説明

自動精米設備

【課題】客室スペースと機器室スペースを確保した上で投入ホッパを大容量化することにより、内部機器の配置を確保しつつ、大量穀物の一括処理を可能とするコンパクト構成の自動精米設備を提供する。
【解決手段】自動精米設備は、穀物を載せるための客室(3)に配置の投入台(22)と、投入口(31)から穀物を受けるとともに受けた穀物を送出可能に収容する投入ホッパ(5)と、その収容穀物を全自動精米処理する機器室(4)に配置の精米機器群(11)と、その精白穀物を客室(3)から取出し可能に貯留する白米タンク(6)とから構成され、上記投入台(22)に臨んで投入ホッパの投入口(31)を配置するとともに投入ホッパ(5)の一部を投入台(22)の下部内方に張出した突出部(33)を形成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、客室からの穀物の投入操作により自動精米処理を行い、その精白米を客室で取出すことができる自動精米設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動精米設備は、客室内の正面仕切壁の奥に形成した機器室内に、石抜機、精米機、昇降機等の精米機器と、機器メンテナンススペースとを備えてコンパクトに構成され、客室で籾米や玄米を投入すると全自動運転によって精米を行い、白米取出部から精白米を受け取ることができる。
利用者が穀物を投入するための投入ホッパは、特許文献1に示すように、機器室側に配置して比較的広い客室スペースを確保することにより、利用者による穀物の投入および精白米の取出しの際に、穀物を取り扱いやすくすることができる。また、特許文献2に示すように、客室側に投入ホッパを配置する構成も公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−203124号公報
【特許文献2】特開2003−24804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動精米設備においては、一度の投入で多くの穀物量を連続して精米処理できることが望ましい。
【0005】
本発明の目的は、客室スペースと機器室スペースを確保した上で投入ホッパの容量を大きくすることにより、穀物の一括精米処理量の増加を可能とする自動精米設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の自動精米設備は、 穀物を載せるための客室に配置の投入台と、投入口から受けた穀物を収容する投入ホッパと、その収容穀物を全自動精米処理する機器室に配置の精米機器群と、その精白穀物を客室から取出し可能に貯留する白米タンクとからなる自動精米設備において、投入ホッパの投入口が投入台に隣接するよう投入ホッパを配置すると共に、投入ホッパの下部に投入台の下方に向かって張り出す突出部を形成したことを特徴とする。
【0007】
上記自動精米設備は、投入ホッパが投入台から投入口を介して受けた穀物を収容し、その収容穀物を送出することによって精米機器群が順次精米処理し、白米タンクが精白穀物を客室から取出し可能に貯留し、このとき、投入ホッパの投入台の下部内方に張出す突出部を合わせて大量の穀物が収容される。
【0008】
請求項2の自動精米設備は、請求項1の構成において、前記客室と機器室との間に仕切壁を設け、この仕切壁による仕切線を挟んで投入台と投入ホッパの投入口とを接して配置したことを特徴とする。
上記自動精米設備は、客室と機器室の間を仕切壁で仕切り、客室に投入台を配置し、機器室に投入ホッパの投入口を配置することにより、客室と機器室のスペースがそれぞれ確保されることから、客室における穀物取扱いの際の操作性および機器室における機器メンテナンスの際の作業性を損なうことなく、大容量の投入ホッパによる利点を確保することができる。
【0009】
