説明

自動車用フロアーマット及びその製造方法と製造装置

【課題】 吸音性に優れて十分な静粛性を確保できると共に、敷設下地面に対して優れた防滑性を発揮できる自動車用フロアーマット及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 この発明の自動車用フロアーマットは、表皮材層29の下面側に不織布層32が積層一体化され、該不織布層32の下面に熱可塑性樹脂からなる網状体層3が該樹脂の溶融により接着一体化され、前記網状体3の下面から熱可塑性樹脂からなる多数個の防滑用突起4が突設されていることを特徴とする。この発明の製造方法は、突起形成用キャビティーが形成された板状の成形型が複数個帯状に連結された帯状体が、一対の軸体に巻き付けられてなるエンドレスキャタピラの上側平坦面の上に、熱可塑性樹脂からなる溶融糸条を塗布して溶融糸条が交絡してなる略網目状の溶融体を形成せしめた後、この上にマット本体の不織布層を重ね合わせて加圧することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車室内における例えば運転者や同乗者の足元に敷いて用いられる自動車用フロアーマット及びその製造方法と製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車室内のフロアーには予め不織布やパイルカーペット等の繊維敷物が敷設されているが、この繊維敷物の汚れを防止すること等を目的として、この繊維敷物の上に更に取り外し可能なフロアーマットを載置することが広く行われている。このフロアーマットに、足で踏む、蹴る等の外力が加わると、フロアーマットは位置ずれを生じる。このような位置ずれを生じると、使用者が滑ったりすることが懸念されるのみならず、位置ずれによってフロアーマットがアクセル、ブレーキ等に覆いかぶさるようなことがあると、運転を行う上で支障を来すことから、この自動車用フロアーマットには位置ずれを生じないことが強く要請されている。
【0003】
このような位置ずれを防止するために、従来の自動車用フロアーマットでは、マットの裏面に積層された熱可塑性エラストマーからなる裏打ち材の下面に多数個の防滑用突起(熱可塑性エラストマーからなる)を設けることが行われていた(特許文献1参照)。
【0004】
ところで、近年、自動車室内の静粛性を高めるために、自動車用フロアーマットには優れた吸音性を備えていることが強く求められるようになってきている。前記熱可塑性エラストマーからなる裏打ち材を積層した構成では、吸音効果が殆ど得られないことから、近年ではカーペット地等の表皮材の裏面側に不織布を貼り合わせた構成のものが用いられるようになってきている(特許文献2参照)。この構成によれば、騒音等の音は不織布層を通過する際に吸音されるので、十分な吸音効果が得られる。
【特許文献1】登録実用新案公報第3031429号公報
【特許文献2】特開2002−200687号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような表皮材の裏面側に単に不織布を貼り合わせた構成では、敷設下地面に対する滑り防止性が殆ど得られないという問題があった。特に敷設下地面がパイルカーペットであるような場合には容易に滑りを生じてしまう。勿論、フロアーマットの裏面に合成樹脂製の防滑用突起を多数個突設すれば、滑り防止性能を付与できることが期待できるが、従来においては不織布に合成樹脂製の突起を直接に固定する技術はなかったのが実状である。
【0006】
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、吸音性に優れて十分な静粛性を確保できると共に、敷設下地面に対して優れた防滑性を発揮できる自動車用フロアーマット及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0008】
[1]表皮材層の下面側に不織布層が積層一体化され、該不織布層の下面に熱可塑性樹脂からなる網状体層が該樹脂の溶融により接着一体化され、前記網状体の下面から熱可塑性樹脂からなる多数個の防滑用突起が突設されていることを特徴とする自動車用フロアーマット。
【0009】
[2]前記網状体の面積は、前記不織布層下面の面積に対して40〜80%の範囲に設定されている前項1に記載の自動車用フロアーマット。
【0010】
[3]突起形成用キャビティーが形成された板状の成形型が複数個帯状に連結された帯状体が、互いに離間して配置された一対の軸体に巻き付けられてなるエンドレスキャタピラの上側平坦面の上に、熱可塑性樹脂を紡糸孔から吐出して形成した溶融糸条を塗布することによって、溶融糸条が交絡してなる略網目状の溶融体を前記エンドレスキャタピラの上に形成せしめる工程と、
前記エンドレスキャタピラの塗布面に、表皮材層の裏面側に不織布層が積層一体化されてなるマット本体の該不織布層を重ね合わせて加圧することによって、不織布の重ね合わせ面に網状体層を積層一体化すると共に該網状体層の下面に多数個の防滑用突起を一体形成する工程とを包含することを特徴とする自動車用フロアーマットの製造方法。
