説明

自動車シートベルトの自動締結及び解除装置

本発明は、自動車の運転席と助手席のシートベルトを自動的に締結および解除する自動車シートベルトの自動締結及び解除装置に関するものであって、ドアの上部に備えられる第1ハウジング10と、ドアの側部に備えられる第2ハウジング20と、前記第1、2ハウジング10、20の連結部の中心に備えられるヒンジ部30に一端が結合されて前記第1、2ハウジング10、20の間を回転移動し、長さ方向にガイドレール部45が備えられたベルト締結バー40と、前記ガイドレール部45にスライド可能に連結される移動ブロック61と、前記シート1の側面に設けられるリトラクタ50と、前記移動ブロック61に一端が連結され、他端は前記リトラクタ50によって巻取されるように連結される胸部保護ベルト60と、前記ベルト締結バー40に一端が連結され、他端は前記リトラクタ50によって巻取されるように連結される腹部保護ベルト70と、前記ベルト締結バー40の回転動作を制御するコントローラ100と、を含むことを技術的特徴とする。これにより、自動車に乗り込む運転者または搭乗者が手動でシートベルトを着用しなくても、車両のエンジンが始動されるとシートベルトが自動的に締結されるため、シートベルト未着用による人身事故を減少させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車シートベルトの自動締結及び解除装置に関し、より詳細には、自動車に搭乗者が搭乗した後、自動車のエンジンが始動されるとシートベルトが自動的に締結され、逆に、自動車のエンジンが停止されるか、あるいは搭乗者が別にシートベルトの締結状態を解除すると、シートベルトの着用が自動的に解除される自動車シートベルトの自動締結及び解除装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両走行中の急制動、衝突事故または車両の転覆などの事故発生時に、運転者または助手席に乗り込んでいる搭乗者が慣性によって車体にぶつかったり座席から離脱して大怪我をすることになる。
【0003】
通常、車両が急に停止する場合や転覆する場合にも搭乗者の搭乗位置がそのまま維持されるように、車両内にはシートベルトが設けられる。
【0004】
従来のシートベルトは、車両のドア側にロック付きシートベルトが設けられ、このシートベルトのロックが結合されるバックルが座席シートの一方の側面に設けられる構造を有する。そして、搭乗者が前記のシートベルトを使用する際には、座席に座って、シートベルトを引き出して自分の身体を対角線方向に横切るようにした後、ロックをバックルに結合させることにより、搭乗者の身体を座席に弾力的に固定させる。
【0005】
一方、政府では安全上の理由でシートベルトの着用を義務化しているが、搭乗者がシートベルトの着用を忘れたり、走行距離が長くないというなどの理由でシートベルトを着用しない場合が度々発生している。
【0006】
搭乗者がシートベルトの着用を忘れる場合などにシートベルトの着用を督励するための方法の一つとして、例えば、韓国公開実用新案第1998‐031305号(自動車のシートベルト着用警告装置)のようなシートベルト着用案内装置が提案されている。
【0007】
上記の文献に開示されたシートベルト着用警告装置は、図1に図示されたように、自動車のシートクッション100に取付けられ、搭乗者の有無を確認するための圧力センサ110と、この圧力センサ110の信号を受信して演算するコントローラ120と、このコントローラ120から印加される電源をオン/オフさせるためにバックル130に備えられた接点スイッチ140と、搭乗者にシートベルト着用有無を警告するための警告灯150及び警告用スピーカー160と、で構成される。
【0008】
上記の文献に記載の自動車のシートベルト着用警告装置は、運転者がシートベルトを着用せずに車両のエンジンを始動すると、シートベルト未着用に対する警告音やランプが一定時間点燈されるようにして搭乗者に注意を喚起しているが、シートベルトを着用していない状態でも自動車の走行が可能であるため、シートベルトの強制着用という目的を果たすことができず、さらに、警告対象が運転者に限定されるため、助手席に搭乗している搭乗者のシートベルト着用有無に対しては注意を喚起することができないという問題がある。

