説明

自在折曲織込回路を有する織物構造体およびその製造方法と製造装置

【課題】本発明は、簡易に製造することが可能であって、織物の内部においてあらゆる任意の方向に延在可能な折曲織込回路を形成することができる織物構造体の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、経糸1と緯糸2を縦方向あるいは横方向に編み込んでなる織物本体3と、この織物本体3に経糸1あるいは緯糸2に沿って縦方向あるいは横方向に途中に折曲部を介し織り込まれて前記織物本体3の一側から他側まで連続編み込み形成された導電性繊維からなる折曲編込回路10、15、18とを具備してなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織物の任意の位置に自在な方向に独立した折曲織込回路を組み込み構成した織物構造体およびその製造方法と製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、織物に配線して導電性回路を形成する場合、以下に説明する方法が採用されている。
(1)織物全体を導電性繊維で形成し、織物全体により回路を構成するもの、例えば、織物の縦方向に編み込まれている経糸の全て、あるいは織物の横方向に編み込まれている緯糸の全てを金属線から構成し、織物全体を回路として構成するものが知られている。
(2)織物の経糸もしくは緯糸の一部を導電性繊維で構成し、緯糸の方向に沿ってあるいは緯糸の方向に沿って一方向に導電性を有するものが知られている。
【0003】
前記緯糸の全てあるいは経糸の全てを導電性繊維で形成する技術の一例として、以下の特許文献1に、縦糸と横糸をクロス状に織り込んでなる織物において、縦糸および/または横糸に銅を含む糸を織り込み、他の糸を非導電性の繊維から構成した織物が開示されている。
また、以下の特許文献2には、金属材料を圧延してなる金属箔を帯状に切断して形成した糸を縦糸または横糸の少なくとも一方に使用した織物からなり、電磁波シールド用、帯電防止用であって、衣料用としての実用性に優れ、装飾効果の高い布地が開示されている。
【0004】
更に、以下の特許文献3には、木綿などの非電導性糸からなる領域と金属繊維あるいは炭素繊維などの電導性繊維で形成された糸からなる領域とが交互に配置されて構成され、電導性繊維で形成された糸からなる領域に電力線を接続してなる電気毛布が開示されている。
また、以下の特許文献4には、複数の縦線材と横線材とを織り込み、この横線材を1本間隔に導体線にて構成し、他の横線材と縦線材の全てを絶縁体にて構成し、織り込んだ縦線材と横線材の上面側と下面側とに絶縁フィルム又は絶縁コーティング部を設けた導電用織物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−149481号公報
【特許文献2】特開昭62−289645号公報
【特許文献3】特開平8−060487号公報
【特許文献4】特開平8−134741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1〜4に記載されている技術では、例えば1つの電源からスイッチと導電性回路を介し複数の出力を独立して自在に繋ぐ用途に適用しようとした場合、前記特許文献1に記載の織物構造では、織物全体が導電性を有するために、複数の出力が同時に出力されてしまう問題があり、簡単には適用できない問題がある。
また、前記特許文献2に記載の織物構造では、複数の出力を独立して出力することは可能であるが、その方向が経糸方向もしくは緯糸方向のいずれかの方向に制限されてしまう問題があった。
即ち、導電性を付与した従来の織物構造物では、織物の内部においてあらゆる任意の方向に導電性回路を形成することは不可能であった。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、簡易に製造することが可能であって、織物の内部においてあらゆる任意の方向に延在可能な折曲織込回路を形成することができる織物構造体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の織物構造体は、経糸と緯糸を縦方向あるいは横方向に編み込んでなる織物本体と、この織物本体に経糸あるいは緯糸に沿って縦方向あるいは横方向に途中に折曲部を介し織り込まれて前記織物本体の一側から他側まで連続編み込み形成された導電性繊維からなる折曲編込回路とを具備してなることを特徴とする。
【0009】
本発明の織物構造体は、前記織物本体に、前記折曲部を介し織り込まれて前記織物本体の一側から他側まで連続編み込み形成された導電性繊維からなる折曲編込回路と、前記織物本体に前記織物本体の一側から他側まで直線状に連続編み込み形成された導電性繊維からなる直線状編込回路とが混在されてなることを特徴とする。
本発明の織物構造体は、前記導電性織物構造体の端部に前記折曲編込回路と前記直線状編込回路の少なくとも一方に接続された電源装置が設けられてなることを特徴とする。
