説明

自動販売機の制御装置

【課題】コストの増大化を招来せずに自販機制御部からの信号を読み取ることができる自動販売機の制御装置を提供すること。
【解決手段】既存の自動販売機に適用され、かつ該自動販売機に配設された負荷の駆動を制御する制御部41を備えたヒートポンプコントローラ40であって、制御部41は、自動販売機に配設された自販機制御部10の直流信号を読み取って負荷の駆動を制御するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機の制御装置に関し、より詳細には、既存の自動販売機に適用され、かつこの自動販売機に配設された負荷の駆動を制御する制御手段を備えた制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を販売し、かつ既に市場に設置されている既存の自動販売機においては、前面が開口した自動販売機本体の内部に断熱構造の商品収容庫が設けられているとともに、この商品収容庫の内部に商品を収納するための商品収納ラックが設けられている。そして、商品収容庫の内部雰囲気を冷却、若しくは加熱することによって商品収納ラックに収納された商品を所望の温度状態に維持するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−86116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような既存の自動販売機に対して新たな機能を追加する場合には、追加作業の複雑さや時間的負担及びコスト的負担を考慮して、既存の自動販売機の構成については変更しないで行うことが好ましく、追加機能について制御を行う制御装置についても同様である。
【0005】
この場合において、追加機能について制御を行う制御装置は、自動販売機に設置されている自販機制御部からの信号を読み取る必要がある。かかる信号を受け取る方式として、自販機制御部による負荷に対するオンオフ出力を読み取る方式があるが、これでは交流電圧を読み取ることとなってしまい、結果的に交流から直流に変換する素子を必要とし、コストの増大化を招来する虞れがあった。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みて、コストの増大化を招来せずに自販機制御部からの信号を読み取ることができる自動販売機の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る自動販売機の制御装置は、既存の自動販売機に適用され、かつ該自動販売機に配設された負荷の駆動を制御する制御手段を備えた制御装置であって、前記制御手段は、前記自動販売機に配設された自販機制御部の直流信号を読み取って前記負荷の駆動を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、制御手段は、自動販売機に配設された自販機制御部の直流信号を読み取って負荷の駆動を制御するので、自販機制御部による負荷に対するオンオフ出力を読み取るのに比して交流から直流に変換する素子を必要とせず、かかる部品を要するコストを削減することができる。従って、コストの増大化を招来せずに自販機制御部からの信号を読み取ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の実施の形態である制御装置が適用された既存の自動販売機の内部構造を正面から見た場合を示す断面図である。
【図2】図2は、図1に示した自動販売機の内部構造を示すものであり、左側の商品収容庫の断面側面図である。
【図3】図3は、図1及び図2に示した自動販売機を構成する冷媒回路を概念的に示す概念図である。
【図4】図4は、図1及び図2に示した自動販売機の制御系を模式的に示すブロック図である。
【図5】図5は、図4に示した本体スレーブとヒートポンプコントローラとの接続状態を模式的に示す模式図である。
【図6】図6は、ヒートポンプコントローラを構成する運転判断制御部が実行する運転判断制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
【図7】図7は、ヒートポンプコントローラを構成するヒータ駆動制御部が実行するヒータ駆動制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
【図8】図8は、ヒートポンプコントローラを構成するファン駆動制御部が実行する庫外送風ファン駆動処理の処理内容を示すフローチャートである。
