自動販売機の商品押出し装置及び押出し方法
【目的】 複数コラムを有する自動販売機を、収納スペースを低下させないで薄型化すると共に、商品を傷付けないで取出せる自動販売機を提供する。
【構成】 上面板32aの開口32bを介して、第1ナピアネジ42と第2ナピアネジの各スライダ44に枢支されていて、これと一体に前後移動する前コラム用プッシャ40と後コラム用プッシャが商品収納部34内に進入できる。前後の各コラム用プッシャ40は前後各コラム36、37内の商品6を排出口38及び前コラム36に押出した後、各商品6の下側を後退し、再び商品押出し時の初期位置に上動復帰する。後コラム用プッシャの商品押出し動作は、前コラム用プッシャ40の2回の商品押出し動作に対して1回であり、前コラム用プッシャ40と同一サイクルで前後動する後コラム用プッシャは、2回の前進動作のうち、1回は後コラム内の最下段の商品6の下側を移動する。
【構成】 上面板32aの開口32bを介して、第1ナピアネジ42と第2ナピアネジの各スライダ44に枢支されていて、これと一体に前後移動する前コラム用プッシャ40と後コラム用プッシャが商品収納部34内に進入できる。前後の各コラム用プッシャ40は前後各コラム36、37内の商品6を排出口38及び前コラム36に押出した後、各商品6の下側を後退し、再び商品押出し時の初期位置に上動復帰する。後コラム用プッシャの商品押出し動作は、前コラム用プッシャ40の2回の商品押出し動作に対して1回であり、前コラム用プッシャ40と同一サイクルで前後動する後コラム用プッシャは、2回の前進動作のうち、1回は後コラム内の最下段の商品6の下側を移動する。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動販売機の商品押出し装置に係り、特に商品の押出し方向が一方向で、かつ前後2コラムの商品を最下段のものから順に一個ずつ押出す商品押出し装置に関する。
【0002】
【従来の技術】各種商品の自動販売機(以下自販機ということがある)にあっては、自販機本体内の限られた空間により多くの商品を収納するため複数コラムを設け、各コラムに複数の商品が積載されるように構成されたものが多い。このような複数コラムを備えた自販機では、商品を取出すための押出し機構が複雑となって大きなスペースを占有するため、自販機が大型化するという問題がある。しかし、最近は自動販売機の道路へのはみ出しが問題となっており、これに対処するためにも薄型自動販売機への要求が高まっている。この場合自販機を薄型にし、なおかつ自販機内の商品収納数を減らさないようにすることが特に求められる。
【0003】今、ダブルコラムを有する従来の自動販売機の両方向商品押出し装置について図12〜図15によって説明する。
【0004】図12〜図14は自販機内の商品収納部1を示しており、下部フレーム2と起立フレーム3によって内部に第1コラム4と第2コラム5を有する商品6の収納部が構成されている。下部フレーム2によって商品支持面2aが形成されており、この商品支持面2aによって、第1コラム4と第2コラム5内に積載された商品6が支持されている。
【0005】商品収納部1の下端面側には第1,第2の各コラム4,5に対応してそれぞれ商品の排出口7,8を有しており、商品支持面2a上を横に往復移動するプッシャ9により、第1コラム4と第2コラム5内の各商品6がそれぞれの排出口7,8に押し出され、それぞれシュータ7a,8aを介して1つの商品取出口(図示せず)に導かれる。
【0006】なお、プッシャ9の駆動装置10は図15に示すように構成されている。すなわち、底板11から所定の間隔をおいて側壁12が立上っており、両方の側壁12の上部に商品支持面2aが形成され、この商品支持面2aに沿ってプッシャ9が横に往復移動自在に支持されている。商品支持面2aの下側にナピアネジ14が配設され、このナピアネジ14の両端が両方の側壁12によって軸支されている。また、ナピアネジ14の駆動側の端部は一方の側壁12の外側に配設された減速機構部15においてモータ16と連動連結されている。
【0007】ナピアネジ14にはスライダ17が嵌合されており、このスライダ17とプッシャ9とが、商品支持面2aに形成された溝18に位置する連結部19(図1313〜図15に示す)を介して連結されている。したがって、ナピアネジ14がモータ16によって同一方向に連続回転するとき、ナピアネジ14の両端部においてスライダ17内の係合部がナピアネジ14の左旋回と右旋回の一方のネジ溝から他方のネジ溝に移りスライダ17は横方向に往復直線運動を繰返す。それによりスライダ17と一体にプッシャ9が横移動できる。
【0008】プッシャ9は商品6の厚み(高さ)以下に設けられており、これが左右移動するとき、図12〜図1414に示す過程を経て,第1コラム4と第2コラム5内の商品6が両側の排出口7,8から押出される。各図において第1コラム4内に積載された商品6には偶数の連続番号が付されており、第2コラム5内に積載された商品6には奇数の連続番号が付されている。
【0009】図12は商品収納部1の右側、つまり第1コラム4内でプッシャ9が待機している状態である。この状態でプッシャ9が左移動することにより第2コラム5内の商品6を排出口8に押出し、プッシャ9はこの左位置で待機している。つづいてプッシャ9が右移動することにより第1コラム4内の商品6を排出口7から押し出す。
【0010】上記のダブルコラムを有する自販機は、その前後に商品の排出口7,8と、これに続くシュータ7a,8aを有しているので、この2つのシュータ7a,8aのスペースが必要であり、自販機を薄型化するうえでの障害となっている。
【0011】一方、上記の欠点を改良するものとして図1616に示されるような押出し装置が考えられる。この押出し装置では、支持面20と側壁21で形成された商品収納部22内に第1コラム23と第2コラム24を有しており、各コラムにそれぞれ商品6が積載されている。商品収納部22の下部一側には商品排出口25が形成されている。
【0012】支持面20の下部において、駆動側と従動側のスプロケット26,27の間にチェン28が掛け渡されており,このチェン28にプッシャ29が取付けられ、プッシャ29は支持面20に形成されたスリット20aを通って商品収納部22内に進入している。駆動側のスプロケット26には減速歯車機構30を介してモータ31が連動連結されている。
【0013】上記の商品押出し装置によると、商品の排出口25は1箇所であり、チェン28によってプッシャ29が移動するとき、このプッシャ29が第1コラム23内の商品6と第2コラム24内の商品6を順に排出口25から押出すことができる。この商品押出し装置では、商品の排出口25とシュータ(図示せず)が1箇所であり、自販機を薄型にする点ではすぐれているが、第2コラム24内の商品6が第1コラム23内の商品6を押出す構成のため、商品同士が傷付いたり変形してスムーズな押出しができないケースが生じ、商品積み上げ数に制限があるという問題がある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上述のように従来のダブルコラム型の自動販売機にあっては、商品の排出口が複数箇所あって自販機の薄型化に難点があったり、商品の排出口を1箇所にすると商品が商品を押出すことになり、多数商品を積載した場合商品が傷つくという不具合が生じるなど、商品の収納量を低下させないで自動販売機を薄型化するうえで問題点を有していた。
【0015】本出願人は、上述の問題点を解決することのできるタブルコラム型の自動販売機を先に出願した(特願平5−104692号、特願平6−20502号。いずれも未公開)。本発明はこの先願をさらに改良した自動販売機を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明は商品収納部に前コラムと後コラムを有し、両コラム内に積載された商品を最下段の商品から1個ずつ前コラム、後コラムの順に排出口に押出す自動販売機の商品押出し装置において、前コラムの最下段の商品を前記排出口に押出す前コラム用プッシャ及び、後コラムの最下段の商品を前コラムの最下段の商品の下側に送り出す後コラム用プッシャとからなる商品の押し出し手段と、前コラムと後コラムの各プッシャを前後移動させ、かつ後コラム用プッシャをその最前端において、下降自在に枢支する支持機構を含み、前後各コラム用プッシャを各コラムの最下段の商品の下側を後退移動自在に支持する往復移動手段とを具備することを特徴とする。
【0017】上記の往復移動手段は、外周にねじ溝を有する2本の駆動軸と、各駆動軸に螺合されたスライダとから構成し、前コラム用プッシャと後コラム用プッシャは、各スライダに枢支するのが望ましい。
【0018】また、後コラム用プッシャの下端から水平部が伸びており、この水平部が前記スライダに枢支されると共に、前記スライダに設けられ、水平部の下動を阻止するロック手段と、後コラム用プッシャが最前端に移動したとき、前記ロック手段のロックを解除するロック解除手段と、後コラム用プッシャが最後端近傍に移動したとき、当該後コラム用プッシャを持上げる持上げ手段と、後コラム用プッシャが最後端に移動したとき、1回おきに前記ロック手段のロックを解除するロック操作手段とを具備する構成とするとよい。
