自動膨張式タイヤ
【課題】タイヤを自動的に膨張させる自動膨張機能をタイヤ内に組み込む。
【解決手段】自動膨張式タイヤ組立体は、タイヤに接続されて、空気通路を形成する空気管を有し、空気管は、タイヤフットプリントに向き合う空気管部分が平らになって通路を閉じ、弾性によって平らではない状態から元の形状へと戻れるように作用可能な柔軟な材料からなっている。空気管は、タイヤ回転方向と反対の方向にタイヤフットプリントによって連続して平らにされて、空気を入口装置44に、通路から排出するために、または出口装置46に、タイヤキャビティに向けるために通路に沿って送り出す。入力装置は、空気管をタイヤフットプリントによって連続的に平らにすることによって、タイヤが前進または反対の回転方向のいずれかに回転している状態で、空気通路に沿って空気の送り出しが行われるように、環状の通路内で出口装置に対して180度離れて位置している。
【解決手段】自動膨張式タイヤ組立体は、タイヤに接続されて、空気通路を形成する空気管を有し、空気管は、タイヤフットプリントに向き合う空気管部分が平らになって通路を閉じ、弾性によって平らではない状態から元の形状へと戻れるように作用可能な柔軟な材料からなっている。空気管は、タイヤ回転方向と反対の方向にタイヤフットプリントによって連続して平らにされて、空気を入口装置44に、通路から排出するために、または出口装置46に、タイヤキャビティに向けるために通路に沿って送り出す。入力装置は、空気管をタイヤフットプリントによって連続的に平らにすることによって、タイヤが前進または反対の回転方向のいずれかに回転している状態で、空気通路に沿って空気の送り出しが行われるように、環状の通路内で出口装置に対して180度離れて位置している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して自動膨張式タイヤに関し、特に、そのようなタイヤ用のポンプ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
空気が自然に放散することによって、タイヤ圧は時間の経過と共に下がる。タイヤの自然状態ではタイヤは膨張していない。したがって、ドライバは、タイヤ圧を維持するように繰り返し努めなければならないか、さもなければ、低下した燃費、タイヤ寿命、そして車両制動およびハンドリングの低下した特性を経験するであろう。タイヤ圧が著しく低下したとき、ドライバに警告する圧力監視システムが提案されている。しかしながら、そのようなシステムは、タイヤを、推奨された圧力へと再度膨張させるように警告されたときにドライバがとる改善措置に依然として依存している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、時間の経過と共に発生するタイヤ圧の低下を、ドライバが介入する必要なしに補償するために、タイヤを自動的に膨張させる自動膨張機能をタイヤ内に組み込むことが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は第1の態様において、リムに取り付けられたタイヤを有し、タイヤは、タイヤキャビティと、第1、第2のタイヤビード領域からタイヤトレッド領域へとそれぞれ延びる第1、第2のサイドウォールを有する、自動膨張式タイヤ組立体を提供する。空気管がタイヤに接続され、空気通路を形成している。空気管は、タイヤのフットプリントに近い空気管部分の一部が環状の空気通路をほぼ閉じることができるように作用可能な柔軟な材料からなっている。入口調整装置は空気管の入口端に接続され、タイヤ内に取り付けられたインサートを含み、インサートは、タイヤキャビティ内に位置する第1の端と、タイヤを貫通して延びる第2の端、とを有し、インサートを貫通する孔を有している。圧膜がインサートの第1の端に入れられ、調整器胴体がインサートの第2の端に入れられ、調整器胴体が、第1の端から遠位端に延びる内部通路を有し、遠位端はインサートのキャビティ内へと延び、圧膜は、タイヤキャビティの圧力と外部の空気圧に応答する。圧膜は、タイヤ圧が、調整器を開き、閉じて、流れが調整装置に入るのを許し、または防ぐ設定値に達したとき、調整器胴体の遠位端と係合するように配置されている。
【0005】
本発明は第2の態様において、リムに取り付けられたタイヤを有し、タイヤは、タイヤキャビティと、第1、第2のタイヤビード領域からタイヤトレッド領域へとそれぞれ延びる第1、第2のサイドウォールを有する、自動膨張式タイヤ組立体を提供する。第1および第2の空気管がタイヤに接続され、各空気管は空気通路を形成している。各空気管は、タイヤのフットプリントに近い空気管部分の一部が環状の通路をほぼ開き、閉じることができるように作用可能な柔軟な材料からなっている。入口調整装置は各空気管の入口端に接続され、タイヤのサイドウォール内に取り付けられた調整器胴体を含む。調整器胴体は、タイヤキャビティ内に位置する遠位端を有する外側ダクトを有し、ダクトは、タイヤキャビティおよび調整器胴体の内部チャンバと流体連通する内部孔を有する。内部チャンバは調整器胴体内の2つの対向する通路に接続され、これら通路は第1および第2の空気管の入口端にさらに接続されている。圧膜が調整器胴体の内部チャンバ内に取り付けられている。インサートは調整器胴体の内部チャンバ内に取り付けられ、内部キャビティを取り囲むフランジ端を有している。フランジ端は圧膜と係合可能で、フランジ端を流れから封止することができる。インサートは、1つ以上の空気穴を有する上面を有し、空気穴は上面から延び、内部キャビティと流体連通し、インサートは、内部キャビティと流体連通している2つの横導管をさらに有している。
【0006】
本発明は第3の態様において、リムに取り付けられたタイヤを有し、タイヤは、タイヤキャビティと、第1、第2のタイヤビード領域からタイヤトレッド領域へとそれぞれ延びる第1、第2のサイドウォールを有する、自動膨張式タイヤ組立体を提供する。第1および第2の空気管がタイヤに接続され、各空気管は空気通路を形成し、各空気管は、タイヤのフットプリントに近い空気管部分の一部が環状の通路をほぼ開き、閉じることができるように作用可能な柔軟な材料からなっている。入口調整装置がタイヤ内に取り付けられ、入口調整装置は、タイヤキャビティ内に位置する遠位端を有する外側ダクトを有し、ダクトは、タイヤキャビティおよび入口調整装置の内部チャンバと流体連通する内部孔を有する。内部チャンバは、第1および第2の空気管の入口端に接続された、調整器胴体内の2つの対向する通路に接続されている。圧膜が入口調整装置の内部チャンバ内に取り付けられている。内部チャンバの壁は、圧膜と係合可能なフランジ端を有し、フランジ端は内部キャビティを取り囲み、入口調整装置は、1つ以上の空気穴を有する上面を有し、空気穴は上面から延び、内部キャビティと流体連通し、インサートは、内部キャビティと流体連通している2つの横導管をさらに有している。環状の空気管は、タイヤビード領域と、タイヤビード領域の半径方向内側のリムのタイヤ取り付け面との間に配置されてもよい。
