説明

自動車の衝突検出用の装置

自動車の衝突検出用の装置について開示する。該装置は、自動車(1)上で対象物の衝突を検出するための少なくとも1つの衝突センサ(9)を備える。衝突センサ(9)は、圧縮性スペーサー(20)を備え、車両外板又はバンパー外板(5)と車体部分(6)との間に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車の衝突検出用の装置に関するものであり、該装置は、車両外板又はバンパー外板と車体部分との間に配置された少なくとも1つの衝突センサを備える。
【背景技術】
【0002】
近年の自動車には、万一事故が発生した場合に、事故に巻き込まれる自動車の事故の激しさを軽減するために多くの安全装置が使用されている。この場合は、所定の事故状況に適した安全装置ができるだけ短い反応時間で作動できるように、事故状況の早期検出が特に重要である。
【0003】
実際には、様々な測定原理に従って動作する複数のセンサを使用して、正面衝突、側面衝突、又は追突が検出されている。
【0004】
力感知抵抗等の力測定センサが普及しているが、これらはバンパーと衝突対象物とが接触した場合やバンパーに変形が生じた場合に該センサに力が加わるように自動車のバンパー等に適用されている。
【0005】
上記のようなセンサシステムは、例えば特許文献1に開示されている。文献1に説明されているシステムは、車両の衝突の検出を目的としており、車両が衝突した結果として圧迫された場合に個別に信号を発する複数の第1のセンサと、衝突が発生した結果として圧迫された場合に第1のセンサの後に信号を出力する第2のセンサとを有する。
【0006】
特許文献2では、衝突を検出するための抵抗膜型圧力センサの使用について開示している。これらのセンサの場合は、衝突により車両の外板が変形することでセンサに力が働くと、評価回路に電気信号が送信される。該評価回路は受信した信号に基づいて車両の安全装置を作動させる。
【0007】
特許文献3は、ジャミング保護装置内での膜型圧力センサの使用について開示している。力によって駆動される閉鎖要素(ウィンドウワインダー等)のジャミングを検出するために膜型圧力センサが使用されている。この場合、膜型圧力センサは、弾性中空プロファイル、特にゴム製中空チャンバープロファイル内に配置され、閉鎖エッジに沿って延びている。
【0008】
車両と衝突対象物との衝突を検出するための実際に公知の他の方法は、衝突対象物との接触が生じた場合に影響を受ける自動車の各バンパーの変形を測定するというやり方である。このために、適切に取り付けられた分割型ひずみゲージの抵抗の変化、又は分割型導光板の光反射の変化等を使用して衝突状況を検出する。
【0009】
歩行者保護システムでの光ファイバセンサの使用は、特許文献4に開示されている。この場合、センサ領域は発泡層に配置されており、この発泡層はキャリア又は弾性クラッシュボックス上に配置されている。クラッシュボックスは弾性変形の挙動を示すので、その変形に基づいて検出を行うことができる。両方の実施形態とも、センサ領域には、外板として提供されたプラスチック製の層が設けられている。
【0010】
更に、車両の衝突が発生した場合に車体部分の加速度を測定するやり方は、実施面で公知である。自動車と、歩行者等の衝突対象物とが衝突すると、自動車の前部の速度が大きく変化し、フロントバンパーが押し込まれる。この加速度は、適切に取り付けられた加速度センサを使用して測定することができる。互いに前後に配置された2つの接触要素間の速度差を使用することで、例えば、特許文献5に説明されているように、衝突対象物のタイプを特定することができる。
【0011】
更に、接触センサは一般的に弾性材料、特に発泡体を有するバンパー上に配置されているので、結果として接触センサは落石や小動物による不測の誘因にほとんど反応しない。接触センサは、センサ要素として、圧力のかかった場合に接触する2つの導体トラックを備えている。従って、接触センサはスイッチ要素のように働く。これの問題点は、バンパーの製作許容誤差又は事故に起因するバンパーの許容誤差、特にバンパー外板とバンパーとの距離が大きく影響することである。接触センサが発泡体状のバンパーに配置されている場合、必要とされる機能上の温度範囲を考慮に入れて衝突のタイプと事故に巻き込まれた対象物を識別する際に問題が発生する可能性がある。高温の場合は発泡体が柔らかくなって感度レベルが高くなり、低温の場合は発泡体が硬くなって感度レベルが低くなる。単純な力覚センサの場合は、これにより対象物の衝突の識別及び検出が均一でなくなる。
【0012】
減衰装置に組み込まれた他のセンサが、例えば特許文献6に開示されている。応答挙動を均質してセンサのスイッチ閾値を設定するために、センサは減衰装置に組み込まれ、所定の組込みパラメータが設置場所により変化する。
【0013】
【特許文献1】欧州特許第0 518 381 B1号明細書
