自動製氷機
【課題】リード線の破損等を防止し得ると共に、駆動手段から滴下するオイルによって不衛生となるのを防止し得る自動製氷機を提供する。
【解決手段】取付枠の前側に、取付部材30を介してアクチュエータAMが配設される。アクチュエータAMは、モータボックス20に収容したモータ本体と、ギヤボックス21に収容された減速機構とからなり、モータボックス20とギヤボックス21とを接続し、両ボックス20,21内でモータ本体と減速機構とが連結される。ギヤボックス21に、アクチュエータAMを下側から覆う第1カバー部品36が配設される。
【解決手段】取付枠の前側に、取付部材30を介してアクチュエータAMが配設される。アクチュエータAMは、モータボックス20に収容したモータ本体と、ギヤボックス21に収容された減速機構とからなり、モータボックス20とギヤボックス21とを接続し、両ボックス20,21内でモータ本体と減速機構とが連結される。ギヤボックス21に、アクチュエータAMを下側から覆う第1カバー部品36が配設される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製氷室に画成された製氷小室に製氷水を供給する水皿を、駆動手段により開閉するよう構成した自動製氷機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下向きに開口する多数の製氷小室に製氷水を下方から噴射供給して、氷塊を連続的に製造する噴射式の自動製氷機が、喫茶店やレストラン等の施設その他の厨房において好適に使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図20および図21に示す自動製氷機は、全体が略箱形の筐体10の内部に、所要形状の貯氷室11が画成されると共に、該筐体10の内部上方には、製氷室12,水皿13および製氷水タンク14等からなる製氷機構15が配設されている。具体的には、前記筐体10の頂部に水平に配置した取付枠16の下方に、下向きに開口する多数の製氷小室(図示せず)を画成した製氷室12が固定支持され、この製氷室12の上面に、図示しない冷凍系に連通する蒸発器17が密着的に蛇行配置され、製氷運転時に冷媒を循環させて前記製氷小室を強制冷却するようになっている。また前記製氷室12の直下には、製氷水を貯留する製氷水タンク14を下方に一体的に備えた水皿13が、枢支軸(図示せず)により片持式に傾動可能に枢支され、モータを駆動源とするアクチュエータAM、カムやコイルばね等からなる水皿傾動機構18により付勢されて、枢支軸を中心として傾動して前記製氷小室(製氷室12)を下方から閉成する閉成位置と、下方に傾動して製氷小室(製氷室12)を開放する開放位置との間を傾動するよう構成される。更に、前記製氷水タンク14の底部外方には、ポンプモータPMが取付けられ、このポンプモータPMにより吸入された製氷水は、前記水皿13に吐出供給されると共に、この水皿13に穿設した各噴水孔から、前記製氷小室内に対応的に噴射供給されるようになっている。なお、図20に示す前記水皿13は、筐体10の前後方向に延在する枢支軸により左端部が片持式に枢支され、右端部側が上下方向に傾動するよう構成される。
【0004】
前記アクチュエータAMは、メンテナンス性を考慮して前記取付枠16の前側に配設され、筐体10における製氷機構15や水皿傾動機構18の前側に着脱自在に配設されたフロントパネル19を取外すことで、該アクチュエータAMを前側からメンテナンスし得るよう構成されている。また、アクチュエータAMは、モータボックス20に収容したロータ等のモータ本体(図示せず)と、ギヤボックス21に収容された減速機構(図示せず)とからなり、モータボックス20とギヤボックス21とを接続し、両ボックス20,21内でモータ本体と減速機構とが連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−39392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記アクチュエータAMから導出するリード線は、モータボックス20内への水の侵入防止のために、モータボックス20の下側に穿設した孔から外部に引き出された後、前記取付枠16の上側に引き回されるよう構成される。このような構成では、リード線の引き回しが適正に行なわれないと、該リード線がアクチュエータAMの下側に大きく垂れ下がることがある。この場合は、筐体10における貯氷室11に対応する位置に設けた氷取出口を開閉する開閉扉を開放し、氷取出口を介して氷塊の取出しを行なう際に、作業者の手指がリード線に引っ掛かり、該リード線を引っ張って破損させたり接触不良を招くおそれがあった。
【0007】
また、前記アクチュエータAMでは、経時的な劣化あるいは水皿傾動時に発生する振動等に起因して、前記モータボックス20とギヤボックス21とのシール性が低下し、粘度が低下したオイルが両ボックス20,21の接続部から漏れるおそれがある。この場合、漏れたオイルは、貯氷室11に滴下して不衛生となる問題が指摘される。
【0008】
すなわち本発明は、従来の技術に係る自動製氷機に内在する前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、リード線の破損等を防止し得ると共に、駆動手段から滴下するオイルによって不衛生となるのを防止し得る自動製氷機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項1の発明に係る自動製氷機は、
一方に開口する多数の製氷小室を有する製氷室および製氷室における製氷小室の開口側に対向して傾動可能に枢支した水皿を備える製氷機構と、保持部材に配設されて前記水皿に連繋された作動機構を作動する駆動手段とからなり、前記駆動手段により作動機構を作動することで、前記水皿を製氷小室の閉成位置および開放位置の間で傾動させるようにした自動製氷機において、
前記駆動手段に、該駆動手段を下側から覆うカバー部品を配設したことを要旨とする。
【0010】
請求項1に係る発明によれば、氷塊を取出す際に、誤って駆動手段に接続するリード線に手が触れたり、引っ張ったりするのを防止できる。また、カバー部品が駆動手段の内部から漏れたオイルを受けるので、貯氷室内にオイルが滴下して不衛生となるのを防止し得る。更に、カバー部品を駆動手段に直接配設することにより、駆動手段にカバー部品を事前に組付けが可能であり、組付け作業性が向上する。
【0011】
請求項2に係る発明では、前記カバー部品は、上面開放した箱状に形成され、前記製氷機構の下方に配設したドレンパンに、該カバー部品に受容した液体を排出する排出部を設けたことを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、カバー部品に受けたオイルをドレンパンに排出し得るので、カバー部品にオイルを排出するホース等を接続する必要はなく、カバー部品の構成を簡略化し得る。
【0012】
請求項3に係る発明では、前記保持部材の外側に前記駆動手段が配設されると共に、該保持部材の内側に連通する通路が前記カバー部品に形成され、前記駆動手段に接続して保持部材の内側に引き込まれるまでのリード線を該通路に収容して案内するよう構成したことを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、カバー部品に、リード線を保持部材の内側に案内する通路を設けたので、リード線を結束等することなく定位置に保持することができ、リード線に誤って手指が触れるのを確実に防止し得る。また、リード線は通路に沿って引き回すだけで定位置に保持し得るので、リード線の引き回し作業が容易となる。
【0013】
請求項4に係る発明では、前記カバー部品の前記通路内に、該通路の延在方向に沿って延在する仕切片を設けて通路を複数に仕切るようにしたことを要旨とする。
請求項4に係る発明によれば、リード線を引き回す通路を仕切片によって複数の通路に分けたので、複数のリード線を各通路に沿って分けて引き回すことができる。
【0014】
請求項5に係る発明では、前記カバー部品および仕切片は、絶縁材料から形成したことを要旨とする。
請求項5に係る発明によれば、高電圧用のリード線と低電圧用のリード線とを絶縁状態で分けて引き回すことができ、リード線自体の絶縁構造を簡略化できる。
【0015】
請求項6に係る発明では、前記保持部材は、上方に開放するトレー状に形成され、前記カバー部品に、前記保持部材の底部に設けた排水孔から排出される水を受ける受け部を設けたことを要旨とする。
請求項6に係る発明によれば、保持部材に溜った水をカバー部品を介してドレンパンに排出することができる。すなわち、駆動手段から漏れるオイルを受ける機能、駆動手段に接続するリード線の案内および保持を行なう機能を備えたカバー部品に、保持部材に溜った水の排出機能を付加したことで、保持部材に溜った水の排出を行なう専用の部品を設ける必要はなく、構成を簡略化し得ると共に製造コストを低廉に抑えることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る自動製氷機によれば、リード線の破損等を防止すると共に、不衛生となるのを防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1に係る自動製氷機を一部破断して示す概略斜視図である。
【図2】実施例1に係る自動製氷機を示す要部縦断側面図である。
【図3】実施例1に係るカバー部品をアクチュエータに配設した状態で示す概略斜視図である。
【図4】実施例1に係るカバー部品を示す概略斜視図である。
【図5】実施例1に係る自動製氷機に採用されるアイスガイドを示す概略斜視図である。
【図6】アイスガイドとドレンパンとの関係を示す説明図である。
【図7】実施例1に係る自動製氷機に採用される案内部材を示す概略斜視図である。
【図8】案内部材を取付枠に配設した状態で示す要部縦断正面図である。
【図9】実施例2に係るカバー部品をアクチュエータに配設した状態で示す概略斜視図である。
【図10】実施例3に係るカバー部品をアクチュエータに配設した状態で示す概略斜視図である。
【図11】実施例3に係るカバー部品を示す概略斜視図である。
【図12】実施例3に係るカバー部品を示す概略平面図である。
【図13】実施例4に係るカバー部品を示す概略斜視図である。
【図14】実施例4に係るカバー部品を示す要部概略平面図である。
【図15】実施例4に係るカバー部品と取付枠の排水孔との関係を示す説明図である。
【図16】実施例5に係るカバー部品を示す概略平面図である。
【図17】実施例6に係るカバー部品をアクチュエータに配設した状態で示す概略斜視図である。
【図18】実施例6に係るカバー部品を示す概略斜視図である。
【図19】アイスガイドの変更例を示す概略斜視図である。
【図20】従来の技術に係る自動製氷機を一部破断して示す概略斜視図である。
【図21】従来の技術に係る自動製氷機を示す要部縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明に係る自動製氷機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。なお、実施例の自動製氷機は、従来例で説明した自動製氷機と基本的な構成は同じであるので、説明の便宜上、図20または図21に示した自動製氷機の構成要素と同一の要素については、同一の符号を使用して詳細な説明は省略し、異なる部分のみ説明する。また製氷機構において、アクチュエータを配設した側を前側とし、水皿は筐体の前後方向に延在する枢支軸により前側から見て左端部が片持式に枢支され、右端部側が上下方向に傾動するようになっている。
【実施例1】
【0019】