【0007】
本発明は第4の態様において、タイヤ内のぜん動ポンプと共に使用される入口圧力調整装置を提供する。圧力調整装置は、タイヤキャビティ内に位置する遠位端を有する外側ダクトを有する入口調整器と、入口調整器の内部チャンバ内に取り付けられた圧膜、を含み、ダクトは、タイヤキャビティおよび入口調整器の内部チャンバと流体連通する内部孔を有し、内部チャンバは、第1および第2の空気管の入口端に接続された、調整器胴体内の2つの対向する通路に接続され、圧膜は、入口調整器の内部チャンバに取り付けられており、内部チャンバの壁は、圧膜と係合可能なフランジ端を有し、フランジ端は内部キャビティを取り囲み、入口調整器は、1つ以上の空気穴を有する上面を有し、空気穴は上面から延び、空気穴は内部キャビティと流体連通し、インサートは、内部キャビティと流体連通している2つの横導管をさらに有している。
【0008】
ここで、本明細書で使用される用語を定義する。
【0009】
タイヤの「アスペクト比」は、パーセントとして表示するために、その断面高さ(SH)の、その断面幅(SW)に対する比に100を掛けたものを指す。
【0010】
「軸方向の」および「軸方向に」は、タイヤの回転軸線に平行な線または方向を指す。
【0011】
「チェイファー」は、タイヤビードの外側の周りに配置された細いストリップ材料で、リムとの接触によるコードプライの摩耗と切断を防ぎ、リムの上でのたわみを分散させる。
【0012】
「周方向の」は、軸方向に垂直な環状のトレッドの表面の周辺に沿って延びる線または方向を指す。
【0013】
「赤道中央面(CP)」は、タイヤの回転軸線に垂直で、トレッドの中心を通過する平面を指す。
【0014】
「フットプリント」は、速度がゼロで、標準負荷および標準圧力下で平坦な面を有する、タイヤトレッドの接触部位または接触領域を指す。
【0015】
「インボード側」は、タイヤがホイールに取り付けられ、ホイールが車両に取り付けられたとき、タイヤの、車両に最も近い側を指す。
【0016】
「横の」は軸方向を指す。
【0017】
「横エッジ」は、標準の負荷で、かつタイヤに空気を入れた状態で測ったとき、軸方向に最も外側のトレッドの接触部位、すなわちフットプリントに接し、赤道中央面に平行な線を指す。
【0018】
「総接触面積」は、トレッドの全周のまわりの横エッジ同士の間の接地するトレッド要素の総面積を、横エッジ同士間のトレッド全体の総面積で割ったものを指す。
【0019】
「非方向性トレッド」は、前方移動の好ましい方向を持たないトレッドであって、トレッドパターンが移動の好ましい方向に確実に揃うようにするために特定の1つまたは複数のホイール位置において車両上に配置されることが要求されないトレッドを指す。逆に、方向性トレッドパターンは、特定のホイール位置を必要とする好ましい移動方向を有する。
【0020】
「アウトボード側」は、タイヤがホイールに取り付けられ、ホイールが車両に取り付けられたときの、タイヤの、車両に最も遠い側を指す。
【0021】
「ぜん動」は、閉じ込められた空気のような物質を管状の通路に沿って進ませる波状の収縮による動作を指す。
【0022】
「半径方向の」および「半径方向に」は、タイヤの回転軸に半径方向に向かい、またはタイヤの回転軸心から半径方向に離れる方向を指す。
【0023】
「リブ」は、少なくとも1つの周方向の溝および第2のそのような溝または横エッジのいずれかによって形成され、全深さの溝によっては横方向に分割されていない、トレッド上の、周方向に延びるゴムのストリップを指す。
【0024】
「サイプ」は、トレッド表面を細分してトラクションを改善する、タイヤのトレッド要素に成形された小さい細長い隙間を指し、タイヤのフットプリント内に開いたままの溝とは反対に、サイプは一般に幅が狭く、タイヤのフットプリント内で閉じている。
【0025】
「トレッド要素」または「トラクション要素」は、隣接した溝の形状を持たせることによって形成されるリブまたはブロック要素を指す。
【0026】
「トレッド弧幅」は、トレッドの横エッジ同士間で測定されたトレッドの弧の長さを指す。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】2つのぜん動ポンプ組立体を示す、タイヤとリムの組立体の等角図である。
【図2】図1のタイヤの側面図である。
【図3A】ポンプ出口機構の拡大斜視図である。
【図3B】図3Aのポンプ出口機構の断面図である。
【図4A】タイヤが回転するときのポンプのタイヤキャビティへの作用を示す、タイヤ、リム、管、弁の側面を示す面である。
【図4B】タイヤが回転するときのポンプのタイヤキャビティへの作用を示す、タイヤ、リム、管、弁の側面を示す面である。
【図5A】タイヤを切断した部分断面図である。
【図5B】リムに隣接するポンプ管の配置の拡大図である。
【図6A】道路表面で負荷がかかっているタイヤを切断した部分断面図である。
【図6B】タイヤビード領域内で圧縮されている管を示す、図6Aの拡大図である。
【図7】圧力調整器がタイヤ内に取り付けられているのが示された、タイヤとリムの組立体の拡大断面図である。
【図8】圧力調整器の斜視図である。
【図9】図8の圧力調整器の上面図である。
【図10】図8の圧力調整器の拡大分解斜視図である。
【図11】図8の圧力調整器の、線11−11に沿った拡大分解斜視図である。
【図12】図8の圧力調整器の、線12−12に沿った拡大分解斜視図である。
【図13A】図8の圧力調整器の、閉位置における、線12−12に沿った断面図である。
【図13B】図8の圧力調整器の、開位置における、線12−12に沿った断面図である
【図14】図8の圧力調整器の、線11−11に沿った断面図である。
【図15】図9の圧力調整器の、線15−15に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明を例により、図面を参照して説明する。
【0029】
図1と図5を参照すると、タイヤ組立体10は、タイヤ12とぜん動ポンプ組立体14とタイヤリム16とを有している。タイヤ12は、外側リムフランジ22、24に隣接して配置された一対のリム取り付け面18、20に従来の方法で取り付けられている。外側リムフランジ22、24は外側リム面26を有している。リム体28が、図示のように、タイヤ組立体を支持している。タイヤ12は従来の構造と同じ構造で、対向するビード領域34、36からクラウン、すなわちタイヤトレッド領域38へと延びる一対のサイドウォール30、32を有している。タイヤ10とリム16はタイヤキャビティ40を取り囲んでいる。
【0030】
