説明

自動車用ヒューズおよびアナログ/デジタル変換器を備えた配置

自動車用ヒューズ5およびA/D変換器6を備えた配置に関する。自動車用ヒューズ5およびA/D変換器6を備えた従来の配置は、自動車用ヒューズで測定値を発生させ、続いて増幅させて、長い信号線を介してA/D変換器6まで導くよう構成されていた。場所を節約した新配置はA/D変換器6を自動車用ヒューズ5のすぐ近辺に配置するよう構成される。自動車用ヒューズ5によって、増幅されないアナログ測定値がA/D変換器6の入口7に供給される。信号はバスシステムによってデジタルで伝送される。すべての構成要素を1つの共通のケースに収納すると特に有利となる。さらなる信号はバスシステムによってデジタルで伝送される。このような配置は自動車のデータバスシステム2に使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1の前提部に記載された自動車用ヒューズおよびアナログ/デジタル変換器を備えた配置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にはアナログ信号を取得してデジタル化する測定インターフェイスを備えた配置が公開される。この測定インターフェイスはデータバスに接続され、デジタル化された測定値はその他の機能ユニットに伝送される。測定インターフェイスはここでは例えば時間で変動する電圧または時間で変動する電流を測定する。それから、このアナログ測定信号またはそれに比例する信号はアナログ/デジタル変換器(A/D変換器)によってデジタル化される。
【0003】
しかし、他に別の機能のない特別の測定装置、特に測定抵抗器がこのために必要になるという欠点がある。この測定装置および測定インターフェイスには場所が必要となる。
またヒューズとしても使用できる測定抵抗器の電圧降下を取得するシステムが知られている。このアナログ測定信号は増幅され、長い信号線を介してセントラル測定システムにさらに導かれる。
【0004】
このようなシステムには、ヒューズが測定抵抗器として使用される場合は、長い信号線への電磁放射および/または追加された増幅器の使用に基づいて、測定が不正確になるか、または自動車用ヒューズのヒューズ機能が影響を受けて不具合になるという欠点がある。さらに、各測定場所に分離して配線しなければならないので、このシステムは配線に関しては非常に費用のかかるものとなる。この公知のセントラル測定システムは大規模となるので、移動性はなくなるか、あるいは非常に制限される。すなわち、このようなシステムは実験室構築用のみに適する。
【特許文献1】DE29911177U1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、ワイヤまたは金属シートが過負荷で破壊されるヒューズ機能に影響を及ぼすことなく、データシステムにさらに導くため、一方では正確な測定が達成できる自動車用ヒューズおよびA/D変換器を備えた配置を明示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
A/D変換器の入口を自動車用ヒューズに直接接続し、ここで測定されたアナログ測定値をA/D変換器でただちにその場でデジタル化し、このデジタル化された値をさらなる処理に利用できるようにすることによってこの課題は解決される。
【発明の効果】
【0007】
このような配置の利点は、このようなシステムは誤りなく作動して実際の測定値を供給でき、電磁放射に対して最も不感であり、かつ省スペースに構成できることにある。アナログ測定値から直接算出されたデジタル値は、例えばバスケーブルで長い距離に渡って誤りなく伝送される。
【0008】
有利な形態は従属請求項でさらに与えられる。この場合、自動車用ヒューズおよびA/D変換器を共通のケースに配置し、このケースを標準の自動車用ヒューズケースにすると、特に有利になることが判明する。プロセッサでA/D変換器からデジタル測定値を受け取る場合はさらなる利点が生じ、この場合、このプロセッサを自動車用ヒューズおよびA/D変換器と同じケース内の近辺に同様に配置すると有利となる。ここで、アナログまたはデジタル測定値に温度補正を行うために、測定抵抗器として使用される自動車用ヒューズのすぐ近辺に周囲温度を算出する温度センサを、場合によっては自動車用ヒューズと同じケース内に配置することが役に立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
発明を図1から4に示す実施形態に基づいて説明する。
図1は1つのバスシステム2に接続された発明による複数の配置1を示す。少なくとも自動車用ヒューズとA/D変換器を備えた配置1がデータバス2に接続される。配置1は、電気過負荷に対して自動車用ヒューズで保護する必要のある制御ユニット、スイッチ回路、機能ユニットまたはそれらに類似する装置に接続する。これらの装置は、さらなる処理をするため自動車エレクトロニクスが利用できる信号を発生する。これらの信号は測定して検査しなければならない。この場合、信号の大きさが損傷を引き起こすことにならないことを検査によって確認する。この理由から、後で説明するように、自動車用ヒューズが必要とされる。測定された信号値を配置1によってデジタル化し、さらなる処理を行うためデータバス2によって伝送するように処理する。同じようにデータバス2は2ラインのバスシステムから分岐された必要な電圧を配置1に供給する。さらにデータバス2には電流供給源付き電圧変換器3が接続される。この電流供給源付き電圧変換器3はバスライン2にエネルギーを供給し、算出された測定値から生じたデジタル化された信号を再度変換してマスターユニット4に導く。このマスターユニット4は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)またはパーソナルデジタルアシスタント(PDA)が考えられるが、これは様々な信号を取得してさらに処理し、場合によってはその処理よる結果に基づき対応する制御ユニット、機能ユニットまたはそれらに類似する装置に引き渡すためバスラインに命令を伝送する。
