説明

自己抗体の測定法

【課題】 サンプル血清中の自己抗体以外の蛋白との標識抗原の非特異的結合を抑制し、サンプル中の自己抗体を精度良く、かつ効率的に測定する方法、および該方法を実施するためのキットを提供する。
【解決手段】反応系に複素環構造を持つ低分子化合物を共存させ、標識抗原と当該抗原に対する自己抗体とを競合反応させてサンプル中の自己抗体を測定する方法、およびそのためのキット、もしくは反応系に複素環構造を持つ低分子化合物を共存させ、サンプル中の自己抗体以外の蛋白質と標識抗原との非特的結合を抑制する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己抗体測定において、反応系に複素環構造を持つ低分子化合物を共存させることでサンプル血清中の自己抗体以外の蛋白との標識抗原の非特異的結合を抑制し、サンプル中の自己抗体を精度良く、かつ効率的に測定する方法、および該方法を実施するためのキット等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
血液サンプル中に存在する特定抗原に対する自己抗体は、特定の疾病の症状と関連するケースが多く、臨床検査上、診断用マーカーとして重要である。
【0003】
このような自己抗体の中で、特に蛋白質抗原に対する自己抗体としては、抗インスリン抗体、抗β2GPI抗体、抗カルジオリピン−β2GPI抗体、抗グルタミン酸脱水素酵素(GAD)抗体、抗チロシンフォスファターゼ様蛋白質(IA-2)抗体などを例示することができる。
【0004】
具体的に抗インスリン抗体を例に挙げ更に説明すると、抗インスリン抗体はI型糖尿病の発症に先行して血清中に存在することが知られ、糖尿病の診断用マーカーとして有用であることが報告されている。
【0005】
従来、血清中の抗インスリン抗体を測定する方法としてはいくつかの方法が知られているものの、インスリンを125Iで標識して標識インスリンを調製し、この標識インスリンとサンプル中の抗インスリン抗体とを競合反応(抗原抗体反応)させ、反応後、抗原抗体複合体と結合していない標識インスリンとを分離し(B/F分離)、そのいずれかの放射線量を測定することによりサンプル中の抗インスリン抗体量を測定するRIA法が、臨床上の症状を反映した測定値を得ることができる最も適切な方法であるとされている。
【0006】
しかし、上記RIA法では、通常、標識インスリンと血清中の自己抗体の以外の未知の蛋白との結合により非特異的な結合が生じるため、この影響を除外するため、非標識インスリンを過剰量添加して上記と同様に測定する、いわゆる対照測定を同時に行い、2つの測定値の差を算出することによってインスリン特異的な真の抗インスリン抗体量を測定していた(Diabetes. 36:1286-1291(1987))。
このような対照測定は、蛋白質抗原に対する自己抗体を競合測定する際に行われる場合が多い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の抗インスリン抗体のRIA法は、国際的にも標準的な方法として認定され、各施設で汎用されているが、このような複雑な測定系を用いても、非特異的な結合を完全には抑制することができず、測定の精度は必ずしも高くない。このことは、国際的な自己抗体測定ワークショップにおいても、抗インスリン抗体測定の施設間差が他の自己抗体測定と比べて大きいことが報告されていることからも裏付けられる(Diabetes 47:1857-1866(1998)、Diabetes 52(5):1128-1136(2003))。
【0008】
また、対照測定を行うことは、サンプル量が2倍いるだけでなく、測定の手間も時間も費用も2倍係ることとなり、効率的な方法とは到底呼べるものではなかった。
【0009】
【非特許文献1】Diabetes. 36:1286-1291(1987)
【非特許文献2】Diabetes 47:1857-1866(1998)
【非特許文献3】Diabetes 52(5):1128-1136(2003)
【0010】
したがって、標識インスリンと血清中の自己抗体の以外の未知の蛋白との非特異的な結合を防止することができれば、上記の問題点を一挙に解決できると予想されるものの、具体的な解決策は報告されておらず、その糸口さえも示唆されていないのが現状である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上述の解決策を見出すべく、鋭意研究を重ねた結果、抗インスリン抗体を測定する際、反応系に複素環構造を持つ低分子化合物を共存させることで標識インスリンと血清中の自己抗体の以外の未知の蛋白との非特異的な結合を防止することができ、もって精度の高い抗インスリン抗体の定量を可能とし、さらに、従来必須であった対照測定を行わなくても、信頼性のある精度で抗インスリン抗体を測定できることを見出した。さらに、この方法が抗インスリン抗体の測定だけでなく、蛋白質抗原に対する自己抗体の測定においても適用できることを確認して、本発明を完成させた。
【0012】
したがって、本発明は、反応系に複素環構造を持つ低分子化合物を共存させ、標識抗原と当該抗原に対する自己抗体とを競合反応させてサンプル中の自己抗体を測定する方法に関するものである。
【0013】
また本発明は、標識抗原と当該抗原に対する自己抗体とを競合反応させてサンプル中の自己抗体を測定するためのキットであって、反応系に複素環構造を持つ低分子化合物を共存させることを特徴とする、自己抗体測定用キットに関するものである。
【0014】
さらに本発明は、標識抗原と当該抗原に対する自己抗体とを競合反応させてサンプル中の自己抗体を測定する方法において、反応系に複素環構造を持つ低分子化合物を共存させ、サンプル中の自己抗体以外の蛋白質と標識抗原との非特的結合を抑制する方法に関するものである。
【発明の効果】
【0015】
本願発明の方法は、以下に説明する実施例からも明らかなように、反応系に複素環構造を持つ低分子化合物を共存させた場合、具体的には複素環構造を持つ低分子化合物を含むアッセイ緩衝液を用いて健常者の抗インスリン抗体価を測定した場合、トレーサーとして用いた標識インスリンの結合率、すなわち非特異的な結合が有意に低下したのに対し、抗インスリン抗体を持つ患者の血清サンプルを同様の方法で測定しても、その結合率はほとんど変化しなかった。したがって、本発明の方法及びキットを用いて抗インスリン抗体を測定すれば、非特異的な結合を気にすることなく、サンプル中の抗インスリン抗体価をより正確に、かつより簡便に測定することが可能となり、糖尿病の診断あるいは発症予知、発症後経過観察に極めて有用である。
【0016】
また、本発明方法及びキットでは、標識インスリンと血清中の自己抗体の以外の未知の蛋白との結合による非特異的な結合を抑制することができるため、従来行われていた非特異的な結合の影響を除くために必須であった過剰量のインスリンを添加して測定する対照測定を行う必要がなくなり、低コストで効率よく抗インスリン抗体を測定することが可能である。
【0017】
さらに、確証は得られていないが、発明者の試験によると、標識インスリンと非特異的に結合する血清中の自己抗体以外の未知の蛋白の1つはα2マクログロブリンであると推測され、α2マクログロブリンと蛋白質抗原との結合は、反応系に複素環構造を持つ低分子化合物を共存させることで抑制できることから、抗インスリン抗体の測定に限らず、インスリン以外の蛋白性の抗原に対する自己抗体の競合測定においても、複素環構造を持つ低分子化合物を反応系に共存させることで、標識抗原と自己抗体の以外の未知の蛋白との結合による非特異的な結合を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(1)複素環構造を持つ低分子化合物
本発明で使用する複素環構造を持つ低分子化合物としては、分子量は1万以下で、標識抗原、特に標識された蛋白質抗原と当該抗原に対する自己抗体の以外の未知の蛋白との結合を抑制できる化合物であれば特に制限されるものではないが、具体的には、チアゾール誘導体、イソチアゾール誘導体、インドール誘導体またはピロール誘導体から選ばれた化合物を例示することができる。
【0019】
より具体的には、プロクリン(ProClin:SUPELCO社、シグマアルドリッチから入手可能)、ビリルビン、ビリベルジン、バシトラシン、又はトリプトファン残基を含有するペプチドから選ばれた化合物を好ましいものとして使用することができ、特にプロクリンが好適である。
【0020】
なお、プロクリンは臨床診断用防腐剤として汎用されており、プロクリン150、同200、同300、同950の4種が市販されている。いずれもイソチアゾロン(5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン及び/又は2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン)を有効成分とし、防腐剤として使用濃度は6〜15ppm(プロクリン150、同200、同300)又は48〜95ppm(プロクリン950)が推奨されている。
【0021】
(2)本発明の測定法およびキット
本発明の特徴は、反応系に複素環構造を持つ低分子化合物を共存させることであり、自己抗体の競合測定自体は、当該自己抗体の測定として汎用されている方法をそのまま適用すればよい。
【0022】
具体的に、抗インスリン抗体の測定を例に挙げて説明すれば、測定対象の被検サンプルとしては、糖尿病患者の血清サンプル、血漿サンプルの他、インスリンまたはインスリンと類似の物質(プロインスリン、Cペプチド、インスリン部分分解物、またはそれ以外の類似物質等)で抗インスリン抗体と交差する物質を含むサンプルで、不特定多数の蛋白等の不純物を含むものであれば特に限定されない。
【0023】
インスリンを標識する標識剤としては、125I、131I、35S、32P、H等の放射性同位元素(RI)を用いればよく、が一般的であるが、その他、蛍光物質、化学発光物質なども標識として用いてもかまわない。
【0024】
サンプル中の抗インスリン抗体と標識インスリンとの競合反応は、緩衝液(pH7.2〜7.6)中、18〜28℃で、18〜30時間程度インキュベーションすることで実施することができる。
【0025】
本発明は、上記競合反応時の反応系に複素環構造を持つ低分子化合物を共存させることを特徴としており、複素環構造を持つ低分子化合物の濃度は化合物により異なり、通常 0.05〜5mg/mlの範囲内から最適濃度を適宜選定すればよい。例えば、複素環構造を持つ低分子化合物としてプロクリン300を使用する場合、防腐剤として使用濃度では本発明の効果を発揮することができず、50〜1000ppm(0.05〜1mg/ml)から適宜選定することが肝要である。
【0026】
競合反応を終了後、抗原抗体複合体と結合していない標識インスリンとを分離し(B/F分離)、そのいずれかの標識量を測定することによりサンプル中の抗インスリン抗体量を決定する。B/F分離としては、ポリエチレングリコール、抗IgG抗体、プロテインA等の沈殿剤を用いる方法で行えばよく、特に、ポリエチレングリコールを用いた沈殿法が好適である。
【0027】
本発明のキットは、上記測定法と同様に、競合反応時の反応系に複素環構造を持つ低分子化合物を共存させるために、キットの構成試薬として複素環構造を持つ低分子化合物を、たとえばアッセイ用緩衝液に溶解させた試薬を添付することを特徴とし、その他の構成試薬は測定目的の自己抗体の測定に必要な公知の試薬を適宜組み合わせて構成すればよい。
【0028】
たとえば、抗インスリン抗体のRIA法のためのキットは、以下のような構成試薬からなるキットを例示することができる。
(a)抗体量を規定した動物由来抗インスリン抗血清(スタンダード)
(b)標識組換えインスリン溶液
(c)沈殿剤
(d)アッセイ緩衝液(300ppmプロクリン含有)
【実施例】
【0029】
以下、本発明を実施例をあげて具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
実施例1:RIA法によるヒト血中抗インスリン抗体の測定
1)従来法による抗インスリン抗体の測定
【0030】
セットAとして、プラスチック試験管に血清検体50μlにアッセイ緩衝液50μlを加えた。また、セットBとして血清検体50μlにリコンビナントヒトインスリン含有測定緩衝液50μlを加えた。
【0031】
攪拌した後、室温で30分間静置し、トータルカウント用試験管2本を含む全ての試験管に125I標識リコンビナントヒトインスリン含有測定緩衝液100μlを加え、攪拌した後、23℃で24時間静置した。
【0032】
静置後、氷冷した16.2%(W/V)ポリエチレングリコール含有ベロナール緩衝液(沈殿剤)2mlを加え、攪拌した後、4℃、30分間静置した。4℃、3000rpmで30分間遠心分離し、上清を吸引除去後、再度沈殿剤1mlを加え、沈殿をよく撹拌した後、4℃、3000rpmで30分間遠心分離し、上清を吸引除去後、ガンマカウンターを用いて試験管の放射線量を2分間測定した。
【0033】
各試験管の放射能をトータルカウントで除すことで結合率を算出し、セットAの結合率からセットB(過剰量の非標識インスリンであらかじめ抗インスリン抗体を吸収したもの)の結合率を減じて、インスリン特異的結合率を求めた(インスリン特異的測定法)。なお、セットAのみの結合率を非特異的結合率とする(インスリン非特異的測定法)。
【0034】
2)非特異的な結合を抑制する化合物の検索
上記1)の測定において、アッセイ緩衝液に様々な化合物を添加し、健常者の非特異的結合率が低下し、抗インスリン抗体を持つ糖尿病患者の特異的な結合率が低下しない化合物のスクリーニングを行った。
【0035】
その結果、最も抑制効果の高いのがイソチアゾール誘導体であった。具体的には、プロクリン300(SUPELCO社、シグマアルドリッチ取扱)は2種類のイソチアゾール誘導体である5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの混合物であり、比較的高値を示した健常者の血清をサンプルとして上記1)のアッセイを行い、非特異的結合の抑制率を下記式から算出したところ、89.3%と極めて高い抑制効果があることが判明した。