【特許文献2】独国特許発明第43 25 414 C2号明細書
【特許文献3】欧州特許第0 848 780 B1号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第102 56 956 A1号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第 2 212 190号明細書
【特許文献6】独国実用新案第20 2004 005 434 U1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、可能な限り簡単な設計により衝突を正確に検出することができる、少なくとも1つの衝突センサを備える、自動車の衝突検出用の装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、上記目的を達成するため、車両外板又はバンパー外板(以下、略して「外板」と称する)と車体部分との間に配置された衝突センサが圧縮性スペーサーを備えている。
【0016】
圧縮性(例えば弾性の)スペーサーの利点は、製作許容誤差又は外板の初期損傷の結果として発生する外板と車体部分との間の距離の変化が、簡単に圧縮性により補償されてセンサのずれが発生しないということである。温度や湿度等の環境条件に起因して材料が膨張又は収縮した場合に発生する距離の変化に対しても同じことが言える。
【0017】
他の利点として、製作許容誤差又はプラスチック変形に起因する初期損傷のせいで外板と車体部分との間の空隙又は距離が大きい場合でも衝突が可能な限り正確に検出されることが保証されるように衝突センサが外板に押し当てられているので、衝突発生時に外板の移動及び/又は変形が確実且つ十分正確に識別されるということが挙げられる。外板と車体部分との間の空隙又は距離が小さい場合でも衝突センサは外板に押し当てられているため、衝突を確実に検出することができる。空隙は、取付け及び/又は製作許容誤差によっても、或いは車両外板又は外板のへこみ等、車両外板又はバンパー外板の初期損傷によっても小さくなる。
【0018】
本発明に係る装置の他の利点は、衝突センサの領域内で応力に影響されないことである。バンパーが例えば駐車時にゆっくりと変形した場合や、バンパーの変形が例えばバンパーの損傷の結果として永続的なものになった場合でも、衝突センサは圧縮性(例えば弾性の)スペーサーによって、検出に関連があり衝突を吸収する外板に常に押し当てられているので、引き続き動作可能である。
【0019】
簡単な一実施形態では、衝突センサはセンサ要素を備える。該センサ要素は、圧縮性又は弾性スペーサーにおける車両外板又はバンパー外板に隣接する側に車両外板又はバンパー外板からある距離をおいて配置される。外板の領域に衝突センサを直接位置決めすることにより、十分に高レベルなセンサ感度を実現できる。圧縮性スペーサーは、衝突センサと車体部分との間において衝突の方向にほぼ縦に有利に延在している。
【0020】
できるだけ効果的に圧縮できるスペーサーの構成とするために、スペーサーは弾性ゴム要素によって形成される。スペーサーは中空プロファイル、特にゴム製の中空プロファイルの形態をとることが好ましい。スペーサーの圧縮性を高めるために、スペーサーの少なくとも一部は、アコーディオン又はベロー状プロファイルのように圧縮可能な形態をとる。或いは、ゴム製の中空プロファイルは特別にソフトなゴム成形ゾーンから形成することができるので、スペーサーは相応の圧縮性を発揮する。他の実施形態では、スペーサーが複数のセル、特にゴム製のセルから形成され、該複数のセルは互いに遮断され、圧縮可能とされ、通気口及び/又は換気口を備える。例えば、セルを別のセルの上に積み重ねることができる。
【0021】
衝突センサを固定するために、寸法的にほぼ安定したプロファイル、特に中実プロファイルがスペーサーにおいてセンサから遠い側に設けられる。車体部分にセンサを破壊することなく固定するために、寸法的に安定した中実プロファイルは、クランプ要素、ラッチ要素、クリップ要素、スナップ留め要素、及び/又は封止要素の形態をとり、これらの要素は1つ又は複数の固定段階又は封止段階を有する。例えば、寸法的に安定した中実プロファイルは、固定脚部として使用され、確実な保持のために「クリスマスツリープロファイル」の形式で複数の固定段階を有する。
【0022】
衝突センサを保護するために、衝突センサは中空プロファイル、特にゴム状中空チャンバー内に配置される。
【0023】