本発明の織物構造体は、前記経糸と緯糸の少なくとも一部を代用するように前記導電性繊維が編み込まれてなることを特徴とする。
本発明の織物構造体は、前記経糸と緯糸の少なくとも一部に前記導電性繊維が沿わされて前記織物本体に編み込まれてなることを特徴とする。
【0010】
本発明の織物構造体の製造方法は、フロントビームとバックビームの間に複数の非導電性繊維の経糸を相互に並行に張設し、これらの経糸に交差する方向に非導電性繊維の緯糸を備えたシャトルを往復移動させながら前記経糸に対して前記緯糸を編み込み操作するとともに、導電性繊維を備えた他のシャトルを前記経糸と交差する方向に編み込む操作と、編み込み途中において導電性繊維を経糸方向に方向変更して経糸方向に位置させた状態で前記非導電性繊維の緯糸を用いて前記経糸と前記方向変更した導電性繊維を含めて編み込む操作を組み合わせて導電性繊維を非導電性繊維の経糸または緯糸に対して編み込むことを特徴とする。
【0011】
本発明の織物構造体の製造方法は、前記バックビームとフロントビームの間に並行に張設された複数本の経糸を2つの群に区分けして牽引する綜絖を用い、前記バックビームとフロントビームの間に張設された複数の経糸を2つの群に区分けして相互の間隔を広げた後、この間隔に前記シャトルを通過させて導電性繊維を編み込むことを特徴とする。
本発明の織物構造体の製造方法は、前記フロントビームとバックビームとの間に前記並行に調節された複数本の経糸間に挿入する筬羽を備えた筬を前記フロントビームに接近自在に設け、前記シャトルにより複数の経糸に編み込んだ非導電性繊維及び導電性繊維を前記筬羽によりフロントビーム側に押し込んで前記非導電性繊維と導電性繊維を密着させることを特徴とする。
【0012】
本発明の織物構造体の製造装置は、経糸を並行に複数掛け渡すためのフロントビームおよびバックビームと、前記フロントビームおよびバックビームの間に並行に複数掛け渡された経糸を2つの群に区分けしてそれらの群どうしを離間する方向に移動させてそれらの間に隙間を形成する綜絖と、前記2つの群に区分けされた経糸の間に形成された隙間を通過して前記経糸に対して緯糸を編み込む複数のシャトルと、前記綜絖と前記フロントビームとの間に前記フロントビームに対し移動自在に設けられ、前記シャトルが編み込んだ緯糸を前記フロントビーム側に押し込む筬が備えられ、
前記複数のシャトルの少なくとも1つに導電性繊維が装着自在とされ、他のシャトルの少なくとも1つに非導電性繊維が装着自在とされ、導電性繊維を装着したシャトルと非導電性繊維を装着したシャトルが前記経糸に対して交差する方向に移動自在に設けられ、前記フロントビームおよびバックビームに複数並行に掛け渡された経糸とこれらの経糸に対する前記シャトルの移動に応じてこれらの経糸に前記導電性繊維と非導電性繊維を編み込みして導電性織物構造体を製造できるように構成されたことを特徴とする。
【0013】
本発明の織物構造体の製造装置は、前記導電性繊維を備えたシャトルが前記経糸間を移動途中で該経糸のいずれかに沿って経糸の長手方向に移動して導電性繊維を該経糸方向に方向変更自在に設けられ、該経糸方向に設置した導電性繊維に対して他のシャトルの非導電性繊維を緯糸として織り込むことができるように構成されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、織物本体に経糸あるいは緯糸の方向に沿って途中に折曲部を介し連続編み込み形成した導電性繊維の折曲織込回路を備えているので、織物本体の導電性繊維を織り込む方向を任意の方向に変更することにより、任意の方向に延在する折曲織込回路を備えた織物構造体を提供できる。この構造の織物構造体であるならば、従来構造の導電性織物では対応できなかった用途、例えば1つの電源からスイッチと織込回路を介し複数の出力を独立して自在に繋ぐ用途に適用できる織物構造体を提供することができる。
本発明に係る織物構造体に折曲織込回路と直線状織込回路を混在させることができ、これにより、より回路接続バリエーションの豊富な織物構造体を提供することができる。
織物構造体の端部に電源装置を設けて折曲織込回路と直線状織込回路に通電可能とすることにより、前記電源装置から織込回路と直線状織込回路の何れかを介して織物本体の任意の方向に複数の電気出力を独立して得ることができる。
織物本体に対する導電性繊維の編み込みパターンは、編物本体の経糸あるいは緯糸の一部を代用するように編み込み形成しても良いし、経糸あるいは緯糸の一部に沿うように編み込みしても良く、いずれの編み込み構造であっても実現できる。
【0015】
本発明の織物構造体の製造方法によれば、フロントビームとバックビームの間に複数の経糸を並行に張設し、それらに交差する方向にシャトルにより非導電性繊維を編み込むとともに、別のシャトルに備えた導電性繊維をフロントビームとバックビームの間に張設した経糸に交差する方向に編み込む操作と、編み込み途中において導電性繊維を経糸方向に方向変更して編み込む操作を組み合わせて行うことにより、自由な方向に延在する折曲編込回路を備えた織物構造体を製造することができる。