【0010】
図2は自動車用ヒューズと測定値をデジタル化するA/D変換器とを備えた配置の実施形態を示す。配置1は例えば5A,10A,20Aまたは30Aの自動車用ヒューズ5で構成される。このヒューズ5は過大な電流が流れると溶融するか他の方法で破壊される導体シートまたはワイヤで主として構成される。このヒューズ5のすぐ近辺にA/D変換器6がある。このA/D変換器6は、70nVのLSB値(LSB=最下位ビット)を備える24ビット変換器である。A/D変換器6の入口7は自動車用ヒューズ5に接続される。すなわち、デジタル化される測定値はヒューズ5で使い古される。ヒューズ5およびA/D変換器6の入口7は配置1のアナログ部分11を形成する。ヒューズ5で測定されたアナログ測定値は、実施形態では、電流が流れた結果ヒューズに生じた電圧またはヒューズを使用せずに測定する場合のアナログ電圧である。
【0011】
さらにA/D変換器6は、電源電圧も基準電圧もA/D変換器6に利用できるように電圧ユニット12に接続される。実施形態では基準電圧は1,2Vになり、電源電圧は5Vになる。A/D変換器6においてアナログ測定値はデジタル値に変換され、このデジタル変換値はA/D変換器6の出口8で読み取ることができる。実施形態ではA/D変換器6はプロセッサ9に接続され、そしてこのプロセッサ9でA/D変換器6のデジタル出口値8がさらに処理される。このプロセッサ9は、ヒューズ5近辺で周囲温度を検出する温度センサ10にも接続されている。プロセッサ9において、検出された温度値を使用して温度補正が行われる。アナログ値が変換されて自由に使えるようになっているデジタル測定値はA/D変換器6に直接隣接するプロセッサ9で評価され、必要に応じバスシステム2を介してコンピュータ4に伝送される。同時にヒューズ5の温度が取得され、測定値の温度補正に使用される。プロセッサ9はこの実施形態ではA/D変換器6の制御と、実物のヒューズワイヤの電圧降下によって記憶された電流の算出と、命令で制御されたコミュニケーションあるいはコンピュータ4へのデータ伝送とを引き受ける。A/D変換器6の制御内容にはデータの読み取りとこの構成要素のA/D変換器のパラメータの格納とが含まれる。算出内容には変換器によるA/D変換値を温度補正された電流値へ換算することが含まれる。その場合、測定された温度がA/D測定値の温度補正に考慮される。これは、例えばプロセッサ9の蒸発しないメモリーに格納された温度−電流特性曲線図を使用して行われる。コンピュータへのデータ伝送は命令で制御される。電流の測定はこれに同期して行われる。すなわち、すべてのヒューズは測定するため命令を受け、それと同時に測定を開始する。その後、加入体1はバス2で次々にコンピュータ4から読み出される。さらにこの実施形態では配置1に電圧分離装置13が備わる。電圧分離装置13にはプロセッサ9からの出力信号をデータバス2に伝送するオプトカプラ15が含まれ、ここでヒューズワイヤからの完全な電気分離が行われる。さらに電圧分離装置13には電圧ユニット12にエネルギーを供給する直流−直流変換器(DC−DC変換器)14が含まれる。電圧ユニット12の電源ユニットはプロセッサ9にもエネルギーを供給する。
【0012】
図3は図2による配置を備えた平板棒を示す。この実施形態において平板棒17の上面を示すが、下面と共に完全な配置1が構成される。この上面には従来の実際の自動車用ヒューズ5、A/D変換器チップ6、プロセッサ9、バスシステムをガルバーニ電気分離するオプトカプラ15および電流源と直列バスシステムに接続するプラグ18がある。このような配置によって、これまで従来の測定システムでは達成されなかった非常に高い測定精度が達成できる。このような組立ては例えば次の技術データを備えることができる。このような平板棒は通常のヒューズとしてこれから使用することができ、また自動車の自動車用ヒューズの分野にも適合する。このような組立て用の技術データは例えば次のとおりである。
【0013】
電流測定範囲: はめ込まれた5A,10A,20Aまたは30A型のヒューズに相
当する。
全電流測定が可能である。
電圧測定範囲: +/−60V(SI線のないアナログ電圧の測定の場合)
温度測定範囲: −40℃〜+80℃
精度: +/−100μA,ノイズ約+/−50μA
測定方法: 実際のヒューズワイヤを測定抵抗器に、
A/D変換器でデジタル化、
ヒューズ直上で計算部分の算出
分離: 直流−直流−電圧供給および光分離された信号ラインによる自動車
からの完全分離
測定部分の数: 200まで
使用した測定値: 測定電流、ヒューズの温度
測定サイクル: 同期測定、
非同期データ伝送、
秒当たり100の測定箇所の読み取り(高速測定)、
