自動車のドアヒンジ装置
【課題】ドアヒンジが,ドアを,どのような開度でも保持し得る無段のドアチェック機能を発揮し得るようにした,自動車のドアヒンジ装置を提供する。
【解決手段】第1ブラケット1に一体的に結合されてヒンジピン5の外周に回転可能に嵌合する内側筒体6,16と,第2ブラケット2に一体的に結合されて内側筒体6を囲繞する外側筒体7と,内側筒体6及び外側筒体7間に配設されて内側筒体6の外周面にそれ自体の弾発力で圧接するチェックばね15と,内側筒体6に設けられてチェックばね15の両端の第1及び第2第1係合部15a,15bにそれぞれ対向配置され,内側筒体6及び外側筒体7の一方と他方の相対回転時に第1及び第2係合部15a,15bを,それぞれチェックばね15の前記圧接を解除する方向に変位させる第1及び第2制御部16a,16bとを備える。
【解決手段】第1ブラケット1に一体的に結合されてヒンジピン5の外周に回転可能に嵌合する内側筒体6,16と,第2ブラケット2に一体的に結合されて内側筒体6を囲繞する外側筒体7と,内側筒体6及び外側筒体7間に配設されて内側筒体6の外周面にそれ自体の弾発力で圧接するチェックばね15と,内側筒体6に設けられてチェックばね15の両端の第1及び第2第1係合部15a,15bにそれぞれ対向配置され,内側筒体6及び外側筒体7の一方と他方の相対回転時に第1及び第2係合部15a,15bを,それぞれチェックばね15の前記圧接を解除する方向に変位させる第1及び第2制御部16a,16bとを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,ボディ及びドアの一方に固着される第1ブラケット,それらの他方に固着される第2ブラケット,及びこれら両ブラケットを相対回動可能に連結するヒンジピンを備える,自動車のドアヒンジ装置に関し,特にドアのチェック位置を問わない,つまりドアをどのような開度位置でも保持し得るドアヒンジ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動車では,一般的に,ボディのドアを連結するドアヒンジの他に,ドアを所定の開度位置に保持するためのドアチェッカが設けられる。そのドアチェッカは,特許文献1に開示されるように,ドアに固着されるケースと,ボディに軸支されてケースを移動可能に貫通するチェックプレートと,ケースに保持されてチェックプレートに向かって進退し得るシューホルダと,このシューホルダに保持されて,ケース及びチェックプレートの相対移動に伴ないチェックプレート上を摺動するシューと,このシューをチェックプレートに圧接すべくケース内でシューホルダをチェックプレート側に弾発するチェックばねとを備え,チェックプレートには,シューが係合するデテントノッチを形成し,このデテントノッチとシューとの係合力によりドアを規定の開度に停止,保持するようにしたものが多い。
【特許文献1】特公平3−13392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来のドアチェッカでは,ドアを保持する開度が節度的に規定されているから,規定開度以外では,ドアを停止,保持することはできない。またそのドアチェッカは,ドアヒンジと並んでボディ及びドア間に取り付けられるので,全体として部品点数が多く,組立工数も多くなり,コストの低減に限界があり,また外観上も好ましくない。
【0004】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,ドアヒンジが,ドアを,どのような開度でも保持し得る無段のドアチェック機能を発揮し得るようにした,自動車のドアヒンジ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために,本発明は,ボディ及びドアの一方に固着される第1ブラケット,それらの他方に固着される第2ブラケット,及びこれら両ブラケットを相対回動可能に連結するヒンジピンを備える,自動車のドアヒンジ装置において,第1ブラケットに一体的に結合されてヒンジピンの外周に回転可能に嵌合する内側筒体と,第2ブラケットに一体的に結合されて内側筒体を囲繞する外側筒体と,内側筒体及び外側筒体間に配設されて内側筒体の外周面又は外側筒体の内周面にそれ自体の弾発力で圧接するチェックばねと,内側筒体及び外側筒体の一方に設けられてチェックばねの一端の第1係合部に対向配置され,内側筒体及び外側筒体の一方の相対回転時に該第1係合部を,チェックばねの前記圧接を解除する方向に変位させる第1制御部と,同じく内側筒体及び外側筒体の一方に設けられてチェックばねの他端の第2係合部に対向配置され,内側筒体及び外側筒体の他方の相対回転時に該第2係合部を,チェックばねの前記圧接を解除する方向に変位させる第2制御部とを備えることを第1の特徴とする。
【0006】
また本発明は,第1の特徴に加えて,チェックばねを,これが外側筒体の内周面に圧接するように構成すると共に,第1及び第2制御部を内側筒体に設けたことを第2の特徴とする。
【0007】
さらに本発明は,第1の特徴に加えて,チェックばねを,これが内側筒体の外周面に圧接するように構成すると共に,第1及び第2制御部を外側筒体に設けたことを第3の特徴とする。
【0008】