装置をできるだけ簡単に費用効果が高くなるように製作するために、衝突センサ保持用の中空プロファイル、弾性スペーサー、及び固定脚部の形態をとる中実プロファイルは一体構成、特に一体構成のゴムプロファイル要素の形態で設計される。できるだけ広範囲に及ぶ衝突監視、及び可能な限り複数の領域で実行可能な衝突監視を実現するために、一体構成のゴムプロファイル要素は、特に車両の幅にわたって横に延在、又は車両の長さにわたって縦に延在する長い形状を有する。個々の長いセンサ要素を使用して、衝突の可能性がないかどうかを車両幅若しくは車両長さにおける領域について、又は車両全幅若しくは車両全長について監視する。このために、例えば、センサ要素及びゴムプロファイル要素は、センサ要素が内蔵されたゴムバンドの形態をとる。この場合は、クリスマスツリー形の中実プロファイルを使用して、車体部分上に又は車体部分内にゴムバンドが保持される。
【0024】
衝突センサを固定するには、例えば「クリスマスツリープロファイル」の形状をした固定脚部を、ブロッキング要素(衝撃アブソーバー発泡体とも呼ばれる)の適切に成形された細長い溝にクリップ留めする(挟み込んで留める)か押し込む。この場合は、固定脚部を使用して、衝突センサをゴムバンド又はゴムプロファイル要素の一端から順にブロッキング要素の溝に押し込むかクリップ留めする。取外しの場合は、ゴムバンドをその一端から、てこの作用で溝から取り除くか、溝から引き出す。これにより、衝突センサがブロッキング要素から取り外される、又は破壊することなく交換される。
【0025】
衝突センサの一体設計に代わるものとして、中空プロファイル、スペーサー、及び中実プロファイルを個別の要素として分離することが可能である。
【0026】
衝突センサは、接触センサ、加速度センサ、力覚センサ、光ファイバセンサ、及び/又は変形センサの形式をとるセンサ要素を備える。
【0027】
上記タイプのセンサの各々は、通常、歩行者等の衝突対象物を正確に検出するために使用される。本発明に係る装置は特に歩行者との衝突を検出するのに適している。少なくとも1つの衝突センサが、自動車のフロントバンパーの領域に特に配置される前部センサであることが好ましい。この場合は、本発明に係る複数の衝突センサを、車両の幅及び/又は長さにわたって配分されるように配置することができる。一体設計の場合、個々の衝突センサは、例えば自動車の全幅にわたって延在するか、追突を検出するために例えばリア側及び/又はフロント側全域にわたって延在するか、又は側面衝突を検出するために車両の長さの少なくとも一部分、例えば車両のドア幅にわたって延在する。
【0028】
自動車の前部に衝突センサが適切に適用され、正面衝突を迅速に検出できる前部センサシステムとして、本発明に係る装置が使用される場合、衝突センサは外部に配置された「サテライト」として使用される。このサテライトは、各々の位置決めが有利であるため、評価・制御装置による作動決定は、車両の中心に位置決めされたエアバッグ制御装置の場合に比べてより迅速に行うことが可能である。
【0029】
前部センサシステムとして使用する場合と同様に、本発明に係る装置を使用して側面衝突を検出することもできる。このため、センサは自動車のドア、側面のシル、又はドアフレームに適用される。
【0030】
車両の後部に少なくとも1つの衝突センサが固定されている場合、本発明に係る自動車の衝突検出用の装置により、追突を検出することもできる。この場合は、衝突センサをリアバンパー上/内に、トランクフラップ上/内に、本体上/内に、又はフレーム部上/内に配置することにより、車両外板又はバンパー外板への適用が可能である。
【0031】
本発明に係る自動車の衝突検出用の装置の更なる利点及び有利な改良は、明細書、図面、及び特許請求の範囲から明らかとなる。
【0032】
図面は、本発明に係る装置の例示的実施形態を概略的に示している。これらの例示的実施形態については、以下に詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
全ての図において対応する部材には同じ参照符号が付されている。
【0034】
車両外板又はバンパー外板5が車輪2A、2B、2C、2Dを案内する車台3に取り付けられていて、懸架・減衰装置4によって該車両外板又はバンパー外板が車台3に対して減衰されている自動車1の概略図を図1に示す。用語「車両外板」は、特に、車両の長手方向の側面領域における外板の意味に理解されたい。用語「バンパー外板」は、特に、前部及び/又は後部のフロント又はリアバンパー7における外板の意味に理解されたい。正面衝突の例を用いて本発明を以下に詳しく説明するので、以下では車両外板又はバンパー外板5を略してバンパー外板5と称する。前部及び/又は後部のバンパー7は、バンパー外板5と、バンパー外板5によって少なくとも部分的に囲まれている衝撃アブソーバー発泡体とから形成されている。
【0035】
実質的に車両の横幅にわたって延存するとともに、前方走行方向においてフロントバンパー7と隣接するクロスメンバー6aは、車体部分6として概略的に図示されている。
【0036】