【図9】図9は、図8に示した間欠運転制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る自動販売機の制御装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態である制御装置が適用された既存の自動販売機の内部構造を正面から見た場合を示す断面図である。ここで例示する自動販売機は、本体キャビネット1を備えている。
【0012】
本体キャビネット1は、前面が開口した直方状の形態を成すものである。この本体キャビネット1には、その内部に例えば2つの断熱仕切板2によって仕切られた3つの独立した商品収容庫3が左右に並んだ態様で設けてある。この商品収容庫3は、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を所望の温度に維持した状態で収容するためのもので、断熱構造を有している。
【0013】
図2は、図1に示した自動販売機の内部構造を示すものであり、左側の商品収容庫3の断面側面図である。尚、ここでは左側の商品収容庫(以下、適宜左庫とも称する)3cの内部構造について示すが、中央の商品収容庫(以下、適宜中庫とも称する)3b及び右側の商品収容庫(以下、適宜右庫とも称する)3aの内部構造も左庫3cと略同じような構成である。尚、本明細書における右側とは、自動販売機を正面から見た場合の右方を示し、左側とは、自動販売機を正面から見た場合の左方を示す。
【0014】
かかる図2に示すように、本体キャビネット1の前面には、外扉4及び内扉5が設けてある。外扉4は、本体キャビネット1の前面開口を開閉するためのものであり、内扉5は、商品収容庫3の前面を開閉するためのものである。この内扉5は、上下に分割してあり、上側の扉5aは商品を補充する際に開閉するものである。
【0015】
上記商品収容庫3には、商品収納ラック6、搬出機構7及び搬出シュータ8が設けてある。商品収納ラック6は、商品を上下方向に沿って並ぶ態様で収納するためのものである。搬出機構7は、商品収納ラック6の下部に設けてあり、この商品収納ラック6に収納された商品群の最下位にある商品を1つずつ搬出するためのものである。搬出シュータ8は、搬出機構7から搬出された商品を外扉4に設けられた商品取出口4aに導くためのものである。
【0016】
図3は、図1及び図2に示した自動販売機を構成する冷媒回路を概念的に示す概念図である。ここで例示する冷媒回路20は、圧縮機21、凝縮器22、膨張機構23及び蒸発器24を冷媒配管25にて順次接続して構成してあり、内部に冷媒が封入してある。
【0017】
圧縮機21は、図2にも示すように機械室9に配設してある。機械室9は、本体キャビネット1の内部であって商品収容庫3と区画され、かつ商品収容庫3の下方側の室である。この圧縮機21は、吸引口を通じて冷媒を吸引し、吸引した冷媒を圧縮して高温高圧の状態(高温高圧冷媒)にして吐出口より吐出するものである。
【0018】
凝縮器22は、図2にも示すように圧縮機21と同様に機械室9に配設してある。この凝縮器22は、通過する冷媒を凝縮させるものである。より詳細に説明すると、圧縮機21で圧縮され、かつ吐出口から吐出されて冷媒配管25を通じて送出された冷媒を周囲空気と熱交換させて凝縮させるものである。
【0019】
膨張機構23は、図2にも示すように圧縮機21及び凝縮器22と同様に機械室9に配設してある。この膨張機構23は、例えばキャピラリーチューブや膨張弁により構成してあり、通過する冷媒を減圧して断熱膨張させるものである。
【0020】
蒸発器24は、複数(図示の例では3つ)設けてあり、各商品収容庫3の内部低域であって、背面ダクトD(図2参照)の前面側に配設してある。これら蒸発器24は、通過する冷媒を蒸発させて商品収容庫3の内部空気(内部雰囲気)を冷却するものである。
【0021】
これら蒸発器24と膨張機構23とを接続する冷媒配管25は、その途中の分岐点P1で3つに分岐され、右庫3aに配設された蒸発器(以下、右蒸発器とも称する)24aの入口側に、中庫3bに配設された蒸発器(以下、中蒸発器とも称する)24bの入口側に、左庫3cの内部に配設された蒸発器(以下、左蒸発器とも称する)24cの入口側にそれぞれ接続してある。
【0022】
また、この冷媒配管25においては、分岐点P1から右蒸発器24a、中蒸発器24b及び左蒸発器24cのそれぞれに至る途中に電磁弁26が設けてある。電磁弁26は、開閉可能な弁体であり、後述する自販機制御部10から開指令が与えられた場合には開成して冷媒の通過を許容する一方、閉指令が与えられた場合には閉成して冷媒の通過を規制するものである。
