説明

自動車用電子部品冷却器

【課題】 発熱量の多い制御用IC等の自動車用電子部品を確実に冷却することができるコンパクトな冷却器の提供。
【解決手段】 ラジエータ1のタンク2にボス部4を設け、そのボス部4に栓状体5を着脱自在に螺着させ、その先端をタンク2内に露出させる。そして、その栓状体5に電子部品6を接合する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動車に車載された制御用IC等の電子部品であって、高集積化されて発熱量の多いものの冷却器に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車に車載された制御用IC等の電子部品で発熱量の多いものは、ヒートシンクにより空冷していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の空冷ヒートシンクは、アミルの押出材によりベースとフィンとを一体成形して作られ、そのベース部に高集積化された電子部品が接触固定されていた。そのため、放熱効率が悪く特に夏季において放熱量を十分に確保できない欠点があった。そこで本発明は、コンパクトで冷却性能を確保できる信頼性の高い自動車用電子部品冷却器を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の自動車用電子部品冷却器は、エンジン冷却水冷却用ラジエータ1のタンク2の外面に貫通して設けられ、内周に内ネジ3が形成されたボス部4と、そのボス部4に液密に着脱自在に螺着され、その先端がタンク2内に露出される栓状体5と、を具備し、その栓状体5に自動車用電子部品6が接合されるように構成されたものである。このように構成することにより、電子部品6は自動車のエンジンルーム内に取付けられたラジエータ1の冷却水を利用して、確実に冷却水温度近くまで冷却するコンパクトな冷却器となる。
【0005】次に請求項2記載の本発明は、請求項1の発明の好ましい実施の形態であって、前記栓状体5の外周に着座用フランジ部5aが突設され、その軸方向端面にOリング嵌着溝5bが形成され、その溝に液密用Oリング10が挿入される自動車用電子部品冷却器である。このように液密用Oリング10を介して栓状体5とボス部4とを容易に着脱することができると共に、その液密構造を確保し取扱い易い冷却器となる。
【0006】
【発明の実施の形態】次に、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の自動車用電子部品冷却器の縦断面図であり、図2はその栓状体5の平面図、図3はラジエータ1と本発明の自動車用電子部品冷却器との取付け関係を示す説明図である。この例では、ラジエータ1は多数の偏平チューブ8とコルゲートフィン9とからなるコアの上下両端(下端部省略)にタンク2が配置され、夫々の偏平チューブ8がそのチューブプレートに貫通している。そして上側のタンク2に、本発明の自動車用電子部品冷却器が取付けられている。この冷却器は図1に示す如く、エンジン冷却水冷却用のラジエータ1のタンク2の外面にボス部4が貫通してろう付け等の手段により設けられる。そのボス部4の内周には内ネジ3が形成されている。そして、ボス部4に栓状体5の軸部外周が液密に且つ着脱自在に螺着され、栓状体5の先端がタンク2内に露出される。
【0007】栓状体5は下部に着座用のフランジ部5aが設けられ、その下面に嵌着溝5bが形成され、その嵌着溝5bにOリング10が挿入されている。この栓状体5は伝熱性の高い金属材料で形成され、その内部にパワー系基板11及び制御系基板12が接触固定され、それらに高集積化された電子部品6がそれらに取付けられている。また、栓状体5の上面にはコネクタ7が突設され、そのコネクタ7を介して制御用ケーブルの先端が接続される。この例では、制御用ICの発熱は電力換算で10〜15W程度を予定しており、発熱体温度は120℃程度と予測される。この場合、ラジエータ1の冷却水により十分冷却が可能である。
【0008】
【発明の作用・効果】本発明の自動車用電子部品冷却器は、エンジン冷却水冷却用ラジエータ1のタンク2内に栓状体5の先端が突出されるように構成されているから、電子部品6がエンジン冷却水によって効率良く冷却される。即ち、既存のラジエータ1の冷却水を利用し、電子部品6を効率良く冷却することが可能となる。また、その栓状体5はボス部4に液密に着脱自在に螺着されるものであるから、それを取り外すことにより電子部品6の点検整備が容易となる。さらには、水冷であるため従来のヒートシンクに比べて効率がよく冷却器をコンパクトに製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自動車用電子部品冷却器の縦断面図。
【図2】同自動車用電子部品冷却器の栓状体5の平面図。
【図3】本発明の自動車用電子部品冷却器とラジエータ1との取付け関係を示す説明図。
【符号の説明】
1 ラジエータ
2 タンク
3 内ネジ
4 ボス部
5 栓状体
5a フランジ部
5b 嵌着溝
6 電子部品
7 コネクタ
8 偏平チューブ
9 コルゲートフィン
10 Oリング
11 パワー系基板
12 制御系基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジン冷却水冷却用ラジエータ1のタンク2の外面に貫通して設けられ、内周に内ネジ3が形成されたボス部4と、そのボス部4に液密に着脱自在に螺着され、その先端がタンク2内に露出される栓状体5と、を具備し、その栓状体5に自動車用電子部品6が接合されるように構成された自動車用電子部品冷却器。
【請求項2】 請求項1において、前記栓状体5の外周に着座用フランジ部5aが突設され、その軸方向端面にOリング嵌着溝5bが形成され、その溝に液密用Oリング10が挿入される自動車用電子部品冷却器。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate