説明

自動車バック・ドア

【課題】簡単に取付可能な自動車バック・ドアを提供する。
【解決手段】本発明は、メタル輪郭として設計されたフレームと、少なくとも1つの外装パネル部分と、および少なくとも1つの窓ガラスとを有する自動車バック・ドア特にバック・フラップまたはバック回転ドアに関するものである。簡単に取付可能な自動車バック・ドアを提供することが本発明の課題である。この課題は、フレーム(2)が内部部分(3)上に接着されていることと、および内部部分(3)および/または窓ガラス(17)がシャシ・ガスケット上にシール当接するための全当接面を形成することにより解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1の上位概念に記載の自動車バック・ドアに関するものである。本発明はあらゆるタイプの自動車バック・ドアに関するものである。特に、本発明により、一般にシャシに揺動可能に装着されている自動車バック・フラップが含まれている。さらに、バック・ドアの横にヒンジが取り付けられているバック回転ドアが本発明の対象である。自動車において、シングル・バック回転ドアのみならずダブル・バック回転ドアもまた使用される。
【背景技術】
【0002】
米国特許第6053562号から、バック・フラップとして形成されている自動車バック・ドアが既知である。既知のバック・ドアは、シャシ・ガスケットにシール当接するメタルフレームから構成されている。フレームはさらに横補強部材を有し、横補強部材はフレームを窓ガラス領域および壁領域に分割している。既知のバック・ドアにおいては、窓ガラスは外側から直接メタルフレームに固定されている。バック・ドアは、下部領域内に、内側からフレームに固定されているプラスチック部品を有している。
【0003】
米国特許第6053562号から、さらに、外装パネル部分を直接外側からフレームに固定することが既知である。
フレームはシャシ・ガスケットに当接するための当接面を形成するので、それに対応してフレームは幅広に形成されなければならず、これが自動車バック・ドアの高い全体重量を形成する結果となる。
【0004】
他の欠点は、構造部分の異なる熱膨張特性が完全には補償可能ではないことにある。この結果、構造部分は相互に異なる相対移動をすることになる。
さらに、既知のバック・ドアの装着はかなりの労力を必要とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
簡単に取付可能な自動車バック・ドアを提供することが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は請求項1の特徴により解決される。
本発明の有利な変更態様が従属請求項に与えられている。
フレームが平板状の内部部分上に接着され、および内部部分が湿潤/乾燥領域間の境界を形成する結合方式の自動車バック・ドアを提供することが基礎となっている。この場合、フレームは少なくとも車両内部室方向に内部部分により完全に遮蔽されている。平板状に形成されている内部部分は必ず必要な数のみの開口を有しているが、これらの開口は車両内部室に対して個々にシールされなければならない。
【0007】
しばしばバック回転ドアにおいてみられるように、自動車バック・ドアがフレームレス窓ガラスを有している場合、一方で窓ガラスが、および他方で内部部分が、それらの当接面によりシャシ・ガスケットにシール当接している。いずれの場合も、フレームとシャシ・ガスケットとの間の接触はない。
【0008】
理想的な場合、シャシ・ガスケットへの当接面は内部部分のみにより形成される。しかしながら、これは、窓ガラスとシャシ・ガスケットとの間の内部部分が連続しているときにのみ可能である。このために、内部部分内に窓ガラスのための開口が設けられていなければならないことは当然である。
【0009】
内部部分は湿潤/乾燥領域間の境界を形成するので、窓ガラスが外側から内部部分上に、好ましくは内部部分およびフレーム上に接着されるとき、それは有利である。これにより、内部部分と窓ガラスとの間のシール結合が形成される。
【0010】
本発明の変更態様において、外装パネル部分が内部部分のみと機械的に結合されるように設計されていることが有利である。これにより、内部部分と外装パネル部分との異なる熱膨張特性が最適に補償可能である。
【0011】
内部部分をプラスチック成形品で形成することは、内部部分が変化するシャシ形状にできるだけ容易に適合可能であるという利点を有している。シャシ形状の僅かな変化においてはフレームの形状は保持可能であり、これにより、内部部分の形状のみが適合されるだけでよい。他の利点は、成形品として形成されている内部部分が任意の各ガスケット形状に容易に適合可能であることにある。
【0012】
外装パネルがプラスチックから形成され、これにより大きな設計自由度が得られることが有利である。外装パネル部分をプラスチック内部部分に機械的に結合することにより取付工程が著しく簡略化され、その理由は、塗装された外装パネル部分が、組込部品の接着工程および取付工程後の製造工程終了時にはじめて取付可能であるからである。さらに、外装パネル部分をプラスチックから形成することは、全体重量を著しく低減させることになる。
【0013】
上記のモジュール構造方式に基づき、電気結線、アンテナ接続口等を簡単に外側から内部部分に固定し且つ外装パネルにより覆うことが可能である。
ワイパ・モータ、錠、ヒンジ、電子部品モジュール等からなる組込部品はスチールまたはアルミニウム・フレームに固定されていることが有利である。