図1、図2、図4に示されるように、ぜん動ポンプ組立体14は、タイヤ12のサイドウォール領域内、望ましくビード領域の近くに配置された通路43内に取り付けられた第1および第2のポンプ41、42を含んでいる。空気通路43は、加硫の間、タイヤのサイドウォール内に成形されるのが望ましく、かつ環状の形状であるのが望ましい。各ポンプ41、42は、入口装置44によって互いに繋ぎ合わされた第1の端41a、42aと、出口装置46によって互いに繋ぎ合わされた第2の端41b、42bと、を有している。各ポンプ41、42は、プラスティック、シリコン、エラストマー、またはゴム化合物のような、弾性があり、かつ柔軟な材料で作られた管体からなり、管が、外部の力を受けて平らな状態に変形し、そのような力がなくなると、断面が概ね円形の元の状態に戻る、繰り返しの変形サイクルに耐えることができる。管は、ここに記載された目的のために十分な量の空気を、作動可能に通過させるのに十分で、該管を、タイヤ組立体内の、後述する動作位置に配置するのを可能にする直径を有している。管は、円形の断面形状を有するのが望ましいが、楕円形状またはレンズ形状のような他の形状が使用されてよい。
【0031】
図示されているように、入口装置44と出口装置46は、それぞれの位置において約180度離れて、2つの180度ポンプ41、42を構成している。入口装置と出口装置は互いに隣接して配置されて、単一の360度ポンプを構成してもよい。270度などのような他の変形例を用いても良い。出口装置46は、ポンプ41の出口端41bに接続する第1のポート48を有する胴体47を有するコネクタである。第1のポート48は出口ポート52と流体連通している。出口ポート52は、ポンプ端41bがタイヤキャビティと流体連通するようにタイヤキャビティ内へと延びている。出口装置は、ポンプ42の出口端42bに接続する第2のポート50をさらに有している。第2のポート50は、ポンプ端42がタイヤキャビティ40と流体連通するようにタイヤキャビティ40内に配置されている出口ポート54に接続されている。図3Bは、各出口端52、54がポンプ内へ空気が逆流するのを防ぐ逆止弁56、58を有することをさらに示している。出口装置46の出口端52、54は、該出口端がタイヤキャビティ40と流体連通するようにタイヤキャビティ内へと延びている。
【0032】
入口装置44は図8から図15に示されている。入口装置は両ポンプ41、42の流入量を調整するように働く。入口装置44は、生のタイヤに成形され、それから硬化させられる外側カバー45を含んでいる。外側カバー45は、以下に詳しく説明する、ポンプ管41、42の入口と流体連通する2つの横穴47を有している。カバーは、側壁51と底壁52によって形成された内側キャビティ50をさらに有している。穴53が底壁に設けられている。
【0033】
調整器胴体54がカバーの内側キャビティ50に入れられている。調整器胴体54は、調整器胴体に接続された第1の端57と、内側キャビティ50の穴53に入れられた遠位端59とを有する外側ダクト56を有している。外側ダクトは、ダクトの遠位端59がタイヤキャビティ40と流体連通する十分な長さを有するようにサイズが決められている。外側ダクト56の第1の端57は、調整器胴体54の内部の中心に配置されているのが望ましい内部チャンバ58に接続されている。内部チャンバ58は、2つの対向する通路62に至る2つの対向する穴60を有している。両通路62はカバー45内に位置する穴47と一直線となるように位置決め可能である。
【0034】
圧膜64がチャンバ58の底内に収容され、チャンバ壁66の周りのリム65によって支持されている。圧膜はディスク状で、ゴム、エラストマー、プラスティック、またはシリコンのような、ただしこれらに限定されない柔軟な材料で作られているのが望ましい。
【0035】
インサート68が、圧膜64上のチャンバ58内に配置されている。インサート68は、1つ以上の空気穴74を有する上フランジ面70を有し、空気穴74は、外部の空気が圧膜64と流体連通するように、上面70から下向きにインサート胴体72を貫通している。空気穴はフィルタ80を任意に有してよい。インサート68は、圧膜64と流体連通している内部キャビティ76と、空気穴74と、空気穴74に対して横向き、すなわち垂直な2つの横導管78を有している。横導管は内側キャビティ76の各側に接続されている。内側キャビティ76は、形状が環状であってよく、かつ圧膜と係合するように配置されたフランジ部分77によって取り囲まれている。
【0036】
入力圧力調整器44の動作を次に説明する。圧膜は、タイヤキャビティ40と流体連通しているダクト56内の圧力によってタイヤキャビティ内の圧力を検知する。タイヤ圧が十分に高いとき、圧膜は、タイヤ圧に応答し、タイヤ圧が十分に高ければ、圧膜は、図13Aに示されるように、圧膜によってインサートのフランジ部分と強制的に係合させられ、内側キャビティ76を封止する。圧膜はインサート68のフランジ部分77に着座し、キャビティ76へ流れを遮断する。タイヤ圧が低下するにつれて、圧膜は、図13Bに示すように、フランジ部分77から離れ、空気が空気穴74に、そしてキャビティ76に流れ込む。図15に示すように、キャビティ76からの空気は横導管78に入り、それから対向するチャンバ通路62を通り、外側カバー45の位置合わせされた穴47を通り、各ポンプ41、42の入口端に入る。
【0037】
図4Aからわかるように、入口装置44と出口装置46は、円形の空気管42と流体連通し、かつ概ね180度離れて配置されている。タイヤが回転方向88に回転するにつれて、フットプリント100が地面98に対して形成される。圧縮力104がフットプリント100からタイヤに向けられ、参照番号106で示すように、ポンプ42の部分110を平らにするように働く。ポンプ42の部分110が平らになることによって、平らになった部分110と出口装置46の間にある空気の一部が、矢印84で示される方向に、出口装置46に向かって押しやられる。
【0038】
タイヤが地面98に沿って方向88に回転し続けるにつれて、ポンプ管42は、タイヤ回転方向88と逆の方向90に、部分ごとに連続的に平らにさせられ、すなわち押しつぶされる。ポンプ管42が部分ごとに連続的に平らになることによって、平らにさせられた部分と出口装置46の間に位置する空気柱がポンプ42内で方向84に出口装置46へと送り込まれる。
【0039】
タイヤが方向88に回転すると、平らにされた管の部分は、図4Aに示すように、方向90にポンプ管42に沿って入口装置44に流れ込む空気92によって、連続的に、再度満たされる。入力装置44からの、方向90における空気の流入は、タイヤ回転方向88で示される反時計周りに回転する出口装置46がタイヤフットプリント100を通過するまで続く。
【0040】