図1に示す如く、自動製氷機を構成する前記筐体10は、前方および上方に開放する断熱構造の箱状に形成されている。筐体10における左右の側壁10a,10a(図1では一方のみ図示)の上端間に、金属製の前記取付枠(保持部材)16が架設され、この取付枠16に、前記製氷機構15および水皿傾動機構18が支持されて、筐体10内に画成される内部空間の上部に製氷機構15および水皿傾動機構18が臨むよう構成される。前記取付枠16は、図1に示す如く、上方に開放する横長矩形のトレー状に形成されており、左右両端に延出する延出部16a,16a(図1では一方のみ図示)を側壁10a,10a上面に載置してネジ止めされるようになっている。なお、筐体10に内部画成される内部空間について、上部側の内部空間を、前記製氷機構15および水皿傾動機構18が臨む機構収容室22と指称すると共に、下部側の内部空間を、製氷機構15で製造された氷塊を貯留する貯氷室23と指称するものとする。
【0020】
前記筐体10の上部には、図2に示す如く、上面開口部を覆蓋し得る断熱構造の天板24が着脱可能に取付けられる。また筐体10の前部に、前記製氷機構15の配設領域より下側において両側壁10a,10aの間に支持枠25が架設されると共に、該筐体10の前面に、支持枠25より上側の前面開口10bを閉鎖するフロントパネル26が着脱自在に配設されており、該フロントパネル26は、製氷機構15や水皿傾動機構18の前側を覆うと共に製氷機構15や水皿傾動機構18の近傍へ前側から手が入るのを防止するべく機能する。更に、筐体10の前面には、支持枠25より下側の前面開口10bを開閉する開閉扉27が、下端部を支点として前方に傾動可能に配設されている。すなわち、開閉扉27を前方へ傾動して前面開口10bを開放することで、前記貯氷室23からの氷塊の取出しを行ない得るよう構成される。なお、前面開口10bにおける開閉扉27で開閉される部分については、以後「氷取出口」と指称する場合もある。
【0021】
前記製氷機構15の下方には、前記製氷水タンク14から排出された製氷水(排水)を受け入れて機外へ排出するドレンパン28が配設されている。このドレンパン28は、図1および図2に示す如く、筐体10の内部空間の前後方向の全長に亘って延在する前後寸法に設定され、該ドレンパン28の後端部が筐体10の後壁内面に固定されると共に、ドレンパン28の前端に延出形成した支持片28aが、前記支持枠25に固定されている。またドレンパン28の左右方向の幅寸法は、図1に示す如く、内部空間の左右方向の幅寸法より短かく設定されて、該ドレンパン28の右端と筐体10の左側の側壁10aとの間に氷放出口29を画成している(図6参照)。すなわち、筐体10の内部空間は、ドレンパン28によって上側の機構収容室22と下側の貯氷室23とに仕切られると共に、機構収容室22と貯氷室23とは氷放出口29を介して上下に連通するよう構成される。そして、前記製氷機構15の除氷運転によって水皿13が開放した際に、製氷室12から離脱して水皿上面を滑落する氷塊は、氷放出口29を介して貯氷室23に放出されて貯留されるようになっている。
【0022】
前記水皿13の枢支側と反対の開放端部(右端部)に近接する取付枠16の前面に、図1に示すように、下方に開放するコ字状に形成された取付部材30が配設され、該取付部材30の前面に、モータを駆動源とする前記アクチュエータAMが取付けられている。そして、アクチュエータAMを正転および逆転方向に駆動することで、カムやバネ等からなる作動機構(図示せず)を介して前記水皿13が製氷室12に対する閉成位置および開放位置との間を傾動するよう構成される。取付部材30は、水平に延在する連結板30aの前端縁に、下側に向けて前取付板30bが折曲形成されると共に、該連結板30aの後端縁に、下側に向けて後取付板30cが折曲形成されており、後取付板30cが取付枠16の前面板16bにネジ止めされる。そして、該取付部材30の前取付板30bに、アクチュエータAMが後述するようにネジ止めされる。なお、取付部材30における前後の取付板30b,30c間に、作動機構の一部が収容されるようになっている。
【0023】
駆動手段としてのアクチュエータAMは、図3に示すと共に前述した如く、モータボックス20に収容したロータ等のモータ本体(図示せず)と、ギヤボックス21に収容された減速機構(図示せず)とから構成され、モータボックス20とギヤボックス21とが前後に対向当接した状態で接続されている。また、ギヤボックス21の後端(モータボックス20の接続側とは反対側)には、上下左右の4箇所に、外方に延出するフランジ部31が夫々形成されると共に、上側に位置する左右2箇所のフランジ部31,31にはネジ孔31aが夫々形成されている。そして、上側に位置する左右2箇所のフランジ部31,31に設けたネジ孔31aの夫々に、前記取付部材30の前取付板30bに対応して形成された通孔(図示せず)に後側から挿通したネジを螺挿することで、アクチュエータAMは取付部材30の前面(外側)に配設固定される。なお、ギヤボックス21における下側の左右2箇所のフランジ部31,31には、前後方向に貫通する通孔(図示せず)が夫々形成されている。
【0024】
前記ギヤボックス21の内部には、アクチュエータAMにおける適宜の回転部分における回転方向および回転角度を検出可能なホールIC等の検出センサ(図示せず)が配設され、該検出センサの検出信号に基づいて、図示しない制御手段がアクチュエータAMを制御して、前記水皿13を開閉動すると共に閉成位置と開放位置とに位置決め停止するよう構成される。そして、モータボックス20の下側に、内外を連通する通孔(図示せず)が穿設され、該通孔を介してモータ本体に接続するモータ用リード線32および前記検出センサに接続するセンサ用リード線33とがボックス外に引き出されるよう構成される。これらリード線32,33は、図3に示す如く、モータボックス20を下側から左側に巻くように引き回された後に、前記取付部材30の右側から前記取付枠16の内側に引き込まれるよう構成される。また取付枠16の上側に引き出されたリード線32,33は、後述する案内部材43を介して前記筐体10の背面に案内されて該筐体10に形成した配線通路10c(図2参照)内を引き回された後に制御手段に接続されるようになっている。なお、取付枠16における底面板16cの前端縁から立上がる前面板16bには、取付部材30の配設位置より右側に、リード線32,33を受容する凹部16dが切欠形成され、リード線32,33を凹部16dに受容した状態で取付枠16の外側から内側に引き込むことで、該リード線32,33が取付枠16の上端縁より上方に突出しないよう構成してある。
【0025】
ここで、モータ用リード線32は高電圧用のリード線であるのに対し、センサ用リード線33は低電圧用のリード線であることから、電気的国際規格で求められている絶縁対策として、各リード線32,33に厚み1mm以上の絶縁性のチューブ34,34を外挿している。また、アクチュエータAMの外面の適宜位置にガイド部品35が配設され、アクチュエータAMを下側から上側に向けて巻くように引き回されている両リード線32,33をガイド部品35で支持することで、該リード線32,33がアクチュエータAMの外面から大きく離間するのを規制するようにしてある。なお、実施例1では、チューブ34でリード線32,33を被覆した状態のものをリード線と指称するものとする。
【0026】
前記アクチュエータAMに、該アクチュエータAMを下側から覆う合成樹脂製のカバー部品36が着脱自在に配設される。図1〜図4に示す実施例1のカバー部品(以後、第1カバー部品と指称する)36は、矩形状の底板36aの4辺に、前板36b、後板36c、左側板36dおよび右側板36eを夫々上方に立上がるように折曲形成して、上方に開放する箱状に形成されている。後板36cには、左右方向に離間して一対のネジ孔37,37が前後方向に貫通するように形成されており、両ネジ孔37,37は、前記ギヤボックス21における下側の左右2箇所のフランジ部31,31に形成した通孔の夫々に対応するよう設定される。そして、第1カバー部品36は、ギヤボックス21における下側のフランジ部31,31に対して後板36cを後側から当接したもとで、各フランジ部31の通孔に前側から挿通したネジ38(図3に一方のみ図示)を後板36cのネジ孔37に螺挿することで、当該第1カバー部品36がギヤボックス21にネジ止め固定されるようになっている。
【0027】
前記第1カバー部品36は、後板36cを介してギヤボックス21に固定した状態で、図3に示す如く、前板36bおよび左右の側板36d,36eがアクチュエータAMの下側部分を囲繞するよう位置決めされて、前記ギヤボックス21とモータボックス20との連結部から漏れたオイルを該第1カバー部品36に受容し得るよう構成される。また、アクチュエータAMの下側から左側上方に向けて引き回されている前記リード線32,33の下部側もカバー部品36で下側から覆われ、リード線32,33に対して下方から直接アクセスし得ないよう構成されている。なお、前板36bにおける底板36aからの上方への突出寸法は、後板36cや両側板36d,36eの突出寸法より小さく設定され、該前板36bの上端が、モータボックス20の下端と略同一高さ位置に位置するのに対し、両側板36d,36eの上端はモータボックス20の下端より所定高さだけ上方に位置するよう設定される。また前板36bの上端位置は、第1カバー部品36をギヤボックス21に固定するネジ38の位置(後板36cのネジ孔37の位置)より下方に位置するよう設定されて、ネジ38に対して前側からの工具のアクセスを可能として、着脱作業を容易に行ない得るよう構成される。更に、後板36cには、ギヤボックス21の後方に延出する減速機構と作動機構との連結部(図示せず)との干渉を防止する逃げ部36fが凹設されている。
【0028】
前記筐体10の内部空間には、前記氷放出口29に対応してアイスガイド39が配設されている。このアイスガイド39は、図2および図5に示す如く、前記支持枠25の上面に載置した状態で配設される逆L字状の取付部40と、該取付部40の上端部に設けられ、左右方向に延在する排水路を画成する樋部41と、該樋部41における貯氷室側の下端に連設されて貯氷室奥側に向けて延出する傾斜案内部42とから基本的に構成される。取付部40の幅寸法は、前記氷放出口29の幅寸法と略同一に設定されると共に、樋部41の幅寸法は氷放出口29の幅寸法より長く設定され、樋部41における取付部40の左端から左方に延出する左端部が前記ドレンパン28の上部内側に臨むようになっている(図6参照)。また樋部41の内底面は、ドレンパン28に向けて下方傾斜するよう形成されている。すなわち、樋部41に受容されて左側に流れる水滴等は、該樋部41の左端からドレンパン28に向けて速やかに流下させて排出し得るよう構成される。
【0029】
前記アイスガイド39の樋部41は、図2に示す如く、前記アクチュエータAMに配設された第1カバー部品36の下方に臨んで、該カバー部品36の外面等に生じた露等を該樋部41で受容し得るよう構成される。なお、樋部41における内部の前後寸法は、第1カバー部品36の前後外面間の寸法より長く設定されており、第1カバー部品36の前板36b、後板36c、底板36aおよび左右の側板36d,36eの外表面に生じた露が滴下した際に、該露を樋部41に確実に受容し得るよう構成してある。
【0030】
前記アイスガイド39の傾斜案内部42は、取付部40から貯氷室奥側に向けて所要の傾斜角度で下方傾斜する第1案内部42aと、該第1案内部42aの傾斜下端に連設されて第1案内部42aの傾斜角度より小さい角度で下方傾斜する第2案内部42bとで構成される。また傾斜案内部42の前後寸法は、図2に示す如く、貯氷室23(氷放出口29)より短かく設定され、前記製氷機構15において前側の部分から氷放出口29に向けて放出される氷塊は、アイスガイド39の傾斜案内部42で案内されて貯氷室23の奥側に放出されるようになっている。前記第2案内部42bにおける左右の端縁には、上方に向けて所定長さで延出する規制部42cが夫々形成されている。左側の規制部42cは、製氷機構15から放出されて傾斜案内部42上に落下した氷塊が跳ね返ってドレンパン28に入ってしまうのを防止するべく機能する。すなわち、実施例1では第2案内部42bの左右両端に規制部42cを夫々形成しているが、左端(ドレンパン28側)にのみ規制部42cを形成すればよい。なお、貯氷室23には、アイスガイド39によって氷塊が案内される奥側に貯氷検知手段(図示せず)が配設され、該貯氷検知手段が氷塊を検知したことを条件に製氷機構15での氷塊の製造が停止するよう構成されている。
