説明

自動販売機

【課題】一台の自動販売機において複数の顧客が決済処理を同時に行える自動販売機を提供することを目的とする。
【解決手段】顧客を識別できる端末情報を記憶した無線通信端末と通信する無線通信装置と、タッチセンサ付き電子ディスプレイと、前記無線通信装置が取得した前記端末情報と販売する商品情報を少なくとも表示するとともに顧客が商品の選択と決済の指示をする為の決済操作画面を前記タッチセンサ付き電子ディスプレイに表示する制御部を備えた自動販売機であって、前記制御部は、前記無線通信装置が複数の前記無線通信端末を検出した時、該複数の無線通信端末の其々の端末情報を取得して、該取得した複数の該端末情報に対応する複数の決済操作画面を表示することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前面に販売する商品の情報やイメージを表示するタッチセンサ付き電子ディスプレイを備えた自動販売機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動販売機には、前面にタッチセンサ付きの電子ディスプレイ等からなる表示画面を配置し、この電子ディスプレイに販売する商品の情報を表示するものがある。
【0003】
例えば特許文献1には、人の接近が感知されことを人感センサによって検知して、商品の見本画像を前記タッチセンサ付きの液晶カラーディスプレイに所定時間に亘って表示すると共に、液晶カラーディスプレイに商品見本画像が表示されているときに、顧客が触れた商品見本画像を前記タッチセンサが求めた座標情報に基づいて検出し、販売する商品を決定する自動販売機が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−232537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような従来の自動販売機は、一人の顧客に対して商品選択から決済までの処理をするものであって、複数の決済処理を同時にすることが出来なかった。このため、自動販売機を利用する顧客数が多い場合には、自動販売機に行列が出来て商品販売に時間がかかる問題がった。また、スーパーマーケットやコンビニエンスストアにおける商品の購入時のように、複数の顧客が同時に別々に商品を選択して別々に決済するということが出来ないので、複数の購入者同士がコミュニケーションをすることで買い物を楽しむということが出来なかった。
上述の問題に鑑み本発明では、一台の自動販売機において複数の顧客への決済処理を同時に行える自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の問題を解決する為に、第1の発明に係る自動販売機は、
顧客を識別できる端末情報を記憶した無線通信端末と通信する無線通信装置と、
タッチセンサ付き電子ディスプレイと、
前記無線通信装置が取得した前記端末情報と販売する商品情報を少なくとも表示するとともに顧客が商品の選択と決済の指示をする為の決済操作画面を前記タッチセンサ付き電子ディスプレイに表示する制御部を備えた自動販売機であって、
前記制御部は前記無線通信装置が複数の前記無線通信端末を検出した時、該複数の無線通信端末の其々の端末情報を取得して、該取得した複数の該端末情報に対応する複数の決済操作画面を表示する。
【0007】
また、第2の発明に係る自動販売機は、請求項1記載の自動販売機において、前記制御部は予め定められた決済操作画面の表示可能数を記憶し、前記無線通信装置は前記無線通信端末から受ける受信信号の強度を検出する受信強度測定回路を備え、
前記制御部は、前記表示可能数より多くの前記無線通信端末から端末情報を受信した時、複数の該無線通信端末から受ける受信信号を比較して受信強度が強い無線通信端末を優先して前記表示上限数まで表示することを特徴とする。
【0008】
また、第3の発明に係る自動販売機は、請求項1記載の自動販売機において、前記無線通信装置は複数のアンテナを備え、
