説明

自動販売機

【課題】コストの低減化を図ることができる自動販売機を提供すること。
【解決手段】複数の商品収納コラム31を左右方向に沿って並設して成り、収納室1aに上下方向に沿って複数段設けられた商品ラック30a〜30dを備え、待機状態においてはすべての商品ラック30a〜30dを商品の取り出しを規制する状態にし、販売指令が与えられた場合には指定された段の商品ラック30a〜30dのみ商品の取り出しを許容するラック選択機構60と、常態においては商品収納コラム31から商品が取り出されることを規制し、ラック選択機構60により商品の取り出しを許容された場合に動作して最前の商品のみが取り出されることを許容する取出機構50と、商品ラック30a〜30dが商品の取り出しを許容された場合に、いずれか1つの取出機構50のみが動作することを許容する規制手段70とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を販売する自動販売機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を販売する自動販売機として、商品収納コラムとバケットとを備えたものが知られている。商品収納コラムは、複数の商品を整列した状態で収納するものである。この商品収納コラムは、搬出装置が駆動した場合にはその前端部から商品を1つずつ払い出すものである。かかる自動販売機では、商品ラックに複数の商品収納コラムが左右方向に沿って並設されている。また、この自動販売機では、商品ラックが自動販売機本体の収納室に上下方向に沿って複数段設けられている。
【0003】
バケットは、商品収納コラムから搬出される商品を受け入れるものである。このバケットは、バケット駆動手段により複数の商品ラックの前方域を上下左右に移動可能に設けられている。バケット駆動手段は、バケットを左右方向に沿って移動させることが可能なX軸搬送機構と、このX軸搬送機構を含む上記バケットを上下方向に沿って移動させるY軸搬送機構とを備えている。
【0004】
このような自動販売機においては、利用者が所定額以上の金銭を投入して商品選択ボタンを操作することにより、バケット駆動手段が駆動してバケットを購入希望商品が収納された商品収納コラムの前まで移動させる。そして、商品収納コラムからバケットへの商品の搬出が行われた後、バケットを商品取出口近傍まで移動させる。これにより、利用者は、商品取出口を通じて商品を取り出すことができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−164050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した特許文献1に提案されているような自動販売機では、商品の販売に際しバケット駆動手段を駆動させてバケットを移動させることが必須である。また、かかる自動販売機では、バケットの移動に種々の制御が必要とされている。そのため、このような従来の自動販売機では、部品点数が増大するだけでなく高価なセンサ等も必要としており、コストの増大化を招来していた。
【0007】
そこで、本発明者は、無人で商品を販売するという自動販売機本来の機能を保持させることを前提に、商品販売動作の一部を利用者の操作に委ねることで構造の簡易化を図ることに着目し、本発明を創作するに至った。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みて、コストの低減化を図ることができる自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る自動販売機は、利用者により選択された商品を販売するものである。この自動販売機は、形成された開口が扉体により開閉される自動販売機本体と、この自動販売機本体に複数段設けられた商品ラックとを備えている。商品ラックは、商品が一列に並ぶよう収納された複数の商品収納コラムを並設してなるもので、自動販売機本体に複数段設けられている。また、この自動販売機は、商品収納装置を備えたものである。商品収納装置は、上記商品ラックを有しており、扉体が開移動して開口が開成される場合に利用者が商品の胴体部を持って一つずつ取り出すことを許容するものである。
【0010】
また、本発明の請求項2に係る自動販売機は、上述した請求項1に記載の商品収納装置が、ラック選択機構と、取出機構と、規制手段とを備えたものである。ラック選択機構は、待機状態においてはすべての商品ラックを商品の取り出しを規制する状態にする一方、販売指令が与えられた場合には指定された段の商品ラックのみ商品の取り出しを許容する状態にするものである。取出機構は、商品収納コラム毎に設けられている。この取出機構は、常態においては自身が設けられた商品収納コラムに収納された商品が取り出されることを規制する一方、該商品収納コラムを有する商品ラックがラック選択機構により商品の取り出しを許容された場合には、商品の取出操作に応じて動作して開口に最も近接する商品のみが取り出されることを許容するものである。規制手段は、商品ラック毎に設けられている。この規制手段は、自身が設けられた商品ラックがラック選択機構により商品の取り出しを許容された場合には、いずれか1つの取出機構が動作することを許容し、該商品ラックにおける他の取出機構が動作することを規制するものである。
【0011】
また、本発明の請求項3に係る自動販売機は、上述した請求項1又は上述した請求項2に記載の要素に加えて、プッシャ部材を備えている。プッシャ部材は、商品収納コラム毎に設けられており、商品収納コラムに収納される商品を前方に向けて押圧するものである。
【0012】
また、本発明の請求項4に係る自動販売機は、上述した請求項1〜3のいずれか一つにおける扉体及び自動販売機本体の少なくとも一方に、透明板材により構成される窓部が形成されるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の自動販売機においては、商品収納装置が上記商品ラックを有しており、扉体が開移動して自動販売機本体の開口が開成される場合に、利用者が商品の胴体部を持って一つずつ取り出すことを許容する。これにより、従来の自動販売機のようにバケット駆動手段を用いなくても利用者に希望の商品を購入させることができる。しかも、無人で商品を販売するという自動販売機本来の機能を保持させることができる。また、商品販売動作の一部を利用者の取出操作に委ねることで構造の簡易化を図ることができる。従って、構造の簡易化及び部品点数の削減を行うことでコストの低減化を図ることができるという効果を奏する。また、商品収納装置が、利用者が商品の胴体部を持って一つずつ取り出すことを許容するので、利用者は商品の冷却状態若しくは加温状態を触覚にて確認することができる。更に、商品が柔軟で透明な樹脂によりパックされた食品等である場合、利用者はかかる商品の弾力状態を触覚にて確認でき、商品の新鮮度を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1である自動販売機を示す正面図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態1である自動販売機の制御系を示すブロック図である。
【図3】図3は、図1に示した商品収納装置を示す斜視図であり、一部の構成要素を取り除いた状態で示している。
【図4】図4は、最上段の商品ラックにおける最も右側にある商品収納コラムを前方から見た場合を示す拡大前面図である。
【図5】図5は、図3に示した最上段の商品ラックの周辺構造を示す斜視図である。
【図6】図6は、図5に示した周辺構造の要部を拡大して示す斜視図であり、一部の構成要素を取り除いた状態で示している。
【図7】図7は、図5に示した周辺構造の要部を右側から見た場合を示す側面図である。
【図8】図8は、図6に示した周辺構造の要部を一部抜粋して示す斜視図である。
【図9】図9は、図5に示した周辺構造の要部を上方から見た場合を示す平面図であり、一部の構成要素を取り除いた状態で示している。
【図10】図10は、最上位の切替カム部材を示す平面図である。
【図11】図11は、各切替カム部材を示す平面図である。
【図12】図12は、図6〜図7に示した商品ラックを構成する商品収納コラムを模式的に示すものであり、右側から見た場合を示す説明図である。
【図13】図13は、図3に示した商品収納装置を構成する規制手段を模式的に示す説明図である。
【図14】図14は、図2に示した制御手段が実施する販売制御処理の主な処理内容について示すフローチャートである。
【図15】図15は、第1スライド板が左方に移動した状態を示す斜視図である。
【図16】図16は、最上位の切替カム部材に当接された第1スライド板が左方に移動した状態を示す平面図である。
【図17】図17は、最前の商品が取出操作された状態を示す説明図である。
【図18】図18は、ロック部材が第2ゲート部材の上方に移動した状態を示す斜視図である。
【図19】図19は、ロック部材が第2ゲート部材の上方に移動した状態を示す平面図である。
【図20】図20は、第1スライド板及び第2スライド板が左方に移動した状態を示す斜視図である。
【図21】図21は、第1スライド板及び第2スライド板が左方に移動した状態を抜粋して示す斜視図である。
【図22】図22は、第1スライド板及び第2スライド板が左方に移動した状態を示す平面図である。
【図23】図23は、商品収納コラムに商品を補充する場合について示す説明図である。
【図24】図24は、缶入り飲料の商品を収納する商品収納コラムを模式的に示す説明図である。
【図25】図25は、図24に示した商品収納コラムにおいて最前の商品が取出操作された状態を示す説明図である。
【図26】図26は、本発明の実施の形態1である自動販売機の変形例を示す正面図である。
【図27】図27は、本発明の実施の形態2である自動販売機を示す正面図である。
【図28】図28は、本発明の実施の形態2である自動販売機の制御系を示すブロック図である。
【図29】図29は、各切替カム部材を示す平面図である。
【図30】図30は、図28に示した制御手段が実施する販売制御処理の主な処理内容について示すフローチャートである。
【図31】図31は、本発明の実施の形態3である自動販売機を示す正面図である。
【図32】図32は、本発明の実施の形態3である自動販売機の制御系を示すブロック図である。
【図33】図33は、図32に示した制御手段が実施する販売制御処理の主な処理内容について示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る自動販売機の好適な実施の形態1について詳細に説明する。
【0016】
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1である自動販売機を示す正面図である。図2は、本発明の実施の形態1である自動販売機の制御系を示すブロック図である。ここで例示する自動販売機は、例えば缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を冷却、若しくは加熱した状態で販売するもので、本体キャビネット1が備えられている。
【0017】
本体キャビネット1は、前面に形成された開口が外扉(扉体)2によって開閉される直方体状の筐体である。外扉2は断熱材が適宜用いられて構成されており、断熱ガラス等の透明板材を嵌め込んでなる窓部2aを有している。従って、当該自動販売機は外扉2の窓部2aを介して内部を視認することができるものである。また、外扉2の右端側前面の中央部には把手2bが設けられている。