【0014】
2つの図に本発明の2つの実施例を示している図面により本発明を詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1にバック・フラップとして形成されている自動車バック・ドア1は本質的にメタル輪郭からなるフレーム2から構成され、この場合、フレーム2は内部部分3上に接着されている。ここで、内部部分3はプラスチック成形品として形成されている。
【0016】
内部部分3は一体部品として平板状に形成され且つ本質的に2つの面即ち下部部分面4および上部部分面5からなり、これらは結合面23、24により結合されている。フレーム2は車両内部室の方向に内部部分3により完全に遮蔽されている。
【0017】
図1に示されている実施例においては、内部部分3のみが、図示されていないシャシ・ガスケットに当接するための当接面6を形成している。フレーム2はシャシ・ガスケットと接触していない。フレーム2は安定性のために横補強部材22を有し、横補強部材22は乗客室の方向に内部部分3により完全に覆われている。
【0018】
内部部分3は湿潤/乾燥領域間の境界として形成されているので、車両内部室をシールしている。
内部部分3は壁状に形成され且つフレーム2の側面を包囲している。
【0019】
平板状の内部部分3内に取付開口7、8、9が設けられている。取付開口9はワイパ・モータ10の駆動軸により貫通される。取付開口9は内部部分3の、車両内部領域に付属されている部分上に存在するので、取付開口9は内側から(図示されていない)ゴム短管により密閉されている。他の取付開口は図を見やすくするために示されていない。部分11は内装パネルの部分であり、これは内部部分3とのみ結合されている。
【0020】
ワイパ・モータ10または錠12のような全ての組込部品は支持フレーム2に固定されている。ワイパ・モータ10を固定するためにフレーム2に2つの隣接する目板13、14が設けられている。
【0021】
取付開口7、8はヒンジ15により貫通される。取付開口7、8はシールされる必要はなく、その理由は、これらは当接面6の外側に存在し、即ちシャシ内部室に付属されていないからである。
【0022】
内部部分3内に窓ガラス開口16が設けられている。窓ガラス17は外側から窓ガラス開口16の隆起周縁18並びに隣接するフレーム2上に接着される。窓ガラス17を内部部分3とのみ接着させるだけで十分である。
【0023】
自動車バック・ドアを外装するために2つの外装パネル部分19、20が設けられている。これらの外装パネル部分19、20は内部部分3のみに固定されている。このために、プラスチック製クリップ金具21が使用される。
【0024】
本発明による自動車バック・ドアの個別部品を組み立てるために、はじめに内部部分3がフレーム2と接着される。それに続いて窓ガラス17が内部部分3並びにフレーム2と接着される。これらの取付ステップののちに、ケーブル・ハーネス、電気部品、アンテナ、ヒンジ、ワイパ・モータ、錠、錠枠、ガス圧縮ばね用ボールピン並びに第3のストップ・ランプのような組込部品が取り付けられる。外装パネル部分19、20を予め組み立てたのちに、これらがクリップ機構21により直接内部部分3と機械的に結合される。プラスチックから形成されていることが有利な外装パネル部分19、20が容易に取外し可能であることにより、軽微な損傷は、損傷された外装パネル部分19、20を交換することにより簡単に除去可能である。これにより、修理費が少なくてすみ、このことは特により有利な保険等級とすることができる。
【0025】
図2にバック回転ドアとして形成されている自動車バック・ドア1が示されている。この場合、同じ構造部分を示すために図1と同じ符号が使用される。
バック回転ドアはフレーム2並びに内部部分3を有している。内部部分3は平板状に形成され且つシャシ・ガスケットとの当接面6を形成している。フレーム2は車両方向に内部部分3により完全に覆われている。フレーム2が当接面6の範囲を超えて突出すべき場合、この範囲を超えて突出する部分は内部部分3により覆われている必要がないことは当然である。図2に示されている実施例においてもまた、内部部分3は湿潤/乾燥領域間の境界を示している。図を見やすくするために取付開口の図示は省略されている。図2からわかるように、窓ガラス17はフレームレスで形成されている。これは、当接面6が内部部分3のみならずさらに窓ガラス17の縁領域によっても形成されていることを意味する。図示の実施例においては、窓ガラス17は外側から例えば差込フランジによりフレーム2に固定されている。
【0026】
ヒンジ15は、図1に示されている実施例と同様に、フレーム2に固定されている。外装パネル部分20はクリップ機構21により直接内部部分3に固定されている。しかしながら、図示の実施例においては、外装パネル部分20をさらにフレーム2の上部領域内に固定することが必要である。図示のバック回転ドア1においては、内部部分3の機能を湿潤/乾燥領域間の境界として保証するために、内部部分3は後方から窓ガラス17にシール当接している。内部部分3と窓ガラス17との間に別のガスケットが設けられていてもよいことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明によるバック・フラップの展開図である。
【図2】本発明によるバック回転ドアの展開図である。
【符号の説明】
【0028】
1 自動車バック・ドア
2 フレーム
3 内部部分
4 下部部分面
5 上部部分面
6 当接面
7、8、9 取付開口