【0036】
また、プロクリン300の濃度による抑制効果への影響を検討したところ、図1に示すように30ppm(防腐剤としての推奨使用希釈濃度の2倍)では抑制効果は十分とは言えず、50ppm以上の濃度において特に有効であることが分かった。同じ有効成分を含む同社の製品であるプロクリン200においても、同等の抑制効果がみられた。また、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンのみを有効成分とするプロクリン950の190ppmの濃度における非特異的結合の抑制率は82.3%であった。
【0037】
非特異的結合の抑制率(%)=(A−B/A−C)×100
A:化合物を無添加時の結合率
B:化合物を添加時の結合率
C:化合物と過剰量の非標識インスリンを添加した時の結合率
【0038】
また、イソチアゾール誘導体以外の化合物は、表1に示すように、チアゾール誘導体であるバストラシン、インドール誘導体であるトリプトファン残基を含有するペプチド、ピロール誘導体であるビリルビン又はビリベルジンなどにプロクリンと同程度の非特異的結合の抑制効果があることが明らかとなった。なお、表1は、プロクリン300の抑制率を100%としたときの各化合物の抑制率を示したもので、合成ペプチドは構成アミノ酸を一文字表記で表したものである。
【0039】
<非特異的結合の抑制効果を持つ化合物とその使用濃度および非特異的結合抑制率>
【0040】
【表1】

【0041】
実施例2
1)プロクリン添加による非特異的結合の抑制効果の検討
実施例1の1)のインスリン非特異的測定法において、アッセイ緩衝液にプロクリン300(SUPELCO社:300ppm)を添加した場合と添加しない場合の2つの条件下、抗インスリン抗体を持たない健常者の血清サンプル中の抗インスリン抗体価を測定した(図2)。また、抗インスリン抗体を持つ糖尿病患者の血清サンプルについても同様に抗インスリン抗体価を測定した(図3)。
図2および3から明らかなように、健常者の抗インスリン抗体価(結合率)がプロクリンの添加により大きく低下したが、抗インスリン抗体を持つ糖尿病患者の抗体価は、プロクリンの添加に係わらずほとんど低下しなかった。
【0042】
2)1型糖尿病初発患者の抗インスリン抗体陽性率
実施例1の1)のインスリン非特異的測定法及びインスリン特異的測定法において、アッセイ緩衝液にプロクリン300(SUPELCO社:300ppm)を添加した場合と添加しない場合の2つの条件下、健常者サンプルと1型糖尿病初発患者サンプルの各抗インスリン抗体価(結合率)を測定した。健常者の測定値の平均+2SDをカットオフ値とした場合の1型糖尿病初発患者26例の抗インスリン抗体の陽性率を計算した結果を表2に示す。
【0043】
表2から明らかなように、プロクリン非添加でインスリン非特異的測定法による陽性率は15.4%(26例中4例)であった。また、プロクリン非添加でインスリン特異的測定法による陽性率は23.1%(26例中6例)であった。それに対し、プロクリン添加でインスリン非特異的測定法による陽性率は30.8%(26例中8例)であり、プロクリン添加でインスリン特異的測定法による陽性率もインスリン非特異的測定法による陽性率と同じ30.8%(26例中8例)であった。
【0044】
このように、プロクリンをアッセイ緩衝液に添加するだけで、添加しない場合に比べ陽性率が向上し、非標識インスリン添加の有無による差をみるインスリン特異的結合率と同様の性能を得ることができることが明らかとなった。したがって、従来行われていた非特異的な結合の影響を除くために必須であった過剰量のインスリンを添加して測定する対照測定を行う必要がなくなり、測定のコストと手間を従来法の2分の1にでき、効率的な抗インスリン抗体の測定が可能となる。
【0045】
<測定法とイソチアゾリノン誘導体添加有無による1型糖尿病患者のインスリン抗体陽性率への影響(カットオフ値=健常者の平均+2SD)>
【0046】
【表2】

【0047】
また、カットオフ値を平均+3SDとした場合、すなわち陽性の判定の基準値をより厳しい値にしたときの1型糖尿病初発患者26例の抗インスリン抗体陽性率を計算した結果を表3に示す。
【0048】
この場合でもプロクリン添加のインスリン特異的測定法での陽性率は30.8%と変わらなかったのに対し、プロクリンを添加しないインスリン特異的測定法の陽性率は26.9%に低下した。このことは、より厳密な測り分けが必要な場合にはインスリン特異的測定法の方が優れていることを裏付けるものであり、より精度を求めてインスリン特異的測定法を採用する場合、測定コストの削減のためにインスリン非特異的測定法を採用する場合のどちらの場合においても、プロクリンを添加した方が非特異的結合の抑制効果により、プロクリンを添加しない場合よりも1型糖尿病患者の抗インスリン抗体の陽性率は高くなり、測定法として優れていることが明らかとなった。
