説明

自動販売機

【課題】本発明の課題は、適正収納数を維持するとともに、古い商品は販売前にあらかじめ搬出することのできる自動販売機を提供することにある。
【解決手段】商品収納コラムの満杯収納数が設定され、商品補充時には満杯補充するようにした自動販売機において、満杯収納数未満で収納商品の適正収納数を設定する設定手段と、前記適正収納数が設定されている商品収納コラムについては、商品補充時に満杯補充した後、設定された適正収納数となるまで商品を搬出するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品選択が行われる毎に先に投入した商品から順に搬出する自動販売機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、経過日数が販売期限と同じになった日までの実販売数を、次回の商品補充時の適正収納数として記憶し、表示できるようにして、補充する場合にこの適正収納数に基づいて、商品を補充して、賞味期限切れ商品の発生を出来るだけ無くすようにした自動販売機が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−69184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来の方式では、売り切れになっていない状態で商品を補充すると、自動販売機は先入れ先出し方式のため、基本的には、搬出機構に近くに収納されている商品を先に販売することになり、この商品は、賞味期限が短い商品ということになる。
【0005】
ここで、商品の売れ行きが悪い状態が続くと古い商品が賞味期限切れとなる可能性があり、問題となっていた。
そこで、本発明は、適正収納数を維持するとともに、古い商品は販売前にあらかじめ搬出することが可能な自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の自動販売機は、商品収納コラムの満杯収納数が設定され、商品補充時には満杯補充するようにした自動販売機において、満杯収納数未満で収納商品の適正収納数を設定する設定手段と、前記適正収納数が設定されている商品収納コラムについては、商品補充時に満杯補充した後、設定された適正収納数となるまで商品を搬出することを特徴とする。
【0007】
また、適正補充数は、過去の販売実績に基づき、設定されることを特徴とする。
さらに、補充前に適正収納数を確認し、現収納数が過去の販売実績に基づく適正収納数以上の場合には、現適正収納数となるまで商品を搬出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、満杯収納数未満で収納商品の適正収納数を設定可能し、適正収納数が設定されているコラムについては、満杯補充後、設定された適正収納数となるまで商品を搬出することにより、あらかじめ古い商品を搬出することで、古い在庫を少なくすることが可能となり、利用者に提供する商品をできるだけ常に新しい商品となるという効果が得られる。
【0009】
また、補充前であっても、現収納数が過去の販売実績に基づく適正収納数以上の場合には、現適正収納数となるまで商品を搬出することで、無駄な補充作業を省くことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態を示す構成ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態である自動販売機を示す正面図である。
【図3】本発明の一実施の形態の設定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態を以下に図1ないし図3に基づいて説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
図2は、本発明の実施の対象となる自動販売機の概略正面図の一例を示すものであり、自動販売機20は、前面が開口した直方状の断熱筐体として形成した本体キャビネットを備えてなる。この自動販売機20の本体キャビネットの内部は、図示しないが、以下のように構成されている。
【0012】
内部には、複数のコラムを左右、前後に並設し、各コラムには、同一種類の商品が上下方向に沿って収納してある。
このコラムの下方部には、商品搬出装置が設けてあり、商品搬出装置は、搬出指令が与えられた場合に、対応するコラムに収納された商品群のうち最下段にあるものを一つずつ搬出し、搬出された商品は、商品シュータを転動した後に、後述する商品取出口29に搬出される。
【0013】
前記自動販売機20は、本体キャビネットの一側縁部に片開き式の外扉21が設けてあり、外扉21は本体キャビネットの前面開口を開閉するものである。
外扉21は、その前面側に、商品見本展示室22、商品選択ボタン23、硬貨投入口24、紙幣挿入口25、金額表示器26、返却レバー27、硬貨返却口28、商品取出口29が設けてある。
【0014】
商品見本展示室22は、透明なパネルで構成されており、内部に商品見本22aが設けてある。
商品選択ボタン23は、利用者が購入商品を選択するための押ボタンスイッチであり、商品見本22aと1対1で対応する。
【0015】
硬貨投入口24は、利用者が硬貨を投入するための開口である。この硬貨投入口24を通じて投入された硬貨は、後述する硬貨識別機14においてその金種が識別された後、金種別の釣銭筒に収容され、釣銭筒が満杯の場合には図示しない硬貨回収箱に収容されることになる。
【0016】
紙幣挿入口25は、利用者が紙幣を挿入するための開口である。この紙幣挿入口5を通じて挿入された紙幣は、後述する紙幣識別機15においてその金種が識別されることになる。また、前記紙幣挿入口25は、紙幣識別機15において識別できなかった紙幣を返却するための機能も有している。
【0017】
金額表示器26は、商品の販売価格、貨幣の投入金額等の表示するためのものである。
返却レバー27は、入金後の硬貨若しくは紙幣あるいは商品販売後の残金を強制的に硬貨返却口28もしくは紙幣挿入口25に返却するための返却レバーである。
