説明

自己締着型磁気装置および該磁気装置制御用のコントロールユニット

本発明は、鉄製エレメント(P1)を磁気的クランプするための磁気装置(10A、10B、10C、10D、10E、10F)に関するものであり、この磁気装置は、複数のポールピース(30A)を備える、所定の厚さ(S)の支持構造(11、11A)と、前記支持構造(11、11A)における比較的大きな対向する表面に形成された第1および第2のサイド(12、13)とを有し、前記複数のポールピース(30A)のポールピースは、少なくとも1つの第1のポールピースコレクタ(50)を有し、各第1のポールピースコレクタ(50)の側方部分(50A)が前記第1のサイド(12)の一部分を形成し、前記ポールピース(30A)は、少なくとも第1の磁束(F1)を前記第1のサイド(12)上に形成し、第1の鉄製エレメント(P1)を磁気的にクランプする。この磁気装置(10A、10B、10C、10D、10E、10F)は、前記磁気装置の少なくとも1つの動作状態において、前記第1の磁束(F1)が、第2の鉄製エレメント(P2)を磁気的にクランプするために、前記第2のサイド(13)に第2の磁気クランプ面を規定し、前記第1の磁束(F1)は、前記第2のサイド(13)から発し、所定の磁界深度(T)を備える隣接ポールピース(30A)に再閉路することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己固着型磁気装置およびそのコントロールユニットに関するものであり、とりわけ自己固着型磁気装置は、この磁気装置が作動状態にあるときに金属エレメントを磁気的にクランプすることができ、この磁気装置が非作動状態にあるときに前記金属エレメントを解放する。
【0002】
ここで用語「磁気装置」は以下のことを意味する。
・永久磁石装置、すなわちその状態をアクティブからインアクティブに、またはその反対に切り替えるため、またはクランプのために使用される場合に電力を必要としない装置であって、装置内に適切に配置された永久磁石により形成されるもの。
・電子永久磁石装置、すなわちクランプのために使用する場合には電力を必要としないが、それが作動および非作動されるためには電力を必要とする装置であって、可逆永久磁石と、必要であれば装置内に適切に配置された静止永久磁石により形成されるもの。
・電磁石装置、すなわちクランプのために電力供給を必要とし、磁気コアが強磁性材料からなるもの。
【背景技術】
【0003】
図1Aと1Bに示された従来技術の磁気クランプ装置1は、例えば電気永久磁石デュアルマグネット型であり、強磁性材料のブロックからなるハウジング2を有し、このハウジングは底部2Bと、底部の内面2C上に配置されたN個のポールピース3Aとを備える。
【0004】
その他、ハウジング2は種々のコンポーネントを、当業者には公知の方法により組み立てることによって作製することができる。
【0005】
各ポールピース3A(図1B参照)は、電子永久磁石装置の場合、少なくとも、
・1つのポールピースコレクタ5、
・1つの可逆永久磁石コア4、そして
・可逆永久磁石コア4の周囲に拡がる磁化状態を変化するための1つの電気コイル3(ソレノイドとしても知られる)を有する。
【0006】
とりわけ電気コイル3は、可逆永久磁石4を収容するための空間を画定するように構成されている。可逆永久磁石はAlNiCo型の磁石であり、その上にポールピースコレクタ5が配置される。
【0007】
さらにポールピース3Aはまた、フェライトまたはNdFeBからなる1つまたは複数の静止磁石9を有する。この静止磁石9は、金属エレメントPをクランプするために付加的な永久磁界を発生することができるよう適切に配向されている。
【0008】
また公知技術によれば、ポールピース3Aは、例えば適切なホール7に収容されたネジ6によってハウジング2と関連されており、ソレノイド3と可逆磁石4をパック内に、アセンブリとしてクランプすることができる。
【0009】
さらに、金属エレメントPにマッチングするためにとくに必要であれば、ポール延長部14を1つまたは複数のポールピース3Aに関連させることができる。
【0010】
樹脂製鋳造ステップ10が設けられており、これにより磁気装置1は不純物および/または液体の浸透に対して実質的に不浸透性であり、隙間を充填することができる。
【0011】
図1Aと1Bを参照すると、各ポールピース3Aのポールピースコレクタ5が、正方形の平面形状を備える、平行六面体の強磁性ピースからなることが分かる。
【0012】
ここで使用されるよう用語「ポールピースコレクタ5」とは、一方の側5Aの表面が、磁気装置1が非作動のときに磁気的に中性であり、磁気装置1が作動されるときに磁気的にアクティブになるエレメントを指すよう意図するものである。
【0013】
言い替えると、ポールピースコレクタ5は、その6つの面のうちの4つの面で磁界が1つの方向に配向されており、第5の面では磁界の方向を、他の4つの面の磁界方向と同じまたは反対の極性に変化することができ、第6の面は面5Aと同じであり、
・第5の面に発生された磁界が、他の4つの面の磁界と反対の極性を有するとき(磁気装置が非作動である)、磁気的に中性であり、
・第5の面に発生された磁界が、他の4つの面の磁界と同じ極性を有するとき(磁気装置が作動されている)、磁気的にアクティブである。
【0014】
簡単に言えば、ポールピースコレクタ5は、可逆永久磁石コア4により発生された磁束を面5Aの表面に伝達し、磁気的なクランプ表面2Aを形成するように設計されたエレメントである。
【0015】
「N個の」ポールピースコレクタ5の面5Aの表面は全体として、機械加工すべき金属エレメントPをしっかりとクランプするための磁気的クランプ表面2Aを形成する。
【0016】
さらにここで使用される、磁気装置に関しての「アクティブ/インアクティブ」の用語は、可逆永久磁石4の磁化状態を、適切な磁界を電気コイル3に発生することのできる電気制御によって変化できることを意味するためのものである。
【0017】