【0031】
前記アイスガイド39では、図6に示す如く、前記樋部41の右端が筐体10の右側の側壁内面に当接し、樋部41に受容した水滴等が右端から貯氷室23の底側に滴下しないよう構成される。なお、樋部41の右端を壁で閉塞することで、樋部41に受容した水滴等が右端から貯氷室23の底側に滴下しないようにする構成を採用し得る。
【0032】
前記取付枠16の後部に、筐体背面に設けた配線経路10cに向けて引き回される前記リード線32,33を支持する絶縁材である合成樹脂製の案内部材43が着脱自在に配設されている。この案内部材43は、図7に示す如く、上方および前後方向に開放する樋状に形成された本体部44を備え、該本体部44を構成する左右側壁板44a,44aの上端縁には、外方に延出する張出し部44bが夫々形成されている。また本体部44の内底面には、左右方向の中央に、上方に所定長さで立上がる仕切壁部44cが、本体部44の前後方向に全長に亘って延在するよう形成され、該仕切壁部44cを挟む左右両側にリード線用通路を画成している。更に、本体部44の下面前部には、左右両端部に下方に延出する一対の係合爪44d,44dが形成されている。
【0033】
前記取付枠16の底面板16cにおける後端縁から立上がる後面板16eには、図8に示す如く、下側に向けて凹設された切欠部16fが形成されると共に、該切欠部16fの前側に位置する底面板16cに、左右方向に離間して上下方向に貫通する一対の係合孔16g,16gが形成されている。そして、前記案内部材43の本体部44を後面板16eの切欠部16fに上側から嵌合すると共に、一対の係合孔44d,44dを一対の係合孔16g,16gに上側から挿通して底面板16cに係合することで、案内部材43が取付枠16に取付けられる。この案内部材43には、前記アクチュエータAMから導出して取付枠16の上側に引き出された前記リード線32,33が、各リード線用通路に1本ずつ収容状態で後側に引き回された後に、筐体10の背面側に形成された前記配線通路10cに引き込まれるようになっている。
【0034】
なお、前記仕切壁部44cの厚み寸法は、1mm以上に設定され、該仕切壁部44cを隔てた両側のリード線用通路を引き回されるモータ用リード線32と、センサ用リード線33との絶縁距離を、電気的国際規格で要求されている距離以上に確保し得るよう構成される。また、取付枠16に案内部材43を取付けた状態で、該案内部材43の後端は筐体10における後壁10dの内面に略当接する位置に臨むよう構成されて、下方からリード線用通路に直接アクセスできないようになっている。なお、前記取付枠16の後面板16eに、前記切欠部16fの左右両側に規制凹部16h,16hが形成されており、該取付枠16に案内部材43を取付けた際に、該案内部材43の前記張出し部44b,44bが規制凹部16h,16hに位置するよう構成される(図8参照)。
【0035】
〔実施例1の作用〕
次に、実施例1に係る自動製氷機の作用について説明する。製氷運転に際して、前記製氷室12は水皿13で閉成された状態で、前記蒸発器17に冷媒が供給されて該製氷室12が冷却され、該水皿13の噴水孔から噴射供給された製氷水が製氷小室内で層状に氷結してゆく。前記製氷小室に氷塊が生成されると除氷運転に切り替わり、前記アクチュエータAMが回転される。このアクチュエータAMの回転により、作動機構を介して水皿13が製氷室12から離間するように傾動し、該水皿13が開放位置に至ったことを前記検出センサが検出することでアクチュエータAMの回転が停止する。
【0036】
冷凍系の弁を切り替えることで前記蒸発器17に供給されるホットガスの作用で製氷室12と氷塊群との氷結状態が解除され、製氷室12から離脱した氷塊は開放状態の水皿13の上面を氷放出口29に向けて滑落する。水皿13における前部側を滑落する氷塊は、前記アイスガイド39における傾斜案内部42上に落下し、該案内部42によって貯氷室奥側に案内され、氷放出口29を介して貯氷室23に放出貯留される。また水皿13における後部側を滑落する氷塊は、氷放出口29を介して貯氷室23に直接放出貯留される。アイスガイド39の第2案内部42bには、前記ドレンパン28側の側縁に規制部42cが上方に向けて所定高さで立上がるように設けられているから、第2案内部42b上に落下した氷塊が跳ねてドレンパン28に入ってしまうの防止することができ、氷塊が無駄になるのを抑制し得る。また、前記水皿13上を滑落する氷塊は、筐体10における右側の側壁10aの内面に当った後に第2案内部42b側に跳ね返ることもあるが、このように跳ね返った氷塊がドレンパン28に入ってしまうのも規制部42cで防ぐことができる。更に、アイスガイド39によって貯氷室23の前側に氷塊が多く溜ることで、該氷塊の重さによって前記開閉扉27が押されて開いてしまうのを防止することができる。
【0037】
前記製氷機構15では、図示しないサーミスタが設定温度を検知すると、氷塊群の放出が完了したと判断され、前記アクチュエータAMが逆回転して、開放位置にあった水皿13が製氷室12を閉成する方向(上方)に傾動する。そして、水皿13が閉成位置に至ったことを前記検出センサが検出することでアクチュエータAMの回転が停止し、製氷運転に移行する。
【0038】
前記開閉扉27を前方へ傾動して氷取出口10bを開放することで、貯氷室23から氷塊を取出すことができる。このとき、機構収容室22と貯氷室23とは氷放出口29を介して連通しているので、該氷放出口29を介して貯氷室23から製氷機構15や水皿傾動機構18に下側からアクセスすることは可能である。しかしながら、実施例1の水皿傾動機構18のアクチュエータAMは、前記第1カバー部品36によって下側から覆われているので、該アクチュエータAMから導出するリード線32,33に手指が接触するのを防止することができ、リード線32,33が引っ張られて破損したり接触不良を来たすのを防ぐことができる。
【0039】
また、経年劣化等によってアクチュエータAMにおけるギヤボックス21とモータボックス20との連結部からオイルが漏れたとしても、該オイルを前記第1カバー部品36で受けて貯氷室23に滴下するのを防ぐことができ、衛生状態を維持し得る。そして、第1カバー部品36は、前記リード線32,33へのアクセス防止と、オイルの貯氷室23への滴下防止との2つの機能を有しているので、各機能を有する部材を別々に配設する場合に比べて、部品点数や組付け工数を低減し得ると共に製造コストを低廉に抑えることができる。また前記第1カバー部品36は、アクチュエータAMに直接取付けるよう構成したので、該アクチュエータAMを取付枠16に組付ける前にアクチュエータAMに第1カバー部品36を取付けてユニット化しておくことができ、狭い空間でアクチュエータAMと第1カバー部品36とを別々に組付ける場合に比べて組付けが容易である。更に、アクチュエータAMが共通に使用可能な自動製氷機であれば、第1カバー部品36も共通に使用することができ、汎用性が高い。
【0040】
ここで、実施例1の自動製氷機では、前記第1カバー部品36の下方に、前記アイスガイド39における樋部41が臨んでおり、仮に第1カバー部品36からオイルが溢れたとしても、該オイルを樋部41で受容してドレンパン28に排出することができ、貯氷室23にオイルが滴下するのを確実に防止し得る。またアイスガイド39は、前述したように氷塊を貯氷室奥側へ案内する機能、氷塊がドレンパン28に入ってしまうのを防止する機能およびオイルの貯氷室23への滴下防止の機能とを有しているので、各機能を有する部材を別々に配設する場合に比べて、部品点数や組付け工数を低減し得ると共に製造コストを低廉に抑えることができる。
【0041】
前記アクチュエータAMから導出するリード線32,33は、前記取付部材30の右側から前記取付枠16の上側に引き出されると共に、該取付枠16に取付けた前記案内部材43のリード線用通路を引き回された後に、前記筐体10の背面側に形成した配線通路10cに引き込まれている。そして、案内部材43の後端は、筐体10の後壁内面に近接しているので、貯氷室23側(下側)から取付枠16と筐体10の後壁内面との隙間を介してリード線32,33に直接アクセスするのを案内部材43で防ぐことができ、安全性を確保し得る。また、前記仕切壁部44cによって案内部材43内に画成される左右のリード線用通路に収容されるモータ用リード線32とセンサ用リード線33とは、仕切壁部44cによって1mm以上離間させることができるから、両リード線32,33が近接してノイズが発生するのを抑制し得る。更に、高電圧のモータ用リード線32と低圧電のセンサ用リード線33とを仕切壁部44cで離間して引き回すことができるので、少なくとも当該案内部材43に収容状態で引き回される部位において2重絶縁等を施す必要はなく、リード線32,33の絶縁構造を簡略化することができる。
【0042】
ここで、前記筐体10の後壁内面と取付枠16との離間距離は、機種によって異なる場合があるが、取付枠16の底面板16cに形成する係合孔16g,16gの位置について、案内部材43の後端が筐体10の後壁内面に近接(接触)する位置となるように設定するだけで、共通の案内部材43を使用することが可能となり、汎用性を高めることができる。
【実施例2】
【0043】
図9は、実施例2に係るカバー部品(以後、第2カバー部品という)45を配設したアクチュエータAMを示すものであって、第2カバー部品45の基本的な構成は、実施例1の第1カバー部品36と同じであるので、異なる部分についてのみ説明すると共に、同一部位には同じ符号を付すものとする。
【0044】
すなわち、第2カバー部品45は、第1カバー部品36に対して左側板36dを無くして上方および左方に開放する箱状に形成されたものであって、該第2カバー部品45に受容したオイルを左方に開放する排出口(底板36a,前板36bおよび後板36cで画成される排出部)46から排出し得るよう構成される。また第2カバー部品45は、底板36a、前板36bおよび後板36cの左端が、アクチュエータAMの左端より所定長さだけ左方(ドレンパン側)に向けて延在するよう構成されて、前記排出口46が前記ドレンパン28の内側上方に臨むようにしてある。すなわち、アクチュエータAMの左端より左方に延出する底板36a、前板36bおよび後板36cの部分により下側からのリード線32,33に対するアクセス防止を図ると共に、受容したオイルを排出口46からドレンパン28に排出し得るようになっている。従って、第2カバー部品45では、内部に受容したオイルが溢れることなくドレンパン28に排出し得るので、実施例1の自動製氷機のように第1カバー部品36の下方に樋部41を備えたアイスガイド39を設けることなくオイルが貯氷室23に滴下するのを確実に防止し得る。すなわち、アイスガイド39として、樋部41のない簡単な構成のものを採用することができ、製造コストを低廉に抑えることができる。
【0045】
また、第2カバー部品45は、前記アクチュエータAMに配設した状態で、底板36aが右端から左側に向けて下方傾斜(ドレンパン28に向けて下方傾斜)するよう構成されており、内部に受容したオイルを確実にドレンパン28に排出し得るようになっている。なお、第2カバー部品45の底板36aにおける左端縁には、左方に向かって下方傾斜する回り込み防止部47が形成されており、底板36aを排出口46に向けて流下するオイルが底板36aの左端縁から下面側に回り込むのを該回り込み防止部47で防止するよう構成される。
【実施例3】
【0046】
図10〜図12は、実施例3に係るカバー部品(以後、第3カバー部品という)48を示すものであって、第3カバー部品48の基本的な構成は、前記第2カバー部品45と同じであるので、異なる部分についてのみ説明すると共に、同一部位には同じ符号を付すものとする。
【0047】
