説明

自動車の下部車体構造

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、キャブオーバー型の自動車の下部車体構造に関し、詳しくは、フロアパネルに対するフレームの接合構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、車室の前方にエンジンルームを有していないワンボックスタイプなどの自動車においては、フロアパネルの下方にエンジンが搭載されるようにしたキャブオーバー型になされている(実開昭56−48961号公報参照)。
【0003】また、このような自動車の下部車体構造として、例えば、実開平4−16085号公報に開示されるように、フロアパネルの下面側端部に、上方へ開口する開口を有しかつその開口縁の車体内外位置に内外のフランジを有するフレームがその内外のフランジを介して接合されて、上記フロアパネルとフレームとで車体側端部を前後方向へ延びる閉断面が形成されているものがある。そして、上記フレームの内外のフランジは、フレームの内外面に対して内外方向へ折曲、つまり、フレームの内側のフランジがフレームの内側面に対して内方へ折曲されている一方、フレームの外側のフランジがフレームの外側面に対して外方へ折曲されていて、断面略ハット状のフレームに形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、左右のフレーム間にエンジンが配されている場合、上記の如くフロアパネルの下面に対してフレームを、それぞれ内外方向へ折曲する内外のフランジを介して接合固定したものでは、内側のフランジとフロアパネルとの接合固定部がエンジン側(車体内方)に突出するため、エンジンの収容容積が小さなものになるという欠点を有している。
【0005】本発明はかかる点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、上記内側フランジを効果的に配して、エンジンの収容容積を大きくとれるようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1記載の発明が講じた解決手段は、自動車の下部車体構造として、フロアパネルの下方にエンジンが搭載されるようにした自動車を前提とする。そして、上記フロアパネルの下面側端部に、上方へ開口する開口を有しかつその開口縁の車体内外位置に内外のフランジをそれぞれ有するフレームをその内外のフランジを介して接合して、上記フロアパネルとフレームとで車体側端部を前後方向へ延びる閉断面を形成する。さらに、上記エンジンは、上記両フレーム間に配置されているものとする。そして、上記フレームの上記エンジンの側方に位置する部位における内側のフランジを、上方へ延ばして設ける構成としたものである。
【0007】また、請求項2記載の発明が講じた解決手段は、上記請求項1記載の発明のフレームを限定し、エンジンの前方部分、側方部分および後方部分にそれぞれ対応させる。そして、そのエンジンの側方部分に対応する内側のフランジを上方へ延ばして設けるとともに、エンジンの前方部分および後方部分に対応する内側のフランジをフレームの内側面に対して車体内方に折曲せしめる。一方、外側のフランジをフレームの外側面に対して車体外方に折曲せしめる構成としたものである。
【0008】さらに、請求項3記載の発明が講じた解決手段は、上記請求項1または2記載の発明のフロアパネルを限定し、フロアパネル上においてシートが設置されるシート部を、該シート部を除くフロアパネルに対して段差状に膨出せしめて設ける。そして、上記シート部とフレームの内外のフランジとの間に、該シート部とフレームの内外のフランジとを連結するガセットを設ける構成としたものである。
【0009】
【作用】上記の構成により、請求項1記載の発明では、フレームのエンジンの側方に位置する部位における内側のフランジは、上方へ延びて設けられているので、この内側のフランジとフロアパネルとの接合固定部は、エンジンがフレーム間に配されていても、そのエンジン側に突出することはない。
【0010】また、請求項2記載の発明では、外側のフランジが車体外方に折曲されているので、側面衝突に対するフレームの剛性強度が高められる。