【0011】
[4]突起形成用キャビティーが形成された板状の成形型が複数個帯状に連結された帯状体が、互いに離間して配置された一対の軸体に巻き付けられてなるエンドレスキャタピラの上側平坦面の上に、熱可塑性樹脂を紡糸孔から吐出して形成した溶融糸条を塗布することによって、溶融糸条が交絡してなる略網目状の溶融体を前記エンドレスキャタピラの上に形成せしめる工程と、
前記エンドレスキャタピラの塗布面に不織布を重ね合わせて加圧することによって、不織布の片面に網状体層を積層一体化すると共に該網状体層の下面に多数個の防滑用突起を一体形成して中間シート体を得る工程と、
前記中間シート体における網状体層が形成されていない側の面に表皮材層を積層一体化する工程とを包含することを特徴とする自動車用フロアーマットの製造方法。
【0012】
[5]前記加圧を冷却加圧ロールを用いて行う前項3または4に記載の自動車用フロアーマットの製造方法。
【0013】
[6]前記加圧を、互いに離間して配置された一対の軸体に帯状体が巻き付けられてなる冷却エンドレスキャタピラを用いて行う前項3または4に記載の自動車用フロアーマットの製造方法。
【0014】
[7]表皮材層の裏面側に不織布層が積層一体化されてなるマット本体の該不織布層を上側にして搬送しつつ、このマット本体の不織布層の上に、熱可塑性樹脂を紡糸孔から吐出して形成した溶融糸条を塗布することによって、溶融糸条が交絡してなる略網目状の溶融体を前記マット本体の不織布層の上に形成せしめる工程と、
前記不織布層の塗布面を、表面に突起形成用キャビティーを備えたロールで加圧することによって、マット本体の不織布層に網状体層を積層一体化すると共に該網状体層に多数個の防滑用突起を一体形成する工程とを包含することを特徴とする自動車用フロアーマットの製造方法。
【0015】
[8]搬送されている不織布の上に、熱可塑性樹脂を紡糸孔から吐出して形成した溶融糸条を塗布することによって、溶融糸条が交絡してなる略網目状の溶融体を前記不織布の上に形成せしめる工程と、
前記不織布の塗布面を、表面に突起形成用キャビティーを備えたロールで加圧することによって、不織布の片面に網状体層を積層一体化すると共に該網状体層に多数個の防滑用突起を一体形成して中間シート体を得る工程と、
前記中間シート体における網状体層が形成されていない側の面に表皮材層を積層一体化する工程とを包含することを特徴とする自動車用フロアーマットの製造方法。
【0016】
[9]前記紡糸孔から吐出して形成した溶融糸条の太さが0.6〜1.5mmである前項3〜8のいずれか1項に記載の自動車用フロアーマットの製造方法。
【0017】
[10]前記溶融糸条を構成する熱可塑性樹脂として、ポリオレフィン系樹脂及び熱可塑性エラストマーを含有してなる熱可塑性樹脂を用いる前項3〜9のいずれか1項に記載の自動車用フロアーマットの製造方法。
【0018】
[11]突起形成用キャビティーを備えた板状の成形型が複数個帯状に連結された帯状体が、互いに離間して配置された一対の軸体に巻き付けられてなるエンドレスキャタピラと、前記エンドレスキャタピラの上方位置に配置された加圧部と、下面に紡糸孔を備えた紡糸口金とを備えることを特徴とする自動車用フロアーマットの製造装置。
【0019】
[12]表面に突起形成用キャビティーを備えた加圧ロールと、前記加圧ロールの下に配置された挟圧用支持体と、下面に紡糸孔を備えた紡糸口金とを備えることを特徴とする自動車用フロアーマットの製造装置。
【発明の効果】
【0020】
[1]の発明では、不織布層の下面に溶融により接着一体化された網状体の下面に防滑用突起が一体形成されているので、防滑用突起が不織布に対して強固に固定される。しかして、この防滑用突起のスパイク効果等によって敷設下地面に対して優れた防滑性が発揮されるから、このマットは敷設下地面に対してずれ移動を生じることがない。また、網状体層には隙間が多数存在するので、通気性が阻害されることがなく、不織布による吸音作用が十分に発揮され得て優れた吸音性能が確保される。
【0021】
[2]の発明では、網状体の面積は、不織布層下面の面積に対して40〜80%の範囲に設定されているから、優れた防滑性を維持しつつ吸音性をさらに向上させることができる。
【0022】
[3]の発明では、溶融糸条が交絡してなる略網目状の溶融体をエンドレスキャタピラの上に形成せしめて、この上にマット本体の不織布層を重ね合わせて加圧することで、マット本体の不織布層に網状体層を接着一体化すると同時に該網状体層の下面に多数個の防滑用突起を一体形成することができ、これにより防滑用突起が不織布層に対して強固に固定されたマットを製造することができる。またエンドレスキャタピラでマットを搬送しつつ連続的に製造することができるので、生産性に優れている。得られたマットは、網状体層に多数の隙間が存在するので通気性が阻害されることがなく、不織布による吸音作用が十分に発揮され得て十分な吸音性を確保できると共に、防滑用突起のスパイク効果等によって敷設下地面に対して優れた防滑性を発揮できる。
【0023】
