説明

自家受粉及び他家受粉作物植物の品種群又は栽培品種の育種法

本発明は、作物の育種に関する。詳しくは、これは、自家受粉と他家受粉の作物の品種群又は栽培品種の育種に適している。品種群を作出するために、母本群と父本群とを交雑させる。母本群は次のように作出される。すなわち、異なる所望の特性を有する親植物の対を交雑することによってF1を作出し、そのあと、F1の2つを交配することによって分離集団を作出する。分離集団の植物個体又は初期分離世代の自殖後代が母本群を構成する。父本群は、ホモ接合型育種系統、品種、分離世代のヘテロ接合型植物、或いは母本群と同様の方法で作出された個々の植物からなる。品種群を育種する本発明の方法は、交雑段階、安定化のための自家交雑段階、特性決定段階、群分類段階、及び品種群の形成段階の5段階を含む。品種群は在来品種の均一性、安定性及び区別性の特徴をも有する。農業従事者は次の栽培のために種子を保存することもできるし、また、種苗会社は保存種子を基にして更なる開発を図ることも可能である。この品種群は良好な適応性、高収量、及び強い耐病虫害性を有する。この品種群の育種は、育種者の経験に頼らなくてもよく、農業従事者であってもこのような育種を行うことができる。さらに、作物品種群の育種のための11の例及びその実施を、その実証のために詳しく記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、作物植物の育種法に関する。詳しくは、本発明は自家受粉植物(例えは、イネ、ピーナッツ、コムギ、ダイズ、トマト等)と他家受粉植物(例えば、ナタネ、ワタ、トウガラシ、サイシン、ナス、カイラン等)の品種群又は栽培品種の育種に適したものである。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
自家受粉作物植物には、イネ、ピーナッツ、コムギ、ダイズ及びトマト等が含まれ、また、他家受粉作物植物には、ナタネ、ワタ、トウガラシ(チリ・ペパー)、サイシン、ナス及びカイラン 等が含まれる。上記の作物の中で、イネは世界人口の3分の1の人の主食であり、イネを含む穀物の生産は常に世界経済の重要な課題である。現在、生産において利用されているイネは従来品種と交雑組合わせ型の2つのタイプがあり、両者とも単一遺伝子型の種類に属している。従来品種は、適切な親系統の間の交雑後代を多世代選抜することによって育成された、安定した単一遺伝子型品種である。イネ育種の歴史において、イネの半矮性化は突破口の一つである。国際水稲研究所(IRRI)のG. S. Khushらは、1965年にIR8半矮性イネを育成し、また、中国の広東省農業科学院の水稲研究所(RRI, GAAS)のYaoxiang HuangらはGuang-Chang-Ai半矮性イネ品種を育成した。KhushとHuangはともに、世界のイネ育種の研究に対して、重要なかつ影響力の大きい貢献をした(Huang, International rice Congress,2002.9)。自家受粉作物植物の育種において、交雑イネは、雑種強勢を利用して最初に成功したケースである。中国交雑水稲研究センターのLongping Yuan氏は、交雑イネの育成における先駆者であり、“交雑イネの父”とも呼ばれている(Yuan et al, International rice Congress 2002.9)。イネ育種と生産において、中国は世界の先頭に立っている。多数の育成者の長期の努力によって、中国のイネ育成技術は飛躍的に発展し、交雑イネ及び従来イネを含む数千もの品種が育成されている。しかし、それらの品種の共通な特徴は、単一遺伝子型である、即ち、このことは、品種又は組合わせ型の全ての植物は同じ遺伝子型を共に持つことを意味している。
【0003】
コムギについては、1959年にNorman Borlougは、さび病を防除するために多系統品種を育成した。彼は先ず、さび病の病原菌の異なる11株に対してそれぞれ耐性である15の品種と、農業形質で優良な品種であるYaqui 50とを交雑させたのち、Yaqui 50を反復親として戻し交雑し、15の育種系統を含む均質遺伝子系統を育成し、さらに、それらの8系統を混合し、さび病に抵抗できる多系品種を形成した。Derong Gaoらは、ウドンコ病に耐性の種々の遺伝子を含むコムギ多系品種をも育成した(Gaoら, Anhui Agricultural Science, 2001, 29(5): 603-604)。しかし、均質遺伝子系統の中で草丈の変化が大きいために、このコムギ品種は生産上の育成に適さなかった。多産性と安定性において、多系品種の優越が明らかであるが、多系品種の作出は、複数の系統の混合方法と混合技術に係わっているとZhaolin Fu氏は考えている。彼はこのように農業的特性における環境的組み合わせ能力や強い均一性の概念を提議した、また、彼は、環境に対する、種々の遺伝子型の異なる反応の可能性も述べている。しかし、Fuの研究は、主に多系品種の中の育成された2〜3系統の混合物に集中している。Liren Wu らは、黄さび病を防除するために、コムギの多系品種を育成した。繰り返し戻し交雑することによって種々の耐性遺伝子を同一品種に取り入れて、類似した農業形質を有するが異なる耐性遺伝子を持つ幾つかの均質遺伝子系統を育成し、そして、黄さび病に対する耐性レベルに従って混植様式で成長させた(Agricultural Sciences in China, 2000, 33(5): 1-7)。しかし、これらの系統は、育種の“複雑性と多目的性”を克服することの困難性のため、生産に使用されていない。それでも沢山の研究者は混合品種の栽培法に依然として興味を持っている。Yongmei Guoらは、いもち病抵抗性の交雑イネの稔性回復系統を獲るために、多系品種を育成する計画を提出していた(Journal of Yunnan Agricultural University, 2001, 4: 267-270)。この計画において、最初の段階は、いもち病の病原菌の様々な株に抵抗性である異なる品種と優良品種(
ここでは、稔性回復系統)とを交雑することであり、次の段階は、ハイブリッドを稔性回復系統(反復親系統)と繰り返し戻し交雑することによって、さまざまないもち病抵抗性を有する均質遺伝子系統を作出することであり、最後の段階は、幾つもの均質遺伝子系統を手動で混合し、多系品種を形成することである。このような混合集団は宿主群として知られており、この宿主群は、いもち病に対して変化した耐性遺伝子を除いて、同じ遺伝子背景を持つ。従って、多系品種は耐病性において優勢であることは確実であり、また現在のほとんどの多系品種が病虫害対策において利用されている。しかし、現在、このような多系品種の育成において、ただ簡単な交雑法と戻し交雑法と育種選択のみが用いられており、もし多数の多系品種を育成する場合には、戻し交雑の多大な作業が必要である。現在、多系品種の均一性に依然として大きな問題があるが、その理由は、単一遺伝子型品種の育種に適した“優良品種からさらに優良品種を選ぶ”という戦略を採用すると、各育種系統に独自の性質を生じさせるからである。よって、上記の多系品種の育種は、ある特定の主要な実用形質だけを中心とし、その遺伝子の多座位遺伝子型品種を得る育種である。“優良品種からさらに優良品種を選ぶ”ことの限界のために、大量の組換え体の作製と選択が上記の育種法に含まれなかった。“複雑性と多目的性”の克服の難しさは、これらの育種法の商業的利用を妨げてきた。研究者らは混合品種に興味を示していたが、混合する前に、類似した実用形質を有する多数の品種を探し求めねばならない。さらに、各品種の高度の特異性によって品種の均一性を達成できない。そして、各品種の知的財産権に対する侵害もまた、懸念のひとつである。今日まで、商業生産に適したイネやコムギの多遺伝子型品種は、実際未だ育成されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、表現型を均一性、安定性及び特異性で特徴づける多遺伝子型品種群を育成するには、新しい戦略が必要である。本発明は、上記の適正な耐病性に対する多系品種の育種戦略法と違い、作物改良の多くの領域に利用できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の詳細な説明
本発明は、表現型において均一性、安定性及び特異性を特徴とする作物植物の品種群又は栽培品種の育種法を提供し、本発明の方法は、品質、収量及び病虫害耐性における改良を提供する。
【0006】
母本群と父本群とを交雑させ、所与の品種群の初代集団を作出する。母本群は以下のように作出する。所定の異なる特性を有する親植物の対を交雑することによってF1を作出したのち、F1の対を1回以上交雑して分離集団を作出する。この分離集団、或はそれらの初期分離世代の自家交雑後代、内の個々の植物は、母本群を構成するだろう。父本群は、ホモ接合型育種系統、品種、F1、又は分離世代のヘテロ接合型植物、或は母本群と同じ作出方法で作出された個々の植物であることができる。母本群は2〜4の原母本を有しても良い。親系統は、ホモ接合型育種系統又は品種、或いは単交雑、3系交雑又は複交雑の後代でありうる分離集団内の植物であることができる。育種目標に応じて、それら自身の単交雑、3系交雑又は複交雑の親系統が、単交雑、3系交雑又は複交雑の分離世代内の植物であることができる。分離世代の個々の植物は、1〜10世代にわたって自家交雑させることになるだろう。父本群と交雑する植物の個体数は、4〜100,000の範囲である、好ましい範囲は、6〜10,000の間であり、最も好ましい範囲は10〜5,000の間である。上記の父本群の分離世代の植物は、単交雑、3系交雑又は複交雑の後代である。
【0007】
遺伝的多様性の育種:交雑するための親系統数は、6つ以上である。殆どすべての交雑後代を残し、そして、植物の遺伝的な多様性が最大限に利用されるように、後代を安定化のために自家交雑して数千のホモ接合型の遺伝子型を産生する。所望の品種の特性及び選択基準及に従って、安定した植物個体を群に分ける。最後に、これらの群の個々の植物は多様な品種群となる。遺伝的多様性は大量の品種と、育種に積極的に利用できる交雑の組み換えに由来するため、このような育種の戦略は遺伝的多様性の育種法と呼ばれる。この育種戦略はまた、自家受粉及び他家受粉作物植物の育種にも使用することができるため、将来、広く利用できる。
【0008】
群体の改良:上記のホモ接合型の多遺伝子型集団は初代群体と呼ばれる。この新育種戦略は、主に多遺伝子型の群体において何度も改良することを含む。選抜方法も、従来の育種法の“優良品種からさらに優良品種を選ぶ”の方法と異なって、育種目標に調和した集団を選択することに集中し、最良品種を選択することではなく最不良品種を捨てることであり、従って、群体の品質、収量、及び病虫害に対する耐性を改良することができる。改良法の対象は主に群体であるため、それはまた群体の育種法として知られている。
【0009】
群又は品種群 (多遺伝子型品種群):この育種戦略により、従来の育種法から得られる単一遺伝子型植物の群ではない、複数の異なる遺伝子型を持つ植物群体が得られるため、多遺伝子型品種群の育種法と呼ばれる。しかし、この品種群は、類似した表現型を有する多遺伝子型品種からなる。ここでは明確さと簡略化のため、多遺伝子型の品種群のより一般的かつ短い用語である、品種群又は品種グループを採用する。
【0010】
遺伝的多様性の育種の原理は、作物植物の農業形質(又は、実用形質)の多くが量的な形質(すなわち、多数の敏感な作用遺伝子によって量的に調節される形質)であるという事実に基づいている。言い換えれば、これらの敏感作用遺伝子は、その遺伝子間で相互作用し、類似した作用を量的な形質に与える。近年の分子生物学の研究から、多くの農業形質に対する量的形質遺伝子座(QTL)が同定されており、さらにこの原理が確認された。この原理に基づいて、多遺伝子によって調節される形質は、一連の同一若しくは類似の表現型を示すが、本質的に複数の遺伝子によって調節されている。遺伝的多様性の育種の本質は、このような原理を基づいており、このとき複数遺伝子によって調節されるホモ接合型の表現型を代替的に利用する。従来の育種及び交雑育種において、育種の専門家が、手間と時間が掛かる技術を使用して均質及び単一遺伝子型の品種をめざして育成するように努める。それに対して、本発明の新規の育種法においては、異なる戦略が採用される。すなわち、同一若しくは類似の表現型を有するそれらの個々の植物を選択し、異なる遺伝子型を有する雑種(又は、組換え体)をできるだけ多く残す。従って、類似した表現型の間での遺伝子型の相違に関する心配は必要でない。本発明の新育種戦略は、イネのいもち病を防除するための多系品種の育種戦略とは違う。多系品種の交雑のための親系統の数が少なく、またそれらの親系統について均質の系統が選択され、その均質の系統が交互に田圃で栽培された。それらの従来の育種の1つの目的はイネのいもち病を防除することだけであり、交雑技術、選択技術、遺伝子多様性の保持、個々の植物の分類、及び品種群の改良などの育種における発明性は完成していなかった。
【0011】
本発明の詳細なスキームを以下に説明する。