自動車は、自動車1の衝突を検出するためのシステム8を備えている。フロントバンパー7の領域で自動車1の横幅にわたって延在する衝突センサ9が前部センサに相当し、このセンサは評価・制御装置10に接続されている。また、評価・制御装置10は、自動車1のドア(詳細は図示せず)に横向きに配置された側面衝突を検出するための衝突センサ11と、後部センサとして追突を検出するためにリアバンパー13の領域に配置された衝突センサ12とも接続されている。この場合、衝突センサ11はドアの幅に沿って延在し、衝突センサ12は自動車1の背面に沿って延在している。従来のように一サイドに対して個別の選択的なセンサが複数あるのではなく、本発明の一発展形態では衝突を識別するために車両の表面に沿って4個の細長い衝突センサ9、12、11(車両の前部に1つ、後部に1つ、長手方向の側面に2つ)が提供されている。
【0037】
評価・制御装置10は衝突センサ9、11、12と、歩行者保護装置14と、アクティブ車台調整システム15(懸架・減衰装置4と相互作用する)とから受信した信号を基に安全手段を駆動する。安全装置の概要を図1の略図に示す。
【0038】
最近の車両に搭載されているあらゆる安全性・快適性システムへの評価・制御装置10の接続、例えば、実質的に公知であり超音波技術、赤外線技術、レーダー技術、或いは画像認識に基づくセンサシステムを使用して実現可能である車両周辺検出装置への接続が可能であること、様々な拘束システムへの評価・制御装置10の接続、例えば、車両乗員に合わせて調整するシート調整装置やエアバッグ制御装置への接続が可能であることは言うまでもない。
【0039】
この場合、記号で示された歩行者保護装置14は、歩行者との衝突が検出された場合にボンネットを能動的に上昇させるための手段を備えており、これにより、ボンネットとエンジンとの間に十分な空間が作り出され、ボンネットでの歩行者の衝撃が緩和され得るようになる。
【0040】
歩行者が重傷を負う危険を更に少なくするには、評価・制御装置10とアクティブ車台調整システム15との接続を使用する。この接続を使用することで、ボンネットの高さを衝突に対して最も有利な高さに設定できるからである。
【0041】
図2〜図5には、歩行者との衝突の検出等を目的とし、関連付けられたサイドにわたって少なくとも部分的に縦方向及び/又は横方向に延在している、1つ又は複数の前部衝突センサ9、側部衝突センサ11、及び/又は後部衝突センサ12の各種配置が示されている。衝突センサ9、11、12の各々は、同じ参照記号9を使用することにより簡略化して表されている。本発明に係る後続の全設計については、フロントバンパー7に配置された衝突センサ9を使用して詳細に説明されている。
【0042】
図2〜図5に示すどの設計においても、クロスメンバー6aの領域で保持手段16A、16Bによりフロントバンパー7が車体部分6(図2〜図5に詳細は示されていない)に固定されている。この場合に弾性材料、発泡体、又は発泡材料を含むブロッキング要素17はそれぞれバンパー7とクロスメンバー6aとの間の空間に配置される。ブロッキング要素17は、バンパー7の衝撃アブソーバーを形成している。
【0043】
図2に示す本発明に係る装置の改良では、衝突センサ9がクロスメンバー6aとブロッキング要素17との間に配置されている。該ブロッキング要素17はバンパー7内に配置されており、発泡体又は発泡材料から成る。
【0044】
衝突センサ9は、機械負荷及び/又は熱負荷に起因する損傷から保護するために中空プロファイル19(特に中空チャンバー)内に配置されたセンサ要素18を備えている。センサ要素18は、従来の接触センサ、圧力センサ、力覚センサ、加速度センサ、及び/又は変形センサの形式である。センサ要素18はまた、光ファイバセンサの形式とすることもできる。
【0045】
バンパー外板5の製作及び/又は取付け許容誤差、又はバンパー外板5の初期損傷を考慮して、バンパー外板5とブロッキング要素17は互いに離して配置されている。距離aを補正するために、衝突センサ9は圧縮性スペーサー20を備える。この目的を達するために、スペーサー20を例えば弾性ゴム要素又は弾性中空プロファイルの形式としたり、特にアコーディオンのように圧縮できるようにしたり、ベローに似せたりする。或いは、スペーサー20は、複数の弾性チャンバー又はセルから形成することができる。例えばスペーサー20は、互いに遮断され、圧縮が可能であり、通気口及び/又は換気口が設けられた複数のセル、特にゴム製のセル(空気バネチャンバーとも呼ばれる)から形成することが可能である。この場合は、通気口及び/又は換気口によってチャンバー又はセルの弾性特性が決定される。
【0046】
衝突センサ9をブロッキング要素17内に少なくとも部分的に配置するために、さらに、寸法的に安定した中実プロファイル21が固定脚の形式で、スペーサー20においてセンサから遠い側に設けられる。中実プロファイル21は、例えば、クランプ要素、ラッチ要素、クリップ要素、スナップ留め要素、及び/又は封止要素の形態をとる。このために、中実プロファイル21の縦断面はクリスマスツリー形状となっており、これにより、衝突センサ9はブロッキング要素17内に段状に保持されている。中実プロファイル21の該実施形態では、衝突センサ9をブロッキング要素17に取り付けること、ブロッキング要素17を破壊することなく衝突センサを取り除くことが可能である。
