センサ部3sによる検出の回数(使用回数)や検出と非検出間の時間(給水時間,給水量)など、実際の使用状態を正確に把握できるモニタデータDmを容易かつ確実に収集することができる。
【0014】
(5) 好適な態様により、リモコンRと自動水栓装置M間を、単方向通信可能に構成すれば、使用状態を把握するに必要な最小限のモニタデータDmの収集を、比較的簡易な構成により実現することができる。
【0015】
(6) 好適な態様により、リモコンRと自動水栓装置M間を、双方向通信可能に構成すれば、必要なモニタデータDmの収集に加え、センサ部3sの調整(感知距離の調整等)や水栓制御部3の各種設定(給水時のオートストップ時間の設定等)などをリモコンRを利用して容易に行うことができ、機能性をより高めることができる。
【0016】
(7) 好適な態様により、リモコンRに、外部メモリを接続する入出力ポート8a,8bを設ければ、例えば、メモリカードやUSBメモリ等の外部メモリに容易にモニタデータDmを書込むことができ、パソコン(パーソナルコンピュータ)等を利用したデータ解析等も容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明に係る最良の実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0018】
まず、本実施形態に係る自動水栓システム1の外観構成(機械的構成)について、図1〜図6を参照して説明する。
【0019】
図1は、自動水栓システム1の全体の外観図を示す。例示の自動水栓システム1は、洗面カウンタ11に設置された自動水栓装置Mと、この自動水栓装置Mとは別体に構成することにより携帯可能なリモコンRからなる。
【0020】
自動水栓装置Mは、図1に示すように、洗面カウンタ11の所定位置に配したスパウト12を備える。この場合、スパウト12は洗面カウンタ11の上面から突出し、洗面カウンタ11の下面にて固定部品13により固定される。スパウト12の先端部12sの下面にはセンサ部3sを配設する。このセンサ部3sは発光部15tと受光部15rを備え、発光部15tには赤外線を発光する発光ダイオードを用いるとともに、受光部15rには赤外線を受光するフォトトランジスタを用いる。したがって、センサ部3sは、図1に示すように、スパウト12のハウジングに形成した開口窓部に半透明の保護カバー16を付設し、この保護カバー16の内側に発光部15tと受光部15rを実装した回路基板17を配設して構成できる。
【0021】
また、センサ部3sに隣接して水道水W(図5)の吐出する吐水口12eを配設する。この場合、スパウト12の内部には図に現れない通水管を配設し、この通水管の先端を、吐水口12eに内端側に接続するとともに、通水管の後端は、スパウト12における洗面カウンタ11の下面から突出した配水管接続口部12iの内端側に接続する。配水管接続口部12iの外端側には、第一配水管71a及び第二配水管71bを順次接続する。したがって、スパウト12の内部に配設した通水管,第一配水管71a及び第二配水管71bは水路Pを構成する。
【0022】
一方、第一配水管71aと第二配水管71b間にはコントローラ21を接続する。コントローラ21は、水路Pを開放又は遮断する開閉弁2vを有する水路開閉部2を備えるとともに、全体を覆うケーシング22の内部には、水栓制御部3を構成する本体制御部3m(図6参照)を内蔵する。この水路開閉部2は、図6に示すように、開閉弁2vとこの開閉弁2vを駆動するアクチュエータ2aを備える。このアクチュエータ2aには電磁ソレノイドや駆動モータ等を用いることができる。したがって、電磁ソレノイドと開閉弁2vが一体となる電磁開閉弁を用いることもできる。また、本体制御部3mに接続するケーブル23はケーシング22の外部に導出するとともに、上述したセンサ部3sに接続するケーブル24はスパウト12の内部を通し、洗面カウンタ11の下面から外部に導出する。そして、ケーブル23とケーブル24はコネクタ25を介して接続する。以上が自動水栓装置Mの基本構成となる。
【0023】
さらに、自動水栓装置Mの水栓制御部3には、図6(図1)に示すように、所定の操作体4が接近することにより非接触にてONに切換わるスイッチ手段5と、このスイッチ手段5のONにより、少なくともデータ転送モードに切換わることによりモニタデータDmを無線通信により送信可能なデータ転送機能Fcを設ける。スイッチ手段5には、操作体4が接近することにより非接触にてONに切換わるリードスイッチ5sを用いる。したがって、この操作体4にはリードスイッチ5sをON/OFFできるマグネット4mを用いる。リードスイッチ5sは、センサ部3sと一緒に配設可能である。即ち、前述した回路基板17の空スペースにリードスイッチ5sを実装すればよく、既設の回路基板17をそのまま利用できる。このため、リードスイッチ5sに接続するケーブルは前述したケーブル24に含ませることができる。一方、データ転送機能Fcは、コントローラ21に内蔵する本体制御部3m及びセンサ部3sを利用する。なお、このデータ転送機能Fcの具体的な構成及び機能は後述する。