【0018】
外扉2は、施解錠機構3により開閉移動が規制されるものであり、その開閉状態は扉スイッチ4により検出される。施解錠機構3は、施錠状態においては外扉2が開移動することを規制して本体キャビネット1における前面開口の閉じた状態を保持するものである。また、施解錠機構3は、解錠状態においては外扉2が開閉移動することを許容するものである。扉スイッチ4は、外扉2が本体キャビネット1の前面開口を閉じている場合にオン状態となる。その一方、外扉2が開移動して本体キャビネット1の前面開口を開いている場合には、扉スイッチ4はオフ状態となるものである。
【0019】
上記本体キャビネット1は、内部が上下2つに区画されており、上側が収納室1a、下側が機械室1bとなっている。収納室1aは、その内部を予め設定された温度状態に保持する室であり、該収納室1aを構成する壁部材はそれぞれ断熱材によって構成されている。また、収納室1aには、蒸発器等のような収納室の内部空気を冷却するための手段(図示せず)や、電熱ヒータ等のような収納室の内部空気を加熱するための手段(図示せず)が設けられている。一方、機械室1bには、上記蒸発器とともに冷凍サイクルを構成する冷凍機(図示せず)や各種の制御機器等(図示せず)が設けられている。
【0020】
このような本体キャビネット1の右側面には、入力処理ユニット10が取り付けられている。入力処理ユニット10は、箱状のユニット本体11を備えている。このユニット本体11は、堅牢な構成を有している。ユニット本体11の前面には、硬貨投入口12、表示部13、ラック選択ボタン14等が設けられている。ユニット本体11の内部には、金銭処理装置15が設けられている。
【0021】
硬貨投入口12は、硬貨を投入するための開口である。表示部13は、制御手段100から表示指令が与えられることにより各種の表示を行うものである。この表示部13は、例えば投入された金銭の額(投入金額)や、当該自動販売機が販売可能な状態にある場合に「販売中」である旨の表示を行うものである。
【0022】
ラック選択ボタン14は、複数(図示の例では4つ)あり、上下に並ぶよう設けられた押ボタンである。ラック選択ボタン14は、それぞれが後述する商品収納装置20を構成する商品ラック30a〜30dと関連づけられており、利用者に押下操作されることにより入力信号を制御手段100に与えるものである。
【0023】
金銭処理装置15は、硬貨投入口12を通じて投入された硬貨の真偽と金種とを識別し、金種毎に硬貨を収容する金銭処理を行うものである。この金銭処理装置15は、硬貨投入口12を通じて投入された金額情報を制御手段100に与えるとともに、釣銭の払い出しを行うものである。釣銭の払い出しは、硬貨返却口16を通じて行う。尚、金銭処理装置15は、硬貨投入口12を通じて硬貨が投入された後に利用者により返却レバー17が操作された場合にも、硬貨返却口16を通じて投入された硬貨の払い出しを行うものである。また、金銭処理装置15は、識別できなかった硬貨についても硬貨返却口16を通じて硬貨の払い出しを行うものである。
【0024】
上記本体キャビネット1における収納室1aには商品収納装置20が設けられている。図3は、図1に示した自動販売機の商品収納装置20を示す斜視図であり、一部の構成要素を取り除いた状態で示している。
【0025】
この図3にも示すように、商品収納装置20は、商品ラック30a〜30dと、ラック選択機構60と、取出機構50と、規制手段70とを備えて構成されている。
【0026】
商品ラック30a〜30dは、複数(図示の例では4つ)設けられている。商品ラック30a〜30dは、図示せぬ左右一対のラック支持側板間に架け渡されるよう上下方向に沿って複数段設けられている。本実施の形態1においては、最上段の商品ラック30a及び最上段から2段目の商品ラック30bは、ペットボトル入り飲料の商品を収納するものであって同一の構成を有している。また、最上段から3段目の商品ラック30c及び最下段の商品ラック30dは、缶入り飲料の商品を収納するためのものであって同一の構成を有している。
【0027】
ペットボトル入り飲料の商品を収納する商品ラック(最上段の商品ラック30a及び最上段から2段目の商品ラック30b)は、複数(図示の例では5つ)の商品収納コラム31を左右方向に沿って並設することにより構成されている。これら商品収納コラム31は、それぞれ左右一対のレール部材32を備えて構成されている。左右一対のレール部材32は、前後方向に沿って延在するもので、互いの間に商品収納通路を画成するものである。
【0028】
図4は、最上段の商品ラック30aにおける最も右側にある商品収納コラム31を前方側から見た場合を示す拡大前面図である。尚、図4では最上段の商品ラック30aにおける最も右側における商品収納コラム31について示しているが、最上段の商品ラック30a及び最上段から2段目の商品ラック30bを構成する他の商品収納コラム31も同様の構成を有している。
【0029】
最上段の商品ラック30a及び最上段から2段目の商品ラック30bに収納される商品は、キャップ200aが着脱可能に取り付けられるキャップ取付部200bから胴体部200dまでの間に括れ部分200cを有する容器(ペットボトル)の内部に飲料が封入されたものである。
【0030】
レール部材32は、それぞれ上端部が前後方向に沿って延在する基部321に連結されている。この基部321は、左右方向に沿って延在する前方側水平部材21及び後方側水平部材22に支持されて設けられている。ここで前方側水平部材21及び後方側水平部材22は、上記ラック支持側板間に架け渡されている。
【0031】
このようなレール部材32は、鋼板が適宜屈曲されて構成されたもので、一方が正面から見た場合にL字状をなし、他方が正面から見た場合に逆L字状をなして左右一対となっている。このような左右一対のレール部材32における互いの間隙である商品収納通路の幅は、対象商品(ペットボトル入り飲料)の括れ部分200cの最大幅よりも大きく、かつ該商品のキャップ取付部200bの最大幅よりも小さいものである。
【0032】
従って、前方より商品収納通路に商品の括れ部分200cが挿入されるよう商品が起立した姿勢で投入されると、左右一対のレール部材32における縁端部32aに該商品のキャップ取付部200bの一部が載置する。これにより、レール部材32は、商品のキャップ取付部200bを支持することでこの商品を吊り下げた状態で支持するとともに、この商品を商品収納通路に前後方向に沿って並ぶよう収納させるものである。
【0033】
缶入り飲料の商品を収納する商品ラック(最上段から3段目の商品ラック30c及び最下段の商品ラック30d)は、ペットボトル入り飲料の商品を収納する商品ラック30a,30bと同様に、複数(図示の例では5つ)の商品収納コラム31を左右方向に沿って並設することにより構成されている。これら商品ラック30c,30dに収納される商品は、内部に飲料が封入され、かつ上面及び下面が閉塞された円筒状の形態を成すものである。
【0034】
これら商品収納コラム31は、それぞれ左右一対の案内部材33及び載置部材34を備えて構成されている。案内部材33は、前後方向に沿って延在する左右一対のもので、互いの間に商品収納通路を画成するものである。案内部材33は、それぞれ上端部が前後方向に沿って延在する基部331に連結されている。この基部331は、左右方向に沿って延在する前方側水平部材21及び後方側水平部材22に支持されて設けられている。載置部材34は、案内部材33の下方域において前後方向に沿って延在する左右一対のものである。この載置部材34は、互いに対向する起立片の端部341で商品を載置するものである。このような載置部材34も支持部材(図示せず)を介して上記ラック支持側板に支持されている。また、左右一対の載置部材34の前端部には、互いを連結するよう規制部材34aが設けられている(図1参照)。
【0035】
このような商品収納コラム31においては、前方より商品収納通路に商品が起立した姿勢で投入されると、該商品が載置部材34に載置された状態で商品収納通路に前後方向に並ぶよう収納される。
【0036】
図5は、図3に示した最上段の商品ラック30aの周辺構造を示す斜視図である。図6は、図5に示した周辺構造の要部を拡大して示す斜視図であり、一部の構成要素を取り除いた状態で示している。図7は、図5に示した周辺構造の要部を右側から見た場合を示す側面図である。図8は、図6に示した周辺構造の要部を一部抜粋して示す斜視図である。図9は、図5に示した周辺構造の要部を上方から見た場合を示す平面図であり、一部の構成要素を取り除いた状態で示している。これらの図を必要に応じて用いてラック選択機構60について説明する。
【0037】
ラック選択機構60は、第1スライド板61と、第2スライド板62と、支持ロッド63と、モード検出スイッチ64とを備えて構成されている。
【0038】
第1スライド板61は、各商品ラック30a〜30dにおいてそれぞれの商品収納コラム31の前方側上方域を左右方向に沿って延在するよう設けられている。第1スライド板61は、上下方向に沿って延在するスライド基部61aと、このスライド基部61aの下端より後方に屈曲して延在するスライド底部61bとを有している。
【0039】
そして、このスライド底部61bには、スライド基部61aに形成された切欠に連続する切欠部61b1が複数形成されている。ここで、スライド底部61bに形成される切欠部61b1の数は、商品ラックを構成する商品収納コラム31の数に一致していて5つである。このような第1スライド板61は、第1バネ部材61Sにより常時右方に向けて付勢されており、常態においては基準位置に位置している。
【0040】
第2スライド板62は、各商品ラック30a〜30dにおいてそれぞれの商品収納コラム31の前方側上方域を左右方向に沿って延在するよう設けられている。この第2スライド板62は、第1スライド板61の後方側においてこの第1スライド板61と平行となるように設けられている。この第2スライド板62は、第2バネ部材62Sにより常時右方に向けて付勢されており、常態においては基準位置に位置している。
【0041】
第2スライド板62には、複数の貫通孔621が形成されており、この貫通孔621を貫通するようロック部材622が設けられている。このロック部材622は、後端部がロックバネ部材622Sに連結されており、このロックバネ部材622Sにより右方に向けて付勢されている。また、ロック部材622は、第1スライド板61を跨るように設けられており、前端部が第1スライド板61の前方側に位置している。
【0042】
支持ロッド63は、商品ラック30a〜30dの前方側の右方域において上下に沿って延在する例えば六角柱状の棒状体である。この支持ロッド63の上端部には連結ギヤ631が設けられている。連結ギヤ631は連係ギヤ632を介してモータMの出力ギヤ633に歯合している。ここでモータMは、制御手段100(図2参照)から駆動指令が与えられることにより駆動する駆動源であり、出力ギヤ633を上方から見た場合にこの出力ギヤ633を時計回りに回転させるものである。これにより該出力ギヤ633に連係ギヤ632を介して歯合する連結ギヤ631も上方から見た場合に時計回りに回転することとなり、支持ロッド63も自身の中心軸を中心として時計回りに回転するものである。
【0043】