請求項3の自動精米設備は、請求項1の構成において、前記投入ホッパの突出部は、少なくとも投入口から広がる籾の安息角の範囲まで張出して形成したことを特徴とする。
上記自動精米設備は、投入口から籾を受けた場合に、突出部において流下しうる最大範囲である投入口から広がる安息角の範囲まで籾が到達する。
【0010】
請求項4の自動精米設備は、請求項1の構成において、前記投入ホッパは、その底部で収容穀物を送出する搬送螺旋を突出部に及んで設けたことを特徴とする。
上記自動精米設備は、搬送螺旋が投入ホッパの底部に投入台の突出部に及ぶ範囲に配置される。
【0011】
請求項5の自動精米設備は、請求項1の構成において、前記投入ホッパは、突出部と対向配置の奥壁の下部で収容穀物の有無を検出する穀物センサを設けたことを特徴とする。
上記自動精米設備は、穀物センサが投入ホッパの奥壁の下部で収容穀物の有無を検出する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の自動精米設備は、投入ホッパが投入台から投入口を介して受けた穀物を収容し、その収容穀物を送出することによって精米機器群が順次精米処理し、白米タンクが精白穀物を客室から取出し可能に貯留する。このとき、投入ホッパ内には、投入台の下部に張出す突出部を合わせて穀物の収容量を増加させることから、全体としての新たな機器スペースを要することなく、利用者は持参穀物について分割投入の煩わしさを低減し、一度の投入で穀物を投入ホッパに収容して一括して精米処理し易くすることができる。
【0013】
請求項2の自動精米設備は、請求項1の効果に加え、客室と機器室の間を仕切壁で仕切り、客室に投入台を配置し、機器室に投入ホッパの投入口を配置することにより、客室と機器室のスペースがそれぞれ確保されることから、客室における穀物取扱いの際の操作性および機器室における機器メンテナンスの際の作業性を損なうことなく、大容量の投入ホッパによる利点を確保することができる。
【0014】
請求項3の自動精米設備は、請求項1の効果に加え、上記投入ホッパの投入口に籾を受けた場合に、突出部において流下しうる最大範囲である投入口から広がる安息角の範囲まで籾が到達することから、収容籾量を最大限に確保することができる。
【0015】
請求項4の自動精米設備は、請求項1の効果に加え、搬送螺旋が投入ホッパの底部に投入台の下部内方の突出部に及ぶ範囲に配置されることから、突出部を含む投入ホッパの収容穀物の全量を送出することができる。
【0016】
請求項5の自動精米設備は、請求項1の効果に加え、穀物センサが投入ホッパの奥壁の下部で収容穀物の有無を検出することから、投入ホッパに投入された穀物が少量であってもその存在を容易に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】自動籾摺精米設備の一構成例の機器配置図
【図2】仕切壁の客室側正面図
【図3】自動籾摺精米設備の処理行程展開図
【図4】側面から見た投入ホッパの拡大縦断面図
【図5】機器室の縦断側面図
【図6】シイナ樋の要部拡大正面図
【図7】自動籾摺精米設備の運転制御のフローチャート
【図8】籾摺機風選部の内部構成の拡大側面図
【図9】第二構成例の自動籾摺精米設備の処理行程展開図
【図10】第二構成例の自動籾摺精米設備の機器室の縦断側面図
【図11】第三構成例の自動籾摺精米設備の処理行程展開図
【図12】投入ホッパの投入口の部分破断による拡大図
【発明を実施するための形態】
【0018】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
本発明の一構成例としての自動籾摺精米設備1は、その機器配置図を図1に、処理行程展開図を図3に示すように、矩形の建屋を前後に仕切壁2で仕切り、その手前側を客室3として操作スペースを確保し、奥側を機器室4として精米機器を収容する。
【0019】