【0024】
他方、リモコンRは、図1〜図4に示すように、偏平なケーシング31を備え、このケーシング31の正面部31fには、図2に示すように、液晶ディスプレイ等を用いた表示部32,キーボードを用いた操作部33及び電源スイッチ34を配設するとともに、ケーシング31の上面部31uには、図4に示すように、リモコンR側の受発光部35を配設する。受発光部35は前述したセンサ部3sと同様に構成できる。即ち、受発光部35は、発光部35tと受光部35rを備え、発光部35tには赤外線を発光する発光ダイオードを用いるとともに、受光部35rには赤外線を受光するフォトトランジスタを用いる。受発光部35は、上面部31uの中央位置に形成した開口窓部に半透明の保護カバー36を付設し、この保護カバー36の内側に発光部35tと受光部35rを実装した回路基板37を配設して構成できる。これにより、リモコンRは自動水栓装置Mに対して無線通信を行うことができる。また、リモコンRにはマグネット4m(操作体4)が付属する。この場合、マグネット4mは、図2及び図4に示すように、ケーシング31の内部であって、受発光部35の近傍に配設することができる。
【0025】
このように、水栓制御部3に、所定の操作体4が接近することにより非接触にてONに切換わるスイッチ手段5と、このスイッチ手段5のONにより、少なくともデータ転送モードに切換わるデータ転送機能Fcを設けるとともに、操作体4が付属するリモコンRを備えて構成すれば、防水性の高い構造にできるため、スイッチ手段5をスパウトの吐水口付近に配設することも可能となる。したがって、リモコンRを利用したメンテナンス作業も容易となり、メンテナンス作業の利便性及び能率性を高めることができる。特に、操作体4としてマグネット4mを用いるとともに、スイッチ手段5としてマグネット4mが接近することにより非接触にてONに切換わるリードスイッチ5sを用いれば、防水性の高い構造にできる観点から最適な形態として実施できる利点がある。
【0026】
また、ケーシング31の側面部31pには、図3に示すように、外部メモリを接続する入出力ポート8a,8bを設ける。例示する入出力ポート8aはメモリカードの装填口、入出力ポート8bはUSBメモリを差込むUSBポートをそれぞれ示す。このように、リモコンRに、外部メモリを接続する入出力ポート8a,8bを設ければ、例示したメモリカードやUSBメモリ等の外部メモリに容易にモニタデータDmを書込むことができるため、パソコン等を利用したデータ解析等も容易に行うことができる。
【0027】
次に、本実施形態に係る自動水栓システム1における電気系の構成について、図6を参照して説明する。
【0028】
図6は、自動水栓システム1の全体における電気系統のブロック図を示し、Cmが自動水栓装置Mの電気系統、CrがリモコンRの電気系統を示す。なお、前述した外観構成(図1〜図5)と同一部分には同一符号を付してその構成を明確にした。
【0029】
まず、自動水栓装置Mの電気系統Cmには水栓制御部3を備える。水栓制御部3には、スパウト12の先端部12sに配設(内蔵)したセンサ部3s及びリードスイッチ5sを含むとともに、コントローラ21に内蔵する本体制御部3mを含む。本体制御部3mは、マイコン(マイクロコンピュータ)を用いた制御部41を備える。そして、制御部41には無線通信部42を接続するとともに、この無線通信部42には、センサ部3sを構成する発光部15t及び受光部15rを接続する。また、制御部41にはドライバ43を接続するとともに、このドライバ43には、水路開閉部2に備えるアクチュエータ2aを接続する。なお、44は、入力するAC100ボルトをDC電圧に変換して出力する直流電源部である。
【0030】
さらに、制御部41には、タイマ部45及びメモリ部46が付属する。この場合、メモリ部46には、モニタデータDmを含む各種データを記憶するデータメモリ46dと、少なくともデータ収集機能Fd及びデータ転送機能Fcを実行するための処理プログラム(制御プログラム)をはじめ、各種プログラムを格納するプログラムメモリ46pが含まれる。
【0031】