導電性繊維と非導電性繊維の編み込みの際、綜絖を用いて経糸を2つ以上の群に分けて間隔を拡げるようにすることで、シャトルの移動を容易にすることができる。
導電性繊維と非導電性繊維の編み込みの際、筬羽を用いて緯糸としての導電性繊維と非導電性繊維とを押し込んで密着することができる。
【0016】
本発明の織物構造体の製造装置によれば、フロントビームとバックビームの間に複数の経糸を張設し、これらに交差する方向に非導電性繊維あるいは導電性繊維を編み込むとともに、導電性繊維を途中で経糸に沿う方向に方向変換して経糸に沿わせてこれらを非導電性繊維の緯糸により編み込むことができるので、方向変換により自由な方向に延在する導電性繊維の折曲編込回路を具備する織込構造体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の織物構造体の一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1に示す実施形態の織物構造体を製造する際に用いる製造装置の一例を示す構成略図である。
【図3】本発明の織物構造体の第2実施形態を示す平面図である。
【図4】本発明の織物構造体の第3実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を図面に示す実施形態を参照して詳細に説明するが、本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
図1は本発明に係る織物構造体の第1実施形態を示す平面図である。
この第1実施形態の織物構造体Aは、図1の縦向きに相互に並行に配列された複数本の経糸1と図1の横向きに相互に並行に配列された複数本の緯糸2とを主体としてこれらを90゜に交差する如く1本1本互い違いに編み込んでなる編物本体3を主体として構成されている。
【0019】
本実施形態の織物構造体Aにあっては、テープ状あるいは偏平状とされた繊維状の非導電性繊維が経糸1と緯糸2として図1に示す如く90゜クロス状態に織り込まれた上に、必要な位置にテープ状あるいは偏平状とされた繊維状の導電性繊維からなる折曲織込回路10、15、18と同導電性繊維からなる直線状の織込回路6とが経糸1あるいは緯糸2に対して重なるように織り込み形成されている。図1に示す実施形態では織物本体3が、図1の縦方向に延在するとともに横方向に整列する40本の経糸1に対し、図1の横方向に延在するとともに縦方向に整列する32本の緯糸2を90゜クロス状態に織り込んだ構成として例示されている。
【0020】
そして、図1に示す織物本体3において、32本の緯糸2において、上側から順に第1行目の緯糸2〜第32行目の緯糸2と順番に呼称し、40本の経糸1において、左側から順に第1列目の経糸1〜第40列目の経糸1と順番に呼称して説明することにする。
なお、本実施形態の織物構造体Aにおいて、経糸1と緯糸2の編み込み本数はあくまでも1例を示したものであって、織物構造体として必要な縦横の寸法に応じて適宜の数に増減しても良いのは勿論である。
【0021】
この第1実施形態において、図1の第2行目の緯糸2の上に重なるようにテープ状あるいは偏平状とされた繊維状の導電性繊維が編み込まれて直線状編込回路6が織物本体3の左側の端部(一側端部)から右側の端部(他側端部)に至るように設けられている。
図1の織物本体3において、第4行目の緯糸2の上に重なるようにテープ状あるいは偏平状とされた繊維状の導電性繊維が左側端部(一側端部)から第26列目の経糸1の位置まで直線状に編み込まれて第1の副織込回路7が構成され、この第1の副織込回路7の先端部が90゜折曲された折曲部7aを介して第4行目から第22行目の緯糸2の位置まで第26列目の経糸1に沿って延在されて第2の副織込回路8が構成され、この第2の副織込回路8の先端が90゜折曲された折曲部8aを介して第22行目の緯糸2に沿って織物本体3の右側の端部(他側端部)まで延在されて第3の副織込回路9が構成されている。即ち、織物本体3には折曲部7a、8aを備えた副織込回路7、8、9からなり、織物本体3の左側端部から右側端部まで到達する折曲織込回路10が織り込まれている。
【0022】
また、図1の織物本体3において、第6行目の緯糸2の上に重なるようにテープ状あるいは偏平状とされた繊維状の導電性繊維が左側端部(一側端部)から第5列目の経糸1の位置まで直線状に編み込まれて第1の副織込回路11が構成され、この第1の副織込回路11の先端部が90゜折曲された折曲部11aを介して第6行目から第25行目の緯糸2の位置まで第5列目の経糸1に沿って延在されて第2の副織込回路12が構成され、この第2の副織込回路12の先端が90゜折曲された折曲部12aを介して第25行目の緯糸2に沿って織物本体3の第6列目から第20列目の経糸1の位置まで直線状に編み込まれて第3の副織込回路13が構成され、更にこの第3の副織込回路13の先端部が90゜折曲された折曲部13aを介して織物本体3の下側端部(他側端部)まで第20列目の経糸1に沿って延在されて第4の副織込回路14が構成されている。即ち、織物本体3には折曲部11a、12a、13aを備えた副織込回路11、12、13、14からなり、織物本体3の左側端部から下側端部まで到達する折曲織込回路15が織り込み形成されている。
