説明

自動車運転トレーニング装置

【課題】貨物自動車のアクセルペダルの踏み込み開始からアクセルペダル開度が50%になるまでの時間を、推奨到達時間(5秒間)に近づけるための感覚を養うトレーニングを行うことが出来る自動車運転トレーニング装置の提供。
【解決手段】アクセルペダル(3)と、当該アクセルペダル(3)の踏み込みが開始されると閉じるスイッチ(5)と、貨物自動車におけるアクセルペダル(実車のアクセルペダル)開度の50%に相当する量だけ前記アクセルペダル(3)が踏み込まれることを検出する検出装置(50)と、計時装置(タイマ8)と、表示装置(パトロールライト9)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラック等、貨物自動車における運転のトレーニングを行うための装置に関し、特に、本発明は、燃料消費量を節約する運転(いわゆる「エコ・ドライブ」)に適合したアクセルペダル操作をトレーニングするための自動車運転トレーニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の運転技術を習得、或いは習熟させるためのドライブシミュレータ(模擬運転装置)が種々存在する。
これらの模擬運転装置は、アクセル操作を含む種々のトレーニングが可能であるが、装置が大掛かりなために、客先に持ち込んでのトレーニングが極めて困難となっている。そして、装置全体の価格も高価である。
【0003】
その他の従来技術としては、例えば、ハンドル、アクセル等と、その操作に連動して変動するメーターを有し、当該メーターを、運転のトレーニングを行っている者に視認させることにより、ハンドル、アクセル等の作動感覚を覚え込ませる様に構成した技術が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、係る従来技術(特許文献1)では、発進時や加速時において、燃料消費量を節約する運転(いわゆる「エコ・ドライブ」)に適合した上述のアクセルペダル操作の感覚を、運転者が覚え込むことは出来ない。アクセルペダルの踏み込み開始からアクセルペダル開度が50%になるまでの時間を計測する手段を具備しておらず、前記推奨到達時間(5秒間)と比較することが出来ないからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−27871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、貨物自動車のアクセルペダルの踏み込み開始からアクセルペダル開度が50%になるまでの時間を、推奨到達時間(例えば、5秒間)に近づけるための感覚を養うトレーニングを行うことが出来る自動車運転トレーニング装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の自動車運転トレーニング装置(100)は、アクセルペダル(訓練用アクセルペダル3)と、当該アクセルペダル(3)の踏み込みが開始されると閉じるスイッチ(アクセルスイッチ5)と、貨物自動車におけるアクセルペダル(実車のアクセルペダル)開度の50%に相当する量だけ前記アクセルペダル(訓練用アクセルペダル3)が踏み込まれることを検出する検出装置(50)と、計時装置(タイマ8)と、表示装置(パトロールライト9)を備え、
前記計時装置(タイマ8)は、アクセルペダル(訓練用アクセルペダル3)の踏み込みが開始されて前記スイッチ(アクセルスイッチ5)が閉じてから、前記検出装置(50)が貨物自動車におけるアクセルペダル(実車のアクセルペダル)開度の50%に相当する量だけ前記アクセルペダル(訓練用アクセルペダル3)が踏み込まれることを検出するまでの時間を計測する機能を有しており、
前記表示装置(パトロールライト9)は、前記検出装置(50)が貨物自動車におけるアクセルペダル(実車のアクセルペダル)開度の50%に相当する量だけ前記アクセルペダル(訓練用アクセルペダル3)が踏み込まれたことを検出した旨を表示する(例えば、パトロールライト9が点灯する)機能を有していることを特徴としている。
【0007】