図4Bは、そのような位置におけるぜん動ポンプ組立体14の向きを示している。示された位置では、管41は、参照番号106で示されるように、圧縮力104によってタイヤフットプリント100と対向する部分ごとに連続的に平らにされ続ける。空気が時計方向94に入力装置44に送り込まれ、そこで空にされ、すなわち排出される。排出空気96の入力装置44からの通過は内部フィルタ80を通り、該フィルタは、該フィルタから多孔質媒体内の蓄積された破片または粒子を取り除く働きをする。送り込まれた空気が入力装置44から排出されると、出口装置46は閉位置にあり、空気はそこからタイヤキャビティ40へ流れない。入口装置44が(図4Aに示すように)タイヤフットプリント100を通過するまでタイヤが反時計方向88にさらに回転すると、出口装置46への空気流が再開し、送り込まれた空気がタイヤキャビティ40へ流出させられる(矢印86)。
【0041】
図4Bは、管42が、タイヤが方向88に回転するときに、部分102、部分102’、部分102’’と、部分ごとに平らにされることを示している。したがって、圧搾された、すなわち平らにされた管部分の前進が、タイヤ回転方向88と逆である時計周り方向に進むことがわかる。部分102がフットプリント100から離れるにつれて、タイヤ内のフットプリント領域からの圧縮力はなくなり、部分102は、部分102が通路43からの空気で再度、満たされるときの平らにされていない状態に弾性的に自由に再構成することができる。平らにされていない元の構成では、管42の部分は断面が概ね円形である。
【0042】
上記のサイクルは、タイヤの回転ごとに繰り返され、各回転の半分では送り出された空気はタイヤキャビティ40に行き、各回転の半分では送り出された空気は入口装置に戻されてフィルタを自動的に清掃する。タイヤ12の回転方向88は、図4A、図4Bでは反時計回りに示されているが、本発明のタイヤ組立体とそのぜん動ポンプ組立体14は、番号88で示されたのと反対の(時計回りの)回転方向において同様に機能する。したがって、ぜん動ポンプは双方向であり、前進する回転方向または逆の回転方向に動いているタイヤ組立体についても等しく機能する。
【0043】
ぜん動ポンプ組立体14の位置は図5および図6からわかる。一実施形態では、ぜん動ポンプ組立体14は、チェイファー120内でリムフランジ面26の半径方向外側にタイヤサイドウォールに配置されている。そのように配置されているので、空気管42はタイヤのフットプリント100から半径方向内側にあり、したがって、上記したように、タイヤのフットプリント100から向けられた力によって平らにされるように配置されている。フットプリント100と向き合う部分110は、管部分をリムフランジ面26に押圧する、フットプリント100からの圧縮力114によって平らになる。管42の位置は、ビード領域34におけるタイヤのチェイファー120とリム面26との間に、具体的に示されているが、これに限定されず、サイドウォールまたはトレッド内のどこでもタイヤの任意の領域に配置されてもよい。ぜん動ポンプ空気管42の直径の大きさは、リムフランジ面26の外周にわたるように選択されている。
【0044】
上記したことから、本発明は、円形の空気管42がタイヤのフットプリント100内で部分ごとに平らになって閉じる、自動膨張式タイヤ用の双方向ぜん動ポンプを提供することが理解されるであろう。空気入口装置44はフィルタ80を含み、自動清掃するものであってよい。ぜん動ポンプ組立体14は、タイヤのどちらの回転方向下でも空気を送り出し、回転の半分では空気をタイヤキャビティ40に送り出し、回転の他の半分では空気を入口装置44(フィルタ80)から戻す。ぜん動ポンプ組立体14は、システム故障検出器として働く従来構造の補助的タイヤ圧監視システム(TPMS)(不図示)と共に使用されてよい。TPMSは、タイヤ組立体の自動膨張システムの何らかの故障を検出し、そのような状態をユーザに警告するのに使用されてよい。
【0045】
本発明の変形が、ここに記載した説明を考慮して可能である。ある代表的な実施形態と詳細な説明を、本発明を例示する目的で示したが、様々な変更と修正が、本発明の範囲から外れることなくここでなされ得ることが当業者にとって明らかであろう。したがって、次の添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の、意図された全範囲内にある、記載された特定の実施形態において変更がなされ得ることが理解されるべきである。
【技術分野】
【0001】
本発明は概して自動膨張式タイヤに関し、特に、そのようなタイヤ用のポンプ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
空気が自然に放散することによって、タイヤ圧は時間の経過と共に下がる。タイヤの自然状態ではタイヤは膨張していない。したがって、ドライバは、タイヤ圧を維持するように繰り返し努めなければならないか、さもなければ、低下した燃費、タイヤ寿命、そして車両制動およびハンドリングの低下した特性を経験するであろう。タイヤ圧が著しく低下したとき、ドライバに警告する圧力監視システムが提案されている。しかしながら、そのようなシステムは、タイヤを、推奨された圧力へと再度膨張させるように警告されたときにドライバがとる改善措置に依然として依存している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、時間の経過と共に発生するタイヤ圧の低下を、ドライバが介入する必要なしに補償するために、タイヤを自動的に膨張させる自動膨張機能をタイヤ内に組み込むことが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は第1の態様において、リムに取り付けられたタイヤを有し、タイヤは、タイヤキャビティと、第1、第2のタイヤビード領域からタイヤトレッド領域へとそれぞれ延びる第1、第2のサイドウォールを有する、自動膨張式タイヤ組立体を提供する。空気管がタイヤに接続され、空気通路を形成している。空気管は、タイヤのフットプリントに近い空気管部分の一部が環状の空気通路をほぼ閉じることができるように作用可能な柔軟な材料からなっている。入口調整装置は空気管の入口端に接続され、タイヤ内に取り付けられたインサートを含み、インサートは、タイヤキャビティ内に位置する第1の端と、タイヤを貫通して延びる第2の端、とを有し、インサートを貫通する孔を有している。圧膜がインサートの第1の端に入れられ、調整器胴体がインサートの第2の端に入れられ、調整器胴体が、第1の端から遠位端に延びる内部通路を有し、遠位端はインサートのキャビティ内へと延び、圧膜は、タイヤキャビティの圧力と外部の空気圧に応答する。圧膜は、タイヤ圧が、調整器を開き、閉じて、流れが調整装置に入るのを許し、または防ぐ設定値に達したとき、調整器胴体の遠位端と係合するように配置されている。
【0005】