磁気装置1が非強磁性材料からなる表面上にある場合、ハウジング2は可逆永久磁石コア4により形成されるすべての磁束が、底部2Bの厚さH内に含まれるような底部2Bを有する。
【0018】
したがって磁気装置1がいったん作動されると、底部2Bの外側表面2D、すなわち磁気装置1の座面には磁気的クランプ力が存在しない。
【0019】
したがって表面2Dは磁気的に中性である。
【0020】
厚さHは、磁束が短絡され、磁束が底部から漏れることを阻止するように構成されている。
【0021】
この目的のために、厚さHは、磁束が表面2Dから漏れないように、また磁気装置1の所要の機械抵抗に寄与するように適切に寸法設計されている。
【0022】
このような機械装置は、通例、金属エレメント加工装置と関連して使用される。これは一般的には、工作機械または強磁性ワークピースクランプ装置である。
【0023】
とりわけ磁気装置1のハウジング底部2Bの外表面2Dは、そのような工作機械と機械的に結合されている。
【0024】
したがっていったん磁気装置1が作動されると、クランプ表面2Aは、機械加工すべき金属エレメントPを磁気的に保持することができ、底部2Bの外側表面2Dは工作機械と機械的に結合される。
【0025】
磁気装置と工作機械は、取り外し可能にまたは恒久的に結合することができる。
【0026】
例えば磁気装置の底部2Bを工具のフレーム(またはベッド)と取り外し可能に結合すべき場合、万力、ボルトおよび/またはネジのように磁気装置を金属エレメントの機械加工中に機械的に保持することのできる結合手段が使用される。
【0027】
実際には、金属エレメントPの機械加工に先立って、磁気装置1の底部2Bを、まず前記結合手段の1つまたは組合せによって工作機械に機械的に結合し、表面2Dが機械ベッドに対して適切に運動するようにしなければならない。
【0028】
次に、金属エレメントPをクランプ表面2Aの上に配置し、磁気装置を作動させて、金属エレメントPをクランプ表面に機械的にクランプする。
【0029】
ハウジング2の底部2Bと工作機械との間の結合は、機械的な点接合であるにもかかわらず、パーツは結合手段が存在するポイントでだけ結合される。
【0030】
このことは、金属エレメントPの機械加工中の不所望な機械ストレスの原因となり、振動吸収も不十分である。そのため、金属エレメントの機械加工精度にも影響する。
【0031】
さらに磁気装置を、現在機械的に結合されているもの以外の別の工作機械とともに使用しなければならない場合には、すべての機械的結合を除去しなければならないが、このことは労働時間の点で高いコストが掛かり、シャットダウンのため生産性も低下する。
【0032】
上記のことから、金属エレメントをクランプするための磁気装置の製造業者も、そのユーザも、金属ワークピースの機械加工により誘発される振動を除去する磁気装置を強く必要としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
さらに磁気装置の使用性を改善し、種々異なる工作機械を迅速に交換することができ、上記の結合手段を必要とせず、または少数の結合手段しか必要とせずに、機械ベッドとの結合を保証することが必要である。したがって本発明が基礎とする課題は、上記の必要性を満たす構造および機能を特徴とし、上記従来技術の欠点を除去する、金属ワークピースをクランプするための磁気装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0034】
この課題は、磁気装置がアクティブ状態のときに金属エレメントを磁気的にクランプし、磁気装置がインアクティブ状態のときに前記金属エレメントを解放する、請求項1に記載された磁気装置によって解決される。
【0035】
この課題はまた、金属エレメントを磁気的にクランプする磁気装置の動作条件を制御する、請求項18に記載されたコントロールユニットにより解決される。
【0036】
本発明の装置は、工具から鉄製ワークピースに機械加工中に伝達される振動を有意に減衰する。なぜならこの装置は工具のベッドと合体されているからである。
【0037】
さらに本発明のおかげで、磁気装置の底部は工具のベッドに、機械的結合部なしで自己締着することができ、クランプ表面に磁気的にクランプされた金属ワークピースP上で機械的な機械加工プロセスが実行される。
【0038】
本発明の磁気装置のさらなる側面および利点は、有利な実施例の以下の説明および添付図面から明らかである。この実施例は説明のためのものであり、限定ではない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1A】従来技術の磁気装置の斜視図である。
【図1B】図1Aの磁気装置のラインII−IIに沿った部分断面図である。
【図2A】機械加工すべきワークピースと関連する本発明の磁気装置とコントロールユニットの斜視図である。
【図2B】図2Aの磁気装置の詳細な部分展開断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の断面図である。
【図4A】図3に示した磁気装置の動作ステップを示す図である。
【図4B】図3に示した磁気装置の動作ステップを示す図である。
【図4C】図3に示した磁気装置の動作ステップを示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態の断面図である。
【図6A】図5に示した磁気装置の動作ステップを示す図である。
【図6B】図5に示した磁気装置の動作ステップを示す図である。
【図6C】図5に示した磁気装置の動作ステップを示す図である。
【図7A】本発明の磁気装置の第3の実施形態の断面図である。
【図7B】本発明の磁気装置の第4の実施形態の断面図である。
【図8A】本発明の磁気装置の第5の実施形態を、異なる操作ステップで示す断面図である。
【図8B】本発明の磁気装置の第5の実施形態を、異なる操作ステップで示す断面図である。
【図8C】本発明の磁気装置の第6の実施形態を、異なる操作ステップで示す断面図である。
【図8D】本発明の磁気装置の第6の実施形態を、異なる操作ステップで示す断面図である。
