説明

自立型容器

【課題】多少の負荷がかかったり、内容物が少なくなったりしても、安定して自立可能な自立型容器を提供する
【解決手段】一対の折り返し片31、33を一対の両端側折り曲げ部35、37が互いに近づく方向へ折り返された状態とする。固定部23、25が下端壁11、13を内側から外側へ向かって押す状態となり、下端壁11、13の外側から多少の負荷がかかったり、容器本体3の内容物が減少したりしても、折り返し片31、33の弾性力によって、下端壁11、13が互いに離間する開いた状態を保持することができる。従って、容器本体3の自立可能な状態を補強でき、容器本体3を安定して自立させることが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体等を充填するスタンドパウチ方式の自立型容器に係り、特に安定して自立可能な自立型容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エコロジー意識の高まりに伴い、液体、ゲル状物、粉体等の容器としてプラスチック製の瓶型容器に代わり、特許文献1に示すような袋状の、いわゆるスタンディングパウチ方式の自立型容器が多く使用されている。
この自立型容器はプラスチックシート等の柔軟性材によって構成されており、通常、一対の側部シート部材が底部シート部材を介して貼り合わされて構成されている。自立型容器の下端部には側部シートと底部シートとが貼り合わせて成る一対の下端壁が設けられている。一対の下端壁は互いに対向して配置され、また一対の下端壁の両端部どうしはシールされて連結され、この連結部分に一対の下端壁連結部が形成されている。
【0003】
そして、自立型容器は、当初折り畳まれて平面的であった底部シート部材が、自立型容器に内容物を充填することによる内圧で展張し、底部が所定の幅となり、且つ一対の下端壁が外側へ広がるように湾曲して自立可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−6102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の自立型容器は、柔軟性材によって構成されているので、少しの負荷がかかるだけでも下端壁が折れ曲がって転倒してしまうことになる。
また、自立型容器に充填された内容物が少なくなり内圧が小さくなると、一対の下端壁が閉じてしまい、自立のための形状が維持できなくなってしまうという問題もある。
本発明は上記従来の問題点に着目して為されたものであり、多少の負荷がかかったり、内容物が少なくなったりしても、安定して自立可能な自立型容器の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、請求項1の発明は、一対の側部シート部材が底部シート部材を介して貼り合わされて構成された柔軟性材から成る容器本体と、前記容器本体の下端部に設けられ、前記底部シートに連なり互いに対向する一対の下端壁と、前記一対の下端壁の両端部どうしを連結する一対の下端壁連結部とを有し、内容物を充填したときに前記底部シート部材が展張して前記一対の下端壁が外側へ湾曲して自立可能となる自立型容器において、
前記一対の下端壁の内面の中央部分にそれぞれ固定される一対の固定部と、前記一対の固定部の両端に連結折り曲げ部を介してそれぞれ連結された一対の折り返し片と、前記折り返し片の前記一対の下端壁連結部に対向する部分にそれぞれ形成された両端側折り曲げ部とから成る補強部材を備え、前記一対の折り返し片を連結折り曲げ部と前記一対の両端側折り曲げ部で、一対の両端側折り曲げ部を互いに近づく方向へ折り返して、前記容器本体の自立可能な状態を補強することを特徴とする自立型容器である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載した自立型容器において、一対の折り返し片は、一対の両端側折り曲げ部が互いに近づく方向へ折り返した状態で、下端壁連結部との間に隙間を有する寸法に設定されていることを特徴とする自立型容器である。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載した自立型容器において、一対の固定部は中央部分の剛性が小さくなるように構成されていることを特徴とする自立型容器である。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかに記載した自立型容器において、一対の折り返し片を一対の両端側折り曲げ部が互いに近づく方向へ折り返したときに、一対の折り返し片の折り曲げを所定の折り返し位置で規制する規制部材を備えたことを特徴とする自立型容器である。