さらにまた本発明は,第1〜第3の特徴の何れかに加えて,チェックばねをコイルばねで構成したことを第4の特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1の特徴によれば,雌ブラケット及び雄ブラケットをヒンジピンにより連結してなるドアヒンジに,内側筒体,外側筒体及びチェックばねを組み込むことにより,ドアヒンジに,ドアチェック機能を付与するようにしたので,全体として部品点数が少なく,したがって組立工数も少なく,コストの低減及び外観の向上に寄与し得るドアヒンジ装置を提供することができる。しかも,そのドアチェック機能は,ドアを,どのような開度でも保持し得るので,常にドアの妄動を防ぐことができる。
【0010】
本発明の第2の特徴によれば,チェックばねの拡張弾発力により,チェックばね及び外側筒体間に大なる摩擦力を発生させ,これによりドアを任意の開度位置に保持することができる。
【0011】
本発明の第3の特徴によれば,チェックばねの収縮弾発力により,チェックばね及び内側筒体間に大なる摩擦力を発生させ,これによりドアを任意の開度位置に保持することができる。
【0012】
本発明の第4の特徴によれば,チェックばねをコイルばねで構成することで,チェックばねの全周面を外側筒体の内周面又は内側筒体の外周面に確実に圧接させることができ,ドアに対する保持力を常に安定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の形態を,添付図面に示す本発明の好適な実施例に基づいて以下に説明する。
【0014】
本発明の実施の形態を,添付図面に示す本発明の実施例に基づいて以下に説明する。
【0015】
図1は本発明の第1実施例に係るドアヒンジ装置を備える自動車の要部斜視図,図2は図1の2部拡大図,図3は図2の3−3線拡大断面図,図4は図3の4−4線断面図(ドアの全閉状態を示す。),図5は図4の5−5線断面図,図6は上記ドアヒンジ装置の分解斜視図,図7はドアの中間開度保持状態を示す,図4との対応図,図8はドアの全開状態を示す,図4との対応図,図9は本発明の第2実施例を示す,図4との対応図(ドアの全閉状態を示す。),図10はドアの中間開度保持状態を示す,図9との対応図,図11はドアの全開状態を示す,図9との対応図,図12は前記第1実施例中のチェックばねの変形例を示す斜視図,図13は前記第2実施例中のチェックばねの変形例を示す斜視図である。
【0016】
先ず,図1〜図8に示す本発明の第1実施例の説明より始める。
【0017】
図1及び図2において,自動車のボディBに,その乗降口を開閉すべくドアDが上下一対のドアヒンジH(図には,その内の一つを示す。)を介して回動可能に取付けられる。各ドアヒンジHは,ボディBに複数のボルト3,3で固着される雌ブラケット1と,ドアDに複数のボルト4,4で固着される雄ブラケット2と,これら両ブラケット1,2を相対回動可能に連結すべく鉛直方向に配置されるヒンジピン5とで構成される。
【0018】
図2〜図6に示すように,上記一対のドアヒンジHの内の一方又は両方に,更に次のような構成が付与される。
【0019】
雌ブラケット1の上下一対の雌アーム部1a,1aの内側に,雄ブラケット2の上下一対の雄アーム部2a,2aがそれぞれ隣接して配置され,これらを上下に貫通するように前記ヒンジピン5が配置される。このヒンジピン5の外周には,雌アーム部1a,1aを貫通する内側筒体6が相対回転可能に嵌合され,この内側筒体6の両端部は雌アーム部1a,1aに,それらの対向面にそれぞれ設けられる各複数の凸部8及び凹部9の係合により一体的に結合され,その結合状態は,ヒンジピン5の頭部5a及びかしめ端部5bにより保持される。
【0020】
一対の雄アーム部2a,2aの内側面には,内側筒体6に貫通される一対の蓋板10,10がそれぞれリベット13,13により固着され,互いに固着された各雄アーム部2a及び蓋板10には,内側筒体6を回転自在に支承する共通の軸受ブッシュ11が装着される。
【0021】
一対の蓋板10,10の相対向面には,内側筒体6と同心の円形の連結ボス10a,10aがそれぞれ一体に形成されており,これら連結ボス10a,10aの外周面に外側筒体7の両端部が圧入されて固着される。したがって,この外側筒体7は,内側筒体6を同心上で囲繞するように配置されることになり,この外側筒体7内にチェックばね15が収容される。このチェックばね15は,コイルばねよりなるもので,その自由状態では,外径が外側筒体7の内径より大きく設定されており,これを半径方向に収縮させて外側筒体7に挿入し,収縮力を解除することにより,チェックばね15は,それ自体の拡張弾発力で外側筒体7の内周面に圧接するように配設される。
【0022】
図4〜図6に示すように,チェックばね15の両端には,該ばねの素線端末を半径方向内方に屈曲してなる第1及び第2係合部15a,15bが形成されており,これら第1及び第2係合部15a,15bの,チェックばね15の周方向に沿う内側面にそれぞれ微小間隙を存して対向する第1及び第2制御部16a,16bが内側筒体6の外周に形成される。
【0023】
図4及び図8に示すように,雌ブラケット1及び雄ブラケット2には,互いに当接可能に対向する固定ストッパ部19及び可動ストッパ部18がそれぞれ形成され,これらが互いに当接することでドアDの全開位置が規制されるようになっている。
【0024】
次に,この第1実施例の作用について説明する。
【0025】
内側筒体6は,ボディBに固着される雌ブラケット1に一体的に結合され,外側筒体7は,ドアDに固着される雄ブラケット2に一体的に結合されるので,内側筒体6及び外側筒体7は,ドアDの開閉に伴ない相対的に回転することになる。