【図9】本発明の磁気装置の使用を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明を、電気永久磁石デュアルマグネット型の磁気装置を参照して説明するが、永久磁石、電磁石、または手動操作装置を使用しても同様の結果が得られる。
【0041】
添付の図2Aと2Bを参照すると、数字10Aは本発明の磁気クランプ装置全体を示す。金属エレメントP1を磁気的にクランプするための磁気装置10Aは本発明は、厚さSのN個のポールピース30Aを備える支持構造11を有する。
【0042】
とりわけ支持構造11は、それぞれ対向する大きな平面にある第1と第2の側12、13により形成されている。とりわけ第1と第2の側12、13は互いに平行に延在しており、これによりそれぞれの平面を規定している。
【0043】
この下に示すように、例えばサイド12により規定される平面は、機械加工すべき金属エレメントP1が磁気的にクランプされる平面として設計され、サイド13により規定される他方の平面は、工具のベッドのような金属材料P2に磁気的にクランプされる平面として設計されている。
【0044】
有利にはコントロールユニット100が、このような装置の動作条件を制御するために磁気装置10Aに接続されている。
【0045】
とりわけコントロールユニット100は磁気装置10Aと電気的に関連しており、電気接続101を介して電気コイル30を制御し、磁気コア40の磁化状態を、特別の動作条件に応じて変化させる。
【0046】
コントロールユニット100は複数のボタン102を有し、これらは磁気装置10Aの動作をコントロールする操作者により、下にさらに詳細に説明する動作条件に応じて押される。
【0047】
とりわけポールピース30Aは、少なくとも1つの第1のポールピースコレクタ50を有し、その側方部分50Aは第1のサイド12の一部を形成する。
【0048】
とりわけ、第1のポールピースコレクタ50は有利には、支持構造11を備える1つの部材から形成され、モノリシックな磁気装置10Aを形成している。
【0049】
図2Bに示すように、第1のポールピースコレクタ50は支持構造11の一部分であり、材料除去のような機械的処理によって形成されるように設計されている。
【0050】
この目的のために、支持構造11は、支持構造11の厚さS内に凹部を有する。
【0051】
このような凹部は、第1のポールピースコレクタ50を規定し、ポールピース30Aを形成するエレメントを受け入れるように構成されており、これについては後で詳述する。
【0052】
有利には凹部は、第2のサイド13の外表面から支持構造11の厚さS内を延在する第1の凹部R1を含む。
【0053】
第1のコレクタ50の底部50Bを規定することに加えて、これらの凹部R1は、ポールピース30Aを構成する複数のエレメントを受け入れるように設計されている。
【0054】
実際、凹部R1は、支持構造11の厚さS内に形成されており、第2のサイド13の外表面から深さS’で延在し、第1のポールピースコレクタ50の底部50Bを形成し、ポールピース30Aを構成するエレメントの一部分を受け入れるように適切に成形されている。
【0055】
さらに凹部は、第1のサイド12の外表面から支持構造11の厚さS内を延在する第2の凹部R2を含む。
【0056】
これらの凹部R2は、ポールピースコレクタ50の側面50Cを規定し、ポールピース30Aを構成する付加的なエレメントを受け入れるように設計されている。
【0057】
第1のコレクタ50の側面50Cは、第1および/または第2のサイド12、13に対して実質的に横に延在している。
【0058】
とりわけ側面50Cはサイド12の一部分を形成しない。
【0059】
言い替えると、R2は支持構造11の厚さS内に、第1のサイド12から深さS"まで形成されており、第1のポールピースコレクタ50の側面50Cを形成し、ポールピース30Aを形成する付加的なエレメントを受け入れるように成形されている。
【0060】
ポールピース30Aの展開図であり、磁気装置10Aを形成の一部断面図である図2Bに示されているように、ポールピース30Aは少なくとも1つの第1の磁気コア40と電気コア30を含み、電気コイルは磁気コアの周囲に、磁気コア40の磁化状態を変化させるために延在している。
【0061】
例えば第1の可逆磁気コア40は、AlNiCo型の可逆永久磁石により実現されている。
【0062】
有利にはポールピース30Aは、第2のポールピースコレクタ60を有し、その側方部分60Aは前記第2のサイド13の一部分を形成する。
【0063】
第1のポールピース60は、磁気コア40をクランプするために第1の磁気コア40に接して配置されており、電気コイル30は第1のポールピースコレクタ50の底部50Bに接するようパックされている。
【0064】
さらに図2Bを参照すると、ポールピース30Aはさらに第2の磁気コア90を含むことができる。
【0065】
これら第2の磁気コア90は、当業者には周知の技術を用いて第1のポールピースコレクタ50の面に適切に配向され、接近して配置されている。
【0066】
第2の磁気コア90は好ましくは、フェライト製またはNdFeB製の、永久的に磁化された不可逆的磁気コアにより実現されている。
【0067】
さらに図3を参照すると、これら磁気コア90を被覆する目的で、ギャップ10を例えばレジンにより充填し、不純物および/または液体の浸透に対して不浸透性を確保するステップが設けられている。
【0068】
有利には好ましい磁気装置10Aの実施例において、これらのエレメントは円形平坦形状エレメントにより実現されている。
【0069】
とりわけ以下のように実施される:
・第1の磁気コア40は、厚さH、直径Dのシリンダ体により実現されており、
・電気コア30は、厚さH1、直径D1の環状エレメントにより実現されており、ここでD1はDより大きく、
・第2のポールピースコレクタ60は、あらかじめ定められた厚さH2、磁気コア40の直径と同じ直径Dのシリンダ体により実現されており、