【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記のような従来技術の問題点を改善するためになされたものであって、本発明の目的は、搭乗者が車両内に乗り込んで車両のエンジンを始動すると、シートベルトが自動的に締結されるように構成することで、シートベルトの着用率を増加させ、シートベルトの未着用による人身事故を大幅に減少させることができる自動車シートベルトの自動締結及び解除装置を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、シートベルトが自動的に締結される時にそれを搭乗者に予め案内して認知できるようにし、またシートベルトの締結作動中にシートベルトの作動体が搭乗者の身体一部と異常位置で相接すると、動作を一時的に停止させたり自動的に復帰するように制御することで、搭乗者を保護することのできる自動車シートベルトの自動締結及び解除装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記のような目的は、ドアの上部に備えられる第1ハウジングと、ドアの側部に備えられる第2ハウジングと、前記第1、2ハウジングの連結部の中心に備えられるヒンジ部に一端が結合されて前記第1、2ハウジングの間を回転移動し、長さ方向にガイドレール部が備えられたベルト締結バーと、前記ガイドレール部にスライド可能に連結される移動ブロックと、前記シートの側面に設けられるリトラクタと、前記移動ブロックに一端が連結され、他端は前記リトラクタによって巻取されるように連結される胸部保護ベルトと、前記ベルト締結バーに一端が連結され、他端は前記リトラクタによって巻取されるように連結される腹部保護ベルトと、前記ベルト締結バーの回転動作を制御するコントローラと、を含むことにより達成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、車両に乗り込んでいる搭乗者または運転者のシートベルト着用が強制され、これにより、交通事故発生時のシートベルトの未着用による人身被害を大幅に減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来の自動車のシートベルト着用警告装置の例を示した斜視図である。
【図2】本発明による自動車シートベルトの自動締結及び解除装置の例を示した斜視図である。
【図3】本発明による第1、2ハウジングの例を示した正面図である。
【図4】本発明による拘束部材の例を示した断面図である。
【図5】本発明によるベルト締結バーの例を示した正面図である。
【図6】本発明によるベルト締結バーの作動例を示した状態図である。
【図7】図6のA‐A線の断面図及び駆動モータと半円形の歯ギアの例を示した斜視図である。
【図8】本発明による移動ブロックの例を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図示した添付図面を参照して、より詳細に説明する。
【0015】
本発明による自動車シートベルトの自動締結及び解除装置は、自動車の側面フレームのうちドアが取付けられる位置の上部領域と側面領域に設けられ、シートベルトを自動的に締結及び解除できるように構成されたものである。そのために本発明は、図2から図6に図示されたように、大きく、第1ハウジング10と、第2ハウジング20と、ベルト締結バー40と、リトラクタ50と、胸部保護ベルト60と、腹部保護ベルト70と、コントローラ100と、を含む。
【0016】
第1、2ハウジング10、20は、自動車の側面フレームのうちドアが取付けられる位置の上部領域と側部領域にそれぞれ設けられ、後述するベルト締結バー40が回転移動してその内部に収容される載置部である。図3に示すように、第1、2ハウジング10、20にはベルト締結バー40の位置を検知するためのセンサ81、82及び拘束部材11、21がそれぞれ設けられており、前記第1、2ハウジング10、20の一端が互いに接することによって形成される中心にヒンジ部30が設けられる。
【0017】