本発明は第2の態様において、リムに取り付けられたタイヤを有し、タイヤは、タイヤキャビティと、第1、第2のタイヤビード領域からタイヤトレッド領域へとそれぞれ延びる第1、第2のサイドウォールを有する、自動膨張式タイヤ組立体を提供する。第1および第2の空気管がタイヤに接続され、各空気管は空気通路を形成している。各空気管は、タイヤのフットプリントに近い空気管部分の一部が環状の通路をほぼ開き、閉じることができるように作用可能な柔軟な材料からなっている。入口調整装置は各空気管の入口端に接続され、タイヤのサイドウォール内に取り付けられた調整器胴体を含む。調整器胴体は、タイヤキャビティ内に位置する遠位端を有する外側ダクトを有し、ダクトは、タイヤキャビティおよび調整器胴体の内部チャンバと流体連通する内部孔を有する。内部チャンバは調整器胴体内の2つの対向する通路に接続され、これら通路は第1および第2の空気管の入口端にさらに接続されている。圧膜が調整器胴体の内部チャンバ内に取り付けられている。インサートは調整器胴体の内部チャンバ内に取り付けられ、内部キャビティを取り囲むフランジ端を有している。フランジ端は圧膜と係合可能で、フランジ端を流れから封止することができる。インサートは、1つ以上の空気穴を有する上面を有し、空気穴は上面から延び、内部キャビティと流体連通し、インサートは、内部キャビティと流体連通している2つの横導管をさらに有している。
【0006】
本発明は第3の態様において、リムに取り付けられたタイヤを有し、タイヤは、タイヤキャビティと、第1、第2のタイヤビード領域からタイヤトレッド領域へとそれぞれ延びる第1、第2のサイドウォールを有する、自動膨張式タイヤ組立体を提供する。第1および第2の空気管がタイヤに接続され、各空気管は空気通路を形成し、各空気管は、タイヤのフットプリントに近い空気管部分の一部が環状の通路をほぼ開き、閉じることができるように作用可能な柔軟な材料からなっている。入口調整装置がタイヤ内に取り付けられ、入口調整装置は、タイヤキャビティ内に位置する遠位端を有する外側ダクトを有し、ダクトは、タイヤキャビティおよび入口調整装置の内部チャンバと流体連通する内部孔を有する。内部チャンバは、第1および第2の空気管の入口端に接続された、調整器胴体内の2つの対向する通路に接続されている。圧膜が入口調整装置の内部チャンバ内に取り付けられている。内部チャンバの壁は、圧膜と係合可能なフランジ端を有し、フランジ端は内部キャビティを取り囲み、入口調整装置は、1つ以上の空気穴を有する上面を有し、空気穴は上面から延び、内部キャビティと流体連通し、インサートは、内部キャビティと流体連通している2つの横導管をさらに有している。環状の空気管は、タイヤビード領域と、タイヤビード領域の半径方向内側のリムのタイヤ取り付け面との間に配置されてもよい。
【0007】
本発明は第4の態様において、タイヤ内のぜん動ポンプと共に使用される入口圧力調整装置を提供する。圧力調整装置は、タイヤキャビティ内に位置する遠位端を有する外側ダクトを有する入口調整器と、入口調整器の内部チャンバ内に取り付けられた圧膜、を含み、ダクトは、タイヤキャビティおよび入口調整器の内部チャンバと流体連通する内部孔を有し、内部チャンバは、第1および第2の空気管の入口端に接続された、調整器胴体内の2つの対向する通路に接続され、圧膜は、入口調整器の内部チャンバに取り付けられており、内部チャンバの壁は、圧膜と係合可能なフランジ端を有し、フランジ端は内部キャビティを取り囲み、入口調整器は、1つ以上の空気穴を有する上面を有し、空気穴は上面から延び、空気穴は内部キャビティと流体連通し、インサートは、内部キャビティと流体連通している2つの横導管をさらに有している。
【0008】
ここで、本明細書で使用される用語を定義する。
【0009】
タイヤの「アスペクト比」は、パーセントとして表示するために、その断面高さ(SH)の、その断面幅(SW)に対する比に100を掛けたものを指す。
【0010】
「軸方向の」および「軸方向に」は、タイヤの回転軸線に平行な線または方向を指す。
【0011】
「チェイファー」は、タイヤビードの外側の周りに配置された細いストリップ材料で、リムとの接触によるコードプライの摩耗と切断を防ぎ、リムの上でのたわみを分散させる。
【0012】
「周方向の」は、軸方向に垂直な環状のトレッドの表面の周辺に沿って延びる線または方向を指す。
【0013】
「赤道中央面(CP)」は、タイヤの回転軸線に垂直で、トレッドの中心を通過する平面を指す。
【0014】
「フットプリント」は、速度がゼロで、標準負荷および標準圧力下で平坦な面を有する、タイヤトレッドの接触部位または接触領域を指す。
【0015】
「インボード側」は、タイヤがホイールに取り付けられ、ホイールが車両に取り付けられたとき、タイヤの、車両に最も近い側を指す。
【0016】
「横の」は軸方向を指す。
【0017】
「横エッジ」は、標準の負荷で、かつタイヤに空気を入れた状態で測ったとき、軸方向に最も外側のトレッドの接触部位、すなわちフットプリントに接し、赤道中央面に平行な線を指す。
【0018】
「総接触面積」は、トレッドの全周のまわりの横エッジ同士の間の接地するトレッド要素の総面積を、横エッジ同士間のトレッド全体の総面積で割ったものを指す。
【0019】
「非方向性トレッド」は、前方移動の好ましい方向を持たないトレッドであって、トレッドパターンが移動の好ましい方向に確実に揃うようにするために特定の1つまたは複数のホイール位置において車両上に配置されることが要求されないトレッドを指す。逆に、方向性トレッドパターンは、特定のホイール位置を必要とする好ましい移動方向を有する。
【0020】
「アウトボード側」は、タイヤがホイールに取り付けられ、ホイールが車両に取り付けられたときの、タイヤの、車両に最も遠い側を指す。
【0021】
「ぜん動」は、閉じ込められた空気のような物質を管状の通路に沿って進ませる波状の収縮による動作を指す。
【0022】
「半径方向の」および「半径方向に」は、タイヤの回転軸に半径方向に向かい、またはタイヤの回転軸心から半径方向に離れる方向を指す。
【0023】
「リブ」は、少なくとも1つの周方向の溝および第2のそのような溝または横エッジのいずれかによって形成され、全深さの溝によっては横方向に分割されていない、トレッド上の、周方向に延びるゴムのストリップを指す。
【0024】
「サイプ」は、トレッド表面を細分してトラクションを改善する、タイヤのトレッド要素に成形された小さい細長い隙間を指し、タイヤのフットプリント内に開いたままの溝とは反対に、サイプは一般に幅が狭く、タイヤのフットプリント内で閉じている。
【0025】
「トレッド要素」または「トラクション要素」は、隣接した溝の形状を持たせることによって形成されるリブまたはブロック要素を指す。
【0026】
「トレッド弧幅」は、トレッドの横エッジ同士間で測定されたトレッドの弧の長さを指す。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】2つのぜん動ポンプ組立体を示す、タイヤとリムの組立体の等角図である。
【図2】図1のタイヤの側面図である。
【図3A】ポンプ出口機構の拡大斜視図である。
【図3B】図3Aのポンプ出口機構の断面図である。
【図4A】タイヤが回転するときのポンプのタイヤキャビティへの作用を示す、タイヤ、リム、管、弁の側面を示す面である。