客室3の左右の一側(図例は左側)を投入側とし、他側(図例は右側)を取出側とし、図2の仕切壁の客室側正面図に示すように、投入側に投入ホッパ5の投入口32、取出側に白米タンク6の取り出し口をそれぞれ客室3側操作可能に配置する。機器室4には第一昇降機7、脱ぷ部8aと風選部8bによって構成される籾摺機8、石抜機9、第二昇降機10、精米機11を配置する。また、機器室4には精米機11の排出糠を収容するための遠心分離部12を設けるとともに、建家外には籾摺機8から排出される籾殻を収容する不図示の籾殻収容部を備える。
【0020】
投入ホッパ5の上方に客室3と機器室4との間を仕切る仕切壁2による仕切線Aに略沿って上下方向に開閉動作する投入シャッター21aで開閉される投入空間部21を形成する。平面視で仕切線Aを挟んで客室3側に投入台22を設け、機械室4側に投入ホッパ5の投入口31と配置する構成とする。仕切壁2の左右中央部には籾摺精米操作のための操作パネル23を設け、また、白米タンク6の下部には白米取出シャッタ6aを設ける。
【0021】
籾摺機8はインペラ式の脱ぷ部8aと、脱ぷ部8aで脱ぷされ、脱ぷ米搬送筒8cで搬送された脱ぷ米を風選処理する風選部8bとを設け、風選部8bは、その内部構成の拡大側面図を図8に示すように、後ろ上がりに傾斜する主風路51の終端部に吸引ファン52を介して排風ダクト53を設け、主風路51の始端部に脱ぷ部8aからの玄米を受け、その下方に玄米樋47を設けることにより、玄米を玄米樋47に、籾殻を排風ダクト53に風力選別可能に構成される。そして、玄米樋47は石抜機の石抜機9上部の石抜用タンク9aと連通する構成とする。
また、主風路51の中段位置でシイナ米を受けるシイナ樋42を設けるほか、主風路51の終端部に吸引風量調節用の風調弁56を構成し、この風調弁56と直列して開閉弁57を設ける。
【0022】
石抜機9は、傾斜する揺動選別板9cの揺動作用で石と玄米とを分離選別し、選別した玄米を揺動選別板9cの下流側から藁屑等を除去する異物選別機9dそして玄米通路9eを経て第二昇降機10に供給する構成としている。また、選別した石は精米運転終了後に揺動選別板9cの上流側に設ける石排出通路9fから排出容器45に収容される構成である。また、符号「9g」は石・残米排出切り換えシャッタで精米運転終了時にまず石排出通路9f側に切り替えて石を排出容器45に排出した後、揺動選別板9cに残留して上流側に揺れ上がる玄米を第二昇降機10に供給する残米通路9h側に排出する構成である。
なお、脱ぷ部8aは一対のロール式でも可能である。
【0023】
自動籾摺精米設備1の処理行程展開図を図3に示すように、籾と玄米を識別する穀種センサ35で籾を判別した場合、又は操作パネル23で籾を選択した場合に、投入ホッパ5、第一昇降機7、籾摺機8の脱ぷ部8a、同じく風選部8b、石抜機9、第二昇降機10、精米機11、白米タンク6の順の移送経路を構成し、精米機11の供給側にはロータリバルブ付きの玄米チャージタンク11aを設けて繰出し制御可能に下部センサ11bを設けることにより自動籾摺精米運転を行う。また、籾と玄米を識別する穀種センサ35で玄米を判別した場合、又は玄米を選択した場合は、第一昇降機7の投出部7aに設けた投出切替弁7bによって移送経路を切替えることにより、投入ホッパ5、第一昇降機7、石抜機9、第二昇降機10、精米機11、白米タンク6の順の移送経路により自動精米運転を行う。
【0024】
(投入ホッパ)
投入ホッパ5は、その拡大縦断面図を図4に示すように、投入口31を上部に開口して受けた穀物を収容するとともに、収容穀物を送出する搬送螺旋32を底部に備え、投入口31を投入台22に近接して配置する。投入ホッパ5の手前側は、その一部を投入台22の内方に張出すように側面視略三角形状の突出部33を形成する。搬送螺旋32は突出部33を含む全長に及んで構成する。そして本実施の形態の投入ホッパ5の全体の形状は側面視で略台形状に構成される。
【0025】