【0019】さらに、前コラムの商品支持面を、段差部を介して後コラムの商品支持面よりも高く設けると共に、前コラム用プッシャが最後端近傍に後退したとき、後コラムの最下段の商品を後退させ、前コラム用プッシャの起立用空間を形成する押戻し部材を前コラム用プッシャのスライダに具備させるのが望ましい。
【0020】本発明はまた、商品収納部に前コラムと後コラムを有し、各コラム内に積載された商品を最下段の商品から1個ずつ前コラム、後コラムの順に排出口に押出す自動販売機の商品押出し方法において、第1の駆動軸の回転により、当該駆動軸に沿って前進移動するスライダに支持されて、前コラム内の最下段の商品を排出口に押出す前コラム用プッシャと、第2の駆動軸の回転により、当該駆動軸に沿って前進移動するスライダに支持されて、後コラム内の最下段の商品を前コラムの最下段の商品の下に押出す後コラム用プッシャとが同期して前進する第1のステップと、前コラム用プッシャと後コラム用プッシャが最前端まで移動した後、後コラム用プッシャが後側に傾倒することを含み、当該後コラム用プッシャと前コラム用プッシャとが、それぞれ前コラム及び後コラムの最下段の商品の下側を後退する第2のステップと、前コラム用プッシャが最後端近傍まで後退したとき、前コラム用プッシャと一体に移動する押戻し部材が後コラムの最下段の商品を後退させ、前コラム用プッシャの起立用空間を形成する第3のステップと、前コラム用プッシャが 初期位置に上動復帰し、前コラム用プッシャが1回の商品押出しを行なう間、後コラム用プッシヤが後コラム商品の押出しを休止する第4のステップと、前コラム用プッシャと後コラム用プッシャが同期して前進し、前コラムと後コラムの商品を前方に押出す第5のステップとからなることを特徴とする。
【0021】
【作用】本発明の構成によると、前コラムと後コラムの各商品は交互に、前コラム用プッシャと後コラム用プッシャにより排出口に押し出され、商品が商品を押出すことがない。また、後コラム用プッシャは商品を後コラムから前コラムに押出した後、その位置で下降するので、後コラムの商品と非圧接の状態で下降でき、当該後コラムの商品との圧接摩擦で下降しないという状態が生じない。
【0022】また、前コラム用プッシャと一体移動する押し戻し部材により、後コラムの最下段の商品が押し戻されることで空間が形成され、この空間を介して前コラム用プッシャが円滑に初期位置に起立復帰できる。
【0023】
【実施例】以下本発明の実施例を図を参照して説明する。
【0024】図1は実施例に係る自動販売機の商品押出し装置の平面図、図2は図1の第1ナピアネジと前コラムの商品押出し用プッシャとの係合関係を示す側面図、図3は図1の第2ナピアネジと後コラムの商品押出し用プッシャとの係合関係を示す側面図、図4〜図7は後コラム用プッシャの支持機構と動作を説明する図、図8は第1ナピアネジと第2ナピアネジとの連動歯車機構図である。
【0025】各図において、商品押出し装置の駆動機構部は自動販売機の下部を構成する下部ケース32内に収められている。そして、下部ケース32の上面板32aの上面が商品6の支持面となっており、かつ上面板32aの端縁部付近から前側壁33と後側壁33aが起ち上っており、前後の側壁33,33aの内部が商品収納部34とされている。
【0026】商品収納部34は、前コラム36と後コラム37とに分けられている。また、前側壁33の下部一側に開口が形成され、これが商品6の排出口38とされている。本実施例においてこの排出口38は前コラム36の前端位置に1箇所のみ設けられている。また、前コラム36の商品支持面39は、商品6の高さ(厚さ)よりも小さい高さ範囲で後コラム37の商品支持面39aよりも高く設けられていて、前コラム36と後コラム37との間は緩やかな傾斜面39bで接続されている。
【0027】上面板32aには、商品6の押出し方向に沿って開口32bが形成されており、この開口32bを通って下部ケース32内から前コラム用プッシャ40と後コラム用プッシャ41が商品収納部34に突出している。
【0028】下部ケース32内には略図的に示されるように同一ピッチの正逆ネジ溝を有する第1ナピアネジ42と第2ナピアネジ43が平行に配設されている。前コラム用プッシャ40は第1ナピアネジ42に螺合されたスライダ44に連動連結されて、図2の実線と2点鎖線の間を移動して前コラム36内の商品6を排出口38から押出す。後コラム用プッシャ41は第2ナピアネジ43に螺合されたスライダ45に連動連結されて、図3の実線と2点鎖線の間を移動して後コラム37内の商品6を前コラム36に押出す。
【0029】さらに説明すると、第1ナピアネジ42と第2ナピアネジ43の両端の支軸42a,43aは下部ケース32の両端側壁32cに支持されていて、一方の支軸に歯車46,47が固着されており、各歯車46,47は、下部ケース22の端部の歯車ケース48内に納められた減速歯車機構49(図8に示す)により同期して同一方向に連動回転するように構成されている。この減速歯車機構49には下部ケース32内に設置されたモータ50がその出力歯車50aを介して連動連結されている(詳細は後述する)。
【0030】前コラム用プッシャ40は、略「鉤」状に曲げられていて、その基端部が第1ナピアネジ42のスライダ44から突出する軸受部材44aに支持された支軸52を介して当該スライダ44に枢支されている。また前コラム用プッシャ40には、支軸52に巻回されたバネ53により、この支軸52を中心として図2において反時計方向の弱い回転力が付勢されている。
【0031】さらに、前コラム用プッシャ40を支持するスライダ44には、当該前コラム用プッシャ40の商品押出し方向に対して後側に、側面から見て略階段状の押戻し部材35が設けられている。この押戻し部材35は水平部35aの先端から垂直に立上っており、その高さは、図2に示されるように前コラム36の商品支持面39よりも低い位置にあり、かつ後コラム37の商品支持面39aよりも高く設けられている。また、バネ付勢された前コラム用プッシャー40は、その先端部が垂直に位置したときは、プッシャ中間の傾斜部が押戻し部材35の下端と係止して、垂直位置よりも後側、つまり反時計方向に回転するのが制止される構成となっている。
【0032】上記の構成によると、第1ナピアネジ42が回転し、前コラム用プッシャ40が図2の実線の位置から右方向に前進移動するとき、プッシャ40の垂直部が前コラム36内の商品6の後部を押して排出口38から押出す。このとき前コラム用プッシャ40は押戻し部材35と係合しているので、後に倒れないで商品6を押出すことができる。
【0033】前コラム用プッシャ40が商品6の押出し終了の位置(図2の右側2点鎖線位置)まで移動したとき、このプッシャ40と一体のスライダ44の係合部が第1ナピアネジ42の左右旋回のネジ溝の一方から他方の溝に移り変わり、Uターンしてスライダ44が後退(図2で左方向)移動する。このとき、前コラム用プッシャ40は、前コラム36内の最下段の商品6の下面に当ってバネ53に抗して支軸52を中心に図2において時計方向に回転して倒れ、プッシャ先端が商品6の下側に逃れて2点鎖線状態となってスムーズに後退することができる。
【0034】前コラム用プッシャ40が後退し、その先端が商品6の下部後端から外れることにより、バネ53の力で前コラム用プッシャ40は反時計方向に回動して起き上り、再び前コラム36内の商品6を押出す初期位置の姿勢に復帰できる。
【0035】また、このとき、スライダ44に設けられている押戻し部材35が、前コラム36の商品支持面39の下を後退した後、傾斜面39bの位置で開口32bから上方に突出し、さらに後退するときは、後コラム37の商品支持面39aよりも高い位置にある。したがって、この押戻し部材35が後コラム37内の最下段の商品6と係合して、この商品6を定位置より少し後退させる。それにより、前コラム36と後コラム37内に殆ど接した状態で積載されているコラム内の商品列の最下段の商品の間に間隙75が形成され、この間隙75を介して前コラム用プッシャ40は円滑かつ確実に初期位置に上動復帰できる。
【0036】また、前コラム用プッシャ40が所定の位置に後退した後、第1ナピアネジ42が連続回転するときはスライダ44の係合部は左右旋回の一方のネジ溝から他方のネジ溝に移り、再び前進移動できる。
【0037】次に後コラム用プッシャ41について説明する。後コラム用プッシャ41は第2ナピアネジ43に螺合するスライダ45に、支軸64で回動可能に枢支されていて、後コラム37内に下方から出没自在に設けられている。
【0038】図3〜図7によってさらに説明すると、スライダ45の上部本体45aには第2ナピアネジ43が螺合するナット孔(図示せず)が形成されている。スライダ45の上部本体45aと一体に下部支持部45bが設けられている。このスライダ45の上部に後コラム用プッシャ41が枢支される。すなわち、後コラム用プッシャ41の下端から水平部41aが伸びており、この水平部41aの基端が支軸64を介してスライダ45の上部に回動自在に枢支されている。なお、後コラム用プッシャ41は図示しないバネによって支軸64を中心とする右旋回習性が与えられている。
