説明

自動設計システム、および自動設計方法

【課題】寸法データに変更があった場合に、変更が図面データに適正に反映されたかどうかを容易に確認できる自動設計システムおよび自動設計方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る部品名の自動設計システム10は、少なくとも寸法データを入力するための入力部11と、前記寸法データを記憶するデータベース17と、前記寸法データに対応する画像データを前記寸法データと関連付けて記憶するPDM18と、CPU12と、を備える。CPU12は、前記寸法データの変更を検知し、前記寸法データの変更が検知されたときに、変更前の寸法データと、変更後の寸法データと、の比較データを生成し、前記変更前の寸法データに対応する画像データと、前記変更後の寸法データに対応する画像データと、の差分データを生成する。自動設計システム10は、前記寸法比較データと、前記画像差分データと、を出力するための出力部19をさらに備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータを用いて自動設計を行なう自動設計システム、および自動設計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製造業における製品の設計・生産プロセスにおいては、近年、コンピュータを用いたNC(Numerical Control)システムによる自動化が進んでおり、従来用いられていた図面データのみでなく、数値による寸法データも必要となっている。図1に示されるように、設計・生産プロセスは種々の工程段階を含んでおり、それぞれの工程段階において寸法データおよび図面データが存在する。すなわち、顧客からの要求段階においては、要求書が存在し、要求書は寸法データおよび図面データ(画像データ)を含んでいる。また、仕様段階においては仕様書が、製図段階においては3次元モデルおよび2次元図面が、検図段階においては2次元図面が、承認段階においては2次元図面が、製造段階においては工作図が出力され、それぞれが寸法データおよび図面データを含んでいる。各寸法データは例えばデータベース(DB)17に保存され、各図面データは例えばPDM(Product Data Management)18に保存される。
【0003】
製図等の作業を自動的に行なうシステムとして、従来、図面中に表示される入力値情報の表示態様を他の情報の表示態様と異ならせて識別可能とすることにより、検図作業を効率化する自動設計システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−310061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば転がり軸受の設計・生産プロセスにおいては、工程段階を経るごとに、あるいは工程段階内においても修正・改訂等の変更が繰り返し行なわれるのが通常である。しかしながら、寸法データに加えられた変更が図面データに適正に反映されているかどうかの確認は担当者の目視による確認に依存しているのが現状であり、作業者の負担が大きく、見落とし等が発生するおそれがあった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、寸法データに変更があった場合に、変更が図面データに適正に反映されたかどうかを容易に確認できる自動設計システムおよび自動設計方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 少なくとも寸法データを入力するための入力部と、
前記寸法データと、前記寸法データに対応する画像データと、を関連付けて記憶する記憶部と、
前記寸法データの変更を検知する変更検知手段と、
前記寸法データの変更が検知されたときに、変更前の寸法データと、変更後の寸法データと、の比較データを生成する寸法比較データ生成手段と、
前記変更前の寸法データに対応する画像データと、前記変更後の寸法データに対応する画像データと、の差分データを生成する画像差分データ生成手段と、
前記寸法比較データと、前記画像差分データと、を出力するための出力部と、を備えることを特徴とする自動設計システム。
(2) 前記寸法データに基づき第1の画像データを自動生成する画像データ自動生成手段をさらに備え、
前記記憶部は、前記寸法データと、前記第1の画像データと、前記寸法データに基づくと共に前記第1の画像データとは異なる第2の画像データと、を関連付けて記憶し、
前記画像差分データ生成手段は、前記変更前の寸法データに対応する第1の画像データと前記変更後の寸法データに対応する第1の画像データとの差分データである第1の画像差分データを生成すると共に、前記変更前の寸法データに対応する第2の画像データと前記変更後の寸法データに対応する第2の画像データとの差分データである第2の画像差分データを生成し、
前記出力部は、前記寸法比較データと、前記第1の画像差分データと、前記第2の画像差分データと、を出力することを特徴とする上記(1)記載の自動設計システム。
(3) 前記変更後の第2の画像データは、前記変更後の第1の画像データに対して変更が入力されることにより生成されたことを特徴とする上記(2)記載の自動設計システム。