[4]の発明では、溶融糸条が交絡してなる略網目状の溶融体をエンドレスキャタピラの上に形成せしめて、この上に不織布を重ね合わせて加圧することで、不織布に網状体層を接着一体化すると同時に該網状体層の下面に多数個の防滑用突起を一体形成することができ、次いで表皮材を積層一体化することにより、防滑用突起が不織布層に対して強固に固定されたマットを製造することができる。またエンドレスキャタピラでマットを搬送しつつ連続的に製造することができるので、生産性に優れている。得られたマットは、網状体層に多数の隙間が存在するので通気性が阻害されることがなく、不織布による吸音作用が十分に発揮され得て十分な吸音性を確保できると共に、防滑用突起のスパイク効果等によって敷設下地面に対して優れた防滑性を発揮できる。
【0024】
[5]の発明では、加圧を冷却加圧ロールを用いて行うから、加圧時に成形型の突起形成用キャビティー内に溶融体(熱可塑性樹脂)を十分に充填することができて、所望形状の防滑用突起を精度高く形成することができる。
【0025】
[6]の発明では、加圧を、互いに離間して配置された一対の軸体に帯状体が巻き付けられてなる冷却エンドレスキャタピラを用いて行うから、加圧時に成形型の突起形成用キャビティー内に溶融体(熱可塑性樹脂)を十分に充填することができて、所望形状の防滑用突起を精度高く形成することができる。また、防滑用突起成形後も冷却エンドレスキャタピラとエンドレスキャタピラの間に挟まれた状態でマットが搬送されるので、網状体及び防滑用突起の賦形固化を十分に行うことができる。
【0026】
[7]の発明では、溶融糸条が交絡してなる略網目状の溶融体をマット本体の不織布層の上に形成せしめて、この不織布層の塗布面を、突起形成用キャビティーを備えたロールで加圧することで、マット本体の不織布層に網状体層を接着一体化すると同時に該網状体層に多数個の防滑用突起を一体形成することができ、これにより防滑用突起が不織布層に対して強固に固定されたマットを製造することができる。また、マットを搬送しつつ連続的に製造することができるので、生産性に優れている。得られたマットは、網状体層に多数の隙間が存在するので通気性が阻害されることがなく、不織布による吸音作用が十分に発揮され得て十分な吸音性を確保できると共に、防滑用突起のスパイク効果等によって敷設下地面に対して優れた防滑性を発揮できる。
【0027】
[8]の発明では、溶融糸条が交絡してなる略網目状の溶融体を不織布の上に形成せしめた後、この不織布の塗布面を、突起形成用キャビティーを備えたロールで加圧することで、不織布に網状体層を接着一体化すると同時に該網状体層の下面に多数個の防滑用突起を一体形成することができ、次いで表皮材を積層一体化することにより、防滑用突起が不織布層に対して強固に固定されたマットを製造することができる。また、不織布を搬送しつつ連続的に製造することができるので、生産性に優れている。得られたマットは、網状体層に多数の隙間が存在するので通気性が阻害されることがなく、不織布による吸音作用が十分に発揮され得て十分な吸音性を確保できると共に、防滑用突起のスパイク効果等によって敷設下地面に対して優れた防滑性を発揮できる。
【0028】
[9]の発明では、溶融糸条の太さが0.6〜1.5mmであるから、十分な隙間を備えた網状体層を形成できると共に、防滑用突起を不織布に対して十分に強固に固定することができる。
【0029】
[10]の発明では、溶融糸条を構成する熱可塑性樹脂として、ポリオレフィン系樹脂及び熱可塑性エラストマーを含有してなる熱可塑性樹脂を用いることで、防滑用突起が弾性のあるものとなり、これにより成形型の突起形成用キャビティー内からの防滑用突起の離脱をスムーズに行わせることが可能となって生産性を向上させることができる。
【0030】
[11]の発明では、紡糸口金の下面の紡糸孔から熱可塑性樹脂の溶融糸条を吐出し、該溶融糸条を突起形成用キャビティーを備えたエンドレスキャタピラの上に塗布した後、この上に不織布またはマット本体の不織布層を重ね合わせて加圧部で加圧することにより、多数個の防滑用突起を備えた網状体層を、不織布またはマット本体の不織布層に積層一体化することができる。
【0031】
[12]の発明では、不織布またはマット本体の不織布層の上に、紡糸口金の下面の紡糸孔から吐出した溶融糸条を塗布した後、挟圧用支持体で支持した状態でこの上から表面に突起形成用キャビティーを備えた加圧ロールで加圧することにより、多数個の防滑用突起を備えた網状体層を、不織布またはマット本体の不織布層に積層一体化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
この発明の一実施形態に係る自動車用フロアーマット(1)を図1、2に示す。この自動車用フロアーマット(1)は、通気性を有するマット本体(2)の裏面(図1では上面)に、熱可塑性樹脂からなる網状体層(3)が該樹脂の溶融により接着一体化され、前記網状体層(3)の裏面(図1では上面)から熱可塑性樹脂からなる多数個の防滑用突起(4)…が相互に間隔をあけて突設されたものからなる。前記網状体層(3)と前記防滑用突起(4)は一体的に形成されている。なお、前記マット本体(2)は、カーペット基材(30)の表側にパイル(31)が植設されて表皮材層(29)が形成されると共に該カーペット基材(30)の裏側に通気性接着層(33)を介して不織布層(32)が積層一体化されてなるパイルカーペットである。