【0011】しかも、エンジンの側方部分に対応する内側のフランジが上方へ延びて設けられているとともに、エンジンの前方部分および後方部分に対応する内側のフランジが車体内方に折曲されているので、断面形状の異なる,エンジンの前方部分および後方部分と、エンジンの側方部分とでフレームを分割することが可能となり、正面衝突時または追突時の衝撃吸収作用を発揮する上でエンジンの前方部分および後方部分のフレームの肉厚を薄くすることによって、フレーム自体の重量が軽減される。
【0012】さらに、請求項3記載の発明では、フロアパネルのシート部と、該シート部を除くフロアパネルとの間の段差状に膨出する空間が、シート部とフレームの内外のフランジとの間を連結するガセットによりフレームに対して支えられるので、フロアパネルに対するシート部の支持剛性強度が高められる。
【0013】また、フレーム上のガセットによりシート部の外側部分が補強されて、側面衝突に対するシート部の剛性強度が効果的に高められる。
【0014】
【発明の効果】以上の如く、請求項1記載の発明における自動車の下部車体構造によれば、フレームの内側のフランジを上方へ延ばして設けたので、内側のフランジとフロアパネルとの接合固定部をエンジン側へ突出させることなく、エンジンの収容容積を大きくとることができる。
【0015】また、請求項2記載の発明における自動車の下部車体構造によれば、外側のフランジを車体外方に、エンジンの前方部分および後方部分に対応する内側のフランジを車体内方にそれぞれ折曲させるとともに、エンジンの側方部分に対応する内側のフランジを上方に延ばしたので、側面衝突に対するフレームの剛性強度を高めることができるとともに、エンジンの前方部分および後方部分と、エンジンの側方部分とを断面形状の異なるフレームに分割して、正面衝突時または追突時の衝撃吸収作用を発揮させつつフレーム自体の重量を軽減させることができる。
【0016】さらに、請求項3記載の発明における自動車の下部車体構造によれば、シート部の外側部分と、フレームの内外のフランジとの間を連結するガセットにより、シート部とフロアパネルとの間の空間をフレームに対して支えたので、フロアパネルに対するシート部の支持剛性強度を高めることができるとともに、側面衝突に対するシート部の剛性強度を効果的に高めることができる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0018】図1および図8は本発明の実施例に係る下部車体構造を用いた自動車の下部を示し、この自動車1としては、車体下端部側端位置を前後方向へ延びるフレーム2,2を有するフレーム構造が採用されており、車室3の下方にエンジン4が搭載されるようにしたキャブオーバータイプのワンボックスカーが適用されている。また、上記エンジン4としては、車体前後方向へ延びる駆動軸(図示せず)を有すると共に左右に傾斜する左右バンク4a,4bを有するV型6気筒タイプのものが適用されている。そして、上記車室3内における車幅方向中央部には、該車室3の床面を構成するほぼフラットなフロアパネル5に対して上方へ突出するトンネル部6が車室3内の前端位置より後方へ延びて設けられていて、車体の剛性強度が高められるようになっている。該トンネル部6は、その車室3内の前端部分がフロアパネル5により上方へ突出せしめられて一体成形されているとともに、残る後側部分が断面略コ字状に形成されたトンネル材7により形成されている。このトンネル材7(トンネル部6の後側部分)の上面は、後方へ行くに従い高くなるように斜め上方へ傾斜している。
【0019】上記フロアパネル5は、後述するフロントシート13に着座する前席乗員の足元床面を構成するフロントフロアパネル11と、後席乗員の足元床面を構成するリヤフロアパネル12とからなり、このフロントフロアパネル11とリヤフロアパネル12との間に位置する該両パネル間の左右側部つまり後述するフロントシート13の下方には、上記エンジン4のサービスを行うための第1サービスホール8,8が設けられている。また、上記各第1サービスホール8は、フロントシート13(シート)を設置するためのシートパネル14(シート部)により上方から覆われているとともに、各第1サービスホール8の周縁つまりフロアパネル5に対して接合固着されている。そして、上記シートパネル14は、上記フロアパネル5(フロントフロアパネル11およびリヤフロアパネル12)に対して上方へ段差状に膨出して設けられている。また、上記フロントシート13は、シートクッション13aとシートバック13bとからなり、上記シートクッション13aの下面は、上記シートパネル14の上面に対してシートクッション13aの下面が左右一対の断面略C字状のシートスライダ10,10を介して取り付けられていて、フロントシート13の車体前後方向へのスライド移動を可能にしている。