(4) 前記変更後の第2の画像データは、前記変更前の第2の画像データに対して変更が入力されることにより生成されたことを特徴とする上記(3)記載の自動設計システム。
(5) 前記第1の画像差分データと前記第2の画像差分データとを比較する差分比較手段をさらに有し、
前記出力部は、前記差分比較手段による比較結果をさらに出力することを特徴とする上記(2)〜(4)のいずれか記載の自動設計システム。
(6) 少なくとも寸法データを入力するための入力部と、前記寸法データと、前記寸法データに対応する画像データと、を関連付けて記憶する記憶部と、出力部と、にアクセス可能なコンピュータを用いた自動設計方法であって、
前記寸法データの変更を検知するステップと、
前記寸法データの変更が検知されたときに、変更前の寸法データと、変更後の寸法データと、の差分データを生成するステップと、
前記変更前の寸法データに対応する画像データと、前記変更後の寸法データに対応する画像データと、の差分データを生成するステップと、
前記寸法比較データと、前記画像差分データと、を出力するステップと、を備えることを特徴とする自動設計方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の自動設計システムおよび自動設計方法によれば、寸法データに変更があった場合には寸法データや図面データにおける変更点をセットにして自動的に出力することにより、寸法データの変更が図面データに適正に反映されたかどうかを容易に確認することができるので、作業者の負担を軽減して確認作業における見落とし等を防止し、製品の品質を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】設計・生産プロセスに含まれる工程段階を説明するための説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る自動設計システムの概略構成図である。
【図3】本実施形態の第1実施形態に係る自動設計システムのフローチャートである。
【図4】本実施形態の第2実施形態に係る自動設計システムのフローチャートである。
【図5】寸法データ、図面データ、差分データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る自動設計システムおよび自動設計方法の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
図2に示されるように、本実施形態に係る自動設計システム10において、制御部として機能するCPU12には、入力部11と、出力部19と、記憶部として機能するハードディスク14と、メモリ13と、が接続される。ハードディスク14には、オペレーティングシステム(OS)15と、差分データ生成プログラム16aと、図面自動生成プログラム16bと、データベース17と、PDM18と、が記憶されている。
【0012】
入力部11は、キーボードやマウス等により構成され、出力部19は、ディスプレイやプリンタ等により構成される。
【0013】
データベース17は、入力部11から入力されて各工程段階で生成される数値等からなる寸法データを記憶する。PDM18は、データベース17に保存される寸法データそれぞれに基づき生成された図面データを、その寸法データと関連付けて記憶している。寸法データは、入力部11を介して作業者により随時変更可能である。変更後の寸法データは、変更前の寸法データとは別にデータベース17へと新しく登録される。変更後の寸法データに基づき生成される変更後の図面データについても同様であり、変更前の図面データとは別にPDM18へと新しく登録される。これにより、寸法データおよび図面データは、変更の都度に新しいバージョンとして登録され、バージョン毎に互いに関連付けられて、データベース17およびPDM18に記憶されている。
【0014】
以下、第1実施形態に係る自動設計システム10における差分データ生成プログラム16aの動作を、図3を参照して説明する。本発明の差分データ生成プログラム16aは、図面自動生成プログラム16bおよびオペレーティングシステム15と協働して当該処理を行う。ただし、その一部の処理は、差分データ生成プログラム16aまたは図面自動生成プログラム16b単独で行うようにしてもよい。
【0015】
CPU12は、データベース17を監視し、入力部11を介して寸法データaがデータベース17に新しく登録されたかどうかを判断する(ステップS1)。データベース17に寸法データaが登録されたと判断された場合には、当該寸法データaに基づき、図面Aを作図し(ステップS2)、PDM18に保存する。
【0016】
CPU12は、データベース17を検索し、寸法データaの前に寸法データax−1が登録されているかどうか、すなわち、今回登録された寸法データaが前に登録された寸法データax−1からの変更であるかどうかを判断する(ステップS3)。寸法データaの前に寸法データが登録されていない場合には、CPU12はデータベース17の監視を継続する。
【0017】
ステップS3で、今回登録された寸法データaが、前に登録された寸法データax−1からの変更であると判断された場合、CPU12は前の寸法データax−1と寸法データaとを比較し、寸法比較データaを生成する(ステップS4)。この寸法比較データaは、寸法データax−1および寸法データaを比較して差分のある部分のみを抽出した数値データ等の、任意の形式であってよい。