【0026】
一方,外側筒体7内に配置されるチェックばね15は,通常,それ自体の拡張弾発力により外側筒体7の内周面に圧接していているため,外側筒体7及びチェックばね15間には,それらの相対回転に抵抗する大なる摩擦力が発生している。また内側筒体6の第1及び第2制御部16a,16bは,チェックばね15の回転を阻止するように,その第1及び第2係合部15a,15bに対向する。
【0027】
したがって,例えば図4,図7及び図8に示すように,ドアDがどのような開度位置にあろうとも,無負荷状態に置かれるときは,チェックばね15及び外側筒体7間の大なる摩擦力により,ドアDをその任意の停止位置に保持することができる。
【0028】
図7に示すように,例えば任意の中間開度位置に保持されるドアDに所定値以上の開き操作力Oを加えれば,内側筒体6の第1制御部16aがチェックばね15の第1係合部15aを相対的に押動してチェックばね15を絞り込み,これによりチェックばね15を半径方向に収縮させ,チェックばね15と外側筒体7との間の摩擦力を減少させるため,外側筒体7及びチェックばね15間に滑りを生じさせながら,ドアDをスムーズに開くことができる。
【0029】
またドアDに所定値以上の閉じ操作力Cを加えれば,今度は内側筒体6の第2制御部16bがチェックばね15の第2係合部15bを押動して,同じくチェックばね15を絞り込み,これによりチェックばね15を半径方向に収縮させ,チェックばね15と外側筒体7との間の摩擦力を減少させるため,外側筒体7及びチェックばね15間に滑りを生じさせながら,ドアDをスムーズに閉じることができる。
【0030】
上記のようにしてドアDを開き方向又は閉じ方向に回動して,任意の開度位置でドアDに対する開き操作力O又は閉じ操作力Cを解除すれば,ドアDは再び無負荷状態となり,前述のようにチェックばね15及び外側筒体7間に発生する大なる摩擦力により,そのドアDを,その任意の停止位置に保持することができる。
【0031】
上記のように,雌ブラケット1及び雄ブラケット2をヒンジピン5により連結してなるドアヒンジHに,内側筒体6,外側筒体7及びチェックばね15を組み込むことにより,ドアヒンジHに,ドアチェック機能を付与するようにしたので,全体として部品点数が少なく,したがって組立工数も少なく,コストの低減及び外観の向上に寄与し得るドアチェック装置を提供することができ,しかも,そのドアチェック機能は,ドアを,どのような開度でも保持し得るので,常にドアの妄動を防ぐことができる。
【0032】
またチェックばね15を収容する外側筒体7の両端の開放面は,一対の蓋板10,10により閉塞されるので,外観を一層良好にすることができると共に,外側筒体7内への塵埃等の侵入を防ぎ,チェックばね15及び外側筒体7間の摩擦力特性の安定化を図ることができる。
【0033】
さらにチェックばね15はコイルばねで構成されるので,その全周面を外側筒体7の内周面に確実に圧接させることができ,ドアDに対する保持力を常に安定させることができる。
【0034】
次に,図9〜図11に示す本発明の第2実施例について説明する。
【0035】
この第2実施例では,コイルばねよりなるチェックばね115を,その自由状態では,内径が内側筒体16の外径より小さくなるに構成し,これを半径方向に拡張させて内側筒体16の外周に嵌めた後,拡張力を解除することにより,チェックばね115は,それ自体の収縮弾発力で内側筒体16の外周面に圧接するように配設される。
【0036】
チェックばね115の両端には,該ばねの素線端末を半径方向外方に屈曲してなる第1及び第2係合部115a,115bが形成され,これら第1及び第2係合部115a,115bの,チェックばね115の周方向に沿う内側面にそれぞれ微小間隙を存して対向する第1及び第2制御部116a,116bが外側筒体17の外周に形成される。その他の構成は前実施例と同様であるので,図9〜図11中,前実施例と対応する部分には同一の参照符号を付して,重複する説明を省略する。
【0037】
而して,外側筒体17内に配置されるチェックばね115は,通常,それ自体の収縮弾発力により内側筒体16の内周面に圧接していているため,内側筒体16及びチェックばね115間には,それらの相対回転に抵抗する大なる摩擦力が発生している。また外側筒体17の第1及び第2制御部116a,116bは,チェックばね115の回転を阻止するように,その第1及び第2係合部115a,115bに対向する。
【0038】
したがって,例えば図9〜図11に示すように,ドアDがどのような開度位置にあろうとも,無負荷状態に置かれるときは,チェックばね115及び内側筒体16間の大なる摩擦力により,ドアDをその任意の停止位置に保持することができる。
【0039】
図10に示すように,例えば任意の中間開度位置に保持されるドアDに所定値以上の開き操作力Oを加えれば,外側筒体17の第1制御部116aがチェックばね115の第1係合部115aを押動してチェックばね115を半径方向に拡張させ,チェックばね115と内側筒体16との間の摩擦力を減少させるため,内側筒体16及びチェックばね115間に滑りを生じさせながら,ドアDをスムーズに開くことができる。
【0040】