10 ワイパ・モータ
11 内装パネル部分
12 錠
13、14 目板
15 ヒンジ
16 窓ガラス開口
17 窓ガラス
18 隆起周縁
19 上部外装パネル部分
20 下部外装パネル部分
21 クリップ機構
22 横補強部材
23、24 結合面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタル輪郭として設計されたフレームと、少なくとも1つの外装パネル部分と、および少なくとも1つの窓ガラスとを有する自動車バック・ドア特にバック・フラップまたはバック回転ドアにおいて、
フレーム(2)が内部部分(3)上に接着されていることと、および
内部部分(3)および/または窓ガラス(17)がシャシ・ガスケット上にシール当接するための全当接面(6)を形成することと、
を特徴とする自動車バック・ドア。
【請求項2】
内部部分(3)が、フレーム(2)を、少なくとも当接面(6)の内側領域内において、乗客室方向に完全に遮蔽することを特徴とする請求項1の自動車バック・ドア。
【請求項3】
内部部分(3)がプラスチック成形品として形成されていることを特徴とする請求項1または2の自動車バック・ドア。
【請求項4】
内部部分(3)が一体部品として形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかの自動車バック・ドア。
【請求項5】
内部部分(3)が平板状に形成され、および湿潤/乾燥領域間の境界を形成することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかの自動車バック・ドア。
【請求項6】
内部部分(3)が1つまたは複数の取付開口(7、8、9)を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかの自動車バック・ドア。
【請求項7】
取付開口(7、8、9)の全面積が内部部分(3)の面積より小さいことを特徴とする請求項6の自動車バック・ドア。
【請求項8】
全ての取付開口(7、8、9)の全面積の、内部部分(3)の面積に対するパーセント比が20%より小さく、特に10%より小さいことを特徴とする請求項7の自動車バック・ドア。
【請求項9】
好ましくは車両側に、少なくとも車両内部室に付属されている取付開口(9)を密閉するためのパネル(11)が設けられていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかの自動車バック・ドア。
【請求項10】
内部部分(3)内に窓ガラス開口(16)が設けられていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかの自動車バック・ドア。
【請求項11】
窓ガラス(17)がバック・ドア(1)の外側からはめ込まれ、および内部部分(3)と、好ましくは内部部分(3)およびフレーム(2)と接着されていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかの自動車バック・ドア。
【請求項12】
内部部分(3)が少なくとも部分領域において壁状に形成され、およびフレーム(2)の少なくとも一部を横から覆っていることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかの自動車バック・ドア。
【請求項13】
好ましくは全ての組込部品(10、12)が、好ましくはフレーム(2)のみに固定されていることを特徴とする請求項1ないし12のいずれかの自動車バック・ドア。
【請求項14】
少なくとも1つの外装パネル部分(19、20)が、好ましくは全ての外装パネル部分(19、20)の少なくとも一部が、好ましくは内部部分(3)のみに固定されていることを特徴とする請求項1ないし13のいずれかの自動車バック・ドア。
【請求項15】
外装パネル部分(19、20)が、内部部分(3)に、好ましくは特にプラスチック製の複数のクリップ機構(21)のみにより固定されていることを特徴とする請求項1ないし14のいずれかの自動車バック・ドア。
【請求項16】
内部部分(3)のみが、シャシ・ガスケット上に当接するための当接面(6)を形成することを特徴とする請求項1ないし15のいずれかの自動車バック・ドア。
【請求項17】
締付け取っ手が内部部分(3)と一体に形成されていることを特徴とする請求項1ないし16のいずれかの自動車バック・ドア。
【請求項18】
内部部分(3)がガラス繊維強化ポリプロピレン・マトリックスからなることを特徴とする請求項1ないし17のいずれかの自動車バック・ドア。
【請求項19】
内部部分(3)の肉厚が2mm−4mm、好ましくは3mmの値であることを特徴とする請求項1ないし18のいずれかの自動車バック・ドア。
【請求項20】
フレーム(2)と内部部分(3)との間に接着剤テープが設けられ、この場合、接着剤テープの厚さが2mm−6mm、好ましくは4mmの値であることを特徴とする請求項1ないし19のいずれかの自動車バック・ドア。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−36191(P2006−36191A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−211519(P2005−211519)
【出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(505275745)ペグフォルム・ゲーエムベーハー (3)