上記構成の投入ホッパ5は、投入台22から投入口31を介して受けた穀物を収容し、その収容穀物を底部の搬送螺旋32の送出動作によって精米機器群が順次精米処理し、白米タンク6が精白穀物を客室から取出し可能に貯留し、この場合において、投入ホッパ5には、投入台22の内方に張出す突出部33を合わせた穀物が収容される。
【0026】
したがって、上記自動籾摺精米設備1は、所要の大きさの投入台22と投入ホッパ5を含む内部機器の配置を確保しつつ、穀物の投入操作に必要な上面高さ規制内で、一見して機器室内配置のコンパクトな構成の投入ホッパ5に1回分の利用に十分な穀物を収容して一括処理することができる。また、搬送螺旋32は、突出部33に及ぶ範囲で投入ホッパ5の底部に投入台22の内方範囲からはみ出すことなく配置され、突出部33を含む収容穀物の全量を送出することができる。
【0027】
上記構成の投入ホッパ5は、客室3と機器室4との間を仕切る仕切壁2による仕切線Aを挟んで投入台22と投入ホッパ5の投入口31とを接して配置することにより、客室3と機器室4のスペースをそれぞれ確保しつつ、大容量の投入ホッパ5を含む各機器の機能を確保することができる。
【0028】
また、投入ホッパ5の突出部33は、少なくとも投入口31から広がる籾の安息角Bの範囲まで張出して形成することにより、投入口31から籾を受けた場合に、突出部33において籾が流下しうる最大範囲である投入口31から広がる安息角Bの範囲まで籾が到達することから、収容籾量を最大限に確保することができる。
【0029】
また、投入ホッパ5の突出部33と対向配置の奥壁の下部位置で収容穀物の有無を検出する穀物センサ34を設け、この穀物センサ34と合わせて籾と玄米を識別する穀種センサ35を設けることにより、投入ホッパ5に投入された穀物が少量であってもその存在を容易に検出することができる。
【0030】
(搬送螺旋制御)
搬送螺旋32の制御については、石抜機9上部の玄米入路に上限センサ(図示せず)と流量調節弁(図示せず)を備えた石抜用タンク9aを設け、その上限センサがオンすると投入ホッパ5の搬送螺旋32を停止し、オフすると再開するように動作制御し、流量調整することにより、石抜機9の選別能力に応じた玄米供給が可能となることから、過剰供給に起因する精白米中の石の混入を防止することができる。
【0031】
また、石抜用タンク9aは、その上部に過剰穀物を第一昇降機7に戻すためのオーバーフローゲートを形成し、下部の出口に流量調節弁を設け、搬送螺旋32の移送動作を一定時間間隔の間欠動作とすることにより、センサーを要しない低コストの構成によって石抜機9の選別能力に応じた玄米供給が可能となることから、過剰供給に起因する精白米中の石の混入を防止することができるとともに、過剰穀物がオーバーフローして第一昇降機7に送られることから、詰まりを防止することができる。
【0032】
(シイナ米処理)
次に、シイナ米の処理について説明する。シイナ米は籾米に混入している未成熟米であり、小粒軽量であるがためにロール式やインペラ式の通常の籾摺機では十分な脱ぷが困難であることから、シイナ米の処理のために、自動籾摺精米設備を以下のように構成する。
【0033】
インペラ式の籾摺機8の例においては、機器室4の縦断側面図を図5に示すように、脱ぷ部8aを下に風選部8bを上に配置して籾摺機8を構成し、第一昇降機7の投出切替弁7bの一方側から脱ぷシュート41を介して籾米を脱ぷ部8aに供給し、風選部8bのシイナ米を受けるシイナ樋42からその案内部42aを下方の脱ぷ部8aに供給連通してシイナ米の戻し路を形成する。この戻し路によってシイナ米を脱ぷ部8aに戻すことにより籾摺り循環を行う。また、シイナ樋42から排出シュート44を分岐して石抜機9の排出石を受ける排出容器45に連通する。そのほか、風選部8bの玄米樋47と投出切替弁7bの他方側の石抜シュート48を合流して石抜機9に供給連通する。
【0034】