すなわち、第3カバー部品48は、上方および左方に開放する箱状に形成されたものであって、該第3カバー部品48に受容したオイルを排出口(底板36a,前板36bおよび後板36cで画成される排出部)46からドレンパン28に排出し得るよう構成される。また第3カバー部品48は、前板36bにおけるモータボックス20より右端に位置する部分、右側板36eおよび後板36cにおける右端から所要幅寸法の部分に、他の部分より上方に延在する前延出板部49、右側延出板部50および後延出板部51が形成され、これら延出板部49,50,51によってアクチュエータAMの右方を囲繞するよう構成される。更に、後延出板部51の上端に、前記取付部材30の右側において上方および前後方向に開放すると共に後板36cより後方に延出する樋状のリード線案内部52が形成されている。このリード線案内部52の後開放端は、取付部材30を前記取枠枠16に取付けた状態において、該取付枠16における前面板16bの前面に当接するよう構成される。またリード線案内部52は、後開放端が前面板16bの前面に当接した状態で、該前面板16bに形成した凹部16dを介して取付枠16の内側に連通するようになっている。すなわち、第3カバー部品48には、アクチュエータAMの下側から導出しているリード線32,33を収容状態で案内するリード線案内経路(通路)が、底板36a,前板36b,後板36c,前延出板部49,右側延出板部50,後延出板部51およびリード線案内部52によって画成され、該リード線案内経路に沿ってリード線32,33が前記取付枠16の内側に案内されるよう構成してある。
【0048】
実施例3のアクチュエータAMでは、モータボックス20の下側から外部に引き出されたリード線32,33は、図10に示すように、アクチュエータAMの右側を引き回された後に、前記リード線案内部52に沿って後側に引き回されるよう構成される。すなわち、第3カバー部品48では、アクチュエータAMの右方を囲繞する前延出板部49、右側延出板部50および後延出板部51を形成すると共に、リード線案内部52を形成したので、モータボックス20から引き出されて取付枠16の内側に至るまでの引き回し経路においてリード線32,33を前延出板部49、右側延出板部50、後延出板部51およびリード線案内部52で画成されるリード線案内経路に収容した状態で引き回すことができ、貯氷室側からのリード線32,33に対するアクセスを確実に防止し得る。また、モータボックス20から取付枠16までの引き回し経路においてリード線32,33を延出板部49,50,51およびリード線案内部52で画成したリード線案内経路に収容することで、該リード線32,33は第3カバー部品48の外部に延出しないので、結束具等を用いることなくリード線32,33を定位置に保持することができる。従って、リード線32,33の引き回し作業が容易となり、作業性が向上する。
【実施例4】
【0049】
図13〜図15は、実施例4に係るカバー部品(以後、第4カバー部品という)53を示すものであって、第4カバー部品53の基本的な構成は、前記第3カバー部品48と同じであるので、異なる部分についてのみ説明すると共に、同一部位には同じ符号を付すものとする。
【0050】
すなわち、第4カバー部品53には、前記リード線案内部52の後開放端に、図15に示す如く、前記取付枠16の下面側に所定長さで延出する水受け部(受け部)54が形成され、該水受け部54は第4カバー部品53内に連通している。また取付枠16の底面板16cには、前記水受け部54の上方位置に排水孔55が穿設されている。すなわち、取付枠16の内部に溜った露等を、排水孔55から水受け部54で受け、該水受け部54から第4カバー部品53内に流れた露等を、前記排出口46からドレンパン28に排出し得るようになっている。このように第4カバー部品53に、取付枠16内に溜った露等をドレンパン28に排出する機能を備えることで、取付枠16内に溜った露等を機外に排出するための部材等を別途設ける必要はなくなり、部品点数や組付け工数を低減し得ると共に製造コストを低廉に抑えることができる。
【0051】
なお、前記後延出板部51の内面には、図13および図14に示す如く、前板側に向けて所定長さ延出する仕切片部56が上下方向に延在するよう形成される。この仕切片部56は、取付部材30に配設されたアクチュエータAMに第4カバー部品53を取り付けた状態で、取付部材30の右側に延在して、該仕切片部56と右側延出板部50との間を引き回されるリード線32,33が取付部材30に接触するのを防止するよう機能する。
【実施例5】
【0052】
図16は、実施例5に係るカバー部品(以後、第5カバー部品という)57を示すものであって、第5カバー部品57の基本的な構成は、前記第4カバー部品53と同じであるので、異なる部分についてのみ説明すると共に、同一部位には同じ符号を付すものとする。
【0053】
第5カバー部品57では、前記底板36a、後延出板部51の内面およびリード線案内部52の底面に、リード線32,33を案内するリード線案内経路(通路)を2つに分ける仕切片58が形成されている。そして、仕切片58で仕切られた一方のリード線案内径路59aにモータ用リード線32が収容状態で引き回されると共に、他方のリード線案内径路59bにセンサ用リード線33が収容状態で引き回される。また、底板36aに形成される仕切片58の左端は、前記モータボックス20におけるリード線32,33の外部への導出位置より左側(リード線案内部52とは反対側)に位置するよう設定され、モータボックス20から導出されたリード線32,33がリード線案内部52から取付枠16に引き込まれるまでの第5カバー部品57内の引き回し経路の全長において、両リード線32,33を仕切片58によって隔てた状態で引き回すことができるようになっている。
【0054】
第5カバー部品57(仕切片58も含む)は、全体が絶縁材料である合成樹脂材料から形成されると共に、仕切片58の厚み寸法は、1mm以上に設定されており、該仕切片58を隔ててリード線案内経路59a,59bを引き回されるモータ用リード線32と、センサ用リード線33との絶縁距離を、電気的国際規格で要求されている距離以上に確保し得るよう構成される。すなわち、高電圧のモータ用リード線32と低圧電のセンサ用リード線33とを仕切片58で離間して配線することができるので、モータボックス20から取付枠16までの引き回し経路においてリード線32,33に2重絶縁等を施す必要はなく、リード線32,33の絶縁構造を簡略化することができる。このように、第5カバー部品57を用いることで、リード線32,33として、前記チューブ34で被覆する構成を不要としてコストを低廉に抑えることができる。また、モータ用リード線32とセンサ用リード線33とを離間することで、両リード線32,33が近接することでノイズが発生するのを抑制し得る。なお、底板36aに設けられる仕切片58の上端位置は、第5カバー部品57とギヤボックス21とを固定するネジ38より下方に位置するよう設定されて、該仕切片58によってネジ38に対する工具の前側からのアクセスを阻害しないよう構成されている。
【実施例6】
【0055】
図17および図18は、実施例6に係るカバー部品(以後、第6カバー部品という)60を示すものであって、第6カバー部品60の基本的な構成は、前記第5カバー部品57と同じであるので、異なる部分についてのみ説明すると共に、同一部位には同じ符号を付すものとする。
【0056】
第6カバー部品60では、図18に示す如く、前記アクチュエータAMを下側から覆う部分では、底板36a,前板36bおよび後板36cの左端縁に左側板36dを連設することで上方に開放する箱状に形成される。そして、底板36aの左端部に、下方に開口する排出口(排出部)61を形成している。この排出口61は、前記ドレンパン28の内部上側で開口し、第6カバー部品60に受容したオイルを、該排出口61からドレンパン28に排出し得るようになっている。すなわち、第6カバー部品60では、該部品60の左側面を全面的に開放していないので、左側面側からの手指の第6カバー部品60内への侵入を防止することができ、リード線32,33に対するアクセスをより抑制し得る。なお、排出口61の開口寸法を、手指を侵入し得ない大きさに設定することで、より確実にリード線32,33に対するアクセスを抑制し得る。
【0057】
図19は、前記アイスガイド39の変更例を示すものであって、基本的な構成は図5に示すものと同じであるので、異なる部分についてのみ説明する。すなわち、変更例のアイスガイド62における第2案内部42bの上面に、前後方向に延在するリブ63が、左右方向に離間して複数の並設されている。これらのリブ63は、前記製氷機構15から放出された氷塊が第2案内部42b上を滑落し易くするべく機能する。なお、複数のリブ63を設けることで、第2案内部42bの強度が向上し、耐久性を向上し得る効果が得られる。また、変更例のアイスガイド62においても、規制部42cを左端(ドレンパン28側)にのみ設ける構成や、樋部41の右端を壁で閉塞する構成等、前述したアイスガイド39で採用し得る変更例の構成を採用可能である。
【0058】
(変更例)
本発明は実施例の構成に限定されず、例えば以下のようにも変更可能である。
(1) 実施例では、水皿の左端部を枢支した右端部を傾動するよう構成したが、右端部を枢支した水皿の左端部を傾動する構成を採用し得る。
(2) 実施例1の第1カバー部品に、実施例3〜実施例5のカバー部品に採用した構成を付加することができる。
(3) 実施例では、下方に開放した製氷小室を備えた製氷室に対して下方から水皿が接離する構成であるが、クローズセルタイプの製氷機構であれば、横方向に開放した製氷小室を備えた製氷室に対して横方向から水皿が接離する縦型のものであってもよい。
上記した変更例に限らず、実施形態に記載した構成については、本発明の主旨を逸脱しない範囲でその他の各種構成を採用し得る。
【符号の説明】
【0059】
12 製氷室,13 水皿,15 製氷機構,16 取付枠(保持部材)
28 ドレンパン,32 モータ用リード線(リード線)
33 センサ用リード線(リード線),36 第1カバー部品(カバー部品)
45 第2カバー部品(カバー部品),46 排出口(排出部)
48 第3カバー部品(カバー部品),53 第4カバー部品(カバー部品)
54 水受け部(受け部),55 排水孔,57 第5カバー部品(カバー部品)
58 仕切片,60 第6カバー部品(カバー部品),61 排出口(排出部)
AM アクチュエータ(駆動手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、製氷室に画成された製氷小室に製氷水を供給する水皿を、駆動手段により開閉するよう構成した自動製氷機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下向きに開口する多数の製氷小室に製氷水を下方から噴射供給して、氷塊を連続的に製造する噴射式の自動製氷機が、喫茶店やレストラン等の施設その他の厨房において好適に使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図20および図21に示す自動製氷機は、全体が略箱形の筐体10の内部に、所要形状の貯氷室11が画成されると共に、該筐体10の内部上方には、製氷室12,水皿13および製氷水タンク14等からなる製氷機構15が配設されている。具体的には、前記筐体10の頂部に水平に配置した取付枠16の下方に、下向きに開口する多数の製氷小室(図示せず)を画成した製氷室12が固定支持され、この製氷室12の上面に、図示しない冷凍系に連通する蒸発器17が密着的に蛇行配置され、製氷運転時に冷媒を循環させて前記製氷小室を強制冷却するようになっている。また前記製氷室12の直下には、製氷水を貯留する製氷水タンク14を下方に一体的に備えた水皿13が、枢支軸(図示せず)により片持式に傾動可能に枢支され、モータを駆動源とするアクチュエータAM、カムやコイルばね等からなる水皿傾動機構18により付勢されて、枢支軸を中心として傾動して前記製氷小室(製氷室12)を下方から閉成する閉成位置と、下方に傾動して製氷小室(製氷室12)を開放する開放位置との間を傾動するよう構成される。更に、前記製氷水タンク14の底部外方には、ポンプモータPMが取付けられ、このポンプモータPMにより吸入された製氷水は、前記水皿13に吐出供給されると共に、この水皿13に穿設した各噴水孔から、前記製氷小室内に対応的に噴射供給されるようになっている。なお、図20に示す前記水皿13は、筐体10の前後方向に延在する枢支軸により左端部が片持式に枢支され、右端部側が上下方向に傾動するよう構成される。