【0012】
1.交雑段階
遺伝的多様性の交雑育種において使用される親系統は、育種目標に合ういくつかの特性を有するか、或いはいくつかの特定の形質を提供するものであるべきである。適応性を増加するため、親系統は外国品種又は国内品種にすることができる。また、親系統の特徴が全体的に相補されればよく、両親系統が互いに相補しあう必要がない。交雑するために数十の親系統を使用することができる。この段階において、最も重要なことは、最小の交雑数によって可能な限り多く雑種を作製することである。
【0013】
母本群は、均質の育種系統、品種、或は原母本の単交雑、3系交雑又は複交雑の分離世代の植物であることができる。父本群も、均質の育種系統、品種、或は原父本の単交雑、3系交雑又は複交雑の分離世代の植物であることができる。
【0014】
状況に応じて、特定の品種は、品種群への影響を増すため、母本群又は父本群の親系統として1回以上交雑のために使用することができる。例えば、母本群は(A×B)又は(A×B)×(A×C)の後代であることができる、父本群は(E×F)×(F×H)の後代であることができる、などである。母本群の親系統の交雑の後に採取した種子量が不十分な場合、異なる作物の繁殖能力に応じて1〜10世代にわたり自家交雑をすることができる。言い換えれば、母本群は交雑の分離世代の植物であることもできる。父本群と交雑するための分離世代の植物個体数は、4〜100,000の間であり、好ましくは6〜10,000の間であり、より好ましくは10〜5,000の間の範囲である。分離は主に不均質の植物の作出に集中しているので、母本群について十分な雑種を得ることができるならよい。
【0015】
上記のように、母本群と父本群が作出される時に、それらの親系統が非分離なものでありかつ適度な種子量だけが必要なので、交雑するための作業は大変でない。母本群又は父本群の間の交雑はもっと重要である。母本群又は父本群のいずれの植物個体の遺伝子型も異なるため、適切な雑種を得るのに交雑作業が十分でなければならない。後の分離世代においても、追加の交雑をすることもできる。母本群と父本群を作出する時に、3つ以上の親系統の間の交雑による分離世代を採用することができるが、交雑サイクルを増加し、育種期間を延長することになる。従って、母本群と父本群との間の一代交雑だけによって全ての交雑を完了して、初代品種群を得ることが好ましい。
【0016】
2.安定化のための自家交雑段階:
交雑を完了して、初代品種群を得た後、品種群の安定性を得るため、自家交雑段階を始める。作物の繁殖能力と育種目標に基づいて各世代において残される植物個体数を決定する。表現型が安定するまで各植物個体系統を別々に栽培し自家繁殖させる。初代品種群用に適切な量の種子が得られる場合は、各植物個体系統について、少数の植物のみの種子を残し、それらの種子を、初期世代の代表種子として一緒に混合する。もし生成された初代群体が少量の種子しか産生しない場合は、各植物個体系統について初期分離世代で残すべき植物の数を十分大きくし、それによってできるだけ多くの遺伝子型を維持するべきである。自殖のための個々の植物系統の数は、最低5000以上であるものとする。次の世代において、安定性をほぼ達成するまで、各植物個体系統のために1つの植物を残す。植物固体系統の中の変化によって安定性が判断される。最も良くない植物の幾つかは、系統から排除されるだろうが、初代品種群のなかの元の植物個体系統の全体は、除くべきではない。この段階の自家受粉作物に対する作業は大変ではないが、その理由は、袋内自殖の必要がないからである。品種群育種自体の自殖方法と従来の育種の自殖方法とは同じであるが、自殖の目的は違う。従来の育種法では、この段階において、安定した単一遺伝子型植物が育成されるまで“優良品種からさらに優良品種”を選ぶのに対して、本発明の育種法では、この段階において、遺伝的多様性又は多遺伝子型をできるだけ多く残すため、最も良くない植物だけを排除することになる。さらに、さまざまな遺伝子型が十分に発現され、かつそれらの適応能と調和能の評価を行いうるように、異なる生態地区でのシャトル育種法を実施することができる。
【0017】
3.特性の測定段階:
この段階において、育種目標に応じて、安定した雑種のいくつかの主な特性を測定する。草丈(又は、草高)や生育期間等のいくつかの基本特性は含まれるべきである。この作業は重くかつ重複する作業であるが、責任のある一般作業員でも行うことができる。材料の余裕があれば、測定が困難であるが、品質及びその他の形質を測定するものとする。コストの節約のため、個々の植物を品種群に分類した後に主な特性を測定することもできる。後に続く栽培と他の測定を行うために、各植物から十分量の種子を収集することが必要である。
4.分類段階:
大規模生産に至るために、先ず品種は表現型の均一性の要件を満たさなければならない。前の段階の選択を経て、個々の植物の遺伝子型が安定するようになるが、表現型が未だ変動しうるかもしれない。遺伝子型が異なっても表現型が一致することがありうるので、この特徴を利用する。同じ表現型(ある程度の変化が許せる)を有する個々の植物系統を一つの群に併合する。これらの植物系統の遺伝子型の相違を厳格に考慮しないまでも、その相違を十分に利用する。例としてイネを挙げると、出穂期の差異が±1日に限定すれば、遺伝子型が異なっても出穂期の品種群は均一性を持つ。生育期間、草丈等の外観特性に対する選択要件を厳しくし、その他の形質に対しては幾分緩くしてもよい。全ての選抜過程をコンピューターで実施してもよい、また、多遺伝子型品種群が形成される。これらの品種群は、厳格な選択基準が採用される場合、形質について均一であるが、厳格選択基準がないと、形質に対してはある特定の差異が表れる。品種群は、従来の品種と比べて、表現型の均一性が少々劣っているが、品質、適応性、収量、病虫害耐性等については全面的な利点を示す。測定技術の発展によって測定のコストが減少すれば、もっと繊細な分類に達するためにより多くの特性を測定することができ、これによって、品種群の均一性がさらに改善されうる。しかし、均一性と遺伝的な多様性との間に対立があって、それらの間に最適なバランスを取る必要がある。
【0018】
測定が終わった後に、そのデータがコンピューターによって処理される。すなわち、選択と分類のために、品種群のいくつかの主な特性の平均値、最大値、最小値、最頻値等が計算される。盲目を避ける及び効率を高めるために、以下の原則を考慮するべきである。
【0019】
収量原則:収量の順番に従って全ての個々の植物を分類した後に、最低収量の20%の植物を排除する。収量が主な限定因子であると考えない場合、排除の%を例えば10%に低下してもよい。
【0020】
育種予測原則:イネを例として説明すると、予測される出穂期間が70日であり、また、予測される草丈が90cmであるとすれば、それに相応する値である69〜71日、89〜91cmを有する植物が選択される。
【0021】
現在の集団最頻値原則:実際、集団のデータの実際の特性に従って選抜方針を調整することができる。例えば、遺伝的な多様性がより多く集団内に含まれうるような、特性の最頻値を採用することができる。実際の最頻値が73日で期待値が70日である出穂期のイネの集団の場合、出穂期の期待値範囲(69-71日)内の遺伝子型をもつ植物はわずか50植物でありうる。それに対して、最頻値範囲(71-74日)内の遺伝子型をもつ植物は200以上もの植物でありうる。このような場合において、最頻値による選択は、他の特性の選択に対して、高い選択可能性と広い選択範囲を提供することができる。
【0022】
現在の集団の平均値原則:現在の集団の平均値に従って選抜することもできる。例えばイネについて、平均的な草丈が95cmであれば、草丈が94〜96cmの植物を選抜することができる。
【0023】
主要特性と副次的特性に対する要件相違の原則:例えば、草丈と生育期間が集団全体の均一性に対して大きく影響する、そして、草丈の支配遺伝子の数も比較的に少ないため、これらの特性の選抜基準の変動範囲を狭くすることができる。それに対して、収量、成熟時期等の特性が環境条件によって大きく影響されるので、これらの特性の選抜基準の変動範囲を広くすることができ、例えば±3%さえも許容しうる。
【0024】
種間交雑選抜原則:実際、種間交雑選抜をすることができる。例えば、集団が、最初に、出穂と草丈の平均値に基いて選択され、続いて、成熟度若しくは最高収量の最頻値に従って再び選択される、或いは主要なある生育期間の最頻値の前後に従って再び選択される、そして、予測される草丈を有する植物が選択される。本発明者らの経験によれば、多数の選択計画を精巧に設計することができる。
【0025】
副中心選択原則:平均値又は最頻値付近の値が中心であるとすれば、平均値と最頻値の許可される変動範囲内の限界は副中心とみなされる。平均値と最頻値のそれらの上限が上部副中心であり、平均値と最頻値のそれらの下限が下部副中心である。副中心付近の選択によって遺伝的多様性の範囲を拡大することができる。上部副中心及び下部副中心付近での種間交雑選択を利用することによって、沢山の選択計画の組み換えを可能にする。組み換えと変動範囲に重なりがなければ、集団から多数の品種群を育成することができるし、最大の遺伝的多様性を利用することができる。例えば、本発明者らがイネの12親系統の群を用いて遺伝的な多様性の育種を計画したことがある、1つの生態地区において20品種群が育成され、2つの生態地区において40品種群が育成された。
【0026】
特定目標選択原則:特定の育種目標に従って、特定の特性の点で上記中心と副中心以外において、特定の品種群を育成することができる。例えば、イネについて、本発明者らは、生育期間が最高130日である晩熟性イネの品種群を育成しており、この品種群は中国の湖北省の単作区での栽培の場合は、特に有益である。
【0027】
5.品種群の形成と評価段階
コンピューターでの選択が終了した後、同じ群に属する対応の個体植物の種子を同じ比率で混合し、均一の表現型を有する品種群を形成する。その後、これらの品種群を栽培し、収量、病害虫耐性、及び他の特性についての包括的な性能を評価する。前段階に発生した欠陥を修正するため、品種群に対して適切な改変と補正を行うことができる。欠陥は、例えば、測定ミスによるコンピューターでの不正確な評点付け、不安定による異常植物、及び明らかに品種群の収量、品質、病虫害耐性を損なう異常植物である。品種群の最適化と順応性の強化のため、異なる地域によるシャトル育種も実施できる。これらにより、この方法を繰り返して数世代にわたって品種群を改良することができる。ここで強調しておきたいのは、この段階の個体の選択は、従来育種法の“優良品種からさらに優良品種を選ぶ”という植物個体の選択法とは違って、収量、品質、病虫害耐性への恒久的改良のために、品種群の中の全体的な調和の達成がより重要である。
【0028】
本発明は、具体的に、イネ、ピーナッツ、コムギ、ワタ、ダイズ、トマト、トウガラシ(チリ・ペパー)、サイシン、ナス及びカイラン等の通常の自家受精作物や他家交雑受精作物の育種において、使用することができる。以下に、非限定的な実施例を挙げる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
発明の実施形態
【実施例】
【0030】
実施例1 イネ
1.交雑の設計
1)実験材料:
異なる起源の8親系統が本実験に採用された:Li-Xian-Zhan, Shan-Tai-Zhan 8, Wei-You 35, II-You 46, D-You 64, Wei-You 64, Shan-You 63 及び Shan-You 64。
【0031】
2)実験方法:
(1)母本群の原母本は2つである:Li-Xian-Zhan, Shan-Tai-Zhan 8。
【0032】
交雑:
Li-Xian-Zhan×Shan-Tai-Zhan 8:F1と称する作出された後代を自家交雑し、そして、その分離世代の10植物個体が母本群を形成した;
Wei-You 35×II-You 46, D-You 64×Wei-You 64, Shan-You 63×Shan-You 64: 交雑の1000植物個体が父本群を形成し、そして、それらを母本群と交雑させた。
【0033】
(2)母本群の原母本は3つである:Li-Xian-Zhan, Shan-Tai-Zhan 8, Wei-You 35
交雑:
(Li-Xian-Zhan×Shan-Tai-Zhan 8)×Wei-You 35: 作出された分離世代の500植物個体が母本群を形成した;
[(Wei-You 35×II-You 46)×(D-You 64×Wei-You 64)]: 作出された分離世代の100植物個体が父本群を形成した。
【0034】
2.イネの品種群、栽培品種の育種