シイナ樋42には、その要部拡大正面図を図6に示すように、脱ぷ部8aにシイナ米を案内する通路底面を開いてシイナ米を排出側に分岐案内するための切替部材46によって排出切替部を構成し、この切替部材46に上記排出シュート44を取付ける。この切替部材46を閉じて脱ぷ部8a側に切替えることにより、シイナ米の籾摺り循環を行い、また、開くことにより循環を断ってシイナ米を排出容器45に排出する。
【0035】
上記構成の自動籾摺精米設備1の運転制御について説明する。自動籾摺精米設備1は、その運転制御のフローチャートを図7に示すように、客室3の利用者が仕切壁2の操作パネル23に料金を投入すると、料金投入処理のステップ1(以下において、「S1」の如く略記する。)によって運転開始工程に入る。
【0036】
運転開始工程では、料金を投入すると投入シャッタ21aが開いて投入空間部21が開放され、利用者は袋に持参した穀物を投入台22に載置して投入ホッパ5に投入する。そして、操作パネル23で精白度の設定を行なう(S2,S3)。すると機器室4の各機器を起動するとともに投入穀物に応じて籾摺精米または玄米精米のいずれかの精米コースを決定(S4)することにより、前掲の図3に示すように、第一昇降機7の投出先を投出切替弁7bによって移送経路を切替える。
【0037】
次いで、対応するコースの精米運転工程に移行(S5)する。投入ホッパ5から穀物を送出することにより、籾摺精米運転コースでは籾摺機8を経由して籾摺精米を行い、玄米精米運転コースでは籾摺機8を省いて、玄米精米を行う。
【0038】
籾摺精米コースの場合について詳細に説明すると、投入ホッパ5の穀物を第一昇降機7から投出切替弁7bによって籾摺機8の脱ぷ部8aに送り、風選部8bで玄米を選別し、石抜機9、精米機11を経て精白された穀物を白米タンク6に収容する。
【0039】
この間において、風選部8bでシイナ樋42に選別されたシイナ米は下方の脱ぷ部8aに再び送られ、十分に脱ぷされて玄米ならば次の石抜機9に進み、その他の脱ぷが不十分なものは、再び風選部8bのシイナ樋42に選別され、投入ホッパ5の投入穀物が尽きて精米運転工程が終了するまでシイナ米の籾摺風選循環が繰り返される。
【0040】
投入ホッパ5の投入穀物が尽きることを穀物センサ34が検出すると精米運転の終了動作工程に移行(S6,S7)する。この精米運転の終了動作工程では、まず石抜機9の石排出(S8)を行い、次いで石・残米排出切り換えシャッタを切り換え、揺動選別板9c上の残米排出(S9)の制御によって残米を精米機11に送る。
籾摺精米コースの場合はシイナ米を排出するシイナ処理(S10)として、シイナ樋42の切替部材46を排出シュート44側に開いてシイナ米を石と共通の石抜機9の排出容器45に排出し、または、外部の容器に排出収容することによって終了動作工程を終了(S11)し、次いで各機器を停止(S12)し、この状態で白米タンク6からの白米取出しを促しつつ、次の利用者のために待機する。
【0041】
このように、上記構成の自動籾摺精米設備1による籾米の籾摺精米処理は、第一昇降機7による投出穀物を籾摺機8で脱ぷし、続く石抜機9を経由して精米機11によって精米し、この時、シイナ樋42を脱ぷ部8aに供給連通して形成した戻し路によりシイナ米の籾摺循環行程が形成され、精米終了時に切替部材46により排出側に切替えられてシイナ米が排出される。したがって、戻し路により繰返される籾摺りによってシイナ米の最大限の脱ぷ処理が行われるとともに、籾摺精米運転終了時におけるシイナ米の排出によってシイナ米の機器内残留を回避することができる。
【0042】
(風選排出)
次に、籾摺機8の風選部8bを排出切替部として構成した例について説明する。
風選部8bは、投入ホッパ5の全投入籾米の籾摺りが終了した時点以降の精米運転の終了動作工程における所定時間の風選動作により、主風路51の風選風量を増大するべく開閉弁57を開閉制御することによってシイナ米を籾殻容器に吸引排出することができる。本実施の形態では開閉弁57を閉じると主風路51の風量が増大する。また、上記開閉弁57に代えて、風調弁56の開度制御や、吸引ファン52の回転制御(回転数を増大すると主風路51の風量が増大する)による風量調節によっても同様にシイナ米の排出切替部を構成することができる。