ここで、前記アクセルペダル(訓練用アクセルペダル3)にはリンク(4)が接続され、当該リンクには第1の切片(41)が固定されており、当該第1の切片(41)は前記スイッチ(アクセルスイッチ5)の一方の端子(5a)の近傍に配置されており(前記第1の切片41と、前記スイッチ6の一方の端子5aの間隔は、例えば0.5mmである)、前記アクセルペダル(訓練用アクセルペダル3)が踏み込まれると前記第1の切片(41)が前記スイッチ(アクセルスイッチ5)の一方の端子(5a)に接触して、当該スイッチ(アクセルスイッチ5)が閉じる機能を有しているのが好ましい。
【0008】
また、前記アクセルペダル(訓練用アクセルペダル3)にはリンク(4)が接続され、当該リンクには第1の切片(41)が固定されており、当該第1の切片(41)は、前記アクセルペダル(訓練用アクセルペダル3)が踏み込まれると前記検出装置(50)に近接し、前記アクセルペダル(訓練用アクセルペダル3)が貨物自動車におけるアクセルペダル(実車のアクセルペダル)開度の50%に相当する量だけ踏み込まれると前記検出装置(検出装置の検出部50a)に接触する位置に配置されているのが好ましい。
【0009】
さらに、前記アクセルペダル(3)の下方にはストッパ(10)が設けられており、当該ストッパ(10)は、前記アクセルペダル(訓練用アクセルペダル3)が貨物自動車におけるアクセルペダル(実車のアクセルペダル)開度の50%を超えて(例えば、70%)踏み込まれると、前記アクセルペダル(3)に当接する機能を有しているのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
上述する構成を具備する本発明によれば、計時装置(タイマ8)により、アクセルペダル(訓練用アクセルペダル3)の踏み込みが開始されて前記スイッチ(アクセルスイッチ5)が閉じてから、前記検出装置(50)が貨物自動車におけるアクセルペダル(実車のアクセルペダル)開度の50%に相当する量だけ前記アクセルペダル(訓練用アクセルペダル3)が踏み込まれることを検出するまでの時間が計測される。
ここで、計時装置(タイマ8)により計測される時間は、実車において、アクセルペダルが踏み込まれてから、アクセルペダル開度の50%に到達するまでの時間に相当する。従って、本発明のトレーニング装置(100)を利用している者は、計時装置(タイマ8)により計測された時間が、いわゆる「エコ・ドライブ」における発進時、加速時の推奨時間(5秒)に対して、どの程度の誤差があるかを知ることが出来る。
その結果、本発明のトレーニング装置(100)を利用している者は、アクセルペダルが踏み込まれてから、アクセルペダル開度の50%に到達するまでの時間、或いはアクセルペダルを踏み込むフィーリングを、いわゆる「エコ・ドライブ」に合致させる様に、身体的、感覚的に覚え込むことが出来る。
【0011】
また、本発明では、アクセルペダル(訓練用アクセルペダル3)、前記スイッチ(アクセルスイッチ5)、前記検出装置(50)、前記計時装置(タイマ8)、前記表示装置(パトロールライト9)のみを具備すれば足りるので、全体のスペースを小さくして、その重量も軽量にすることが出来る。
そのため、従来の自動車運転用シミュレータに比較して、遥かに小型化、軽量化することが可能になり、人手により持ち運ぶことも出来る。
【0012】
さらに本発明によれば、本発明のトレーニング装置(100)を利用している者は、アクセルペダル(訓練用アクセルペダル3)を踏み込む度に、アクセルペダル(訓練用アクセルペダル3)が、貨物自動車におけるアクセルペダル(実車のアクセルペダル)開度の50%に相当する量だけ踏み込まれたことを、前記表示装置(パトロールライト9)が表示する(例えば、パトロールライト9が点灯する)ことにより、リアルタイムで把握することが出来る。
すなわち、本発明のトレーニング装置(100)を利用して省燃費運転の感覚を掴むトレーニングをしている者は、表示装置(パトロールライト9の点灯)により、アクセルペダル開度の50%に到達した瞬間をリアルタイムで把握することが出来る。このことは、アクセルペダルを踏み込むフィーリングを、いわゆる「エコ・ドライブ」に合致させる様に身体的、感覚的に覚え込むことに寄与する。
【0013】
ここで、第1の切片(42)が検出装置(50)に接触した後に、アクセルペダル(訓練用アクセルペダル3)を踏み続けて、検出装置(50)を押圧し続け、検出装置(50)が破損してしまう恐れが存在する。
しかし本発明によれば、前記第1の切片(41)を、前記アクセルペダル(訓練用アクセルペダル3)が踏み込まれると前記検出装置(50)に近接し、前記アクセルペダル(訓練用アクセルペダル3)が貨物自動車におけるアクセルペダル(実車のアクセルペダル)開度の50%に相当する量だけ踏み込まれると前記検出装置(検出装置の検出部50a)に接触する位置に配置し、且つ、前記アクセルペダル(3)の下方にストッパ(10)を設け、当該ストッパ(10)は、前記アクセルペダル(訓練用アクセルペダル3)が貨物自動車におけるアクセルペダル(実車のアクセルペダル)開度の50%を超えて(例えば、70%)踏み込まれると、前記アクセルペダル(3)に当接する機能を有する様に構成することによって、第1の切片(42)が検出装置(50)に接触した後は、ストッパ(10)によりアクセルペダル(3)の動きを制限して、第1の切片(42)の動きを制限することにより、検出装置(50)が押圧され続け、破損してしまう事態は防止される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態の側面図である。
【図2】実施形態の正面図である。
【図3】実施形態の平面図である。
【図4】実施形態の要部拡大図である。
【図5】実施形態の電気配線図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1〜図4において、全体を符号100で示す自動車運転トレーニング装置(以下、「トレーニング装置」と言う)は、フロア部1と、ケーシング2と、アクセルペダル3と、アクセルリンク4を備えている。
また、自動車運転トレーニング装置100は、アクセルスイッチ5と、起動スイッチ6と、作動認識ランプ7と、タイマ8と、パトロールランプ9と、検出装置(アクセル開度50%検出装置)50とを備えている。ここで、図示の煩雑化を避けるために検出装置50はアクセルスイッチ5とは別体に図示されているが、実機においては、検出装置50をアクセルスイッチ5内に収容していても良い。
【0016】
フロア部1は、実際の車両のフロアに相当する部位である。
フロア部1側の端部にはヒンジ中心3oを有しており、このヒンジ中心3o周りに回動可能にアクセルペダル3が取り付けられている。
ケーシング2は、全体が箱状(筐体)に形成され、アクセルペダル3の自由端3fの前方(図1の右方)に配置されている。また、図示の例では、ケーシング2に図示しない蓄電装置(或いは、商用電流を直流に変換するA/Dコンバータ)が内蔵されている。ケーシング2に内蔵されている図示しない蓄電装置は、トレーニング装置100の各種機器の動力源として用いられている。
【0017】
ケーシング2において、アクセルペダル3と対向する側の面の上方には、箱状のアクセルスイッチ5が配置されている。上述した様に、アクセルスイッチ5には、検出装置50を内蔵することも可能である。
アクセルペダル3にはアクセルリンク4が接続されており、アクセルリンク4は、第1の切片41と第2の切片42とを有している。
ここで、第1の切片41と第2の切片42は、一体に形成されているリンク4における領域を示している。「第1の切片41」はリンク4における上下方向に傾斜して延在している領域であり、「第2の切片42」はリンク4における水平方向に延在する領域である。
【0018】
図4において、第1の切片41におけるアクセルスイッチ5側の端部は図示しないヒンジに接続されており、以って、アクセルリンク4全体がヒンジ中心4o周りに回動可能に構成されている。
図1、図4において、第2の切片42におけるアクセルペダル3側の端部は、アクセルペダル3の裏面と常時接触しており、アクセルペダル3を踏み込むと、図4を参照して後述する様に移動する。
【0019】
図4において、アクセルスイッチ5は、端子5a、端子5bを有している。
アクセルスイッチ5における一方の端子5aは、ケーシング2側に設けた支持部材2bに支持されている。他方の端子5bは、第1の切片41において、端子5aに対向する面に設けられている。
アクセルスイッチ5は、端子5aと端子5bとが接触する(閉じる)と通電して、ON状態になる。そして、端子5aと端子5bとが離れると通電が遮断されて、OFF状態になる。
【0020】
図4において、実線で示すアクセルリンク4は、アクセルを踏み込む前の状態(トレーニング前の状態:アクセル不作動の状態)を示している。