データ収集機能Fdは、少なくともセンサ部3sの検出及び非検出に基づくモニタデータDmを収集して記憶する機能であり、モニタデータDmには、センサ部3sによる検出の回数に係わるデータ、更には検出と非検出間の時間に係わるデータを含む。センサ部3sによる検出の回数は、そのまま使用回数として用いることができる。なお、検出が短時間の中で繰り返される場合には、同一使用者の可能性が高いため、キャンセル処理などの必要な処理を行えばよい。また、検出と非検出間の時間は、給水時間となるため、この給水時間と予め設定した流量の積から給水量を得ることができる。そして、得られたモニタデータDmは、データメモリ46dに記憶される。このようなデータ収集機能Fdを設ければ、実際の使用状態を正確に把握できるモニタデータDmを容易かつ確実に収集できる利点がある。
【0032】
データ転送機能Fcは、リードスイッチ5sのONにより、少なくともデータ転送モードに切換わることによりモニタデータDmを無線通信により送信する機能であり、センサ部3sと無線通信部42が用いられる。したがって、発光部15tと受光部15rを含むセンサ部3sと無線通信部42は、被検出体Hを検出する基本機能に加えて、このデータ転送機能Fcを兼用する。これにより、通常の待機モードでは、被検出体Hを検出する動作を行うが、リードスイッチ5sがONすれば、データ転送モードに切換わり、データメモリ46dに記憶したモニタデータDmを無線通信により送信する動作を行う。
【0033】
他方、リモコンRの電気系統Crにはリモコン制御部6を備える。リモコン制御部6は、マイコンを用いた制御部51を備える。制御部51には無線通信部52を接続するとともに、この無線通信部52には、受発光部35を構成する発光部35tと受光部35rを接続する。また、制御部51にはメモリ部53が付属する。この場合、メモリ部53には、モニタデータDmを含む各種データを記憶するメモリ(データメモリ)7と、少なくともモニタデータDmを受信し、かつ受信したモニタデータDmをメモリ7に記憶させるための処理プログラム(制御プログラム)をはじめ、各種プログラムを格納するプログラムメモリ53pが含まれる。これにより、リモコン制御部6は、自動水栓装置Mに対して無線通信を行うことができ、特に、データ転送モードに切換わった水栓制御部3からのモニタデータDmを受信し、かつ受信したモニタデータDmをメモリ7に記憶する機能を備えている。なお、54は電源部であり、電池又はバッテリを用いる。
【0034】
ところで、例示のリモコンRは、発光部35t及び受光部35rを備え、自動水栓装置Mに対して双方向通信可能に構成する。したがって、必要なモニタデータDmの収集に加え、センサ部3sの調整(感知距離の調整等)や水栓制御部3の各種設定(給水時のオートストップ時間の設定等)などをリモコンRを利用して容易に行うことができ、機能性をより高めることができる。これに対して、単方向通信可能に構成することもできる。この場合、発光部35tは不要となる。したがって、使用状態を把握するに必要な最小限のモニタデータDmの収集を、比較的簡易な構成により実現することができる。なお、いたずらや誤動作を防止する観点から通信チャンネルを設定し、チャンネルが一致したときだけ通信を許容するように構成することが望ましい。
【0035】
次に、自動水栓システム1の全体動作について、図1〜図6を参照しつつ図7及び図8に示すフローチャートに従って説明する。
【0036】
自動水栓システム1は、システム動作中、待機モードを維持する(ステップS1)。待機モードでは、センサ部3sは、発光部15tから所定の検出エリア内に一定時間間隔おきに赤外線を照射し、受光部15rにより検出エリア内における手や食器等の被検出体Hの有無をセンシングする。今、図5に示すように、手洗いのため、使用者が検出エリア内に手Hを入れた場合を想定する。この場合、センサ部3sは手Hを検出するため、制御部41は、開閉弁2vを開制御する(ステップS2,S3)。即ち、制御部41は、開指令信号をドライバ43に付与し、アクチュエータ2aを駆動して開閉弁2vを開く。これにより、水路Pが開放され、吐水口12eから給水が行われる。
【0037】
一方、手洗いが終了し、使用者の手Hが検出エリア内から離れれば、センサ部3sは、手Hを非検出となるため、制御部41は、開閉弁2vを閉制御する(ステップS4,S5)。即ち、制御部41は、閉指令信号をドライバ43に付与し、アクチュエータ2aの駆動を解除又は逆方向に駆動して開閉弁2vを閉じる。これにより、水路Pが遮断され、給水が停止(止水)する。なお、給水時のオートストップ時間が設定されており、検知中であってもオートストップ時間が経過すれば、強制的に開閉弁2vを閉制御し、給水を停止する。