この際、前記第1、2ハウジング10、20は、後述するベルト締結バー40が囲まれるように、図4に図示されたように「コ」の字状の断面を有する。
【0018】
また、前記拘束部材11、21は、図4のようにボタンBが傾斜状に形成されてその一端はヒンジPによって固定され、このヒンジPを中心としてボタンBが回転移動される時、その位置が弾性力によって復元されるように、前記ボタンBと第1、2ハウジング10、20との間にはばねSが設けられる。また、前記ボタンBが前記ばねSの弾性力によって回転されて離脱することを防止するために、前記ボタンBの自由端には上昇防止突起Rが突出形成される。
【0019】
また、前記拘束部材11、21は、後述するコントローラ100によって自動的に開放されることができ、そのための実施形態として、前記拘束部材11、21のボタンBそれぞれの後面に電磁石(未図示)を設け、この電磁石に電源を供給及び遮断することにより、前記ボタンBが電磁石に付着したり電磁石から離れるようにして前記ベルト締結バー40を拘束及び解除することができる。
【0020】
前記ベルト締結バー40がボタンBの傾斜面に沿って回転移動されて自然にボタンBを一時的に押しながら通過し、ベルト締結バー40がボタンBを通過して第1、2ハウジング10、20内に収容されると、このボタンBによって拘束される。
【0021】
前記ベルト締結バー40を解除するために、コントローラ100は電磁石に電源を供給して、電磁石にボタンBが付着するようにして前記ボタンBを下降させる。これにより、前記ベルト締結バー40を拘束していたボタンBが解除されてベルト締結バー40の拘束が解除される。
【0022】
この際、前記ボタンBによって前記ベルト締結バー40を拘束及び解除する全ての動作は、当業者により容易に実施されるように、前記コントローラ100が電磁石に電源を供給したり電磁石への電源供給を遮断することにより行われることもできる。
【0023】
また、第1、2ハウジング10、20の一端が互いに接して形成された中心に設けられるヒンジ部30には、図5のような構造のベルト締結バー40の一端が回動可能に結合される。
【0024】
ベルト締結バー40は、後述する胸部及び腹部保護ベルト60、70の一端が連結され、搭乗者にシートベルトを着用または解除させるために回動される装置である。前記ベルト締結バー40は図5のように、前記第1、2ハウジング10、20の一端が接する中心にヒンジ部30によって回動可能に設けられ、その長さ方向にはガイドレール部45が形成される。
【0025】
前記ガイドレール部45は、図8に図示されたように、ベルト締結バー40に沿って形成された長溝または段部を含むことができ、胸部保護ベルト60がつながった移動ブロック61がこのようなガイドレール部45に連結されてスライド移動されるように構成される。
【0026】
また、図6に示すように、ベルト締結バー40は第1、2ハウジング10、20とヒンジ部30により結合されて第1、2ハウジング10、20の間を回転移動するように設けられるが、この際、ベルト締結バー40が第1ハウジング10へ移動した場合にはシートベルトが解除された状態となり、第2ハウジング20へ移動した場合にはシートベルトが着用された状態となる。
【0027】
このようにベルト締結バー40が回動されるために、第1、2ハウジング10、20には図7のようにヒンジ部30に近接して半円形の歯ギア12が備えられ、この半円形の歯ギア12に噛み合うピニオンギア42が設けられた駆動モータ41がベルト締結バー40側に設けられる。
【0028】
この際、ベルト締結バー40の拘束有無及び駆動モータ41の停止有無を判断するために、第1、2ハウジング10、20には図3及び図6に図示されたようにセンサ81、82が備えられる。
【0029】
リトラクタ(Retractor)50は、図2に図示したようにシート1の側面空間に設けられ、胸部及び腹部保護ベルト60、70の一端が連結されており、その内部ではばねなどの弾性部材がベルトを自動的に巻取して、ベルトが常に緊張した状態となるように張力を調節する装置である。
【0030】
前記リトラクタ50は、胸部及び腹部保護ベルト60、70がそれぞれ巻取されるように二つのリトラクタ50が個別に設けられ、それぞれのリトラクタ50に胸部及び腹部保護ベルト60、70がそれぞれ設けられる。