異なる起源の12の親植物が本実験に使用された。Zhong-Er-Ruan-Zhan, Yue-Hua-Zhan, Yue-Tai-Zhan 及びEr-Ba-Zhanは中国の広東省農科院水稲所(RRI of GAAS)が育成した高品質穀粒品種である; Feng-Ai-ZhanとYue-Xiang-Zhan は広東省農科院水稲所が育成された高収量品種である; Qi-Gui-Zao とTe-Xian-Zhan 13 は中国の広東省仏山農科研究所が育成した高収量品種である; Duo-Kang 578, Duo-Kang 580 及びDuo-Kang 583は、フィリビンの国際水稲研究所から取り入れた耐病性品種である; そして、Lemontはアメリカの著名の高品質の穀粒品種である。本実験の対照品種Yue-Xiang-Zhan は、現在、国家水稲区域実験及び広東省水稲品種区域実験で使用されている対象品種である。
【0035】
1) 実験方法:
(1)積み重ね式交雑
第一回目の交雑:以下の6つのそれぞれの交雑を含む:
Feng-Ai-Zhan×Duo-Kang 578; Lemont×Zhong-Er-Ruan-Zhan;
Yue-Tai- Zhan×Duo-Kang 580; Yue-Hua-Zhan×Er-Ba-Zhan;
Te-Xian-Zhan 13×Yue-Xiang-Zhan; Qi-Gui-Zao×Duo-Kang 583
第二回目の交雑:前記交雑で得られたF1世代の父本と母本の間の単純な交雑を含む。第一回目と第二回目の交雑は、分離世代の中での交雑ではないので、作業は大変でなく、また、数十の交雑種子が得られればよい。交雑は以下のとおりである:
(Feng-Ai-Zhan×Duo-Kang 578)×(Lemont×Zhong-Er-Ruan-Zhan);
(Yue-Tai-Zhan×Duo-Kang 580)×(Yue-Hua-Zhan×Er-Ba-Zhan);
(Te-Xian-Zhan13×Yue-Xiang-Zhan)×(Qi-Gui-Zao×Duo-Kang 583);
第三回目の交雑:
[(Feng-Ai-Zhan×Duo-Kang 578) × (Lemont×Er-Ruan-Zhan)]---母本× {[(Yue-Tai-Zhan×Duo-Kang 580) × (Yue-Hua-Zhan×Er-Ba-Zhan)]---父本1+[(Te Xian Zhan 13×Yue Xiang Zhan) ×(Qi Gui Zao×Duo Kang 583)]---父本2}。
【0036】
注:上記の表記法において、前が母本であり、後が父本である。
【0037】
先ず、母本集団の各植物個体及び2組の父本集団の各個体に対してそれぞれに番号をつけた。対応する母本植物と同じ植物番号を有する2組の父本集団の植物の花粉を混合して、前記番号と同じ番号を有する母本集団の植物に受粉した。合計で214の雑種が生成した。
【0038】
(2)安定化のための子孫の自家交雑と実験の設計:
上記の214の雑種の子孫について、それぞれの植物個体につき、自家繁殖のため、少なくとも10の自家交雑植物を残しておく。安定性を得るために6世代にわたり自家交雑を行った。最終的に安定した後、全ての植物個体系統を、出穂時及び成熟時の両方において、出穂日数及び成熟日数、並びに草丈を調べた。それらの平均値と最頻値、及び育種の目的に従って、許される変動範囲内の値を有する植物個体がコンピューターによって選択され、同じ群に併合された。合計で20品種群が育成されて、JT1, JT2…JT20と命名された。広東省において、年間2回の栽培ができるので、現在全ての品種群は、13世代目になっている。
【0039】
2)実験の結果:
上記の214の雑種の子孫について、それぞれの植物個体につき、少なくとも10の自家交雑植物を残し、それらを、安定化のために6世代にわたり自家交雑を行った。最終的に安定になったとき、全ての植物個体系統を、出穂時及び成熟時の両方において、出穂日数及び成熟日数、並びに草丈を調べた。それらの平均値と最頻値、及び育種の目的に従って、許される変動範囲内の値を有する植物個体がコンピューターによって選択され、同じ集団に併合された。合計で20品種群が育成されて、JT1, JT2…JT20と命名された。広東省において、年間2回の栽培ができるので、現在全ての品種群は、13世代目になっている。
【0040】
イネ品種群の特徴づけ:品種群の個々の植物系統の出穂時と成熟時の、出穂日数と成熟日数、及び草丈に基づいて、個体の選抜と分類を行い、20イネ品種群を育成した。これら品種群の特性のいくつかを表1に示す。イネの従来育種の主な限定因子がアミロース含量である。中国において、現在の大部分の品種のアミロース含量が、中国国家優良米の二級標準(16〜23%)以外であり、アミロース含量が一級標準(17〜22%)に達する品種はもっと少数である。今まで、ただ5%前後の品種が、アミロース含量の中国国家優良米の一級標準又は二級標準に達している。育種の段階において、上記のアミロース含量の標準を満たすことができる育種系統はさらに少ない。本実験において、70%を占める14品種がアミロース含量の国家二級標準に達しており、25%を占める5品種はアミロース含量の国家一級標準に達している。従来育種法と比べて、本発明方法は、アミロース含量の国家優良米の標準範囲に達することができる高品質品種を得る確率を大きく増加した。実際のところは、このような遺伝的な多様性育種によって、イネ品種群の品質が配合米の品質に類似している。よって、イネの品質育種の効率が60%以上に増加し、農業者に利益を与えている。
【表1】

【0041】
実施例2 ピーナッツ
1.交雑の設計
1)実験材料:
異なる起源の6種親系統が本実験に採用された: Pu-Hua 6, Hua-Xuan 1, Sui-Hua 6, Shan-You 321, Yue-You 79 及び FU91-103
2)実験方法:
(1)母本群の原母本は2つである: Pu-Hua 6, Hua-Xuan 1
交雑:
Pu-Hua 6×Hua-Xuan 1: 作出されたF2分離世代の10植物個体が母本群を形成した;
Xu-Hua 6× Shan-You 321, Yue-You 79×FU91-103: 雑種の1000の交雑植物個体が父本群を形成し、そして、それらを母本群と交雑させた。
【0042】
(2)母本群の原母本は3つである: Shan-You 321, Yue-You 79 及び FU91-103
交雑:
(Shan-You 321×Yue-You 79)×FU91-103:分離世代の2000植物個体が母本群を形成した;
[(Hua-Xuan 1×Xu-Hua 6)×( Shan-You 321×Yue-You 79)]:分離世代の100植物個体が父本群を形成した;
2.ピーナッツの品種群、栽培品種の育種
1)実験の材料:
高品質及び総合形質によって選択された優良品種の強化育種:交雑の親系統は以下で示している品種である:Zhong-Yue-You 223, Yue-You 202-35, Yue-You 39 (この3つは広東省農科院で育成された), Ah7223 (アメリカから取り入れた) 及びIndian Hua-Pi (インドから取り入れた)の高品質品種5つ; Yue-You 116, Yue-You 7 (広東省農科院で育成された), Zhong-Hua 4 号(中国農科院油料所で育成された)及び 8506-A (河南省農科院で育成された)の高収量品種4つ;Yue-You 200 (青枯病の耐病性品種), Yue-You 79 (青枯病とさび病の耐病性品種) 及び Shan-You 523 (Shantou農科研究所で育成された)の耐病性品種3つ。上記の品種の2つの間で交雑を行った。
【0043】
2)実験方法:
第一回交雑:
Yue-You 223×Yue-You 79; 8506-A×Yue-You 200; Yue-You 202-35×Yue-You 116;Zhong-Hua 4×Indian Hua-Pi; Yue-You 39×Yue-You 7;Ah7223× Shan-You 523;
第二回交雑:
(Yue-You 223×Yue-You 79)F1×(8506-A×Yue-You 200)F1;50種子が収集された。
【0044】
(Yue-You 202-35×Yue-You 116)F1×(Zhong-Hua 4×Indian Hua-Pi)F1;50種子が収集された。
【0045】
(Yue-You 39×Yue-You 7)F1×(Ah7223× Shan-You 523)F1;50種子が収集された。
【0046】
第三回交雑:
[(Yue-You 223×Yue-You 79)F1×(8506-A×Yue-You 200)F1]F1×{[(Yue-You 202-35×Yue-You 116)F1×(Zhong-Hua 4×Indian Hua-Pi) F1]F1---父本1+[(Yue-You 39×Yue-You 7)F1×(Ah7223× Shan-You 523)F1]---父本2}
注:上記の表記法において、前は母本であり、後は父本である。
【0047】
第三回目の交雑において、父本1と父本2の植物個体の花粉が混合され、各母本親の植物個体に受粉させると、それぞれの植物から4〜5の交雑種子が得られた。50の母本親から合計220の雑種が得られた。広い遺伝子背景を持つ安定な集団が得られると、6代までの世代において、それぞれの雑種につき、一つの自殖植物を残した。そのあとで、安定性を得るため、各植物系統を別々に生育し、それらの生育期間と草丈も観察した。同一の成長期間と同一の草丈を有する植物系統を一つの群に併合し、品種群とした。品種群が安定性を有しない場合は、安定でかつ均一になるまで、慣例の選抜を行う。合計で、JTHS1、JTHS2 と JTHS3の3つの品種群を育成した。これらの成長期間と草丈を以下に示す。
【0048】
コード 生育期間(日) 草丈(cm)
JTHS1 130 58
JTHS2 120 45
JTHS3 110 51
3)実験の結果
品種群の個々の植物系統の開花期、成熟期、及び杭打ち時と成熟時の草丈に基づいて、個体の選抜と分類を行い、20のピーナッツ品種群を育成した。これらの特性のいくつかを表2に示す。現在、低収量はピーナッツ従来育種法の主な限定因子であり、大部分のピーナッツ品種の蛋白質含量は32%以下である。今まで育成された品種の内で、蛋白質含量が32%を有したのは、5%にすぎない。育種の段階において、32%の蛋白質含量に達することができる育種系統はさらに少ない。本実験において、全体の70%を占める14品種群は蛋白質含量が32%以上に達しており、34%以上に至った品種群も1つ(5%を占める)あった。従来育種法と比べて、本発明方法によって高品質品種を得る確率が大きく増加した。コンピューターでの選択によって、これらの品種群の均一性を基本的に満たすことできる。 これらの特異性と均一性が測定の正確さ及び許容される変動の程度に左右されるので、人為的に調節することができる。必要するのは、適切な選択と均一性を明らかに有しない植物の除去だけである。因みに、自家受粉植物であるため、繁殖した後でも安定性を定常的に保つことができる。
【表2】

【0049】
実施例3 コムギ
1.交雑の設計
1)実験材料
異なる起源の6種親系統が本実験に採用された:Shaan-Nong 757, Tai T15, JI-Shen-Cang 6001, Jin-Mai 54, Ke-Nong 9204, Yu-Mai 46
2)実験方法
(1)母本群の原母本は2つである:Shaan-Nong 757, Tai T15
交雑:
Shaan-Nong 757×Tai T15、F2分離世代の10植物個体が母本群を形成した;
JI-Shen-Cang 6001×Jin-Mai 54, Ke-Nong 9204×Yu-Mai 46、雑種の1000植物個体が父本群を形成し、そして、そのそれぞれと母本群とを交雑させた。
【0050】
(2) 3母本群の原母本は3つである:Jin-Mai 54, Ke-Nong 9204, Yu-Mai 46
交雑:
(Jin-Mai 54×Ke-Nong 9204)×Yu-Mai 46、分離世代の2000植物個体が母本群を形成した;
[(Tai T15×JI-Shen-Cang 6001)×(Jin-Mai 54×Ke-Nong 9204)]、分離世代の100植物個体が父本群を形成した。
【0051】
2.コムギの品種群、栽培品種の育種
1)実験の材料:
高品質及び総合形質によって選択された優良品種の強化育種:交雑の親系統は以下に示した12品種である: Liao-Chun 12 とShen-Mian 96 (遼寧省から), Ken-Jiu 10 とKen-Hong 14 (黒龍江省から), Chi-Mai 5 とMeng-Mai 30 (内モンゴルから), Yang-Mai 10 (江蘇省から), Gan-Chun 20 ( Gansu省から), Quan-Mai 3 (福建省から), Yan-Zhan 4110 (河南省から), Chuan-Yu 5404とYu-Mai 7 (重慶市から)。上記の品種の2つの間で交雑を行った。
【0052】
2)実験方法
第一回交雑:
Liao-Chun 12×Yang-Mai 10; Shen-Mian 96×Gan-Chun 20;
Ken-Jiu 10×Quan-Mai 3; Ken-Hong 14×Yan-Zhan 4110;
Chi-Mai 5×Chuan-Yu 5404; Meng-Mai 30×Yu-Mai 7.