【0033】
前記自動車用フロアーマット(1)では、不織布層(32)の裏面に溶融により接着一体化された網状体(3)の裏面に防滑用突起(4)が一体形成されているので、防滑用突起(4)が不織布(32)に対して強固に固定されるものとなる。しかして、この防滑用突起(4)のスパイク効果等によって敷設下地面に対して優れた防滑性を発揮するから、マット(1)の敷設下地面に対するずれ移動を十分に防止することができる。
【0034】
また、マット(1)の下側に不織布層(32)が配置され、該不織布層(32)の裏面に一体化された網状体層(3)には網状の隙間が多数存在するので、通気性が阻害されることがなく、不織布(32)による吸音作用が十分に発揮され得て、下側から侵入してくる外部騒音等を十分に吸音できる。また、接着層(33)は通気性を有しているので、窓等を介して車室内に侵入した騒音や室内で発生した音は、この通気性接着層(33)を通って不織布層(32)に到達してこの不織布層(32)において吸音される。こうして自動車内において十分な静粛性が確保される。
【0035】
上記構成に係る自動車用フロアーマット(1)は、例えば次のような製造方法で製造される。
【0036】
まず、本製造方法で用いる製造装置(9A)について説明する。図3において、(10)は搬送エンドレスキャタピラ、(14)は紡糸口金、(16)は冷却加圧ロールである。
【0037】
前記エンドレスキャタピラ(エンドレスベルト)(10)は、突起形成用キャビティー(12)…が形成された板状の成形型(11)が複数個帯状に連結されてなる帯状体が、互いに離間して配置された一対の軸体(13)(13)に巻き付けられた構成からなる(図3、5参照)。前記突起形成用キャビティー(12)…は前記成形型(11)の外面側に形成されている。前記成形型(11)は、水冷式の冷却成形金型である。前記軸体(13)は、図示しない駆動装置によって回転駆動制御(回転開始・回転停止の制御)されるものとなされている。
【0038】
前記紡糸口金(14)は、前記エンドレスキャタピラ(10)の長さ方向の端部の直上位置に配置されている。前記紡糸口金(14)の下面に紡糸孔(15)…が多数形成され、これら紡糸孔(15)は2列で(図面左方と図面右方の2列に別れて)整然と配置されている(図3参照)。
【0039】
前記冷却加圧ロール(16)は、前記エンドレスキャタピラ(10)の長さ方向の中央部の直上位置に配置されている。本実施形態では、水冷式の冷却加圧ロールが用いられている。なお、図3において、(41)は金属ロール、(42)はゴムロール、(43)は押さえロールである。
【0040】
しかして、図3に示すように、前記紡糸口金(14)の紡糸孔(15)…から熱可塑性樹脂を吐出して溶融糸条(6)を形成せしめ、該溶融糸条(6)を、搬送されているエンドレスキャタピラ(10)の上側平坦面の上に自然落下させて塗布する。この時、エンドレスキャタピラ(10)の搬送速度よりも溶融糸条(6)の落下速度が速くなるように設定することにより、塗布された溶融糸条(6)が相互に絡み合った略網目状の溶融体(7)が前記エンドレスキャタピラ(10)の上に順次集積される。
【0041】
前記エンドレスキャタピラ(10)上に形成された略網目状溶融体(7)の上に、表皮材層(29)の裏面側に不織布層(32)が積層一体化されてなるマット本体(2)の該不織布層(32)を重ね合わせて上から冷却加圧ロール(16)で加圧する。この加圧操作によって、前記略網目状溶融体(7)を扁平化しつつ不織布層(32)に溶融接着せしめて網状体層(3)を形成できると同時に、成形型(11)の突起形成用キャビティー(12)内に溶融体(熱可塑性樹脂)を充填し得て所望形状の防滑用突起(4)を前記網状体(3)と一体で形成することができる。即ち、前記加圧操作によって、マット本体(2)の不織布層(32)の重ね合わせ面に、多数個の防滑用突起(4)…が一体形成された網状体層(3)を積層一体化することができる。なお、前記マット本体(2)は、カーペット基材(30)の表側にパイル(31)が植設されてなる表皮材層(29)の裏側に通気性接着層(33)を介して不織布層(32)が積層一体化されたものである。
【0042】
前記加圧操作後において、押さえロール(43)の位置までは前記成形された防滑用突起(4)は成形型(11)の突起形成用キャビティー(12)内に留まって十分に冷却されるので、防滑用突起(4)の賦形固化を十分に行うことができる。前記押さえロール(43)を通過したマット(1)は、その後金属ロール(41)とゴムロール(42)の間に挟まれて搬送され、巻き取られていく。この時、マット(1)の防滑用突起(4)側が前記ゴムロール(42)と接触した状態で搬送されるので、スムーズな巻き取りが可能となる。
【0043】