【0049】
<測定法とプロクリン添加の有無による1型糖尿病患者の抗インスリン抗体陽性率への影響(カットオフ値=健常者の平均+3SD)>
【0050】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、プロクリン300の濃度によるインスリン非特異的結合の抑制率への影響を示したものである。
【図2】図2は、プロクリン添加による健常者血清のトレーサー結合率への影響を示したものである。
【図3】図3は、プロクリン添加による抗インスリン抗体を持つ糖尿病患者血清のトレーサー結合率への影響を示したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応系に複素環構造を持つ低分子化合物を共存させ、標識抗原と当該抗原に対する自己抗体とを競合反応させてサンプル中の自己抗体を測定する方法。
【請求項2】
複素環構造を持つ低分子化合物として、チアゾール誘導体、イソチアゾール誘導体、インドール誘導体またはピロール誘導体から選ばれた化合物の1種又は2種以上用いる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
複素環構造を持つ低分子化合物として、プロクリン(商品名)、ビリルビン、ビリベルジン、バシトラシン、又はトリプトファン残基を含有するペプチドから選ばれた化合物の1種又は2種以上用いる、請求項1記載の方法。
【請求項4】
標識抗原が、標識された蛋白質抗原である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
標識抗原が放射性同位元素で標識されたインスリンであり、自己抗体が抗インスリン抗体である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
非標識抗原を過剰量使用した対照測定を行わない、請求項1記載の方法。
【請求項7】
標識抗原と当該抗原に対する自己抗体とを競合反応させてサンプル中の自己抗体を測定するためのキットであって、反応系に複素環構造を持つ低分子化合物を共存させることを特徴とする、自己抗体測定用キット。
【請求項8】
複素環構造を持つ低分子化合物を含む試薬を構成試薬の1つとして添付する、請求項7記載のキット。
【請求項9】
複素環構造を持つ低分子化合物として、チアゾール誘導体、イソチアゾール誘導体、インドール誘導体またはピロール誘導体から選ばれた化合物の1種又は2種以上用いる、請求項7記載のキット。
【請求項10】
複素環構造を持つ低分子化合物として、プロクリン(商品名)、ビリルビン、ビリベルジン、バシトラシン、又はトリプトファン残基を含有するペプチドから選ばれた化合物の1種又は2種以上用いる、請求項7記載のキット。
【請求項11】
標識抗原が、標識された蛋白質抗原である、請求項7記載のキット。
【請求項12】
標識抗原が放射性同位元素で標識されたインスリンであり、自己抗体が抗インスリン抗体である、請求項7記載のキット。
【請求項13】
標識抗原と当該抗原に対する自己抗体とを競合反応させてサンプル中の自己抗体を測定する方法において、反応系に複素環構造を持つ低分子化合物を共存させ、サンプル中の自己抗体以外の蛋白質と標識抗原との非特的結合を抑制する方法。
【請求項14】
複素環構造を持つ低分子化合物として、チアゾール誘導体、イソチアゾール誘導体、インドール誘導体またはピロール誘導体から選ばれた化合物の1種又は2種以上用いる、請求項13記載の方法。
【請求項15】
複素環構造を持つ低分子化合物として、プロクリン(商品名)、ビリルビン、ビリベルジン、バシトラシン、又はトリプトファン残基を含有するペプチドから選ばれた化合物の1種又は2種以上用いる、請求項13記載の方法。
【請求項16】
標識抗原が、標識された蛋白質抗原である、請求項13記載の方法。
【請求項17】
標識抗原が放射性同位元素で標識されたインスリンであり、自己抗体が抗インスリン抗体である、請求項13記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−90908(P2006−90908A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−278587(P2004−278587)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【出願人】(000006770)ヤマサ醤油株式会社 (56)
【Fターム(参考)】