前記制御部は、前記複数のアンテナが前記無線通信端末から受ける端末情報の受信信号の強度に基づいて該無線通信端末の位置を特定し、前記タッチセンサ付き電子ディスプレイ上の該無線通信端末に近い位置に決済操作画面を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の自動販売機によれば、一台の自動販売機の前面に複数の顧客がいることを顧客が所持する無線通信端末との通信により検知し、無線通信端末の数に対応して複数の決済操作画面を表示するので、複数の顧客が同時に個々の決済操作画面を操作することで、複数の顧客が商品の選択と決済をを同時に行えるようになる。しがたって、スーパーマーケットやコンビニエンスストアにおける商品の購入時のように、複数の顧客が同時に別々に商品を選択して別々に決済することができるようになり、複数の購入者同士がコミュニケーションをすることで買い物を楽しむことが出来る。
また、自動販売機を利用する顧客数が多い場合であっても、顧客が商品購入を待たされる時間を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る自動販売機の概略の外観図
【図2】自動販売機の構成ブロック図
【図3】自動販売機1の無線通信装置30の構成ブロック図
【図4】自動販売機1の主制御部10による決済操作画面100の数や位置の制御を説明する為のフローチャート
【図5】自動販売機1のタッチセンサ付き電子ディスプレイ40に表示された決済装置画面100を説明する為の図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は本発明の第1の実施形態に係る自動販売機の概略の外観図である。
【0012】
1は第1の実施形態に係わる自動販売機を示している。また200は自動販売機1を利用して商品を購入する顧客が所持する無線通信端末を示している。
【0013】
無線通信端末200は、周知のパッシブタイプのRFID(Radio Frequency Identification)である。この無線通信端末200の備えるメモリには、端末情報として端末を識別出来る端末固有情報と、購入者を示す人物識別情報と、購入者の属性を示す各種属性情報と、顧客の商品購入履歴と、顧客の嗜好等の情報と後述する決済操作画面に表示する情報を決める設定情報を記憶するとともに電子マネーを記憶している。
また、メモリに記録された端末情報や電子マネーの発信及び受信を行う通信手段と、後述する自動販売機1に搭載された無線通信装置30のアンテナ31aや31bから発信される電磁波に基づいて電磁誘導により起電力を発生させる受電手段とを備える。後述する自動販売機1に搭載された無線通信装置30は、無線通信端末200と通信し無線通信端末200のメモリに記憶された情報の読み取りや書込みをする。
【0014】
自動販売機1の前面には、商品見本画像等を表示するタッチセンサ付き電子ディスプレイ40が配置されている。タッチセンサ付き電子ディスプレイ40は、タッチセンサ41と電子ディスプレイ44から構成されている。本実施例のタッチセンサ付きディスプレイを構成するタッチセンサ41は周知の静電式透明タッチパネルであり、電子ディスプレイ44は周知の液晶カラーディスプレイである。
【0015】
タッチセンサ41は、静電式透明タッチパネルの代わりに、感圧式透明タッチパネルや赤外線センサを構成する発光部と受光部を矩形枠の上下辺と左右辺に等間隔で配置したものやジェスチャ操作が可能な3Dセンサであってもよい。また、電子ディスプレイは、液晶カラーディスプレイ44の代わりに、同様の表示が可能な周知のディスプレイとして、例えばCRTディスプレイやPDPであってもよい他、3次元ディスプレイであってもよい。
【0016】
自動販売機1の上面の左側端部と右側端部には、無線通信端末200と通信する無線通信装置30のアンテナ31aとアンテナ31bが配置されている。
【0017】
自動販売機1の前面の前記タッチセンサ付き電子ディスプレイ40の下方には、従来の自動販売機と同様に硬貨投入口2と釣り銭返却レバー3と釣り銭返却口4と紙幣挿入口5と非接触ICカード通信装置20のアンテナ21とスピーカ51が設けられており、またその下部位置には販売する商品を放出する商品払出口6が設けられている。
【0018】
図2は第一の実施例に係わる自動販売機1の制御系の概略的な構成を示すブロック図である。