【0018】
また、CPU12は、PDM18を検索して、前の寸法データax−1に対応する図面Ax−1を取得し、前の図面Ax−1と図面Aとの図面差分データAを生成する(ステップS5)。この図面差分データAは、前の図面Ax−1および図面Aを比較して、同一ではない箇所のみが描出された画像データ等の、任意の形式であってよい。
【0019】
最後に、CPU12は、寸法比較データaと図面差分データAが存在することを作業者に通知して、寸法比較データaと図面差分データAとを出力部19を介して出力する(ステップS6)。
【0020】
このように、本発明の自動設計システムによれば、寸法データにおける変更点と、寸法データの変更に伴う図面データの変更点とをセットにして作業者に通知し、出力できるので、寸法データの変更が図面データへと適正に反映されているかどうかを、作業者が容易に確認することができる。これにより、作業者の負担を軽減して確認作業における見落とし等を防止し、製品の品質を向上することができる。
【0021】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る自動設計システムについて、図4、5を参照して説明する。第2実施形態においては、寸法データに基づき自動的に生成される自動作図図面に加えて、当該自動作成図面に対して作業者により手動で修正された手動作図図面が生成される点において、第1実施形態と異なる。手動作図図面は、自動作図図面と同様に、寸法データと関連付けられてPDM18に登録される。システム構成については第1実施形態と同一であるので、説明を省略する。
【0022】
図面データは寸法データに基づいて自動的に生成されるが、要求される図面の内容によっては自動作図のみだけでは足らず、作業者による追加の作図が必要となる場合がある。この場合、寸法データに基づいて自動的に生成された図面に対し、入力部11を介して作業者が手動で追加作図を行なうことになるが、手動での作図には誤りが混入するおそれがある。そのため、第2実施形態においては、寸法データにおける変更点と、寸法データの変更に伴う自動作図図面データの変更点とをセットにして作業者に通知、出力することに加え、寸法データの変更に伴う手動作図図面データの変更点や、自動作図図面データにおける変更点と手動作図図面における変更点とを比較し、その差分を作業者に通知、出力する。
【0023】
以下、第2実施形態に係る自動設計システムにおける差分データ生成プログラム16aの動作を、図4を参照して説明する。本発明の差分データ生成プログラム16aは、図面自動生成プログラム16bおよびオペレーティングシステム15と協働して当該処理を行う。ただし、その一部の処理は、差分データ生成プログラム16aまたは図面自動生成プログラム16b単独で行うようにしてもよい。
【0024】
CPU12は、データベース17を監視し、入力部11を介して寸法データaがデータベース17に新しく登録されたかどうかを判断する(ステップS11)。データベース17に寸法データaが登録されたと判断された場合には、当該寸法データaに基づき、自動作図図面Aを自動的に生成し(ステップS12)、PDM18に保存する。
【0025】
CPU12は、データベース17を検索し、寸法データaの前に寸法データax−1が登録されているかどうか、すなわち、今回登録された寸法データaが前に登録された寸法データax−1からの変更であるかどうかを判断する(ステップS13)。寸法データaの前に寸法データが登録されていない場合には、CPU12はデータベース17の監視を継続する。
【0026】
ステップS13で、今回登録された寸法データaが、前に登録された寸法データax−1からの変更であると判断された場合には、CPU12は寸法データax−1と寸法データaとを比較し、寸法比較データaを生成する(ステップS14)。また、CPU12は、PDM18を検索して、寸法データax−1に対応する自動作図図面Ax−1を取得し、自動作図図面Ax−1と図面Aをとの差分データである自動作図図面差分データAを生成する(ステップS15)。そして、CPU12は、寸法比較データaと自動作図図面差分データAが存在することを作業者に通知して、寸法比較データaと自動作図図面差分データAとを出力部19を介して出力する(ステップS16)。
【0027】
次に、CPU12は、PDM18を検索して、前の自動作図図面Ax−1に対して入力部11を介した変更操作が行なわれることにより、手動作図図面Ax−1’が作図されて登録されたかどうかを判断する(ステップS17)。手動作図図面Ax−1’が作図されたと判断された場合、CPU12はPDM18を監視し、自動作図図面Aに対して入力部11を介した変更操作が行なわれることにより、手動作図図面A’が作図されて登録されたかどうかを判断する(ステップS18)。
【0028】
手動作図図面A’が登録されていると判断された場合、CPU12は、前の手動作図図面Ax−1’と手動作図図面A’とを比較し、前の手動作図図面Ax−1’と手動作図図面A’との差分データである、手動作図図面差分データA’を生成する(ステップS19)。次いで、CPU12は、自動作図図面差分データAと手動作図図面差分データA’とを比較し、自動作図図面差分データAと手動作図図面差分データA’との差分データである差分データDを生成する(ステップS20)。最後に、CPU12は、手動作図図面差分データA’と差分データDが存在することを作業者に通知して、手動作図図面差分データA’と差分データDとを出力部19を介して出力する(ステップS21)。
【0029】
ステップS18で、手動作図図面A’が登録されていないと判断された場合、CPU12は、前の手動作図図面Ax−1’に対して入力部11を介した更なる変更操作が行なわれることにより、手動作図図面Ax−1”が作図されて登録されたかどうかを判断する(ステップS22)。手動作図図面Ax−1”が登録されていると判断された場合、CPU12は、前の手動作図図面Ax−1’と手動作図図面Ax−1”とを比較し、前の手動作図図面Ax−1’と手動作図図面Ax−1”との差分データである、手動作図図面差分データA”を生成する(ステップS23)。次いで、CPU12は、自動作図図面差分データAと手動作図図面差分データA’とを比較し、自動作図図面差分データAと手動作図図面差分データA”との差分データである差分データDを生成する(ステップS24)。最後に、CPU12は、手動作図図面差分データA”と差分データDが存在することを作業者に通知して、手動作図図面差分データA”と差分データDとを出力部19を介して出力する(ステップS25)。
【0030】
ステップS17で、手動作図図面Ax−1’が登録されていないと判断された場合、CPU12はPDM18を監視し、自動作図図面Aに対して入力部11を介した変更操作が行なわれることにより、手動作図図面A’が作図されて登録されたかどうかを判断する(ステップS27)。手動作図図面A’が登録されたと判断された場合には、CPU12は、手動作図図面A’が存在することを作業者に通知して(ステップS28)、処理を終了する。手動作図図面A’が登録されたと判断されない場合には、そのまま処理が終了する。
【0031】
図5に、本実施形態における寸法データおよび図面データの例を示す。まず、修正前の元の寸法データは、「X=10 Y=5」である。当該寸法データに基づいて自動作図処理1が行なわれ、自動作図図面Aが得られる。ここで、当該図面に追加の溝形状を形成する必要がある場合、作業者は、自動作図図面Aに対して追加の溝形状を作図する手動作図処理1を行い、手動作図図面Bが得られる。得られた手動作図図面Bは、検図、承認後に出図処理1が行なわれ、最初の図面として発行される。
【0032】
一方、寸法データが修正されて、寸法データが「X=15 Y=5」となったとき、当該寸法データに基づいて自動作図処理2が行なわれ、自動作図図面A’が得られる。自動作図図面A’は、自動作図図面Aと同様に追加の溝形状が形成されていないので、作業者は、自動作図図面A’に対して追加の溝形状を作図する手動作図処理2を行い、手動作図図面B’が得られる。得られた手動作図図面B’は、検図、承認後に出図処理2が行なわれ、変更後の図面として発行される。
【0033】
ここで、寸法データaと寸法データa’とを比較して変更点(差分)を抽出すると、「変更前:X=10 変更後:X=15」との比較データbが得られる。また、自動作図図面Aと自動作図図面A’とを比較して変更点(差分)のみを描出すると、差分図面Cが得られる。この差分図面CにはXが増加した部分のみが示されているので、寸法データaから寸法データa’への変更点が、自動作図図面Aから自動作図図面A’へと適正に反映されていることがわかる。
【0034】
また、手動作図図面Bと手動作図図面B’とを比較して変更点(差分)のみを描出すると、差分図面Dが得られる。この差分図面Dにも、Xが増加した部分のみが示されているので、寸法データaから寸法データa’への変更点が適正に反映されていると共に、手動作図処理1と手動作図処理2が実質的に同一であって、誤りが混入していないことがわかる。
【0035】
さらに、差分図面Cと差分図面Dとを比較して変更点(差分)のみを描出すると、差分図面Eが得られる。図5に示された例では差分図面Eには何も描出されないので、差分図面Cと差分図面Dとが同一であることがわかり、手動作図処理1および手動作図処理2において誤りが混入しておらず、寸法データaから寸法データa’への変更が図面に適正に反映されていることがわかる。
【0036】
尚、上述した手動作図処理2は、自動作図図面A’に対して手動で追加の溝形状を作図するものであるが、手動による作図内容が複雑である場合、寸法データaから寸法データa’への変更を手動作図図面Bに対して手動で作図する手動作図処理2’を行い、同様の手動作図図面B’を得ることも可能である。この場合においても、手動作図図面Bと手動作図図面B’とを比較して変更点(差分)のみを描出すると、差分図面Dが得られる。この差分図面Dにも、Xが増加した部分のみが示されているので、寸法データaから寸法データa’への変更点が適正に反映されていると共に、自動作図処理2と手動作図処理2’が実質的に同一であって、誤りが混入していないことがわかる。
【0037】
このように、第2実施形態の自動設計システムによれば、寸法データにおける変更点と、寸法データの変更に伴う図面データの変更点とをセットにして作業者に通知し、出力できるので、寸法データの変更が図面データへと適正に反映されているかどうかを作業者が容易に確認することができる。また、手動で作図された図面がある場合には、自動作図図面における変更点と、手動作図図面における変更点とを比較して差分データを生成し、通知、出力することにより、寸法データの変更に伴う変更箇所が自動作図図面と手動作図図面との間でも適正に反映されているかどうかを作業者が容易に確認することができる。これにより、作業者の負担を軽減して確認作業における見落とし等を防止し、製品の品質を向上することができる。