【0020】また、図7に示すように、上記フロントフロアパネル11の前部下面には、断面略V字状のフロントロアフレーム15の後部上端面が接合固着されており、該フロントロアフレーム15の前部上端面は、後述するダッシュロアパネル19を介してフロントフロアパネル11の前端部下面に接合固着されている。さらに、上記フロントフロアパネル11の側方には、前席乗員の乗降を容易にするステップ部16が設けられている。該ステップ部16は、フロントフロアパネル11の側端部下面に内端部上端が接合固着された断面略L字状のステップパネル17と、該ステップパネル17の外端部に上端部が接合固着されたサイドシル部18aとで構成されている。上記ステップパネル17の前部は、上記フロントロアフレーム15の後部外方端に内面が接合固着されて前方へ延び、その前端部がフロントロアフレーム15の前部後面に接合固着されている。
【0021】上記サイドシル部18aには、その前端部より上記フロントロアフレーム15の外方端に接合固着されかつ該フロントロアフレーム15に沿って上方へ延びるカウルサイド部18bと、上記ステップパネル17後端位置より上方へ延びるセンタピラー部18cとが一体的に形成されてなる。上記センタピラー部18cの内方端下端位置には、上記フレーム2に対して該フレーム2を下方および外方より抱え込むように抱持する抱持部20aを内方端に有する第1ガセット20の内端面が接合固着されており、この第1ガセット20を介した抱持部20aによるフレーム2への接合固着によって、センタピラー部18cの下端の支持剛性強度が効果的に高められるようになっている。また、上記フロントフロアパネル11の前端部には、バッテリBや空気調和装置のブロアAなどの補器類を収容する補器収容空間Hと、車室3とを下部位置において仕切るダッシュロアパネル19の下端部が接合固着されており、該ダッシュロアパネル19の外端部は、上記カウルサイド部18bの前端部内面に接合固着されている。
【0022】そして、上記シートパネル14には、車幅方向中央部をさらに上方へ膨出させて上記トンネル部6を後方へ延長させる延長トンネル部21が設けられている。該延長トンネル部21は、延長トンネル材29により構成されているとともに、シートパネル14の上面に対して車体正面視で段差状に形成され、延長トンネル部21の最上部21aよりも一段低い略水平な段差部21bにより、エンジン4のバンク4a,4bとの干渉が回避されるようにしている。また、上記シートパネル14は、その上面に縁部を存して開設され、上記エンジン4のサービスをシートパネル14の上面側から行うための第2サービスホール22と、下端がフロントフロアパネル11の後部およびトンネル材7の後端にそれぞれ接合固着されて略直角に起立し、かつシートパネル14の上面前縁および延長トンネル部21の前縁を構成する前縁部23aを上端に有する断面略L字状の縦面パネル材23と、下端が上記ステップパネル17の内方端後部およびサイドシル部18aの上縁後部にそれぞれ接合固着されてセンタピラー部18cに沿って略直角に起立し、かつシートパネル14の上面側縁を構成する側縁部24aを上端に有する断面略L字状の側面パネル材24と、前端が上記延長トンネル部21の後端および上記側面パネル材24の内端後部にそれぞれ接合固着された,シートパネル14の上面後縁を構成する後縁部25aを前端部に有し、後方へ行くに従い低くなるように斜め下方へ傾斜する後面パネル材25と、上記延長トンネル部21の最上部21aの後方に対応する後面パネル材25に開設された開口26と、上記延長トンネル部21の最上部21aを後面パネル材25の後端まで後方へ突出させるように上記開口26を閉塞する断面略コ字状の第2ガセット27と、上記後面パネル材25の後縁部25aに後述する回転ヒンジ71を介して回動自在に支持され、シートパネル14の上面縁部(延長トンネル部21の段差部21b,縦面パネル材23の前縁部23a,側面パネル材24の側縁部24aおよび後面パネル材25の後縁部25a)に対して周縁部が上方より当接して上記第2サービスホール22を覆うシートパネル材33(シートパネル)とからなる。上記シートパネル材33は、該シートパネル材33の全周に亘って設けられた中空ゴム製のシール材9によってシートパネル14の上面縁部に対するシールがなされている。また、上記後面パネル材25の後端は、上記リヤフロアパネル12の前端に接合固着されている。さらに、上記リヤフロアパネル12の前端部下面には、車幅方向へ延びる断面略コ字状のクロスメンバ28が接合固着されているとともに、上記フレーム2,2に接合固着されていて、各フレーム2間において車幅方向へ延びる閉断面を形成している。