【0039】したがって、後コラム用プッシャ41は、図4〜図6に示されるように起立状態から、図7に示される下降した状態に回動して傾倒することができる。
【0040】後コラム用プッシャ41が傾倒した状態から起立状態に回動復帰する機構と、後コラム用プッシャ41を起立状態に保持するロック機構及び、ロックを解除する操作機構を次に説明する。
【0041】後コラム用プッシャ41を図示しないバネの牽引力に抗して持上げるのはレバー62である。このレバー62の基端が支軸63を介してスライダ45に枢支されている。レバー62の先端には長孔66が開設されていて、この長孔66に連結軸65が遊嵌されている。そして、この連結軸65に押上げ部材55の下部が枢支されている。押上げ部材55の上部は、後コラム用プッシャ41の水平部41aの側面に一体に設けられている。なお、レバー62はバネ60によって左旋回習性が与えられている。
【0042】レバー62の側面で、かつ支軸63の斜め上方の位置に係合部67が突出している。この係合部67は、スライダ45が第2ナピアネジ43に沿って所定位置まで後退したとき、図1と図5に示されるように下部ケース32の内側壁に設けられた係合片68と係合し、スライダ45がさらに後退することにより、レバー62が図6で時計方向に回動する。それによりレバー62の長孔66に嵌合した連結軸65及び、この連結軸65と一体の押上げ部材55を介して後コラム用プッシャ41の水平部41aがバネ60の索引力に抗して押し上げられ、当該後コラム用プッシャ41が図3に示されるように商品支持面39aから突出する。
【0043】レバー62の先端には下向きのバネ力が作用しているので、スライダ45が前進し、係合部67が係合片68から離れるとレバー62と一体の後コラム用プッシャ41にも下向きの力が作用するが、スライダ45の側部には、後コラム用プッシャ41の下動を許容し、又はこれと反対に下動を阻止するロック機構70が設けられている。このロック機構70は、スライダ45の上部本体45aに支軸74により枢支されている揺動レバー71と、後コラム用プッシャ41の水平部41aの側部に設けられた係合突起78とにより構成される。この揺動レバー71の支軸74には、当該揺動レバー71を図3と図4〜図7で時計方向に付勢するバネ77が嵌挿されていて、それにより、揺動レバー71の係合端面71bが後コラム用プッシャ41の係合突起78と係合し、この係合縁71が係合突起78の下動を阻止することで、後コラム用プッシャ41の下動が阻止され、当該後コラム用プッシャ41が起立した状態にロックされる。
【0044】つぎに、図1、図3に示されるように、下部ケース32の内側壁には、ロック解除突起69が設けられている。このロック解除突起69は、スライダ45が最前端まで移動したとき、揺動レバー71の突出片71cと係合し、この揺動レバー71を支軸74を中心に図3において反時計方向に回動させるもので、それにより係合端面71bが係合突起78から外れる(ロック解除)。
【0045】それにより、バネ60の牽引力で後コラム用プッシャ41は図3の2点鎖線の位置に下降する。そして、第2ナピアネジ43の回転に伴ってスライダ45が後退するとき、後コラム用プッシャ41はスライダ45と一体に後コラム37内の最下段の商品6の下側を通って後退(左移動)する。
【0046】また、下部ケース32の内側壁には、後コラム用プッシャ41が所定の位置に後退したとき作動するロック操作手段83が設けられている。このロック操作手段83は、下部ケース32の内側壁に支軸87で枢支された略円板状の回転板85を主たる構成部品とし、これと他の部品を組合わせて構成される。この回転板85には、それぞれ溝の深さを大小異ならしめて半径方向に設けられた複数のガイド溝86aとストッパ溝86bが一定の角度で交互に設けられている。
【0047】図4〜図7によってさらに説明すると、回転板85のガイド溝86aとストッパ溝86bには、それぞれ異なる方向からストッパバネ板88と送りバネ板89が係脱自在に係合している。送りバネ板89がスライダ45と一体に後退(図4において左移動)するとき、バネ段部89aが上記ガイド溝86aとストッパ溝86bのいずれかに交互係合し、回転板85をガイド溝86aとストッパ溝86bの配設角度(つまり、図示例では60°)だけ時計方向に間欠回転させながら通過する。
【0048】ストッパバネ板88は、上記回転板85の図5で反時計方向の回転を阻止する。つまり、スライダ45と一体に送りバネ板89が最後端まで後退し、再び前進するとき、この送りバネ板89により回転板85には反時計方向の回転力が作用するが、このときストッパバネ板88のバネ段部88aがガイド溝86a又はストッパ溝86bのいずれかと係合し、回転板85の反時計方向の回転を阻止する。それにより上記送りバネ板89は、その弾性で下方に撓み、ガイド溝86a又はストッパ溝86bから脱出し、回転板85の外周面をスライドして前方に移動できる。
【0049】さらに、送りバネ板89が図3に示される位置(最後端)まで後退したとき、揺動レバー71の下端に設けられた係合片71aが図5に示されるガイド溝86a又は図7に示されるストッパ溝86bに嵌合する。
【0050】係合片71aが溝の深いガイド溝86aに嵌合するときは、揺動レバー71は図6に示される位置に回動された状態に保持される。このとき、揺動レバー71の係合端縁71bは後コラム用プッシャ41の係合突起78に係合した(つまり、ロックされた)状態であり、したがって、後コラム用プッシャ41は下降しない。
【0051】これに対し、係合片71が図7に示されるように溝の浅いストッパ溝86bに係合してスライダ45が最後端まで後退するとき、揺動レバー71は支軸74を中心としてバネ77の索引力に抗して図で反時計方向に揺動する。それにより揺動レバー71の係合端面71bが後コラム用プッシャ41の係合突起78から外れ、当該後コラム用プッシャ41はバネ力で下降する。
【0052】上記図4〜図7に示される後コラム用プッシャ41の動作をまとめると次のようになる。まず、スライダ45が第2ナピアネジ43に沿って最後端まで後退したとき、レバー62に設けられた係合部67が係合片68に係合し、当該レバー62は支軸63を中心に先端が持上る方向に回動し、押上げ部材55を介して後コラム用プッシャ41は必ず1回の持上り動作を行なう。そして、第2ナピアネジ43の連続回転に伴ってスライダ45が再び前進し、係合部67が係合片68から離れると同時に後コラム用プッシャ41は第1バネ60のバネ力で下降しようとする。
【0053】このとき、図5に示されるように揺動レバー71の係合片71aが回転板85のガイド溝86aに嵌合しているときは、当該揺動レバー71はバネ77の力で同図のように右に回動して係合端面71bが係合突起78と係合する位置関係にあるので、後コラム用プッシャ41の下降が阻止される(これがロック状態である)。したがって、このときは後コラム用プッシャ41は持上ったまま前進し、後コラム37内の最下段の商品6を押出し、前コラム36の最下段の商品6の下にもぐり込ませる。
【0054】一方、図7に示されるように係合片71aが回転板85のストッパ溝86bに嵌合しているときは、揺動レバー71は同図のように左に回動していて、係合端面71bが係合突起78と外れているので、当該後コラム用プッシャ41はバネの力で下動する。したがって、このときは後コラム用プッシャ41は最下段の商品6を押出さず、この商品6の下側を通って前進する。
【0055】こうして、後コラム用プッシャ41のスライダ45が一回後退し、再び前進するとき、回転板85が60°間欠回転すると共に、この回転板85に交互に設けられたガイド溝86aとストッパ溝86bの溝深さが大小異なっていることにより、後コラム用プッシャ41は後退(及び上動)−前進(及び下降)−後退(及び上動)−前進(及び下降)の2サイクル動作において、第1サイクル動作では後コラム37の商品6を前コラム36に押出し、第2サイクル動作では商品6の押出しを休む。
【0056】上記動作の繰返しにより、前コラム用プッシャ40と後コラム用プッシャ41は同期して前後往復移動しながら、前コラム用プッシャ40の2回の押出し動作に対して、後コラム用プッシャ41が1回の押出し動作を行なう。よって、商品収納部34を全体でみた場合、前コラム36内の商品6と後コラム37の商品6を交互に排出口7に押出すことができる。
【0057】ところで、後コラム用プッシャ41はスライダ45と一体に水平移動しながら上下動するものであるから、本実施例のように後コラム用プッシャ41を支軸64で枢支して、この後コラム用プッシャ41の上端が円の中心、つまり支軸64よりも高い位置で円弧を描いて上下動するようにスライダ45に支持させる支持機構であると、後コラム用プッシャ41をスライダ45の進行方向と直交する方向に直線上下動させる支持機構(特願平5−104692号、特願平6−20502号に開示)に比べて、当該後コラム用プッシャ41が上下動する間に当該後コラム用プッシャ41が水平(後退)移動する距離を少なく設定できる。したがって、図3に示される後コラム用プッシャ41と商品6の後端との間隔Gをより小さくでき、自販機をより薄型化できる。