【0023】
更に、図1の織物本体3において、第8行目の緯糸2の上に重なるようにテープ状あるいは偏平状とされた繊維状の導電性繊維が左側端部(一側端部)から第2列目の経糸1の位置まで直線状に編み込まれて第1の副織込回路16が構成され、この第1の副織込回路16の先端部が90゜折曲された折曲部16aを介して織物本体3の下側端部(他側端部)まで第2列目の経糸1に沿って延在されて第2の副織込回路17が構成されている。即ち、織物本体3には折曲部16aを備えた副織込回路16、17からなり、織物本体3の左側端部から下側端部まで到達する折曲織込回路18が織り込み形成されている。
【0024】
次に、図1の織物本体3において、左側上端部には、第1行目の緯糸2の位置から第9行目の緯糸2の位置まで達する縦長さの電源装置20が設置され、この電源装置20の図示略の出力端子に、前記直線状織込回路6と折曲織込回路10、15、18の各端部が接続され、これらの回路に電源装置20から個別に通電できるように構成されている。また、織物本体3の右端部側の直線状織込回路6の先端側と折曲織込回路10の先端側にはそれぞれ照明装置などの電気装置21、22が接続されるとともに、織物本体3の下端部側の折曲織込回路15、18の先端側には照明装置などの電気装置23、24が接続されていて、これらの電気装置21〜24には前記電源装置20から個別に通電できるように構成されている。
【0025】
以上の如く構成された織物構造体Aにあっては、織物本体3に直線状織込回路6あるいは折曲織込回路10、15、18を形成しているので、電源20から各電気装置21、22、23、24に個別に通電し、これらを個別に駆動することができる。電気装置21〜24が照明装置であれば、必要に応じ電源装置20からの通電により個々に作動させて照明することができる。また、電気装置21〜24は照明装置に限らず、モータやセンサなどの電気部品、あるいはICやLSIなどの電気部品、または、他の配線や配線基板など、通電操作が必要なあらゆる電気装置の配線接続用に適用することができる。
【0026】
本実施形態に係る織物構造体Aにおける直線状織込回路6あるいは折曲織込回路10、15、18にあっては、導電性繊維を織り込む織込位置と方向を適宜変更することが容易に実現できるので、これらの延在方向あるいは折曲方向を適宜調節することで織物本体3の自由な方向に回路を延在させた織込回路として構成することができる。従って、従来のこの種の導電性織物では達成不可能であった自由な方向への織込回路の形成が可能となる効果がある。
【0027】
次に、前記直線状織込回路6あるいは折曲織込回路10、15、18を構成するテープ状あるいは偏平状の導電性繊維は、銅やアルミニウムなどの良電導性の金属あるいは貴金属、またはそれらの合金からなる金属箔をテープ状とした導体を用いても良いし、該導体の周囲を絶縁性の被覆層にて適宜被覆してなる構造の被覆テープ線材を用いても良い。
また、これらの電導性繊維は本実施形態においてはテープ状や偏平状のものを用いたが、導電性繊維の形状はこれらの形状に限るものではなく、丸線や角線、他の異形線など、いずれの断面形状のものであっても良い。なお、断面丸形の導電性繊維を選択した場合、繊維の厚さ方向に重ねることは困難であるので、その場合は、平面視的に経糸1の横に導電性繊維を隣接して並べた状態の編込形状とすることにより、本願発明を実現することができる。
なお、経糸1の横に導電性繊維を並べて編み込む場合の構造例については後に図4を用いて説明する。
【0028】
次に、図1に示す構造の織物構造体Aを製造可能な装置と製造方法の一例について以下に説明する。
図2は図1に示す構造の織物構造体Aを製造可能な装置の第1実施形態を示すもので、この第1実施形態の製造装置Cは、一般に知られている織機を本発明用に改造することで構成されている。
この第1実施形態の製造装置Cは、対向して水平に離間配置されたロッド状のフロントビーム30およびバックビーム31と、フロントビーム30の下に設置された巻取ローラー型のクロスビーム32と、バックビーム31の下に配置された供給ローラー型のワープビーム33と、前記フロントビーム30およびバックビーム31の中間位置に上下方向に移動自在に設置された第1の綜絖35および第2の綜絖36と、これら綜絖35、36とフロントビーム30との間に綜絖35、36とフロントビーム30との間を水平方向に移動自在に配置された筬37と、この筬37と前記フロントビーム30との間を前記フロントビーム30と平行方向に移動自在に設けられる第1のシャトル39と第2のシャトル40とを主体として構成されている。