【0043】
(第二構成例)
次に、第二構成例の自動籾摺精米設備について説明する。以下において、前記同様の部材はその符号を付すことにより説明を省略する。
第二構成例の自動籾摺精米設備61は、その処理行程展開図を図9に示すように、第一昇降機7の投出切替弁7bから選択可能に脱ぷシュート41を介して籾摺機8の脱ぷ部8aに連通して穀物供給を限定し、風選部8bのシイナ樋42は、シイナ米の戻し路となるシイナシュート62を設けて第一昇降機7に供給連通することにより、籾米の籾摺りとともに、シイナ米の循環籾摺りを行う。また、投出切替弁7bから選択可能に石抜シュート48を介して石抜機9に連通する。
【0044】
詳細には、第二構成例の機器室の縦断側面図を図10に示すように、第一昇降機7の投出切替弁7bの片側から脱ぷ部8aまで脱ぷシュート41を設け、投出切替弁7bの他側から石抜機9まで石抜シュート48を設ける。シイナ樋42から第一昇降機7までシイナシュート62を設ける。
【0045】
上記構成の自動籾摺精米設備61は、第一昇降機7の投出切替弁7bを籾摺機8に切替えた場合に同昇降機7に受けた穀物が籾摺機8に送られることから、投入籾米の籾摺りが可能となるとともに、シイナ樋42から昇降機7に供給連通する戻し路による籾摺循環行程が形成される。
【0046】
籾摺精米運転の終了動作工程に、まず前述の石排出を行い、次いで石・残米排出シャッタを残米通路側に切り換えて残米通路に残留玄米を供給してから、再度石・残米切換シャッタを石排出通路9f側に切り換えると共に投出切替弁7bを石抜機9に切替える。すると、最後に風選部8bで風選されてシイナ樋47から昇降機7に戻されたシイナ米が昇降機7から石抜機9に供給され、揺動選別板9cを揺れ上げ石排出通路9fを経て排出容器45に排出される。
【0047】
したがって、投出切替弁7bにより、籾米の籾摺りと玄米の石抜きの間の選択とともに、精米運転終了時にシイナ米についての籾摺循環と排出容器45への排出の間の選択が可能となる。
【0048】
なお、ここに述べたシイナ樋42から第一昇降機7に至るシイナシュート62は、前述の自動籾摺精米設備1において、シイナ樋42を脱ぷ部8aに供給連通する構成と置き換えることによってもシイナ米の戻し路として機能することが明らかであることから、その詳細な説明を省略する。
【0049】
(シイナ米取出構造)
次に、自動籾摺精米設備のシイナ米の客室取出の構成例について説明する。
自動籾摺精米設備71は、その処理行程展開図を図11に示すように、投入ホッパ5の下方から客室3内に引き出せるように取出箱72を設けるとともに、投出切替弁7bから取出箱72に連通してシイナ米を客室3で取出し可能に構成する。
【0050】
この場合、投出切替弁7bから石抜機9までの間で分岐する切替弁7cから取出箱72にシイナ米を搬送するように分岐制御を行うことにより、籾摺り循環後に排出されるシイナ米を投入ホッパ5の下方の取出箱72から利用客が持ち帰ることができる
なお、図9と図11について、省略している符号があるが、基本構成は図3と共通である。また、図10について、省略している符号があるが、基本構成は図5と同様である。
【0051】
(穀物判別)
投入穀物の判別については、玄米についての精米処理の開始において、石抜用タンク9aの下限センサ9bにより投入穀物が到達するまでの時間が所定時間を越えた場合は、籾米についての精米処理に制御処理の切替えを行うことにより、投入ホッパ5の籾玄米判別センサの判別誤差や、操作パネル23の誤操作を修正して適切な精米処理を確保することができる。
【0052】