【0038】
また、データ収集機能Fdにより、センサ部3sの検出及び非検出に基づくモニタデータDmを収集し、データメモリ46dに記憶する(ステップS6)。この場合、制御部41は、センサ部3sの検出及び非検出に基づいて、検出の回数(使用回数)、更には検出と非検出間の時間(給水時間,給水量)を求め、モニタデータDmとしてデータメモリ46dに記憶する。一方、給水が停止すれば、待機モードに復帰し、以後、同様の処理が行われる(ステップS7,S1…)。
【0039】
他方、待機モード中に、リモコンRを使用することにより、自動水栓装置Mのデータメモリ46dに記憶されたモニタデータDmをリモコンR側に取り込むことができる(ステップS8,S9,S10)。図8は、自動水栓装置M側に記憶されたモニタデータDmをリモコンR側に取り込むための手順をフローチャートにより示す。このフローチャートは、図7に示すステップS8,S9,S10に対応する。
【0040】
まず、電源スイッチ34をONにしたリモコンRの上面部31uを、図1に示すように、スパウト12の先端部12sの保護カバー16に接近させる(ステップS11)。これにより、リードスイッチ5sはマグネット4mの磁界によりOFFからONに切換わる(ステップS12)。リードスイッチ5sがONすれば、データ転送機能Fcにより、水栓制御部3はデータ転送モードに切換わる(ステップS13)。この結果、制御部41はデータメモリ46dに記憶されているモニタデータDmを読出し、無線通信部42により変調等の必要な送信処理を行うことにより発光部15tを点滅させて送信信号を送信する(ステップS14)。一方、リモコンRは、送信信号を受光部35rにより受信し、復調等の必要な受信処理を行うとともに、得られたモニタデータDmはデータメモリ7に記憶する(ステップS15)。この場合、データ転送モードへの切換は予め設定された一定時間にわたって行われる。したがって、一定時間が経過すれば、データ転送モードは解除され、通常の待機モードに復帰するとともに、モニタデータDmの収集はリセットされる(ステップS16,S17)。
【0041】
他方、双方向通信可能に構成した場合、自動水栓装置M側の設定変更等が可能になるため、設定変更等の他の処理があるときは、当該他の処理を行うことができる(ステップS16,S18,S19)。この場合、リモコンRの操作部33における所定のキー操作を行えば、設定変更のための設定指令信号が無線通信部52を介して発光部35tから送信される。これにより、自動水栓装置Mの受光部15rは設定指令信号を受信し、対応する設定変更処理を行う。
【0042】
よって、このような本実施形態に係る自動水栓システム1によれば、水栓制御部3に、所定の操作により、データ転送モードに切換わることによりモニタデータDmを無線通信により送信可能なデータ転送機能Fcを設けるとともに、自動水栓装置Mに対して無線通信を行うリモコンRを備え、このリモコンRに、少なくともデータ転送モードに切換わった水栓制御部3からモニタデータDmを受信し、かつ受信したモニタデータDmをメモリ7に記憶するリモコン制御部6を設けたため、実際の使用状態を的確かつ容易に把握することができる。したがって、自動水栓装置Mの本来の機能や利便性を確保しつつ、例えば、データ解析を行うなどにより更なる発展させた節水対策を行ったり節水意識を高めることができるとともに、モニタデータDmも容易に収集することができる。
【0043】
以上、最良の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,手法,形状,素材,数量等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
【0044】
例えば、リードスイッチ5sは、マグネット4mが接近することによりONに切換わる態様を示したが、OFFに切換わる態様であってもよい。また、マグネット4mはリモコンRに内蔵させた場合を示したが、例えば、ストラップ等によりリモコンRとは別体にしてリモコンRの外部に設けてもよい。さらに、操作体4としてマグネット4mを用いるとともに、スイッチ手段5としてリードスイッチ5sを用いた場合を示したが、マグネット4mにより切換わる他のスイッチ手段5であってもよいし、発光体などの他の操作体4により非接触にて切換わる他のスイッチ手段5であってもよい。また、自動水栓装置M側に防水性を有する押ボタン等を設けたり、或いはリモコンRの特定キーを押すことによりトリガ信号を送信し、自動水栓装置Mが当該トリガ信号を受信したならデータ転送モードに切換わる構成であってもよく、これらの手段も、所定の操作によりデータ転送モードに切換わる手段に含まれる。一方、モニタデータDmには、例えば、タイマ部45から得る日付や使用時刻に係わるデータや流量計を付設することにより得る正確な流量に係わるデータなど、他のデータを含ませてもよい。他方、リモコンRは専用リモコンとして構成してもよいし、ノートパソコン,モバイル端末,携帯電話等の他の機器をリモコンRとして用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の最良の実施形態に係る自動水栓システムの全体外観構成図、