次に、この発明の製造方法の他の例について図4を参照しつつ説明する。この製造方法で用いる製造装置(9B)は、前述した図3に示す製造装置(9A)における冷却加圧ロール(16)を冷却エンドレスキャタピラ(17)に置き換えた構成からなり、その他の構成は図3に示す製造装置(9A)と同様であるのでこれらの説明は省略する。前記冷却エンドレスキャタピラ(17)は、互いに離間して配置された一対の軸体(18)(18)に帯状体が巻き付けられたものからなり、この冷却エンドレスキャタピラ(17)で加圧操作を行うものとする以外は、前記実施形態と同様にしてマット(1)を製造する。この製造方法では、防滑用突起を成形した後も、マットを冷却エンドレスキャタピラ(17)とエンドレスキャタピラ(10)の間に挟んだ状態で搬送できる(図4参照)ので、十分な賦形を実現することができる。
【0044】
なお、前記実施形態(図3、図4)では、塗布された溶融糸条(6)は不規則に交絡するが、例えば図6に示すように、並列配置された一対の紡糸口金(14A)(14B)からそれぞれ溶融糸条(6)を吐出する一方、エンドレスキャタピラ(10)を幅方向に往復揺動させることによって、溶融糸条(6)をジグザグに屈曲せしめて隣り合う溶融糸条(6)同士を規則的に交絡させてなる略網目状の溶融体(7)をエンドレスキャタピラ(10)の上に順次集積するようにしても良い。勿論、エンドレスキャタピラ(10)を往復揺動させる代わりに、紡糸口金(14A)(14B)を往復揺動させるようにしても良い。
【0045】
次に、この発明の製造方法のさらに他の例について図7を参照しつつ説明する。まず、本製造方法で用いる製造装置について説明する。図7において、(50)は冷却加圧ロール、(52)は挟圧用支持体、(14)は紡糸口金である。
【0046】
前記挟圧用支持体(52)は、冷却加圧ロール(50)の下方位置に配置されており、この冷却加圧ロール(50)との間にマット本体等を挟んでこれを冷却加圧ロール(50)で加圧するための支持体であり、本実施形態では、上面が平滑面であるテーブル体が用いられている。
【0047】
前記紡糸口金(14)は、前記挟圧用支持体(52)の長さ方向の端部の直上位置に配置されている。前記紡糸口金(14)の下面に紡糸孔(15)…が多数形成され、これら紡糸孔(15)は2列で(図面左方と図面右方の2列に別れて)整然と配置されている(図7参照)。
【0048】
前記冷却加圧ロール(50)は、前記挟圧用支持体(52)の長さ方向の中央部の直上位置に配置されている。この冷却加圧ロール(50)の表面には多数の突起形成用キャビティー(51)が形成されている(図8参照)。本実施形態では、水冷式の冷却加圧ロールが用いられている。なお、図7において、(41)は金属ロール、(42)はゴムロールである。
【0049】
しかして、図7に示すように、前記紡糸口金(14)の紡糸孔(15)…から熱可塑性樹脂を吐出して溶融糸条(6)を形成せしめ、該溶融糸条(6)を、搬送されているマット本体(2)の不織布層(32)の上に自然落下させて塗布する。この時、マット本体(2)の搬送速度よりも溶融糸条(6)の落下速度が速くなるように設定することにより、塗布された溶融糸条(6)が相互に絡み合った略網目状の溶融体(7)が前記マット本体(2)の不織布層(32)の上に順次集積される。なお、前記マット本体(2)は、カーペット基材(30)の表側にパイル(31)が植設されてなる表皮材層(29)の裏側に通気性接着層(33)を介して不織布層(32)が積層一体化されたものである。
【0050】
次に、冷却加圧ロール(50)で加圧する。即ち、マット本体(2)の不織布層(32)の上に略網目状溶融体(7)が集積されたものを挟圧用支持体(52)で支持しつつ上から冷却加圧ロール(50)で加圧する。この加圧操作によって、前記略網目状溶融体(7)を扁平化しつつ不織布層(32)に溶融接着せしめて網状体層(3)を形成できると同時に、冷却加圧ロール(50)の表面の突起形成用キャビティー(51)内に溶融体(熱可塑性樹脂)を充填し得て所望形状の防滑用突起(4)を前記網状体(3)と一体で形成することができる。即ち、前記加圧操作によって、マット本体(2)の不織布層(32)の重ね合わせ面に、多数個の防滑用突起(4)…が一体形成された網状体層(3)を積層一体化することができる。こうして本発明の自動車用フロアーマット(1)が製造される。
【0051】
なお、前記実施形態(図3、図4、図7)では、いずれも、表皮材層(29)の裏面側に不織布層(32)が積層一体化されてなるマット本体(2)を供給するものとしたが、特にこれに限定されるものではなく、例えば前記マット本体(2)に代えて不織布(32)を単独でそのまま供給するようにしても良い。この場合には、不織布(32)の片面に、多数個の防滑用突起(4)…を備えた網状体層(3)が積層されてなる中間シート体が得られ、次いでこの中間シート体における網状体層が形成されていない側の面に表皮材層(29)を積層一体化することでマット(1)を製造することができる。
【0052】
前記溶融糸条(6)の太さは0.6〜1.5mmであるのが好ましい。1.5mm以下であることで十分な隙間を備えた網状体層を形成できて良好な吸音性を得ることができると共に、0.6mm以上であることで網状体(3)の網部の幅が広くなり防滑用突起(4)の土台が強固になって防滑用突起(4)を不織布に対して安定かつ強固に固定することができる。中でも、前記溶融糸条(6)の太さは1.0〜1.3mmであるのがより好ましい。