【0004】
前記アクチュエータAMは、メンテナンス性を考慮して前記取付枠16の前側に配設され、筐体10における製氷機構15や水皿傾動機構18の前側に着脱自在に配設されたフロントパネル19を取外すことで、該アクチュエータAMを前側からメンテナンスし得るよう構成されている。また、アクチュエータAMは、モータボックス20に収容したロータ等のモータ本体(図示せず)と、ギヤボックス21に収容された減速機構(図示せず)とからなり、モータボックス20とギヤボックス21とを接続し、両ボックス20,21内でモータ本体と減速機構とが連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−39392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記アクチュエータAMから導出するリード線は、モータボックス20内への水の侵入防止のために、モータボックス20の下側に穿設した孔から外部に引き出された後、前記取付枠16の上側に引き回されるよう構成される。このような構成では、リード線の引き回しが適正に行なわれないと、該リード線がアクチュエータAMの下側に大きく垂れ下がることがある。この場合は、筐体10における貯氷室11に対応する位置に設けた氷取出口を開閉する開閉扉を開放し、氷取出口を介して氷塊の取出しを行なう際に、作業者の手指がリード線に引っ掛かり、該リード線を引っ張って破損させたり接触不良を招くおそれがあった。
【0007】
また、前記アクチュエータAMでは、経時的な劣化あるいは水皿傾動時に発生する振動等に起因して、前記モータボックス20とギヤボックス21とのシール性が低下し、粘度が低下したオイルが両ボックス20,21の接続部から漏れるおそれがある。この場合、漏れたオイルは、貯氷室11に滴下して不衛生となる問題が指摘される。
【0008】
すなわち本発明は、従来の技術に係る自動製氷機に内在する前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、リード線の破損等を防止し得ると共に、駆動手段から滴下するオイルによって不衛生となるのを防止し得る自動製氷機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項1の発明に係る自動製氷機は、
一方に開口する多数の製氷小室を有する製氷室および製氷室における製氷小室の開口側に対向して傾動可能に枢支した水皿を備える製氷機構と、保持部材に配設されて前記水皿に連繋された作動機構を作動する駆動手段とからなり、前記駆動手段により作動機構を作動することで、前記水皿を製氷小室の閉成位置および開放位置の間で傾動させるようにした自動製氷機において、
前記駆動手段に、該駆動手段を下側から覆うカバー部品を配設したことを要旨とする。
【0010】
請求項1に係る発明によれば、氷塊を取出す際に、誤って駆動手段に接続するリード線に手が触れたり、引っ張ったりするのを防止できる。また、カバー部品が駆動手段の内部から漏れたオイルを受けるので、貯氷室内にオイルが滴下して不衛生となるのを防止し得る。更に、カバー部品を駆動手段に直接配設することにより、駆動手段にカバー部品を事前に組付けが可能であり、組付け作業性が向上する。
【0011】
請求項2に係る発明では、前記カバー部品は、上面開放した箱状に形成され、前記製氷機構の下方に配設したドレンパンに、該カバー部品に受容した液体を排出する排出部を設けたことを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、カバー部品に受けたオイルをドレンパンに排出し得るので、カバー部品にオイルを排出するホース等を接続する必要はなく、カバー部品の構成を簡略化し得る。
【0012】
請求項3に係る発明では、前記保持部材の外側に前記駆動手段が配設されると共に、該保持部材の内側に連通する通路が前記カバー部品に形成され、前記駆動手段に接続して保持部材の内側に引き込まれるまでのリード線を該通路に収容して案内するよう構成したことを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、カバー部品に、リード線を保持部材の内側に案内する通路を設けたので、リード線を結束等することなく定位置に保持することができ、リード線に誤って手指が触れるのを確実に防止し得る。また、リード線は通路に沿って引き回すだけで定位置に保持し得るので、リード線の引き回し作業が容易となる。
【0013】
請求項4に係る発明では、前記カバー部品の前記通路内に、該通路の延在方向に沿って延在する仕切片を設けて通路を複数に仕切るようにしたことを要旨とする。
請求項4に係る発明によれば、リード線を引き回す通路を仕切片によって複数の通路に分けたので、複数のリード線を各通路に沿って分けて引き回すことができる。
【0014】
請求項5に係る発明では、前記カバー部品および仕切片は、絶縁材料から形成したことを要旨とする。
請求項5に係る発明によれば、高電圧用のリード線と低電圧用のリード線とを絶縁状態で分けて引き回すことができ、リード線自体の絶縁構造を簡略化できる。
【0015】
請求項6に係る発明では、前記保持部材は、上方に開放するトレー状に形成され、前記カバー部品に、前記保持部材の底部に設けた排水孔から排出される水を受ける受け部を設けたことを要旨とする。
請求項6に係る発明によれば、保持部材に溜った水をカバー部品を介してドレンパンに排出することができる。すなわち、駆動手段から漏れるオイルを受ける機能、駆動手段に接続するリード線の案内および保持を行なう機能を備えたカバー部品に、保持部材に溜った水の排出機能を付加したことで、保持部材に溜った水の排出を行なう専用の部品を設ける必要はなく、構成を簡略化し得ると共に製造コストを低廉に抑えることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る自動製氷機によれば、リード線の破損等を防止すると共に、不衛生となるのを防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1に係る自動製氷機を一部破断して示す概略斜視図である。
【図2】実施例1に係る自動製氷機を示す要部縦断側面図である。
【図3】実施例1に係るカバー部品をアクチュエータに配設した状態で示す概略斜視図である。
【図4】実施例1に係るカバー部品を示す概略斜視図である。
【図5】実施例1に係る自動製氷機に採用されるアイスガイドを示す概略斜視図である。
【図6】アイスガイドとドレンパンとの関係を示す説明図である。
【図7】実施例1に係る自動製氷機に採用される案内部材を示す概略斜視図である。
【図8】案内部材を取付枠に配設した状態で示す要部縦断正面図である。
【図9】実施例2に係るカバー部品をアクチュエータに配設した状態で示す概略斜視図である。
【図10】実施例3に係るカバー部品をアクチュエータに配設した状態で示す概略斜視図である。
【図11】実施例3に係るカバー部品を示す概略斜視図である。
【図12】実施例3に係るカバー部品を示す概略平面図である。
【図13】実施例4に係るカバー部品を示す概略斜視図である。
【図14】実施例4に係るカバー部品を示す要部概略平面図である。
【図15】実施例4に係るカバー部品と取付枠の排水孔との関係を示す説明図である。
【図16】実施例5に係るカバー部品を示す概略平面図である。
【図17】実施例6に係るカバー部品をアクチュエータに配設した状態で示す概略斜視図である。
【図18】実施例6に係るカバー部品を示す概略斜視図である。
【図19】アイスガイドの変更例を示す概略斜視図である。
【図20】従来の技術に係る自動製氷機を一部破断して示す概略斜視図である。
【図21】従来の技術に係る自動製氷機を示す要部縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明に係る自動製氷機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。なお、実施例の自動製氷機は、従来例で説明した自動製氷機と基本的な構成は同じであるので、説明の便宜上、図20または図21に示した自動製氷機の構成要素と同一の要素については、同一の符号を使用して詳細な説明は省略し、異なる部分のみ説明する。また製氷機構において、アクチュエータを配設した側を前側とし、水皿は筐体の前後方向に延在する枢支軸により前側から見て左端部が片持式に枢支され、右端部側が上下方向に傾動するようになっている。
【実施例1】
【0019】
図1に示す如く、自動製氷機を構成する前記筐体10は、前方および上方に開放する断熱構造の箱状に形成されている。筐体10における左右の側壁10a,10a(図1では一方のみ図示)の上端間に、金属製の前記取付枠(保持部材)16が架設され、この取付枠16に、前記製氷機構15および水皿傾動機構18が支持されて、筐体10内に画成される内部空間の上部に製氷機構15および水皿傾動機構18が臨むよう構成される。前記取付枠16は、図1に示す如く、上方に開放する横長矩形のトレー状に形成されており、左右両端に延出する延出部16a,16a(図1では一方のみ図示)を側壁10a,10a上面に載置してネジ止めされるようになっている。なお、筐体10に内部画成される内部空間について、上部側の内部空間を、前記製氷機構15および水皿傾動機構18が臨む機構収容室22と指称すると共に、下部側の内部空間を、製氷機構15で製造された氷塊を貯留する貯氷室23と指称するものとする。
【0020】
前記筐体10の上部には、図2に示す如く、上面開口部を覆蓋し得る断熱構造の天板24が着脱可能に取付けられる。また筐体10の前部に、前記製氷機構15の配設領域より下側において両側壁10a,10aの間に支持枠25が架設されると共に、該筐体10の前面に、支持枠25より上側の前面開口10bを閉鎖するフロントパネル26が着脱自在に配設されており、該フロントパネル26は、製氷機構15や水皿傾動機構18の前側を覆うと共に製氷機構15や水皿傾動機構18の近傍へ前側から手が入るのを防止するべく機能する。更に、筐体10の前面には、支持枠25より下側の前面開口10bを開閉する開閉扉27が、下端部を支点として前方に傾動可能に配設されている。すなわち、開閉扉27を前方へ傾動して前面開口10bを開放することで、前記貯氷室23からの氷塊の取出しを行ない得るよう構成される。なお、前面開口10bにおける開閉扉27で開閉される部分については、以後「氷取出口」と指称する場合もある。
【0021】
前記製氷機構15の下方には、前記製氷水タンク14から排出された製氷水(排水)を受け入れて機外へ排出するドレンパン28が配設されている。このドレンパン28は、図1および図2に示す如く、筐体10の内部空間の前後方向の全長に亘って延在する前後寸法に設定され、該ドレンパン28の後端部が筐体10の後壁内面に固定されると共に、ドレンパン28の前端に延出形成した支持片28aが、前記支持枠25に固定されている。またドレンパン28の左右方向の幅寸法は、図1に示す如く、内部空間の左右方向の幅寸法より短かく設定されて、該ドレンパン28の右端と筐体10の左側の側壁10aとの間に氷放出口29を画成している(図6参照)。すなわち、筐体10の内部空間は、ドレンパン28によって上側の機構収容室22と下側の貯氷室23とに仕切られると共に、機構収容室22と貯氷室23とは氷放出口29を介して上下に連通するよう構成される。そして、前記製氷機構15の除氷運転によって水皿13が開放した際に、製氷室12から離脱して水皿上面を滑落する氷塊は、氷放出口29を介して貯氷室23に放出されて貯留されるようになっている。
【0022】