このような支持ロッド63には複数(例えば4つ)の切替カム部材65が取り付けられている。切替カム部材65は、自身の貫通孔が支持ロッド63に貫通されるよう取り付けられており、それぞれが各商品ラック30a〜30dの高さレベルに対応している。これら各切替カム部材65は、支持ロッド63と一体的に回転するものである。また、切替カム部材65は、支持ロッド63に貫通された状態で該支持ロッド63の延在方向(上下方向)に沿って変位可能であり、各商品ラック30a〜30dの高さレベルに応じて位置を変位させることができる。つまり、切替カム部材65は、各商品ラック30a〜30dの高さレベルに応じて追従することができる。
【0044】
図10に示すように、上記切替カム部材65には、第1突片651と第2突片652と第3突片653とが設けられている。第1突片651は、切替カム部材65の外周面の下方側において径外方向に向けて突出するよう設けられている。この第1突片651は、切替カム部材65の中心軸(支持ロッド63の中心軸)を基準として時計回りに例えば60°にわたって形成されている。
【0045】
第2突片652は、第1突片651の端部より上方に向けて延在するよう形成されている。第3突片653は、第2突片652から中心軸(支持ロッド63の中心軸)を基準として反時計回りに所定角度離隔した個所に設けられており、上下方向に沿って延在するものである。
【0046】
そして、支持ロッド63に取り付けられた各切替カム部材65は、第1突片651及び第2突片652が互いに該支持ロッド63の中心軸回りに所定角度だけ離隔した態様で設けられており、第3突片653は、互いに上下に一致するよう設けられている。
【0047】
ここで各切替カム部材65における第1突片651、第2突片652及び第3突片653の設置例について述べる。尚、ここで示すものは一例であり、本発明はこれに限定されないことはいうまでもない。
【0048】
図11は、各切替カム部材65を上方から見た場合を示す説明図である。この図11の(a)は、最上位の切替カム部材65を示しており、図11の(b)は、最上位から2番目の切替カム部材65を示している。また、図11の(c)は、最上位から3番目の切替カム部材65を示しており、図11の(d)は、最下位の切替カム部材65を示している。
【0049】
最上位から2番目の切替カム部材65においては、第1突片651及び第2突片652が最上位の切替カム部材65の第1突片651及び第2突片652に対して支持ロッド63の中心軸を基準として反時計回りに60°ずれて設けられている。
【0050】
最上位から3番目の切替カム部材65においては、第1突片651及び第2突片652が最上位から2番目の切替カム部材65の第1突片651及び第2突片652に対して支持ロッド63の中心軸を基準として反時計回りに60°ずれて設けられている。
【0051】
最下位の切替カム部材65においては、第1突片651及び第2突片652が最上位から3番目の切替カム部材65の第1突片651及び第2突片652に対して支持ロッド63の中心軸を基準として反時計回りに60°ずれて設けられている。
【0052】
そして、最上位の切替カム部材65における第3突片653は、該切替カム部材65における第1突片651の中央部から支持ロッド63の中心軸を基準として反時計回りに240°ずれて設けられている。最上位から2番目の切替カム部材65における第3突片653は、該切替カム部材65における第1突片651の中央部から支持ロッド3の中心軸を基準として反時計回りに180°ずれて設けられている。また、最上位から3番目の切替カム部材65における第3突片653は、該切替カム部材65における第1突片651の中央部から支持ロッド3の中心軸を基準として反時計回りに120°ずれて設けられており、最下位の切替カム部材65における第3突片653は、該切替カム部材65における第1突片651の中央部から支持ロッド63の中心軸を基準として反時計回りに60°ずれて設けられている。
【0053】
モード検出スイッチ64は、モータMの出力ギヤ633に噛合するモードギヤ641の状態を検出することで切替カム部材65の回転角度位置を検出するものである。かかるモード検出スイッチ64は、回転角度位置を検出すると、その旨を検出信号として制御手段100に与える。ここでモード検出スイッチ64が、検出する回転角度位置の一例について述べる。尚、ここで示すものは一例であり、本発明はこれに限定されないことはいうまでもない。
【0054】
モード検出スイッチ64が検出する回転角度位置は、「待機位置」、「60°回転位置」、「120°回転位置」、「180°回転位置」、「240°回転位置」、「300°回転位置」の6つである。
【0055】
「待機位置」は、基準となる位置であり、切替カム部材65のいずれもが第1スライド板61及び第2スライド板62に当接しない位置である。
【0056】
「60°回転位置」は、「待機位置」から支持ロッド63が時計回りに60°回転した位置である。かかる位置では、最上位の切替カム部材65の第1突片651が最上段の商品ラック30aの第1スライド板61に当接してこれを左方に移動させる。
【0057】
「120°回転位置」は、「待機位置」から支持ロッド63が時計回りに120°回転した位置である。かかる位置では、最上位から2番目の切替カム部材65の第1突片651が最上段から2番目の商品ラック30bの第1スライド板61に当接してこれを左方に移動させる。
【0058】
「180°回転位置」は、「待機位置」から支持ロッド63が時計回りに180°回転した位置である。かかる位置では、最上位から3番目の切替カム部材65の第1突片651が最上段から3番目の商品ラック30cの第1スライド板61に当接してこれを左方に移動させる。
【0059】
「240°回転位置」は、「待機位置」から支持ロッド63が時計回りに240°回転した位置である。かかる位置では、最下位の切替カム部材65の第1突片651が最下段の商品ラック30dの第1スライド板61に当接してこれを左方に移動させる。
【0060】
「300°回転位置」は、「待機位置」から支持ロッド63が時計回りに300°回転した位置である。かかる位置では、すべての切替カム部材65の第3突片653が各商品ラック30a〜30dの第1スライド板61及び第2スライド板62に当接してこれらを左方に移動させる。
【0061】
図12は、図6〜図7に示した商品ラック30aを構成する商品収納コラム31を模式的に示すものであり、右側から見た場合を示す説明図である。この図12にも示すように、取出機構50は、商品収納コラム31毎に設けられている。尚、図示の例では、最上段の商品ラック30aの商品収納コラム31に配設されたものについて示しているが、取出機構50は、各商品ラック30a〜30dの商品収納コラム31毎に設けられている。
【0062】
取出機構50は、第1ゲート部材51と第2ゲート部材52とを備えて構成されている。第1ゲート部材51は、左右方向に沿って延在する軸部50aに支持される基端部511と、この基端部511よりも前方側に向けて延在する先端部512とを備えている。この第1ゲート部材51は、軸部50aの中心軸を中心としてその中心軸回りに回動することが可能である。この第1ゲート部材51と軸部50aとの間には、ゲートバネ部材(図示せず)が介在されている。そのため、第1ゲート部材51は、ゲートバネ部材に付勢されて下方に向けて回動した姿勢となっており、先端部512が商品収納通路に進出している。このように第1ゲート部材51の先端部512が商品収納通路に進出している場合には、かかる先端部512は最前の商品の前方域に位置している。そして、第1ゲート部材51は、ゲートバネ部材の付勢力に抗して上方に向けて回動すると、先端部512が商品収納通路から退避することになる。
【0063】
また、第1ゲート部材51は、後方に向けて突出する第1係合片513を有している。第1ゲート部材51の先端部512が商品収納通路に進出した姿勢であって、かつ第1スライド板61が基準位置に位置している場合には、かかる第1係合片513が切欠部61b1の左側縁部の上方域に位置している(図8参照)。これにより第1ゲート部材51は、上方に向けて回動しようとしても第1係合片513が切欠部61b1の左側縁部に当接することで上方に向けての回動が規制されている。
【0064】
第2ゲート部材52は、第1ゲート部材51よりも後方側に設けられており、上記軸部50aの中心軸回りに回動することが可能である。この第2ゲート部材52は、第1ゲート部材51と板バネ部材53を介して連結されている。
【0065】
かかる第2ゲート部材52は、第1ゲート部材51の先端部512が商品収納通路に進出している場合には、自身の先端部522が商品収納通路から退避した姿勢となるものである。その一方、第1ゲート部材51の先端部512が商品収納通路から退避する場合には、先端部522が商品収納通路に進出した姿勢となるものである。このように先端部522が商品収納通路に進出している場合には、かかる先端部522は、最前から2番目の商品の前方域に位置している。
【0066】
また、第2ゲート部材52は、左方に向けて突出する第2係合片523を有している。この第2係合片523は、第1ゲート部材51における第1係合片513の前方側の凹みに進入して係止している。
【0067】
このような第2ゲート部材52は、第1ゲート部材51と板バネ部材53を介して連結されるものなので、基本的には第1ゲート部材51と一体的に回動するものである。しかしながら、第2ゲート部材52は、先端部522に対して商品収納通路から退避させるような力が作用したときには、該板バネ部材53の付勢力に抗して上方に回動するものである。
【0068】
上記商品収納コラム31においては、プッシャ部材40及び取出検出センサ5(図2参照)が設けられている。
【0069】
プッシャ部材40は、商品収納通路に進入した形態で設けられている。このプッシャ部材40は、図12に示すように左右一対のゼンマイバネ部材41により常時前方に付勢されている。これらゼンマイバネ部材41は、それぞれ先端部がレール部材32の先端部分に固定して設けられている。このようなプッシャ部材40は、商品収納通路に収納された商品のうち最後尾の商品に当接して前方に向けて押圧するものである。これにより商品収納通路では、各商品が前方側に向けて押圧されて収納される。
【0070】
取出検出センサ5は、商品収納通路に進出した第1ゲート部材51の先端部512よりも前方側に設けられている。かかる取出検出センサ5は、例えば光センサのようなものであり、所定の監視域を商品が通過した場合にその旨を検出し、検出結果である検出信号を制御手段100に送出するものである。
【0071】
図13は、図3に示した商品収納装置20を構成する規制手段70を模式的に示す説明図である。規制手段70は、ガイド部材71と駒部材72とを備えて構成されている。ガイド部材71は、各商品ラック30a〜30dにおいてそれぞれの商品収納コラム31の前方側上方域を左右方向に沿って延在するよう設けられている。
【0072】
駒部材72は、複数設けられている。これら駒部材72は、ガイド部材71の収容域71aにそれぞれが左右方向に沿ってスライド移動可能に収容されている。そして、このような規制手段70において収容域71aに形成されるスペースS1,S2の合計幅は、取出機構50を構成する第1ゲート部材51の突部512aの幅よりも僅かに大きいものである。
【0073】
従って、図13の(b)に示すように、各商品収納コラム31に配設された取出機構50のうち、いずれか1つの第1ゲート部材51の突部512aが収容域71aに進入した場合には、該収容域71aには他の取出機構50の第1ゲート部材51の突部512aが進入できるスペースが存在しない。