【0019】
10は自動販売機1全体の制御を司る主制御部であって、各種プログラム及びデータ等の情報を記録するROMやRAMから成る記録手段と、記録手段に記録されたプログラムを実行するCPU等の制御手段を備えている。
【0020】
この主制御装部10には、タッチセンサ付き電子ディスプレイ40と、無線通信装置30が接続されている。
【0021】
タッチセンサ付き電子ディスプレイ40は、タッチセンサ41と、タッチセンサ41に指先等を接触或いは近接させたときのその座標位置を検出する入力位置特定部42と、液晶カラーディスプレイ44と、液晶カラーディスプレイ44を表示する表示出力部43により構成される。
【0022】
無線通信装置30は、無線通信端末200と通信するアンテナ31aと31bと制御回路32から構成される。制御回路32は、起電力を発生させてデータ情報を通信する送信回路等を備えている。さらに制御回路32には、2つのアンテナ31a、31bが受信する無線通信端末200の電波強度を検出し、2つのアンテナから取得した電波強度に基づいて無線通信端末200の位置を検出する受信強度測定回路を備える。無線通信端末200の位置の検出方法の詳細については別途詳細に説明する。
【0023】
また主制御装部10には、従来から自動販売機に設けられている硬貨投入口5から投入された硬貨を識別して正貨を収容するとともに釣銭を払い出す硬貨処理装置11、紙幣挿入口6から受け入れた紙幣を識別して真正とみなされた紙幣収容する紙幣処理装置12、自動販売機100が販売する商品を商品払出口7に案内する商品搬出機構部13、アンテナ21と制御回路22から構成され電子マネーが記憶された非接触ICカードと通信して電子マネー決済の処理を行う非接触ICカード通信装置20、スピーカ51と音声出力制御回路52から構成された音声出力装置50、外部の管理サーバー等と通信をするモデム61と通信制御回路62から構成された外部通信装置60が接続されている。
【0024】
このように構成された自動販売機1の液晶カラーディスプレイ44には、無線通信装置30が無線通信端末200から取得した端末情報に基づいて顧客(購入者)を示す人物識別情報としてニックネームを表示したり顧客の好みの商品画像や商品名等を表示する決済操作画面100を表示する。決済装置画面100に表示される情報の詳細については後述する。
【0025】
自動販売機1は、最大で4つまで決済操作画面100を表示できるように、予め決済操作画面の表示可能数が設定されている。また図1に示すようにタッチセンサ付きディスプレイ40の画面の下方にあらかじめ4つの決済操作画面を表示出来る表示枠101a、101b、101c、101dを用意しており、各表示枠にたいして、其々決済操作画面100を表示出来るようになっている。
【0026】
また、自動販売機1は、無線決済端末であるRFIDの備えるアンチコリジョン機能を利用して複数の無線通信端末200を検出することが可能であり、複数の無線通信端末200に対応して複数の決済操作画面100を表示することが出来る。この時、表示する複数の決済操作画面100は、検出した其々の無線通信端末200の端末情報に対応する情報をそれぞれ表示する。無線通信端末200の位置を検出して、決済操作画面100を、無線通信端末200に近い位置に表示する。位置の検出については別途詳述する。
【0027】
自動販売機1の主制御部10は、決済操作画面100上の商品見本又は商品情報を顧客が触れた時、前記入力位置特定部42により顧客が触れた商品を検知することで顧客が購入したい商品が選択されたことを検出するともに、決済処理の指示を受け付けたとみなし、決済処理を実行して顧客が購入する商品を放出する。
【0028】
主制御部10は、無線通信装置10が無線通信端末200から取得した端末情報や後述する無線通信端末の位置情報のに基づいてタッチセンサ付きディスプレイ40に表示される決済操作画面100の数や位置と、決済操作画面100に表示される情報を制御する表示位置制御部としての機能も備える。
【0029】