【0023】
右蒸発器24a、中蒸発器24b及び左蒸発器24cの出口側に接続された冷媒配管25は、途中の合流点P2で合流して圧縮機21に接続している。
【0024】
このような自動販売機においては、上記冷媒回路20の他に、庫外送風ファンF2、ヒータH、庫内送風ファンF1及び熱輸送手段30を備えている。
【0025】
庫外送風ファンF2は、図2に示すように、凝縮器22の後方側に配設してある。この庫外送風ファンF2は、駆動することにより外気を凝縮器22に向けて通過させ、該凝縮器22を通過した空気を圧縮機21に向けて送風する送風手段である。
【0026】
ヒータHは、右庫3aの内部に配設してある。このヒータHは、駆動することで通電状態となり周囲空気を加熱するものである。
【0027】
庫内送風ファンF1は、複数設けてあり、それぞれが各商品収容庫3に配設してある。右庫3aに配設された庫内送風ファンF1(以下、右庫内送風ファンF1ともいう)は、駆動することにより右蒸発器24aを通過して冷却された空気、あるいはヒータHで加熱された空気を商品収納ラック6に向けて送風するものである。中庫3bに配設された庫内送風ファンF1(以下、中庫内送風ファンF1ともいう)は、駆動することにより中蒸発器24bを通過して冷却された空気を商品収納ラック6に向けて送風するものである。左庫3cに配設された庫内送風ファンF1(以下、左庫内送風ファンF1ともいう)は、駆動することにより左蒸発器24cを通過して冷却された空気を商品収納ラック6に向けて送風するものである。
【0028】
熱輸送手段30は、受熱ユニット31と放熱ユニット32とを備えて構成してある。受熱ユニット31は、内部に水やアルコール等の作動流体が封入された管径8〜12mm程度のウイック付銅パイプよりなる受熱用ヒートパイプ313により構成され、熱取得部311と第1熱伝達部312とを有している。
【0029】
熱取得部311は、受熱用ヒートパイプ313の一端部に構成されており、例えば銅やアルミニウム等の熱伝導性に優れた金属材料により形成された受熱板を介して、圧縮機21の表面に熱的に接続してある。第1熱伝達部312は、受熱用ヒートパイプ313の他端部に構成されている。
【0030】
放熱ユニット32は、内部に水やアルコール等の作動流体が封入された管径8〜12mm程度のウイック付銅パイプよりなる放熱用ヒートパイプ323により構成され、第2熱伝達部321と熱放出部322とを有している。
【0031】
第2熱伝達部321は、放熱用ヒートパイプ323の一端部に構成されており、受熱ユニット31を構成する第1熱伝達部312とともに熱切換部33を構成している。つまり、第2熱伝達部321は、第1熱伝達部312に対して近接離反する態様で変位可能に配設してあり、熱切換部33にて熱伝達を許容する操作が行われた場合には、第2熱伝達部321は、第1熱伝達部312に近接変位して互いに熱的に接続する。これにより第1熱伝達部312と第2熱伝達部321との間で熱交換を行うことが可能になる。その一方、熱切換部33にて熱伝達を規制する操作が行われた場合には、第2熱伝達部321は、第1熱伝達部312に離反変位して互いの間に間隙を形成する。これにより第1熱伝達部312と第2熱伝達部321との間で熱交換が規制される。
【0032】
熱放出部322は、放熱用ヒートパイプ323の他端部に構成されており、右庫3aの内部に配設してある。この熱放出部322は、図には明示しないが、複数の放熱フィン部材を有しており、該放熱フィン部材を介して右庫3aの内部空気と熱交換することが可能である。
【0033】
このような熱輸送手段30においては、熱切換部33にて第1熱伝達部312と第2熱伝達部321とが熱的に接続されている場合、熱取得部311で取得した高温熱を作動流体で第1熱伝達部312に輸送し、この第1熱伝達部312と第2熱伝達部321との間で高温熱が伝達され、第2熱伝達部321から熱放出部322に作動流体が高温熱とともに移動する。熱放出部322にて作動流体が放熱フィン部材を介して右庫3aの内部空気と熱交換することで、圧縮機21の表面の高温熱が所定の商品収容庫3(右庫3a)の内部空気に輸送されることとなる。
【0034】
図4は、図1及び図2に示した自動販売機の制御系を模式的に示すブロック図である。この図4に示すように、自動販売機は、自販機制御部10及びヒートポンプコントローラ40を備えて構成してある。
【0035】