・第2の磁気コア90は、直径D1と厚さH2の環状エレメントの複数の部分によって実現されている。
【0070】
第2のポールピースコレクタ60の厚さH1は、磁気コア40により発生された磁束または磁束のほとんどが磁気的にアクティブになる第2のサイド13の表面に放射されるように構成されている。これは、磁気装置10Aを第2のサイド13によりクランプするのに十分な磁力が得られるようにするためである。
【0071】
その他に、N個のポールピース30Aを形成するエレメントは、正方形、長方形、または他の形状を有することができる。
【0072】
「N個の」ポールピース30Aは構造11内に、所定の幾何パターンにしたがうことなく自由に配置することができる。
【0073】
それにもかかわらず好ましい実施例によれば、「N個の」ポールピース30Aが構造11内に所定のパターンにしたがって配置されており、例えば「N個の」ポールピース30Aは、マトリクスパターン(図2A参照)にしたがって配置することができる。
【0074】
好ましくは「N個の」ポールピース30Aの中心Cは、マトリクスを形成する列および/または行に沿って配置される。
【0075】
有利には装置10Aの通常の使用モードによれば、ホール15はポールピースコレクタ50の中心Cに形成することができる。
【0076】
イタリア特許願第2007A001227号に開示されたファスナーデバイス16が、各ホール15と関連することができる。
【0077】
ポール延長部(図示せず)の脚は、このようなファスナーデバイス16に関連することができる。
【0078】
ポール延長部の技術的および動作的特徴の説明は、例えばイタリア特許第1222875号および特許願第2007A001353号に記載されているようなポール延長部の利点と同じである。
【0079】
とりわけホール15がポールピース30Aの中心Cに形成されており、ポールピース30Aがマトリクスパターンに配列されていれば、ホール15は直交デカルト座標軸X−Yの基準系の軸に平行な所定の軸に沿って整列される。
【0080】
次に、磁気装置10Aの静的特性について、図3と図4Aから4Cを参照して説明する。動作特性についてはさらに後で説明する。
【0081】
とりわけ図4Cを参照すると、ポールピース30Aは、磁気装置10Aが動作条件にあるとき、すなわち磁気的にアクティブなときに、少なくとも第1の磁束を第1のサイド12に発生する。
【0082】
このような磁束F1は、第1の鉄製エレメントの磁気的クランプを保証することができる。
【0083】
有利には第1の磁束F1は、第2のサイド13における付加的な磁気クランプ面を規定する。このクランプ面は、第2の鉄製エレメントP2(図4C参照)を磁気的にクランプするためのものである。
【0084】
言い替えると、磁気装置10Aが動作状態にあるとき、ポールピース30Aは、第2の鉄製エレメントP2の磁気的クランプを保証する少なくとも同じ磁束を発生する。
【0085】
ポールピース30Aから放射される磁束F1は、これに左に隣接するポールピースから放射される磁束とは反対の方向を有しており、いわゆる双方向回路を形成する。
【0086】
双方向磁気回路の動作と利点は米国特許第4356467号に記載されている。
【0087】
したがって第1の磁束F1は第2のサイド13から、所定の磁界深度Tで放射される。
【0088】
ここで使用される用語「磁界深度T」は、全磁束F1が2つの異なる隣接ポールピース30A間をショートすることができる、第2のサイド13の外表面からの最小間隔を意味するものである。
【0089】
とりわけ磁気装置10Aにより第2のサイド13の表面から発生され、第2のサイド13から放射される磁界は磁界深度Tを有しており、これは第2のポールピースコレクタ60の最大長さ寸法に等しい。
【0090】
第2のポールピースコレクタ60の最大長さ寸法とは、次のことを意味する:
・第2のポールピースコレクタ60がシリンダであれば、最大長さ寸法は、高さおよび/または直径間で選択される最大値である;
・第2のポールピースコレクタ60が立方体であれば、最大長さ寸法は、サイドの値である;
・第2のポールピースコレクタ60が平行六面体であれば、最大長さ寸法は、サイドと高さおよび/または幅の間の最大値である。
【0091】
したがって磁束は、サイド13の表面から発生され、鉄製エレメントP2を磁気装置10Aにしっかりと確保するのに十分な磁力を発生するような磁界振動Tを有する。
【0092】
「鉄製エレメントP2を磁気装置10Aにしっかりと確保するのに十分な磁力」とは、このような磁気装置10Aが第1のサイド12の表面に発揮することのできる最大力よりも少なくとも15%大きな力の値を意味する。
【0093】
磁気装置10Aの通常動作条件では、図9の例に示されているように、第2のサイド13の表面のクランピング条件は、第1のサイド12の表面のクランピング条件よりも良好である。
【0094】
第2のサイド13の表面は全体で覆われている。なぜならこの第2のサイド13は工具ベッドと完全に接触しているからである。一方、第1のサイド12は機械加工すべき鉄製ワークピースP1と関連し、このワークピースは通例、第2のサイド12の表面よりも小さく、一般的には大きなギャップを有する。
【0095】
したがって工具ベッドと、磁気装置10Aの第2のサイド13との間のギャップは非常に小さく、一方、第1のサイド12と機械加工すべき鉄製ワークピースP1との間には重大なギャップが存在することになる。
【0096】
したがってこれらの条件の下で、第2のサイド13の表面に展開される磁力値は、第1のサイド12の表面に展開される磁力値よりも小さい。
【0097】
図3を参照すると、磁気コア90が実際に凹部R2に収容されており、凹部R2は第2の磁束F2を第1のクランプサイド12に発生することができる。これにより第1の鉄製エレメントP1は前記第1の磁束F1と第2の磁束F2により磁気的にクランプされる。
【0098】
したがって図3と4Aから4Cに示した磁気装置10Aは3つの異なる動作状態を有することができる。すなわち:
・アクティブ状態;