【0031】
このようなリトラクタ50は、車両用シートベルトの技術分野で一般的に幅広く用いられているため、このリトラクタ50の詳細な構成についての説明を省略する。
【0032】
胸部保護ベルト60及び腹部保護ベルト70は、ベルト締結バー40の下降によって搭乗者の胸部及び腹部を横切って拘束するベルトであり、胸部保護ベルト60の一端は移動ブロック61によってガイドレール部45に設けられ、他端は前記リトラクタ50によって固定される。
【0033】
また、腹部保護ベルト70の一端はベルト締結バー40に連結され、他端はリトラクタ50によって固定される。
【0034】
移動ブロック61は、前記ベルト締結バー40のガイドレール部45に設けられてスライドする構成である。ベルト締結バー40の昇下降動作時、この移動ブロック61がガイドレール部45に沿ってスライド移動されて胸部保護ベルト60を牽引拘束したり拘束解除することにより、ベルト締結とベルト締結解除を行うとともに、ベルトが整列されて乗り降り時の空間が確保される。
【0035】
また、腹部保護ベルト70はベルト締結バー40の下端に設けられ、胸部保護ベルト60及び腹部保護ベルト70の自由端はリトラクタ50に巻取されて、ベルトが弾力的に緊張状態を維持するようになる。
【0036】
前記移動ブロック61についてより詳細に説明すると、図8に示すように、ベルト締結バー40に備えられるガイドレール部45には長さ方向に歯ギア部43が形成され、この歯ギア部43と噛み合う駆動歯車63が胸部保護ベルト60の一端に備えられた移動ブロック61の底面に備えられる。駆動歯車63はサーボモータ62によって駆動されて移動ブロック61のスライドを制御する。
【0037】
このような移動ブロック61は、当業者により容易に実施されるように、ベルト締結バー40の昇下降によって自然にスライドされることができるが、より好ましくは、サーボモータ62の駆動によって駆動歯車63を歯ギア部43と噛み合った状態で移送させることにより、移動ブロック61の移送が高精度に制御されることができる。
【0038】
この際、移動ブロック61とガイドレール部45は互いにスライド可能に連結されるための結合部を含む。このような結合部は例えば、図8に示すように、移動ブロック61の下端の両側に形成された装着突起61Aと、ガイドレール部45に形成され、装着突起61Aが固定される挿入溝46と、により実現することができる。
【0039】
センサ81、82は前述したように、ベルト締結バー40が第1、2ハウジング10、20の一方へ回転移動する時、第1、2ハウジング10、20内に収容された状態を検知するためのものである。図3及び図6に図示されたように、センサ81、82は、ベルト締結バー40が第1、2ハウジング10、20に近接移動された状態を検知し、拘束動作の作動有無を判断して、駆動モータ41の動作を制御する。
【0040】
認知装置90は、ベルト締結バー40の回転移動によってベルトが締結または解除される作動状態を搭乗者に認知させる装置である。前記認知装置90は図6に図示したように、センサ81、82の信号を受信して駆動モータ41を制御するコントローラ100の制御下で、ベルト締結バー40の位置によってLEDランプを用いて信号を出力したり、スピーカーを用いてビープ音や案内音を出すことにより、搭乗者がそれを直ちに認知できるように具現される。
【0041】
本発明の実施形態による自動車シートベルトの自動締結及び解除装置が前記認知装置90を備えることにより、ベルト締結バー40の動作時に搭乗者が動いてシートベルトの締結及び解除が不確実になったり誤作動が発生することを予防することができる。
【0042】
コントローラ100は、前記の構成の動作を制御する装置であり、搭乗者の乗り降り有無とシートベルトの着用及び解除有無及び突発的な誤作動状況を検知してベルト締結バー40の位置を復帰または固定したり、使用者が作動状態を容易に認知できるように認知装置90を作動する役割をする。
【0043】
特に、ベルト締結バー40が回転移動中に搭乗者の身体などにぶつかることにより駆動モータ41に負荷が発生すると、この負荷を直ちに検知して、ベルト締結バー40の位置を上記の動作前の位置に復帰させる安全制御がコントローラ100によって遂行される。