【0023】また、上記車室3内におけるシートパネル14の上部前方には、車体略前後方向へ延びるステアリングシャフト41を支持するための断面略円形状のステアリングメンバ42が配設されている。該ステアリングメンバ42は、車幅方向へ延びて配されており、その各端部が上記カウルサイド部18bにそれぞれ接合固着されている。また、上記ステアリングメンバ42には、その略中間部を下方に対して支持するためのステアリングステー43,43の上端部が接合固着されている。上記各ステアリングステー43は、その下端部が上記左右のシートパネル14前側の縦面パネル材23およびフロントフロアパネル11に対して接合固着されるよう,下端部に近付くに従い前後幅を増大させる形状に形成されているとともに、下端部において縦面パネル材23およびフロントフロアパネル11に則して略直角に折り曲げられたフランジ部43aを介して縦面パネル材23およびフロントフロアパネル11に締結固定されるようになっている。さらに、上記各ステアリングステー43の下端部は、上記トンネル部6(トンネル材7)の側壁面に沿って配されていて、下面がトンネル部6の上面に接合固着されて側面が上方へ突出する断面略コ字状のブラケット45の側面に対して締結固定されている。
【0024】そして、本発明の特徴部分として、図1ないし図5に示すように、上記フレーム2,2は、上記フロアパネル5の下面に接合される中央フレーム部51(フレーム)と、後端部が該中央フレーム部51の前端部に接合固着される前側フレーム部52と、前端部が上記中央フレーム部51の後端部に接合固着される後側フレーム部53とに3分割されている。上記前側フレーム部52および後側フレーム部53は、正面衝突時または追突時の衝突エネルギーを効果的に吸収するよう,上記中央フレーム部51の肉厚よりも薄い肉厚に形成されている。また、上記中央フレーム部51は、上方へ開口する開口を有する断面略コ字状に形成されているとともに、上記開口の内外縁の車体内外位置に内外のフランジ54,55を有しており、その内外のフランジ54,55を介して上記フロアパネル5の下面に中央フレーム部51が接合固定されて、上記フロアパネル5とフレーム2,2とで車体側端部を前後方向へ延びる閉断面が形成されている。さらに、上記中央フレーム部51は、エンジン4の側方に位置する側方部分56と、エンジン4の前方に対応する前方部分57と、エンジン4の後方に対応する後方部分58とからなり、側方部分56がエンジン4との干渉を回避するよう車体外方に膨んで配されている。そして、上記側方部分56に対応する内側フランジ54は、側方部分56の内側面59に対して一致するよう上方へ延びて設けられている一方、前方部分57および後方部分58の各内側フランジ54は、前方部分57および後方部分58の内側面59に対して車体内方に折曲されている。一方、中央フレーム部51(側方部分56、前方部分57および後方部分58)の外側フランジ55は、中央フレーム部51の外側面60に対して車体外方に折曲されている。また、上記第1サービスホール8に対応する中央フレーム部51は上方に開口していて、断面略L字状のパネル材61により閉塞されて閉断面を形成するようになっているとともに、上記前側フレーム部52および後側フレーム部53は、車体内方側に位置する断面略ハット状の第1部材62と、該第1部材62の開口を車体外方側から塞ぐパネル状の第2部材63とで閉断面を形成するようになっている。