【図4B】タイヤが回転するときのポンプのタイヤキャビティへの作用を示す、タイヤ、リム、管、弁の側面を示す面である。
【図5A】タイヤを切断した部分断面図である。
【図5B】リムに隣接するポンプ管の配置の拡大図である。
【図6A】道路表面で負荷がかかっているタイヤを切断した部分断面図である。
【図6B】タイヤビード領域内で圧縮されている管を示す、図6Aの拡大図である。
【図7】圧力調整器がタイヤ内に取り付けられているのが示された、タイヤとリムの組立体の拡大断面図である。
【図8】圧力調整器の斜視図である。
【図9】図8の圧力調整器の上面図である。
【図10】図8の圧力調整器の拡大分解斜視図である。
【図11】図8の圧力調整器の、線11−11に沿った拡大分解斜視図である。
【図12】図8の圧力調整器の、線12−12に沿った拡大分解斜視図である。
【図13A】図8の圧力調整器の、閉位置における、線12−12に沿った断面図である。
【図13B】図8の圧力調整器の、開位置における、線12−12に沿った断面図である
【図14】図8の圧力調整器の、線11−11に沿った断面図である。
【図15】図9の圧力調整器の、線15−15に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明を例により、図面を参照して説明する。
【0029】
図1と図5を参照すると、タイヤ組立体10は、タイヤ12とぜん動ポンプ組立体14とタイヤリム16とを有している。タイヤ12は、外側リムフランジ22、24に隣接して配置された一対のリム取り付け面18、20に従来の方法で取り付けられている。外側リムフランジ22、24は外側リム面26を有している。リム体28が、図示のように、タイヤ組立体を支持している。タイヤ12は従来の構造と同じ構造で、対向するビード領域34、36からクラウン、すなわちタイヤトレッド領域38へと延びる一対のサイドウォール30、32を有している。タイヤ10とリム16はタイヤキャビティ40を取り囲んでいる。
【0030】
図1、図2、図4に示されるように、ぜん動ポンプ組立体14は、タイヤ12のサイドウォール領域内、望ましくビード領域の近くに配置された通路43内に取り付けられた第1および第2のポンプ41、42を含んでいる。空気通路43は、加硫の間、タイヤのサイドウォール内に成形されるのが望ましく、かつ環状の形状であるのが望ましい。各ポンプ41、42は、入口装置44によって互いに繋ぎ合わされた第1の端41a、42aと、出口装置46によって互いに繋ぎ合わされた第2の端41b、42bと、を有している。各ポンプ41、42は、プラスティック、シリコン、エラストマー、またはゴム化合物のような、弾性があり、かつ柔軟な材料で作られた管体からなり、管が、外部の力を受けて平らな状態に変形し、そのような力がなくなると、断面が概ね円形の元の状態に戻る、繰り返しの変形サイクルに耐えることができる。管は、ここに記載された目的のために十分な量の空気を、作動可能に通過させるのに十分で、該管を、タイヤ組立体内の、後述する動作位置に配置するのを可能にする直径を有している。管は、円形の断面形状を有するのが望ましいが、楕円形状またはレンズ形状のような他の形状が使用されてよい。
【0031】
図示されているように、入口装置44と出口装置46は、それぞれの位置において約180度離れて、2つの180度ポンプ41、42を構成している。入口装置と出口装置は互いに隣接して配置されて、単一の360度ポンプを構成してもよい。270度などのような他の変形例を用いても良い。出口装置46は、ポンプ41の出口端41bに接続する第1のポート48を有する胴体47を有するコネクタである。第1のポート48は出口ポート52と流体連通している。出口ポート52は、ポンプ端41bがタイヤキャビティと流体連通するようにタイヤキャビティ内へと延びている。出口装置は、ポンプ42の出口端42bに接続する第2のポート50をさらに有している。第2のポート50は、ポンプ端42がタイヤキャビティ40と流体連通するようにタイヤキャビティ40内に配置されている出口ポート54に接続されている。図3Bは、各出口端52、54がポンプ内へ空気が逆流するのを防ぐ逆止弁56、58を有することをさらに示している。出口装置46の出口端52、54は、該出口端がタイヤキャビティ40と流体連通するようにタイヤキャビティ内へと延びている。
【0032】
入口装置44は図8から図15に示されている。入口装置は両ポンプ41、42の流入量を調整するように働く。入口装置44は、生のタイヤに成形され、それから硬化させられる外側カバー45を含んでいる。外側カバー45は、以下に詳しく説明する、ポンプ管41、42の入口と流体連通する2つの横穴47を有している。カバーは、側壁51と底壁52によって形成された内側キャビティ50をさらに有している。穴53が底壁に設けられている。
【0033】
調整器胴体54がカバーの内側キャビティ50に入れられている。調整器胴体54は、調整器胴体に接続された第1の端57と、内側キャビティ50の穴53に入れられた遠位端59とを有する外側ダクト56を有している。外側ダクトは、ダクトの遠位端59がタイヤキャビティ40と流体連通する十分な長さを有するようにサイズが決められている。外側ダクト56の第1の端57は、調整器胴体54の内部の中心に配置されているのが望ましい内部チャンバ58に接続されている。内部チャンバ58は、2つの対向する通路62に至る2つの対向する穴60を有している。両通路62はカバー45内に位置する穴47と一直線となるように位置決め可能である。
【0034】
圧膜64がチャンバ58の底内に収容され、チャンバ壁66の周りのリム65によって支持されている。圧膜はディスク状で、ゴム、エラストマー、プラスティック、またはシリコンのような、ただしこれらに限定されない柔軟な材料で作られているのが望ましい。
【0035】
インサート68が、圧膜64上のチャンバ58内に配置されている。インサート68は、1つ以上の空気穴74を有する上フランジ面70を有し、空気穴74は、外部の空気が圧膜64と流体連通するように、上面70から下向きにインサート胴体72を貫通している。空気穴はフィルタ80を任意に有してよい。インサート68は、圧膜64と流体連通している内部キャビティ76と、空気穴74と、空気穴74に対して横向き、すなわち垂直な2つの横導管78を有している。横導管は内側キャビティ76の各側に接続されている。内側キャビティ76は、形状が環状であってよく、かつ圧膜と係合するように配置されたフランジ部分77によって取り囲まれている。
【0036】