第二回交雑:
(Liao-Chun 12×Yang-Mai 10) F1×(Shen-Mian 96×Gan-Chun 20) F1, 50 種子が収集された;
(Ken-Jiu 10×Quan-Mai 3) F1×( Ken-Hong 14×Yan-Zhan 4110) F1, 50 種子が収集された;
(Chi-Mai 5×Chuan-Yu 5404) F1×(Meng-Mai 30×Yu-Mai 7) F1, 50 種子が収集された。
【0053】
第三回交雑:
[(Liao-Chun 12×Yang-Mai 10) F1×(Shen-Mian 96×Gan-Chun 20) F1] F1×{[(Ken-Jiu 10×Quan-Mai 3) F1×( Ken-Hong 14×Yan-Zhan 4110) F1]---父本1+ [(Chi-Mai 5×Chuan-Yu 5404) F1×(Meng-Mai 30×Yu-Mai 7) F1] F1---父本2}
注:上記の表記法において、前は母本であり、後は父本である。
【0054】
第三回目の交雑において、父本1と父本2の花粉が混合され、各母本親の植物個体に受粉させると、それぞれの植物個体から4〜5の雑種種子が得られた。50の母本植物から合計220の雑種が得られた。広い遺伝子背景を持つ安定な品種群が得られると、6代までの各世代において、それぞれの雑種につき、一つの自家交雑植物を残した。そのあと、安定性を得るため、各植物系統を別々に生育し、それらの成長期間と草丈も調べた。同一の成長期間と同一の草丈を有する植物系統を一つの群に併合し、品種群とした。品種群が安定性を有しない場合は、安定かつ均一になるまで、慣例の選抜を行う。合計で、JTXM1、JTXM2とJTXM3の3つの品種群を育成した。これらの成長期間と草丈を以下に示す。
【0055】
コード 成長期間(日) 草丈(cm)
JTXM1 101 95
JTXM2 91 87
JTXM3 104 98
3)実験の結果
品種群の個々の植物系統の開花期、成熟期及び草丈に基づいて、植物個体の選抜と分類を行い、16のコムギ品種群を育成した。これら品種群の特性のいくつかを表3に示す。現在、粗蛋白質含量は慣用的なコムギ育種法の主な限定因子であり、また大部分のコムギ品種の粗蛋白質含量は17%以下である。今まで育成された品種のうち、粗蛋白質含量が17%に至ったのは、僅かである。育種の段階において、蛋白質含量が17%に達することができる育種系統はさらに少ない。本実験において、全体16品種群の50%である8品種群が蛋白質含量17%以上に達しており、22%以上に至った品種群も1つあった。従来の育種法と比べて、本発明方法によって高品質品種を得る確率が大きく増加した。コンピューターでの選択を通じて、これらの品種群の均一性を基本的に満たすことできる。これらの特異性と均一性が測定の正確さ及び許容される変動の程度に左右されるので、人為的に調節することができる。適切な選択と均一性を明らかに有しない植物個体の除去のみが必要であった。因みに、自家受粉植物であるため、繁殖した後でも安定性を定常的に保つことができる。
【表3】

【0056】
実施例4 ダイズ
1.交雑の設計
1)実験材料
異なる起源の6種親系統が本実験に採用された:Ken-Nong 18, Ji-Yu 47, Liao-Dou 1, He-Feng 41, Ji-Yu 58, Liao-Dou 13。
【0057】
2)実験方法:
(1)母本群の原母本は2つである: Ken-Nong 18, Ji-Yu 47。
【0058】
交雑:
Ken-Nong 18×Ji-Yu 47, F2分離世代の10植物個体が母本群を形成した;
Liao-Dou 1×He-Feng 41, Ji-Yu 58×Liao-Dou 13, 雑種の1000植物個体が父本群を形成し、そして、そのそれぞれと母本群とを交雑させた。
【0059】
(2)母本群の原母本は3つである: He-Feng 41, Ji-Yu 58, Liao-Dou 13
交雑:
(He-Feng 41×Ji-Yu 58)×Liao-Dou 13,分離世代の2000植物個体が母本群を形成した;
[(Ji-Yu 47×Liao-Dou 1)×(He-Feng 41×Ji-Yu 58)],分離世代の100植物個体が父本群を形成した。
【0060】
2.ダイズの品種群、栽培品種の育種
1)実験材料
高品質及び総合形質によって選択された優良品種の強化育種:交雑の親系統は以下に示した品種である: Ji-Yu 35とJi-lin 20 (遼寧省から)、Hei-Nong 46とFeng-Shou 24 (黒龍江省から),Cang-Dou 5とWu-Xing 1(河北省から),Yu-Dou 29とZhen 90007(河南省から),Xu-Dou 12(江蘇省から),Jin-Yi 30,(山西省から),Qi-Huang 29(山東省から),He-Dou 3(安徴省から)。上記の品種の2つの間で交雑を行った。
【0061】
2)実験方法
第一回交雑:
Ji-Yu 35×Jin-Yi 30; Zhen 90007×Xu-Dou 12;
JI-Lin 20×Cang-Dou 5; Yu-Dou 29×He-Dou 3;
He-Nong 46×Wu-Xing 1; Feng-Shou 24×Qi-Huang 29。
【0062】
第二回交雑:
(Ji-Yu 35×Jin-Yi 30) F1×(Zhen 90007×Xu-Dou 12) F1, 50種子が収集された;
(JI-Lin 20×Cang-Dou 5) F1×(Yu-Dou 29×He-Dou 3) F1, 50種子が収集された;
(He-Nong 46×Wu-Xing 1) F1×(Feng-Shou 24×Qi-Huang 29) F1, 50種子が収集された。
【0063】
第三回交雑:
[(Ji-Yu 35×Jin-Yi 30) F1×(Zhen 90007×Xu-Dou 12) F1] F1×{[(JI-Lin 20×Cang-Dou 5) F1×(Yu-Dou 29×He-Dou 3) F1] F1---父本1 + [(He-Nong 46×Wu-Xing 1) F1×(Feng-Shou 24×Qi-Huang 29)F1] ---父本2}
注:上記の表記法において、前は母本であり、後は父本である。
【0064】
第三回目の交雑において、父本1と父本2の花粉を混合し、各母本親の植物個体に受粉させると、それぞれの植物個体から4〜5の種子が得られた。三回の交雑によって50の母本植物から合計220の雑種が得られた。広い遺伝子背景を持つ安定な集団が得られるとき、6代までの次世代において、それぞれの雑種につき、一つの自殖植物を残した。そのあと、安定性を得るため、雑種のそれぞれの植物系統を繁殖し、それらの成長期間と草丈も調べた。同一の成長期間と同一の草丈を有する植物系統を一つの群に併合し、品種群とした。品種群が安定性を有しない場合は、安定かつ均一性になるまで、慣例の選抜を行う。合計でJT1、JT2とJT3の3つの品種群を育成した。これらの成長期間と草丈を以下に示す。
【0065】
コード 成長期間(日) 草丈(cm)
JT1 125 97
JT2 108 78
JT3 135 105
3)実験の効果
品種群の個々の植物系統の結莢習性、草丈及び成熟期に基づいて、選抜と分類を行い12のダイズ品種群を育成した。これら品種群の特性のいくつかを表4に示す。現在、低粗脂肪含量は慣用的なダイズ育種法の主な限定因子であり、また大部分のダイズの低粗脂肪含量は20〜21%である。育種の段階において、22%の低粗脂肪含量に達することができる育種系統はさらに少ない。本実験において、全体12品種群の58%である7品種群では粗脂肪含量が22%以上に達しており、最も高いものは最高24%の脂肪含量であった。従来の育種法と比べて、本発明方法によって高品質品種を得る確率が大きく増加した。コンピューターでの選択を通じて、これらの品種群の均一性を基本的に満たすことできる。これらの特異性と均一性は、測定の正確さ及び許容される変動の程度に左右されるので、人為的に調節することができる。適切な選択と均一性を明らかに有しない植物個体の除去のみが必要であった。因みに、自家受粉植物であるため、繁殖した後でも安定性を定常的に保つことができる。
【表4】

【0066】
実施例 5 トマト
1.交雑の設計
1)実験材料
異なる起源の6種親系統を本実験に採用した:Ying-Shi-Da-Hong, Fen-Hong D-80, Bo-Yu 368, Bo-Yu 367, Jin-Xiang-Fan-Zao, Jin-Xiang-Fan-Bao
2)実験方法:
(1)母本群の原母本は2つである: Ying-Shi-Da-Hong, Fen-Hong D-80。
【0067】
交雑:
Ying-Shi-Da-Hong×Fen-Hong D-80, F2分離世代の10植物個体が母本群を形成した;
Bo-Yu 368×Bo-Yu 367, Jin-Xiang-Fan-Zao×Jin-Xiang-Fan-Bao,雑種の1000植物個体が父本群を形成し、そのそれぞれと母本群とを交雑させた。
【0068】
(2)母本群の原母本は3つである: Bo-Yu 367, Jin-Xiang-Fan-Zao, Jin-Xiang-Fan-Bao。
【0069】
交雑:
(Bo-Yu 367×Jin-Xiang-Fan-Zao)×Jin-Xiang-Fan-Bao,分離世代の2000植物個体が母本群を形成した;
[(Fen-Hong D-80×Bo-Yu 368)×(Bo-Yu367×Jin-Xiang-Fan-Zao)],分離世代の100植物個体が父本群を形成した。
【0070】
2.トマトの品種群、栽培品種の育種
1) 実験の材料:
高品質及び総合形質によって選択された優良品種の強化育種:交雑の親系統は以下に示した品種である: Jia-Fen 17(北京から), Fan-Qie-Dong-Nong 704(黒龍江から), Fan-Qie-Mao-Fen 802(山西から),Yu-Fan-Qie 1(河南から), Fan-Qie-Zhong-Su 5(天津から), Zhong-Za 11, Zhong-Za 9, Hong-Za 18とHong-Za 10(中国農科院から)、Jin-Xiang-Fan-Bao, Fan-Qie-Xi-Fen 3, Fen-Hong D-80(他の地域から)。上記の品種の2つの間で交雑を行った。
【0071】
2)実験方法
第一回交雑:
Jin-Xiang-Fan-Bao×Zhong-Za 11; Fan-Qie-Xi-Fen 3×Fan-Qie-Zhong-Su 5; Jia-Fen 17×Fan-Qie-Dong-Nong 704; Yu-Fan-Qie 1×Fen-Hong D-80; Hong-Za 18×Fan-Qie-Mao-Fen 802; Hong-Za 10×Zhong-Za 9。
【0072】
第二回交雑:
(Jin-Xiang-Fan-Bao×Zhong-Za 11) F1×(Fan-Qie-Xi-Fen 3×Fan-Qie-Zhong-Su 5) F1, 50種子が収集された;
(Jia-Fen 17×Fan-Qie-Dong-Nong 704) F1×(Yu-Fan-Qie 1×Fen-Hong D-80) F1, 50種子が収集された;
(Hong-Za 18×Fan-Qie-Mao-Fen 802) F1×(Hong-Za 10×Zhong-Za 9) F1, 50 種子が収集された。
【0073】
第三回交雑:
[(Jin-Xiang-Fan-Bao×Zhong-Za 11) F1×(Fan-Qie-Xi-Fen 3×Fan-Qie-Zhong-Su 5) F1] F1×{[(Jia-Fen 17×Fan-Qie-Dong-Nong 704) F1×(Yu-Fan-Qie 1×Fen-Hong D-80) F1] F1---父本1 + [(Hong-Za 18×Fan-Qie-Mao-Fen 802) F1×(Hong-Za 10×Zhong-Za 9) F1]---父本2}
注:上記の表記法において、前は母本であり、後は父本である。
【0074】