【0038】
尚、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、変更、改良等が適宜可能である。例えば、前述した各実施形態においては、差分データ生成プログラム16aや図面自動生成プログラム16b、データベース17、PDM18は全て1個のハードディスクにより実現されているが、これらがサーバ等に記憶され、各端末装置が当該サーバにアクセスすることにより本発明の自動設計システムを実現してもよい。また、前述した各実施形態においては、寸法データはデータベース17に、図面データはPDM18にそれぞれ登録、保存されているが、これらは他の形式のデータサーバに登録、保存されてもよく、寸法データおよび図面データを関連付けて一つのサーバで管理してもよい。
【0039】
また、前述した各実施形態では、一つの工程段階において登録された前のデータから変更が検出された場合の処理を示しているが、これに限られず、工程段階を進み、前の工程段階におけるデータからの変更が検出された場合に、前工程段階における寸法データと現工程段階における寸法データの差分データと、前工程段階における図面データと現工程段階における図面データの差分データとを生成して、出力・通知してもよい。また、図面データは図面に限られず、モデルデータ等であってもよい。
【符号の説明】
【0040】
10 自動設計システム
11 入力部
12 CPU
14 ハードディスク
16a 差分データ生成プログラム
16b 図面自動生成プログラム
17 データベース
18 PDM
19 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも寸法データを入力するための入力部と、
前記寸法データと、前記寸法データに対応する画像データと、を関連付けて記憶する記憶部と、
前記寸法データの変更を検知する変更検知手段と、
前記寸法データの変更が検知されたときに、変更前の寸法データと、変更後の寸法データと、の比較データを生成する寸法比較データ生成手段と、
前記変更前の寸法データに対応する画像データと、前記変更後の寸法データに対応する画像データと、の差分データを生成する画像差分データ生成手段と、
前記寸法比較データと、前記画像差分データと、を出力するための出力部と、を備えることを特徴とする自動設計システム。
【請求項2】
前記寸法データに基づき第1の画像データを自動生成する画像データ自動生成手段をさらに備え、
前記記憶部は、前記寸法データと、前記第1の画像データと、前記寸法データに基づくと共に前記第1の画像データとは異なる第2の画像データと、を関連付けて記憶し、
前記画像差分データ生成手段は、前記変更前の寸法データに対応する第1の画像データと前記変更後の寸法データに対応する第1の画像データとの差分データである第1の画像差分データを生成すると共に、前記変更前の寸法データに対応する第2の画像データと前記変更後の寸法データに対応する第2の画像データとの差分データである第2の画像差分データを生成し、
前記出力部は、前記寸法比較データと、前記第1の画像差分データと、前記第2の画像差分データと、を出力することを特徴とする請求項1記載の自動設計システム。
【請求項3】
前記変更後の第2の画像データは、前記変更後の第1の画像データに対して変更が入力されることにより生成されたことを特徴とする請求項2記載の自動設計システム。
【請求項4】
前記変更後の第2の画像データは、前記変更前の第2の画像データに対して変更が入力されることにより生成されたことを特徴とする請求項2記載の自動設計システム。
【請求項5】
前記第1の画像差分データと前記第2の画像差分データとを比較する差分比較手段をさらに有し、
前記出力部は、前記差分比較手段による比較結果をさらに出力することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項記載の自動設計システム。
【請求項6】
少なくとも寸法データを入力するための入力部と、前記寸法データと、前記寸法データに対応する画像データと、を関連付けて記憶する記憶部と、出力部と、にアクセス可能なコンピュータを用いた自動設計方法であって、
前記寸法データの変更を検知するステップと、
前記寸法データの変更が検知されたときに、変更前の寸法データと、変更後の寸法データと、の差分データを生成するステップと、
前記変更前の寸法データに対応する画像データと、前記変更後の寸法データに対応する画像データと、の差分データを生成するステップと、
前記寸法比較データと、前記画像差分データと、を出力するステップと、を備えることを特徴とする自動設計方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−216052(P2012−216052A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80588(P2011−80588)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】