【0058】次に、図8に示すように、下部ケース32の一端に設けられたギヤボックス48内において、第1,第2ナピアネジ42,43の軸端に設けられた歯車46,47は中間歯車73と噛合している。第2ナピアネジ43の歯車47には複数の減速歯車機構49を介してモータ50の出力歯車50aが連動しており、このモータ50により第1,第2ナピアネジ43,43は同一方向に同一スピードで回転できる。
【0059】本実施例の駆動機構によると、上記のように第1,第2ナピアネジ42,43の連続回転で、各スライダ44,45が往復移動し、それに伴ない前コラム用プッシャ40と後コラム用プッシャ41は、前コラム36内の商品6と後コラム37内の商品6を前方に押出し、その後各コラムの商品6の下側を通って後退し、再び最初の押出し位置に上動復帰する動作を繰返す。また、第1,第2ナピアネジ42,43のネジ溝のそれぞれの旋回ピッチは同一ピッチに設けられていて、前コラム用プッシャ40および、後コラム用プッシャ41は同期して前後に往復移動し、このとき両プッシャに次に述べるシーケンス動作を行なわせることができる。
【0060】図9,図10,図11は実施例に係る商品押出し装置のシーケンスを示す図である。[0]は前コラム用プッシャ40と後コラム用プッシャ41の待機位置を示し、[1],[2],[3]において前コラム用プッシャ40と後コラム用プッシャ41が同期して前進し、商品6を押出す。[4],[5],[6]において、前コラム用プッシャ40と後コラム用プッシャ41が下降し、それぞれ商品6の下側を通って後退する。またこのとき、押戻し部材35が後コラム37内の最下段の商品6を少し後退させ、前コラムと後コラムの商品6の間に隙間75を作り、[7]において前コラム用プッシャ40はこの隙間75を介してスムーズに持上がることができる。一方、後コラム用プッシャ41は下降したままである。以上で1回の押出し動作が終了する。
【0061】次回の押出し動作は、この[7]の状態からスタートし、または2個以上を連続で押出す場合には連続して動作し、[10]で商品6を送り出す。このとき、後コラム用プッシャ41は商品6の下側を通って前進移動している。つづいて、[11]において前コラム用プッシャ40は下降し、[12]において、前コラム用プッシャ40と後コラム用プッシャ41は同期して後退する。
【0062】[13]において前コラム用プッシャ40と後コラム用プッシャ41は同時に上動し、初期位置に復帰する。
【0063】つまり、本実施例では、後コラム用プッシャ41が1回の商品押出し動作を行なうとき、前コラム用プッシャ40が2回の商品押出し動作を行ない、それにより前コラム36と後コラム37の各商品6を交互に排出口38に押出し可能となっている。
【0064】なお、本発明は実施例に限定されず、適宜構成を変更して適わない。例えば、後コラム用プッシャ41を前コラム用プッシャ42と同じ回転構造とし、これにロック作動機構とロック解除機構を組合わせることができる。また、第1,第2ナピアネジ42,43に代えて回転速度が適宜に設定された正逆回転ネジを使用することもできる。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると複数コラムを有する商品収納部に収納された商品を、1つの商品排出部から押出すことにより、従来の複数シュータを1つにできて商品収納スペースは十分大きくとり、なおかつ自動販売機の奥行きを少なくし、薄型化することができる。しかも複数コラムの各商品は個別プッシャーで押出されるから、商品が商品を押出すことがなく、商品が傷つかないという効果がある。
【0066】また、本発明によると、前コラム用プッシャの商品押出し動作回数を、後コラム用プッシャの商品押出し動作回数の2倍とすることで、前後各コラム内の商品を均等に排出口から排出でき、商品収納部内のバランスが保たれて構成上好ましい。また、前コラム用プッシャの側に設けられた押戻し部材で後コラム内の商品が定位置から後退し、前後各コラム内の最下段の商品の間に空間が形成されるので、この空間を介して前コラム用プッシャを商品押出し時の初期位置にスムーズに復帰させることができ、商品押出し動作が確実かつ円滑となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係る商品押出し装置の前コラムの各プッシャの駆動機構の平面図である。
【図2】前コラム用プッシャの駆動機構部を示す側面図である。
【図3】後コラム用プッシャ第1動作時の駆動機構部を示す側面説明図である。
【図4】後コラム用プッシャの駆動機構部の詳細図である。
【図5】後コラム用プッシャの駆動機構部の詳細図である。
【図6】後コラム用プッシャの駆動機構部の詳細図である。
【図7】後コラム用プッシャの駆動機構部の詳細図である。
【図8】第1、第2のナピアネジの駆動歯車機構の説明図である。
【図9】商品押出し過程のシーケンスを示す図である。
【図10】商品押出し過程のシーケンスを示す図である。
【図11】商品押出し過程のシーケンスを示す図である。
【図12】第1従来例の商品押出し装置の第1動作時の説明図である。
【図13】同じく第2動作時の説明図である。
【図14】同じく第3動作時の説明図である。
【図15】第1従来例の駆動装置の斜視図である。
【図16】第2従来例の説明図である。
【符号の説明】
6…商品、31…下部ケース、34…商品収納部、35…押戻し部材、36…前コラム、37…後コラム、38…排出口、40…前コラム用プッシャ、41…後コラム用プッシャ、42…第1ナビアネジ、43…第2ナピアネジ、44…スライダー、45…スライダ、46,47…歯車、49…減速歯車機構、50…モータ、51…軸受筒、56…レバー、60…第1バネ、62…レバー、67…作用ピン、68…係合片、70…ロック、71…揺動レバー、77…第2バネ、83…ロック操作手段、85…回転板、86a…ガイド溝、86b…ストッパ溝、90…係合ピン。
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動販売機の商品押出し装置に係り、特に商品の押出し方向が一方向で、かつ前後2コラムの商品を最下段のものから順に一個ずつ押出す商品押出し装置に関する。
【0002】
【従来の技術】各種商品の自動販売機(以下自販機ということがある)にあっては、自販機本体内の限られた空間により多くの商品を収納するため複数コラムを設け、各コラムに複数の商品が積載されるように構成されたものが多い。このような複数コラムを備えた自販機では、商品を取出すための押出し機構が複雑となって大きなスペースを占有するため、自販機が大型化するという問題がある。しかし、最近は自動販売機の道路へのはみ出しが問題となっており、これに対処するためにも薄型自動販売機への要求が高まっている。この場合自販機を薄型にし、なおかつ自販機内の商品収納数を減らさないようにすることが特に求められる。
【0003】今、ダブルコラムを有する従来の自動販売機の両方向商品押出し装置について図12〜図15によって説明する。
【0004】図12〜図14は自販機内の商品収納部1を示しており、下部フレーム2と起立フレーム3によって内部に第1コラム4と第2コラム5を有する商品6の収納部が構成されている。下部フレーム2によって商品支持面2aが形成されており、この商品支持面2aによって、第1コラム4と第2コラム5内に積載された商品6が支持されている。
【0005】商品収納部1の下端面側には第1,第2の各コラム4,5に対応してそれぞれ商品の排出口7,8を有しており、商品支持面2a上を横に往復移動するプッシャ9により、第1コラム4と第2コラム5内の各商品6がそれぞれの排出口7,8に押し出され、それぞれシュータ7a,8aを介して1つの商品取出口(図示せず)に導かれる。
【0006】なお、プッシャ9の駆動装置10は図15に示すように構成されている。すなわち、底板11から所定の間隔をおいて側壁12が立上っており、両方の側壁12の上部に商品支持面2aが形成され、この商品支持面2aに沿ってプッシャ9が横に往復移動自在に支持されている。商品支持面2aの下側にナピアネジ14が配設され、このナピアネジ14の両端が両方の側壁12によって軸支されている。また、ナピアネジ14の駆動側の端部は一方の側壁12の外側に配設された減速機構部15においてモータ16と連動連結されている。
【0007】ナピアネジ14にはスライダ17が嵌合されており、このスライダ17とプッシャ9とが、商品支持面2aに形成された溝18に位置する連結部19(図1313〜図15に示す)を介して連結されている。したがって、ナピアネジ14がモータ16によって同一方向に連続回転するとき、ナピアネジ14の両端部においてスライダ17内の係合部がナピアネジ14の左旋回と右旋回の一方のネジ溝から他方のネジ溝に移りスライダ17は横方向に往復直線運動を繰返す。それによりスライダ17と一体にプッシャ9が横移動できる。
【0008】プッシャ9は商品6の厚み(高さ)以下に設けられており、これが左右移動するとき、図12〜図1414に示す過程を経て,第1コラム4と第2コラム5内の商品6が両側の排出口7,8から押出される。各図において第1コラム4内に積載された商品6には偶数の連続番号が付されており、第2コラム5内に積載された商品6には奇数の連続番号が付されている。