【0029】
なお、図2においては、フロントビーム30およびバックビーム31とクロスビーム32およびワープビーム33の支持機構などは略されているが、フロントビーム30およびバックビーム31は門型のフレームなどにより固定支持され、クロスビーム32およびワープビーム33はそれぞれ図示略の門型のフレームや軸受けなどの回転支持機構によりそれらの周周りに回転自在に支持されている。また、綜絖35、36においても図示略のフレームにより上下に平行移動自在に支持されるとともに、筬37についても水平方向に平行移動できるように図示略のフレームに支持されている。
【0030】
前記綜絖35、36は、この実施形態では、上枠41と下枠42の間に複数本の針金状のヘルド部材43を個々に離間し平行に架設して構成され、各ヘルド部材43の中央部に針金を輪状に形成したヘルド孔部44が形成されている。これらのヘルド孔部44には後述するように経糸1を通過できるように構成されている。綜絖35と綜絖36は、本第1実施形態ではそれらに形成された各ヘルド部材43を互い違いに横並びに配置するような位置関係に配置され、後述する如くフロントビーム30およびバックビーム31に複数並行に掛け渡される経糸1の1本1本を各綜絖35、36のヘルド穴44に通すことができるように配置されている。
【0031】
これらの綜絖35、36は図示略の上下駆動機構により個々に上下に移動自在に設けられており、しかも綜絖35と綜絖36の上下移動が交互に繰り返しなされるように構成されている。例えば、図2に示す如く綜絖35が下側に、綜絖36が上側に移動することにより、綜絖35がヘルド部材43により区分け支持している1本おきの経糸1の群を下側に引っ張り、綜絖36がヘルド部材43により区分け支持している他の1本おきの経糸1の群を上側に引っ張ることにより、2つに区分けしたうちの1群の経糸1と他の1群の経糸1との間に隙間を大きく形成することができる。この隙間の形成により後述する如くシャトル39、40の経糸1…に対する交差方向への移動が可能となる。また、逆に、綜絖35が上側に綜絖36が下側に移動すると、先の2つに区分けした1群の経糸1と他の1群の経糸1との上下関係が逆転するので、シャトル39、40が1群の経糸間の隙間を介して行う経糸1の交差方向への通過が可能となる。
【0032】
また、前記筬37は上枠45と下枠46との間に並行に複数本の筬羽47を平行に備えて構成され、これらの筬羽47の間にフロントビーム30およびバックビーム31間に複数並行に掛け渡されている経糸1を挿通できるように配置され、この状態のまま筬羽47をフロントビーム30側に平行移動できるように構成されている。なお、図2においては綜絖35、36と筬37の個々の支持移動機構についても詳細を略してそれらの動作方向のみを矢印にて示している。
【0033】
前記第1のシャトル39には本発明に係る先の織物構造体Aのうち、緯糸2となるべき非導電性繊維が巻き付けられていて、第1のシャトル39はフロントビーム30の長さ方向に沿ってフロントビーム30と平行に移動自在に設けられており、必要に応じて第1のシャトル39から非導電性繊維を必要な長さ自由に繰り出すことができるように構成されている。
次に、前記第2のシャトル40はフロントビーム30の長さ方向に沿って該フロントビーム30と平行に移動自在に設けられているが、本実施形態において第2のシャトル40は、フロントビーム30の長さ方向に沿って平行移動している間の任意の位置から、即ち、経糸1…に交差する方向に移動している間の任意の位置から、バックビーム31側に方向変換して移動自在とされている。そして、この移動課程において第2のシャトル40は複数の筬羽47の間隙を通過自在とされるとともに、綜絖35、36の複数のヘルド部材43の間隙を通過自在とされていて、第2のシャトル40がバックビーム31側まで非導電性繊維を繰り出しながら移動することにより、バックビーム31側に導電性繊維50を備えた第2のシャトル40を到達できるように構成されている。
【0034】
次に、図2に示す構成の製造装置Cを用いて図1に示す構成の織物構造体Aを製造する方法の一例について説明する。
織物構造体Aを製造するには、製造装置Cのフロントビーム30とバックビーム31の間に並行にテープ状の非導電性繊維からなる経糸1を必要本数張設しておく。図2に示す実施形態では、概略のみを示すが、複数張設した経糸1は各綜絖35、36の各ヘルド孔部44を通過するようにしてフロントビーム30とバックビーム31との間に張設しておく。また、第1のシャトル39にはテープ状の非導電性繊維からなる緯糸2を必要長さ巻き付けておき、第2のシャトル40にはテープ状の導電性繊維50を必要長さ巻き付けておく。なお、図面には略されているが、織物構造体Aに織り込む導電性繊維の本数に合わせて導電性繊維を備えた第3、第4…のシャトルを別途用意しておくものとする。