また、主制御部10は、決済制御部として機能し、決済操作画面100を顧客が操作して商品の選択と決済が指示されたことを検出すると、無線通信端末から取得した端末情報に基づいて決済処理を実行する。具体的には端末情報に基づいて無線通信装置30を介して無線通信端末200と通信し指定された商品の代金に相当する電子マネーの決済処理を実行する。
【0030】
また、主制御部10は、販売制御部として機能し、決済操作画面100を顧客が操作して商品の選択と決済が指示されたことを検出すると、商品搬出機構部13を駆動して指定された商品を放出する。
【0031】
このように構成された第1の実施形態に係わる自動販売機1は、複数の顧客が所持する無線通信端末を検出した場合には、各無線通信端末に対してそれぞれ決済装置画面を表示する。また複数の決済操作画面を表示した時は、複数の無線通信端末200と通信してそれぞれの無線通信端末と決済処理を実行し、商品を放出することが出来る。
【0032】
さらに、自動販売機1は、後述する無線通信装置30のから取得した無線通信端末の位置情報に基づいて無線通信端末200の位置を認識して、無線通信端末200の位置に対応するように決済操作画面100を表示する。
【0033】
次に、 図3に基づいて無線通信装置30による無線通信端末200の位置検出方法について説明する。図3は、発明の第1の実施形態に係る自動販売機1の無線通信装置30の構成ブロック図である。
【0034】
制御回路32は、スイッチング機能付きの送信回路33及び出力可変回路34とスイッチング機能付きの受信回路35及び受信強度測定回路36、そして信号出力の調整や信号の変調復調を行うCPU37を備える。
【0035】
図3において、送信回路33、受信回路35は、内蔵されたスイッチング機能により必要に応じてアンテナ31a,31bに接続可能であり、また、送信信号出力は出力可変回路34により調整され、受信信号強度は受信強度測定回路36によって測定される。また、図1に示すように、本実施例のアンテナ31aと31bは、自動販売機100の上面の上部の両端部に配置されている。
【0036】
このように構成された無線通信装置30は、常時、無線通信端末200を検出すべくアンテナ31a,31bをスイッチング機能により交互に切り替えて送受信をしている。
【0037】
無線通信装置30のアンテナ31aと31bの其々により検出対象の無線通信端末200との通信する時、無線通信装置30のCPUは、出力可変回路34を制御して送信信号出力を変化させてアンテナ31aと無線通信端末200が通信可能な最小の送信信号出力P1と、アンテナ31bと無線通信端末200が通信可能な最小の送信信号出力Pm2を測定する。
【0038】
次に、各アンテナのPm1とPm2の和から受信強度を求める。
【0039】
さらに、受信強度とPm1とPm2から無線通信端末200が自動販売機100に対して左右方向にどの位置に近いかを表す位置情報を以下の式により求める。
【0040】
位置情報=Pm1/(Pm1+Pm2)
【0041】
そして、求めた受信強度と位置情報を主制御部10へ出力する。
【0042】
自動販売機1の主制御部10は、取得した位置情報が“0”に近ければ無線通信端末200がアンテナ31aに近い位置、すなわち自動販売機1の左側付近に有ると認識する。また、位置情報が1に近ければ、無線通信端末200がアンテナ31bに近い位置、すなわち自動販売機1の右側付近に近い位置に有ると認識する。さらに、取得した受信強度が強い時無線通信端末200が自動販売機1から近い位置にあると認識する。
【0043】
図3に示すように、無線通信装置30が無線通信端末200aと無線通信端末200bを検出した場合には、各無線通信端末に対して上記のPm1とPm2を測定し、各無線通信端末200a、200bの位置情報と受信強度情報を求め、其々を主制御部10へ出力する。主制御部10は、位置情報と受信強度情報に基づいて図3に示す無線通信端末200aが自動販売機の前面の左側付近にあり、無線端末200bが自動販売機の前面の右側付近にあることを認識する。
【0044】
次に主制御部10が表示位置制御部として機能してタッチセンサ付きディスプレイ40に決済操作画面100する際の、決済操作画面100の数や配置位置の制御について説明する。
【0045】
図4は、主制御部10による決済操作画面100の数や位置の制御を説明する為のフローチャートである。