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4に記載した自立型容器において、規制部材は一対の折り返し片の両端側折り曲げ部を境にして一方側に設けられた突起部によって構成され、前記突起部は一対の折り返し片を一対の両端側折り曲げ部が互いに近づく方向へ折り返したときに、折り返し片の両端側折り曲げ部を境に他方側に当接するものであることを特徴とする自立型容器である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の自立型容器では、多少の負荷がかかったり、内容物が少なくなったりしても、安定して自立することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係る図で自立型容器の一対の折り返し片を一対の両端側折り曲げ部が互いに離間する方向へ折り返した状態の図であり、(A)が自立型容器の斜視図、(B)が補強部材の斜視図、(C)が自立型容器の底面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る図で自立型容器の一対の折り返し片を一対の両端側折り曲げ部が互いに近づく方向へ折り返された状態の図であり、(A)が自立型容器の斜視図、(B)が補強部材の斜視図、(C)が自立型容器の底面図である。
【図3】本発明の実施の形態に自立型容器の補強部材の図であり、(A)が平面図、(B)が正面図であり、(C)が側面図である。
【図4】図1の自立型容器を畳んだ状態の底面図である。
【図5】本発明のその他の実施の形態に係る自立型容器の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態に係る自立型容器1を図面にしたがって説明する。
符号3は容器本体を示し、この容器本体3は柔軟性材であるプラスチックシートから成る袋状に形成されている。すなわち、容器本体3は、ほぼ長方形の側部シート部材5、7と、これら一対の側部シート部材5、7が底部シート部材9を介して貼り合わされて構成されている。
【0014】
容器本体3の下端部には下端壁11、13が設けられている。下端壁11は側部シート部材5と底部シート部材9とが貼り合わされた部分であり、下端壁13は側部シート部材7と底部シート部材9とが貼り合わされた部分である。下端壁11、13は互いに対向しており、また底部シート部材9に連なっている。
一対の下端壁11、13の両端部どうしはシールされ連結されており、この連結部分に一対の下端壁連結部15、17が形成されている。従って、容器本体3の底部には、底部シート部材9、一対の下端壁11、13及び一対の下端壁連結部15、17によって囲まれた凹部19が形成されている。
【0015】
符号21は補強部材を示し、この補強部材21は弾性変形可能なプラスチック板によって構成され、環状に形成されている。
補強部材21は一対の固定部23、25と、一対の固定部23、25の両端に連結折り曲げ部27、29を介してそれぞれ連結された一対の折り返し片31、33と、更に一対の折り返し片31、33の中心に形成された両端側折り曲げ部35、37とから成る。
固定部23、25の上側の縁は円弧状に形成されており、その幅寸法が中心部において最も小さく、左右方向へ進むに従って徐々に大きくなっている。従って、固定部23、25は中央部分の剛性が左右両端部よりも小さくなるように構成されている。
【0016】
折り返し片31の下側の縁は両端側折り曲げ部35の方向へいくに従って上りこう配となっており、また折り返し片33の下側の縁は両端側折り曲げ部37の方向へいくに従って僅かに上りこう配となるように傾斜している。
また、一対の折り返し片31、33の上側の縁は両端側折り曲げ部35、37を中心にして固定部23、25にいくに従って上り勾配となるように傾斜している。
【0017】
補強部材21は凹部19に収容され、固定部23、25が一対の下端壁11、13にそれぞれ固定されている。また、一対の折り返し片31、33は下端壁11、13に固定されておらず、両端側折り曲げ部35、37は容器本体3の一対の下端壁連結部15、17に対向している。
図1(A)(B)(C)に示すように、容器本体3に内容物を充填したときに内圧によって底部シート部材9が展張して一対の下端壁11、13が補強部材21の固定部23、25と共に外側へ湾曲して自立可能な状態となる。
【0018】
次に、図2(A)(B)(C)に示すように、折り返し片31を指で押して、連結折り曲げ部27、29を両端側折り曲げ部35で折り、両端側折り曲げ部37側へ折り返す。また、折り返し片33も同様に連結折り曲げ部27、29を両端側折り曲げ部37で折り、両端側折り曲げ部35側へ折り返す。これにより、一対の折り返し片31、33は一対の両端側折り曲げ部35、37が互いに近づく方向へ折り返された状態となり、一対の折り返し片31、33を指で押さない限り、図1の状態には戻らない。