【0035】
前述の状態から、綜絖35、36を交互に上下移動させると、図2に示す如く1本おきに経糸1を2つの群に区分けして上下に移動できるので、群分けした1本1本の経糸1間に大きな隙間が生じる。この隙間を利用し、第1のシャトル39に巻かれている緯糸2をフロントビーム30の一端側から反対端側に向かって第1のシャトル39とともに移動させると、第1のシャトル39の移動に伴い、緯糸2を経糸1…の1本おきに交差する方向に織り込むことができる。
第1のシャトル39が経糸1の全ての列を通過してフロントビーム30の反対端側に移動すると、一列全ての経糸1に対して1本おきに緯糸2を織り込むことができるので、この後、筬37をフロントビーム30側に移動させて緯糸2をフロントビーム30側に押し込む操作を行うことで緯糸2を打ち込むことができる。そして、第1のシャトル39が経糸1…の全ての列を通過して織り込んだ緯糸2を上述の如く打ち込み後、綜絖35、36の上下位置を逆転させると2つに区分けした経糸1の群が上下入れ替わるので、第1のシャトル39を再度フロントビーム30に沿って逆方向移動させて先の位置に戻す操作を行い、張設した経糸1…の1本おきに緯糸2を織り込むことができる。
以上の操作を繰り返し行うことで、織り込み配置した行毎の緯糸2を筬37の筬羽47により1行1行打ち込んで密着させることができ、経糸1…と緯糸2…からなる織物本体3を織り込んでゆくことができる。
【0036】
上述の如く経糸1と緯糸2により織物本体3を織り込んでゆくのと同時に、第1のシャトル39からの非導電性繊維の供給とともに、以下に説明するように第2のシャトル40から導電性繊維を供給しながら織り込んでゆくことで織物本体3の内部の自由な方向に延在する折曲織込回路を形成することができる。
【0037】
本実施形態において図1に示す構造の織物構造物Aを図2に示す装置により製造するに際し、第2行目の緯糸2の位置に直線状織込回路6を織り込むには、第2行目の緯糸2としての非導電性繊維を第1のシャトル39の通過により織り込む際、第2のシャトル40からの非導電性繊維も同時に供給し、綜絖35、36により2つの群に区分けして隙間を広げた経糸1…に対して同時に織り込むこととする。非導電性繊維と導電性繊維がいずれもテープ状あるいは偏平状のものである場合は、両者を重ねて第1、第2のシャトル39、40を通過させることで、非導電性繊維の緯糸2の上に導電性繊維を重ねた状態の直線状織込回路6を得ることができる。
なお、図1の例では第2行目に直線状織込回路6を織込形成しているので、第2行目の緯糸2の上に非導電性繊維を織込形成したが、非導電性繊維を織り込む位置を調整することで、図1の構成であれば、第1行目〜第32行目のいずれの位置であっても極めて容易に直線状織込回路6を形成することができる。
【0038】
次に、図1に示す折曲織込回路10を形成するには、第4行目の緯糸2としての非導電性繊維を第1のシャトル39の通過により織り込む際、第1のシャトル39は経糸1…に対し交差する方向に経糸1…を全て通過するようにフロントビーム30に沿って平行移動させるが、第2のシャトル40は第26列目の経糸1まで通過させて導電性繊維を織り込んだ後、綜絖35、36と筬37の作動を停止し、第2のシャトル40の方向を90゜変更してフロントビーム30から離れる方向に移動させ、筬37の筬羽47、47の間を通過させ、綜絖35、36のヘルド部材44、44の間を通過させて導電性繊維をバックビーム31の第26列目の経糸1が掛け渡された部分に仮固定する。この操作により、第26列目の経糸1の上に導電性繊維が重なった状態となるので、この状態から、再度、綜絖35、36を上下移動し、第1のシャトル39をフロントビーム30の平行方向に往復移動させて第5行目、第6行目と順次緯糸2を織込形成してゆく。
【0039】
緯糸2としての非導電性繊維の織込を続行し、第22行目の緯糸2の織込を行った後、先程バックビーム31に仮固定していた非導電性繊維を外し、第2のシャトル40を綜絖35、36を通過させ、筬37を通過させて第22行目の緯糸2の織込をした部分まで戻し、ここで再度、非導電性繊維の方向を90゜変更するとともに、綜絖35、36を作動させて2つの群に分けている経糸1…どうしの隙間に第2のシャトル40を通過させることにより、経糸1の最後の列、即ち、第40列目まで達する折曲織込回路10を形成することができる。
【0040】
なお、ここまでの説明では、折曲織込回路10のみの織込工程について説明したが、図1に示す織物構造体Aでは、折曲織込回路10に加え、折曲織込回路15、18も一緒に織物本体3に織り込む必要がある。その場合は、個々に導電性繊維を備えた第3のシャトルと第4のシャトルを別途用意し、先の第1のシャトル39の動作と第2のシャトル40の動作に加え、第3のシャトルの導電性繊維を先の折曲織込回路10の織込と同様に必要な行と列に織り込み、第4のシャトルの導電性繊維を先の折曲織込回路10の織込と同様に必要な行と列に織り込みすれば良い。