【0046】
主制御部10は、無線通信装置30から無線通信端末200の端末情報、受信信号強度、位置情報を取得すると、本フローを開始する。
【0047】
ステップ1において、取得した端末情報の数Xが1か否かを判別する。
ステップ1において、Xが1の場合、すなわち検出された無線通信端末が一つの時(ステップ1でYes)、ステップ2において取得した無線通信端末の位置情報に基づいて、決済操作画面100を表示する表示枠101a、101b、101c、101dの中から最も無線通信端末200に近い位置にある表示枠へ決済操作画面100を表示する。
【0048】
ステップ1において、Xが1以外の時(ステップ1でNo)、ステップ3においてXが2か否かを判別する。
ステップ3でXが2の時(ステップ3でYes)、ステップ4において、無線通信端末の位置情報に基づいて最も左側と認識される無線通信端末から順番に検出された無線通信端末に番号を付与する。
【0049】
次にステップ5において、ステップ4にて1番目と順番づけられた無線通信端末(すなわち一番左とみなされた無線通信端末)に対応する決済操作画面を一番左の101aに表示する。また2番目と順番づけられた無線通信端末に対応する決済操作画面を一番右の101dに表示する。
【0050】
ステップ3において、Xが2以外である時(ステップ3でNo)、ステップ6へ進み、Xが4以下か否かを判別する。
【0051】
ステップ6においてXが4以下の時、すなわち検出された無線通信端末が3つまたは4つの時(ステップ6でYes)、ステップ7へ進み、無線通信端末の位置情報に基づいて最も左側と認識されるものから順番に無線通信端末に番号を付与する。
【0052】
次にステップ8において、前記順番によって自動販売機の前面左側の表示枠101a、101b、101c、101dと、付与された番号の小さい順に無線通信端末に対応する決済操作画面を並べて配置する。
【0053】
ステップ6においてXが5以上の時(ステップ6でNo)は、ステップ9へ進み、検出した複数の無線通信端末の各受信信号強度を比較して、受信信号強度が強い上位4つの無線通信端末を選択する。
【0054】
次にステップ7において選択された4つの無線通信端末の端末情報に対して、無線通信端末の位置情報に基づいて最も左側と認識されるものから順番に無線通信端末に番号を付与する。
【0055】
次にステップ8において、前記順番によって自動販売機の前面左側の表示枠101a、101b、101c、101dと、付与された番号の小さい順に無線通信端末に対応する決済操作画面100を並べて配置する。
【0056】
上述したステップが全て終了すると自動販売機1の主制御10は、決済操作画面100の表示処理を終了し、スタートへ戻る。決済操作画面100は、無線通信端末を検出している間表示され、自動販売機の主制御部10は、無線通信端末を表示中、顧客による商品の選択を待つ状態となる。なお決済操作画面の表示中も常時図4の処理は定期的に繰り返され、無線通信端末200の受信強度や位置に応じて決済操作画面100の表示や位置が切り替わる。
【0057】
このように複数の無線通信端末を検出した場合には、自動販売機に最も近づいているとみなされた上位4つの無線通信端末に応じて決済装置画面を表示することで、自動販売機に近い顧客4人が同時に自動販売機で商品購入をすることが可能になる。
【0058】
次に実際に顧客が決済操作画面100を操作して商品を購入する方法を図5を参照して詳細に説明する。
【0059】
ここでは、購入者Aが無線通信端末200aを所持しており、購入者Bが無線通信端末200bを所持しているものとし、この2人が、同時に自動販売機1で別々に商品の購入をする例を用いて説明する。
無線通信端末200aには、端末情報として購入者Aを識別する人物識別情報(ニックネーム)として“竹ちゃん”が記憶されているとともに、購入商品履歴が記憶されている。さらに購入頻度が最も高い商品を決済操作画面100に表示するように設定情報が記憶されているものとする。また電子マネーが記憶されている。