【0053】
前記防滑用突起(4)の高さ(t)は1.5〜3mmの範囲に設定されるのが好ましい。1.5mm以上であることで敷設下地面の繊維間への防滑用突起(4)の侵入程度が十分なものとなって優れた防滑性が得られると共に、3mm以下であることで防滑用突起(4)の目付量を抑制し得てマットとしての軽量性を十分に確保することができる。
【0054】
また、前記防滑用突起(4)の配置密度は、100cm2 当たり10〜200個とするのが好ましい。100cm2 当たり10個以上とすることで十分な防滑性を確保できると共に200個以下とすることで防滑用突起(4)の目付量を抑制し得てマットとしての軽量性を十分に確保することができる。
【0055】
また、前記防滑用突起(4)の形状は特に限定されない。例えば、円柱形状、円錐形状、円錐台形状等を採用しても良いし、円錐台形状の突起土台に径小の先端突起が突設された2段形状を採用しても良いし、或いは3段以上の多段形状を採用しても良い。
【0056】
前記網状体(3)の面積(平面視での面積)は、前記不織布層(32)下面の面積に対して40〜80%の範囲に設定されるのが好ましい。80%以下であることで通気量を十分に確保し得て十分な吸音性能を得ることができると共に40%以上であることで防滑用突起(3)の配置密度を大きくできて優れた防滑性を確保できる。中でも、50〜70%の範囲に設定されるのが特に好ましい。
【0057】
この発明において、網状体層(3)及び防滑用突起(4)の構成材料としては、換言すれば、溶融糸条(6)の構成材料としては、熱可塑性樹脂(ゴムも含む)が用いられる。前記熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂)、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合体樹脂)、SEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン)エラストマー、SEPS(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン)エラストマー、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)エラストマー、SIS(スチレン−イソプレン−スチレン)エラストマー等が挙げられる。中でも、前記熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂及び熱可塑性エラストマーを含有してなる熱可塑性樹脂を用いるのが好ましい。この場合には、成形型(11)の突起形成用キャビティー(12)内からの防滑用突起(4)の離脱をスムーズに行わせることが可能となり、生産性を向上させることができる。
【0058】
前記不織布(32)としては、特に限定されずにどのようなものでも用いることができ、例えばニードルパンチ不織布、スパンボンド不織布等が挙げられる。前記不織布(32)を構成する繊維の種類は、特に限定されず、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維等が挙げられる。
【0059】
前記表皮材層(29)としては、その表面にパイルを有しても良いし、パイルを有しないものであっても良い。パイルを有するものとしては、例えばカーペット基材(編布地、織布地等)(30)の表面にパイル(31)が植設されたもの等が挙げられる。また、パイルを有しないものとしては、例えばニードルパンチ不織布等が挙げられる。
【0060】
前記接着樹脂層(33)の構成材料としては、特に限定されるものではないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂)、SBRラテックス等が挙げられる。
【0061】
この発明の自動車用フロアーマット(1)は、例えば自動車室内における運転者や同乗者の足元に敷いて用いられるフロアーマットとして、あるいは自動車の荷台マットや荷室マット等として用いられる。
【実施例】
【0062】
次に、この発明の具体的実施例について説明する。
【0063】
<実施例1>
まず、PET(ポリエチレンテレフタレート)繊維製スパンボンド不織布からなるカーペット基材(30)にナイロン糸からなるパイル(31)がタフトされてなるタフトカーペット原反(表皮材層)(29)の裏面に、SBRラテックスエマルジョン接着剤(通気性接着層)(33)を塗布した後、該塗布面にPET繊維製ニードルパンチ不織布(32)を重ね合わせて加熱乾燥することによって、マット本体(2)を得た。
【0064】
図3に示す製造装置(9A)の紡糸口金(14)の紡糸孔(15)から熱可塑性樹脂組成物(低密度ポリエチレン50質量部とSEBSエラストマー50質量部とからなる樹脂組成物)を吐出して太さ1.2mmの溶融糸条(6)を形成せしめてこれを搬送されているエンドレスキャタピラ(10)の上側平坦面の上に自然落下させて塗布する一方、前記マット本体(2)を不織布層(32)を下側にして図3に示す製造装置(9A)の冷却加圧ロール(16)とエンドレスキャタピラ(10)の間に挿通せしめて加圧することによって、図1に示す自動車用フロアーマット(1)を得た。