以上の操作により第1から第4のシャトルを操作することで、図1に示す直線状織込回路6と折曲織込回路10、15、18を有する織物構造体Aを製造することができる。
【0041】
以上説明の如く複数のシャトルを使い分けて緯糸2または経糸1の方向に沿って個々に編み込むとともに、任意の位置において非導電性繊維を備えたシャトルを90゜方向変更して編み込む操作、更に90゜方向変更し元の方向に戻して編み込む操作を組み合わせて必要回数行うことにより、自由な方向に任意に折れ曲がって延在する折曲織込回路を織物本体の内部に組み込んだ織物構造体を得ることができる。
【0042】
図3は、図1に示す織物構造体Aに対し、導電性繊維を編み込む幅を経糸1側と緯糸3側において異なる幅にして編み込み形成した構造の織物構造体Bの一例を示す平面図である。
この例の織物構造体Bにあっては、経糸1と緯糸3とからなる織物本体3の第6行目の緯糸2に重なるように導電性繊維60が第1列目〜第20列目の経糸1の位置まで織り込まれ、この位置を折曲部60aとして180゜方向を変更して折り返した導電性繊維61が第7行目の緯糸2の上に沿って第1列目まで戻され、再度、第1列目の経糸1の手前位置で180゜方向を変更して折り返した導電性繊維62が第1列目〜第20列目の経糸1の位置まで第8行目の緯糸2の上に沿って織り込まれた結果、合計3行の導電性繊維60、61、62からなる副折曲回路63が形成されている。
【0043】
また、図3の導電性繊維62の右端が90゜方向変更されて第20列目の経糸1に沿って第26行目の緯糸2の位置まで導電性繊維64として延出された後、折曲部64aを介し90゜方向変更して第26行目の緯糸2の上に沿って織物本体3の右端部側の1つ手前の経糸1において折曲部65aを備える導電性繊維65として延出形成され、更に折曲部66a、導電性繊維67を有する合計3行の導電性繊維65、66、67からなる副織込回路68が形成されている。
【0044】
以上説明の図3に示す副織込回路63と導電性繊維64と副織込回路68を備えた折れ線型の折曲織込回路69が織り込まれた織物構造体Bを提供することができる。
図3に示す構造の如く、導電性繊維を緯糸2に沿って同一長さで3往復するように配置して副織込回路として構成し、更に、経糸1に沿って1本の導電性繊維を設けたように、本数の異なる導電性繊維で必要な幅に織り込んでなる織込回路を構成しても良い。
図3にて説明した如く、織込回路を構成する場合に使用する導電性繊維の幅は往復回数に応じて適宜の幅に任意に調整可能である。
【0045】
図4は本発明に係る第3実施形態の織物構造体Cを示す平面図である。
この第3実施形態の編物構造体Cの構造は、先の第1の実施形態の構造で用いたテープ状または偏平状の経糸1と緯糸2に代え、丸線あるいは楕円線などのようにテープ状または偏平状ではない断面形状の繊維を用いた実施形態の構造であり、直線状織込回路6、折曲織込回路10、15、18が編み込み形成されている構造については同じである。また、各回路6、10、15、18が織り込まれている位置についても同等であるが、経糸1あるいは緯糸2に対して回路を構成する各繊維が横に沿うように編み込まれている点のみが異なる。
本実施形態の構造においては、経糸1と緯糸2がテープ状または偏平状などの形状ではないため、図2に示す装置により各繊維を編み込む場合に経糸1または緯糸2に対して織り込まれた繊維が自然に横ずれするので、編み込んだ位置の経糸1あるいは緯糸2の横に沿うように並んで各繊維が位置することで各回路6、10、15、18が編み込まれている。
図4の如き構造においても各電気装置21、22、23、24との導通について支障なく実現することができる。また、各回路6、10、15、18を編み込む位置についても第1実施形態の構造と同様、何ら制限するものではなく、任意の位置に編み込むことができるのは勿論である。
更に、図4に示す第3実施形態では、経糸1と緯糸2の間に回路を構成する繊維が存在するように編み込まれているが、本発明はそのような構造に限るものではなく、経糸1または緯糸2の途中に回路を構成する繊維を繋いで編み込み、経糸1や緯糸2そのものを部分的に導電性繊維から構成することにより、回路構成することも可能であり、本発明はそのような構造も包含するものとする。
【符号の説明】
【0046】
A、B…織物構造体、1…経糸、2…緯糸、3…織物本体、6…直線状織込回路、7、8、9、11、12、13、16、17…副織込回路、10、15、18…折曲織込回路、7a、8a、11a、12a、13a、16a…折曲部、C…製造装置、30…フロントビーム、31…バックビーム、32…クロスビーム、33…ワークビーム、35、36…綜絖、37…筬、39…第1のシャトル、40…第2のシャトル、43…ヘルド部材、44…ヘルド孔、47…筬羽、50…導電性繊維、60、61、62、64、65、66、67…導電性繊維。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経糸と緯糸を縦方向あるいは横方向に編み込んでなる織物本体と、この織物本体に経糸あるいは緯糸に沿って縦方向あるいは横方向に途中に折曲部を介し織り込まれて前記織物本体の一側から他側まで連続編み込み形成された導電性繊維からなる折曲編込回路とを具備してなることを特徴とする導電性織物構造体。