前記水皿13の枢支側と反対の開放端部(右端部)に近接する取付枠16の前面に、図1に示すように、下方に開放するコ字状に形成された取付部材30が配設され、該取付部材30の前面に、モータを駆動源とする前記アクチュエータAMが取付けられている。そして、アクチュエータAMを正転および逆転方向に駆動することで、カムやバネ等からなる作動機構(図示せず)を介して前記水皿13が製氷室12に対する閉成位置および開放位置との間を傾動するよう構成される。取付部材30は、水平に延在する連結板30aの前端縁に、下側に向けて前取付板30bが折曲形成されると共に、該連結板30aの後端縁に、下側に向けて後取付板30cが折曲形成されており、後取付板30cが取付枠16の前面板16bにネジ止めされる。そして、該取付部材30の前取付板30bに、アクチュエータAMが後述するようにネジ止めされる。なお、取付部材30における前後の取付板30b,30c間に、作動機構の一部が収容されるようになっている。
【0023】
駆動手段としてのアクチュエータAMは、図3に示すと共に前述した如く、モータボックス20に収容したロータ等のモータ本体(図示せず)と、ギヤボックス21に収容された減速機構(図示せず)とから構成され、モータボックス20とギヤボックス21とが前後に対向当接した状態で接続されている。また、ギヤボックス21の後端(モータボックス20の接続側とは反対側)には、上下左右の4箇所に、外方に延出するフランジ部31が夫々形成されると共に、上側に位置する左右2箇所のフランジ部31,31にはネジ孔31aが夫々形成されている。そして、上側に位置する左右2箇所のフランジ部31,31に設けたネジ孔31aの夫々に、前記取付部材30の前取付板30bに対応して形成された通孔(図示せず)に後側から挿通したネジを螺挿することで、アクチュエータAMは取付部材30の前面(外側)に配設固定される。なお、ギヤボックス21における下側の左右2箇所のフランジ部31,31には、前後方向に貫通する通孔(図示せず)が夫々形成されている。
【0024】
前記ギヤボックス21の内部には、アクチュエータAMにおける適宜の回転部分における回転方向および回転角度を検出可能なホールIC等の検出センサ(図示せず)が配設され、該検出センサの検出信号に基づいて、図示しない制御手段がアクチュエータAMを制御して、前記水皿13を開閉動すると共に閉成位置と開放位置とに位置決め停止するよう構成される。そして、モータボックス20の下側に、内外を連通する通孔(図示せず)が穿設され、該通孔を介してモータ本体に接続するモータ用リード線32および前記検出センサに接続するセンサ用リード線33とがボックス外に引き出されるよう構成される。これらリード線32,33は、図3に示す如く、モータボックス20を下側から左側に巻くように引き回された後に、前記取付部材30の右側から前記取付枠16の内側に引き込まれるよう構成される。また取付枠16の上側に引き出されたリード線32,33は、後述する案内部材43を介して前記筐体10の背面に案内されて該筐体10に形成した配線通路10c(図2参照)内を引き回された後に制御手段に接続されるようになっている。なお、取付枠16における底面板16cの前端縁から立上がる前面板16bには、取付部材30の配設位置より右側に、リード線32,33を受容する凹部16dが切欠形成され、リード線32,33を凹部16dに受容した状態で取付枠16の外側から内側に引き込むことで、該リード線32,33が取付枠16の上端縁より上方に突出しないよう構成してある。
【0025】
ここで、モータ用リード線32は高電圧用のリード線であるのに対し、センサ用リード線33は低電圧用のリード線であることから、電気的国際規格で求められている絶縁対策として、各リード線32,33に厚み1mm以上の絶縁性のチューブ34,34を外挿している。また、アクチュエータAMの外面の適宜位置にガイド部品35が配設され、アクチュエータAMを下側から上側に向けて巻くように引き回されている両リード線32,33をガイド部品35で支持することで、該リード線32,33がアクチュエータAMの外面から大きく離間するのを規制するようにしてある。なお、実施例1では、チューブ34でリード線32,33を被覆した状態のものをリード線と指称するものとする。
【0026】
前記アクチュエータAMに、該アクチュエータAMを下側から覆う合成樹脂製のカバー部品36が着脱自在に配設される。図1〜図4に示す実施例1のカバー部品(以後、第1カバー部品と指称する)36は、矩形状の底板36aの4辺に、前板36b、後板36c、左側板36dおよび右側板36eを夫々上方に立上がるように折曲形成して、上方に開放する箱状に形成されている。後板36cには、左右方向に離間して一対のネジ孔37,37が前後方向に貫通するように形成されており、両ネジ孔37,37は、前記ギヤボックス21における下側の左右2箇所のフランジ部31,31に形成した通孔の夫々に対応するよう設定される。そして、第1カバー部品36は、ギヤボックス21における下側のフランジ部31,31に対して後板36cを後側から当接したもとで、各フランジ部31の通孔に前側から挿通したネジ38(図3に一方のみ図示)を後板36cのネジ孔37に螺挿することで、当該第1カバー部品36がギヤボックス21にネジ止め固定されるようになっている。
【0027】
前記第1カバー部品36は、後板36cを介してギヤボックス21に固定した状態で、図3に示す如く、前板36bおよび左右の側板36d,36eがアクチュエータAMの下側部分を囲繞するよう位置決めされて、前記ギヤボックス21とモータボックス20との連結部から漏れたオイルを該第1カバー部品36に受容し得るよう構成される。また、アクチュエータAMの下側から左側上方に向けて引き回されている前記リード線32,33の下部側もカバー部品36で下側から覆われ、リード線32,33に対して下方から直接アクセスし得ないよう構成されている。なお、前板36bにおける底板36aからの上方への突出寸法は、後板36cや両側板36d,36eの突出寸法より小さく設定され、該前板36bの上端が、モータボックス20の下端と略同一高さ位置に位置するのに対し、両側板36d,36eの上端はモータボックス20の下端より所定高さだけ上方に位置するよう設定される。また前板36bの上端位置は、第1カバー部品36をギヤボックス21に固定するネジ38の位置(後板36cのネジ孔37の位置)より下方に位置するよう設定されて、ネジ38に対して前側からの工具のアクセスを可能として、着脱作業を容易に行ない得るよう構成される。更に、後板36cには、ギヤボックス21の後方に延出する減速機構と作動機構との連結部(図示せず)との干渉を防止する逃げ部36fが凹設されている。
【0028】
前記筐体10の内部空間には、前記氷放出口29に対応してアイスガイド39が配設されている。このアイスガイド39は、図2および図5に示す如く、前記支持枠25の上面に載置した状態で配設される逆L字状の取付部40と、該取付部40の上端部に設けられ、左右方向に延在する排水路を画成する樋部41と、該樋部41における貯氷室側の下端に連設されて貯氷室奥側に向けて延出する傾斜案内部42とから基本的に構成される。取付部40の幅寸法は、前記氷放出口29の幅寸法と略同一に設定されると共に、樋部41の幅寸法は氷放出口29の幅寸法より長く設定され、樋部41における取付部40の左端から左方に延出する左端部が前記ドレンパン28の上部内側に臨むようになっている(図6参照)。また樋部41の内底面は、ドレンパン28に向けて下方傾斜するよう形成されている。すなわち、樋部41に受容されて左側に流れる水滴等は、該樋部41の左端からドレンパン28に向けて速やかに流下させて排出し得るよう構成される。
【0029】
前記アイスガイド39の樋部41は、図2に示す如く、前記アクチュエータAMに配設された第1カバー部品36の下方に臨んで、該カバー部品36の外面等に生じた露等を該樋部41で受容し得るよう構成される。なお、樋部41における内部の前後寸法は、第1カバー部品36の前後外面間の寸法より長く設定されており、第1カバー部品36の前板36b、後板36c、底板36aおよび左右の側板36d,36eの外表面に生じた露が滴下した際に、該露を樋部41に確実に受容し得るよう構成してある。
【0030】
前記アイスガイド39の傾斜案内部42は、取付部40から貯氷室奥側に向けて所要の傾斜角度で下方傾斜する第1案内部42aと、該第1案内部42aの傾斜下端に連設されて第1案内部42aの傾斜角度より小さい角度で下方傾斜する第2案内部42bとで構成される。また傾斜案内部42の前後寸法は、図2に示す如く、貯氷室23(氷放出口29)より短かく設定され、前記製氷機構15において前側の部分から氷放出口29に向けて放出される氷塊は、アイスガイド39の傾斜案内部42で案内されて貯氷室23の奥側に放出されるようになっている。前記第2案内部42bにおける左右の端縁には、上方に向けて所定長さで延出する規制部42cが夫々形成されている。左側の規制部42cは、製氷機構15から放出されて傾斜案内部42上に落下した氷塊が跳ね返ってドレンパン28に入ってしまうのを防止するべく機能する。すなわち、実施例1では第2案内部42bの左右両端に規制部42cを夫々形成しているが、左端(ドレンパン28側)にのみ規制部42cを形成すればよい。なお、貯氷室23には、アイスガイド39によって氷塊が案内される奥側に貯氷検知手段(図示せず)が配設され、該貯氷検知手段が氷塊を検知したことを条件に製氷機構15での氷塊の製造が停止するよう構成されている。
【0031】
前記アイスガイド39では、図6に示す如く、前記樋部41の右端が筐体10の右側の側壁内面に当接し、樋部41に受容した水滴等が右端から貯氷室23の底側に滴下しないよう構成される。なお、樋部41の右端を壁で閉塞することで、樋部41に受容した水滴等が右端から貯氷室23の底側に滴下しないようにする構成を採用し得る。
【0032】
前記取付枠16の後部に、筐体背面に設けた配線経路10cに向けて引き回される前記リード線32,33を支持する絶縁材である合成樹脂製の案内部材43が着脱自在に配設されている。この案内部材43は、図7に示す如く、上方および前後方向に開放する樋状に形成された本体部44を備え、該本体部44を構成する左右側壁板44a,44aの上端縁には、外方に延出する張出し部44bが夫々形成されている。また本体部44の内底面には、左右方向の中央に、上方に所定長さで立上がる仕切壁部44cが、本体部44の前後方向に全長に亘って延在するよう形成され、該仕切壁部44cを挟む左右両側にリード線用通路を画成している。更に、本体部44の下面前部には、左右両端部に下方に延出する一対の係合爪44d,44dが形成されている。
【0033】
前記取付枠16の底面板16cにおける後端縁から立上がる後面板16eには、図8に示す如く、下側に向けて凹設された切欠部16fが形成されると共に、該切欠部16fの前側に位置する底面板16cに、左右方向に離間して上下方向に貫通する一対の係合孔16g,16gが形成されている。そして、前記案内部材43の本体部44を後面板16eの切欠部16fに上側から嵌合すると共に、一対の係合孔44d,44dを一対の係合孔16g,16gに上側から挿通して底面板16cに係合することで、案内部材43が取付枠16に取付けられる。この案内部材43には、前記アクチュエータAMから導出して取付枠16の上側に引き出された前記リード線32,33が、各リード線用通路に1本ずつ収容状態で後側に引き回された後に、筐体10の背面側に形成された前記配線通路10cに引き込まれるようになっている。
【0034】
なお、前記仕切壁部44cの厚み寸法は、1mm以上に設定され、該仕切壁部44cを隔てた両側のリード線用通路を引き回されるモータ用リード線32と、センサ用リード線33との絶縁距離を、電気的国際規格で要求されている距離以上に確保し得るよう構成される。また、取付枠16に案内部材43を取付けた状態で、該案内部材43の後端は筐体10における後壁10dの内面に略当接する位置に臨むよう構成されて、下方からリード線用通路に直接アクセスできないようになっている。なお、前記取付枠16の後面板16eに、前記切欠部16fの左右両側に規制凹部16h,16hが形成されており、該取付枠16に案内部材43を取付けた際に、該案内部材43の前記張出し部44b,44bが規制凹部16h,16hに位置するよう構成される(図8参照)。