【0074】
このように規制手段70は、商品の取出操作に応じて商品収納通路から退避する1つの第1ゲート部材51における先端部512の突部512aが収容域71aに進入した場合に、他の取出機構50における第1ゲート部材51の先端部512の突部512aが該収容域71aに進入することを阻止して他の取出機構50における第1ゲート部材51の上方への回動を規制するものである。
【0075】
図14は、図2に示した制御手段100が実施する販売制御処理の主な処理内容について示すフローチャートである。かかる販売制御処理を説明しながら、上記商品収納装置20を備えた自動販売機の動作について説明する。
【0076】
かかる販売制御処理において制御手段100は、金銭処理装置15から与えられた投入額(金額情報)が商品価格以上となる場合(ステップS101:Yes)、該当するラック選択ボタン14を有効なものとする(ステップS102)。
【0077】
有効なものとしたラック選択ボタン14のうち最上段の商品ラック30aに関連付けられたラック選択ボタン14が押下された場合(ステップS103:Yes)、制御手段100は、販売指令が与えられたものとしてモータMを駆動させる(ステップS104)。そして、モード検出スイッチ64により「60°回転位置」が検出された場合(ステップS105:Yes)、制御手段100は、モータMを駆動停止にするとともに施解錠機構3を駆動させて解錠状態にさせる(ステップS106,ステップS107)。これにより利用者は、外扉2を開移動することができる。
【0078】
また、「60°回転位置」で停止させたので、支持ロッド63は「待機位置」から60°時計回りに回転し、最上位の切替カム部材65の第1突片651が第1スライド板61の第1スライド当接部612に当接する。これにより、第1スライド板61は、第1バネ部材61Sの付勢力に抗して左方に向けて移動する(図15及び図16参照)。
【0079】
このように第1スライド板61が左方に向けて移動すると、第1スライド板61の切欠部61b1が第1ゲート部材51の第1係合片513の下方域に位置し、第1係合片513の下方域は開放されることになる。これにより最上段の商品ラック30aおける各取出機構50の第1ゲート部材51は、ゲートバネ部材に付勢されているもののフリーな状態となって上方に向けて回動することが可能になる。
【0080】
ところで、最上段の商品ラック30a以外の商品ラック30b〜30dでは、それぞれの商品ラック30b〜30dに対応する高さレベルに取り付けられた切替カム部材65が第1スライド当接部612に当接していない。従って、最上段以外の商品ラック30b〜30dでは、各商品収納コラム31に配設された取出機構50の第1ゲート部材51が第1スライド板61により規制されている。そのため、これらの商品ラック30b〜30dでは、各商品収納コラム31に収納された商品を取り出すことを防止している。
【0081】
このようにラック選択機構60は、待機状態においては、すべての商品ラック30a〜30dを商品の取り出しを規制する状態にする一方、販売指令が与えられた場合には指定された段の商品ラック30aのみ商品の取り出しを許容する状態にする。
【0082】
そして、利用者が商品ラック30aの例えば右から2番目の商品収納コラム31に収納された最前の商品の胴体部200dを持って前方に引き出す取出操作を行うと、取出機構50は次のように動作する。図17に示すように、第1ゲート部材51は、ゲートバネ部材の付勢力に抗して先端部512が商品収納通路から退避するよう上方に向けて回動する。この場合、第2ゲート部材52も第1ゲート部材51と一体的に先端部522が商品収納通路に進出するよう下方に向けて回動する。これにより、第2ゲート部材52の先端部522は、取り出される最前の商品と最前から2番目の商品との間に位置する。
【0083】
このように第2ゲート部材52が下方に向けて回動すると、図18及び図19に示すように、左側の第1ゲート部材51が上方に向けて回動しロック部材622がロックバネ部材622Sに付勢されて右方に向けて移動する。そして、ロック部材622が第2ゲート部材52の第2係合片523の上方に位置し、これにより第2ゲート部材52は、下方に向けて回動した姿勢に保持される。これにより、第1ゲート部材51も上方に向けて回動した姿勢に保持される。従って、最前から2番目の商品より後方側に収納された商品を前方に向けて移動させることができず、同一の商品収納コラム31において複数の商品が前方に取り出されることを規制することができる。
【0084】
また、上方に向けて回動した第1ゲート部材51は、先端部512の突部512aが規制手段70を構成するガイド部材71の収容域71aに進入することになる。これにより最上段の商品ラック30aにおける他の商品収納コラム31に配設された取出機構50の第1ゲート部材51は、突部512aが駒部材72の存在によりガイド部材71の収容域71aに進入することが阻止され、結果的に上方に向けて回動することができない。従って、同一の商品ラック30aにおいて他の商品収納コラム31から商品が取り出されることを抑制することができる。
【0085】
利用者により所定の商品収納コラム31から最前の商品が取り出されると、該商品収納コラム31に配設された取出検出センサ5がその旨を検出し、制御手段100に検出信号を与えることとなる。
【0086】
取出検出センサ5から検出信号が与えられ、かつその後に外扉2が閉移動されて扉スイッチ4がオフ状態からオン状態に切り替わると(ステップS108:Yes,ステップS109:Yes)、制御手段100は、商品が取り出された後に本体キャビネット1の前面開口が閉成されたことを認識することができる。
【0087】
かかる認識をした制御手段100は、施解錠機構3を駆動させて施錠状態にさせた後、金銭処理装置15に取出指令出力を与えるとともに、解除指令をモータMに与えて駆動させる(ステップS110,ステップS111,ステップS112)。
【0088】
かかる制御手段100より取出指令出力が与えられた金銭処理装置15では、釣銭がある場合には釣銭を硬貨返却口16に払い出すとともに、商品価格に相当する金銭を金種毎に収容する。
【0089】
また、モータMを駆動させることで、支持ロッド63を所定の停止位置である「待機位置」まで時計回りに回転させる。
【0090】
この支持ロッド63の回転により、最上位の切替カム部材65は、第1突片651に連続する第2突片652が、第2スライド板62の右端側である第2スライド当接部623にも当接する。これにより第2スライド板62は、第2バネ部材62Sの付勢力に抗して左方に移動することになる(図20〜図22参照)。この第2スライド板62が左方に向けて移動することで、ロック部材622も左方に向けて移動し、第2ゲート部材52の上方から離脱する。これにより第2ゲート部材52の上方域は開放される。これによりゲートバネ部材に付勢されて第1ゲート部材51が下方に向けて回動するとともに、第2ゲート部材52も上方に向けて回動する。そして、第1ゲート部材51の先端部512が商品収納通路に進出し、第2ゲート部材52の先端部522が商品収納通路から退避する。商品収納通路に収納された商品は、プッシャ部材40に押圧されて前方側に寄せられる。
【0091】
その後、支持ロッド63の回転により最上位の切替カム部材65の第2突片652と、第1スライド当接部612及び第2スライド当接部623との当接が解除されると、第1スライド板61及び第2スライド板62は、第1バネ部材61S及び第2バネ部材62Sに付勢されてそれぞれ右方に向けて移動して元の状態に戻る。そうすると、第1ゲート部材51の第1係合片513の下方には第1スライド板61の切欠部61b1の左側縁部が位置することとなる。よって、第1ゲート部材51は、上方に向けて回動することができない。
【0092】
そして、モード検出スイッチ64により所定位置、すなわち「待機位置」が検出された場合(ステップS113:Yes)、制御手段100は、モータMを駆動停止にさせ(ステップS114)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。これによれば、利用者が選択した1つの商品を販売することができる。
【0093】
一方、上記ステップS108において、取出検出センサ5から検出信号が与えられないで扉スイッチ4がオフ状態からオン状態に切り替わると(ステップS108:No,ステップS115:Yes)、制御手段100は、商品が取り出されずに本体キャビネット1の前面開口が閉成されたことを認識することができる。
【0094】
かかる認識をした制御手段100は、施解錠機構3を駆動させて施錠状態にさせた後、金銭処理装置15に未取出指令出力を与える(ステップS116,ステップS117)。かかる制御手段100より未取出指令出力が与えられた金銭処理装置15は、投入硬貨を硬貨返却口16に払い出す。
【0095】
そして、未取出指令出力を与えた制御手段100は、解除指令を与えてモータMを駆動させ(ステップS118)、その後に上述したステップS113及びステップS114の処理を行ってから手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0096】
次に、上記自動販売機において商品を補充する場合について説明する。この場合には、制御手段100が、モード検出スイッチ64が「300°回転位置」を検出するまでモータMを駆動させる。これによりすべての切替カム部材65の第3突片653が第1スライド当接部612及び第2スライド当接部623に当接して第1スライド板61及び第2スライド板62を第1バネ部材61S及び第2バネ部材62Sの付勢力に抗して左方に移動させる。これにより、取出機構50の第1ゲート部材51は、上方に向けて回動することが可能になる。
【0097】
そして、図23に示すように、第1ゲート部材51を上方に向けて回動させて対象となる商品収納コラム31の前方域より補充商品を商品収納通路に進入させる。このとき進入された商品は第2ゲート部材52の先端部522に当接することとなるが、かかる第2ゲート部材52は、ロック部材622によりその回動が規制されているわけではないので、板バネ部材53の付勢力に抗して上方に向けて回動し先端部522が商品収納通路から退避する。よって、商品収納コラム31の前方域から所定本数の商品を進入させて補充を行うことができる。
【0098】
一方、上記自動販売機において、缶入り飲料の商品を収納する商品ラック(最上段から3段目の商品ラック30c及び最下段の商品ラック30d)では次のようにして商品が取り出される。尚、ここでは最下段の商品ラック30dについて説明する。
【0099】
図24に示すように、各商品は、載置部材34に載置した状態で案内部材33により左右方向に向けての移動が規制されて商品収納通路に前後方向に沿って並んで収納される。その後、金銭の投入及びラック選択ボタン14が押下されると、カム切替部材65の第1突片651に当接された第1スライド板61が左方に向けて移動する。このように第1スライド板61が左方に向けて移動すると切欠部61b1が第1ゲート部材51の第1係合片513の下方域に位置し、第1係合片513の下方域は開放されることになる。これにより最下段の商品ラック30dにおける各取出機構50の第1ゲート部材51は、上方に向けて回動することが可能になる。
【0100】