一方、購入者Bが所持する無線通信端末200bには、端末情報として購入者Bを識別する人物識別情報(ニックネーム)として“梅ちゃん”が記憶されているとともに、購入商品の履歴が記憶されている。さらに最新の人気商品を決済操作画面100に表示するように設定が記憶されているものとする。また電子マネーが記憶されている。
【0060】
図5は、自動販売機1のタッチセンサ付き電子ディスプレイ40に表示された決済装置画面100を説明する図である。
【0061】
図5に示す自動販売機1は、図3において無線通信端末200aと無線通信端末200bが検出された時の、自動販売機1の状態を示す図でもある。
図中左側が自動販売機1の前面を示しており、右側は、各無線通信端末200aと無線通信端末200bに対応する決済装置画面100aと100bを拡大して示している。
【0062】
図5に示すように、自動販売機1は、図3に示すように無線通信端末200aを自動販売機1の前面の向かって左側と検出し、無線通信端末200bを自動販売機1の前面の向かって右側に検出すると、無線通信端末200aと200dの位置情報基と端末情報に基づいて、各無線通信端末に対応する決済装置画面100a、100bをそれぞれ表示する。
【0063】
決済操作画面100a、100bは、各無線通信端末200aと200bに記憶された端末情報や設定情報に基づいて構成されており、決済操作画面100の上段には、無線通信端末から読み取った顧客のニックネームを表示する。中段には無線通信端末に記憶された設定情報に基づいて顧客の指定する情報を表示する。下段には、予め自動販売機に設定された固定情報が表示する。
【0064】
本実施例の場合、決済装置画面100aには、無線通信端末200aから読み取ったニックネーム“竹ちゃん”を上段に表示している。また中段には、RFIDに記憶された設定に基づいて顧客の好みの商品として顧客の購入頻度が高い商品案内を表示している。下段には、予め自動販売機に設定された固定情報が表示している。
【0065】
決済装置画面100bには、無線通信端末200bから読み取ったニックネーム“梅ちゃん”を上段に表示している。また中段には、RFIDに記憶された設定に基づいて人気商品ベスト3を表示している。人気商品のベスト3は、自動販売機1の記憶手段から読みだして表示する。下段には、予め自動販売機に設定された固定情報が表示している。
【0066】
ここで、自動販売機1は、決済画面100aの商品情報に触れられたことタッチセンサ41からの出力に基づいて検知すると、商品の選択と決済を指示されたと見做し、選択された商品の代金を、決済操作画面100aに表示されたニックネームが記憶されている無線通信端末200aを指定して代金を電子マネーにより取得する決済処理を実行する。さらに商品搬出機構部を駆動して商品を案払出口へ案内する。
【0067】
このように本発明の1実施形態における自動販売機1では、複数の顧客が自動販売機の前に立った時、顧客が所持する無線通信端末の数や位置を検出して無線通信端末の数や位置に対応して決済操作画面を表示することで、複数の顧客が同時に別々に商品の選択や決済の処理を実行して商品を購入することが可能になるので、スーパーマーケットやコンビニエンスストアにおける商品の購入時のように、複数の顧客が同時に別々に商品を選択して別々に決済することができるようになり、複数の購入者同士がコミュニケーションをすることで買い物を楽しむことが出来る。また、自動販売機を利用する顧客数が多い場合であっても、顧客が商品購入を待たされる時間を少なくすることができる。
【0068】
本実施例では決済操作画面100の商品情報にタッチすると商品の選択と決済の指示をされたとみなす例を用いて説明したが、商品情報とは別に決済ボタンを決済操作画面上に表示する構成としてもよい。このように構成するとより顧客の決済意思を確実に確認できるようになる。
【0069】
尚、自動販売機が無線通信端末を検出して決済操作画面を表示する時、無線通信端末が所定の受信強度内に3秒以上有る時に表示するように設定することもできる。このように設定をすることで自動販売機での商品購入意思のない通りすがりの人に対して決済操作画面が表示されることが抑えられる。
【0070】