【0047】
例えば、衝突センサ9を固定するには、「クリスマスツリープロファイル」の形状をした固定脚部を、ブロッキング要素17の適切に成形された細長い溝にクリップ留めするか押し込む。この場合、取付け時には、固定脚部又は中実プロファイル21を使用して、衝突センサ9をゴムバンド又はゴムプロファイル要素の一端から順にブロッキング要素17の溝に押し込むかクリップ留めする。取外しの場合は、ゴムバンドをその一端から、てこの作用で溝から取り除くか、溝から引き出す。これにより、衝突センサ9がブロッキング要素17から取り外されるか、又は破壊することなく交換される。
【0048】
固定脚部の形を成す中実プロファイル21をブロッキング要素17内に保持するために、ブロッキング要素17は例えば階段状のくぼみ22を有する。保持する衝突センサ9のタイプ、形状、及び数に応じて、ブロッキング要素17のくぼみ22を、溝の形式にすることも、個々の衝突センサ9に対応する個別のくぼみとすることもできる。この場合、くぼみ22の直径は段階的に小さくなり、外法寸法は小さくなる。これにより、固定脚部はスペーサー20のためのくぼみより小さなくぼみ内に保持される。
【0049】
衝突センサ9は、一体構成で形成されることが好ましい。このために、中空プロファイル19、スペーサー20、及び中実プロファイル21は、プロファイル要素(特に、ゴム)から形成される。中空プロファイル19用の保護被覆の各種機能、スペーサー20の圧縮性、及び中実プロファイル21の固定脚部は、ゴム等の弾性材料を適切な形状、サイズ、及び厚さで使用することにより形成できる。例えば、一体構成のゴムプロファイル要素は、同様に、機能ゾーンを形成するために様々なゴム成形ゾーンを有する。また、異なる材質硬度を有する個々に独立した要素から衝突センサ9を製作することもできる。
【0050】
図2における車両外板又はバンパー外板5とブロッキング要素17との間の距離aは、図3の場合と比較して大きく設定されている。この結果、図2の圧縮性スペーサー20は突出し形状(衝撃の方向に対してほぼ縦に延びている)を有し、ブロッキング要素17のくぼみ22の先に突き出ている。逆に、図3の距離aは小さい。この結果、スペーサー20は圧縮され、ブロッキング要素17のくぼみ22内にほぼ配置されている。
【0051】
図4は、衝突センサ9が配置されたくぼみ22の領域について図2を拡大して詳細に示したものである。ラッチ止め又はクリップ留めが可能な接続を補助するくぼみ22は、衝突センサ9の固定脚部の領域を中空の円筒又は角錐台(破線表示)の形にすることができる。図4は、寸法的に安定した中実プロファイルの形式で設計した固定脚部、及びベロー状の中空プロファイルの形式で設計した圧縮性スペーサー20を詳細に示したものである。接触センサ18は、中空プロファイル19内に中空チャンバーの形式で配置されている。
【0052】
さらに、図5に示す設計によれば、バンパー7の内側又は車両外板又はバンパー外板5の内側と、バンパー7内に配置された発泡体又は発泡材料によるブロッキング要素17との間に複数の衝突センサ9を配置することが可能である。
【0053】
衝突センサ9はまた、発泡体又は発泡材料によるブロッキング要素17上に及び/又は発泡体又は発泡材料によるブロッキング要素17内に配置することもできる。
【0054】
図示された衝突センサ9の可能な取付け方法はすべて、図示されたフロントバンパー7に関する。ただし、リアバンパー13が同様に構成されるとき、リアセンサ12を類似の方法で配置できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る自動車の衝突検出用の装置の基本的構成要素を備える自動車の概略的な平面図である。
【図2】図1に示す自動車のフロントバンパー及びクロスメンバーの概略断面図であり、車両外板又はバンパー外板の領域内のクロスメンバーとバンパーとの間に配置された衝突センサを示す。
【図3】図1に示す自動車のフロントバンパー及びクロスメンバーの概略断面図であり、車両外板又はバンパー外板の領域内のクロスメンバーとバンパーとの間に配置された衝突センサを示す。
【図4】図3の拡大詳細図であり、衝突センサが車体部分に配置された領域を示す。
【図5】図2の内容に係る自動車のバンパー及びクロスメンバーの簡略断面図であり、衝突センサの異なる配置を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両外板又はフェンダー外板(5)と車体部分(6)との間に配置された、自動車(1)への対象物の衝突を検出する少なくとも1つの衝突センサ(9)を有する、自動車(1)の衝突を検出するための装置において、