自販機制御部10は、元々自動販売機に配設されているものであり、メインコントローラ11及び本体スレーブ12を有している。メインコントローラ11は、例えば内蔵するメモリ(図示せず)に記憶されたプログラムやデータにしたがって自動販売機各部の動作を統括的に制御するものである。
【0036】
本体スレーブ12は、メインコントローラ11から与えられる指令に応じて自動販売機各部の動作を制御するものである。本実施の形態では、本体スレーブ12は、圧縮機21、電磁弁26、左庫内送風ファンF1、中庫内送風ファンF1の駆動を制御するとともに、ヒートポンプコントローラ40を介してヒータHや庫外送風ファンF2の駆動を制御するものである。また、左庫内温度センサS1、中庫内温度センサS2及び右庫内温度センサS3から温度信号が与えられると、その温度信号に含まれる検知温度をメインコントローラ11に送出するものである。ここで、左庫内温度センサS1は、左庫3cの内部に配設され、左庫3cの内部温度(左庫内温度)を検知するものである。中庫内温度センサS2は、中庫3bの内部に配設され、中庫3bの内部温度(中庫内温度)を検知するものである。右庫内温度センサS3は、右庫3aの内部に配設され、右庫3aの内部温度(右庫内温度)を検知するものである。
【0037】
また、本体スレーブ12は、ヒートポンプコントローラ40を介してヒータHの駆動制御を行うものである。この本体スレーブ12によるヒータHの駆動制御は、オンオフ制御である。より詳細に説明すると、本体スレーブ12は、右庫内温度センサS3により検知される右庫内温度が予め決められたヒータオン温度以下となる場合には、ヒータHを駆動させる一方、右庫内温度センサS3により検知される右庫内温度が予め決められたヒータオフ温度以上となる場合には、ヒータHを駆動停止させるオンオフ制御を行って、右庫内温度がヒータオン温度以上ヒータオフ温度以下の範囲となるようにしている。
【0038】
更に、本体スレーブ12は、圧縮機21に対して駆動指令を与える場合には、ヒートポンプコントローラ40を介して庫外送風ファンF2に圧縮機21の駆動に同期してオン信号を出力し続けることで継続運転指令を与えるものである。
【0039】
ヒートポンプコントローラ40は、新たに増設された制御装置であり、図示せぬメモリに記憶されたプログラムやデータにしたがって対象負荷の動作を制御するものである。このヒートポンプコントローラ40は、自身に対する指令を入力する入力手段(図示せず)を有するとともに、制御部41として運転判断制御部411、ヒータ駆動制御部412及びファン駆動制御部413を有している。
【0040】
運転判断制御部411は、右庫3aに配設された第2庫内温度センサS4から与えられる検知温度に基づいて自動販売機の運転状態を判断する運転判断制御処理を実行するものである。ここで第2庫内温度センサS4は、右庫内温度センサS3と同様に右庫3aの内部に配設され、右庫内温度を検知する温度検知手段である。
【0041】
ヒータ駆動制御部412は、ヒータ駆動指令が与えられることにより右庫3aに配設されたヒータHを駆動させるヒータ駆動制御処理を実行するものである。詳細は後述するが、ヒータ駆動制御部412は、第2庫内温度センサS4により検知された右庫内温度と、メモリに予め格納してある目標温度との偏差を求め、かかる偏差に基づいてPID演算を行い、このPID演算結果に応じた出力にてヒータHを駆動させるPID制御を行うものである。
【0042】
ファン駆動制御部413は、庫外送風ファンF2及び右庫内送風ファンF1の駆動制御を行うものである。このファン駆動制御部413は、擬似パルス生成部413aを有している。擬似パルス生成部413aは、詳細は後述するが、庫外送風ファンF2を間欠駆動させる場合に、庫外送風ファンF2にオフ信号を与えて庫外送風ファンF2から回転パルスが与えられないときには、回転パルスに相当する擬似パルスを生成するものである。
【0043】
このようなヒートポンプコントローラ40は、図5に示すように、本体スレーブ12におけるCPU121から電圧変換素子122を経由して駆動回路123に送出される直流信号を電圧変換素子42で変換した後に制御部41にて活用し、駆動回路43を通じて各部に指令を与えている。つまり、ヒートポンプコントローラ40は、本体スレーブ12(自販機制御部10)の直流信号を読み取って、自身の負荷(ヒータHや庫外送風ファンF2等)の駆動制御を行うものである。
【0044】
図6は、ヒートポンプコントローラ40を構成する運転判断制御部411が実行する運転判断制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