第三回目の交雑において、父本1と父本2の花粉を混合し、各母本親の個体植物に受粉させると、それぞれの植物個体から4〜5の種子が得られた。三回の交雑によって50の母本植物から合計235の雑種が得られた。広い遺伝子背景を持つ安定な集団が得られるとき、6代までの次世代において、それぞれの雑種につき、一つの自家交雑植物を残した。そのあと、安定性を得るため、植物系統のそれぞれを別々に繁殖した。各植物個体の平均果重、実の色、成長期間及び草丈も調べた。同一の平均果重、成長期間及び草丈を有する植物系統を一つの群に併合し、品種群とした。品種群が安定性を有しない場合は、安定かつ均一になるまで、慣例の選抜を行う。全体で、JT1、JT2及びJT3の3つの品種群を育成した。これらの成長期間と草丈を以下に示す。
【0075】
コード 成長期間(日) 草丈(cm)
JT1 125 97
JT2 108 78
JT3 135 105
3)実験の効果
品種群の個々の植物系統の果重、実の色、草丈のに基づいて、選抜と分類により、12のトマト品種群を育成した(或いは、商業価値を上げるため、赤色、黄色の親系統を意識的に混合し、多彩なトマトを育成することもできる)。これら品種群の特性のいくつかを表5に示す。現在、中位の果重で低収量の問題は慣用的なトマト育種法の主な限定因子であり、また大部分のトマトの果重は100〜200gの間であり、総収量は5000Kg/667m2である。本実験において、果重150g以上で高収量の11系統を選び、育成した。そのうち、7系統の果重が200g以上に達している(最高の系統の平均果重は300g以上に達している、即ち、7000Kg/667m2に相当する)。従来の育種法と比べて、本発明方法によって高品質品種を得る確率が大きく増加した。コンピューターでの選択を通じて、これらの品種群の均一性を基本的に満たすことできる。これらの特異性と均一性は、測定の正確さ及び許容される変動の程度に左右されるので、人為的に調節することができる。適切な選択と均一性を明らかに有しない植物の除去のみが必要であった。因みに、自家受粉植物であるため、繁殖した後でも安定性を定常的に保つことができる。
【表5】

【0076】
実施例6 ナタネ
1.交雑の設計
1)実験材料
異なる起源の6種親系統を本実験に採用した:H9901, Hua-Za 6, Hua-Za 4, Hua-Za 3, Hua-You (Shuan) 3, Hua-You (Shuan) 4。
【0077】
2)実験方法:
(1)母本群の原母本は2つである: H9901, Hua-Za 6。
【0078】
交雑:
H9901×Hua-Za 6, F2分離世代の100植物個体が母本群を形成した; Hua-Za 4×Hua-Za 3, Hua-You (Shuan) 3×Hua-You (Shuan) 4, 雑種の1000植物個体が父本群を形成し、そのそれぞれと母本群とを交雑させた。
【0079】
(2)母本群の原母本は3つである: Hua-Za 3, Hua-You (Shuan) 3, Hua-You (Shuan) 4。
【0080】
交雑:
(Hua-Za 3×Hua-You (Shuan) 3)×Hua-You (Shuan) 4,分離世代の2000植物個体が母本群を形成した;
[(H9901×Hua-Za 6)×(Hua-Za 4×Hua-Za 3)],分離世代の100植物個体が父本群を形成した。
【0081】
2.ナタネの品種群、栽培品種の育種
1) 実験の材料:
高エルカ酸含量及び総合形質によって選択された優良品種の強化育種:交雑の親系統は以下に示した品種である。エルカ酸含量が53%以上であるMercury、Neptune、ヒマ(Castor)及びR-588の4品種(カナダから取り入れた)、Indore(アメリカから取り入れた);中国で育成された“二重高”のS87-2127とS87-2365の2つ品種;及び中国で育成された高リノレン酸と高リノール酸のZhong-You 821 (中国油料作物研究所によって育成)、Ning-You 7 (江蘇農科院によって育成)、及びWang-You 17 (湖北から)の3つ品種; 低チオグリコシド品種であるWan-You 6 (安徴農科院によって育成); 取り入れた“二重高”品種である Gotarshiji。上記の品種の2つの間で交雑を行った。
【0082】
2) 実験方法
第一回交雑:
Mercury×S87-2127;Neptune×S87-2365; Castor×Zhong-You 821; Indore×Ning-You 7; Gotarshiji×Wang-You 17; R-588×Wan-You 6。
【0083】
第二回交雑:
(Mercury×S87-2127)×(Neptune×S87-2365), 50 種子が収集された;
(Castor×Zhong-You 821)×(Indore×Ning-You 7), 50種子が収集された;
(Gotarshiji×Wang-You 17)×(R-588×Wan-You 6), 50 種子が収集された。
【0084】
第三回交雑:
[(Mercury×S87-2127)×(Neptune×S87-2365)]×{[(Castor×Zhong-You821)×(Indore×Ning-You 7)]---父本1 + [(Gotarshiji×Wang-You 17)×(R-588×Wan-You 6)]---父本2}
注:上記の表記法において、前は母本であり、後は父本である。
【0085】
第三回目の交雑において、父本1と父本2の花粉を混合し、各母本親の個々の植物に受粉させると、それぞれの植物から4〜5の種子が得られた。50の母本植物から合計218の雑種が得られた。広い遺伝子背景を持つ安定な集団が得られるとき、6代までの次世代において、それぞれの雑種につき、一つの自殖植物を残した。そのあと、安定性を得るため、植物系統のそれぞれを別々に繁殖した。各植物系統の生育期間と草丈も調べた。同一の生育期間と草丈を有する植物系を一つの群に併合し、品種群とした。品種群が安定性を有しない場合は、安定かつ均一となるまで、慣例の選抜を行う。合計JT1、JT2及びJT3の3つの品種群を育成した。これらの生育期間と草丈を以下に示す。
【0086】
コード 生育期間(日) 草丈(cm)
JT1 234 158
JT2 239 164
JT3 243 169
3)実験の結果
自家交雑によって安定性が得られた後、全ての個体系統が中国湖北省の揚子江大学の実験用地に栽培され、そして、抽苔期、成熟期、抽苔期と成熟期の草丈、及び個体の収量を調べた。コンピューターでの選抜と分類によって、個体系統の個体収量に基づいて、12品種が得られた(30g以下の個体収量の系統が淘汰された)。これら品種群の特性のいくつかを表6に示す。収量を選抜の主な目的としたため、これらの個体系統の収量が大きく増加した、即ち8系統/12系統(67%を占める)の収量が対照群の収量を超えた。従来のナタネ育種法においては、このような収量の大幅の増加がめったにみられない。コンピューターでの選択を通じて、これらの品種群の均一性を基本的に満たすことできる。これらの特異性と均一性は、測定の正確さ及び許容される変動の程度に左右されるので、人為的に調節することができる。適切な選択と均一性を明らかに有しない個体の除去のみが必要であった。ナタネは、他家受粉の植物に属し、そして、自家繁殖の結実度が80%であるため、繁殖中において、短期間での安定性を保つことができる。育種者の保存種子の単植による純化と再生の後、品種群を増殖させ、種子を得ることができる。
【表6】

【0087】
実施例7 ワタ
1.交雑の設計
1)実験材料
異なる起源の6種親系統を本実験に採用した: Zhong-Mian-Suo 24, Zhong-Mian-Suo 35, Zhong-Mian-Suo 36, Zhong-Mian-Suo 19, Yu-Mian 19, Han-Dan 284。
【0088】
2)実験方法:
(1)母本群の原母本は2つである:Zhong-Mian-Suo 24, Zhong-Mian-Suo 35。
【0089】
交雑:
Zhong-Mian-Suo 24×Zhong-Mian-Suo 35, F2分離世代の10植物個体が母本群を形成した;
Zhong-Mian-Suo 36×Zhong-Mian-Suo 19, Yu-Mian 19×Han-Dan 284, 雑種の100植物個体が父本群を形成し、また、それらのそれぞれと母本群とを交雑させた。
【0090】
(2)母本群の原母本は3つである: Zhong-Mian-Suo 19, Yu-Mian 19, Han-Dan 284。
【0091】
交雑:
(Zhong-Mian-Suo 19×Yu-Mian 19)×Han-Dan 284,分離世代の200植物個体が母本群を形成した;
[(Zhong-Mian-Suo 35×Zhong-Mian-Suo 36)×(Zhong-Mian-Suo 19×Yu-Mian 19)],分離世代の100植物個体が父本群を形成した。
【0092】
2. ワタの品種群、栽培品種の育種
1) 実験の材料:
総合形質によって選択された優良品種の強化育種:交雑の親系統は以下に示す品種である:中国科学院の中綿所からのZhong-Mian-Suo 38, Zhong-Mian-Suo 23, Zhong-Mian-Suo 27, Zhong-Mian-Suo 29; 湖北からのE-Kang-Mian 7 and E-Kang-Mian 3;河南からの Yu-Mian 12 and Yu-Zao 275; 河北からのJi-Mian 21 and Ji 668;江蘇からの Su-Mian 12 、及び四川からのChuan-Mian 239。上記の品種の2つの間で交雑を行った。
【0093】
2)実験方法
第一回交雑:
Zhong-Mian-Suo 38×Su-Mian 12; Ji-Mian 21×Ji 668;
Zhong-Mian-Suo 23×E-Kang-Mian 3; Yu-Zao 275×E-Kang-Mian 7;
Zhong-Mian-Suo 27×Yu-Mian 12; Zhong-Mian-Suo 29×Chuan-Mian 239
第二回交雑:
(Zhong-Mian-Suo 38×Su-Mian 12) F1 ×(Ji-Mian 21×Ji 668) F1, 50 種子が収集された;
(Zhong-Mian-Suo 23×E-Kang-Mian 3) F1×(Yu-Zao 275×E-Kang-Mian 7) F1, 50 種子が収集された;
(Zhong-Mian-Suo 27×Yu-Mian 12) F1×(Zhong-Mian-Suo 29×Chuan-Mian 239) F1, 50 種子が収集された。
【0094】
第三回交雑:
[(Zhong-Mian-Suo 38×Su-Mian 12) F1×(Ji-Mian 21×Ji 668) F1] F1×{[(Zhong-Mian-Suo 23×E-Kang-Mian 3) F1×(Yu-Zao 275×E-Kang-Mian 7) F1] F1---父本1 + [(Zhong-Mian-Suo 27×Yu-Mian 12) F1×(Zhong-Mian-Suo 29×Chuan-Mian 239) F1]---父本2}
注:上記の表記法において、前は母本であり、後は父本である。
【0095】
第三回目の交雑において、父本1と父本2の花粉を混合し、各母本親の植物個体に受粉させると、それぞれの個体から4〜5の種子が得られた。50の母本親の個体から合計220の雑種が得られた。広い遺伝子背景を有する安定な集団が得られるとき、6代までの次世代において、それぞれの雑種につき、一つの自殖植物個体を残した。そのあと、安定性を得るため、植物系統のそれぞれの個体を繁殖した。各植物系統の生育期間と草丈も調べた。同一の成長期間と同一の草丈を有する植物系統を一つの群に併合し、品種群とした。品種群が安定性を有しない場合は、安定かつ均一になるまで、慣例の選抜を行う。JT1、JT2及びJT3の3つの品種群を育成した。これらの成長期間と草丈を以下の表に示す。
【0096】
コード 成長期間(日) 草丈(cm)
JT1 110 78
JT2 125 89
JT3 135 100
3)実験の結果