【図2】同自動水栓システムにおけるリモコンの正面図、
【図3】同リモコンの側面図、
【図4】同リモコンの平面図、
【図5】同自動水栓システムの動作説明図、
【図6】同自動水栓システムにおける電気系統のブロック図、
【図7】同自動水栓システムの全体動作を説明するためのフローチャート、
【図8】同自動水栓システムにおけるデータをリモコンにより取込む際の動作を説明するためのフローチャート、
【符号の説明】
【0046】
1:自動水栓システム,2:水路開閉部,2v:開閉弁,3:水栓制御部,3s:センサ部,4:操作体,4m:マグネット,5:スイッチ手段,5s:リードスイッチ,6:リモコン制御部,7:メモリ,8a:入出力ポート,8b:入出力ポート,P:水路,H:被検出体,M:自動水栓装置,R:リモコン,Dm:モニタデータ,Fc:データ転送機能,Fd:データ収集機能

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水路を開閉する開閉弁を有する水路開閉部と、センサ部による被検出体の検出により前記開閉弁を開制御し、かつ前記センサ部による被検出体の非検出により前記開閉弁を閉制御する水栓制御部とを有する自動水栓装置を備える自動水栓システムにおいて、前記水栓制御部に、所定の操作により、データ転送モードに切換わることによりモニタデータを無線通信により送信可能なデータ転送機能を設けるとともに、前記自動水栓装置に対して無線通信を行うリモコンを備え、このリモコンに、少なくとも前記データ転送モードに切換わった水栓制御部からモニタデータを受信し、かつ受信したモニタデータをメモリに記憶するリモコン制御部を設けたことを特徴とする自動水栓システム。
【請求項2】
前記水栓制御部に、所定の操作体が接近することにより非接触にてON(又はOFF)に切換わるスイッチ手段と、このスイッチ手段のON(又はOFF)により、少なくともデータ転送モードに切換わるデータ転送機能を設けるとともに、前記操作体が付属するリモコンを備えることを特徴とする請求項1記載の自動水栓システム。
【請求項3】
前記操作体に、マグネットを用いるとともに、前記スイッチ手段に、前記マグネットが接近することにより非接触にてON(又はOFF)に切換わるリードスイッチを用いることを特徴とする請求項2記載の自動水栓システム。
【請求項4】
前記水栓制御部には、少なくとも前記センサ部の検出及び非検出に基づくモニタデータを収集して記憶するデータ収集機能を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の自動水栓システム。
【請求項5】
前記モニタデータには、前記センサ部による検出の回数,検出と非検出間の時間の少なくとも一方又は双方を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の自動水栓システム。
【請求項6】
前記リモコンと前記自動水栓装置間は、単方向通信又は双方向通信可能に構成することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の自動水栓システム。
【請求項7】
前記リモコンは、外部メモリを接続する入出力ポートを備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の自動水栓システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−65463(P2010−65463A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−233264(P2008−233264)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(504133291)株式会社ヒューネット・ジャパン (9)
【出願人】(390034153)株式会社バイタル (6)
【Fターム(参考)】