【0044】
以上のように構成される本発明は、ベルト締結バー40が前記第1、2ハウジング10、20の間を回転移動する時に、図4に図示されたように、拘束部材11、21にそれぞれ備えられたボタンBの傾斜面に沿って移動するためボタンBを自然に押すことになり、ベルト締結バー40がボタンBを通過した後にはばねSの弾性力によってボタンBが上昇して、逆方向にベルト締結バー40が離脱されないように固定する。
【0045】
このようにベルト締結バー40が拘束部材11、21によって拘束されると、第1ハウジング10に位置されたベルト締結バー40が自重によって任意に下降したり、シートベルトを着用した状態で車両が急停車する時にシートベルトに大きい力が加えられても、ベルト締結バー40が回動せずに強固に固定維持されるため、シートベルトとしての機能を確実に遂行することができる。
【0046】
一方、ロックされた拘束部材11、21は、コントローラ100の制御により、別の電気的装置を用いて自動的にボタンBが押されて下降されるように構成される。使用者がドア開放ボタンを押したりコントローラ100の制御によってベルト締結バー40の固定を解除することにより、第1、2ハウジング10、20へ移動したベルト締結バー40が他方へ回動されることができるように拘束が自動解除される必要がある。これにより、前記ボタンBを自動的に押して解除できるように、前記拘束部材11、21の後面に備えられた電磁石(未図示)に電流を供給したりまたは電磁石への電流供給を遮断することによりベルト締結バー40が拘束または解除される。
【0047】
ベルト締結バー40は、駆動モータ41の正逆転によってピニオンギア42が回転すると、半円形の歯ギア12との噛み合いによってヒンジ部30を中心として他端が回動され、このようにベルト締結バー40が回動されて第1、2ハウジング10、20のうち何れか一方へ完全に移動されて拘束部材11、21によって拘束されると、駆動モータ41の動作が停止される。
【0048】
この際、コントローラ100はベルト締結バー40とセンサ81、82との接触有無を判断し、その判断結果に応じて、駆動モータ41の停止有無を決定して制御する。
【0049】
このように第1、2ハウジング10、20内に移動されたベルト締結バー40は、より正確な動作のために、締結完了ボタン(未図示)をさらに備えることができる。ベルト締結バー40が回転移動して締結完了ボタン(未図示)をタッチすることを検知することにより、ベルト締結バー40が第1または第2ハウジング10、20へ完全に移動されたかを判断することができる。
【0050】
一方、ベルト締結バー40が回転して第1ハウジング10に位置される場合には、これに応じて胸部及び腹部保護ベルト60、70がリトラクタ50から引き出されて伸びた後、ベルト締結バー40が第2ハウジング20へ回転移動されると、これに応じて胸部及び腹部保護ベルト60、70がリトラクタ50によって巻取されてベルトが緊張状態に張力が維持され、また胸部及び腹部保護ベルト60、70がそれぞれ対角線及び水平方向にシート1を横切って、このシート1に着席している搭乗者の身体を弾力的に固定する。
【0051】
以下、本発明の使用例を通じて、さらに詳細に説明する。
【0052】
<シートベルト着用時>
自動車の搭乗者がドアを開いて運転席または助手席に乗り込んだ後ドアを閉じて、車両のエンジンを始動させると、認知装置90によってシートベルト着用に対する案内音や信号が出力され、図2に図示されたように、第1ハウジング10の拘束部材11が電磁石(未図示)によって押されてベルト締結バー40の固定が解除される。
【0053】
ベルト締結バー40の固定が解除された状態で駆動モータ41が駆動されると、ピニオンギア42が回転されてベルト締結バー40を下降させ、ベルト締結バー40が下降される回転量に比例して移動ブロック61がガイドレール部45に沿って上端へ移送されて、胸部保護ベルト60が対角線方向にシート1を横切るようになる。
【0054】