【0018】
硬貨返却口28は、硬貨識別機において識別できなかった硬貨、あるいは釣銭となる硬貨を利用者に返却するための開口である。
商品取出口29は、搬出装置11aにより搬出されたコラム内の商品を利用者が取り出すための開口である。
【0019】
次に、図1は、本発明の実施の形態1における構成ブロック図を示すものであり、自動販売機全体を制御する主制御部10には、搬出装置11a、冷熱装置11bの制御を行う本体スレーブ11、各種設定を行うリモコン12、金額表示器26、販売可能ランプ23a,売切ランプ23bを内蔵する商品選択ボタン23、硬貨識別機14、紙幣識別機15などが接続してある。
【0020】
この主制御部10には、制御プログラムを格納する電気的に書き換え可能なフラッシュメモリ10a、各種データを格納するRAM10bを備え、自動販売機の基本動作、例えば商品選択、金銭処理、商品搬出および設定集計機能等の各動作の統括的な制御を行うものである。
【0021】
本体スレーブ11は、主制御部10からの指令により搬出装置11aの制御、冷熱装置11bの制御を行うものである。
リモコン12は、操作キーを有し、価格設定などの各種設定、記憶してあるデータなどの確認を行うものであり、本実施形態においては、設定モードにて、各コラムの満杯収納数並びに適正収納数を設定して、RAM10bに記憶するとともに払出操作により商品を払出し可能とするものである。
【0022】
この構成において、リモコン12を操作して、満杯収納数を「20」本、適正収納数を「10」本としてあらかじめ設定し、RAM10bに記憶し、売れ行きに応じて、満杯収納数を選択するか、適正収納数を選択するかあらかじめ設定しておくものである。
【0023】
図3のフローチャートを用い、商品補充時の操作について説明すると、外扉21を開放して(ステップS01)、リモコン12を操作して在庫数あるいは売上数を確認する(ステップS02)。
【0024】
次に、商品を満杯補充して、補充作業を行う。
次に、補充作業が終わり、リモコン12を操作して補充完了を操作すると(ステップS03)、各コラムの設定状態について、満杯収納数設定されているか適正収納数設定されているかを判断し(ステップS04)、適正収納数が設定されているコラムについては、「満杯収納数−適正収納数」の演算を行い、搬出本数を求め(ステップS05)、該当コラムに対応する商品選択ボタン23の販売可能ランプ23aを点滅させる(ステップS06)。
【0025】
次に、販売可能ランプ23aが点滅している商品選択ボタン23を操作すると(ステップS07)、主制御部から本体スレーブに搬出指令を出力し、本体スレーブ11では該当する搬出装置11aを駆動して10本の商品を搬出し(ステップS08)、適正収納数となった時点で販売可能ランプ23aが消灯する(ステップS09)。最後に、外扉を閉じて作業を完了する(ステップS10)。
【0026】
このように、商品補充時には、補充本数を気にせずに満杯まで補充し、その後、「満杯収納数−適正収納数」の演算を行うことで、庫内に滞留時間の長い商品を搬出させ、庫内にはできるだけ新しい商品を収納することが可能となる。
【0027】
なお、商品搬出に関し、1回の商品選択ボタン23の操作で連続して商品を搬出するか、1回操作につき、1個ずつ商品を搬出するかは適宜設定してもよい。
また、この場合、金額表示器26を利用して搬出本数を表示するようして、1本搬出毎に減算表示してもよい。
【0028】
なお、上記実施形態の変形例としては、過去の販売実績に基づいて販売数を予測することで、適正収納数を自動的に変更可能とする。このことにより、作業員が補充作業前に適正収納数を確認し、適正収納数が前回より少なくなった場合、搬出操作をすると、現在の商品収納数と新たな適正収納数とを対比して、「現在の商品収納数>新たな適正収納数」の関係となった場合には、新たな適正収納数となるまで商品の搬出を行えばよく、コラムに商品を補充する必要が無い。
【0029】
また、「現在の商品収納数<新たな適正収納数」の関係となった場合には、上記実施形態同様に満杯補充を行い、新たな適正収納数となるまで商品を搬出するようにすれば良い。
【0030】
また、各商品選択ボタン23に対応して、LCD等のデジタル式価格表示器を備えている自動販売機においては、搬出本数あるいは適正収納数などの各種表示をそのデジタル式価格表示器にて行うことが可能となる。例えば、搬出本数の場合には、商品搬出毎にカウントダウン表示するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0031】
10 主制御部
10a フラッシュメモリ
10b RAM
11 本体スレーブ
11a 搬出装置
12 リモコン
20 本体キャビネット
21 外扉
23 商品選択ボタン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品収納コラムの満杯収納数が設定され、商品補充時には満杯補充するようにした自動販売機において、満杯収納数未満で収納商品の適正収納数を設定する設定手段と、前記適正収納数が設定されている商品収納コラムについては、商品補充時に満杯補充した後、設定された適正収納数となるまで商品を搬出することを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
請求項1に記載の自動販売機において、適正収納数は、過去の販売実績に基づき変更されることを特徴とする自動販売機。
【請求項3】
請求項2に記載の自動販売機において、補充前に適正収納数を確認し、現収納数が過去の販売実績に基づく適正収納数以上の場合には、現適正収納数となるまで商品を搬出することを特徴とする自動販売機。


【図1】
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【図3】
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【図2】
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