順番に生育期間、草丈及び収量に基づいて、個体系統の選抜と分類を行い、12のトマト品種群を育成した。これら品種群の特性のいくつかを表7に示す。現在、低収量は従来ワタ育種法の主な限定因子であり、また大部分のワタ品種の繰り綿の収量は90Kg/667m2以下である。育種の段階において、繰り綿の高収量品種がさらに少ない。本実験において、繰り綿の収量は90Kg/667m2以上である高収量の系統が7系統/12系統(58%を占める)ある、そのうち、1系統の繰り綿の収量は100Kg/667m2以上に達している。従来の育種法と比べて、本発明方法によって高品質品種を得る確率が大きく増加した。コンピューターでの選択を通じて、これらの品種群の均一性を基本的に満たす達することができる。これらの特異性と均一性は、測定の正確さ及び許容される変動の程度に左右されるので、人為的に調節することができる。適切な選択と均一性を明らかに有しない個体の除去のみが必要であった。ワタは他家受粉の植物に属し、自家繁殖の結実度が80%であるため、繁殖中において、短期間での安定性を保つことができる。育種者の保存種子の単植による純化と再生の後、品種群を増殖し、種子を得ることができる。
【表7】

【0097】
実施例8 トウガラシ
1.交雑の設計
1)実験材料
異なる起源の6種親系統を本実験に採用した:Zhong-Jiao 6, Zhong-Jiao 5, Zhong-Jiao 11, Ning-Jiao 5, B Te-Zao, Ha-Jiao 3。
【0098】
2)実験方法:
(1)母本群の原母本は2つである: Zhong-Jiao 6, Zhong-Jiao 5。
【0099】
交雑:
Zhong-Jiao 6×Zhong-Jiao 5, F2分離世代の1000植物個体が母本群を形成した;
Zhong-Jiao 11×Ning-Jiao 5, B Te-Zao×Ha-Jiao 3, 雑種の1000植物個体が父本群を形成し、それらのそれぞれと母本群とを交雑させた。
【0100】
(2)母本群の原母本は3つである: Ning-Jiao 5, B Te-Zao, Ha-Jiao 3。
【0101】
交雑:
(Ning-Jiao 5×B Te-Zao)×Ha-Jiao 3,分離世代の2000植物個体が母本群を形成した;
[(Zhong-Jiao5×Zhong-Jiao 11)×(Ning-Jiao 5×B Te-Zao)],分離世代の2000植物個体が父本群を形成した。
【0102】
2.トウガラシの品種群、栽培品種の育種
1) 実験の材料:
高品質及び総合形質によって選択された優良品種の強化育種:交雑の親系統は以下に示した品種である:遼寧省からのShen-Jiao 4 とShen-Jiao 6; 江蘇省からのJiang-Shu 1, Jiang-Shu 5 and Jiang-Shu 6; 広東省からのLa-You 1 and YUe-Jiao 1; 湖南省からXiang-Jiao 6 and Xiang-Jiao 9;重慶からのYu-Jiao 5; 中国農科院からのZhong-Jiao 10 and Zhong-Jiao 7。上記の品種の二つの間で交雑を行った。
【0103】
2)実験方法
第一回交雑:
Shen-Jiao 4×Zhong-Jiao 10; Jiang-Shu 6×Yu-Jiao 5;
Shen-Jiao 6×Yue-Jiao 1; Xiang-Jiao 9×La-You 1;
Jiang-Shu 1×Xiang-Jiao 6; Jiang-Shu 5×Zhong-Jiao 7
第二回交雑:
(Shen-Jiao 4×Zhong-Jiao 10) F1×(Jiang-Shu 6×Yu-Jiao 5) F1, 50種子が収集された;
(Shen-Jiao 6×Yue-Jiao 1) F1×(Xiang-Jiao 9×La-You 1) F1, 50種子が収集された;
(Jiang-Shu 1×Xiang-Jiao 6) F1×(Jiang-Shu 5×Zhong-Jiao 7) F1, 550種子が収集された。
【0104】
第三回交雑:
[(Shen-Jiao 4×Zhong-Jiao 10) F1×(Jiang-Shu 6×Yu-Jiao 5) F1] F1×{[(Shen-Jiao 6×Yue-Jiao 1) F1×(Xiang-Jiao 9×La-You 1) F1] F1---父本1 + [(Jiang-Shu 1×Xiang-Jiao 6) F1×(Jiang-Shu 5×Zhong-Jiao 7) F1]---父本2}
注:上記の表記法において、前者は母本であり、後者は父本である。
【0105】
第三回目の交雑において、父本1と父本2の花粉を混合し、各母本植物の植物個体に受粉させると、それぞれの個体から4〜5の種子が得られた。50の母本植物から合計220の雑種が得られた。広い遺伝子背景をもつ安定な集団が得られるとき、6代までの次世代において、それぞれの雑種につき、一つの自殖個体を残した。そのあと、安定性を得るため、雑種のそれぞれの植物系統を別個に繁殖した。各植物系統の成長期間と草丈も調べた。同一の成長期間、同一の草丈及び同一の果実の形を有する植物系統を一つの群に併合し、品種群とした。品種群が安定性を有しない場合は、安定かつ均一になるまで、慣例の選抜を行う。JT1、JT2及びJT3の3つの品種群を育成した。これらの成長期間と草丈を以下の表に示す。
【0106】
コード 成長期間(日) 草丈(cm)
JT1 128 57
JT2 118 52
JT3 109 48
3)実験の結果
順番に草丈、果実の形、成熟期に基づいて、個体系統の選抜と分類を行い、10トウガラシ品種群を育成した。これら品種群の特性のいくつかを表8に示す。現在、病虫害による不安定な収量は従来のトウガラシ育種法の主な限定因子であり、大部分の品種の大体収量は2500Kg/667m2前後である。本実験において、多遺伝子型によって病虫害の悪影響が減少した。また収量による選択を強化する結果として、10品種の収量が増加し、7品種(70%を占める)2500Kg/667m2以上に達している。他の品系においても意味のある減産は見られない。従来の育種法と比べて、本発明方法によって高品質品種を得る確率が大きく増加された。コンピューターでの選択を通じて、これらの品種群の均一性を達することできる。これらの特異性と均一性が測定の正確さ及び許容される変動の程度に左右されるので、人為的に調節することができる。適切な選択と均一性を明らかに有しない個体の除去のみが必要であった。トウガラシは他家受粉の植物に属し、自家繁殖の結実度が80%であるため、繁殖中において、短期間での安定性を保つことができる。育種者の保存種子の単植による純化と再生の後、品種群を増殖し、種子を得ることをできる。雑種種子の生成法と比べて、本発明は明らかに簡単且つ実用的である。集団内の系統での自家繁殖をし、その後、必要に応じて系統を混合する。
【表8】

【0107】
実施例 9 サイシン
1.交雑の設計
1)実験材料
異なる起源の6種親系統を本実験に採用した:Xiang-Gang 31, Qing-Bao 40, You-Lu 70 Tian, You-Qing 49, You-Qing 12, Te-Qing-Chi-Xin 4。
【0108】
2)実験方法:
(1)母本群の原母本は2つである: Xiang-Gang 31, Qing-Bao 40。
【0109】
交雑:
Xiang-Gang 31×Qing-Bao 40, F2分離世代の10植物個体が母本群を形成した;
You-Lu 70 Tian×You-Qing 49, You-Qing 12×Te-Qing-Chi-Xin 4, 交雑で生成された100植物個体が父本群を形成し、それらのそれぞれと母本群とを交雑させた。
【0110】
(2)母本群の原母本は3つである:You-Qing 49, You-Qing 12, Te-Qing-Chi-Xin 4。
【0111】
交雑:
(You-Qing 49×You-Qing 12)×Te-Qing-Chi-Xin 4, 生成された分離世代の2000植物個体が母本群を形成した;
[(Qing-Bao 40×You-Lu 70 Tian)×(You-Qing 49×You-Qing 12)], 生成された分離世代の100個体が父本群を形成した。
【0112】
2.サイシンの品種群、栽培品種の育種
1) 実験の材料:
高品質及び総合形質によって選択された優良品種の育種:交雑の親系統は以下に示している広東省を起源とする品種である:濃緑色型の Te-Qing-Chi-Xin 4, Chi-Xin 29 と Sui-Qing 1 type; 薄緑色型の You-Qing 12, Si-Jiu 19, You-Qing 49, Lu-Bao 70, Qing-Bao 40; つや緑型のYou-Lu 70, Chi-Xin 2, You-Qing 50; 黄緑色型のSi-Jiu-Cai-Xin。上記の品種の二つの間で交雑を行った。
【0113】
2)実験方法
第一回交雑:
Te-Qing-Chi-Xin 4×You-Qing 50; You-Qing 49×Chi-Xin 2;
Qing-Bao 40×Sui-Qing 1; Lu-Bao 70×You-Lu 70;
You-Qing 12×Si-Jiu 19; Si-Jiu-Cai-Xin×Chi-Xin 29。
【0114】
第二回交雑:
(Te-Qing-Chi-Xin 4×You-Qing 50) F1 ×(You-Qing 49×Chi-Xin 2) F1, 50種子が収集された;
(Qing-Bao 40×Sui-Qing 1) F1×(Lu-Bao 70×You-Lu 70) F1, 50種子が収集された;
(You-Qing 12×Si-Jiu 19) F1×(Si-Jiu-Cai-Xin×Chi-Xin 29) F1, 50種子が収集された。
【0115】
第三回交雑:
[(Te-Qing-Chi-Xin 4×You-Qing 50) F1 ×(You-Qing 49×Chi-Xin 2) F1] F1×{[(Qing-Bao 40×Sui-Qing 1) F1×(Lu-Bao 70×You-Lu 70) F1] F1--父本1 + [(You-Qing 12×Si-Jiu 19) F1×(Si-Jiu-Cai-Xin×Chi-Xin 29) F1] --父本2}
注:上記の表記法において、前は母本であり、後は父本である。
【0116】
第三回目の交雑において、父本1と父本2の花粉を混合し、各母本親の植物個体に受粉させると、それぞれの個体から4〜5の種子が得られた。3回の交雑によって50の母本親の個体から合計2000の雑種が得られた。広い遺伝子背景をもつ安定な集団が得られるとき、6代までの次世代において、それぞれの雑種について一つの自殖植物を残した。そのあと、安定性を得るため、各植物系統を個々に繁殖し、それらの生育期間と草丈も調べた。同一の生育期間と同一の草丈を有する植物系統を一つの群に併合し、品種群とした。品種群が安定性を有しない場合は、安定かつ均一になるまで、慣例の選抜を行う。合計でJT1、JT2及びJT3の3つの品種群が育成された。これらの成長期間と草丈を以下の表に示す。
【0117】
コード 成長期間(日) 草丈(cm)
JT1 28 25
JT2 38 32
JT3 50 40
3)実験の結果
順番に初収穫期、草丈、はの色に基づいて、品種群の個々の系統の選抜と分類を行い、10のサイシン品種群を育成した。これら品種群の特性のいくつかを表9に示す。現在、病虫害による不安定な収量は顕花サイシンの在来品種の主な限定因子であり、大部分の品種の大体収量は700〜1200Kg/667m2前後である。本実験において、多遺伝子型系統によって病虫害の悪影響が減少された。その結果、10系統の収量が増加し、6系統(60%を占める)では1200Kg/667m2以上の収量であった。他の系統においても意味のある減産は見られなかった。従来の育種法と比べて、本発明方法によって高収量品種を得る確率が大きく増加した。コンピューターでの選択を通じて、これらの品種群の均一性を基本的に満たすことできる。これらの特異性と均一性が測定の正確さ及び許容される変動の程度に左右されるので、人為的に調節することができる。適切な選択と均一性を明らかに有しない植物個体の除去のみが必要であった。顕花サイシンは他家受粉の植物に属し、自家繁殖の結実度が80%であるため、繁殖中において、短期間での安定性を保つことができる。育種者の保存種子の単植による純化と再生の後、品種群を増殖させ、種子を得ることをできる。雑種種子の生成と比べて、本発明は明らかに簡単且つ実用的である。品種群内の系統の自家交雑をし、その後、必要に応じて系統を混合するだけである。
【表9】

【0118】
実施例10 ナス
1.交雑の設計
1)実験材料
異なる起源の6種の親系統を本実験に採用した:Hei-Bao-Fu-Qiu-Qie, Hei-Hu-Zao-Qie, Lu-Qie 1, Lu-Qie 3, Lu-Qie 4, Bai-Qie 1.