・インアクティブ状態;
・取付け/取り外し状態。
【0099】
図3と図4Aから4Cに示された磁気装置10Aはコントロールユニット100を必要とし、このコントロールユニットは第1の磁気コア40により発生される磁界を適切に変化することができる。
【0100】
とりわけこのようなコントロールユニット100は、上記3つの異なる動作状態において電力制御を行う電気コントロールユニットである。
【0101】
とりわけコントロールユニット100は、3つの異なる動作状態のそれぞれに対して特別の制御を実行する。すなわち、
・アクティブ状態では、磁化サイクルが第1の磁気コア40で一方の方向に実行される;
・インアクティブ状態では、磁化サイクルが第1の磁気コア40で他方の方向に実行される;
・取付け/取り外し状態では、減磁サイクルが第1の磁気コア40で実行される。
【0102】
言い替えるとコントロールユニット100は:
・表面12の活性化のために、第1の磁気コア40の磁界が、第2の磁気コア90により発生される磁界と同じ方向を有するようにし、
・表面12の非活性化のために、第1の磁気コア40の磁界が、第2の磁気コア90により発生される磁界と反対の方向を有するようにし、
・第1の磁気コア40を減磁して、磁気装置10Aの取付けおよび/または取り外しができるようにする。
【0103】
この目的のためにコントロールユニット100は、少なくとも2つの電子管(ダイオード、SCR等)の逆並列回路を有する電気回路により実現されており、アクティブ動作状態では電流の正の半波を通過させ、インアクティブ動作状態では電流の負の半波を通過させ、取付け/取り外し状態では電流の正と負の半波の組合せを通過させる。
【0104】
したがって磁気装置10Aの動作ステップを示す図4Aから4Cを参照すると、第2のサイド13の表面を非活性化するために、上記のコントロールユニット100により実行される特定の手順が示されている。
【0105】
とりわけ図4Cを参照すると、磁気装置10Aの第1のサイド12と第2のサイド13がアクティブであり、この状態では永久磁石40の磁界が、永久磁石90により発生される磁界と同じ方向を有する。
【0106】
この動作状態は、磁気装置10Aをしっかりとロックし、または強磁性エレメントP2への自己締付けを可能にする。
【0107】
したがってこの動作状態は強磁性エレメントP1の安全な機械加工を可能にし、磁気装置10Aはしっかりとロックするか、または図9を参照して説明した工具ベッドとすることのできるエレメントP2に締め付けられる。
【0108】
したがって磁気装置10Aがアクティブ動作状態の場合、
・第1のサイド12が、第1の鉄製エレメントP1を磁気的にクランプするための第1のクランプ面を、第1の磁束F1および/または第2の磁束F2により形成し、
・第2のサイド13は、第2の鉄製エレメントP2を磁気的クランプするための第2のクランプ面を第1の磁束F1により形成する。
【0109】
言い替えると、磁気装置10Aがいったんアクティブ動作状態になれば、磁束線F1および/またはF2が第1のポールピースコレクタ50の表面50A上に第1の磁極を形成し、第2のポールピースコレクタ60の表面60Aに第2の磁極を形成する。
【0110】
最後に、可逆的永久磁石40により発生される磁界の磁束線F1は、第1の鉄製エレメントP1と第2の鉄製エレメントP2の両方を貫通する。
【0111】
これは、第2のサイド13の支持面11内において適切な断面の強磁性短絡回路を見つけられずに、永久磁石40により発生される磁束の量が所定の磁界深度Tに現れ、第2の鉄製エレメントP2をしっかりとクランプするのに十分となるからである。
【0112】
磁気装置10Aは強磁性底部を有していない。すなわち支持構造11は、永久磁石40により発生される磁束全体を伝達する強磁性短絡回路を有していない。
【0113】
したがって磁気装置10Aが動作状態にあるとき、第1の磁気コア40の磁界により発生される磁束線は、前記第2のサイド13が鉄製エレメントP2の上に置かれていれば鉄製エレメントP2により短絡される。
【0114】
したがって磁気回路10Aの第2のサイド13は第2の鉄製エレメントP2に磁気的に自己締着、または自己ロックする。
【0115】
したがって例えば、第1のサイド12のクランプ面が機械加工される鉄製エレメントP1の磁気的クランプに使用され、第2のサイド13が工具ベッドへの磁気的クランプに使用される。
【0116】
言い替えると、第1のサイド12は通常、機械加工される鉄製エレメントを磁気的クランプするように設計されており、第2のサイド13は、工具ベッドまたは他の強磁性エレメントを磁気的に確保することのできる磁気装置10Aの底部を形成する。
【0117】
したがって有利には、磁気装置10Aは鉄製エレメントP1を磁気的にクランプすることができ、磁気装置10Aが鉄製エレメントP2に磁気的にクランプされる、またはこれをクランプするような機械的拘束力は必要ない。
【0118】
図4Aを参照すると、不活性動作状態、すなわち磁気装置10Aは鉄製エレメントP2はしっかりと強磁性エレメントP2にロックまたは自己締着されているが、強磁性エレメントP1に安全に接近したり、これを除去したりすることのできる状態が示されている。
【0119】
この構成で、永久磁石40の磁界が、第2の磁気コア90により発生される磁界の方向と反対の方向を有しているとき、磁気装置10Aの第1のサイド12はインアクティブであり、磁気装置10Aの第2のサイド13がアクティブとなる。
【0120】
上記のことから、図4Aから4Cに示された動作状態を参照し、第1のサイド12の状態(磁気的にアクティブであるか否か)を無視すれば、第2のサイド13の表面は常にアクティブであることが分かる。
【0121】
上記の状況では磁気装置の取付けを安全に実行することができない。これは磁気装置10Aを安全に分離することができない、すなわち強磁性エレメントP2に取付けおよび/またはこれから分離することができないことを意味する。
【0122】
