説明

自動車用動力源の動力と冷凍サイクルシステムの伝達制御法

【課題】 車載用冷凍サイクルシステムの制御法
【解決の手段】 車本体の車速、燃料の噴射料によって冷凍サイクルを制御する事を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は自動車積載用エアコン及び冷蔵冷凍装置、蓄電池式冷凍装置発電機の作動時における自動車動力源の低燃料消費化と自動車運行の安全に関する制御法である。
【0002】
【従来の技術】自動車(乗用車、荷物車等)駆動動力源(以後、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPガスエンジン、蓄電式電気モーター等をエンジンと言う)を動力とする従来の自動車積載用エアコン冷媒圧縮機(以後コンプレッサーと言う)や蓄電式冷蔵冷凍用発電機は動力伝達を室内温度環境を重視する為、各センサーにより室内温度センサー各所、外気温度、日照量と室内温度設定値等の情報に依り、マグネットクラッチ等の継、断(ON,OFF)の制御をしてきた。自動車発進時及び登坂時(車本体の重負荷時)にコンプレッサーが作動すればエンジンに過大な負荷がかかり、運行するためには燃料消費も過大なものとなるにもかかわらず動力性能に満足感が得られなかった。また、自動車停車時エンジンアイドリング状態においてコンプレッサーが作動すれば、トルクが不足する為アイドルアップし燃費の悪化ばかりか、自動変速装置搭載車(オートマティック車)では運転者の意志に反し車自体に動力が加わり、動き出す危険もあった。また、オートマティック車以外のすべての車で降坂時や急カーブ時においても同様な事が起き、しかも比較的小型自動車(小型エンジン搭載車)等では それが顕著に現れ、大変危険である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この発明は今までの自動車エンジンの動力を冷凍装置のコンプレッサーに伝達する負荷可変装置と制御法を変える事で自動車の燃料消費の削減と運行の安全性を向上させる事を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明のエンジン動力伝達装置は変速比機能(有限無段変速比、有限有段変速比)を有し動力可変伝達を行うか、可変容量(能力)コンプレッサーを用いて従来の室温設定情報に自動車自体の状況情報を加味した制御法で動作させることを特徴としている。
【0005】
【発明実施の形態】動力伝達装置は可変変速比を有している事及び可変容量コンプレッサー(可変負荷コンプレッサー)で自動車自体の周囲条件を情報センサー「車速、エンジン回転数、燃料噴射量」によって、今、車はいかなる状況にあるかを測定、判断し、エンジン動力と負荷コンプレッサーを継ぐ前記伝達装置、可変変速比プーリー等か可変負荷コンプレッサーをコントロールする事で自動車の停車時、発進時、登坂時にはコンプレッサー低回転(軽負荷)またはOFF状態になり、動力に過大な負荷をかけない。降坂時の動力軽負荷時には位置エネルギーを利用して、コンプレッサー高回転(重負荷)にて作動し、しかも、ガス冷媒の遅延貯蔵に役立てる等、動力を有効利用する。
【0006】
【実施例】1図はエンジンとコンプレッサーを継ぐ変速伝達装置の一例である。1はエンジン本体、2はエンジン回転主軸で3の無段比変速プーリーが取り付けられ電磁石等によってプーリーの径が変化する様にできている。4のV型ベルトによって動力が3′の無段比可変プーリーに伝えられ、3と3′は相互状態でマッチングされている為、5のコンプレッサー本体の主軸6には取り付けられた3′無段比変速プーリーを介して変速動力が伝えられる事になる。2図は入・出力制御系統図の一例である。7はマイクロコンピューターで各センサー入力によって19室内機、20室外機に制御を行う。7′は車室内設定条件で、8は車室内温度センサー入力、9は外気温度センサー入力、10は日射量センサー入力、13は車速センサー入力、14はエンジン回転数入力、15は燃料噴射量センサーからの入力で、7′の車室内設定条件入力に従い、19の車室内装置では11の吹出温度制御出力、12の風量制御出力を7によって計算され、車室内に反映される。20の車室外装置には、16の伝達比選択出力(コンプレッサー負荷量)が出力され、17の遅延貯蔵量検出の条件を加味して実行される。エアコン等動作状態において自動車本体が発進する時、自動車エンジンの動力は自動車本体及び積載量(人または荷物)を始動させるため最大限の負荷が加わる。この時13の速度は零から加速され14のエンジン回転数はアイドリング点より上昇、15の燃料噴射量も相当な増量となる。この時点で16のコンプレッサー負荷は最大限の軽量負荷に出力信号が設定されているので加速を妨げない。通常走行に至っては13及び14、15がある値では16の出力も中負荷に決定されている。登坂時及び急加速時においては13が維持、または下降で、14が上昇しても15が増加すれば16の出力は中より軽負荷方向に推移し、逆に降坂時では、13、14の割合には15が減少している場合、車本体の重力加速度を利用して16の出力は中より重負荷方向に推移される様に設定されている。これは通常走行より停車に至る場合も同様でこの間のコンプレッサー重負荷で生産される。液化冷媒は7の判断で、17の遅延・貯蔵用に送られ、発進時または登坂時の16の軽量負荷またはOFF時点での放出が可能となる。これは、冷凍サイクルシステムがOFFよりONに至る場合、16が軽負荷時でも不足する冷エネルギーの立ち上がりを17の放出で助け、利用することができる。18は非常事態ポジション出力で上記入力情報で矛盾する場合、管理者(運転者)に表示の上アイドルアップ等により目的(車室内指定環境)を満足させるよう対処される。長時間の停車等がこれである。3図は冷凍サイクルシステムの一例である。22はコンプレッサーで21のエバポレーターで気化したガス冷媒を圧縮して液化させるため高温高圧化した冷媒ガスを23のコンデンサーに送り、冷却(放熱)して液状冷媒にし、24のレシーバーに送られる。ここで液状冷媒の冷凍サイクル内で発生したものの濾過、水分除去を行い、この液化ガスは前記7のコンピューター指令によるコンプレッサー発生容量により25の遅延・貯蔵タンクに貯蔵されたり26のエキスパンションバルブに送られ液状冷媒を急激に膨張させ、気化状態(低温、低圧)にさせる一方冷媒量の調節を行う。この調節は車室内温度(冷房負荷)の変動及びコンプレッサー負荷変動(回転速度、容量可変)や25の遅延・貯蔵タンクの冷媒量によって自動的に調節され前記した21のエバポレーターに安定的に送られる。エバポレーターでは低温、低圧の冷媒を大量に気化(気化熱によって冷却される)する事で車室内冷房、除湿が計られる。以上実施例について説明したが、この発明は以下の実施態様をとることができる。
(1)図1 3、3′の1対の無段変速プーリーはいかなる有段変速装置でもコンプレッサー本体側に取り付けた、いかなる可変速、可変能力伝達にも有効で、コンプレッサー主軸に対して可変負荷を目的とする為、電気的、機械的、油圧、ガス圧等、動力に対して可変回転、伝達の継断及び可変容量においても利用することができる。
(2)図2 16のコンプレッサー負荷量出力は通常時と軽負荷時または継断でも動力負荷に対し有効に利用できる。これは従来の冷凍サイクルシステムを利用する事で、17の遅延・貯蔵量及び14のエンジン回転数センサー入力の有無を考慮して13の車速センサー入力と15の燃料噴射量センサー入力を電気的、機械的に検知すれば目的の制御ができる。
(3)蓄電池(バッテリーと言う)を介して冷凍装置を稼働させる場合の充電用発電機(充電負荷)では遅延・貯蔵装置がバッテリーに相当するため、充電負荷制御は上記動力に対し継断制御でも冷凍装置自体ではインバーター制御等の安定利用もできる。
(4)3図において25の遅延・貯蔵方法についてはパイプ螺旋状、分割室貯蔵、仕切板交又壁、樹脂透過等の構造にこだわらない。
【0007】
【発明の効果】この発明は自動車駆動動力源の動力を利用した冷凍サイクルシステムの制御法で前記のように構成された制御方法で、自動車本体の重負荷時には冷凍サイクル負荷を軽減し、あるいは断(OFF)として、又、車本体の軽負荷時には冷凍サイクル負荷を重負荷にする事で燃料消費の軽減と車走行の快適感、安全性に効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 変速伝達装置の一例である。
【図2】 入・出力制御系統の一例である。
【図3】 冷凍サイクルシステムの一例である。
【符号の説明】
1‥エンジン本体 13‥車速センサー入力
2‥エンジン回転主軸 14‥エンジン回転数入力