2)実験方法:
(1)母本群の原母本は2つである: Hei-Bao-Fu-Qiu-Qie, Hei-Hu-Zao-Qie。
【0119】
交雑:
Hei-Bao-Fu-Qiu-Qie×Hei-Hu-Zao-Qie, F2分離世代の10植物個体が母本群を形成した;
Lu-Qie 1×Lu-Qie 3, Lu-Qie 4×Bai-Qie 1, 雑種の120植物個体が父本群を形成し、それらのそれぞれと母本群とを交雑させた。
【0120】
(2)母本群の原母本は3つである:: Lu-Qie 3, Lu-Qie 4, Bai-Qie 1。
【0121】
交雑:
(Lu-Qie 3×Lu-Qie 4)×Bai-Qie 1, 分離世代の2000植物個体が母本群を形成した;
[(Hei-Hu-Zao-Qie×Lu-Qie 1)×(Lu-Qie 3×Lu-Qie 4)],分離世代の100植物個体が父本群を形成した。
【0122】
2.ナスの品種群、栽培品種の育種
1)実験の材料:
高品質及び総合形質によって選択された優良品種の強化育種:交雑の親系統は以下に示す広東省からのものであり、異なる実の形状と色を持つ:濃い紫色型のZi-Hei 2, Hei-Bao-Fu-Qiu-Qie, Hei-Hu-Zao-Qie; 濃い紫色円形型のTai-Ke-Zi-Yuan-Qie,アメリカ Hei-Jin; 紫色長形型の9318 Chang-Qie, Jia-Li-Chang-Qie, Ji-Nan 94-1, Chang-Hong 2、Long-Feng-Qie-Zi; つや緑色型のBang-Lu-Qie and Lu-Qie 3。上記の品種の二つの間で交雑を行った。
【0123】
2)実験方法
第一回交雑:
Zi-Hei 2×Lu-Qie 3; America Hei-Jin×Bang-Lu-Qie;
Ji-Nan 94-1×Hei-Hu-Zao-Qie; Jia-Li-Chang-Qie×Chang-Hong 2;
9318 Chang-Qie×Tai-Ke-Zi-Yuan-Qie; Long-Feng-Qie-Zi×Hei-Bao-Fu-Qiu-Qie。
【0124】
第二回交雑:
(Zi-Hei 2×Lu-Qie 3) F1×(American Hei-Jin×Bang-Lu-Qie) F1, 50種子が収集された;
(Ji-Nan 94-1×Hei-Hu-Zao-Qie) F1×(Jia-Li-Chang-Qie×Chang-Hong 2) F1, 50種子が収集された;
(9318 Chang-Qie×Tai-Ke-Zi-Yuan-Qie) F1×(Long-Feng-Qie-Zi×Hei-Bao-Fu-Qiu-Qie) F1, 50種子が収集された。
【0125】
第三回交雑:
[(Zi-Hei 2×Lu-Qie 3) F1×(American Hei-Jin×Bang-Lu-Qie) F1] F1×{[(Ji-Nan 94-1×Hei-Hu-Zao-Qie) F1×(Jia-Li-Chang-Qie×Chang-Hong 2) F1] F1---父本1 + [(9318 Chang-Qie×Tai-Ke-Zi-Yuan-Qie) F1×(Long-Feng-Qie-Zi×Hei-Bao-Fu-Qiu- Qie) F1]---父本2}
注:上記の表記法において、前は母本であり、後は父本である。
【0126】
第三回目の交雑において、父本1と父本2の花粉を混合し、各母本親の植物個体に受粉させると、それぞれの植物個体から4〜5の種子が得られた。三回の交雑によって50の母本親から合計2000の雑種が得られた。広い遺伝子背景をもつ安泰な集団が得られるとき、6代までの次世代において、それぞれの雑種について一つの自殖植物個体を残した。そのあと、安定性を得るため、各植物系統を別個に繁殖し、それらの生育期間、草丈、及び実の形と色も調べた。同一の生育期間、同一の草丈及び同一の実を有する植物系統を一つの群に併合し、品種群とした。品種群が安定性を有しない場合は、安定かつ均一になるまで、慣例の選抜を行う。合計でJT1、JT2及びJT3の3つの品種群が育成された。これらの成長期間と草丈を以下の表に示す。
【0127】
コード 成長期間(日) 草丈(cm)
JT1 108 78
JT2 112 85
JT3 110 92
3)実験の結果
順番に初収穫期、草丈、実の特徴に基づいて、品種群の個体系統の選抜と分類を行い、10ナス品種群を育成した。これら品種群の特性のいくつかを表10に示す。現在、病虫害による不安定な収量はナスの在来品種の主な限定因子であり、大部分の品種の大体収量は4000〜5000Kg/667m2前後である。本実験において、多遺伝子型によって病虫害の悪影響が減少した。また収量による選択を強化する結果として、10系統の収量が増加し、6系統(60%を占める)は4500Kg/667m2以上の収量を有した。従来の育種法と比べて、本発明方法によって高収量品種を得る確率が大きく増加した。コンピューターでの選択を通じて、これらの品種群の均一性を基本的に満たすことできる。これらの特異性と均一性が測定の正確さ及び許容される変動の程度に左右されるので、人為的に調節することができる。適切な選択と均一性を明らかに有しない植物個体の除去のみが必要であった。ナスは他家受粉の植物に属し、自家繁殖の結実度が80%であるため、繁殖中において、短期間での安定性を保つことができる。育種者の保存種子の単植による純化と再生の後、品種群を増殖させ、種子を得ることをできる。雑種の生成と比べて、本発明は明らかに簡単且つ実用的である。品種群内の系統での自家交雑をし、その後、必要に応じて系統を混合するだけである。
【表10】

【0128】
実施例11 カイラン
1.交雑の設計
1)実験材料
異なる起源の6種の親系統を本実験に採用した:Zhong-Hua-Jie-Lan, Pu-Tong-Jie-Lan-1, Dong-Fang-Jian-Jie-Lan, Bai-Hua-Jie-Lan, Xi-Ye-Za-Jie-Lan, Zhou-Ye-Zao-Jie-Lan。
【0129】
2)実験方法:
(1)母本群の原母本は2つである: Zhong-Hua-Jie-Lan, Pu-Tong-Jie-Lan-1。
【0130】
交雑:
Zhong-Hua-Jie-Lan×Pu-Tong-Jie-Lan-1、F2分離世代の10植物個体が母本群を形成した;
Dong-Fang-Jian-Jie-Lan×Bai-Hua-Jie-Lan, Xi-Ye-Za-Jie-Lan×Zhou-Ye-Zao-Jie-Lan, 雑種の120植物個体が父本群を形成し、それらのそれぞれと母本群とを交雑させた。
(2)母本群の原母本は3つである:Bai-Hua-Jie-Lan, Xi-Ye-Za-Jie-Lan, Zhou-Ye-Zao-Jie-Lan。
【0131】
交雑:
(Bai-Hua-Jie-Lan×Xi-Ye-Za-Jie-Lan)×Zhou-Ye-Zao-Jie-Lan,分離世代の1500植物個体が母本群を形成した;
[(Pu-Tong-Jie-Lan-1×Dong-Fang-Jian-Jie-Lan)×(Bai-Hua-Jie-Lan×Xi-Ye-Za-Jie-Lan)],分離世代の1500植物個体が父本群を形成した。
【0132】
2.カイランの品種群、栽培品種の育種
1)実験の材料:
高品質及び総合形質によって選択された優良品種の強化育種:交雑の親系統は以下に示す異なる特徴を持つ品種である:早熟型のXiang-Gang-Bai-Hua-Jie-Lan, Xi-Ye-Zao-Jie-Lan, Zhou-Ye-Zao-Jie-Lan; 中熟型のTai-Wang-Zhong-Hua, Zhong-Chi-Jie-Lan, Xiang-Gang-Zhong-Hua, He-Tan-Jie-Lan and Zhong-Hua-Jie-Lan of; 晩熟型のZhou-Ye-Chi-Jie-Lan,Dong-Fang-Jian-Jie-Lan, Pu-Tong-Jie-Lan-1, Chi-Hua-Jie-Lan。上記の品種の二つの間で交雑を行った。
【0133】
2)実験方法
第一回交雑:
Xiang-Gang-Bai-Hua-Jie-Lan×Pu-Tong-Jie-Lan-1;
Xiang-Gang-Zhong-Hua×Dong-Fang-Jian-Jie-Lan;
Chi-Hua-Jie-Lan×Zhou-Ye-Zao-Jie-Lan;
He-Tan-Jie-Lan×Zhou-Ye-Chi-Jie-Lan;
Tai-Wang-Zhong-Hua×Zhong-Chi-Jie-Lan;
Zhong-Hua-Jie-Lan×Xi-Ye-Zao-Jie-Lan;
第二回交雑:
(Xiang-Gang-Bai-Hua-Jie-Lan×Pu-Tong-Jie-Lan-1) F1×(Xiang-Gang-Zhong-Hua×Dong-Fang-Jian-Jie-Lan) F1, 50種子が収集された;
(Chi-Hua-Jie-Lan×Zhou-Ye-Zao-Jie-Lan) F1×(He-Tan-Jie-Lan×Zhou-Ye-Chi-Jie-Lan) F1, 50種子が収集された;
(Tai-Wang-Zhong-Hua×Zhong-Chi-Jie-Lan) F1×(Zhong-Hua-Jie-Lan×Xi-Ye-Zao-Jie-Lan) F1, 50種子が収集された。
【0134】
第三回交雑:
[(Xiang-Gang-Bai-Hua-Jie-Lan×Pu-Tong-Jie-Lan-1)F1×(Xiang-Gang-Zhong-Hua×Dong-Fang-Jian-Jie-Lan)F1] F1×{[(Chi-Hua-Jie-Lan×Zhou-Ye-Zao-Jie-Lan) F1×(He-Tan-Jie-Lan×Zhou-Ye-Chi-Jie-Lan)F1]F1---父本1+[(Tai-Wang-Zhong-Hua×Zhong-Chi-Jie-Lan)F1×(Zhong-Hua-Jie-Lan×Xi-Ye-Zao-Jie-Lan) F1]---父本 2}
注:上記の表記法において、前は母本であり、後は父本である。
【0135】
第三回目の交雑において、父本1と父本2の花粉を混合し、各母本親の植物個体に受粉させると、それぞれの植物個体から4〜5の種子が得られた。三回の交雑によって50の母本植物から合計2000の雑種が得られた。広い遺伝子背景をもつ安定な集団が得られるとき、6代までの次世代において、それぞれの雑種について一つの自殖植物個体を残した。そのあと、安定性を得るため、植物系統のそれぞれを別個に品系に繁殖し、それらの生育期間と草丈も調べた。同一の生育期間と同一の草丈を有する植物系乙を一つの群に併合し、品種群とした。品種群が安定性を有しない場合は、安定かつ均一になるまで、慣例の選抜を行う。合計でJT1、JT2及びJT3の3つの品種軍を育成した。これらの成長期間と草丈を以下の表に示す。
