説明

自動車用座席カバー

【課題】装着性を向上し、座席に確実に保持することができる自動車用座席カバーを提供する。
【解決手段】自動車の座席101に被せられるカバー本体2と、カバー本体2から下方に延設された裾部3とを備えた自動車用座席カバー1において、裾部3の上部と下部に伸縮自在な伸縮帯体11の両端部11U,11Sを連結し、伸縮帯体11に、座席101に係止する係止部材13を設けたから、座席101に係止部材13を係止することにより、座席101に対し座席カバー1が固定されると共に、座席カバー1の裾部3を座席101側部に密着保持することが可能となる。また、係止部材13は伸縮帯体11に移動可能に設けられているから、座席カバー1の裾部3を座部102の側部に密着保持することが可能となり、座席101に対する座席カバー1の装着性を向上することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の座席に被せられるカバー本体と、前記カバー本体から下方に延設された裾部とを備えた自動車用カバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものとして、自動車の座席に被せられるカバー本体と、該カバー本体の前面方裾部に取着され、前記カバー本体を前記座席に被せた状態において該座席の前方下端縁部に係止する止具とを備え、前記止具は、座席係止側の端部が屈曲可能な板片により構成されると共に、端部が適宜位置に折曲げられることにより係止する自動車用座席カバー(例えば特許文献1)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−283276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記自動車用座席カバーでは、止具の端部を折り曲げて、前記座席の前方下端縁部に引っ掛けることができるが、使用者が止具を折り曲げる必要がある上に、座席構造により前記前方下端縁部に止具を係止する箇所がない場合、使用することができない問題がある。
【0005】
そこで、本発明は上記した問題点に鑑み、装着性を向上し、座席に確実に保持することができる自動車用座席カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、自動車の座席に被せられるカバー本体と、前記カバー本体から下方に延設された裾部とを備えた自動車用座席カバーにおいて、前記裾部の上部と下部に伸縮自在な保持部材の両端部を連結し、前記保持部材に、前記座席に係止する係止部材を設けたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、前記係止部材は前記保持部材に移動可能に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1に記載の自動車用座席カバーによれば、座席に係止部材を係止することにより、座席に対し座席カバーが固定されると共に、座席カバーの裾部を座席側部に密着保持することが可能となり、座席に対する座席カバーの装着性が向上する。
【0009】
また、本発明の請求項2に記載の自動車用座席カバーによれば、係止部材が保持部材に移動可能に設けられているから、座席側部の形状に係らず安定した装着性が確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施例の実施例1を示す座席カバーの斜視図である。
【図2】同上、裾部を裏面から見た断面図である。
【図3】同上、取付作業を説明する斜視図である。
【図4】同上、一部を拡大した説明斜視図である。
【図5】同上、取付手段周りを拡大した説明斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施例1について説明する。
【実施例1】
【0012】
図1〜図5に示すように、自動車用座席カバー1は、四輪自走式車両である自動車の座席101に用いられ、この座席101の座部102を被包し、前記座部102の上面に被せるカバー本体2と、このカバー本体2から下方に延設された裾部3とを備える。また、前記座席101は、前記座部102の後側に背凭れ部103を備える。
【0013】
前記座席用カバー1は、表面の外皮部1Aと、裏面のクッション部1Bとを一体に有する。前記裾部3は、前記座部102の前面に被せる前面部3Aと、前記座部102の左右側部に被せる側面部3B,3Bとを一体に備え、該裾部3と上面部たる前記カバー本体2とは、縫着部4により縫着されている。
【0014】
また、前記カバー本体2の後端縁2Fは自由端に形成されている。さらに、前記座席カバー1の前側下部には、前記裾部3の前側下部に下覆い部5が設けられ、この下覆い部5は前記前面部3Aの全長と前記側面部3B,3Bの前側に縫着され、これにより座席カバー1の前側に、後側が開口した袋部6が形成されている。
【0015】