4‥V型ベルト 17‥遅延・貯蔵量
5‥コンプレッサー本体 18‥非常事態ポジション
6‥コンプレッサー回転主軸 19‥車室内装置
7‥マイクロコンピューター 20‥車室外装置
7′‥車室内設定条件入力 21‥エバポレーター
8‥車室内温度センサー入力 22‥コンプレッサー
9‥外気温度センサー入力 23‥コンデンサー
10‥日射量センサー 24‥レシーバー
11‥吹出温度制御出力 25‥遅延・貯蔵タンク
12‥風量制御出力 26‥エキスパンションバルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 自動車駆動動力源の動力を利用した冷凍サイクルシスムのガス冷媒圧縮機に上記動力を可変伝達する装置の採用。
【請求項2】 自動車駆動動力源の動力を利用した冷凍サイクルステムのガス冷媒圧縮機及び冷凍サイクル用蓄電池の充電用発電機に上記動力の伝達制御と、動力可変伝達装置及び可変容量(能力)圧縮機等を利用する制御法。
【請求項3】 自動車用冷凍サイクルシステム内に冷媒ガス遅延貯蔵装置を設ける。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2001−99288(P2001−99288A)
【公開日】平成13年4月10日(2001.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−312849
【出願日】平成11年9月28日(1999.9.28)
【出願人】(599154560)