この、アクセル不作動の状態では、アクセルスイッチ5において、端子5aの湾曲部5atの凸側と、第1の切片41との隙間δは、例えば、0.5mmに設定されている。
この隙間δは、実車における遊び代、いわゆる「アクセルペダルの遊び」と称される寸法に相当する。
【0021】
一方、点線で示すアクセルリンク4は、アクセル3が、実車におけるアクセル開度50%に相当する踏み込み量だけ踏み込まれた状態を示している。
図4で示す用に、アクセルペダル3が実車におけるアクセル開度50%に相当する量だけ踏み込まれた時に、検出装置50の検出部50aが第1の切片41と接触する。そして検出装置50は、「アクセルペダル3が実車におけるアクセル開度50%に相当する量だけ踏み込まれた」旨の検出信号を発生する。
【0022】
図1、図4において、アクセルペダル3における長手方向の概略中央の下方のフロア部1には、上端が部分円弧状の突起状ストッパ10が立設されている。
図1、図4において、実車におけるアクセル開度70%に相当する踏み込み量だけアクセルペダル3が踏み込まれた場合に、アクセルペダル3の下面がストッパ10の先端に当接するように、ストッパ10の先端の高さが設定或いは調整されている。
【0023】
図1、図2において、ケーシング2の上面2tには、起動スイッチ6と、作動認識ランプ7とが配置されている。
図2において、起動スイッチ6は、ケーシング2の上面2tにおける左端近傍に配置されている。そして作動認識ランプ7は、ケーシング2の上面2tにおいて、起動スイッチ6に隣接して設置されている。
【0024】
図1、図2において、ケーシング2の上面2tの概略中央には、細径の円柱である支柱90が垂直方向に延在している。
図1で示すように、支柱90の上端にはL字状の薄板部材80が固設されている。L字状の薄板部材80の水平部80hにはパトロールライト9が取り付けられている。そして、L字状の薄板部材80の水平部80hからは垂直部80vが下方に延在しており、垂直部80vにはタイマ8(計時装置)が取り付けられている。
【0025】
タイマ8は、アクセルペダル3の踏み込みが開始されてアクセルスイッチ5が閉じてから、貨物自動車におけるアクセルペダル(実車のアクセルペダル)開度の50%に相当する量だけアクセルペダル3が踏み込まれたことを検出装置50が検出するまでの時間を計測する。
タイマ8は、計時中の所要時間をリアルタイムで表示する表示部を有している。
図示はされていないが、タイマ8は、アクセルペダルの踏み込み速度及び/又はアクセルペダルの踏み込み加速度を演算する機能を有する様に構成することも可能である。
【0026】
パトロールライト9は、検出装置50が貨物自動車におけるアクセルペダル(実車のアクセルペダル)開度の50%に相当する量だけアクセルペダル3が踏み込まれたことを検出した際に、点灯する。
換言すれば、アクセルペダル(実車のアクセルペダル)開度の50%に相当する量だけアクセルペダル3が踏み込まれた時に、パトロールライト9は点灯する。トレーニング装置100を利用して省燃費運転の感覚を掴むトレーニングをしている者は、パトロールライト9の点灯により、アクセルペダル開度の50%に到達した瞬間をリアルタイムで把握することが出来る。このことは、アクセルペダルを踏み込むフィーリングを、いわゆる「エコ・ドライブ」に合致させる様に身体的、感覚的に覚え込むことに寄与する。
【0027】
図示の実施形態では、アクセルペダル3を踏み込み始めて(アクセルスイッチ5がON)から、検出装置50が貨物自動車におけるアクセルペダル(実車のアクセルペダル)開度の50%に相当する量だけアクセルペダル3が踏み込まれたことを検出するまでの時間が、「5秒」である場合が、省燃費運転に最も寄与することが知られており、そのため、当該時間の推奨値(推奨所要時間)を「5秒」に設定している。
ここで、推奨所要時間は、車両の総質量、エンジン特性、変速機の変速段数及びそのギヤレシオ等のファクタによって変化する場合が想定される。そのため、推奨所要時間を「5秒」以外に設定することも可能である。
【0028】
図示は省略されているが、トレーニング装置100に音声発生手段及び/又はモニタを設けて、上記推奨所要時間「5秒」に対して、一定時間α秒以上早い場合、或いは、一定時間β秒以上遅い場合に、上記音声発生手段によって音声警告を発生し、或いは、上記モニタによって警告を表示するように構成することもできる。