またドアDに所定値以上の閉じ操作力Cを加えれば,今度は外側筒体17の第2制御部116bがチェックばね115の第2係合部115bを押動して,同じくチェックばね115を半径方向に拡張させ,チェックばね115と内側筒体16との間の摩擦力を減少させるため,内側筒体16及びチェックばね115間に滑りを生じさせながら,ドアDをスムーズに閉じることができる。
【0041】
上記のようにしてドアDを開き方向又は閉じ方向に回動して,任意の開度位置でドアDに対する開き操作力O又は閉じ操作力Cを解除すれば,ドアDは再び無負荷状態となり,前述のようにチェックばね115及び外側筒体17間に発生する大なる摩擦力により,そのドアDを,その任意の停止位置に保持することができる。 そして,この第2実施例によっても前記第1実施例と同様の効果を達成することができる。
【0042】
図12は,前記第1実施例中のチェックばね15の変形例を示すもので,この場合のチェックばね215は,板ばねを優弧状に曲げると共に,その両端部を半径方向内方に屈曲させて第1及び第2係合部215a,215bに形成したものであり,その外側筒体7及び内側筒体6への取り付け構造及び機能は,第1実施例と同様である。
【0043】
また図13は,前記第2実施例中のチェックばね115の変形例を示すもので,この場合のチェックばね315は,板ばねを優弧状に曲げると共に,その両端部を半径方向外方に屈曲させて第1及び第2係合部315a,315bに形成したものであり,その外側筒体17及び内側筒体16への取り付け構造及び機能は,第2実施例と同様である。
【0044】
本発明は,上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,雌ブラケット1はドアDに,雄ブラケット2はボディBにそれぞれ固着することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1実施例に係るドアヒンジ装置を備える自動車の要部斜視図。
【図2】図1の2部拡大図。
【図3】図2の3−3線拡大断面図。
【図4】図3の4−4線断面図(ドアの全閉状態を示す。)。
【図5】図4の5−5線断面図。
【図6】上記ドアヒンジ装置の分解斜視図。
【図7】ドアの中間開度保持状態を示す,図4との対応図。
【図8】ドアの全開状態を示す,図4との対応図。
【図9】本発明の第2実施例を示す,図4との対応図(ドアの全閉状態を示す。)。
【図10】ドアの中間開度保持状態を示す,図9との対応図。
【図11】ドアの全開状態を示す,図9との対応図。
【図12】前記第1実施例中のチェックばねの変形例を示す斜視図。
【図13】前記第2実施例中のチェックばねの変形例を示す斜視図。
【符号の説明】
【0046】
B・・・・・ボディ
D・・・・・ドア
H・・・・・ドアヒンジ
1・・・・・第1ブラケット(雌ブラケット)
2・・・・・第2ブラケット(雄ブラケット)
5・・・・・ヒンジピン
6,16・・・内側筒体
7,17・・・外側筒体
15,115,215,315・・・チェックばね
15a,115a・・・第1係合部
15b,115b・・・第2係合部
16a,116a・・・第1制御部
16b,116b・・・第2制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は,ボディ及びドアの一方に固着される第1ブラケット,それらの他方に固着される第2ブラケット,及びこれら両ブラケットを相対回動可能に連結するヒンジピンを備える,自動車のドアヒンジ装置に関し,特にドアのチェック位置を問わない,つまりドアをどのような開度位置でも保持し得るドアヒンジ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動車では,一般的に,ボディのドアを連結するドアヒンジの他に,ドアを所定の開度位置に保持するためのドアチェッカが設けられる。そのドアチェッカは,特許文献1に開示されるように,ドアに固着されるケースと,ボディに軸支されてケースを移動可能に貫通するチェックプレートと,ケースに保持されてチェックプレートに向かって進退し得るシューホルダと,このシューホルダに保持されて,ケース及びチェックプレートの相対移動に伴ないチェックプレート上を摺動するシューと,このシューをチェックプレートに圧接すべくケース内でシューホルダをチェックプレート側に弾発するチェックばねとを備え,チェックプレートには,シューが係合するデテントノッチを形成し,このデテントノッチとシューとの係合力によりドアを規定の開度に停止,保持するようにしたものが多い。
【特許文献1】特公平3−13392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来のドアチェッカでは,ドアを保持する開度が節度的に規定されているから,規定開度以外では,ドアを停止,保持することはできない。またそのドアチェッカは,ドアヒンジと並んでボディ及びドア間に取り付けられるので,全体として部品点数が多く,組立工数も多くなり,コストの低減に限界があり,また外観上も好ましくない。