【0045】
この運転判断制御処理において第2庫内温度センサS4より温度信号の入力があった場合(ステップS101:Yes)、ヒートポンプコントローラ40の制御部41である運転判断制御部411は、入力した温度信号に含まれる検知温度が予めメモリに記憶された閾値(例えば35℃)以上であるか否かを比較する(ステップS102)。
【0046】
そして、検知温度が閾値以上である場合(ステップS102:Yes)、運転判断制御部411は、右庫3aについては加熱運転が行われていると判断し(ステップS103)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。一方、検知温度が閾値未満である場合(ステップS102:No)、運転判断制御部411は、右庫3aについては冷却運転が行われていると判断し(ステップS104)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0047】
図7は、ヒートポンプコントローラ40を構成するヒータ駆動制御部412が実行するヒータ駆動制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
【0048】
このヒータ駆動制御処理においてヒータ駆動制御部412は、自身に対して所定の入力手段を通じてヒータ駆動指令が与えられた場合(ステップS201:Yes)、ヒータHを駆動させる(ステップS202)。このヒータHの駆動について詳細に説明すると、ヒータ駆動制御部は、第2庫内温度センサS4により検知された右庫内温度と、メモリに予め格納してある目標温度との偏差を求め、かかる偏差に基づいてPID演算を行う。そして、ヒータ駆動制御部412は、このPID演算結果に応じた出力にてヒータHを駆動させるPID制御を行う。
【0049】
その後、ヒータ駆動を開始してから計測した時間(ヒータ駆動時間)がメモリに予め記憶されている設定時間(例えば12時間)以上となる場合(ステップS203)、ヒータ駆動制御部412は、ヒータHのPID制御を解除し、ヒータHを100%通電状態として全力駆動させる(ステップS204,ステップS205)。
【0050】
そして、第2庫内温度センサS4を通じて温度信号が入力されると(ステップS206:Yes)、右庫内温度がヒータオフ温度以上であるか否かを確認する(ステップS208)。
【0051】
右庫内温度がヒータオフ温度未満である場合(ステップS207:No)、ヒータ駆動制御部412は、上記ステップS204〜ステップS207の処理を繰り返す。その一方、右庫内温度がヒータオフ温度以上となる場合(ステップS207:Yes)、ヒータ駆動制御部412は、ヒータHの駆動を停止させ(ステップS208)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0052】
図8は、ヒートポンプコントローラ40を構成するファン駆動制御部413が実行する庫外送風ファン駆動処理の処理内容を示すフローチャートである。
【0053】
この庫外送風ファン駆動処理においてファン駆動制御部413は、本体スレーブ12(自販機制御部10)から庫外送風ファンF2の駆動指令が与えられた場合(ステップS301)、入力手段を通じて間欠制御指令が与えられていなければ(ステップS302:No)、庫外送風ファンF2に対してオン信号を出力し続けて庫外送風ファンF2を所定の回転数で継続的に駆動させる継続運転を行い(ステップS303)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0054】
一方、入力手段を通じて間欠制御指令が与えられていれば(ステップS302:Yes)、ファン駆動制御部413は、間欠運転制御処理を実行する(ステップS310)。
【0055】
図9は、図8に示した間欠運転制御処理の処理内容を示すフローチャートである。この間欠運転制御処理においてファン駆動制御部413は、圧縮機21の表面温度等に応じて間欠運転を行う際の庫外送風ファンF2を駆動させるデューティー比を決定し、かかるデューティー比にしたがって庫外送風ファンF2に対してオン信号を所定時間出力し、その後の残りの時間に庫外送風ファンF2に対してオフ信号を出力することとなる。
【0056】