ここで、アクセルペダル3を踏み込み始めて(アクセルスイッチ5がON)から、検出装置50が貨物自動車におけるアクセルペダル(実車のアクセルペダル)開度の50%に相当する量だけアクセルペダル3が踏み込まれたことを検出するまでの時間が短過ぎると、省燃費運転にならない。一方、当該時間が長過ぎると、加速不良となり、安全性の点で問題があり、また、燃費の点からも好ましくない。上記α、βの値は、係る見地に基づいて、任意に設定或いは変更が可能である。
なお、自動車運転トレーニング装置100に音声発生手段及び/またはモニタを設けた場合は、パトロールライト9を省略することも可能である。
【0029】
次に、自動車運転トレーニング装置100を使用してトレーニングを行なう際の操作手順(トレーニング手順)と、各部材の機能とを説明する。
トレーニングを行なおうとする者(以下、「訓練者」と言う)は、図1におけるトレーニング装置100の左方に、実車の運転席を模したシート(図示せず)を、トレーニング装置100に対抗する様に設置する。
訓練者は起動スイッチ6を押してトレーニング装置100を起動させた後、図示しないシートに着座して、実車で省燃費運転(いわゆる「エコ・ドライブ」)を実践していることを想定しながら、アクセルペダル3を徐々に踏み込む。
【0030】
アクセルペダル3を踏み込むと、アクセルスイッチ5が閉じて、タイマ8が計時を開始する。
訓練者がアクセルペダルの踏み込み量を徐々に増していくと、タイマ8で計時される時間がリアルタイムで表示される。
そして、アクセルペダル3が貨物自動車におけるアクセルペダル(実車のアクセルペダル)開度の50%に相当する量だけ踏み込まれて、検出装置50により検知されると、タイマ8の計時が終了すると共に、パトロールライト9が点灯(或いは点滅)する。
パトロールライト9が点滅することにより、訓練者は、トレーニングの終了を把握することが出来る。
トレーニング終了の時点において、タイマ8は、アクセルペダル3を踏み込まれてアクセルスイッチ5が閉じてから、アクセルペダル(実車のアクセルペダル)開度の50%に相当する量だけアクセルペダル3が踏み込まれるまでの所要経過時間を表示している。
【0031】
トレーニング終了の時点において、タイマ8は、アクセルペダル3を踏み込まれてアクセルスイッチ5が閉じてから、アクセルペダル(実車のアクセルペダル)開度の50%に相当する量だけアクセルペダル3が踏み込まれるまでの所要経過時間を表示している。
訓練者は、表示された所要経過時間を推奨所要時間(5秒)と比較することにより、アクセルペダル3の踏み込み方が、省燃費運転に合致しているか否かを自ら判定することが出来る。
ここで、自動車運転トレーニング装置100に、音声発生手段及び/またはモニタを設けていれば、アクセルペダル3の踏み込み速度が適正であったか否かを、音声或いはモニタ表示により、訓練者に示すことが出来る。
【0032】
図5は、図1〜図4で示す自動車運転トレーニング装置100における電気回路を示している。
図5において、商用電源に接続されるコンセントACには、メインラインLm1、Lm2が接続されている。メインラインLm1、Lm2におけるコンセントAC側には、カップリングCP1(図1における起動スイッチ6に相当)が配置され、トレーニング装置100の起動、或いは停止の操作を行なう。
【0033】
メインラインLm1には、コンセントAC側から順に、分岐点B11、B12・・・B15が形成されており、メインラインLm2には、コンセントAC側から順に、分岐点B21、B221、B222、B231、B232、B24、B25が形成されている。
【0034】
分岐点B11と分岐点B21とは並列ラインLb1によって接続され、分岐点B12と分岐点B221とは並列ラインLb2によって接続され、分岐点B13と分岐点B231とは並列ラインLb3によって接続され、分岐点B14と分岐点B24とは並列ラインLb4によって接続されている。
分岐点B15とタイマ8の端子8aとは、並列ラインLb51によって接続されている。タイマ8の端子8bとメインラインLm2の分岐点B25とは並列ラインLb55によって接続されている。
【0035】
並列ラインLb1には、作動認識ランプ7が介装されている。
並列ラインLb2には分岐点B220が形成されており、分岐点B220と分岐点B222は並列ラインLb20によって接続されている。