【0004】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,ドアヒンジが,ドアを,どのような開度でも保持し得る無段のドアチェック機能を発揮し得るようにした,自動車のドアヒンジ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために,本発明は,ボディ及びドアの一方に固着される第1ブラケット,それらの他方に固着される第2ブラケット,及びこれら両ブラケットを相対回動可能に連結するヒンジピンを備える,自動車のドアヒンジ装置において,第1ブラケットに一体的に結合されてヒンジピンの外周に回転可能に嵌合する内側筒体と,第2ブラケットに一体的に結合されて内側筒体を囲繞する外側筒体と,内側筒体及び外側筒体間に配設されて内側筒体の外周面又は外側筒体の内周面にそれ自体の弾発力で圧接するチェックばねと,内側筒体及び外側筒体の一方に設けられてチェックばねの一端の第1係合部に対向配置され,内側筒体及び外側筒体の一方の相対回転時に該第1係合部を,チェックばねの前記圧接を解除する方向に変位させる第1制御部と,同じく内側筒体及び外側筒体の一方に設けられてチェックばねの他端の第2係合部に対向配置され,内側筒体及び外側筒体の他方の相対回転時に該第2係合部を,チェックばねの前記圧接を解除する方向に変位させる第2制御部とを備えることを第1の特徴とする。
【0006】
また本発明は,第1の特徴に加えて,チェックばねを,これが外側筒体の内周面に圧接するように構成すると共に,第1及び第2制御部を内側筒体に設けたことを第2の特徴とする。
【0007】
さらに本発明は,第1の特徴に加えて,チェックばねを,これが内側筒体の外周面に圧接するように構成すると共に,第1及び第2制御部を外側筒体に設けたことを第3の特徴とする。
【0008】
さらにまた本発明は,第1〜第3の特徴の何れかに加えて,チェックばねをコイルばねで構成したことを第4の特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1の特徴によれば,雌ブラケット及び雄ブラケットをヒンジピンにより連結してなるドアヒンジに,内側筒体,外側筒体及びチェックばねを組み込むことにより,ドアヒンジに,ドアチェック機能を付与するようにしたので,全体として部品点数が少なく,したがって組立工数も少なく,コストの低減及び外観の向上に寄与し得るドアヒンジ装置を提供することができる。しかも,そのドアチェック機能は,ドアを,どのような開度でも保持し得るので,常にドアの妄動を防ぐことができる。
【0010】
本発明の第2の特徴によれば,チェックばねの拡張弾発力により,チェックばね及び外側筒体間に大なる摩擦力を発生させ,これによりドアを任意の開度位置に保持することができる。
【0011】
本発明の第3の特徴によれば,チェックばねの収縮弾発力により,チェックばね及び内側筒体間に大なる摩擦力を発生させ,これによりドアを任意の開度位置に保持することができる。
【0012】
本発明の第4の特徴によれば,チェックばねをコイルばねで構成することで,チェックばねの全周面を外側筒体の内周面又は内側筒体の外周面に確実に圧接させることができ,ドアに対する保持力を常に安定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の形態を,添付図面に示す本発明の好適な実施例に基づいて以下に説明する。
【0014】
本発明の実施の形態を,添付図面に示す本発明の実施例に基づいて以下に説明する。
【0015】
図1は本発明の第1実施例に係るドアヒンジ装置を備える自動車の要部斜視図,図2は図1の2部拡大図,図3は図2の3−3線拡大断面図,図4は図3の4−4線断面図(ドアの全閉状態を示す。),図5は図4の5−5線断面図,図6は上記ドアヒンジ装置の分解斜視図,図7はドアの中間開度保持状態を示す,図4との対応図,図8はドアの全開状態を示す,図4との対応図,図9は本発明の第2実施例を示す,図4との対応図(ドアの全閉状態を示す。),図10はドアの中間開度保持状態を示す,図9との対応図,図11はドアの全開状態を示す,図9との対応図,図12は前記第1実施例中のチェックばねの変形例を示す斜視図,図13は前記第2実施例中のチェックばねの変形例を示す斜視図である。
【0016】
先ず,図1〜図8に示す本発明の第1実施例の説明より始める。
【0017】
図1及び図2において,自動車のボディBに,その乗降口を開閉すべくドアDが上下一対のドアヒンジH(図には,その内の一つを示す。)を介して回動可能に取付けられる。各ドアヒンジHは,ボディBに複数のボルト3,3で固着される雌ブラケット1と,ドアDに複数のボルト4,4で固着される雄ブラケット2と,これら両ブラケット1,2を相対回動可能に連結すべく鉛直方向に配置されるヒンジピン5とで構成される。
【0018】
図2〜図6に示すように,上記一対のドアヒンジHの内の一方又は両方に,更に次のような構成が付与される。
【0019】
雌ブラケット1の上下一対の雌アーム部1a,1aの内側に,雄ブラケット2の上下一対の雄アーム部2a,2aがそれぞれ隣接して配置され,これらを上下に貫通するように前記ヒンジピン5が配置される。このヒンジピン5の外周には,雌アーム部1a,1aを貫通する内側筒体6が相対回転可能に嵌合され,この内側筒体6の両端部は雌アーム部1a,1aに,それらの対向面にそれぞれ設けられる各複数の凸部8及び凹部9の係合により一体的に結合され,その結合状態は,ヒンジピン5の頭部5a及びかしめ端部5bにより保持される。
【0020】
一対の雄アーム部2a,2aの内側面には,内側筒体6に貫通される一対の蓋板10,10がそれぞれリベット13,13により固着され,互いに固着された各雄アーム部2a及び蓋板10には,内側筒体6を回転自在に支承する共通の軸受ブッシュ11が装着される。
【0021】
一対の蓋板10,10の相対向面には,内側筒体6と同心の円形の連結ボス10a,10aがそれぞれ一体に形成されており,これら連結ボス10a,10aの外周面に外側筒体7の両端部が圧入されて固着される。したがって,この外側筒体7は,内側筒体6を同心上で囲繞するように配置されることになり,この外側筒体7内にチェックばね15が収容される。このチェックばね15は,コイルばねよりなるもので,その自由状態では,外径が外側筒体7の内径より大きく設定されており,これを半径方向に収縮させて外側筒体7に挿入し,収縮力を解除することにより,チェックばね15は,それ自体の拡張弾発力で外側筒体7の内周面に圧接するように配設される。
【0022】
図4〜図6に示すように,チェックばね15の両端には,該ばねの素線端末を半径方向内方に屈曲してなる第1及び第2係合部15a,15bが形成されており,これら第1及び第2係合部15a,15bの,チェックばね15の周方向に沿う内側面にそれぞれ微小間隙を存して対向する第1及び第2制御部16a,16bが内側筒体6の外周に形成される。
【0023】
図4及び図8に示すように,雌ブラケット1及び雄ブラケット2には,互いに当接可能に対向する固定ストッパ部19及び可動ストッパ部18がそれぞれ形成され,これらが互いに当接することでドアDの全開位置が規制されるようになっている。
【0024】
次に,この第1実施例の作用について説明する。
【0025】
内側筒体6は,ボディBに固着される雌ブラケット1に一体的に結合され,外側筒体7は,ドアDに固着される雄ブラケット2に一体的に結合されるので,内側筒体6及び外側筒体7は,ドアDの開閉に伴ない相対的に回転することになる。
【0026】
一方,外側筒体7内に配置されるチェックばね15は,通常,それ自体の拡張弾発力により外側筒体7の内周面に圧接していているため,外側筒体7及びチェックばね15間には,それらの相対回転に抵抗する大なる摩擦力が発生している。また内側筒体6の第1及び第2制御部16a,16bは,チェックばね15の回転を阻止するように,その第1及び第2係合部15a,15bに対向する。
【0027】
したがって,例えば図4,図7及び図8に示すように,ドアDがどのような開度位置にあろうとも,無負荷状態に置かれるときは,チェックばね15及び外側筒体7間の大なる摩擦力により,ドアDをその任意の停止位置に保持することができる。
【0028】
図7に示すように,例えば任意の中間開度位置に保持されるドアDに所定値以上の開き操作力Oを加えれば,内側筒体6の第1制御部16aがチェックばね15の第1係合部15aを相対的に押動してチェックばね15を絞り込み,これによりチェックばね15を半径方向に収縮させ,チェックばね15と外側筒体7との間の摩擦力を減少させるため,外側筒体7及びチェックばね15間に滑りを生じさせながら,ドアDをスムーズに開くことができる。
【0029】
またドアDに所定値以上の閉じ操作力Cを加えれば,今度は内側筒体6の第2制御部16bがチェックばね15の第2係合部15bを押動して,同じくチェックばね15を絞り込み,これによりチェックばね15を半径方向に収縮させ,チェックばね15と外側筒体7との間の摩擦力を減少させるため,外側筒体7及びチェックばね15間に滑りを生じさせながら,ドアDをスムーズに閉じることができる。
【0030】
上記のようにしてドアDを開き方向又は閉じ方向に回動して,任意の開度位置でドアDに対する開き操作力O又は閉じ操作力Cを解除すれば,ドアDは再び無負荷状態となり,前述のようにチェックばね15及び外側筒体7間に発生する大なる摩擦力により,そのドアDを,その任意の停止位置に保持することができる。
【0031】
上記のように,雌ブラケット1及び雄ブラケット2をヒンジピン5により連結してなるドアヒンジHに,内側筒体6,外側筒体7及びチェックばね15を組み込むことにより,ドアヒンジHに,ドアチェック機能を付与するようにしたので,全体として部品点数が少なく,したがって組立工数も少なく,コストの低減及び外観の向上に寄与し得るドアチェック装置を提供することができ,しかも,そのドアチェック機能は,ドアを,どのような開度でも保持し得るので,常にドアの妄動を防ぐことができる。
【0032】
またチェックばね15を収容する外側筒体7の両端の開放面は,一対の蓋板10,10により閉塞されるので,外観を一層良好にすることができると共に,外側筒体7内への塵埃等の侵入を防ぎ,チェックばね15及び外側筒体7間の摩擦力特性の安定化を図ることができる。
【0033】
さらにチェックばね15はコイルばねで構成されるので,その全周面を外側筒体7の内周面に確実に圧接させることができ,ドアDに対する保持力を常に安定させることができる。
【0034】
次に,図9〜図11に示す本発明の第2実施例について説明する。
【0035】
この第2実施例では,コイルばねよりなるチェックばね115を,その自由状態では,内径が内側筒体16の外径より小さくなるに構成し,これを半径方向に拡張させて内側筒体16の外周に嵌めた後,拡張力を解除することにより,チェックばね115は,それ自体の収縮弾発力で内側筒体16の外周面に圧接するように配設される。
【0036】
チェックばね115の両端には,該ばねの素線端末を半径方向外方に屈曲してなる第1及び第2係合部115a,115bが形成され,これら第1及び第2係合部115a,115bの,チェックばね115の周方向に沿う内側面にそれぞれ微小間隙を存して対向する第1及び第2制御部116a,116bが外側筒体17の外周に形成される。その他の構成は前実施例と同様であるので,図9〜図11中,前実施例と対応する部分には同一の参照符号を付して,重複する説明を省略する。