【0136】
コード 成長期間(日) 草丈(cm)
JT1 30 28
JT2 37 31
JT3 40 38
3)実験の結果
順番に初収穫期、草丈、葉の色に基づいて、品種群の個体系統の選抜と分類を行い、10のカイラン品種群を育成した。これら品種群の特性のいくつかを表11に示す。現在、病虫害による不安定な収量はカイランの在来品種の主な限定因子であり、大部分の品種の大体収量は1000〜1500Kg/667m2前後である。本実験において、多遺伝子型によって病虫害の悪影響が減少された。その結果、10系統の収量が増加し、5系統(50%を占める)は1500Kg/667m2以上の収量を有した。従来の育種法と比べて、本発明方法によって高収量の品種を得る確率が大きく増加した。コンピューターでの選択を通じて、これらの品種群の均一性を基本的に満たすことできた。これらの特異性と均一性が測定の正確さ及び許容される変動の程度に左右されるので、人為的に調節することができる。適切な選択と均一性を明らかに有しない植物個体の除去のみが必要であった。カイランは他家受粉の植物に属し、自家繁殖の結実度が80%であるため、繁殖中において短期間での安定性を保つことができる。育種者の保存種子の単植による純化と再生の後、品種群を増殖し、種子を得ることをできる。雑種の生成と比べて、本発明は明らかに簡単且つ実用的である。品種群内の系統の自家交雑をし、必要に応じて混合するだけである。
【表11】

【0137】
遺伝的多様性育種の産業上の利用
生物多様性と恒久的発展の観点から:従来の単一遺伝子型品種の栽植方式、及び“優良品種からさらに優良品種を選ぶ”の従来の育種法によって、過去数十年に作物の遺伝的な背景は、益々狭くなってきているし、また、病虫害及び他のストレスに対して、品種の抵抗力も益々弱くなってきている。その結果として、作物の品種の寿命が益々短くなってきている。過去において所与の品種の寿命が少なくても5年、或いは十数年もあったが、現代品種の平均寿命は4年前後になってきた。このため、生物種の消滅が加速し、生物多様性が急速に減少している。(Dabao Zhu, Diversity and bio-diversity in forest woods breeding, 1994, 2 (3): 157-161)。生物種と環境の調和、及び人類の多様な要望を考えると、作物生産を改善するため、多遺伝子型が利用される新育種法は、切迫に必要とされてきた。この新育種法の核心は、完璧な個体よりエリート集団を得ることが重要である。
【0138】
作物育種の飛躍的発展の観点から:大量の品種と組合せが育成されたとしても、更なる品種改良は益々難しくなってきている。これまで、収量、品質及び耐病性に対する改善が既に高いレベルに達していた。例えば、中国でのイネの平均収量は、以前の3000Kg/ha前後から6000Kg/ha以上に増加している。現有の2つのタイプの作物に対して、収量の増加及び他の点の飛躍的進歩を達成することが益々難しくなってきているので、今までと違う新育種法の開発が必要とされる。
【0139】
作物の種子生産の観点から:農業従事者は、作物の従来品種の種子を取っておいて栽培することができるが、交配種の種子については、僅か一世代のみに使用することができる。農業の産業化の発展に伴って、作物の交配種の品質が従来品種より一般に劣っていても、経済利益を求めるために、種苗会社は通常、雑種種子を生産している。本発明の新規方法は簡単かつ実用的である。本育種法においては、育成者の経験に対する依存度が少ない。また、生物種の遺伝的な多様性を利用し、人類の恒久的発展が図られる。本発明技術を商品化することも適当である。同様に重要となるのは、本発明は作物育種法の新ルートの開拓であり、育種科学の飛躍的進歩に対して大変意義深いことである。本発明の品種群は、高品質、適応性、かつ耐病性の特徴があり、農業従事者の栽培管理においてもかなり簡易であるため、市場での高需要も期待される。本発明が市場にリリース及び広がることによって、この新育種法とこの新しい型の作物がきっと広く認識されて、育種学と農学の発展に大きく貢献するだろう。
【0140】
環境に対する生物種の適応性の観点から:単一遺伝子型品種と比べて、多遺伝子型の品種は、環境に対する適応性及び病虫害に対する抵抗性について優れている。中国雲南省の耐いもち病のイネ多系統の隔離栽培による病気防除の成功は、その良い実証である (Youyong Zhu,et al., Nature, 406: 718-722)。
【0141】
作物に対する人類の消費ニーズの観点から:実際に、多くの作物が多くの遺伝子型を含む混合形態で消費されている。本発明の品種群では、直接このような多遺伝子型産物を提供することになる。
【0142】
農業従事者の要望の観点から:農業従事者は自ら品種群の種子を保存することができる。又、会社は原種の大規模な開発をすることもできるだろう。
【0143】
長年の努力によって、総合形質によって選択される優良品種群又は栽培品種の開発のための新育種法は見出された。本発明の育種法は、遺伝子多様性を利用する育種法でもあり、作物の育種において飛躍的進歩を達成することができる育種法でもある。本発明の品種群は、良い適応性と強い耐病虫害性を有し、将来の広範な応用が期待されるだろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物の品種群を育種する方法であって、該方法が、母本群と父本群を交雑して品種群の初代集団を作出することを特徴とし、ここで、該母本群が、分離集団、又は初期分離世代の自家交雑後代、の個々の植物からなり、この植物が、異なる所望の特性をもつ親植物の対を交雑してF1集団を作出したのち、F1の対を交雑して該分離集団を作出することによって得られるものであり、また、該父本群が、ホモ接合型育種系統、品種、F1、分離世代のヘテロ接合型植物、又は該母本群と同じ作出方法で作出された個々の植物からなる、前記方法。
【請求項2】
以下の段階:
1)分離集団、又は初期分離世代の自家交雑後代、の個々の植物からなる母本群を、異なる所定の特性を有する親植物の対を交雑してF1を作出し、このF1の対を交雑して分離集団を作出することによって作出すること;父本群を、ホモ接合型育種系統、品種、F1、分離世代のヘテロ接合型植物、又は該母本群と同じ作出方法で作出された個々の植物、から作出すること;及び品種群の初代集団を、母本群と父本群との交雑後に作出すること、の交雑段階;
2)所定の育種目標と作物種の繁殖係数に従って、品種群の初代集団について各雑種の後代の植物の個体数を測定し;そのあと、個々の系統を別個に栽培して、自家交雑によって安定化すること、の安定化のための自家交雑段階;
3)分類関連特性について個々の交雑植物を調べること、そして、個々の植物を群に分類したのち、育種目標に関連する他の特性を測定することができる;及び、その後の栽培と特性の測定のために、各植物から十分な数の種子を採集すること、の特性の測定段階;
4)草丈などの所定の特性に従って、同じ表現型を有する植物系統又は交雑個体を一つの群に併合することの群分類段階;並びに、
5)同じ群内の対応する個々の植物の種子を同じ比率で混合し、均一の表現型を有する品種群を形成する、品種群の改良段階;
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の作物の品種群を育種する方法
【請求項3】
前記母本群が2〜4の原母本を有することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の作物の品種群を育種する方法。
【請求項4】
前記母本群の前記原母本が、ホモ接合型育種系統、品種、又は初期分離世代のヘテロ接合型の個々の植物であることを特徴とする、請求項3に記載の作物の品種群を育種する方法。
【請求項5】
前記母本群の分離世代が、それらの原母本の間での単交雑、3系交雑又は複交雑の分離世代であることを特徴とする、請求項4に記載の作物の品種群を育種する方法。
【請求項6】
前記母本群の分離集団の前記個々の植物を、1〜10世代にわたり自家交雑することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の作物の品種群を育種する方法。
【請求項7】
前記父本群と交雑するための、前記母本群の分離集団又それらの自家交雑後代の植物の個体数が4〜100,000の範囲であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の作物の品種群を育種する方法。
【請求項8】
前記父本群の分離世代が、それらの原父本の間の単交雑、3系交雑又は複交雑の分離世代であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の作物の品種群を育種する方法。
【請求項9】
前記母本群又は父本群が、イネ、ピーナッツ、コムギ、ダイズ又はトマトなどの自家受粉作物であるか、或いはナタネ、ワタ、トウガラシ、サイシン、ナス又はカイランなどの他家受粉作物であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の作物の品種群を育種する方法。
【請求項10】
前記安定した集団の群分類は、生育期間、草丈又は収穫物の特性に基づくことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の作物の品種群を育種する方法。
【請求項11】
品種群の所定の育種目標と一致する個々の植物又はその一部を選択し、安定化するための数世代にわたる繁殖によって、前記の特定目標を有するホモ接合型育種系統又は多遺伝子型品種を形成することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の作物の品種群の育種方法の使用。

【公表番号】特表2007−534322(P2007−534322A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508712(P2007−508712)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【国際出願番号】PCT/CN2004/000657
【国際公開番号】WO2005/102032
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(506322961)ザ ライス リサーチ インスティチュート オブ グアンドン アカデミー オブ アグリカルチャラル サイエンシズ (1)
【出願人】(506322972)ヤンツ ユニバーシティ (1)
【出願人】(506322983)
【Fターム(参考)】