分岐点B12と分岐点B220との間の領域にはアクセルスイッチ5が介装されており、アクセルスイッチ5は端子5aと端子5bとを有している。
分岐点B220と分岐点B221との間の領域には第1のリレーCR1が介装され、並列ラインLb20には第1のタイマスイッチCT1が介装されている。第1のタイマスイッチCT1は、タイマ8の計時を開始させる機能を有している。
【0036】
並列ラインLb3には分岐点B230が形成されており、分岐点B230と分岐点B232は並列ラインLb30によって接続されている。
分岐点B13と分岐点B230との間の領域には検出装置50が介装され、検出装置50は端子50aaと端子50abとを有している。
分岐点B230と分岐点B231との間の領域には第2のリレーCR2が介装され、並列ラインLb30には第2のタイマスイッチCT2が介装されている。第2のタイマスイッチCT2は、タイマ8の計時を終了させる機能を有している。
【0037】
並列ラインLb4には、第2のリレーCR2に連動するリレーCR2とパトロールランプ9が介装されている。
タイマ8にはサブラインCSが設けられている。サブラインCSは、ラインLb52、ラインLb531、ラインLb532、ラインLb54を有している。
ラインLb52の一端はタイマ8の端子8cに接続され、他端は分岐点D1でラインLb531とラインLb532とに分岐している。ラインLb531とラインLb532とは、合流点D2で合流してラインLb54となり、タイマ8の端子8dに接続される。
【0038】
ラインLb531には、第1のリレーCR1に連動するリレーCR11と、タイマ8の計時開始に対応するスイッチSWT1が介装されている。
ラインLb532には、第2のリレーCR2に連動するリレーCR22と、タイマ8の計時終了に対応するスイッチSWT2が介装されている。
ここで、スイッチSWT1とスイッチSWT2は、一方が閉じている場合には他方が開いており、両者が同時に閉じない様に構成されている。
【0039】
トレーニングが開始されてアクセルペダル3が踏み込まれると、アクセルスイッチ5の端子5aと端子5bが接触して、ラインLb2が通電し、スイッチCT1が閉じて、第1のリレーCR1が作動する。その結果、ラインLb531におけるリレーCR11が閉じて、スイッチSWT1も閉じる。その結果、タイマ8は計時を開始する。
アクセルペダル3が貨物自動車におけるアクセルペダル(実車のアクセルペダル)開度の50%に相当する量だけ踏み込まれると、検出装置50の端子50aaと50bbとが閉じて、ラインLb3が通電する。そして、スイッチCT2も閉じて、第2のリレーCR2が作動する。
第2のリレーCR2が閉じるとリレーCR21が連動して閉じるので、ラインLb4が通電してパトライト9が点灯する。それと共に、ラインLb532のリレーCR22も閉じる。ここで、スイッチCT2が閉じるため、スイッチSWT2が閉じて、ラインLb531のスイッチSWT1は開く。その結果、ラインLb532が通電して、タイマ8の計測が終了する。
【0040】
図示の実施形態によれば、アクセルペダル3の踏み込みが開始されてアクセルスイッチ5が閉じてから、検出装置50が貨物自動車におけるアクセルペダル(実車のアクセルペダル)開度の50%に相当する量だけアクセルペダル3が踏み込まれることを検出するまでの時間が、タイマ8により計測される。
ここで、タイマ8により計測される時間は、実車において、アクセルペダルが踏み込まれてから、アクセルペダル開度の50%に到達するまでの時間に相当する。従って、実施形態のトレーニング装置100を利用している者は、タイマ8により計測された時間が、いわゆる「エコ・ドライブ」における発進時、加速時の推奨時間(例えば、5秒)に対して、どの程度の誤差があるかを知ることが出来る。
その様な誤差を知ることにより、トレーニング装置100を利用する訓練者は、アクセルペダルが踏み込まれてからアクセルペダル開度の50%に到達するまでの時間、或いはアクセルペダルを踏み込むフィーリングを、いわゆる「エコ・ドライブ」に合致させる様に、身体的、感覚的に覚え込むことが出来る。
【0041】
また、図示の実施形態では、アクセルペダル3、アクセルスイッチ5、検出装置50、タイマ8、パトロールライト9のみを具備すれば足りるので、全体のスペースを小さくして、その重量も軽量にすることが出来る。