そして、利用者が商品ラック30dのいずれかの商品収納コラム31に収納された最前の商品の取出操作を行うと次のように動作する。かかる取出操作においては、載置部材34の前端部には規制部材34aが設けられていることにより、利用者は、図25に示すように、最前の商品を前傾姿勢にして前方に引き出すことになる。つまり、最前の商品を単に前方に向けて引き出されることを規制部材34aにより規制している。
【0101】
このようにして最前の商品が前傾姿勢で前方に引き出されると、第1ゲート部材51は、ゲートバネ部材の付勢力に抗して先端部512が商品収納通路から退避するよう上方に向けて回動する。この場合、第2ゲート部材52も第1ゲート部材51と一体的に先端部522が商品収納通路に進出するよう下方に向けて回動する。これにより、第2ゲート部材52の先端部522は、取り出される最前の商品と最前から2番目の商品との間に位置する。
【0102】
このように第2ゲート部材52が下方に向けて回動すると、ロック部材622がロックバネ部材622Sに付勢されて右方に向けて移動する。そして、ロック部材622が第2ゲート部材52の上方に位置し、これにより第2ゲート部材52は、下方に向けて回動した姿勢に保持される。従って、最前から2番目の商品より後方側に収納された商品を前方に向けて移動させることができず、同一の商品収納コラム31において複数の商品が前方に取り出されることを規制することができる。
【0103】
また、上方に向けて回動した第1ゲート部材51は、先端部512の突部512aが規制手段70を構成するガイド部材71の収容域71aに進入することになる。これにより最上段の商品ラック30aにおける他の商品収納コラム31に配設された取出機構50の第1ゲート部材51は、突部512aが駒部材72の存在によりガイド部材71の収容域71aに進入することが阻止され、結果的に上方に向けて回動することができない。従って、同一の商品ラック30aにおいて他の商品収納コラム31から商品が取り出されることを抑制することができる。
【0104】
以上説明したように本発明の実施の形態1である自動販売機においては、ラック選択機構60は、待機状態においてはすべての商品ラック30a〜30dを商品の取り出しを規制する状態にする。そして、ラック選択機構60は、販売指令が与えられた場合には指定された段の商品ラック(30a)のみ商品の取り出しを許容する状態にする。商品収納コラム31毎に配設された取出機構50は、常態においては該商品収納コラム31に収納された商品が取り出されることを規制する一方、該商品収納コラム31を有する商品ラック(30a)がラック選択機構60により商品の取り出しを許容された場合には、商品の取出操作に応じて動作して最前の商品のみが取り出されることを許容する。商品ラック30a〜30d毎に配設された規制手段70は、自身が設けられた商品ラック30a〜30dがラック選択機構60により商品の取り出しが許容された場合には、いずれか1つの取出機構50が動作することを許容し、該商品ラック30a〜30dにおける他の取出機構50が動作することを規制する。これにより、従来の自動販売機のようにバケット駆動手段を用いなくても利用者に希望の商品を購入させることができる。しかも、無人で商品を販売するという自動販売機本来の機能を保持させることができる。また、商品販売動作の一部を利用者の取出操作に委ねることで構造の簡易化を図ることができる。従って、部品点数の削減等を行うことでコストの低減化を図ることができる。
【0105】
また、上記自動販売機によれば、商品収納装置20が、利用者が商品の胴体部200dを持って一つずつ取り出すことを許容するので、利用者は商品の冷却状態若しくは加温状態を触覚にて確認することができる。
【0106】
上記自動販売機を構成する商品収納装置20においては、第1スライド板61が常態においては基準位置に位置して第1ゲート部材51が商品収納通路から退避することを規制するので、商品収納コラム31に収納された商品が取り出されることを抑制することができる。また、切替カム部材65が第1スライド板61を基準位置から移動させることで、第1ゲート部材51及び第2ゲート部材52をフリーな状態にすることができる。この場合に利用者により商品収納通路の最前の商品が取り出されると、第1ゲート部材51は商品収納通路から退避し、第2ゲート部材52は商品収納通路に進出する。第2ゲート部材52が商品収納通路に進出すると、ロック部材622が該第2ゲート部材52の第2係合片523の上方に移動することから第2ゲート部材52は商品収納通路に進出した姿勢に保持される。これにより最前から2番目の商品が前方に向けて移動することが規制される。更に、切替カム部材65が第1スライド板61だけでなく第2スライド部材も基準位置から移動させることで、ロック部材622を第2ゲート部材52の第2係合片523の上方から離脱させることができ、これにより第1ゲート部材51を商品収納通路に進出させ、第2ゲート部材52を商品収納通路から退避させることができる。このように商品の取出操作を利用者に委ねることで従来の自動販売機のようにバケットやバケット駆動手段を用いる必要がなくコストを低減させることができる。しかも第1ゲート部材51が商品収納通路から退避しても第2ゲート部材52が商品収納通路に進出することで商品収納コラムから商品を1つずつ取り出させることができる。従って、コストの低減化を図りながら、商品収納コラムに収納された商品を1つずつ確実に取り出させることができる。
【0107】
上記自動販売機を構成する商品収納装置20においては、各商品収納コラム31を構成するレール部材32が、商品のキャップ取付部200bを支持することにより該商品を起立姿勢に吊り下げた状態で商品収納通路に収納させるので、胴体部200dがフラット形状等の異形容器に収容された商品についても商品詰まりを発生させずに良好に収納することができる。
【0108】
上記自動販売機を構成する商品収納装置20においては、各商品収納コラム31を構成する載置部材34が、円筒状の商品を起立姿勢で載置して商品収納通路に収納させるので、レール部材32で吊り下げることができない容器に収容された商品についても商品詰まりを発生させずに良好に収納することができる。
【0109】
上記自動販売機を構成する商品収納装置20においては、規制手段70が商品の取出操作に応じて上方に向けて回動する1つの第1ゲート部材51の突部512aが収容域71aに進入した場合に、他の取出機構50における第1ゲート部材51の突部512aが該収容域71aに進入することを阻止して他の取出機構50における第1ゲート部材51の退行移動を規制する。これにより、1つの商品ラック30a〜30dから複数の商品が取り出されることを確実に防止することができる。
【0110】
上記自動販売機を構成する商品収納装置20においては、商品を起立姿勢の状態で商品収納通路に収納させるので、例えば特公昭50−27749号公報等に記載の従来技術のように商品を横倒姿勢で収納させ、かつキャップ側から商品を視認させている場合に比して、商品全体を利用者に視認させることができ、しかも利用者に購入商品を直接見て触れさせることができ、利用者に安心感を与えることができる。
【0111】
以上、本発明の好適な実施の形態1について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0112】
上述した実施の形態1では、1つの本体キャビネット1に1つの入力処理ユニット10が取り付けられて自動販売機を構成していたが、本発明においては、図26に示すように、入力処理ユニット10と、入力処理を備えていない複数の本体キャビネット1とを通信可能に接続することで、1つの入力処理ユニット10と複数の本体キャビネット1とが接続して自動販売機を構成するようにしても構わない。これによっても利用者の希望商品を1つだけ販売することが可能であり、しかも多種多様の商品の販売が可能となる。
【0113】
<実施の形態2>
図27は、本発明の実施の形態2である自動販売機を示す正面図である。図28は、本発明の実施の形態2である自動販売機の制御系を示すブロック図である。尚、上述した実施の形態1である自動販売機と同一の構成を有するものには同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
【0114】
ここで例示する自動販売機は、例えば缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を冷却、若しくは加熱した状態で販売するもので、本体キャビネット1が備えられている。
【0115】
本体キャビネット1は、前面に形成された開口が外扉(扉体)2によって開閉される直方体状の筐体である。この本体キャビネット1の右側面には、入力処理ユニット10aが取り付けられている。入力処理ユニット10aは、箱状のユニット本体11を備えている。このユニット本体11は、堅牢な構成を有しており、その前面には、硬貨投入口12、表示部13、ラック販売ランプ14RL等が設けられている。
【0116】
ラック販売ランプ14RLは、複数(図示の例では4つ)あり、上下に並ぶよう設けられている。ラック販売ランプ14RLは、それぞれが商品収納装置20を構成する商品ラック30a〜30dと関連づけられており、対応する商品ラック30a〜30dが販売可能となる場合には、制御手段100aから与えられる指令により点灯するものである。
【0117】
商品収納装置20は、商品ラック30a〜30dと、ラック選択機構60と、取出機構50と、規制手段70とを備えて構成されている。
【0118】
商品ラック30a〜30dは、複数(図示の例では4つ)設けられている。商品ラック30a〜30dは、図示せぬ左右一対のラック支持側板間に架け渡されるよう上下方向に沿って複数段設けられている。本実施の形態2においては、最上段の商品ラック30a及び最上段から2段目の商品ラック30bは、ペットボトル入り飲料の商品を収納するものであって同一の構成を有している。また、最上段から3段目の商品ラック30c及び最下段の商品ラック30dは、缶入り飲料の商品を収納するためのものであって同一の構成を有している。更に、本実施の形態2においては、各商品ラック30a〜30dでは、ラック毎に同一価格の商品を収納している。
【0119】
図29は、ラック選択機構60を構成する支持ロッド63に支持される各切替カム部材65Bを上方から見た場合を示す説明図である。この図29の(a)は、最上位の切替カム部材65Bを示しており、図29の(b)は、最上位から2番目の切替カム部材65Bを示している。また、図29の(c)は、最上位から3番目の切替カム部材65Bを示しており、図29の(d)は、最下位の切替カム部材65Bを示している。
【0120】
ここで例示する切替カム部材65Bには、第1突片651aと第2突片652aと第3突片653とが設けられている。第1突片651aは、切替カム部材65Bの外周面の下方側において径外方向に向けて突出するよう設けられている。この第1突片651aは、切替カム部材65Bの中心軸(支持ロッド63の中心軸)を基準として時計回りにそれぞれ所定角度にわたって形成されている。
【0121】
第2突片652aは、第1突片651aの端部より上方に向けて延在するよう形成されている。第3突片653は、第2突片652aから中心軸(支持ロッド63の中心軸)を基準として反時計回りに所定角度離隔した個所に設けられており、上下方向に沿って延在するものである。
【0122】
これら切替カム部材65Bについて詳細に説明すると次のようになる。最上位から2番目の切替カム部材65Bにおいては、第1突片651aが最上位の切替カム部材65Bの第1突片651aに対して支持ロッド63の中心軸を基準として反時計回りに60°ずれて設けられている。