詳細には、投入穀物が投入ホッパ5から石抜用タンク9aに到達するまでの時間は、穀物の流動性の差により、投入穀物が籾米であれば玄米より長い時間を要することから、投入ホッパ5の搬送螺旋32、第一昇降機7、投出切替弁7b、切替弁7cの通過に要する時間(例えば、玄米が20秒、籾米が30秒)の差を石抜用タンク9aの下限センサ9bの検出によって判別することができる。
【0053】
(投入ホッパ投入口)
投入ホッパ5については、その内部構造の部分破断による拡大図を図12に示すように、その投入口31に網81を設け、同投入口31の外側に支持部82を配置し、この支持部82に偏心ウェートによる振動モータ83を設けることにより、投入ホッパ5に投入された穀物の残留を低減することができる。
【0054】
(籾摺機調整)
籾摺機8の風選部8bの調整設定のために、ダクト設置状況に対応するファンの最適回転数を取得できるように納品設定モードをコントローラに設ける。例えば、入力事項をダクト径、配管長、エルボの数の3項目とする入力画面(または表示)において、値を直接入力する記述形式または予め入力された中から選ぶ選択形式の入力操作によって適正回転数(または多段段階)を表示する。
【0055】
従来は、籾摺機8の据付の際の試運転において、脱ぷ部8aで籾摺作業をしながら風選部8bにおける風選状況を見ることにより、ファン、脱ぷ、選別の煩わしい調整設定作業を行う必要があったが、上記ファン設定モードにより、そのような煩わしい調整設定作業を要することなく、配管の適正を確認した上で機器を起動してファンの回転を決め、後は選別の確認のみで調整設定作業を完結することができる。
【0056】
上記籾摺機8の調整設定に関し、設定をしないと籾摺機8の運転ができず、また、設定しても指定以外の配管にの場合に起動ができないように、上記納品設定モードを構成することにより、配管の適正確認によって籾摺機8の起動が可能となるので、籾摺機8のトラブルの大半を占めるダクト施工状態のトラブルを防止することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 自動籾摺精米設備(自動精米設備)
2 仕切壁
3 客室
4 機器室
5 投入ホッパ
6 白米タンク
11 精米機
22 投入台
31 投入口
32 搬送螺旋
33 突出部
34 穀物センサ
A 仕切線
B 安息角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物を載せるための客室(3)に配置の投入台(22)と、投入口(31)から受けた穀物を収容する投入ホッパ(5)と、その収容穀物を全自動精米処理する機器室(4)に配置の精米機器群(11)と、その精白穀物を客室(3)から取出し可能に貯留する白米タンク(6)とからなる自動精米設備において、
投入ホッパ(5)の投入口(31)が投入台(22)に隣接するよう投入ホッパ(5)を配置すると共に、投入ホッパ(5)の下部に投入台(22)の下方に向かって張り出す突出部(33)を形成したことを特徴とする自動精米設備。
【請求項2】
前記客室(3)と機器室(4)との間に仕切壁(2)を設け、この仕切壁(2)による仕切線(A)を挟んで投入台(22)と投入ホッパ(5)の投入口(31)とを接して配置したことを特徴とする請求項1記載の自動精米設備。
【請求項3】
前記投入ホッパ(5)の突出部(33)は、少なくとも投入口(31)から広がる籾の安息角(B)の範囲まで張出して形成したことを特徴とする請求項1記載の自動精米設備。
【請求項4】
前記投入ホッパ(5)は、その底部で収容穀物を送出する搬送螺旋(32)を突出部(33)に及んで設けたことを特徴とする請求項1記載の自動精米設備。
【請求項5】
前記投入ホッパ(5)は、突出部(33)と対向配置の奥壁の下部で収容穀物の有無を検出する穀物センサ(34)を設けたことを特徴とする請求項1記載の自動精米設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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