このようにベルト締結バー40が回動されて第2ハウジング20へ移動されると、第2ハウジング20の拘束部材21のボタンBがベルト締結バー40と接触されて一時的に押されることになる。これにより、ベルト締結バー40がボタンBを通過して第2ハウジング20内に収容された状態で拘束される。第2ハウジング20内に収容されたベルト締結バー40が締結完了ボタンをタッチしたり第2ハウジング20に備えられたセンサ82がベルト締結バー40を検知すると、認知装置90により締結完了音や信号が出される。これにより、搭乗者はシートベルトの着用開始と着用完了の有無を認知することができる。
【0055】
ベルト締結バー40が完全に下降されて第2ハウジング20に固定されると、胸部保護ベルト60と腹部保護ベルト70によって搭乗者の身体が弾力的に拘束され、このような拘束力は拘束部材21などの物理的な装置によって維持されるため、別の解除動作なしにはシートベルトが任意に解除されない。
【0056】
<シートベルト解除時>
自動車の走行が完了したり、搭乗者が下車するために車両のエンジンを停止させたり、ドア開放ボタンを動作させると、認知装置90によってシートベルト解除に対する案内音や信号が出されるとともに、コントローラ100が第2ハウジング20の拘束部材21が電磁石によって下降されるように制御することにより、ベルト締結バー40の拘束が解除され、コントローラ100が駆動モータ41を作動させてベルト締結バー40を第1ハウジング10へ回転移動させる。
【0057】
また、ベルト締結バー40の回転移動に比例して移動ブロック61がガイドレール部45に沿って下端へ移送されて胸部保護ベルト60を牽引拘束して下車に必要な空間を広げ、ベルト締結バー40が第1ハウジング10内に挿入されて拘束部材11によって拘束される。
【0058】
この際、ベルト締結バー40が締結完了ボタンをタッチしたり、第1ハウジング10に備えられたセンサ81がベルト締結バー40が前記センサ81に接近したか否かを検知することによりベルト締結バー40の動作状態を検知し、ベルト締結バー40が拘束されたと検知される場合には、コントローラ100が駆動モータ41の作動を停止させ、認知装置90によってシートベルトの解除完了に対する案内音声と信号が出力される。これにより、搭乗者はシートベルトの解除完了有無を認知することができる。
【0059】
<誤作動発生時>
シートベルトの着用または解除動作時に搭乗者の身体にベルト締結バー40がぶつかったり動作の妨害要因が発生すると、コントローラ100は認知装置90によって該当事項を認知させ、ベルト締結バー40を作動する前の状態に復帰させる安全モードで作動される。
【0060】
一例として、安全モードは、ベルト締結バー40を回転させる駆動モータ41に一定以上の過負荷が発生すると、自動的に駆動モータ41の回転方向を逆方向に制御して、ベルト締結バー40が動作される前の位置に復帰するように制御する方式で実現することができ、他の例としては、ベルト締結バー40の両側面に検知センサを設け、ベルト締結バー40の回転動作時に検知センサがベルト締結バー40の移動経路上に搭乗者の身体などの障害要素があるか否かを予め検知するようにして、障害物が検知されると、ベルト締結バー40の作動を停止させたり復帰させる方式で実現することができる。
【0061】
このような安全作動手段により、本発明による自動車シートベルトの自動締結及び解除装置は、ベルト締結バー40の自動動作による安全事故が発生しないように制御される。
【0062】
以上のように作動する本発明による自動車シートベルトの自動締結及び解除装置は、搭乗者の乗り降り時にシートベルトが自動的に着用または解除されるため、シートベルトの未着用による人身事故を大幅に減少させることができる。
【符号の説明】
【0063】
1 シート
10 第1ハウジング
11、21 拘束部材
12 半円形の歯ギア
20 第2ハウジング
30 ヒンジ部
40 ベルト締結バー
41 駆動モータ
42 ピニオンギア
43 歯ギア部
45 ガイドレール部
46 挿入溝
50 リトラクタ
60 胸部保護ベルト
61 移動ブロック
61A 装着突起
62 サーボモータ
63 駆動歯車
70 腹部保護ベルト
81、82 センサ
90 認知装置
100 コントローラ
B ボタン
P ヒンジ
R 上昇防止突起
S ばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のドアと隣接した位置に設けられてシート(1)に締結されるシートベルトであって、