【0009】図12は商品収納部1の右側、つまり第1コラム4内でプッシャ9が待機している状態である。この状態でプッシャ9が左移動することにより第2コラム5内の商品6を排出口8に押出し、プッシャ9はこの左位置で待機している。つづいてプッシャ9が右移動することにより第1コラム4内の商品6を排出口7から押し出す。
【0010】上記のダブルコラムを有する自販機は、その前後に商品の排出口7,8と、これに続くシュータ7a,8aを有しているので、この2つのシュータ7a,8aのスペースが必要であり、自販機を薄型化するうえでの障害となっている。
【0011】一方、上記の欠点を改良するものとして図1616に示されるような押出し装置が考えられる。この押出し装置では、支持面20と側壁21で形成された商品収納部22内に第1コラム23と第2コラム24を有しており、各コラムにそれぞれ商品6が積載されている。商品収納部22の下部一側には商品排出口25が形成されている。
【0012】支持面20の下部において、駆動側と従動側のスプロケット26,27の間にチェン28が掛け渡されており,このチェン28にプッシャ29が取付けられ、プッシャ29は支持面20に形成されたスリット20aを通って商品収納部22内に進入している。駆動側のスプロケット26には減速歯車機構30を介してモータ31が連動連結されている。
【0013】上記の商品押出し装置によると、商品の排出口25は1箇所であり、チェン28によってプッシャ29が移動するとき、このプッシャ29が第1コラム23内の商品6と第2コラム24内の商品6を順に排出口25から押出すことができる。この商品押出し装置では、商品の排出口25とシュータ(図示せず)が1箇所であり、自販機を薄型にする点ではすぐれているが、第2コラム24内の商品6が第1コラム23内の商品6を押出す構成のため、商品同士が傷付いたり変形してスムーズな押出しができないケースが生じ、商品積み上げ数に制限があるという問題がある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上述のように従来のダブルコラム型の自動販売機にあっては、商品の排出口が複数箇所あって自販機の薄型化に難点があったり、商品の排出口を1箇所にすると商品が商品を押出すことになり、多数商品を積載した場合商品が傷つくという不具合が生じるなど、商品の収納量を低下させないで自動販売機を薄型化するうえで問題点を有していた。
【0015】本出願人は、上述の問題点を解決することのできるタブルコラム型の自動販売機を先に出願した(特願平5−104692号、特願平6−20502号。いずれも未公開)。本発明はこの先願をさらに改良した自動販売機を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明は商品収納部に前コラムと後コラムを有し、両コラム内に積載された商品を最下段の商品から1個ずつ前コラム、後コラムの順に排出口に押出す自動販売機の商品押出し装置において、前コラムの最下段の商品を前記排出口に押出す前コラム用プッシャ及び、後コラムの最下段の商品を前コラムの最下段の商品の下側に送り出す後コラム用プッシャとからなる商品の押し出し手段と、前コラムと後コラムの各プッシャを前後移動させ、かつ後コラム用プッシャをその最前端において、下降自在に枢支する支持機構を含み、前後各コラム用プッシャを各コラムの最下段の商品の下側を後退移動自在に支持する往復移動手段とを具備することを特徴とする。
【0017】上記の往復移動手段は、外周にねじ溝を有する2本の駆動軸と、各駆動軸に螺合されたスライダとから構成し、前コラム用プッシャと後コラム用プッシャは、各スライダに枢支するのが望ましい。
【0018】また、後コラム用プッシャの下端から水平部が伸びており、この水平部が前記スライダに枢支されると共に、前記スライダに設けられ、水平部の下動を阻止するロック手段と、後コラム用プッシャが最前端に移動したとき、前記ロック手段のロックを解除するロック解除手段と、後コラム用プッシャが最後端近傍に移動したとき、当該後コラム用プッシャを持上げる持上げ手段と、後コラム用プッシャが最後端に移動したとき、1回おきに前記ロック手段のロックを解除するロック操作手段とを具備する構成とするとよい。
【0019】さらに、前コラムの商品支持面を、段差部を介して後コラムの商品支持面よりも高く設けると共に、前コラム用プッシャが最後端近傍に後退したとき、後コラムの最下段の商品を後退させ、前コラム用プッシャの起立用空間を形成する押戻し部材を前コラム用プッシャのスライダに具備させるのが望ましい。
【0020】本発明はまた、商品収納部に前コラムと後コラムを有し、各コラム内に積載された商品を最下段の商品から1個ずつ前コラム、後コラムの順に排出口に押出す自動販売機の商品押出し方法において、第1の駆動軸の回転により、当該駆動軸に沿って前進移動するスライダに支持されて、前コラム内の最下段の商品を排出口に押出す前コラム用プッシャと、第2の駆動軸の回転により、当該駆動軸に沿って前進移動するスライダに支持されて、後コラム内の最下段の商品を前コラムの最下段の商品の下に押出す後コラム用プッシャとが同期して前進する第1のステップと、前コラム用プッシャと後コラム用プッシャが最前端まで移動した後、後コラム用プッシャが後側に傾倒することを含み、当該後コラム用プッシャと前コラム用プッシャとが、それぞれ前コラム及び後コラムの最下段の商品の下側を後退する第2のステップと、前コラム用プッシャが最後端近傍まで後退したとき、前コラム用プッシャと一体に移動する押戻し部材が後コラムの最下段の商品を後退させ、前コラム用プッシャの起立用空間を形成する第3のステップと、前コラム用プッシャが 初期位置に上動復帰し、前コラム用プッシャが1回の商品押出しを行なう間、後コラム用プッシヤが後コラム商品の押出しを休止する第4のステップと、前コラム用プッシャと後コラム用プッシャが同期して前進し、前コラムと後コラムの商品を前方に押出す第5のステップとからなることを特徴とする。
【0021】
【作用】本発明の構成によると、前コラムと後コラムの各商品は交互に、前コラム用プッシャと後コラム用プッシャにより排出口に押し出され、商品が商品を押出すことがない。また、後コラム用プッシャは商品を後コラムから前コラムに押出した後、その位置で下降するので、後コラムの商品と非圧接の状態で下降でき、当該後コラムの商品との圧接摩擦で下降しないという状態が生じない。
【0022】また、前コラム用プッシャと一体移動する押し戻し部材により、後コラムの最下段の商品が押し戻されることで空間が形成され、この空間を介して前コラム用プッシャが円滑に初期位置に起立復帰できる。
【0023】
【実施例】以下本発明の実施例を図を参照して説明する。
【0024】図1は実施例に係る自動販売機の商品押出し装置の平面図、図2は図1の第1ナピアネジと前コラムの商品押出し用プッシャとの係合関係を示す側面図、図3は図1の第2ナピアネジと後コラムの商品押出し用プッシャとの係合関係を示す側面図、図4〜図7は後コラム用プッシャの支持機構と動作を説明する図、図8は第1ナピアネジと第2ナピアネジとの連動歯車機構図である。
【0025】各図において、商品押出し装置の駆動機構部は自動販売機の下部を構成する下部ケース32内に収められている。そして、下部ケース32の上面板32aの上面が商品6の支持面となっており、かつ上面板32aの端縁部付近から前側壁33と後側壁33aが起ち上っており、前後の側壁33,33aの内部が商品収納部34とされている。
【0026】商品収納部34は、前コラム36と後コラム37とに分けられている。また、前側壁33の下部一側に開口が形成され、これが商品6の排出口38とされている。本実施例においてこの排出口38は前コラム36の前端位置に1箇所のみ設けられている。また、前コラム36の商品支持面39は、商品6の高さ(厚さ)よりも小さい高さ範囲で後コラム37の商品支持面39aよりも高く設けられていて、前コラム36と後コラム37との間は緩やかな傾斜面39bで接続されている。
【0027】上面板32aには、商品6の押出し方向に沿って開口32bが形成されており、この開口32bを通って下部ケース32内から前コラム用プッシャ40と後コラム用プッシャ41が商品収納部34に突出している。
【0028】下部ケース32内には略図的に示されるように同一ピッチの正逆ネジ溝を有する第1ナピアネジ42と第2ナピアネジ43が平行に配設されている。前コラム用プッシャ40は第1ナピアネジ42に螺合されたスライダ44に連動連結されて、図2の実線と2点鎖線の間を移動して前コラム36内の商品6を排出口38から押出す。後コラム用プッシャ41は第2ナピアネジ43に螺合されたスライダ45に連動連結されて、図3の実線と2点鎖線の間を移動して後コラム37内の商品6を前コラム36に押出す。