この取付けおよび/または取り外しステップの安全性を保障するために、第1のサイド12を完全に覆う強磁性のプレートカバーが必要である。そして第1の磁気コア40を減磁するために特定に手続を実行しなければならない。
【0123】
とりわけ図4Bを参照すると、強磁性エレメントP2と安全に関連される磁気装置10Aに対して、永久磁石40を減磁するためには強磁性プレートカバーを表面12の上に置かなければならない。
【0124】
強磁性材料のこのプレートカバーは、図4Bでは鉄製ワークピースP1と同形であり、表面12に接して配置され、有利には表面12から放射されるすべての磁束を包囲することができる。したがってこのプレートカバーと、機械加工される鉄製ワークピースP1とは別個である。
【0125】
反対に、図4Bの動作状態でコントロールユニット100はまず、第1のサイド12をアクティベートするサイクルを実行し、次に、永久磁石40を減磁するサイクルを実行する。
【0126】
この特定の動作状態で、強磁性プレートカバーは磁気装置10Aに対して、永久磁石90により発生される磁束F2だけによって確保されている。
【0127】
図5と図6Aから6Cを参照すると(前に説明したエレメントには同じ参照符合が付してある)、磁気装置10Bが示されており、この磁気装置10Bは、図3から図4Cを参照して説明した磁気装置とは、以下に述べる特定の構造面でだけ異なる。
【0128】
とりわけ凹部R1が、第2のポールピースコレクタ60、電気コイル30および第1の磁気コア40を収容するだけでなく、存在するならば第2の磁気コア90も受け入れることが分かる。
【0129】
反対に、磁気装置10Bの構造11にある凹部R2は、充填物質10を受け入れるためにだけ使用される。
【0130】
磁気装置10Bの第2のサイド13と第1のサイド12の活性状態と不活性動作状態は、有利には、磁気装置10Aを参照して示したものと入れ替えることができる。
【0131】
言い替えると、第1のサイドと第2のサイド12、13をアクティベートおよび/またはデアクティベートするコントロールユニット100により実行されるアクティブサイクルとインアクティブサイクルは、上の説明とまったく同じである。
【0132】
言い替えると、磁気装置10Aを参照すると、第2のサイドが機械加工される鉄製エレメントP1を磁気的に保持するために使用され、第1のサイド12が第2の鉄製エレメントP2への自己締着のために使用される。
【0133】
磁気装置10Bは、図6Aから6Cを参照して以下に説明するように動作する。
【0134】
とりわけアクティベートステップは、図6Bに示すように、上記磁気装置10Aの図4Cの説明と同じように行われる。
【0135】
図6Cを参照すると、強磁性エレメントP1に安全に接近し、または分離することのできる不活性状態が示されている。
【0136】
この目的のために、磁気装置10Bの第1のサイド12はインアクティブであり、第2のサイド13がアクティブである。
【0137】
この動作状態は、磁気装置10Bが強磁性エレメントP2にしっかりとロックされ、または自己締着されるために必要である。
【0138】
図6Cを参照すると、強磁性エレメントP2に安全に接近し、または分離することのできる取付けおよび/または取り外し状態が示されている。
【0139】
この目的のために、磁気装置10Bの第1のサイド12はアクティブであり、第2のサイド13がインアクティブである。
【0140】
この動作状態は、磁気装置10Bを強磁性エレメントP2から除去するために必要である。
【0141】
本発明の磁気装置の第3の実施形態を示す図7Aを参照すると(ここでも前に説明したエレメントには同じ参照符合が付してある)、磁気装置10Cが、所定の厚さKの底部13Bを有していることが分かる。
【0142】
とりわけ第1のポールピースコレクタ50の表面50Aが第2のサイド12のクランプ面の一部を形成し、第2のポールピースコレクタ60の表面60Aが第2のサイド13の表面の一部を形成する。
【0143】
とりわけ第2のポールピースコレクタ60は凹部R3により規定される。
【0144】
したがって図7Aから、第2のポールピースコレクタ60が所定の厚さH’の底部13Bならびに凹部R3により形成され、磁気装置10Cの前記第2のポールピースコレクタ60には第1の磁束F1が貫通し、前記第2の磁気的クランプ面を規定していることが分かる。
【0145】
この目的のために、永久磁石40により発生される磁束F1は、ハウジング2の第2のサイド13を形成する第2のポールピースコレクタ60の表面60Aから出てくる。
【0146】
第2のサイド13の厚さH’は、図1Bに示した従来の磁気装置のハウジング2の底部の厚さHと同等である。
【0147】
それ以外では、磁気装置の第4の実施形態10Dを示す図7Bを参照すると、第2のサイド13の厚さKが、それぞれの磁気装置の厚さHおよび/またはH’を基準にして意図的に寸法縮小されている。
【0148】
この構成によって、磁気装置10Dは、第2のポールピースコレクタ60を形成しない底部13Bの飽和の後、鉄製部分Kに放射され、これを貫通する磁束量に比例する力により自己締着される。
【0149】
言い替えると、磁気装置10Cと10Dにより発生される、底部13Bの面からの磁界は第2のサイド13から磁界深度Tまで出て来る。この磁界深度Tは、第2のポールピースコレクタ60の最大線形寸法に最大で等しい。
【0150】
図7Bを参照すると、第2のポールピースコレクタ60が凹部R3により規定されていなければ、第2のポールピースコレクタ60の最大線形寸法値を、底部13における永久磁石40の表面の投影の最大寸法であるとみなすべきである。
【0151】
鉄製部分K(または図1Aと1Bに示した従来の磁気装置ではその欠損部)および/または凹部R3のサイズの寸法縮小を適切に計算することによって、第2のサイド13における締着力を決定することができる。
【0152】
したがって磁気装置10Cまたは10Dはサイド12上で機械加工される鉄製エレメントP1のクランプに使用することができ、一方、底部13Bの表面13はベッドまたは任意の鉄製エレメントP2に自己締着することができる。