【0025】また、上記中央フレーム部51の側方部分56前側に対応するフロントフロアパネル11の後端の一部(延長トンネル部21よりも外方方部分)は、縦面パネル材23との接合固着部よりも後方へ延設されており、このフロントフロアパネル11の後端の一部を介した中央フレーム部51の内外フランジ54,55と、上記縦面パネル材23の前縁部23a下面との間には、該両者間に接合固着された車体側面視で略台形状となる断面略コ字状の第3ガセット31が接合固着されていて、該第3ガセット31の前面は、縦面パネル材23の後面にも接合固着されている。また、図6にも示すように、上記中央フレーム部51の側方部分56後側に対応する内外フランジ54,55と、該中央フレーム部51の側方部分56後側の上方に対応する上記後面パネル材25の後縁部25aとの間には、該両者間に接合固着された車体側面視で略台形状となる断面略コ字状の第4ガセット32が設けられていて、該第4ガセット32の後面は、上記後面パネル材25の下面にも接合固着されている。さらに、上記シートパネル材33の後端部と、上記リヤフロアパネル12の前端部との間には、シートパネル材33をリヤフロアパネル12に対して後方へ開放自在に支持する回転ヒンジ71が設けられている。該回転ヒンジ71は、上記シートパネル材33の内外位置を後面パネル材25の外面に沿って前方へそれぞれ延びる内外片72a,72bを有し、かつ該内外片72a,72bの先端(前端)が上記各シートスライダー10の後端部にボルト73,73により締結固定される一方、内外片72a,72bの基端(後端)が一体的に連結された略コ字状のシートパネル材側部材72と、上記後面パネル材25の後面に沿って起立する縦面75aを有し、かつ上記リヤフロアパネル12に沿って後方へ延びる後端部がリヤフロアパネル12にボルト73,73により締結固定された断面略L字状のリヤフロアパネル側部材75とからなり、上記後面パネル材25の後面上端に対応する第4ガセット32の上側後端の角部に、上記回転ヒンジ71の支軸71aが位置して設けられて、回転ヒンジ71の補強が第4ガセット32により効果的になされるようになっている。
【0026】したがって、上記実施例では、中央フレーム部51の内側フランジ54は、その内側面59に対して略一致するよう上方へ延びて設けられているので、この内側フランジ54とフロアパネル5との接合固定部は、エンジン4が中央フレーム部51,51間に配されていても、エンジン4側(車体内方)に突出することがなく、エンジン4の収容容積を大きくとることができる。
【0027】また、中央フレーム部51の外側フランジ55は、その外側面60に対して車体外方に折曲されているので、側面衝突に対する中央フレーム部51の剛性強度を高めることができる。しかも、エンジン4の前方および後方に対応する中央フレーム部51の前方部分57および後方部分58の各内側フランジ54が、その前方部分57および後方部分58の内側面59に対して車体内方に折曲されているので、断面形状の異なる,前方部分57および後方部分58と、側方部分56とで中央フレーム部51を分割することが可能となる上、正面衝突時または追突時の衝撃吸収作用を発揮する上で薄肉に形成した前側フレーム部52および後側フレーム部53により、フレーム2自体の重量を軽減させることができる。
【0028】さらに、縦面パネル材23の前縁部23aをフレーム2上のフロントフロアパネル11の後端の一部を介した中央フレーム部51前側の内外フランジ54,55に対して支持する第3ガセット31と、後面パネル材25の後縁部25aを中央フレーム部51後側の内外フランジ54,55に対して支持する第4ガセット32とにより、フロアパネル5と、該フロアパネル5に対して段差状に膨出するシートパネル14との間の空間が前後で支えられ、フロアパネル5に対するシートパネル14の支持剛性強度を高めることができる。しかも、中央フレーム部51上の前後のガセット31,32によりシートパネル14の外側部分が補強されて、側面衝突に対するシートパネル14の剛性強度をより効果的に高めることができる。
【0029】尚、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その他種々の変形例を包含するものである。例えば、上記実施例では、第3ガセット31と第4ガセット32とによってフロアパネル5に対して段差状に膨出するシートパネル14を前後で支えたが、回転ヒンジを効果的に補強する第4ガセットのみによりシートパネルがその後部において支持されるような構成であっても良い。
【0030】また、上記実施例では、シートパネル14の上面に第2サービスホール22を設け、該サービスホール22をシートパネル材33により覆う構成としたが、シートパネルとリヤフロアパネルとの間に回転ヒンジを設け、この回転ヒンジにより開閉するシートパネルでもって第1サービスホールが覆われるように構成しても良い。