ドアの上部に備えられる第1ハウジング(10)と、
ドアの側部に備えられる第2ハウジング(20)と、
前記第1、2ハウジング(10、20)の連結部の中心に備えられるヒンジ部(30)に一端が結合されて前記第1、2ハウジング(10、20)の間を回転移動し、長さ方向にガイドレール部(45)を備えたベルト締結バー(40)と、
前記ガイドレール部(45)にスライド可能に連結される移動ブロック(61)と、
前記シート1の側面に設けられるリトラクタ(50)と、
前記移動ブロック(61)に一端が連結され、他端は前記リトラクタ(50)によって巻取されるように連結される胸部保護ベルト(60)と、
前記ベルト締結バー(40)に一端が連結され、他端は前記リトラクタ(50)によって巻取されるように連結される腹部保護ベルト(70)と、
前記ベルト締結バー(40)の回転動作を制御するコントローラ(100)と、を含むことを特徴とする自動車シートベルトの自動締結及び解除装置。
【請求項2】
前記第1、2ハウジング(10、20)それぞれには、内部に収容される前記ベルト締結バー(40)を拘束及び解除する拘束部材(11、21)が備えられることを特徴とする請求項1に記載の自動車シートベルトの自動締結及び解除装置。
【請求項3】
前記拘束部材(11、21)は、
前記第1、2ハウジング(10、20)にそれぞれ備えられるヒンジPと、
前記ヒンジPに一端が結合され、回転によって前記ベルト締結バー(40)を拘束及び解除するボタンBと、
前記ボタンBと前記第1、2ハウジング(10、20)との間に備えられ、前記ボタンBを弾性支持するばねSと、
前記ボタンBの自由端側に突出形成される上昇防止突起Rと、を含み、
前記上昇防止突起Rは、前記第1、2ハウジング(10、20)に係止されて前記ボタンBの回転を制限することを特徴とする請求項2に記載の自動車シートベルトの自動締結及び解除装置。
【請求項4】
前記ボタンBは、前記ベルト締結バー(40)との接触により一時的に押されてベルト締結バー(40)を拘束し、前記コントローラ(100)の制御により自動的に開放されてベルト締結バー(40)の拘束を解除することを特徴とする請求項3に記載の自動車シートベルトの自動締結及び解除装置。
【請求項5】
前記第1、2ハウジング(10、20)それぞれには、前記ベルト締結バー(40)の収容有無を検知するセンサ(81、82)が備えられることを特徴とする請求項1に記載の自動車シートベルトの自動締結及び解除装置。
【請求項6】
前記ベルト締結バー(40)を回転移動させる駆動モータ(41)がさらに備えられ、前記コントローラ(100)は、始動のオンオフ動作によって前記駆動モータ(41)の作動を制御することを特徴とする請求項1に記載の自動車シートベルトの自動締結及び解除装置。
【請求項7】
前記コントローラ(100)は、前記ベルト締結バー(40)の回転動作中に抵抗が発生すると、動作前の位置に前記ベルト締結バー(40)が自動復帰するように制御することを特徴とする請求項1に記載の自動車シートベルトの自動締結及び解除装置。
【請求項8】
前記ベルト締結バー(40)の作動時に前記ベルト締結バー(40)の作動状態を案内する認知装置(90)をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の自動車シートベルトの自動締結及び解除装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−521193(P2013−521193A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556991(P2012−556991)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【国際出願番号】PCT/KR2011/001732
【国際公開番号】WO2011/112047
【国際公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(512232768)エムビーアイ・カンパニー、リミテッド (1)
【Fターム(参考)】