【0123】
最上位から3番目の切替カム部材65Bにおいては、第1突片651aが最上位から2番目の切替カム部材65Bの第1突片651aに対して支持ロッド63の中心軸を基準として反時計回りに60°ずれて設けられている。
【0124】
最下位の切替カム部材65Bにおいては、第1突片651aが最上位から3番目の切替カム部材65Bの第1突片651aに対して支持ロッド63の中心軸を基準として反時計回りに60°ずれて設けられている。
【0125】
そして、最上位の切替カム部材65Bにおける第3突片653は、該切替カム部材65Bにおける第1突片651aの端部から支持ロッド63の中心軸を基準として反時計回りに270°ずれて設けられているとともに、第2突片652aから支持ロッド63の中心軸を基準として反時計回りに30°ずれて設けられている。最上位から2番目の切替カム部材65Bにおける第3突片653は、該切替カム部材65Bにおける第1突片651aの端部から支持ロッド3の中心軸を基準として反時計回りに210°ずれて設けられているとともに、第2突片652aから支持ロッド63の中心軸を基準として反時計回りに30°ずれて設けられている。また、最上位から3番目の切替カム部材65Bにおける第3突片653は、該切替カム部材65Bにおける第1突片651aの端部から支持ロッド3の中心軸を基準として反時計回りに150°ずれて設けられているとともに、第2突片652aから支持ロッド63の中心軸を基準として反時計回りに30°ずれて設けられている。最下位の切替カム部材65Bにおける第3突片653は、該切替カム部材65Bにおける第1突片651aの端部から支持ロッド63の中心軸を基準として反時計回りに90°ずれて設けられているとともに、第2突片652aから支持ロッド63の中心軸を基準として反時計回りに30°ずれて設けられている。
【0126】
このように最上位の切替カム部材65Bは、第1突片651aが支持ロッド63の中心軸を基準として240°にわたって形成されており、最上位から2番目の切替カム部材65Bは、第1突片651aが支持ロッド63の中心軸を基準として180°にわたって形成されている。また、最上位から3番目の切替カム部材65Bは、第1突片651aが支持ロッド63の中心軸を基準として120°にわたって形成されており、最下位の切替カム部材65Bは、第1突片651aが支持ロッド63の中心軸を基準として60°にわたって形成されている。そして、これら切替カム部材65Bの第2突片652a及び第3突片653は、それぞれ互いに上下に一致するよう設けられている。
【0127】
各切替カム部材65Bがこのような形状を有していることにより、モード検出スイッチ64により検出される「待機位置」は、基準となる位置であり、切替カム部材65Bのいずれもが第1スライド板61及び第2スライド板62に当接しない位置である。
【0128】
また、モード検出スイッチ64により検出される「60°回転位置」は、「待機位置」から支持ロッド63が時計回りに60°回転した位置である。かかる位置では、最上位の切替カム部材65Bの第1突片651aが最上段の商品ラック30aの第1スライド板61に当接してこれを左方に移動させる。
【0129】
モード検出スイッチ64により検出される「120°回転位置」は、「待機位置」から支持ロッド63が時計回りに120°回転した位置である。かかる位置では、最上位の切替カム部材65Bが最上段の商品ラック30aの第1スライド板61に当接してこれを左方に移動させるとともに、最上位から2番目の切替カム部材65Bの第1突片651aが最上段から2番目の商品ラック30bの第1スライド板61に当接してこれを左方に移動させる。
【0130】
モード検出スイッチ64により検出される「180°回転位置」は、「待機位置」から支持ロッド63が時計回りに180°回転した位置である。かかる位置では、最上位の切替カム部材65Bが最上段の商品ラック30aの第1スライド板61に当接してこれを左方に移動させるとともに、最上位から2番目の切替カム部材65Bの第1突片651aが最上段から2番目の商品ラック30bの第1スライド板61に当接してこれを左方に移動させ、更に最上位から3番目の切替カム部材65Bの第1突片651aが最上段から3番目の商品ラック30cの第1スライド板61に当接してこれを左方に移動させる。
【0131】
モード検出スイッチ64により検出される「240°回転位置」は、「待機位置」から支持ロッド63が時計回りに240°回転した位置である。かかる位置では、最上位の切替カム部材65Bが最上段の商品ラック30aの第1スライド板61に当接してこれを左方に移動させ、最上位から2番目の切替カム部材65Bの第1突片651aが最上段から2番目の商品ラック30bの第1スライド板61に当接してこれを左方に移動させ、最上位から3番目の切替カム部材65Bの第1突片651aが最上段から3番目の商品ラック30cの第1スライド板61に当接してこれを左方に移動させるだけでなく、最下位の切替カム部材65Bの第1突片651aが最下段の商品ラック30dの第1スライド板61に当接してこれを左方に移動させる。
【0132】
モード検出スイッチ64により検出される「300°回転位置」は、「待機位置」から支持ロッド63が時計回りに300°回転した位置である。かかる位置では、すべての切替カム部材65Bの第3突片653が各商品ラック30a〜30dの第1スライド板61及び第2スライド板62に当接してこれらを左方に移動させる。
【0133】
つまり、本実施の形態2における自動販売機では、投入金額に応じて、最上段の商品ラック30aのみ商品の取り出しを許容する場合、商品ラック30a,30bについて商品の取り出しを許容する場合、商品ラック30a〜30cについて商品の取り出しを許容する場合、あるいはすべての商品ラック30a〜30dについて商品の取り出しを許容する場合に分けられる。
【0134】
図30は、図28に示した制御手段100aが実施する販売制御処理の主な処理内容について示すフローチャートである。かかる販売制御処理を説明しながら、本実施の形態2の自動販売機の動作について説明する。
【0135】
かかる販売制御処理において制御手段100aは、金銭処理装置15から与えられた投入額(金額情報)が商品価格以上となる場合(ステップS201:Yes)、該当するラック販売ランプ14RLを有効なものとして点灯する(ステップS202)。より具体的に説明すると、ステップS201で投入された金銭が商品ラック30a〜30cに収納された商品の価格以上であるとすると、これら商品ラック30a〜30cに対応するラック販売ランプ14RLを有効なものとして点灯する。換言すると、ステップS201においては、最下段の商品ラック30dに収納された商品価格以上の金銭が投入されていない。そのため、最下段の商品ラック30dに対応するラック販売ランプ14RLについては点灯させない。
【0136】
該当するラック販売ランプ14RLを点灯させた制御手段100aは、販売指令が与えられたものとしてモータMを駆動させる(ステップS203)。そして、モード検出スイッチ64により「180°回転位置」が検出された場合(ステップS204:Yes)、制御手段100aは、モータMを駆動停止にするとともに施解錠機構3を駆動させて解錠状態にさせる(ステップS205,ステップS206)。これにより利用者は、外扉2を開移動することができる。
【0137】
また、「180°回転位置」で停止させたので、支持ロッド63は「待機位置」から180°時計回りに回転し、最上位の切替カム部材65Bが最上段の商品ラック30aの第1スライド板61に当接してこれを左方に移動させるとともに、最上位から2番目の切替カム部材65Bの第1突片651aが最上段から2番目の商品ラック30bの第1スライド板61に当接してこれを左方に移動させ、更に最上位から3番目の切替カム部材65Bの第1突片651aが最上段から3番目の商品ラック30cの第1スライド板61に当接してこれを左方に移動させる。
【0138】
このように第1スライド板61が左方に向けて移動すると、第1スライド板61の切欠部61b1が第1ゲート部材51の第1係合片513の下方域に位置し、第1係合片513の下方域は開放されることになる。これにより各商品ラック30a〜30cにおける各取出機構50の第1ゲート部材51は、ゲートバネ部材に付勢されているもののフリーな状態となって上方に向けて回動することが可能になる。
【0139】
ところで、これら商品ラック30a〜30c以外の最下段の商品ラック30dでは、商品ラック30dに対応する高さレベルに取り付けられた切替カム部材65Bが第1スライド当接部612に当接していない。従って、最下段の商品ラック30dでは、各商品収納コラム31に配設された取出機構50の第1ゲート部材51が第1スライド板61により規制されている。そのため、この商品ラック30dでは、各商品収納コラム31に収納された商品を取り出すことを防止している。
【0140】
このようにラック選択機構60は、待機状態においては、すべての商品ラック30a〜30dを商品の取り出しを規制する状態にする一方、販売指令が与えられた場合には指定された段の商品ラック30a〜30cについて商品の取り出しを許容する状態にする。
【0141】
そして、利用者が商品ラック30aの例えば右から2番目の商品収納コラム31に収納された最前の商品の胴体部200dを持って前方に引き出す取出操作を行うと、取出機構50は次のように動作する。第1ゲート部材51は、ゲートバネ部材の付勢力に抗して先端部512が商品収納通路から退避するよう上方に向けて回動する。この場合、第2ゲート部材52も第1ゲート部材51と一体的に先端部522が商品収納通路に進出するよう下方に向けて回動する。これにより、第2ゲート部材52の先端部522は、取り出される最前の商品と最前から2番目の商品との間に位置する。
【0142】
このように第2ゲート部材52が下方に向けて回動すると、左側の第1ゲート部材51が上方に向けて回動しロック部材622がロックバネ部材622Sに付勢されて右方に向けて移動する。そして、ロック部材622が第2ゲート部材52の第2係合片523の上方に位置し、これにより第2ゲート部材52は、下方に向けて回動した姿勢に保持される。これにより、第1ゲート部材51も上方に向けて回動した姿勢に保持される。従って、最前から2番目の商品より後方側に収納された商品を前方に向けて移動させることができず、同一の商品収納コラム31において複数の商品が前方に取り出されることを規制することができる。
【0143】
また、上方に向けて回動した第1ゲート部材51は、先端部512の突部512aが規制手段70を構成するガイド部材71の収容域71aに進入することになる。これにより最上段の商品ラック30aにおける他の商品収納コラム31に配設された取出機構50の第1ゲート部材51は、突部512aが駒部材72の存在によりガイド部材71の収容域71aに進入することが阻止され、結果的に上方に向けて回動することができない。従って、同一の商品ラック30aにおいて他の商品収納コラム31から商品が取り出されることを抑制することができる。
【0144】
利用者により所定の商品収納コラム31から最前の商品が取り出されると、該商品収納コラム31に配設された取出検出センサ5がその旨を検出し、制御手段100aに検出信号を与えることとなる。
【0145】
取出検出センサ5から検出信号が与えられ、かつその後に外扉2が閉移動されて扉スイッチ4がオフ状態からオン状態に切り替わると(ステップS207:Yes,ステップS208:Yes)、制御手段100aは、商品が取り出された後に本体キャビネット1の前面開口が閉成されたことを認識することができる。
【0146】
かかる認識をした制御手段100aは、施解錠機構3を駆動させて施錠状態にさせた後、金銭処理装置15に取出指令出力を与えるとともに、解除指令をモータMに与えて駆動させる(ステップS209,ステップS210,ステップS211)。
【0147】
かかる制御手段100aより取出指令出力が与えられた金銭処理装置15では、釣銭がある場合には釣銭を硬貨返却口16に払い出すとともに、商品価格に相当する金銭を金種毎に収容する。
【0148】
また、モータMを駆動させることで、支持ロッド63を所定の停止位置である「待機位置」まで時計回りに回転させる。
【0149】
この支持ロッド63の回転により、切替カム部材65Bは、第1突片651aに連続する第2突片652aが、第2スライド板62の右端側である第2スライド当接部623にも当接する。これにより第2スライド板62は、第2バネ部材62Sの付勢力に抗して左方に移動することになる。この第2スライド板62が左方に向けて移動することで、ロック部材622も左方に向けて移動し、第2ゲート部材52の上方から離脱する。これにより第2ゲート部材52の上方域は開放される。これによりゲートバネ部材に付勢されて第1ゲート部材51が下方に向けて回動するとともに、第2ゲート部材52も上方に向けて回動する。そして、第1ゲート部材51の先端部512が商品収納通路に進出し、第2ゲート部材52の先端部522が商品収納通路から退避する。商品収納通路に収納された商品は、プッシャ部材40に押圧されて前方側に寄せられる。
【0150】
その後、支持ロッド63の回転により切替カム部材65Bの第2突片652aと、第1スライド当接部612及び第2スライド当接部623との当接が解除されると、第1スライド板61及び第2スライド板62は、第1バネ部材61S及び第2バネ部材62Sに付勢されてそれぞれ右方に向けて移動して元の状態に戻る。そうすると、第1ゲート部材51の第1係合片513の下方には第1スライド板61の切欠部61b1の左側縁部が位置することとなる。よって、第1ゲート部材51は、上方に向けて回動することができない。
【0151】
そして、モード検出スイッチ64により所定位置、すなわち「待機位置」が検出された場合(ステップS212:Yes)、制御手段100aは、モータMを駆動停止にさせ(ステップS213)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。これによれば、利用者が選択した1つの商品を販売することができる。
【0152】
一方、上記ステップS207において、取出検出センサ5から検出信号が与えられないで扉スイッチ4がオフ状態からオン状態に切り替わると(ステップS207:No,ステップS214:Yes)、制御手段100aは、商品が取り出されずに本体キャビネット1の前面開口が閉成されたことを認識することができる。
【0153】
かかる認識をした制御手段100aは、施解錠機構3を駆動させて施錠状態にさせた後、金銭処理装置15に未取出指令出力を与える(ステップS215,ステップS216)。かかる制御手段100aより未取出指令出力が与えられた金銭処理装置15は、投入硬貨を硬貨返却口16に払い出す。
【0154】
そして、未取出指令出力を与えた制御手段100aは、解除指令を与えてモータMを駆動させ(ステップS217)、その後に上述したステップS212及びステップS213の処理を行ってから手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0155】
以上説明したように本発明の実施の形態2である自動販売機においては、ラック選択機構60は、待機状態においてはすべての商品ラック30a〜30dを商品の取り出しを規制する状態にする。そして、ラック選択機構60は、販売指令が与えられた場合には指定された段の商品ラック(30a〜30c)について商品の取り出しを許容する状態にする。商品収納コラム31毎に配設された取出機構50は、常態においては該商品収納コラム31に収納された商品が取り出されることを規制する一方、該商品収納コラム31を有する商品ラック(30a〜30c)がラック選択機構60により商品の取り出しを許容された場合には、商品の取出操作に応じて動作して最前の商品のみが取り出されることを許容する。商品ラック30a〜30d毎に配設された規制手段70は、自身が設けられた商品ラック30a〜30dがラック選択機構60により商品の取り出しが許容された場合には、いずれか1つの取出機構50が動作することを許容し、該商品ラック30a〜30dにおける他の取出機構50が動作することを規制する。これにより、従来の自動販売機のようにバケット駆動手段を用いなくても利用者に希望の商品を購入させることができる。しかも、無人で商品を販売するという自動販売機本来の機能を保持させることができる。また、商品販売動作の一部を利用者の取出操作に委ねることで構造の簡易化を図ることができる。従って、部品点数の削減等を行うことでコストの低減化を図ることができる。
【0156】
また、上記自動販売機によれば、商品収納装置20が、利用者が商品の胴体部200dを持って一つずつ取り出すことを許容するので、利用者は商品の冷却状態若しくは加温状態を触覚にて確認することができる。
【0157】
以上、本発明の好適な実施の形態2について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0158】
上述した実施の形態2では、ステップS210において、制御手段100aは、金銭処理装置15に取出指令出力を与えることで、金銭処理装置15において釣銭の払い出し等を行わせていたが、本発明においては、制御手段100aは、ステップS207で取出検出センサ5から検出信号が与えられた場合に、投入金額より商品の販売価格を減算して残金を記憶し、記憶した残金が商品価格以上である場合には、上記ステップS202以降の処理を実施するようにしても構わない。これによれば商品の連続購入を可能にすることができる。
【0159】
上述した実施の形態2では、投入金額に応じて、最上段の商品ラック30aのみ商品の取り出しを許容する場合、商品ラック30a,30bについて商品の取り出しを許容する場合、商品ラック30a〜30cについて商品の取り出しを許容する場合、あるいはすべての商品ラック30a〜30dについて商品の取り出しを許容する場合に分けられているが、本発明では次のようにしても構わない。すなわち、支持ロッドを例えば16角形の柱状体とし、切替カム部材の形状を工夫することにより、商品ラック30a〜30dのいずれかについて商品の取り出しを許容する場合(4通り)と、商品ラック30a〜30dのうち任意の2つについて商品の取り出しを許容する場合(6通り)と、商品ラック30a〜30dのうち任意の3つについて商品の取り出しを許容する場合(4通り)と、すべての商品ラック30a〜30dについて商品の取り出しを許容する場合と、すべての商品ラック30a〜30dについて商品の取り出しを規制する場合とに分けるようにしてもよい。
【0160】
<実施の形態3>
図31は、本発明の実施の形態3である自動販売機を示す正面図である。図32は、本発明の実施の形態3である自動販売機の制御系を示すブロック図である。尚、上述した実施の形態1である自動販売機と同一の構成を有するものには同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
【0161】
ここで例示する自動販売機は、例えば缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を冷却、若しくは加熱した状態で販売するもので、本体キャビネット1が備えられている。
【0162】
本体キャビネット1は、前面に形成された開口が外扉(扉体)2によって開閉される直方体状の筐体である。この本体キャビネット1の右側面には、入力処理ユニット10bが取り付けられている。入力処理ユニット10bは、箱状のユニット本体11を備えている。このユニット本体11は、堅牢な構成を有している。ユニット本体11の前面には、硬貨投入口12、表示部13等が設けられている。ユニット本体11の内部には、金銭処理装置15が設けられている。
【0163】
上記本体キャビネット1における収納室1aには商品収納装置20が設けられている。商品収納装置20は、商品ラック30a〜30dと、ラック選択機構60と、取出機構50と、コラム販売機構80とを備えて構成されている。
【0164】
商品ラック30a〜30dは、複数(図示の例では4つ)設けられている。本実施の形態3においては、最上段の商品ラック30a及び最上段から2段目の商品ラック30bは、ペットボトル入り飲料の商品を収納するものであって同一の構成を有している。また、最上段から3段目の商品ラック30c及び最下段の商品ラック30dは、缶入り飲料の商品を収納するためのものであって同一の構成を有している。
【0165】
ペットボトル入り飲料の商品を収納する商品ラック(最上段の商品ラック30a及び最上段から2段目の商品ラック30b)は、複数(図示の例では5つ)の商品収納コラム31を左右方向に沿って並設することにより構成されている。これら商品収納コラム31は、それぞれ左右一対のレール部材32を備えて構成されている。左右一対のレール部材32は、前後方向に沿って延在するもので、互いの間に商品収納通路を画成するものである。
【0166】
缶入り飲料の商品を収納する商品ラック(最上段から3段目の商品ラック30c及び最下段の商品ラック30d)は、ペットボトル入り飲料の商品を収納する商品ラック30a,30bと同様に、複数(図示の例では5つ)の商品収納コラム31を左右方向に沿って並設することにより構成されている。
【0167】
そして、このような商品ラック30a〜30dの前面においては、各商品収納コラム31に対応して複数のコラム販売ランプ14CLが設けられている。これらコラム販売ランプ14CLは、制御手段100bから与えられる指令により点灯するものである。
【0168】
コラム販売機構80は、各商品収納コラム31毎に設けられており、制御手段100bから与えられる指令に応じて、図示せぬソレノイドにより解除動作及び規制動作するものである。このコラム販売機構80は、解除動作する場合には、対応する取出機構50の第1ゲート部材51が上方に回動することを許容する一方、規制動作する場合には、対応する取出機構50の第1ゲート部材51が上方に回動することを規制するものである。これにより、本実施の形態3における自動販売機では、上述した実施の形態1の自動販売機を構成する規制手段70が設けられていない。
【0169】
尚、本実施の形態3である自動販売機においては、ラック選択機構60を構成する支持ロッド63は、モータMにより回転するものであるが、その回転は、モード検出スイッチ64により「待機位置」が検出されるまで、あるいは「300°回転位置」が検出されるまで回転するものである。
【0170】
図33は、図32に示した制御手段100bが実施する販売制御処理の主な処理内容について示すフローチャートである。かかる販売制御処理を説明しながら、本実施の形態3の自動販売機の動作について説明する。
【0171】