【0037】
而して,外側筒体17内に配置されるチェックばね115は,通常,それ自体の収縮弾発力により内側筒体16の内周面に圧接していているため,内側筒体16及びチェックばね115間には,それらの相対回転に抵抗する大なる摩擦力が発生している。また外側筒体17の第1及び第2制御部116a,116bは,チェックばね115の回転を阻止するように,その第1及び第2係合部115a,115bに対向する。
【0038】
したがって,例えば図9〜図11に示すように,ドアDがどのような開度位置にあろうとも,無負荷状態に置かれるときは,チェックばね115及び内側筒体16間の大なる摩擦力により,ドアDをその任意の停止位置に保持することができる。
【0039】
図10に示すように,例えば任意の中間開度位置に保持されるドアDに所定値以上の開き操作力Oを加えれば,外側筒体17の第1制御部116aがチェックばね115の第1係合部115aを押動してチェックばね115を半径方向に拡張させ,チェックばね115と内側筒体16との間の摩擦力を減少させるため,内側筒体16及びチェックばね115間に滑りを生じさせながら,ドアDをスムーズに開くことができる。
【0040】
またドアDに所定値以上の閉じ操作力Cを加えれば,今度は外側筒体17の第2制御部116bがチェックばね115の第2係合部115bを押動して,同じくチェックばね115を半径方向に拡張させ,チェックばね115と内側筒体16との間の摩擦力を減少させるため,内側筒体16及びチェックばね115間に滑りを生じさせながら,ドアDをスムーズに閉じることができる。
【0041】
上記のようにしてドアDを開き方向又は閉じ方向に回動して,任意の開度位置でドアDに対する開き操作力O又は閉じ操作力Cを解除すれば,ドアDは再び無負荷状態となり,前述のようにチェックばね115及び外側筒体17間に発生する大なる摩擦力により,そのドアDを,その任意の停止位置に保持することができる。 そして,この第2実施例によっても前記第1実施例と同様の効果を達成することができる。
【0042】
図12は,前記第1実施例中のチェックばね15の変形例を示すもので,この場合のチェックばね215は,板ばねを優弧状に曲げると共に,その両端部を半径方向内方に屈曲させて第1及び第2係合部215a,215bに形成したものであり,その外側筒体7及び内側筒体6への取り付け構造及び機能は,第1実施例と同様である。
【0043】
また図13は,前記第2実施例中のチェックばね115の変形例を示すもので,この場合のチェックばね315は,板ばねを優弧状に曲げると共に,その両端部を半径方向外方に屈曲させて第1及び第2係合部315a,315bに形成したものであり,その外側筒体17及び内側筒体16への取り付け構造及び機能は,第2実施例と同様である。
【0044】
本発明は,上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,雌ブラケット1はドアDに,雄ブラケット2はボディBにそれぞれ固着することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1実施例に係るドアヒンジ装置を備える自動車の要部斜視図。
【図2】図1の2部拡大図。
【図3】図2の3−3線拡大断面図。
【図4】図3の4−4線断面図(ドアの全閉状態を示す。)。
【図5】図4の5−5線断面図。
【図6】上記ドアヒンジ装置の分解斜視図。
【図7】ドアの中間開度保持状態を示す,図4との対応図。
【図8】ドアの全開状態を示す,図4との対応図。
【図9】本発明の第2実施例を示す,図4との対応図(ドアの全閉状態を示す。)。
【図10】ドアの中間開度保持状態を示す,図9との対応図。
【図11】ドアの全開状態を示す,図9との対応図。
【図12】前記第1実施例中のチェックばねの変形例を示す斜視図。
【図13】前記第2実施例中のチェックばねの変形例を示す斜視図。
【符号の説明】
【0046】
B・・・・・ボディ
D・・・・・ドア
H・・・・・ドアヒンジ
1・・・・・第1ブラケット(雌ブラケット)
2・・・・・第2ブラケット(雄ブラケット)
5・・・・・ヒンジピン
6,16・・・内側筒体
7,17・・・外側筒体
15,115,215,315・・・チェックばね
15a,115a・・・第1係合部
15b,115b・・・第2係合部
16a,116a・・・第1制御部
16b,116b・・・第2制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディ(B)及びドア(D)の一方に固着される第1ブラケット(1),それらの他方に固着される第2ブラケット(2),及びこれら両ブラケット(1,2)を相対回動可能に連結するヒンジピン(5)を備える,自動車のドアヒンジ装置において,