入力圧力調整器44の動作を次に説明する。圧膜は、タイヤキャビティ40と流体連通しているダクト56内の圧力によってタイヤキャビティ内の圧力を検知する。タイヤ圧が十分に高いとき、圧膜は、タイヤ圧に応答し、タイヤ圧が十分に高ければ、圧膜は、図13Aに示されるように、圧膜によってインサートのフランジ部分と強制的に係合させられ、内側キャビティ76を封止する。圧膜はインサート68のフランジ部分77に着座し、キャビティ76へ流れを遮断する。タイヤ圧が低下するにつれて、圧膜は、図13Bに示すように、フランジ部分77から離れ、空気が空気穴74に、そしてキャビティ76に流れ込む。図15に示すように、キャビティ76からの空気は横導管78に入り、それから対向するチャンバ通路62を通り、外側カバー45の位置合わせされた穴47を通り、各ポンプ41、42の入口端に入る。
【0037】
図4Aからわかるように、入口装置44と出口装置46は、円形の空気管42と流体連通し、かつ概ね180度離れて配置されている。タイヤが回転方向88に回転するにつれて、フットプリント100が地面98に対して形成される。圧縮力104がフットプリント100からタイヤに向けられ、参照番号106で示すように、ポンプ42の部分110を平らにするように働く。ポンプ42の部分110が平らになることによって、平らになった部分110と出口装置46の間にある空気の一部が、矢印84で示される方向に、出口装置46に向かって押しやられる。
【0038】
タイヤが地面98に沿って方向88に回転し続けるにつれて、ポンプ管42は、タイヤ回転方向88と逆の方向90に、部分ごとに連続的に平らにさせられ、すなわち押しつぶされる。ポンプ管42が部分ごとに連続的に平らになることによって、平らにさせられた部分と出口装置46の間に位置する空気柱がポンプ42内で方向84に出口装置46へと送り込まれる。
【0039】
タイヤが方向88に回転すると、平らにされた管の部分は、図4Aに示すように、方向90にポンプ管42に沿って入口装置44に流れ込む空気92によって、連続的に、再度満たされる。入力装置44からの、方向90における空気の流入は、タイヤ回転方向88で示される反時計周りに回転する出口装置46がタイヤフットプリント100を通過するまで続く。
【0040】
図4Bは、そのような位置におけるぜん動ポンプ組立体14の向きを示している。示された位置では、管41は、参照番号106で示されるように、圧縮力104によってタイヤフットプリント100と対向する部分ごとに連続的に平らにされ続ける。空気が時計方向94に入力装置44に送り込まれ、そこで空にされ、すなわち排出される。排出空気96の入力装置44からの通過は内部フィルタ80を通り、該フィルタは、該フィルタから多孔質媒体内の蓄積された破片または粒子を取り除く働きをする。送り込まれた空気が入力装置44から排出されると、出口装置46は閉位置にあり、空気はそこからタイヤキャビティ40へ流れない。入口装置44が(図4Aに示すように)タイヤフットプリント100を通過するまでタイヤが反時計方向88にさらに回転すると、出口装置46への空気流が再開し、送り込まれた空気がタイヤキャビティ40へ流出させられる(矢印86)。
【0041】
図4Bは、管42が、タイヤが方向88に回転するときに、部分102、部分102’、部分102’’と、部分ごとに平らにされることを示している。したがって、圧搾された、すなわち平らにされた管部分の前進が、タイヤ回転方向88と逆である時計周り方向に進むことがわかる。部分102がフットプリント100から離れるにつれて、タイヤ内のフットプリント領域からの圧縮力はなくなり、部分102は、部分102が通路43からの空気で再度、満たされるときの平らにされていない状態に弾性的に自由に再構成することができる。平らにされていない元の構成では、管42の部分は断面が概ね円形である。
【0042】
上記のサイクルは、タイヤの回転ごとに繰り返され、各回転の半分では送り出された空気はタイヤキャビティ40に行き、各回転の半分では送り出された空気は入口装置に戻されてフィルタを自動的に清掃する。タイヤ12の回転方向88は、図4A、図4Bでは反時計回りに示されているが、本発明のタイヤ組立体とそのぜん動ポンプ組立体14は、番号88で示されたのと反対の(時計回りの)回転方向において同様に機能する。したがって、ぜん動ポンプは双方向であり、前進する回転方向または逆の回転方向に動いているタイヤ組立体についても等しく機能する。
【0043】
ぜん動ポンプ組立体14の位置は図5および図6からわかる。一実施形態では、ぜん動ポンプ組立体14は、チェイファー120内でリムフランジ面26の半径方向外側にタイヤサイドウォールに配置されている。そのように配置されているので、空気管42はタイヤのフットプリント100から半径方向内側にあり、したがって、上記したように、タイヤのフットプリント100から向けられた力によって平らにされるように配置されている。フットプリント100と向き合う部分110は、管部分をリムフランジ面26に押圧する、フットプリント100からの圧縮力114によって平らになる。管42の位置は、ビード領域34におけるタイヤのチェイファー120とリム面26との間に、具体的に示されているが、これに限定されず、サイドウォールまたはトレッド内のどこでもタイヤの任意の領域に配置されてもよい。ぜん動ポンプ空気管42の直径の大きさは、リムフランジ面26の外周にわたるように選択されている。
【0044】
上記したことから、本発明は、円形の空気管42がタイヤのフットプリント100内で部分ごとに平らになって閉じる、自動膨張式タイヤ用の双方向ぜん動ポンプを提供することが理解されるであろう。空気入口装置44はフィルタ80を含み、自動清掃するものであってよい。ぜん動ポンプ組立体14は、タイヤのどちらの回転方向下でも空気を送り出し、回転の半分では空気をタイヤキャビティ40に送り出し、回転の他の半分では空気を入口装置44(フィルタ80)から戻す。ぜん動ポンプ組立体14は、システム故障検出器として働く従来構造の補助的タイヤ圧監視システム(TPMS)(不図示)と共に使用されてよい。TPMSは、タイヤ組立体の自動膨張システムの何らかの故障を検出し、そのような状態をユーザに警告するのに使用されてよい。
【0045】
本発明の変形が、ここに記載した説明を考慮して可能である。ある代表的な実施形態と詳細な説明を、本発明を例示する目的で示したが、様々な変更と修正が、本発明の範囲から外れることなくここでなされ得ることが当業者にとって明らかであろう。したがって、次の添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の、意図された全範囲内にある、記載された特定の実施形態において変更がなされ得ることが理解されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動膨張式タイヤ組立体において、
タイヤキャビティと、第1、第2のタイヤビード領域からタイヤトレッド領域へとそれぞれ延びる第1、第2のサイドウォールを有し、リムに取り付けられたタイヤと、
前記タイヤに接続された第1および第2の空気管であって、各空気管が空気通路を形成し、各空気管が、タイヤのフットプリントの近くの空気管部分の一部が前記環状の通路を実質的に開き、閉じることができるように作用する柔軟性のある材料からなる、第1および第2の空気管と、