かかる販売制御処理において制御手段100bは、金銭処理装置15から与えられた投入額(金額情報)が商品価格以上となる場合(ステップS301:Yes)、該当する商品を収納する商品収納コラム31に対応するコラム販売ランプ14CLを点灯させるとともに、該商品収納コラム31に対応するコラム販売機構80を解除動作させる(ステップS302,ステップS303)。
【0172】
これらステップS302及びステップS303を実施した制御手段100bは、販売指令が与えられたものとしてモータMを駆動させる(ステップS304)。そして、モード検出スイッチ64により「300°回転位置」が検出された場合(ステップS305:Yes)、制御手段100bは、モータMを駆動停止にする(ステップS306)。
【0173】
このように「300°回転位置」で停止させたので、支持ロッド63は「待機位置」から300°時計回りに回転し、各切替カム部材65の第3突片653が第1スライド当接部612及び第2スライド当接部623に当接して第1スライド板61及び第2スライド板62を第1バネ部材61S及び第2バネ部材62Sの付勢力に抗して左方に移動させる。これにより、取出機構50の第1ゲート部材51は、上方に向けて回動することが可能になる。
【0174】
そして、外扉2を開移動させた利用者によりコラム販売ランプ14CLが点灯するいずれかの商品収納コラム31に収納された最前の商品が取り出されると、該商品収納コラム31に配設された取出検出センサ5がその旨を検出し、制御手段100bに検出信号を与えることとなる。
【0175】
取出検出センサ5から検出信号が与えられると(ステップS307:Yes)、制御手段100bは、上記ステップS303で解除動作させたすべてのコラム販売機構80を規制動作させる(ステップS308)。そして、制御手段100bは、金銭処理装置15に取出指令出力を与えるとともに、解除指令をモータMに与えて駆動させる(ステップS309,ステップS310)。
【0176】
かかる制御手段100bより取出指令出力が与えられた金銭処理装置15では、釣銭がある場合には釣銭を硬貨返却口16に払い出すとともに、商品価格に相当する金銭を金種毎に収容する。
【0177】
そして、モード検出スイッチ64により所定位置、すなわち「待機位置」が検出された場合(ステップS311:Yes)、制御手段100bは、モータMを駆動停止にさせ(ステップS312)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。これによれば、利用者が選択した1つの商品を販売することができる。
【0178】
一方、上記ステップS307において、取出検出センサ5から検出信号が与えられないで予め設定した設定時間が経過すると(ステップS307:No,ステップS313:Yes)、制御手段100bは、上記ステップS303で解除動作させたすべてのコラム販売機構80を規制動作させ、金銭処理装置15に未取出指令出力を与える(ステップS314,ステップS315)。かかる制御手段100bより未取出指令出力が与えられた金銭処理装置15は、投入硬貨を硬貨返却口16に払い出す。
【0179】
そして、未取出指令出力を与えた制御手段100bは、解除指令を与えてモータMを駆動させ(ステップS316)、その後に上述したステップS311及びステップS312の処理を行ってから手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0180】
以上説明したように本発明の実施の形態3である自動販売機においては、ラック選択機構60は、待機状態においてはすべての商品ラック30a〜30dを商品の取り出しを規制する状態にする。そして、ラック選択機構60は、販売指令が与えられた場合には指定されたすべての商品ラック30a〜30dについて商品の取り出しを許容する状態にする。商品収納コラム31毎に配設された取出機構50は、常態においては該商品収納コラム31に収納された商品が取り出されることを規制する一方、該商品収納コラム31を有する商品ラック30a〜30dがラック選択機構60により商品の取り出しを許容された場合には、商品の取出操作に応じて動作して最前の商品のみが取り出されることを許容する。商品収納コラム31毎に配設されたコラム販売機構80は、解除動作した場合には、対応する取出機構50が動作することを許容し、規制動作した場合には対応する取出機構50が動作することを規制する。これにより、従来の自動販売機のようにバケット駆動手段を用いなくても利用者に希望の商品を購入させることができる。しかも、無人で商品を販売するという自動販売機本来の機能を保持させることができる。また、商品販売動作の一部を利用者の取出操作に委ねることで構造の簡易化を図ることができる。従って、部品点数の削減等を行うことでコストの低減化を図ることができる。
【0181】
また、上記自動販売機によれば、商品収納装置20が、利用者が商品の胴体部200dを持って一つずつ取り出すことを許容するので、利用者は商品の冷却状態若しくは加温状態を触覚にて確認することができる。
【0182】
更に、上記自動販売機によれば、投入額以下の販売価格の商品を収納する商品収納コラム31に対応するコラム販売ランプ14CLを点灯させつつ、コラム販売機構80を解除動作させるので、同一の商品ラック30a〜30dにおいても販売価格の異なる商品を収納することができ、限られたスペースの中で様々な価格帯の商品を販売することが可能になる。
【0183】
以上、本発明の好適な実施の形態3について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0184】
上述した実施の形態3では、ステップS309において、制御手段100bは、金銭処理装置15に取出指令出力を与えることで、金銭処理装置15において釣銭の払い出し等を行わせていたが、本発明においては、制御手段100bは、ステップS307で取出検出センサ5から検出信号が与えられた場合に、投入金額より商品の販売価格を減算して残金を記憶し、記憶した残金が商品価格以上である場合には、上記ステップS302以降の処理を実施するようにしても構わない。これによれば商品の連続購入を可能にすることができる。
【0185】
上述した実施の形態3では、販売制御処理において施解錠機構3を施錠若しくは解錠することについて述べていないが、本発明においては必要に応じて施解錠機構3を施錠若しくは解錠する処理をかかる販売制御処理に組み込んでも構わない。
【0186】
以上、本発明の好適な実施の形態1〜3について説明したが、本発明では更に次のような構成を採用することもできる。
【0187】
上述した実施の形態1〜3では、外扉2の窓部2aを介して本体キャビネット1の内部を視認することができるものであった。本発明においては、扉体(外扉2)だけに限られず、自動販売機本体(本体キャビネット1)が透明な断熱ガラス材によって形成されることで、該自動販売機本体に窓部が形成されても良い。これによれば、扉体にだけに限られず、自動販売機本体の窓部を介して内部を視認することができる。
【0188】
上述した実施の形態1〜3では、ペットボトル入り飲料や缶入り飲料を対象商品とするものであったが、本発明においては、柔軟で透明な樹脂によりパックされた食品等を対象商品としてもよい。この場合、利用者はかかる商品の弾力状態を触覚にて確認でき、商品の新鮮度を把握することができる。
【産業上の利用可能性】
【0189】
以上のように、本発明に係る自動販売機は、例えば缶入り飲料やペットボトル入り飲料を販売するのに有用である。
【符号の説明】
【0190】
1 本体キャビネット
1a 収納室
2 外扉(扉体)
2a 窓部
3 施解錠機構
4 扉スイッチ
10 入力処理ユニット
11 ユニット本体
12 硬貨投入口
13 表示部
14 ラック選択ボタン
14RL ラック販売ランプ
14CL コラム販売ランプ
15 金銭処理装置
20 商品収納装置
30a 商品ラック
30b 商品ラック
30c 商品ラック
30d 商品ラック
31 商品収納コラム
32 レール部材
33 案内部材
34 載置部材
40 プッシャ部材
41 ゼンマイバネ部材
50 取出機構
50a 軸部
51 第1ゲート部材
511 基端部
512 先端部
512a 突部
513 第1係合片
52 第2ゲート部材
522 先端部
523 第2係合片
53 板バネ部材
60 ラック選択機構
61 第1スライド板
61S 第1バネ部材
61b1 切欠部
62 第2スライド板
62S 第2バネ部材
621 貫通孔
622 ロック部材
63 支持ロッド
631 連結ギヤ
64 モード検出スイッチ
65 切替カム部材
651 第1突片
652 第2突片
653 第3突片
70 規制手段
71 ガイド部材
72 駒部材
80 コラム販売機構
100 制御手段
100a 制御手段
100b 制御手段
200a キャップ
200b キャップ取付部
200c 括れ部分
200d 胴体部
M モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
形成された開口が扉体により開閉される自動販売機本体と、
商品が一列に並ぶよう収納された複数の商品収納コラムを並設してなり、前記自動販売機本体に複数段設けられた商品ラックと
を備え、利用者により選択された商品を販売する自動販売機において、
前記商品ラックを有し、かつ前記扉体が開移動して前記開口が開成される場合に利用者が前記商品の胴体部を持って一つずつ取り出すことを許容する商品収納装置を備えたことを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
前記商品収納装置は、
待機状態においてはすべての商品ラックを商品の取り出しを規制する状態にする一方、販売指令が与えられた場合には指定された段の商品ラックのみ商品の取り出しを許容する状態にするラック選択機構と、
商品収納コラム毎に設けられ、かつ常態においては自身が設けられた商品収納コラムに収納された商品が取り出されることを規制する一方、該商品収納コラムを有する商品ラックが前記ラック選択機構により商品の取り出しを許容された場合には、商品の取出操作に応じて動作して前記開口に最も近接する商品のみが取り出されることを許容する取出機構と、
商品ラック毎に設けられ、かつ自身が設けられた商品ラックが前記ラック選択機構により商品の取り出しを許容された場合には、いずれか1つの取出機構が動作することを許容し、該商品ラックにおける他の取出機構が動作することを規制する規制手段と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
【請求項3】
前記商品収納コラム毎に設けられ、かつ商品収納コラムに収納される商品を前方に向けて押圧するプッシャ部材を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動販売機。
【請求項4】
前記扉体及び前記自動販売機本体の少なくとも一方は、透明板材により構成される窓部を有して成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の自動販売機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate


【公開番号】特開2012−208909(P2012−208909A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203106(P2011−203106)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】