【0035】
〔実施例1の作用〕
次に、実施例1に係る自動製氷機の作用について説明する。製氷運転に際して、前記製氷室12は水皿13で閉成された状態で、前記蒸発器17に冷媒が供給されて該製氷室12が冷却され、該水皿13の噴水孔から噴射供給された製氷水が製氷小室内で層状に氷結してゆく。前記製氷小室に氷塊が生成されると除氷運転に切り替わり、前記アクチュエータAMが回転される。このアクチュエータAMの回転により、作動機構を介して水皿13が製氷室12から離間するように傾動し、該水皿13が開放位置に至ったことを前記検出センサが検出することでアクチュエータAMの回転が停止する。
【0036】
冷凍系の弁を切り替えることで前記蒸発器17に供給されるホットガスの作用で製氷室12と氷塊群との氷結状態が解除され、製氷室12から離脱した氷塊は開放状態の水皿13の上面を氷放出口29に向けて滑落する。水皿13における前部側を滑落する氷塊は、前記アイスガイド39における傾斜案内部42上に落下し、該案内部42によって貯氷室奥側に案内され、氷放出口29を介して貯氷室23に放出貯留される。また水皿13における後部側を滑落する氷塊は、氷放出口29を介して貯氷室23に直接放出貯留される。アイスガイド39の第2案内部42bには、前記ドレンパン28側の側縁に規制部42cが上方に向けて所定高さで立上がるように設けられているから、第2案内部42b上に落下した氷塊が跳ねてドレンパン28に入ってしまうの防止することができ、氷塊が無駄になるのを抑制し得る。また、前記水皿13上を滑落する氷塊は、筐体10における右側の側壁10aの内面に当った後に第2案内部42b側に跳ね返ることもあるが、このように跳ね返った氷塊がドレンパン28に入ってしまうのも規制部42cで防ぐことができる。更に、アイスガイド39によって貯氷室23の前側に氷塊が多く溜ることで、該氷塊の重さによって前記開閉扉27が押されて開いてしまうのを防止することができる。
【0037】
前記製氷機構15では、図示しないサーミスタが設定温度を検知すると、氷塊群の放出が完了したと判断され、前記アクチュエータAMが逆回転して、開放位置にあった水皿13が製氷室12を閉成する方向(上方)に傾動する。そして、水皿13が閉成位置に至ったことを前記検出センサが検出することでアクチュエータAMの回転が停止し、製氷運転に移行する。
【0038】
前記開閉扉27を前方へ傾動して氷取出口10bを開放することで、貯氷室23から氷塊を取出すことができる。このとき、機構収容室22と貯氷室23とは氷放出口29を介して連通しているので、該氷放出口29を介して貯氷室23から製氷機構15や水皿傾動機構18に下側からアクセスすることは可能である。しかしながら、実施例1の水皿傾動機構18のアクチュエータAMは、前記第1カバー部品36によって下側から覆われているので、該アクチュエータAMから導出するリード線32,33に手指が接触するのを防止することができ、リード線32,33が引っ張られて破損したり接触不良を来たすのを防ぐことができる。
【0039】
また、経年劣化等によってアクチュエータAMにおけるギヤボックス21とモータボックス20との連結部からオイルが漏れたとしても、該オイルを前記第1カバー部品36で受けて貯氷室23に滴下するのを防ぐことができ、衛生状態を維持し得る。そして、第1カバー部品36は、前記リード線32,33へのアクセス防止と、オイルの貯氷室23への滴下防止との2つの機能を有しているので、各機能を有する部材を別々に配設する場合に比べて、部品点数や組付け工数を低減し得ると共に製造コストを低廉に抑えることができる。また前記第1カバー部品36は、アクチュエータAMに直接取付けるよう構成したので、該アクチュエータAMを取付枠16に組付ける前にアクチュエータAMに第1カバー部品36を取付けてユニット化しておくことができ、狭い空間でアクチュエータAMと第1カバー部品36とを別々に組付ける場合に比べて組付けが容易である。更に、アクチュエータAMが共通に使用可能な自動製氷機であれば、第1カバー部品36も共通に使用することができ、汎用性が高い。
【0040】
ここで、実施例1の自動製氷機では、前記第1カバー部品36の下方に、前記アイスガイド39における樋部41が臨んでおり、仮に第1カバー部品36からオイルが溢れたとしても、該オイルを樋部41で受容してドレンパン28に排出することができ、貯氷室23にオイルが滴下するのを確実に防止し得る。またアイスガイド39は、前述したように氷塊を貯氷室奥側へ案内する機能、氷塊がドレンパン28に入ってしまうのを防止する機能およびオイルの貯氷室23への滴下防止の機能とを有しているので、各機能を有する部材を別々に配設する場合に比べて、部品点数や組付け工数を低減し得ると共に製造コストを低廉に抑えることができる。
【0041】
前記アクチュエータAMから導出するリード線32,33は、前記取付部材30の右側から前記取付枠16の上側に引き出されると共に、該取付枠16に取付けた前記案内部材43のリード線用通路を引き回された後に、前記筐体10の背面側に形成した配線通路10cに引き込まれている。そして、案内部材43の後端は、筐体10の後壁内面に近接しているので、貯氷室23側(下側)から取付枠16と筐体10の後壁内面との隙間を介してリード線32,33に直接アクセスするのを案内部材43で防ぐことができ、安全性を確保し得る。また、前記仕切壁部44cによって案内部材43内に画成される左右のリード線用通路に収容されるモータ用リード線32とセンサ用リード線33とは、仕切壁部44cによって1mm以上離間させることができるから、両リード線32,33が近接してノイズが発生するのを抑制し得る。更に、高電圧のモータ用リード線32と低圧電のセンサ用リード線33とを仕切壁部44cで離間して引き回すことができるので、少なくとも当該案内部材43に収容状態で引き回される部位において2重絶縁等を施す必要はなく、リード線32,33の絶縁構造を簡略化することができる。
【0042】
ここで、前記筐体10の後壁内面と取付枠16との離間距離は、機種によって異なる場合があるが、取付枠16の底面板16cに形成する係合孔16g,16gの位置について、案内部材43の後端が筐体10の後壁内面に近接(接触)する位置となるように設定するだけで、共通の案内部材43を使用することが可能となり、汎用性を高めることができる。
【実施例2】
【0043】
図9は、実施例2に係るカバー部品(以後、第2カバー部品という)45を配設したアクチュエータAMを示すものであって、第2カバー部品45の基本的な構成は、実施例1の第1カバー部品36と同じであるので、異なる部分についてのみ説明すると共に、同一部位には同じ符号を付すものとする。
【0044】
すなわち、第2カバー部品45は、第1カバー部品36に対して左側板36dを無くして上方および左方に開放する箱状に形成されたものであって、該第2カバー部品45に受容したオイルを左方に開放する排出口(底板36a,前板36bおよび後板36cで画成される排出部)46から排出し得るよう構成される。また第2カバー部品45は、底板36a、前板36bおよび後板36cの左端が、アクチュエータAMの左端より所定長さだけ左方(ドレンパン側)に向けて延在するよう構成されて、前記排出口46が前記ドレンパン28の内側上方に臨むようにしてある。すなわち、アクチュエータAMの左端より左方に延出する底板36a、前板36bおよび後板36cの部分により下側からのリード線32,33に対するアクセス防止を図ると共に、受容したオイルを排出口46からドレンパン28に排出し得るようになっている。従って、第2カバー部品45では、内部に受容したオイルが溢れることなくドレンパン28に排出し得るので、実施例1の自動製氷機のように第1カバー部品36の下方に樋部41を備えたアイスガイド39を設けることなくオイルが貯氷室23に滴下するのを確実に防止し得る。すなわち、アイスガイド39として、樋部41のない簡単な構成のものを採用することができ、製造コストを低廉に抑えることができる。
【0045】
また、第2カバー部品45は、前記アクチュエータAMに配設した状態で、底板36aが右端から左側に向けて下方傾斜(ドレンパン28に向けて下方傾斜)するよう構成されており、内部に受容したオイルを確実にドレンパン28に排出し得るようになっている。なお、第2カバー部品45の底板36aにおける左端縁には、左方に向かって下方傾斜する回り込み防止部47が形成されており、底板36aを排出口46に向けて流下するオイルが底板36aの左端縁から下面側に回り込むのを該回り込み防止部47で防止するよう構成される。
【実施例3】
【0046】
図10〜図12は、実施例3に係るカバー部品(以後、第3カバー部品という)48を示すものであって、第3カバー部品48の基本的な構成は、前記第2カバー部品45と同じであるので、異なる部分についてのみ説明すると共に、同一部位には同じ符号を付すものとする。
【0047】
すなわち、第3カバー部品48は、上方および左方に開放する箱状に形成されたものであって、該第3カバー部品48に受容したオイルを排出口(底板36a,前板36bおよび後板36cで画成される排出部)46からドレンパン28に排出し得るよう構成される。また第3カバー部品48は、前板36bにおけるモータボックス20より右端に位置する部分、右側板36eおよび後板36cにおける右端から所要幅寸法の部分に、他の部分より上方に延在する前延出板部49、右側延出板部50および後延出板部51が形成され、これら延出板部49,50,51によってアクチュエータAMの右方を囲繞するよう構成される。更に、後延出板部51の上端に、前記取付部材30の右側において上方および前後方向に開放すると共に後板36cより後方に延出する樋状のリード線案内部52が形成されている。このリード線案内部52の後開放端は、取付部材30を前記取枠枠16に取付けた状態において、該取付枠16における前面板16bの前面に当接するよう構成される。またリード線案内部52は、後開放端が前面板16bの前面に当接した状態で、該前面板16bに形成した凹部16dを介して取付枠16の内側に連通するようになっている。すなわち、第3カバー部品48には、アクチュエータAMの下側から導出しているリード線32,33を収容状態で案内するリード線案内経路(通路)が、底板36a,前板36b,後板36c,前延出板部49,右側延出板部50,後延出板部51およびリード線案内部52によって画成され、該リード線案内経路に沿ってリード線32,33が前記取付枠16の内側に案内されるよう構成してある。
【0048】
実施例3のアクチュエータAMでは、モータボックス20の下側から外部に引き出されたリード線32,33は、図10に示すように、アクチュエータAMの右側を引き回された後に、前記リード線案内部52に沿って後側に引き回されるよう構成される。すなわち、第3カバー部品48では、アクチュエータAMの右方を囲繞する前延出板部49、右側延出板部50および後延出板部51を形成すると共に、リード線案内部52を形成したので、モータボックス20から引き出されて取付枠16の内側に至るまでの引き回し経路においてリード線32,33を前延出板部49、右側延出板部50、後延出板部51およびリード線案内部52で画成されるリード線案内経路に収容した状態で引き回すことができ、貯氷室側からのリード線32,33に対するアクセスを確実に防止し得る。また、モータボックス20から取付枠16までの引き回し経路においてリード線32,33を延出板部49,50,51およびリード線案内部52で画成したリード線案内経路に収容することで、該リード線32,33は第3カバー部品48の外部に延出しないので、結束具等を用いることなくリード線32,33を定位置に保持することができる。従って、リード線32,33の引き回し作業が容易となり、作業性が向上する。
【実施例4】
【0049】