前記座席カバー1の裏面には、保持部材たる伸縮帯体11が設けられ、この伸縮帯体11はゴムバンドからなり、1本の連続するものであって、張力を受けると伸張し、この伸張後、収縮する弾性復元力を有する。前記伸縮帯体11は、その両端部11U,11Sが前記裾部3の上下に縫着部12により連結され、上下の端部11U,11Sの前後位置をずらすことにより前記伸縮帯体11は斜めに設けられている。また、前記伸縮帯体11は裾部3の側面部3Bの前後にそれぞれ設けられている。
【0016】
前記伸縮帯体11には、係止部材13が設けられ、この係止部材13は、前記座席101に係止するフック14と、前記伸縮帯体11に移動可能に連結する輪状の連結部15とを一体に備え、金属製の棒材を屈曲して形成される。そして、前記伸縮帯体11と前記係止部材13により取付手段16を構成している。
【0017】
前記カバー本体2の後端縁2Fには、その左右に紐体21,21を設け、また、前記下覆い部5の後端縁5Fには、左右に輪部22,22を設け、それら輪部22,22は、紐状物を輪状にし、両端部を縫着して後端縁5Fに設けられる。
【0018】
次に、前記座席カバー1の使用方法につき説明する。図3に示すように、紐体21,21と供にカバー本体2の後端縁2Fを、座部102と背凭れ部103の隙間に挿入して座部102の後部に巻き付け、同時に座部102の前部を座席カバー1の袋部6に挿入する。そして、図4に示すように、左右の紐体21,21を対応する左右に輪部21,21に結び目23により結びつける。これにより、座部102に対して、座席カバー1の前後方向の位置決めがなされる。
【0019】
この後、取付手段16の係止部材13を座席101の被係止部104に係止し、この際、係止部材13は伸縮帯体11に対して移動可能であるから、フック14を持って下方に引っ張って伸縮帯体11を伸張すると、図2の一点鎖線に示すように、伸縮帯体11は連結部15箇所で折り返され、伸縮帯体11の両端部11U,11S側がそれぞれ略同一に張った状態となり、裾部3の上下がそれぞれ伸縮帯体11により引っ張られた状態で取り付けられるため、安定した装着状態が得られる。尚、被係止部104は硬質材料からなる。
【0020】
このように本実施例では、請求項1に対応して、自動車の座席101に被せられるカバー本体2と、カバー本体2から下方に延設された裾部3とを備えた自動車用座席カバーにおいて、裾部3の上部と下部に伸縮自在な保持部材たる伸縮帯体11の両端部11U,11Sを連結し、伸縮帯体11に、座席101に係止する係止部材13を設けたから、座席101に係止部材13を係止することにより、座席101に対し座席カバー1が固定されると共に、座席カバー1の裾部3を座席101の座部102の側部に密着保持することが可能となり、座席101に対する座席カバー1の装着性を向上することができる。
【0021】
また、このように本実施例では、請求項2に対応して、係止部材13は保持部材たる伸縮帯体11に移動可能に設けられているから、座席101に係止部材13を係止することにより、座席101に対し座席カバー1が固定されると共に、座席カバー1の裾部3を座部102の側部に密着保持することが可能となり、座席101に対する座席カバー1の装着性を向上することができる。
【0022】
また、実施例上の効果として、カバー本体2の後端縁2Fには、複数の紐体21,21を左右に間隔をおいて連結し、下覆い部5の後端縁5Fには、左右に輪部22,22を設けたから、座部102の裏面で紐体21を輪部22に連結することにより、座席カバー1の前後の位置決めを行なうことができる。また、左右の裾部3,3に、前後に間隔を置いて、複数の取付手段16を設けたから、裾部3を座部102の側部に安定して取り付けることができる。
【0023】
尚、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、本発明の座席カバーは背凭れ部に用いることができる。
【符号の説明】
【0024】
1 自動車用座席カバー
2 カバー本体
3 裾部
11 伸縮帯体
13 係止部材
101 座席
102 座部
103 背凭れ部
104 被係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の座席に被せられるカバー本体と、前記カバー本体から下方に延設された裾部とを備えた自動車用座席カバーにおいて、前記裾部の上部と下部に伸縮自在な保持部材の両端部を連結し、前記保持部材に、前記座席に係止する係止部材を設けたことを特徴とする自動車用座席カバー。
【請求項2】
前記係止部材は前記保持部材に移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の自動車用座席カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−126346(P2011−126346A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284544(P2009−284544)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(390005430)株式会社ホンダアクセス (205)
【Fターム(参考)】