前記衝突センサ(9)が、前記外板(5)に該衝突センサ(9)を押し当てて衝突を吸収する圧縮性のスペーサー(20)を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記スペーサー(20)が弾性ゴム要素の形態をとることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記スペーサー(20)が、アコーディオンのように圧縮可能な中空プロファイルの形態をとることを特徴とする請求項1或いは2に記載の装置。
【請求項4】
前記スペーサー(20)が、ゴム製の複数のセルから形成され、該複数のセルは互いに遮断され、圧縮可能とされ、通気口及び/又は換気口を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記スペーサー(20)に、そのセンサから遠い側に寸法的にほぼ安定した中実プロファイル(21)が提供されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記中実プロファイル(21)が、前記衝突センサ(9)を保持するためにクランプ要素、ラッチ要素、クリップ要素、スナップ留め要素、及び/又は封止要素の形態をとることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記中実プロファイル(21)が、クリスマスツリーの形の段状設計をとることを特徴とする請求項5或いは6に記載の装置。
【請求項8】
前記衝突センサ(9)が前記中空プロファイル(19)に配置されるセンサ要素(18)を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記中空プロファイル(19)、前記スペーサー(20)、及び前記中実プロファイル(21)が、一体構成のゴムプロファイル要素の形態で、又は個別構成の要素として形成されることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記一体構成のゴムプロファイル要素が、複数の異なるゴム成形ゾーンを有することを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記衝突センサ(9)が、センサ要素(18)として、接触センサ、加速度センサ、力覚センサ、光ファイバセンサ、及び/又は変形センサを備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記衝突センサ(9)が、少なくとも複数の領域で縦方向に車両外板又はバンパー外板(5)まで延在するか、又は前記車両の全幅、及び/又は全長にわたって延在することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記衝突センサ(9)が、前記自動車(1)のバンパー(7)の領域に配置される前部センサ(9)であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記衝突センサ(9)が前記バンパー外板(5)と、前記バンパー(7)内に配置されたブロッキング要素(17)との間に配置され、該ブロッキング要素は発泡体又は発泡材料から成る弾性材料で構成されることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記衝突センサ(9)の前記センサ要素(18)が、前記ブロッキング要素(17)の、前記バンパー外板(5)と面する側に配置されることを特徴とする請求項13或いは14に記載の装置。
【請求項16】
発泡体又は発泡材料から成る弾性材料で構成される前記ブロッキング要素(17)上に、又は該ブロッキング要素(17)内に少なくとも部分的に、前記衝突センサ(9)を保持するために、前記中実プロファイル(21)が用いられることを特徴とする請求項14或いは15に記載の装置。
【請求項17】
前記中実プロファイル(21)が前記ブロッキング要素(17)の溝に保持されることを特徴とする請求項14〜16のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2008−525255(P2008−525255A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547263(P2007−547263)
【出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【国際出願番号】PCT/EP2005/013352
【国際公開番号】WO2006/072372
【国際公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(598051819)ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 137,70327 Stuttgart,Deutschland