第1ブラケット(1)に一体的に結合されてヒンジピン(5)の外周に回転可能に嵌合する内側筒体(6,16)と,第2ブラケット(2)に一体的に結合されて内側筒体(6,16)を囲繞する外側筒体(7,17)と,内側筒体(6,16)及び外側筒体(7,17)間に配設されて内側筒体(6,16)の外周面又は外側筒体(7,17)の内周面にそれ自体の弾発力で圧接するチェックばね(15,115,215,315)と,内側筒体(6,16)及び外側筒体(7,17)の一方に設けられてチェックばね(15,115,215,31216,316)の一端の第1係合部(15a,115a,215a,315a)に対向配置され,内側筒体(6,16)及び外側筒体(7,17)の一方の相対回転時に該第1係合部(15a,115a,215a,315a)を,チェックばね(15,115,215,315)の前記圧接を解除する方向に変位させる第1制御部(16a,116a)と,同じく内側筒体(6,16)及び外側筒体(7,17)の一方に設けられてチェックばね(15,115,215,315)の他端の第2係合部(15b,115b,215b,315b)に対向配置され,内側筒体(6,16)及び外側筒体(7,17)の他方の相対回転時に該第2係合部(15b,115b,215b,315b)を,チェックばね(15,115,215,315)の前記圧接を解除する方向に変位させる第2制御部(16b,116b)とを備えることを特徴とする,自動車のドアヒンジ装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動車のドアヒンジ装置において,
チェックばね(15,215)を,これが外側筒体(7)の内周面に圧接するように構成すると共に,第1及び第2制御部(16a,16b)を内側筒体(6,16)に設けたことを特徴とする,自動車のドアヒンジ装置。
【請求項3】
請求項1記載の自動車のドアヒンジ装置において,
チェックばね(115,315)を,これが内側筒体(6,16)の外周面に圧接するように構成すると共に,第1及び第2制御部(116a,116b,)を外側筒体(7,17)に設けたことを特徴とする,自動車のドアヒンジ装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の自動車のドアヒンジ装置において,
チェックばね(15,115)をコイルばねで構成したことを特徴とする,自動車のドアヒンジ装置。
【請求項1】
ボディ(B)及びドア(D)の一方に固着される第1ブラケット(1),それらの他方に固着される第2ブラケット(2),及びこれら両ブラケット(1,2)を相対回動可能に連結するヒンジピン(5)を備える,自動車のドアヒンジ装置において,
第1ブラケット(1)に一体的に結合されてヒンジピン(5)の外周に回転可能に嵌合する内側筒体(6,16)と,第2ブラケット(2)に一体的に結合されて内側筒体(6,16)を囲繞する外側筒体(7,17)と,内側筒体(6,16)及び外側筒体(7,17)間に配設されて内側筒体(6,16)の外周面又は外側筒体(7,17)の内周面にそれ自体の弾発力で圧接するチェックばね(15,115,215,315)と,内側筒体(6,16)及び外側筒体(7,17)の一方に設けられてチェックばね(15,115,215,31216,316)の一端の第1係合部(15a,115a,215a,315a)に対向配置され,内側筒体(6,16)及び外側筒体(7,17)の一方の相対回転時に該第1係合部(15a,115a,215a,315a)を,チェックばね(15,115,215,315)の前記圧接を解除する方向に変位させる第1制御部(16a,116a)と,同じく内側筒体(6,16)及び外側筒体(7,17)の一方に設けられてチェックばね(15,115,215,315)の他端の第2係合部(15b,115b,215b,315b)に対向配置され,内側筒体(6,16)及び外側筒体(7,17)の他方の相対回転時に該第2係合部(15b,115b,215b,315b)を,チェックばね(15,115,215,315)の前記圧接を解除する方向に変位させる第2制御部(16b,116b)とを備えることを特徴とする,自動車のドアヒンジ装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動車のドアヒンジ装置において,
チェックばね(15,215)を,これが外側筒体(7)の内周面に圧接するように構成すると共に,第1及び第2制御部(16a,16b)を内側筒体(6,16)に設けたことを特徴とする,自動車のドアヒンジ装置。
【請求項3】
請求項1記載の自動車のドアヒンジ装置において,
チェックばね(115,315)を,これが内側筒体(6,16)の外周面に圧接するように構成すると共に,第1及び第2制御部(116a,116b,)を外側筒体(7,17)に設けたことを特徴とする,自動車のドアヒンジ装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の自動車のドアヒンジ装置において,
チェックばね(15,115)をコイルばねで構成したことを特徴とする,自動車のドアヒンジ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−145055(P2007−145055A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−338500(P2005−338500)
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(591140086)理研化機工業株式会社 (16)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(591140086)理研化機工業株式会社 (16)
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