【0065】
得られたフロアーマット(1)において、防滑用突起(4)の高さ(t)は2.5mm、直径は1mm、目付量は300g/m2であった。また、網状体(3)の面積(平面視での面積)は、不織布層(32)下面の面積に対して70%であった。
【0066】
得られたフロアーマット(1)の防滑用突起(4)は、マット本体(2)に対して十分な接合強度で接合一体化されており、実使用でも離脱することがなくて十分な耐久性を備えていた。
【0067】
<実施例2>
まず、PET(ポリエチレンテレフタレート)繊維製スパンボンド不織布からなるカーペット基材(30)にナイロン糸からなるパイル(31)がタフトされてなるタフトカーペット原反(表皮材層)(29)の裏面に、SBRラテックスエマルジョン接着剤(通気性接着層)(33)を塗布した後、該塗布面にPET繊維製ニードルパンチ不織布(32)を重ね合わせて加熱乾燥することによって、マット本体(2)を得た。
【0068】
図4に示す製造装置(9B)の紡糸口金(14)の紡糸孔(15)から熱可塑性樹脂組成物(低密度ポリエチレン70質量部とSEBSエラストマー30質量部とからなる樹脂組成物)を吐出して太さ1.2mmの溶融糸条(6)を形成せしめてこれを搬送されているエンドレスキャタピラ(10)の上側平坦面の上に自然落下させて塗布する一方、前記マット本体(2)を不織布層(32)を下側にして図4に示す製造装置(9B)の冷却エンドレスキャタピラ(17)とエンドレスキャタピラ(10)の間に挿通せしめて加圧することによって、図1に示すような自動車用フロアーマット(1)を得た。
【0069】
得られたフロアーマット(1)において、防滑用突起(4)の高さ(t)は2.5mm、直径は1mm、目付量は300g/m2であった。また、網状体(3)の面積(平面視での面積)は、不織布層(32)下面の面積に対して70%であった。
【0070】
得られたフロアーマット(1)の防滑用突起(4)は、マット本体(2)に対して十分な接合強度で接合一体化されており、実使用でも離脱することがなくて十分な耐久性を備えていた。
【0071】
<実施例3>
まず、PET(ポリエチレンテレフタレート)繊維製スパンボンド不織布からなるカーペット基材(30)にナイロン糸からなるパイル(31)がタフトされてなるタフトカーペット原反(表皮材層)(29)の裏面に、SBRラテックスエマルジョン接着剤(通気性接着層)(33)を塗布した後、該塗布面にPET繊維製ニードルパンチ不織布(32)を重ね合わせて加熱乾燥することによって、マット本体(2)を得た。
【0072】
図7に示す製造装置の紡糸口金(14)の紡糸孔(15)から熱可塑性樹脂組成物(低密度ポリエチレン50質量部とSEBSエラストマー50質量部とからなる樹脂組成物)を吐出して太さ1.0mmの溶融糸条(6)を形成せしめてこれを搬送されているマット本体(2)の不織布(32)の上に自然落下させて塗布した。
【0073】
次いで、前記マット本体(2)の不織布層(32)の上に略網目状溶融体(7)が集積されたものを挟圧用支持体(52)で支持しつつこの上から、突起形成用キャビティー(51)を備えた冷却加圧ロール(50)で加圧することによって、図1に示す自動車用フロアーマット(1)を得た。
【0074】
得られたフロアーマット(1)において、防滑用突起(4)の高さ(t)は2.7mm、直径は1mm、目付量は300g/m2であった。また、網状体(3)の面積(平面視での面積)は、不織布層(32)下面の面積に対して70%であった。
【0075】
得られたフロアーマット(1)の防滑用突起(4)は、マット本体(2)に対して十分な接合強度で接合一体化されており、実使用でも離脱することがなくて十分な耐久性を備えていた。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】この発明の一実施形態に係る自動車用フロアーマットを示す裏面側斜視図である。
【図2】図1におけるX−X線の断面図である。
【図3】この発明の製造方法の一例を示す概略側面図である。
【図4】この発明の製造方法の他の例を示す概略側面図である。
【図5】成形型の断面図である。
【図6】溶融糸条の集積形態の一例を示す概略斜視図である。
【図7】この発明の製造方法のさらに他の例を示す概略側面図である。
【図8】図7で用いた冷却加圧ロールの斜視図である。
【符号の説明】
【0077】
1…自動車用フロアーマット
2…マット本体
3…網状体層
4…防滑用突起
6…溶融糸条
7…略網目状の溶融体
9…製造装置
10…エンドレスキャタピラ
11…成形型
12…突起形成用キャビティー
13…軸体
14…紡糸口金
15…紡糸孔
16…冷却加圧ロール
17…冷却エンドレスキャタピラ
29…表皮材層
32…不織布層
50…冷却加圧ロール