【0029】さらに説明すると、第1ナピアネジ42と第2ナピアネジ43の両端の支軸42a,43aは下部ケース32の両端側壁32cに支持されていて、一方の支軸に歯車46,47が固着されており、各歯車46,47は、下部ケース22の端部の歯車ケース48内に納められた減速歯車機構49(図8に示す)により同期して同一方向に連動回転するように構成されている。この減速歯車機構49には下部ケース32内に設置されたモータ50がその出力歯車50aを介して連動連結されている(詳細は後述する)。
【0030】前コラム用プッシャ40は、略「鉤」状に曲げられていて、その基端部が第1ナピアネジ42のスライダ44から突出する軸受部材44aに支持された支軸52を介して当該スライダ44に枢支されている。また前コラム用プッシャ40には、支軸52に巻回されたバネ53により、この支軸52を中心として図2において反時計方向の弱い回転力が付勢されている。
【0031】さらに、前コラム用プッシャ40を支持するスライダ44には、当該前コラム用プッシャ40の商品押出し方向に対して後側に、側面から見て略階段状の押戻し部材35が設けられている。この押戻し部材35は水平部35aの先端から垂直に立上っており、その高さは、図2に示されるように前コラム36の商品支持面39よりも低い位置にあり、かつ後コラム37の商品支持面39aよりも高く設けられている。また、バネ付勢された前コラム用プッシャー40は、その先端部が垂直に位置したときは、プッシャ中間の傾斜部が押戻し部材35の下端と係止して、垂直位置よりも後側、つまり反時計方向に回転するのが制止される構成となっている。
【0032】上記の構成によると、第1ナピアネジ42が回転し、前コラム用プッシャ40が図2の実線の位置から右方向に前進移動するとき、プッシャ40の垂直部が前コラム36内の商品6の後部を押して排出口38から押出す。このとき前コラム用プッシャ40は押戻し部材35と係合しているので、後に倒れないで商品6を押出すことができる。
【0033】前コラム用プッシャ40が商品6の押出し終了の位置(図2の右側2点鎖線位置)まで移動したとき、このプッシャ40と一体のスライダ44の係合部が第1ナピアネジ42の左右旋回のネジ溝の一方から他方の溝に移り変わり、Uターンしてスライダ44が後退(図2で左方向)移動する。このとき、前コラム用プッシャ40は、前コラム36内の最下段の商品6の下面に当ってバネ53に抗して支軸52を中心に図2において時計方向に回転して倒れ、プッシャ先端が商品6の下側に逃れて2点鎖線状態となってスムーズに後退することができる。
【0034】前コラム用プッシャ40が後退し、その先端が商品6の下部後端から外れることにより、バネ53の力で前コラム用プッシャ40は反時計方向に回動して起き上り、再び前コラム36内の商品6を押出す初期位置の姿勢に復帰できる。
【0035】また、このとき、スライダ44に設けられている押戻し部材35が、前コラム36の商品支持面39の下を後退した後、傾斜面39bの位置で開口32bから上方に突出し、さらに後退するときは、後コラム37の商品支持面39aよりも高い位置にある。したがって、この押戻し部材35が後コラム37内の最下段の商品6と係合して、この商品6を定位置より少し後退させる。それにより、前コラム36と後コラム37内に殆ど接した状態で積載されているコラム内の商品列の最下段の商品の間に間隙75が形成され、この間隙75を介して前コラム用プッシャ40は円滑かつ確実に初期位置に上動復帰できる。
【0036】また、前コラム用プッシャ40が所定の位置に後退した後、第1ナピアネジ42が連続回転するときはスライダ44の係合部は左右旋回の一方のネジ溝から他方のネジ溝に移り、再び前進移動できる。
【0037】次に後コラム用プッシャ41について説明する。後コラム用プッシャ41は第2ナピアネジ43に螺合するスライダ45に、支軸64で回動可能に枢支されていて、後コラム37内に下方から出没自在に設けられている。
【0038】図3〜図7によってさらに説明すると、スライダ45の上部本体45aには第2ナピアネジ43が螺合するナット孔(図示せず)が形成されている。スライダ45の上部本体45aと一体に下部支持部45bが設けられている。このスライダ45の上部に後コラム用プッシャ41が枢支される。すなわち、後コラム用プッシャ41の下端から水平部41aが伸びており、この水平部41aの基端が支軸64を介してスライダ45の上部に回動自在に枢支されている。なお、後コラム用プッシャ41は図示しないバネによって支軸64を中心とする右旋回習性が与えられている。
【0039】したがって、後コラム用プッシャ41は、図4〜図6に示されるように起立状態から、図7に示される下降した状態に回動して傾倒することができる。
【0040】後コラム用プッシャ41が傾倒した状態から起立状態に回動復帰する機構と、後コラム用プッシャ41を起立状態に保持するロック機構及び、ロックを解除する操作機構を次に説明する。
【0041】後コラム用プッシャ41を図示しないバネの牽引力に抗して持上げるのはレバー62である。このレバー62の基端が支軸63を介してスライダ45に枢支されている。レバー62の先端には長孔66が開設されていて、この長孔66に連結軸65が遊嵌されている。そして、この連結軸65に押上げ部材55の下部が枢支されている。押上げ部材55の上部は、後コラム用プッシャ41の水平部41aの側面に一体に設けられている。なお、レバー62はバネ60によって左旋回習性が与えられている。
【0042】レバー62の側面で、かつ支軸63の斜め上方の位置に係合部67が突出している。この係合部67は、スライダ45が第2ナピアネジ43に沿って所定位置まで後退したとき、図1と図5に示されるように下部ケース32の内側壁に設けられた係合片68と係合し、スライダ45がさらに後退することにより、レバー62が図6で時計方向に回動する。それによりレバー62の長孔66に嵌合した連結軸65及び、この連結軸65と一体の押上げ部材55を介して後コラム用プッシャ41の水平部41aがバネ60の索引力に抗して押し上げられ、当該後コラム用プッシャ41が図3に示されるように商品支持面39aから突出する。
【0043】レバー62の先端には下向きのバネ力が作用しているので、スライダ45が前進し、係合部67が係合片68から離れるとレバー62と一体の後コラム用プッシャ41にも下向きの力が作用するが、スライダ45の側部には、後コラム用プッシャ41の下動を許容し、又はこれと反対に下動を阻止するロック機構70が設けられている。このロック機構70は、スライダ45の上部本体45aに支軸74により枢支されている揺動レバー71と、後コラム用プッシャ41の水平部41aの側部に設けられた係合突起78とにより構成される。この揺動レバー71の支軸74には、当該揺動レバー71を図3と図4〜図7で時計方向に付勢するバネ77が嵌挿されていて、それにより、揺動レバー71の係合端面71bが後コラム用プッシャ41の係合突起78と係合し、この係合縁71が係合突起78の下動を阻止することで、後コラム用プッシャ41の下動が阻止され、当該後コラム用プッシャ41が起立した状態にロックされる。
【0044】つぎに、図1、図3に示されるように、下部ケース32の内側壁には、ロック解除突起69が設けられている。このロック解除突起69は、スライダ45が最前端まで移動したとき、揺動レバー71の突出片71cと係合し、この揺動レバー71を支軸74を中心に図3において反時計方向に回動させるもので、それにより係合端面71bが係合突起78から外れる(ロック解除)。
【0045】それにより、バネ60の牽引力で後コラム用プッシャ41は図3の2点鎖線の位置に下降する。そして、第2ナピアネジ43の回転に伴ってスライダ45が後退するとき、後コラム用プッシャ41はスライダ45と一体に後コラム37内の最下段の商品6の下側を通って後退(左移動)する。
【0046】また、下部ケース32の内側壁には、後コラム用プッシャ41が所定の位置に後退したとき作動するロック操作手段83が設けられている。このロック操作手段83は、下部ケース32の内側壁に支軸87で枢支された略円板状の回転板85を主たる構成部品とし、これと他の部品を組合わせて構成される。この回転板85には、それぞれ溝の深さを大小異ならしめて半径方向に設けられた複数のガイド溝86aとストッパ溝86bが一定の角度で交互に設けられている。
【0047】図4〜図7によってさらに説明すると、回転板85のガイド溝86aとストッパ溝86bには、それぞれ異なる方向からストッパバネ板88と送りバネ板89が係脱自在に係合している。送りバネ板89がスライダ45と一体に後退(図4において左移動)するとき、バネ段部89aが上記ガイド溝86aとストッパ溝86bのいずれかに交互係合し、回転板85をガイド溝86aとストッパ溝86bの配設角度(つまり、図示例では60°)だけ時計方向に間欠回転させながら通過する。
【0048】ストッパバネ板88は、上記回転板85の図5で反時計方向の回転を阻止する。つまり、スライダ45と一体に送りバネ板89が最後端まで後退し、再び前進するとき、この送りバネ板89により回転板85には反時計方向の回転力が作用するが、このときストッパバネ板88のバネ段部88aがガイド溝86a又はストッパ溝86bのいずれかと係合し、回転板85の反時計方向の回転を阻止する。それにより上記送りバネ板89は、その弾性で下方に撓み、ガイド溝86a又はストッパ溝86bから脱出し、回転板85の外周面をスライドして前方に移動できる。