【0153】
磁気装置10Cまたは10Dの使用は常にコントロールユニット100(図7Aと7Bには示されていない)を必要とする。コントロールユニットは磁気装置10Aを参照して上に説明したのと同じ動作を有することができる。
【0154】
言い替えると、コントロールユニット100は、第1の磁気コア40の磁界を適切に操作し、これが第2の磁気コア90により発生される磁界と同じ方向を有するようにして表面12を活性化する。または反対の方向を有するようにして表面12を不活性化する。そして第1の磁気コア40を減磁して、磁気装置10Cの取付けおよび除去を可能にする。
【0155】
本発明の磁気装置の第5と第6の実施形態を示す図8Aから8D(前に説明したエレメントには同じ参照符合が付してある)を参照すると、磁気装置10Dは、例えば永久的に磁化された非可逆型の第2の磁気コア90に加えて、支持構造11が永久的に磁化された非可逆型の付加的な磁気コア90Aを有するように構成されている。
【0156】
とりわけ永久的に磁化された非可逆型磁気コア90が第2の凹部R2に収容されており、一方、付加的な永久的に磁化された非可逆型磁気コア90Aは第1の凹部R1に収容されている。
【0157】
永久的に磁化された非可逆型磁気コア90と90Aの相互の配向に応じて、2つの異なる磁気装置10Eまたは10Fを得ることができる。すなわち、
・永久的に磁化された非可逆型磁気コア90と90Aが同じ方向に配向されていれば、サイド12がアクティブであるときにサイド13がインアクティブであり、またはその反対である。これは磁気装置10Eを形成する。
・永久的に磁化された非可逆型磁気コア90と90Aが反対の方向に配向されていれば、サイド12と13は同時にアクティブまたはインアクティブとなる。これは磁気装置10Fを形成する。
【0158】
さらに注意すべことは:
・同じ方向とは、永久的に磁化された非可逆型磁気コア90が一方の極性でポールピースコレクタ50の上に配置されており、永久的に磁化された非可逆型磁気コア90Aが同じ極性で第2のポールピースコレクタ60の上に配置されていることを意味する。
・反対の方向とは、永久的に磁化された非可逆型磁気コア90が一方の極性でポールピースコレクタ50の上に配置されており、永久的に磁化された非可逆型磁気コア90Aが反対の極性で第2のポールピースコレクタ60の上に配置されていることを意味する。
【0159】
図9を参照すると、磁気装置10A、10B、10C、10D、10Eまたは10Fの可能な動作構成が示されている。
【0160】
図9で、磁気装置10A、10B、10C、10D、10Eまたは10Fの第2のサイド13は工具18のベッド17に磁気的に保持されており、一方、磁気装置10Aの第1のサイドは機械加工される鉄製エレメントP1(図示せず)を磁気的に保持する。
【0161】
磁気装置10A、10B、10C、10D、10Eまたは10Fのこの動作条件で、鉄製エレメントP1が機械加工されるとき、磁気装置10A、10B、10C、10D、10Eまたは10Fが工具18のベッド18にしっかりとロックまたは自己締着することにより、不所望の機械適応力が防止され、これにより鉄製エレメントP1の機械加工される精度が向上する。
【0162】
とくに図9に示されたように、特別な機械加工工程により要求された場合に、機械的な固定手段が磁気装置10A、10B、10C、10D、10Eまたは10Fとベッド17との間に挿入されたとしても、磁気装置10A、10B、10C、10D、10Eまたは10Fは工具18のベッド17に磁力によってのみ保持される。
【0163】
上記の説明から明らかなように、本発明の磁気装置は上記の必要性を満たし、本明細書の導入部分に述べた従来技術の欠点を克服する。
【0164】
当業者であれば、請求項に請求された本発明の枠を逸脱することなしに多数の変更および変形の実施が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
・支持構造の厚さ(S)内に保持される複数のポールピース(30A)を備える支持構造(11、11A)と、
・前記支持構造(11、11A)における比較的大きな対向する表面に形成された第1および第2のサイド(12、13)とを有する、鉄製エレメント(P1)を磁気的クランプするための磁気装置(10A、10B、10C、10D、10E、10F)であって、
・前記複数のポールピース(30A)のポールピースは、少なくとも1つの第1のポールピースコレクタ(50)を有し、
・各第1のポールピースコレクタ(50)の側方部分(50A)が前記第1のサイド(12)の一部分を形成する磁気装置において、
前記磁気装置の少なくとも1つの動作状態においては前記第1の磁束(F1)が、第2の鉄製エレメント(P2)を磁気的にクランプするために、前記第2のサイド(13)に第2の磁気クランプ面を規定し、
前記第1の磁束(F1)は、前記第2のサイド(13)から発し、所定の磁界深度(T)を備える隣接ポールピース(30A)に再閉路する、ことを特徴とする磁気装置。
【請求項2】
前記第2の鉄製エレメント(P2)を前記第2のサイド(13)の前記第2のクランプ面に対してしっかり確保するために必要な磁力は、磁気装置(10A、10B、10C、10)が前記第1のサイド(12)のクランプ面上に発揮することのできる最大の磁力よりも少なくとも15%高い力の値である請求項1記載の磁気装置。
【請求項3】
前記ポールピース(30A)は第2のポールピースコレクタ(60)を有し、
前記第2のポールピースコレクタ(60)の側方部分(60A)が前記第2のサイド(13)の一部分を形成する請求項1または2記載の磁気装置。
【請求項4】
前記第1のサイド(13)から発する前記第1の磁束(F1)の前記所定の磁界深度(T)は、前記第2のポールピースコレクタ(60)の最大長さ寸法に等しいかまたはこれより大きく、当該磁界深度は前記だい2の鉄製エレメント(P2)をしっかりクランプするように適合されている請求項3記載の磁気装置。
【請求項5】