そのため、従来の自動車運転用シミュレータに比較して、遥かに小型化、軽量化することが可能になり、人手により持ち運ぶことも出来る。
なお、図示の実施形態(自動車運転トレーニング装置100)を発明者が試作したところ、その重量は、例えば約10kgであった。
【0042】
さらに、図示の実施形態に係るトレーニング装置100を利用している者は、アクセルペダル3を踏み込む度に、アクセルペダル3が、貨物自動車におけるアクセルペダル(実車のアクセルペダル)開度の50%に相当する量だけ踏み込まれたことを、アクセルペダル3を踏み込んだ時点で、リアルタイムで把握することが出来る。
このことも、いわゆる「エコ・ドライブ」に必要なアクセルペダル操作のフィーリングを、身体的、感覚的に覚え込むことに寄与する。
【0043】
第1の切片41が検出装置50に接触した後に、アクセルペダル3が踏み続けられると、検出装置50が押圧され続けて破損してしまう恐れがある。
これに対して図示の実施形態では、アクセルペダル3の下方にはストッパ10が設けられており、アクセルペダル3が貨物自動車におけるアクセルペダル(実車のアクセルペダル)開度の50%を超えて(例えば、70%)踏み込まれると、ストッパ10がアクセルペダル3に当接して、アクセルペダル3の下方への移動を制限している。
そのため、検出装置50はそれ以上押圧され続けることがなく、検出装置50の破損が防止される。
【0044】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない旨を付記する。
【符号の説明】
【0045】
1・・・フロア部
2・・・ケーシング
3・・・アクセルペダル
4・・・アクセルリンク
5・・・アクセルスイッチ
6・・・起動スイッチ
7・・・作動認識ランプ
8・・・タイマ
9・・・パトロールランプ
50・・・検出装置/アクセル開度50%検出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセルペダルと、当該アクセルペダルの踏み込みが開始されると閉じるスイッチと、貨物自動車におけるアクセルペダル開度の50%に相当する量だけ前記アクセルペダルが踏み込まれることを検出する検出装置と、計時装置と、表示装置を備え、
前記計時装置は、アクセルペダルの踏み込みが開始されて前記スイッチが閉じてから、前記検出装置が貨物自動車におけるアクセルペダル開度の50%に相当する量だけ前記アクセルペダルが踏み込まれることを検出するまでの時間を計測する機能を有しており、
前記表示装置は、前記検出装置が貨物自動車におけるアクセルペダル開度の50%に相当する量だけ前記アクセルペダルが踏み込まれることを検出したことを表示する機能を有していることを特徴とする自動車運転トレーニング装置。
【請求項2】
前記アクセルペダルにはリンクが接続され、当該リンクには第1の切片が固定されており、当該第1の切片は前記スイッチの一方の端子の近傍位置に配置されており、前記アクセルペダルが踏み込まれると前記第1の切片が前記スイッチの一方の端子に接触して、当該スイッチが閉じる機能を有している請求項1の自動車運転トレーニング装置。
【請求項3】
前記アクセルペダルにはリンクが接続され、当該リンクには第1の切片が固定されており、当該第1の切片は、前記アクセルペダルが踏み込まれると前記検出装置に近接し、前記アクセルペダルが貨物自動車におけるアクセルペダル開度の50%に相当する量だけ踏み込まれると前記検出装置に接触する位置に配置されている請求項1、2の何れかの自動車運転トレーニング装置。
【請求項4】
前記アクセルペダルの下方にはストッパが設けられており、当該ストッパは、前記アクセルペダルが貨物自動車におけるアクセルペダル開度の50%を超えて踏み込まれると、前記アクセルペダルに当接する機能を有している請求項3の自動車運転トレーニング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−50541(P2013−50541A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187482(P2011−187482)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パトライト
【出願人】(000003908)UDトラックス株式会社 (1,028)