各空気管の入口端に接続されている入口調整装置であって、前記入口調整装置は前記サイドウォール内に取り付けられた調整器胴体を含み、該調整器胴体は前記タイヤキャビティ内に位置する遠位端を有する外側ダクトを有し、該ダクトは、前記タイヤキャビティおよび前記調整器胴体の内部チャンバと流体連通する内部孔を有し、前記内部チャンバは、前記第1および第2の空気管の入口端に接続されている、前記調整器胴体内の2つの対向する通路に接続されている、入口調整装置と、
前記調整器胴体の前記内部チャンバ内に取り付けられた圧膜と、
前記調整器胴体の前記内部チャンバ内に取り付けられ、かつ前記圧膜と係合可能なフランジ端を有するインサートであって、前記フランジ端は内部キャビティを取り囲み、前記インサートは、上面であって、該上面から延び、かつ前記内側キャビティと流体連通している1つ以上の空気穴を有する上面を有し、前記インサートは前記内部キャビティと流体連通している2つの横導管をさらに有している、インサートと、
を有することを特徴とする自動膨張式タイヤ組立体。
【請求項2】
前記入口調整装置が前記タイヤの外側表面と同一平面の外側面を形成している、請求項1に記載の自動膨張式タイヤ組立体。
【請求項3】
前記入口調整装置が前記タイヤの前記サイドウォール内に取り付けられている、請求項1に記載の自動膨張式タイヤ組立体。
【請求項4】
前記入口調整装置が前記タイヤキャビティ内に取り付けられている、請求項1に記載の自動膨張式タイヤ組立体。
【請求項5】
前記入口調整装置がインナーライナ上に取り付けられている、請求項1に記載の自動膨張式タイヤ組立体。
【請求項6】
前記入口調整装置が前記タイヤの前記トレッド内に取り付けられている、請求項1に記載の自動膨張式タイヤ組立体。
【請求項7】
タイヤの前進回転方向またはタイヤの逆の回転方向のいずれかにおいて、前記空気管が前記タイヤフットプリントによって連続的に平らにされ、空気を前記空気通路に沿って送り込む、請求項1に記載の自動膨張式タイヤ組立体。
【請求項8】
出口装置と前記入口調整装置とがほぼ180度離れて前記環状の空気管に取り付けられている、請求項1に記載の自動膨張式タイヤ組立体。
【請求項9】
出口装置と前記入力調整装置とがほぼ360度離れて前記環状の空気管に取り付けられている、請求項1に記載の自動膨張式タイヤ組立体。
【請求項10】
前記空気管の断面形状が楕円である、請求項1に記載の自動膨張式タイヤ組立体。
【請求項1】
自動膨張式タイヤ組立体において、
タイヤキャビティと、第1、第2のタイヤビード領域からタイヤトレッド領域へとそれぞれ延びる第1、第2のサイドウォールを有し、リムに取り付けられたタイヤと、
前記タイヤに接続された第1および第2の空気管であって、各空気管が空気通路を形成し、各空気管が、タイヤのフットプリントの近くの空気管部分の一部が前記環状の通路を実質的に開き、閉じることができるように作用する柔軟性のある材料からなる、第1および第2の空気管と、
各空気管の入口端に接続されている入口調整装置であって、前記入口調整装置は前記サイドウォール内に取り付けられた調整器胴体を含み、該調整器胴体は前記タイヤキャビティ内に位置する遠位端を有する外側ダクトを有し、該ダクトは、前記タイヤキャビティおよび前記調整器胴体の内部チャンバと流体連通する内部孔を有し、前記内部チャンバは、前記第1および第2の空気管の入口端に接続されている、前記調整器胴体内の2つの対向する通路に接続されている、入口調整装置と、
前記調整器胴体の前記内部チャンバ内に取り付けられた圧膜と、
前記調整器胴体の前記内部チャンバ内に取り付けられ、かつ前記圧膜と係合可能なフランジ端を有するインサートであって、前記フランジ端は内部キャビティを取り囲み、前記インサートは、上面であって、該上面から延び、かつ前記内側キャビティと流体連通している1つ以上の空気穴を有する上面を有し、前記インサートは前記内部キャビティと流体連通している2つの横導管をさらに有している、インサートと、
を有することを特徴とする自動膨張式タイヤ組立体。
【請求項2】
前記入口調整装置が前記タイヤの外側表面と同一平面の外側面を形成している、請求項1に記載の自動膨張式タイヤ組立体。
【請求項3】
前記入口調整装置が前記タイヤの前記サイドウォール内に取り付けられている、請求項1に記載の自動膨張式タイヤ組立体。
【請求項4】
前記入口調整装置が前記タイヤキャビティ内に取り付けられている、請求項1に記載の自動膨張式タイヤ組立体。
【請求項5】
前記入口調整装置がインナーライナ上に取り付けられている、請求項1に記載の自動膨張式タイヤ組立体。
【請求項6】
前記入口調整装置が前記タイヤの前記トレッド内に取り付けられている、請求項1に記載の自動膨張式タイヤ組立体。
【請求項7】
タイヤの前進回転方向またはタイヤの逆の回転方向のいずれかにおいて、前記空気管が前記タイヤフットプリントによって連続的に平らにされ、空気を前記空気通路に沿って送り込む、請求項1に記載の自動膨張式タイヤ組立体。
【請求項8】
出口装置と前記入口調整装置とがほぼ180度離れて前記環状の空気管に取り付けられている、請求項1に記載の自動膨張式タイヤ組立体。
【請求項9】
出口装置と前記入力調整装置とがほぼ360度離れて前記環状の空気管に取り付けられている、請求項1に記載の自動膨張式タイヤ組立体。
【請求項10】
前記空気管の断面形状が楕円である、請求項1に記載の自動膨張式タイヤ組立体。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−49413(P2013−49413A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−188215(P2012−188215)
【出願日】平成24年8月29日(2012.8.29)
【出願人】(590002976)ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー (256)
【氏名又は名称原語表記】THE GOODYEAR TIRE & RUBBER COMPANY
【住所又は居所原語表記】1144 East Market Street,Akron,Ohio 44316−0001,U.S.A.
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月29日(2012.8.29)
【出願人】(590002976)ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー (256)
【氏名又は名称原語表記】THE GOODYEAR TIRE & RUBBER COMPANY
【住所又は居所原語表記】1144 East Market Street,Akron,Ohio 44316−0001,U.S.A.
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