【0049】さらに、送りバネ板89が図3に示される位置(最後端)まで後退したとき、揺動レバー71の下端に設けられた係合片71aが図5に示されるガイド溝86a又は図7に示されるストッパ溝86bに嵌合する。
【0050】係合片71aが溝の深いガイド溝86aに嵌合するときは、揺動レバー71は図6に示される位置に回動された状態に保持される。このとき、揺動レバー71の係合端縁71bは後コラム用プッシャ41の係合突起78に係合した(つまり、ロックされた)状態であり、したがって、後コラム用プッシャ41は下降しない。
【0051】これに対し、係合片71が図7に示されるように溝の浅いストッパ溝86bに係合してスライダ45が最後端まで後退するとき、揺動レバー71は支軸74を中心としてバネ77の索引力に抗して図で反時計方向に揺動する。それにより揺動レバー71の係合端面71bが後コラム用プッシャ41の係合突起78から外れ、当該後コラム用プッシャ41はバネ力で下降する。
【0052】上記図4〜図7に示される後コラム用プッシャ41の動作をまとめると次のようになる。まず、スライダ45が第2ナピアネジ43に沿って最後端まで後退したとき、レバー62に設けられた係合部67が係合片68に係合し、当該レバー62は支軸63を中心に先端が持上る方向に回動し、押上げ部材55を介して後コラム用プッシャ41は必ず1回の持上り動作を行なう。そして、第2ナピアネジ43の連続回転に伴ってスライダ45が再び前進し、係合部67が係合片68から離れると同時に後コラム用プッシャ41は第1バネ60のバネ力で下降しようとする。
【0053】このとき、図5に示されるように揺動レバー71の係合片71aが回転板85のガイド溝86aに嵌合しているときは、当該揺動レバー71はバネ77の力で同図のように右に回動して係合端面71bが係合突起78と係合する位置関係にあるので、後コラム用プッシャ41の下降が阻止される(これがロック状態である)。したがって、このときは後コラム用プッシャ41は持上ったまま前進し、後コラム37内の最下段の商品6を押出し、前コラム36の最下段の商品6の下にもぐり込ませる。
【0054】一方、図7に示されるように係合片71aが回転板85のストッパ溝86bに嵌合しているときは、揺動レバー71は同図のように左に回動していて、係合端面71bが係合突起78と外れているので、当該後コラム用プッシャ41はバネの力で下動する。したがって、このときは後コラム用プッシャ41は最下段の商品6を押出さず、この商品6の下側を通って前進する。
【0055】こうして、後コラム用プッシャ41のスライダ45が一回後退し、再び前進するとき、回転板85が60°間欠回転すると共に、この回転板85に交互に設けられたガイド溝86aとストッパ溝86bの溝深さが大小異なっていることにより、後コラム用プッシャ41は後退(及び上動)−前進(及び下降)−後退(及び上動)−前進(及び下降)の2サイクル動作において、第1サイクル動作では後コラム37の商品6を前コラム36に押出し、第2サイクル動作では商品6の押出しを休む。
【0056】上記動作の繰返しにより、前コラム用プッシャ40と後コラム用プッシャ41は同期して前後往復移動しながら、前コラム用プッシャ40の2回の押出し動作に対して、後コラム用プッシャ41が1回の押出し動作を行なう。よって、商品収納部34を全体でみた場合、前コラム36内の商品6と後コラム37の商品6を交互に排出口7に押出すことができる。
【0057】ところで、後コラム用プッシャ41はスライダ45と一体に水平移動しながら上下動するものであるから、本実施例のように後コラム用プッシャ41を支軸64で枢支して、この後コラム用プッシャ41の上端が円の中心、つまり支軸64よりも高い位置で円弧を描いて上下動するようにスライダ45に支持させる支持機構であると、後コラム用プッシャ41をスライダ45の進行方向と直交する方向に直線上下動させる支持機構(特願平5−104692号、特願平6−20502号に開示)に比べて、当該後コラム用プッシャ41が上下動する間に当該後コラム用プッシャ41が水平(後退)移動する距離を少なく設定できる。したがって、図3に示される後コラム用プッシャ41と商品6の後端との間隔Gをより小さくでき、自販機をより薄型化できる。
【0058】次に、図8に示すように、下部ケース32の一端に設けられたギヤボックス48内において、第1,第2ナピアネジ42,43の軸端に設けられた歯車46,47は中間歯車73と噛合している。第2ナピアネジ43の歯車47には複数の減速歯車機構49を介してモータ50の出力歯車50aが連動しており、このモータ50により第1,第2ナピアネジ43,43は同一方向に同一スピードで回転できる。
【0059】本実施例の駆動機構によると、上記のように第1,第2ナピアネジ42,43の連続回転で、各スライダ44,45が往復移動し、それに伴ない前コラム用プッシャ40と後コラム用プッシャ41は、前コラム36内の商品6と後コラム37内の商品6を前方に押出し、その後各コラムの商品6の下側を通って後退し、再び最初の押出し位置に上動復帰する動作を繰返す。また、第1,第2ナピアネジ42,43のネジ溝のそれぞれの旋回ピッチは同一ピッチに設けられていて、前コラム用プッシャ40および、後コラム用プッシャ41は同期して前後に往復移動し、このとき両プッシャに次に述べるシーケンス動作を行なわせることができる。
【0060】図9,図10,図11は実施例に係る商品押出し装置のシーケンスを示す図である。[0]は前コラム用プッシャ40と後コラム用プッシャ41の待機位置を示し、[1],[2],[3]において前コラム用プッシャ40と後コラム用プッシャ41が同期して前進し、商品6を押出す。[4],[5],[6]において、前コラム用プッシャ40と後コラム用プッシャ41が下降し、それぞれ商品6の下側を通って後退する。またこのとき、押戻し部材35が後コラム37内の最下段の商品6を少し後退させ、前コラムと後コラムの商品6の間に隙間75を作り、[7]において前コラム用プッシャ40はこの隙間75を介してスムーズに持上がることができる。一方、後コラム用プッシャ41は下降したままである。以上で1回の押出し動作が終了する。
【0061】次回の押出し動作は、この[7]の状態からスタートし、または2個以上を連続で押出す場合には連続して動作し、[10]で商品6を送り出す。このとき、後コラム用プッシャ41は商品6の下側を通って前進移動している。つづいて、[11]において前コラム用プッシャ40は下降し、[12]において、前コラム用プッシャ40と後コラム用プッシャ41は同期して後退する。
【0062】[13]において前コラム用プッシャ40と後コラム用プッシャ41は同時に上動し、初期位置に復帰する。
【0063】つまり、本実施例では、後コラム用プッシャ41が1回の商品押出し動作を行なうとき、前コラム用プッシャ40が2回の商品押出し動作を行ない、それにより前コラム36と後コラム37の各商品6を交互に排出口38に押出し可能となっている。
【0064】なお、本発明は実施例に限定されず、適宜構成を変更して適わない。例えば、後コラム用プッシャ41を前コラム用プッシャ42と同じ回転構造とし、これにロック作動機構とロック解除機構を組合わせることができる。また、第1,第2ナピアネジ42,43に代えて回転速度が適宜に設定された正逆回転ネジを使用することもできる。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると複数コラムを有する商品収納部に収納された商品を、1つの商品排出部から押出すことにより、従来の複数シュータを1つにできて商品収納スペースは十分大きくとり、なおかつ自動販売機の奥行きを少なくし、薄型化することができる。しかも複数コラムの各商品は個別プッシャーで押出されるから、商品が商品を押出すことがなく、商品が傷つかないという効果がある。
【0066】また、本発明によると、前コラム用プッシャの商品押出し動作回数を、後コラム用プッシャの商品押出し動作回数の2倍とすることで、前後各コラム内の商品を均等に排出口から排出でき、商品収納部内のバランスが保たれて構成上好ましい。また、前コラム用プッシャの側に設けられた押戻し部材で後コラム内の商品が定位置から後退し、前後各コラム内の最下段の商品の間に空間が形成されるので、この空間を介して前コラム用プッシャを商品押出し時の初期位置にスムーズに復帰させることができ、商品押出し動作が確実かつ円滑となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係る商品押出し装置の前コラムの各プッシャの駆動機構の平面図である。
【図2】前コラム用プッシャの駆動機構部を示す側面図である。
【図3】後コラム用プッシャ第1動作時の駆動機構部を示す側面説明図である。
【図4】後コラム用プッシャの駆動機構部の詳細図である。
【図5】後コラム用プッシャの駆動機構部の詳細図である。
【図6】後コラム用プッシャの駆動機構部の詳細図である。
【図7】後コラム用プッシャの駆動機構部の詳細図である。
【図8】第1、第2のナピアネジの駆動歯車機構の説明図である。
【図9】商品押出し過程のシーケンスを示す図である。