テストを伴う1測定に約200msかかる
温度範囲: −40℃〜+80℃(使用条件)
測定小片の寸法 : 約14mmx30mm
インターフェイス: PS232C
システム構成: 20,50または100の測定点、
同一バスに電流、電圧および温度測定箇所のある異質のシステム
このような構造を使用して、アナログ測定値をデジタル値に変換し、さらにこのデジタル値を例えばバスシステムを介し、他のユニット例えば制御ユニットに、伝送中に間違いを起こさずに伝送することが可能となる。
【0014】
図4にこのような配置の様々なケース形状を示す。ケース16は従来の自動車用ヒューズの寸法に相当する。しかし、図3に示すように、これらの内部は少なくとも1つのA/D変換器6または1つの平板棒17で構成される。従来は自動車用ヒューズのみが配置されていた同じ場所にスペースを節約してこのような配置が可能になる。これによって、スペースを節約した、安価なコストの構造が得られる。
【0015】
このような測定システムを使用して、配線に対し大きな出費をかけずに、自動車運転中の実際の通常の自動車用ヒューズに対し非常に高い精度で測定値を得ることが可能となる。測定値はアナログで検出できる。その直後にアナログ値はデジタル化され、それで初めてさらなる処理が行われる。
【0016】
このようなシステムは移動状態で使用可能であるので、自動車用ヒューズの元のヒューズ機能に影響を及ぼさずに自動車にとどまれる。
試験期間中とどまることのできる試験自動車のこのようなヒューズモジュールには特別の利点がある。しかし、このようなシステムは一連の自動車シリーズにも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】発明による複数の配置を備えるバスシステムを示す。
【図2】自動車用ヒューズおよび測定値をデジタル化するA/D変換器を備えた配置を示す。
【図3】測定値をデジタル化する配置を備えた平板棒を示す。
【図4】統合された自動車用ヒューズで測定値をデジタル化する配置のケース形状を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
過負荷の際に少なくとも1つの電気回路を遮断する1つの自動車用ヒューズ(5)と、アナログ測定値を取得して変換する少なくとも1つのアナログ/デジタル変換器(6)とを備えた配置(1)であって、アナログ測定値はアナログ/デジタル変換器(6)の入口(7)に供給され、さらなる処理に利用するためアナログ/デジタル変換器(6)の出口(8)でデジタル測定値にされる配置において、
アナログ/デジタル変換器(6)の入口(7)は自動車用ヒューズ(5)に直接接続されて、自動車用ヒューズ(5)はアナログ/デジタル変換器(6)用にアナログ測定値を発生し、かつ
測定値を取得直後にデジタル化するため、アナログ/デジタル変換器(6)は自動車用ヒューズ(5)に直接隣接して配置される
ことを特徴とする自動車用ヒューズ(5)およびアナログ/デジタル変換器(6)を備えた配置。
【請求項2】
自動車用ヒューズ(5)およびアナログ/デジタル変換器(6)は共通のケース(16)に配置されることを特徴とする請求項1に記載の自動車用ヒューズ(5)およびアナログ/デジタル変換器(6)を備えた配置。
【請求項3】
デジタル化された測定値が含まれるアナログ/デジタル変換器(6)出口(8)にプロセッサ(9)が接続されることを特徴とする請求項1に記載の自動車用ヒューズ(5)およびアナログ/デジタル変換器(6)を備えた配置。
【請求項4】
自動車用ヒューズ(5)およびアナログ/デジタル変換器(6)の共通のケース(16)にプロセッサ(9)も配置されることを特徴とする請求項2に記載の自動車用ヒューズ(5)およびアナログ/デジタル変換器(6)を備えた配置。
【請求項5】
自動車用ヒューズ(5)の近辺に温度センサ(10)が配置されることを特徴とする請求項1または3に記載の自動車用ヒューズ(5)およびアナログ/デジタル変換器(6)を備えた配置。
【請求項6】
温度センサ(10)は自動車用ヒューズ(5)およびアナログ/デジタル変換器(6)の共通のケース(16)に配置されることを特徴とする請求項2または4に記載の自動車用ヒューズ(5)およびアナログ/デジタル変換器(6)を備えた配置。
【請求項7】
測定値に温度補正を行うため、温度センサ(10)はプロセッサ(9)に接続されることを特徴とする請求項5または6に記載の自動車用ヒューズ(5)およびアナログ/デジタル変換器(6)を備えた配置。
【請求項8】
配置(1)はデータバスシステム用のデジタル測定値トランスミッタとして使用されることを特徴とする請求項1に記載の配置の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−531211(P2007−531211A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504352(P2007−504352)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【国際出願番号】PCT/EP2005/003098
【国際公開番号】WO2005/093773
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(500085758)アウディー アーゲー (41)
【Fターム(参考)】