図13〜図15は、実施例4に係るカバー部品(以後、第4カバー部品という)53を示すものであって、第4カバー部品53の基本的な構成は、前記第3カバー部品48と同じであるので、異なる部分についてのみ説明すると共に、同一部位には同じ符号を付すものとする。
【0050】
すなわち、第4カバー部品53には、前記リード線案内部52の後開放端に、図15に示す如く、前記取付枠16の下面側に所定長さで延出する水受け部(受け部)54が形成され、該水受け部54は第4カバー部品53内に連通している。また取付枠16の底面板16cには、前記水受け部54の上方位置に排水孔55が穿設されている。すなわち、取付枠16の内部に溜った露等を、排水孔55から水受け部54で受け、該水受け部54から第4カバー部品53内に流れた露等を、前記排出口46からドレンパン28に排出し得るようになっている。このように第4カバー部品53に、取付枠16内に溜った露等をドレンパン28に排出する機能を備えることで、取付枠16内に溜った露等を機外に排出するための部材等を別途設ける必要はなくなり、部品点数や組付け工数を低減し得ると共に製造コストを低廉に抑えることができる。
【0051】
なお、前記後延出板部51の内面には、図13および図14に示す如く、前板側に向けて所定長さ延出する仕切片部56が上下方向に延在するよう形成される。この仕切片部56は、取付部材30に配設されたアクチュエータAMに第4カバー部品53を取り付けた状態で、取付部材30の右側に延在して、該仕切片部56と右側延出板部50との間を引き回されるリード線32,33が取付部材30に接触するのを防止するよう機能する。
【実施例5】
【0052】
図16は、実施例5に係るカバー部品(以後、第5カバー部品という)57を示すものであって、第5カバー部品57の基本的な構成は、前記第4カバー部品53と同じであるので、異なる部分についてのみ説明すると共に、同一部位には同じ符号を付すものとする。
【0053】
第5カバー部品57では、前記底板36a、後延出板部51の内面およびリード線案内部52の底面に、リード線32,33を案内するリード線案内経路(通路)を2つに分ける仕切片58が形成されている。そして、仕切片58で仕切られた一方のリード線案内径路59aにモータ用リード線32が収容状態で引き回されると共に、他方のリード線案内径路59bにセンサ用リード線33が収容状態で引き回される。また、底板36aに形成される仕切片58の左端は、前記モータボックス20におけるリード線32,33の外部への導出位置より左側(リード線案内部52とは反対側)に位置するよう設定され、モータボックス20から導出されたリード線32,33がリード線案内部52から取付枠16に引き込まれるまでの第5カバー部品57内の引き回し経路の全長において、両リード線32,33を仕切片58によって隔てた状態で引き回すことができるようになっている。
【0054】
第5カバー部品57(仕切片58も含む)は、全体が絶縁材料である合成樹脂材料から形成されると共に、仕切片58の厚み寸法は、1mm以上に設定されており、該仕切片58を隔ててリード線案内経路59a,59bを引き回されるモータ用リード線32と、センサ用リード線33との絶縁距離を、電気的国際規格で要求されている距離以上に確保し得るよう構成される。すなわち、高電圧のモータ用リード線32と低圧電のセンサ用リード線33とを仕切片58で離間して配線することができるので、モータボックス20から取付枠16までの引き回し経路においてリード線32,33に2重絶縁等を施す必要はなく、リード線32,33の絶縁構造を簡略化することができる。このように、第5カバー部品57を用いることで、リード線32,33として、前記チューブ34で被覆する構成を不要としてコストを低廉に抑えることができる。また、モータ用リード線32とセンサ用リード線33とを離間することで、両リード線32,33が近接することでノイズが発生するのを抑制し得る。なお、底板36aに設けられる仕切片58の上端位置は、第5カバー部品57とギヤボックス21とを固定するネジ38より下方に位置するよう設定されて、該仕切片58によってネジ38に対する工具の前側からのアクセスを阻害しないよう構成されている。
【実施例6】
【0055】
図17および図18は、実施例6に係るカバー部品(以後、第6カバー部品という)60を示すものであって、第6カバー部品60の基本的な構成は、前記第5カバー部品57と同じであるので、異なる部分についてのみ説明すると共に、同一部位には同じ符号を付すものとする。
【0056】
第6カバー部品60では、図18に示す如く、前記アクチュエータAMを下側から覆う部分では、底板36a,前板36bおよび後板36cの左端縁に左側板36dを連設することで上方に開放する箱状に形成される。そして、底板36aの左端部に、下方に開口する排出口(排出部)61を形成している。この排出口61は、前記ドレンパン28の内部上側で開口し、第6カバー部品60に受容したオイルを、該排出口61からドレンパン28に排出し得るようになっている。すなわち、第6カバー部品60では、該部品60の左側面を全面的に開放していないので、左側面側からの手指の第6カバー部品60内への侵入を防止することができ、リード線32,33に対するアクセスをより抑制し得る。なお、排出口61の開口寸法を、手指を侵入し得ない大きさに設定することで、より確実にリード線32,33に対するアクセスを抑制し得る。
【0057】
図19は、前記アイスガイド39の変更例を示すものであって、基本的な構成は図5に示すものと同じであるので、異なる部分についてのみ説明する。すなわち、変更例のアイスガイド62における第2案内部42bの上面に、前後方向に延在するリブ63が、左右方向に離間して複数の並設されている。これらのリブ63は、前記製氷機構15から放出された氷塊が第2案内部42b上を滑落し易くするべく機能する。なお、複数のリブ63を設けることで、第2案内部42bの強度が向上し、耐久性を向上し得る効果が得られる。また、変更例のアイスガイド62においても、規制部42cを左端(ドレンパン28側)にのみ設ける構成や、樋部41の右端を壁で閉塞する構成等、前述したアイスガイド39で採用し得る変更例の構成を採用可能である。
【0058】
(変更例)
本発明は実施例の構成に限定されず、例えば以下のようにも変更可能である。
(1) 実施例では、水皿の左端部を枢支した右端部を傾動するよう構成したが、右端部を枢支した水皿の左端部を傾動する構成を採用し得る。
(2) 実施例1の第1カバー部品に、実施例3〜実施例5のカバー部品に採用した構成を付加することができる。
(3) 実施例では、下方に開放した製氷小室を備えた製氷室に対して下方から水皿が接離する構成であるが、クローズセルタイプの製氷機構であれば、横方向に開放した製氷小室を備えた製氷室に対して横方向から水皿が接離する縦型のものであってもよい。
上記した変更例に限らず、実施形態に記載した構成については、本発明の主旨を逸脱しない範囲でその他の各種構成を採用し得る。
【符号の説明】
【0059】
12 製氷室,13 水皿,15 製氷機構,16 取付枠(保持部材)
28 ドレンパン,32 モータ用リード線(リード線)
33 センサ用リード線(リード線),36 第1カバー部品(カバー部品)
45 第2カバー部品(カバー部品),46 排出口(排出部)
48 第3カバー部品(カバー部品),53 第4カバー部品(カバー部品)
54 水受け部(受け部),55 排水孔,57 第5カバー部品(カバー部品)
58 仕切片,60 第6カバー部品(カバー部品),61 排出口(排出部)
AM アクチュエータ(駆動手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方に開口する多数の製氷小室を有する製氷室(12)および製氷室(12)における製氷小室の開口側に対向して傾動可能に枢支した水皿(13)を備える製氷機構(15)と、保持部材(16)に配設されて前記水皿(13)に連繋された作動機構を作動する駆動手段(AM)とからなり、前記駆動手段(AM)により作動機構を作動することで、前記水皿(13)を製氷小室の閉成位置および開放位置の間で傾動させるようにした自動製氷機において、
前記駆動手段(AM)に、該駆動手段(AM)を下側から覆うカバー部品(36,45,48,53,57,60)を配設した
ことを特徴とする自動製氷機。
【請求項2】
前記カバー部品(45,48,53,57,60)は、上面開放した箱状に形成され、前記製氷機構(15)の下方に配設したドレンパン(28)に、該カバー部品(45,48,53,57,60)に受容した液体を排出する排出部(46,61)を設けた請求項1記載の自動製氷機。
【請求項3】
前記保持部材(16)の外側に前記駆動手段(AM)が配設されると共に、該保持部材(16)の内側に連通する通路が前記カバー部品(48,53,57,60)に形成され、前記駆動手段(AM)に接続して保持部材(16)の内側に引き込まれるまでのリード線(32,33)を該通路に収容して案内するよう構成した請求項1または2記載の自動製氷機。
【請求項4】
前記カバー部品(57,60)の前記通路内に、該通路の延在方向に沿って延在する仕切片(58)を設けて通路を複数に仕切るようにした請求項3記載の自動製氷機。
【請求項5】
前記カバー部品(57,60)および仕切片(58)は、絶縁材料から形成した請求項4記載の自動製氷機。
【請求項6】
前記保持部材(16)は、上方に開放するトレー状に形成され、前記カバー部品(53,57,60)に、前記保持部材(16)の底部に設けた排水孔(55)から排出される水を受ける受け部(54)を設けた請求項1〜5の何れか一項に記載の自動製氷機。
【請求項1】
一方に開口する多数の製氷小室を有する製氷室(12)および製氷室(12)における製氷小室の開口側に対向して傾動可能に枢支した水皿(13)を備える製氷機構(15)と、保持部材(16)に配設されて前記水皿(13)に連繋された作動機構を作動する駆動手段(AM)とからなり、前記駆動手段(AM)により作動機構を作動することで、前記水皿(13)を製氷小室の閉成位置および開放位置の間で傾動させるようにした自動製氷機において、
前記駆動手段(AM)に、該駆動手段(AM)を下側から覆うカバー部品(36,45,48,53,57,60)を配設した
ことを特徴とする自動製氷機。
【請求項2】
前記カバー部品(45,48,53,57,60)は、上面開放した箱状に形成され、前記製氷機構(15)の下方に配設したドレンパン(28)に、該カバー部品(45,48,53,57,60)に受容した液体を排出する排出部(46,61)を設けた請求項1記載の自動製氷機。
【請求項3】
前記保持部材(16)の外側に前記駆動手段(AM)が配設されると共に、該保持部材(16)の内側に連通する通路が前記カバー部品(48,53,57,60)に形成され、前記駆動手段(AM)に接続して保持部材(16)の内側に引き込まれるまでのリード線(32,33)を該通路に収容して案内するよう構成した請求項1または2記載の自動製氷機。
【請求項4】
前記カバー部品(57,60)の前記通路内に、該通路の延在方向に沿って延在する仕切片(58)を設けて通路を複数に仕切るようにした請求項3記載の自動製氷機。
【請求項5】
前記カバー部品(57,60)および仕切片(58)は、絶縁材料から形成した請求項4記載の自動製氷機。
【請求項6】
前記保持部材(16)は、上方に開放するトレー状に形成され、前記カバー部品(53,57,60)に、前記保持部材(16)の底部に設けた排水孔(55)から排出される水を受ける受け部(54)を設けた請求項1〜5の何れか一項に記載の自動製氷機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−64546(P2013−64546A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203613(P2011−203613)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
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