そして、庫外送風ファンF2にオン信号を出力する場合(ステップS311:Yes)、庫外送風ファンF2から駆動に応じた回転パルスが与えられると(ステップS312:Yes)、ファン駆動制御部413は、かかる回転パルスを本体スレーブ12に送出し(ステップS313)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0057】
その一方、庫外送風ファンF2にオン信号を出力しても庫外送風ファンF2から回転パルスが与えられない場合(ステップS312:No)、ファン駆動制御部413は、本体スレーブ12に対する回転パルスの出力を停止し(ステップS314)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0058】
ところで、上記デューティー比に応じて庫外送風ファンF2にオフ信号を出力する場合(ステップS311:No)、ファン駆動制御部413は、庫外送風ファンF2から回転パルスが与えられなければ(ステップS315:Yes)、擬似パルス生成部413aを通じて回転パルスに相当する擬似パルスを生成する(ステップS316)。
【0059】
そして、ファン駆動制御部413は、擬似パルス生成部413aを通じて生成した擬似パルスを本体スレーブ12に出力し(ステップS317)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0060】
このような間欠運転制御処理を終了した後、手順をリターンさせて今回の庫外送風ファン駆動処理を終了する。
【0061】
以上説明したような本実施の形態であるヒートポンプコントローラ40においては、本体スレーブ12(自販機制御部10)の直流信号を読み取って、自身の負荷(ヒータHや庫外送風ファンF2等)の駆動制御を行うので、自販機制御部10による負荷に対するオンオフ出力を読み取るのに比して交流から直流に変換する素子を必要とせず、かかる部品を要するコストを削減することができる。従って、上記ヒートポンプコントローラ40によれば、コストの増大化を招来せずに自販機制御部10からの信号を読み取ることができる。
【0062】
また、上記ヒートポンプコントローラ40においては、運転判断制御処理において、第2庫内温度センサS4の検知温度が閾値以上である場合には、右庫3aについては加熱運転が行われていると判断する一方、検知温度が閾値未満である場合に、右庫3aについては冷却運転が行われていると判断し、しかも第2庫内温度センサS4は、右庫内温度センサS3とは別個に設けたので既存の自動販売機の構成に変更を加えることがない。従って、上記ヒートポンプコントローラ40によれば、既存の自動販売機に変更を加えずに、冷却運転か加熱運転かを判断することができる。
【0063】
また上記ヒートポンプコントローラ40においては、ヒートポンプ駆動制御処理において、右庫内温度が予め決められた目標温度となるようヒータHをPID制御により駆動させるので、省エネルギー化を図ることができる。しかも、PID制御によりヒータHを駆動させる時間が予め設定された設定時間以上となる場合には、ヒータHのPID制御を解除し、ヒータHを100%通電状態として全力駆動させている。これにより右庫内温度は徐々に上昇していくこととなり、既存の自動販売機で設定されていたヒータオフ温度以上となると、本体スレーブ12よりヒートポンプコントローラ40を介してオフ指令が与えられてヒータHが駆動停止となる。これによりヒータHが駆動停止となる時間を生じさせることができ、ヒータHが継続的に駆動し続けることがない。これにより自販機制御部10(メインコントローラ11及び本体スレーブ12)においてヒータHが正常にもかかわらず故障したものと判断される虞れがない。従って、上記ヒートポンプコントローラ40によれば、省エネルギー化を図りつつ、ヒータHが故障したものと誤判断されることを防止することができる。
【0064】
また上記ヒートポンプコントローラ40においては、間欠運転制御処理において、本体スレーブ12から庫外送風ファンF2の駆動指令が与えられ、かつ自身に対して間欠制御指令が与えられる場合において、庫外送風ファンF2にオン信号を与えることで庫外送風ファンF2から回転パルスが与えられたときには、該回転パルスを本体スレーブ12に与える一方、庫外送風ファンF2にオフ信号を与えて庫外送風ファンF2から回転パルスが与えられないときには、回転パルスに相当する擬似パルスを生成して本体スレーブ12に与えるようにしている。これにより、庫外送風ファンF2の間欠運転を行う場合に、該庫外送風ファンF2から回転パルスが与えられないときにでも本体スレーブ12に擬似パルスを与えることで、本体スレーブ12が回転パルスが与えられないことにより庫外送風ファンF2が故障したものと判定することを回避することができる。従って、上記ヒートポンプコントローラ40によれば、庫外送風ファンF2を間欠制御する場合において本体スレーブ12に故障と判断されてしまうことを防止できる。