本実施例では、自動販売機1の主制御部10が、決済操作画面の表示位置制御部と決済処理部を兼ね備えた構成を用いた例で説明したが、決済処理部や表示位置制御部をそれぞれ独立したCPU等から成る制御部として設けることも出来る。
【0071】
本実施例では、無線通信端末にパッシブタイプのRFIDを用いて説明したが、本発明に利用できる無線通信端末は、アクティブタイプのRFIDであっても適用できるほか、公知の無線通信が可能な端末であれば適用出来る。
【0072】
本実施例では、無線通信端末と通信することで電子マネーによる決済を実行する例を説明したが、本発明に係わる自動販売機は、無線通信端末から読み取った端末情報に基づいて、公知のクレジットカード等と同様に後払い方式で決済することも可能である。
【0073】
また、決済操作画面を表示した際や商品を購入時等に、スピーカ51により呼びかけや操作の案内をすることも出来る。
【0074】
また、決済時に決済をする顧客を確認するために、タッチセンサに対して顧客に暗証番号やサイン等を入力させるとともに、無線通信端末200に予め記憶された顧客を特定出来る暗証番号やサインを無線通信装置30によって取得して、無線通信端末200に記憶された暗証番号やサインとタッチパネルから入力された暗証番号あるいはサインを照合することで決済する顧客を確認できるようにすることも出来る。
【符号の説明】
【0075】
1 自動販売機
2 硬貨投入口
3 釣り銭返却レバー
4 釣り銭返却口
5 紙幣挿入口
6 商品払出口
10 主制御部
11 硬貨処理装置
12 紙幣処理装置
13 商品搬出機構
14 非接触ICカードリーダライタ
15 アンテナ
16 無線通信装置
31a 無線通信装置30のアンテナ
31b 無線通信装置30のアンテナ
32 制御回路
33 送信回路
34 出力可変回路
35 受信回路
36 受信強度測定回
37 CPU
40 タッチセンサ付きディスプレイ
41 タッチセンサ
42 入力制御部
43 表示出力制御部
44 電子ディスプレイ(液晶ディスプレイ)
50 音声出力装置
51 スピーカ
100 決済操作画面
100a 決済操作画面
100b 決済操作画面
101a 決済操作画面を表示する表示枠
101b 決済操作画面を表示する表示枠
101c 決済操作画面を表示する表示枠
101d 決済操作画面を表示する表示枠
200 無線通信端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客を識別できる端末情報を記憶した無線通信端末と通信する無線通信装置と、
タッチセンサ付き電子ディスプレイと、
前記無線通信装置が取得した前記端末情報と販売する商品情報を少なくとも表示するとともに顧客が商品の選択と決済の指示をする為の決済操作画面を前記タッチセンサ付き電子ディスプレイに表示する制御部を備えた自動販売機であって、
前記制御部は前記無線通信装置が複数の前記無線通信端末を検出した時、
該複数の無線通信端末の其々の端末情報を取得して、
該取得した複数の該端末情報に対応する複数の決済操作画面を表示することを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
請求項1記載の自動販売機であって、前記制御部は予め定められた決済操作画面の表示可能数を記憶し、
前記無線通信装置は前記無線通信端末から受ける受信信号の強度を検出する受信強度測定回路を備え、
前記制御部は、前記表示可能数より多くの前記無線通信端末から端末情報を受信した時、
複数の該無線通信端末から受ける受信信号を比較して受信強度が強い無線通信端末を優先して前記表示上限数まで表示することを特徴とする自動販売機。
【請求項3】
請求項1記載の自動販売機であって、前記無線通信装置は複数のアンテナを備え、
前記制御部は、前記複数のアンテナが前記無線通信端末から受ける端末情報の受信信号の強度に基づいて該無線通信端末の位置を特定し、前記タッチセンサ付き電子ディスプレイ上の該無線通信端末に近い位置に決済操作画面を表示することを特徴とする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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