【請求項2】
前記織物本体に、前記折曲部を介し織り込まれて前記織物本体の一側から他側まで連続編み込み形成された導電性繊維からなる折曲編込回路と、前記織物本体に前記織物本体の一側から他側まで直線状に連続編み込み形成された導電性繊維からなる直線状編込回路とが混在されてなることを特徴とする請求項1に記載の導電性織物構造体。
【請求項3】
前記導電性織物構造体の端部に前記折曲編込回路と前記直線状編込回路の少なくとも一方に接続された電源装置が設けられてなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の導電性織物構造体。
【請求項4】
前記経糸と緯糸の少なくとも一部を代用するように前記導電性繊維が編み込まれてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性織物構造体。
【請求項5】
前記経糸と緯糸の少なくとも一部に前記導電性繊維が沿わされて前記織物本体に編み込まれてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性織物構造体。
【請求項6】
フロントビームとバックビームの間に複数の非導電性繊維の経糸を相互に並行に張設し、これらの経糸に交差する方向に非導電性繊維の緯糸を備えたシャトルを往復移動させながら前記経糸に対して前記緯糸を編み込み操作するとともに、導電性繊維を備えた他のシャトルを前記経糸と交差する方向に編み込む操作と、編み込み途中において導電性繊維を経糸方向に方向変更して経糸方向に位置させた状態で前記非導電性繊維の緯糸を用いて前記経糸と前記方向変更した導電性繊維を含めて編み込む操作を組み合わせて導電性繊維を非導電性繊維の経糸または緯糸に対して編み込むことを特徴とする導電性織物構造体の製造方法。
【請求項7】
前記バックビームとフロントビームの間に並行に張設された複数本の経糸を2つの群に区分けして牽引する綜絖を用い、前記バックビームとフロントビームの間に張設された複数の経糸を2つの群に区分けして相互の間隔を広げた後、この間隔に前記シャトルを通過させて導電性繊維を編み込むことを特徴とする請求項6に記載の導電性織物構造体の製造方法。
【請求項8】
前記フロントビームとバックビームとの間に前記並行に調節された複数本の経糸間に挿入する筬羽を備えた筬を前記フロントビームに接近自在に設け、前記シャトルにより複数の経糸に編み込んだ非導電性繊維及び導電性繊維を前記筬羽によりフロントビーム側に押し込んで前記非導電性繊維と導電性繊維を密着させることを特徴とする請求項6または7に記載の導電性織物構造体の製造方法。
【請求項9】
経糸を並行に複数掛け渡すためのフロントビームおよびバックビームと、前記フロントビームおよびバックビームの間に並行に複数掛け渡された経糸を2つの群に区分けしてそれらの群どうしを離間する方向に移動させてそれらの間に隙間を形成する綜絖と、前記2つの群に区分けされた経糸の間に形成された隙間を通過して前記経糸に対して緯糸を編み込む複数のシャトルと、前記綜絖と前記フロントビームとの間に前記フロントビームに対し移動自在に設けられ、前記シャトルが編み込んだ緯糸を前記フロントビーム側に押し込む筬が備えられ、
前記複数のシャトルの少なくとも1つに導電性繊維が装着自在とされ、他のシャトルの少なくとも1つに非導電性繊維が装着自在とされ、導電性繊維を装着したシャトルと非導電性繊維を装着したシャトルが前記経糸に対して交差する方向に移動自在に設けられ、前記フロントビームおよびバックビームに複数並行に掛け渡された経糸とこれらの経糸に対する前記シャトルの移動に応じてこれらの経糸に前記導電性繊維と非導電性繊維を編み込みして導電性織物構造体を製造できるように構成されたことを特徴とする導電性織物構造体の製造装置。
【請求項10】
前記導電性繊維を備えたシャトルが前記経糸間を移動途中で該経糸のいずれかに沿って経糸の長手方向に移動して導電性繊維を該経糸方向に方向変更自在に設けられ、該経糸方向に設置した導電性繊維に対して他のシャトルの非導電性繊維を緯糸として織り込むことができるように構成されてなることを特徴とする請求項9に記載の導電性織物構造体の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−229610(P2010−229610A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81267(P2009−81267)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】