【図10】商品押出し過程のシーケンスを示す図である。
【図11】商品押出し過程のシーケンスを示す図である。
【図12】第1従来例の商品押出し装置の第1動作時の説明図である。
【図13】同じく第2動作時の説明図である。
【図14】同じく第3動作時の説明図である。
【図15】第1従来例の駆動装置の斜視図である。
【図16】第2従来例の説明図である。
【符号の説明】
6…商品、31…下部ケース、34…商品収納部、35…押戻し部材、36…前コラム、37…後コラム、38…排出口、40…前コラム用プッシャ、41…後コラム用プッシャ、42…第1ナビアネジ、43…第2ナピアネジ、44…スライダー、45…スライダ、46,47…歯車、49…減速歯車機構、50…モータ、51…軸受筒、56…レバー、60…第1バネ、62…レバー、67…作用ピン、68…係合片、70…ロック、71…揺動レバー、77…第2バネ、83…ロック操作手段、85…回転板、86a…ガイド溝、86b…ストッパ溝、90…係合ピン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 商品収納部に前コラムと後コラムを有し、両コラム内に積載された商品を最下段の商品から1個ずつ前コラム、後コラムの順に排出口に押出す自動販売機の商品押出し装置において、前コラムの最下段の商品を前記排出口に押出す前コラム用プッシャ及び、後コラムの最下段の商品を前コラムの最下段の商品の下側に送り出す後コラム用プッシャとからなる商品の押し出し手段と、前コラムと後コラムの各プッシャを前後移動させ、かつ後コラム用プッシャを少なくともその押出し方向最前端において下降自在に枢支する支持機構を含み、前後各コラム用プッシャを各コラムの最下段の商品の下側を後退移動自在に支持する往復移動手段と、を備えてなる自動販売機の商品押出し装置。
【請求項2】 前記往復移動手段は、外周にねじ溝を有する第1の駆動軸と第2の駆動軸及び、この第1と第2の駆動軸にそれぞれ螺合されたスライダとからなり、前コラム用プッシャ及び後コラム用プッシャは前記各スライダに枢支されている請求項1記載の自動販売機の商品押出し装置。
【請求項3】 後コラム用プッシャの下端から水平部が伸びており、この水平部が前記スライダに枢支されると共に、前記スライダに設けられ、前記水平部の下動を阻止するロック手段と、後コラム用プッシャが最前端に移動したとき、前記ロック手段のロックを解除するロック解除手段と、後コラム用プッシャが最後端近傍に移動したとき、当該後コラム用プッシャを持上げる持上げ手段と、後コラム用プッシャが最後端に移動したとき、1回おきに前記ロック手段のロックを解除するロック操作手段とを備えてなる請求項2記載の自動販売機の商品押出し装置。
【請求項4】 前コラムの商品支持面が段差部を介して後コラムの商品支持面よりも高く設けられると共に、前コラム用プッシャのスライダに、前コラムの商品の下側を移動し、かつ前記段差部の開口を介して後退する押戻し部材が設けられ、この押戻し部材が、後コラムの最下段の商品を押し戻すことを特徴とする請求項2記載の自動販売機の商品押出し装置。
【請求項5】 商品収納部に前コラムと後コラムを有し、各コラム内に積載された商品を最下段の商品から1個ずつ前コラム、後コラムの順に排出口に押出す自動販売機の商品押出し方法において、第1の駆動軸の回転により、当該駆動軸に沿って前進移動するスライダに支持されて、前コラム内の最下段の商品を排出口に押出す前コラム用プッシャと、第2の駆動軸の回転により、当該駆動軸に沿って前進移動するスライダに支持されて、後コラム内の最下段の商品を前コラムの最下段の商品の下に押出す後コラム用プッシャとが同期して前進する第1のステップと、前コラム用プッシャと後コラム用プッシャが押出し方向最前端まで移動した後、後コラム用プッシャが後側に傾倒することを含み、当該後コラム用プッシャと前コラム用プッシャとが、それぞれ前コラム及び後コラムの最下段の商品の下側を後退する第2のステップと、前コラム用プッシャが最後端近傍まで後退したとき、前コラム用プッシャと一体に移動する押戻し部材が後コラムの最下段の商品を後退させ、前コラム用プッシャの起立用空間を形成する第3のステップと、前コラム用プッシャが 初期位置に上動復帰し、前コラム用プッシャが1回の商品押出しを行なう間、後コラム用プッシヤが後コラム商品の押出しを休止する第4のステップと、前コラム用プッシャと後コラム用プッシャが同期して前進し、前コラムと後コラムの商品を前方に押出す第5のステップとからなる、ことを特徴とする自動販売機の商品押出し方法。
【請求項1】 商品収納部に前コラムと後コラムを有し、両コラム内に積載された商品を最下段の商品から1個ずつ前コラム、後コラムの順に排出口に押出す自動販売機の商品押出し装置において、前コラムの最下段の商品を前記排出口に押出す前コラム用プッシャ及び、後コラムの最下段の商品を前コラムの最下段の商品の下側に送り出す後コラム用プッシャとからなる商品の押し出し手段と、前コラムと後コラムの各プッシャを前後移動させ、かつ後コラム用プッシャを少なくともその押出し方向最前端において下降自在に枢支する支持機構を含み、前後各コラム用プッシャを各コラムの最下段の商品の下側を後退移動自在に支持する往復移動手段と、を備えてなる自動販売機の商品押出し装置。
【請求項2】 前記往復移動手段は、外周にねじ溝を有する第1の駆動軸と第2の駆動軸及び、この第1と第2の駆動軸にそれぞれ螺合されたスライダとからなり、前コラム用プッシャ及び後コラム用プッシャは前記各スライダに枢支されている請求項1記載の自動販売機の商品押出し装置。
【請求項3】 後コラム用プッシャの下端から水平部が伸びており、この水平部が前記スライダに枢支されると共に、前記スライダに設けられ、前記水平部の下動を阻止するロック手段と、後コラム用プッシャが最前端に移動したとき、前記ロック手段のロックを解除するロック解除手段と、後コラム用プッシャが最後端近傍に移動したとき、当該後コラム用プッシャを持上げる持上げ手段と、後コラム用プッシャが最後端に移動したとき、1回おきに前記ロック手段のロックを解除するロック操作手段とを備えてなる請求項2記載の自動販売機の商品押出し装置。
【請求項4】 前コラムの商品支持面が段差部を介して後コラムの商品支持面よりも高く設けられると共に、前コラム用プッシャのスライダに、前コラムの商品の下側を移動し、かつ前記段差部の開口を介して後退する押戻し部材が設けられ、この押戻し部材が、後コラムの最下段の商品を押し戻すことを特徴とする請求項2記載の自動販売機の商品押出し装置。
【請求項5】 商品収納部に前コラムと後コラムを有し、各コラム内に積載された商品を最下段の商品から1個ずつ前コラム、後コラムの順に排出口に押出す自動販売機の商品押出し方法において、第1の駆動軸の回転により、当該駆動軸に沿って前進移動するスライダに支持されて、前コラム内の最下段の商品を排出口に押出す前コラム用プッシャと、第2の駆動軸の回転により、当該駆動軸に沿って前進移動するスライダに支持されて、後コラム内の最下段の商品を前コラムの最下段の商品の下に押出す後コラム用プッシャとが同期して前進する第1のステップと、前コラム用プッシャと後コラム用プッシャが押出し方向最前端まで移動した後、後コラム用プッシャが後側に傾倒することを含み、当該後コラム用プッシャと前コラム用プッシャとが、それぞれ前コラム及び後コラムの最下段の商品の下側を後退する第2のステップと、前コラム用プッシャが最後端近傍まで後退したとき、前コラム用プッシャと一体に移動する押戻し部材が後コラムの最下段の商品を後退させ、前コラム用プッシャの起立用空間を形成する第3のステップと、前コラム用プッシャが 初期位置に上動復帰し、前コラム用プッシャが1回の商品押出しを行なう間、後コラム用プッシヤが後コラム商品の押出しを休止する第4のステップと、前コラム用プッシャと後コラム用プッシャが同期して前進し、前コラムと後コラムの商品を前方に押出す第5のステップとからなる、ことを特徴とする自動販売機の商品押出し方法。
【図2】
【図12】
【図1】
【図3】
【図8】
【図13】
【図14】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図15】
【図9】
【図10】
【図11】
【図16】
【図12】
【図1】
【図3】
【図8】
【図13】
【図14】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図15】
【図9】
【図10】
【図11】
【図16】
【公開番号】特開平7−296244
【公開日】平成7年(1995)11月10日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−91513
【出願日】平成6年(1994)4月28日
【出願人】(000001225)株式会社コパル (755)
【公開日】平成7年(1995)11月10日
【国際特許分類】
【出願日】平成6年(1994)4月28日
【出願人】(000001225)株式会社コパル (755)
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