ポールピース(30A)は、第1の磁気コア(40)を包囲する磁化を逆転させる電気コイル(30)を含む請求項1から4までのいずれか1項に記載の磁気装置。
【請求項6】
前記支持構造(11、11A)は、前記第2のポールピースコレクタ(60)、前記第1の磁気コア(40)、および前記第1の磁気コア(40)の磁化状態を変化させる前記電気コイル(30)を収容するための第1の凹部(R1)を有する請求項5記載の磁気装置。
【請求項7】
前記ポールピース(30A)は、第2の磁気コア(90)を有し、該第2の磁気コア(90)は、前記第1のサイド(12)の前記第1のクランプ面に第2の磁束(F2)を発生し、前記第1の鉄製エレメント(P1)を、前記第1と第2の磁束によって磁気的にクランプする請求項5記載の磁気装置。
【請求項8】
前記第1の磁気コア(90)を収容する第2の凹部(R2)を有する請求項7記載の磁気装置。
【請求項9】
前記支持構造(11、11A)は、前記第2のポールピースコレクタ(60)、前記第1の磁気コア(40)、および前記第1の磁気コア(40)の磁化を反転させる前記電気コイル(30)を収容するための第1の凹部(R1)を有する請求項5または7記載の磁気装置。
【請求項10】
前記第2のサイド(13)は、所定の厚さ(K)の底部(13B)から形成され、磁気装置の前記底部(13B)には、前記第2のサイド(13)の前記第2の磁気的クランプ面を規定する前記第1の磁束(F1)が貫通する請求項1から5までのいずれか1項に記載の磁気装置。
【請求項11】
前記第2のサイド(13)は所定の厚さ(H’)の底部(13B)から形成され、
第2のサイドは、前記第2のポールピースコレクタ(60)の長さ寸法を規定するように適合された第3の凹部(R3)を有する請求項1から5までのいずれか1項に記載の磁気装置。
【請求項12】
前記支持構造(11A)は、前記第1のポールピースコレクタ(50)、前記第1の磁気コア(40)、および磁化反転のための前記電気コイル(30)を収容する第1の凹部(R)を有する請求項10または11記載の磁気装置。
【請求項13】
前記ポールピース(30A)は、第2の磁気コア(90)を有し、該第2の磁気コア(90)は、前記第1のサイド(12)の前記第1のクランプ面に第2の磁束(F2)を発生し、前記第1の鉄製エレメント(P1)を、前記第1と第2の磁束(F1、F2)によって磁気的にクランプする請求項12記載の磁気装置。
【請求項14】
前記ポールピース(30A)は、第3の磁気コア(90A)を有し、該第3の磁気コア(90A)は、前記第1のサイド(12)の前記第2のクランプ面上に第2の磁束(F2)を発生し、前記第2の鉄製エレメント(P2)を、前記第1と第2の磁束によって磁気的にクランプする請求項5記載の磁気装置。
【請求項15】
前記第1の磁気コア(40)は永久的に磁化された可逆型磁気コアであり、前記第2と第3の磁気コア(90、90A)は永久的に磁化された非可逆型磁気コアである請求項5または7または14記載の磁気装置。
【請求項16】
前記複数のポールピース(30A)は、三角形、四角形、楕円形または円形の面形状を有する請求項1から15までのいずれか1項に記載の磁気装置。
【請求項17】
前記サイド(12)は複数のホール(15)を有する請求項1から16までのいずれか1項に記載の磁気装置。
【請求項18】
請求項1から13までのいずれか1項に記載の磁気装置(10A、10B、10C、10D)の動作状態をコントロールするためのコントロールユニット(100)であって、
該コントロールユニット(100)は、動作的に逆並列に接続された電子管を有し、
前記磁気装置(10A、10B、10C、10D)が活性化/不活性化動作状態にあるとき、および前記磁気装置(10A、10B、10C、10D)が取付け/取り外し状態にあるとき、該磁気装置(10A、10B、10C、10D)の動作に対して必要な動作状態に応じて、電流の正の半波および/または負の半波を通過させ、および/または電流の正と負の半波の組合せを通過させることを特徴とするコントロールユニット。
【請求項19】
鉄製エレメント(P1)を磁気的にクランプする磁気装置(10A、10B、10C、10D、10E、10F)と、鉄製ワークピースを機械加工するための装置との組み合わせにおいて、
前記磁気装置(10A、10B、10C、10D、10E、10F)は、請求項1に記載の磁気装置であり、
前記磁気装置(10A、10B、10C、10D、10E、10F)の前記第2のサイド(13)の前記第2の磁気的クランプ面は、鉄製ワークピースを機械加工するための前記装置(18)に磁気的に確保されている、ことを特徴とする磁気装置と装置との組合せ。
【請求項20】
前記ワークピースを機械加工するための装置は、工具のベッド(17)である請求項19記載の組合せ。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−519734(P2011−519734A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505642(P2011−505642)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【国際出願番号】PCT/IT2008/000279
【国際公開番号】WO2009/130722
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(509323200)テクノマグネーテ ソチエタ ペル アツィオーニ (6)
【氏名又は名称原語表記】TECNOMAGNETE S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Nerviano 31, I−20020 Lainate (MI), Italy
【出願人】(501193001)ポリテクニコ ディ ミラノ (18)
【氏名又は名称原語表記】POLITECNICO DI MILANO
【住所又は居所原語表記】Piazza Leonardo da Vinci,3220133 MILANO−Italy
【Fターム(参考)】