【0031】さらに、上記実施例では、中央フレーム部51を断面形状の異なる側方部分56、前方部分57および後方部分58により一体的に形成したが、側方部分、前方部分および後方部分がそれぞれ別々に形成されるようにしても良く、その場合、正面衝突時(追突時)の荷重の吸収を考慮して肉厚を変更しても良い。また、上記実施例では、中央フレーム部51の側方部分56の内側フランジ54を上方に延ばしかつ外側フランジ55を外方へ折曲させたが、中央フレーム部の側方部分における内外フランジが共に上方に延ばされていても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】車室内前部において一部切欠いた状態の側面図である。
【図2】中央フレーム部における側方部分の断面図である。
【図3】中央フレーム部における側方部分と前方部分との接合固定部の断面図である。
【図4】中央フレーム部における後方部分の断面図である。
【図5】前側フレーム部の断面図である。
【図6】中央フレーム部付近で切断した車体右側におけるシートパネル後部付近の斜視図である。
【図7】車体左側におけるシートパネル付近の斜視図である。
【図8】車室内前部の平面図である。
【符号の説明】
2 フレーム
4 エンジン
5 フロアパネル
13 フロントシート(シート)
14 シートパネル(シート部)
31 第3ガセット(ガセット)
32 第4ガセット(ガセット)
51 中央フレーム部(フレーム)
54 内側フランジ
55 外側フランジ
56 側方部分
57 前方部分
58 後方部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】 フロアパネルの下方にエンジンが搭載されるようにした自動車において、上記フロアパネルの下面側端部には、上方へ開口する開口を有しかつその開口縁の車体内外にフランジをそれぞれ有するフレームがその内外のフランジを介して接合されて、上記フロアパネルとフレームとで車体側端部を前後方向へ延びる閉断面が形成されてなり、上記エンジンは、上記両フレーム間に配置され、上記フレームの上記エンジンの側方に位置する部位における内側のフランジは、上方へ延びて設けられていることを特徴とする自動車の下部車体構造。
【請求項2】 フレームは、エンジンの前方部分、側方部分および後方部分にそれぞれ対応しており、そのエンジンの側方部分に対応する内側のフランジが上方へ延びて設けられているとともに、エンジンの前方部分および後方部分に対応する内側のフランジがフレームの内側面に対して車体内方に折曲されている一方、外側のフランジがフレームの外側面に対して車体外方に折曲されていることを特徴とする請求項1記載の自動車の下部車体構造。
【請求項3】 フロアパネルは、そのフロアパネル上においてシートが設置されるシート部が、該シート部を除くフロアパネルに対して段差状に膨出して設けられ、上記シート部とフレームの内外のフランジとの間には、該シート部とフレームの内外のフランジとを連結するガセットが設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の車両のシート取付構造。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図7】
image rotate


【図8】
image rotate


【特許番号】特許第3179882号(P3179882)
【登録日】平成13年4月13日(2001.4.13)
【発行日】平成13年6月25日(2001.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−247441
【出願日】平成4年9月17日(1992.9.17)
【公開番号】特開平6−99856
【公開日】平成6年4月12日(1994.4.12)
【審査請求日】平成11年4月9日(1999.4.9)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【参考文献】
【文献】実開 平4−62289(JP,U)
【文献】実開 昭56−22125(JP,U)
【文献】実開 昭63−21182(JP,U)
【文献】実開 平4−16085(JP,U)
【文献】実開 昭56−48961(JP,U)