【0065】
ところで、間欠運転制御処理において、ヒートポンプコントローラ40は、庫外送風ファンF2にオン信号を出力しても庫外送風ファンF2から回転パルスが与えられない場合には本体スレーブ12に対する回転パルスの出力を停止しているので、かかる場合には本体スレーブ12にて故障が発生したものと検出させることができる。
【0066】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、種々の変更を行うことができる。
【0067】
上述した実施の形態においてヒートポンプコントローラ40のヒータ駆動制御部412は、ヒータHをPID制御により駆動させていたが、いわゆるプルアップと称されるような急速加熱を行う場合には、ヒータ駆動制御部412は、PID制御によりヒータHを駆動させずに、100%通電状態となるようヒータHを全力駆動させるようにしても良い。これによれば、プルアップに要する時間の短縮化を図ることができる。
【0068】
上述した実施の形態においてヒートポンプコントローラ40のファン駆動制御部413は、間欠運転制御処理において、オン信号を出力する場合、並びにオフ信号を出力する場合に、回転パルスの有無の確認を行っていたが、本発明においては、オン信号及びオフ信号を出力してから所定時間(例えば1秒間)の経過後に回転パルスの有無を確認するようにしてもよい。これによれば、庫外送風ファンF2をはじめとする送風手段を確実に駆動状態とさせて回転パルスの有無を確認することができ、精度の向上を図ることができる。
【0069】
上述した実施の形態においてヒートポンプコントローラ40の運転判断制御部411は、運転判断制御処理において、第2庫内温度センサS4による検知温度が閾値(例えば35℃)以上であるか否かで対象となる商品収容庫3が冷却運転か加熱運転かを判断していたが、本発明においては、これに限定されず次のような方法で判断しても良い。すなわち、対象となる商品収容庫3に配設された蒸発器24の上流側にある電磁弁26が開成状態であれば該商品収容庫3は冷却運転を行っているものと判断し、ヒータHが駆動すれば該商品収容庫3は加熱運転を行っていると判断しても良い。また、自販機制御部10を構成するメインコントローラ11から本体スレーブ12の通信を読み取ることで対象となる商品収容庫3が冷却運転か加熱運転かを判断しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上のように、本発明に係る制御装置は、既存の自動販売機に有用である。
【符号の説明】
【0071】
1 本体キャビネット
3 商品収容庫
3a 右庫
3b 中庫
3c 左庫
10 自販機制御部
11 メインコントローラ
12 本体スレーブ
121 CPU
122 電圧変換素子
123 駆動回路
20 冷媒回路
21 圧縮機
22 凝縮器
23 膨張機構
24 蒸発器
26 電磁弁
30 熱輸送手段
31 受熱ユニット
311 熱取得部
312 第1熱伝達部
32 放熱ユニット
321 第2熱伝達部
322 熱放出部
33 熱切換部
40 ヒートポンプコントローラ
41 制御部
411 運転判断制御部
412 ヒータ駆動制御部
413 ファン駆動制御部
413a 擬似パルス生成部
42 電圧変換素子
43 駆動回路
F1 庫内送風ファン
F2 庫外送風ファン
H ヒータ
S1 左庫内温度センサ
S2 中庫内温度センサ
S3 右庫内温度センサ
S4 第2庫内温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存の自動販売機に適用され、かつ該自動販売機に配設された負荷の駆動を制御する制御手段を備えた制御装置であって、
前記制御手段は、前記自動販売機に配設された自販機制御部の直流信号を読み取って前記負荷の駆動を制御することを特徴とする自動販売機の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−20537(P2013−20537A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154739(P2011−154739)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】