51…突起形成用キャビティー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表皮材層の下面側に不織布層が積層一体化され、該不織布層の下面に熱可塑性樹脂からなる網状体層が該樹脂の溶融により接着一体化され、前記網状体の下面から熱可塑性樹脂からなる多数個の防滑用突起が突設されていることを特徴とする自動車用フロアーマット。
【請求項2】
前記網状体の面積は、前記不織布層下面の面積に対して40〜80%の範囲に設定されている請求項1に記載の自動車用フロアーマット。
【請求項3】
突起形成用キャビティーが形成された板状の成形型が複数個帯状に連結された帯状体が、互いに離間して配置された一対の軸体に巻き付けられてなるエンドレスキャタピラの上側平坦面の上に、熱可塑性樹脂を紡糸孔から吐出して形成した溶融糸条を塗布することによって、溶融糸条が交絡してなる略網目状の溶融体を前記エンドレスキャタピラの上に形成せしめる工程と、
前記エンドレスキャタピラの塗布面に、表皮材層の裏面側に不織布層が積層一体化されてなるマット本体の該不織布層を重ね合わせて加圧することによって、不織布の重ね合わせ面に網状体層を積層一体化すると共に該網状体層の下面に多数個の防滑用突起を一体形成する工程とを包含することを特徴とする自動車用フロアーマットの製造方法。
【請求項4】
突起形成用キャビティーが形成された板状の成形型が複数個帯状に連結された帯状体が、互いに離間して配置された一対の軸体に巻き付けられてなるエンドレスキャタピラの上側平坦面の上に、熱可塑性樹脂を紡糸孔から吐出して形成した溶融糸条を塗布することによって、溶融糸条が交絡してなる略網目状の溶融体を前記エンドレスキャタピラの上に形成せしめる工程と、
前記エンドレスキャタピラの塗布面に不織布を重ね合わせて加圧することによって、不織布の片面に網状体層を積層一体化すると共に該網状体層の下面に多数個の防滑用突起を一体形成して中間シート体を得る工程と、
前記中間シート体における網状体層が形成されていない側の面に表皮材層を積層一体化する工程とを包含することを特徴とする自動車用フロアーマットの製造方法。
【請求項5】
前記加圧を冷却加圧ロールを用いて行う請求項3または4に記載の自動車用フロアーマットの製造方法。
【請求項6】
前記加圧を、互いに離間して配置された一対の軸体に帯状体が巻き付けられてなる冷却エンドレスキャタピラを用いて行う請求項3または4に記載の自動車用フロアーマットの製造方法。
【請求項7】
表皮材層の裏面側に不織布層が積層一体化されてなるマット本体の該不織布層を上側にして搬送しつつ、このマット本体の不織布層の上に、熱可塑性樹脂を紡糸孔から吐出して形成した溶融糸条を塗布することによって、溶融糸条が交絡してなる略網目状の溶融体を前記マット本体の不織布層の上に形成せしめる工程と、
前記不織布層の塗布面を、表面に突起形成用キャビティーを備えたロールで加圧することによって、マット本体の不織布層に網状体層を積層一体化すると共に該網状体層に多数個の防滑用突起を一体形成する工程とを包含することを特徴とする自動車用フロアーマットの製造方法。
【請求項8】
搬送されている不織布の上に、熱可塑性樹脂を紡糸孔から吐出して形成した溶融糸条を塗布することによって、溶融糸条が交絡してなる略網目状の溶融体を前記不織布の上に形成せしめる工程と、
前記不織布の塗布面を、表面に突起形成用キャビティーを備えたロールで加圧することによって、不織布の片面に網状体層を積層一体化すると共に該網状体層に多数個の防滑用突起を一体形成して中間シート体を得る工程と、
前記中間シート体における網状体層が形成されていない側の面に表皮材層を積層一体化する工程とを包含することを特徴とする自動車用フロアーマットの製造方法。
【請求項9】
前記紡糸孔から吐出して形成した溶融糸条の太さが0.6〜1.5mmである請求項3〜8のいずれか1項に記載の自動車用フロアーマットの製造方法。
【請求項10】
前記溶融糸条を構成する熱可塑性樹脂として、ポリオレフィン系樹脂及び熱可塑性エラストマーを含有してなる熱可塑性樹脂を用いる請求項3〜9のいずれか1項に記載の自動車用フロアーマットの製造方法。
【請求項11】
突起形成用キャビティーを備えた板状の成形型が複数個帯状に連結された帯状体が、互いに離間して配置された一対の軸体に巻き付けられてなるエンドレスキャタピラと、
前記エンドレスキャタピラの上方位置に配置された加圧部と、
下面に紡糸孔を備えた紡糸口金とを備えることを特徴とする自動車用フロアーマットの製造装置。
【請求項12】
表面に突起形成用キャビティーを備えた加圧ロールと、
前記加圧ロールの下に配置された挟圧用支持体と、
下面に紡糸孔を備えた紡糸口金とを備えることを特徴とする自動車用フロアーマットの製造装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−232191(P2006−232191A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−52294(P2005−52294)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(000120696)永大化工株式会社 (22)
【Fターム(参考)】