【0019】
一対の折り返し片31、33を一対の両端側折り曲げ部35、37が互いに近づく方向へ折り返すと、一対の折り返し片31、33の弾性力が固定部23、25を互いに離間する方向へ作用する。従って、固定部23、25が下端壁11、13を内側から外側へ向かって押す状態となる。よって下端壁11、13の外側から負荷がかかったり、容器本体3の内容物が少なく内圧が小さくなったりしても、折り返し片31、33の弾性力によって、折れ曲がることはなく、下端壁11、13が互いに離間する開いた状態を保持することができる。
このように、補強部材21によって容器本体3の自立可能な状態を補強することにより、容器本体3の自立可能な状態を確実に保持することが可能となり、容器本体3を安定して自立させることができるようになる。
【0020】
固定部23、25は中央部分の剛性が左右両端部よりも小さくなるように構成されているので、固定部23、25は中央部分が大きく湾曲し、一対の下端壁11、13が滑らかな円弧状に湾曲するので、自立型容器1の外観を美しく見せることができる。
【0021】
自立型容器1の内容物を使い終わり廃棄する場合は、図1に示したように、一対の折り返し片31、33を一対の両端側折り曲げ部35、37が互いに離間する方向へ折り返す。更に図4に示すように補強部材21を固定部23、25どうしが接合する状態にして、容器本体3を扁平な状態に畳む。
一対の折り返し片31、33を一対の両端側折り曲げ部35、37が互いに離間する方向へ折り返すと、固定部23、25に作用している弾性力が解除される。従って、容器本体3を扁平な状態に畳むことが可能となる。
なお、図1に示した一対の折り返し片31、33は、一対の両端側折り曲げ部35、37が互いに近づく方向へ折り返した状態で、一対の両端側折り曲げ部35、37と下端壁連結部15、17との間に隙間がある寸法に設定されているので、一対の両端側折り曲げ部35、37が下端壁連結部15、17に接触することはなく、補強部材21を固定部23、25どうしが接合するまで畳むことができる。
【0022】
図5にその他の実施の形態に係る自立型容器41を示す。
この自立型容器41は規制部材としての突起部43、45を備えた点を除き、上記自立型容器1と同じ構成を有しているので、その相違点についてのみ説明し、その他の説明は省略する。
【0023】
自立型容器41の一対の折り返し片31、33には突起部43、45がそれぞれ形成されている。折り返し片31の突起部43は基端部が両端側折り曲げ部35を境にして一方側、すなわち図5において下側に固着されており、先端部は自由端となっている。また、折り返し片33の突起部45は基端部が両端側折り曲げ部37を境にして一方側、すなわち同図において上側に固着されており、先端部は自由端となっている。
【0024】
図5において仮想線で示すように、一対の折り返し片31、33が一対の両端側折り曲げ部35、37側へ折り返された状態では、突起部43、45はそれぞれの先端部を下端壁連結部15、17側へ向けた姿勢となっている。そして、一対の折り返し片31、33を一対の両端側折り曲げ部35、37が互いに近づく方向へ折り返すと、突起部43の先端部が折り返し片31の両端側折り曲げ部35を境にして他方側、すなわち上側部分に圧接して屈曲した状態となり、また突起部45の先端部が折り返し片33の両端側折り曲げ部37を境にして他方側、すなわち上側部分に圧接して屈曲した状態となる。これにより、一対の折り返し片31、33の折り曲げが所定の折り返し位置(折り返し角度)で規制される。
【0025】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
例えば、容器本体3はプラスチックシートによって構成したが、本発明はこれに限定されず、金属箔等の積層シートによって構成してもよい。
また、補強部材21はプラスチック製に限定されず、厚紙等他の材料によって構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の自立型容器は食品等を充填、包装するための包装材製造業において利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0027】
1…自立型容器 3…容器本体 5、7…側部シート部材
9…底部シート部材 11、13…一対の下端壁
15、17…一対の下端壁連結部 19…凹部 21…補強部材
23、25…固定部 27、29…連結折り曲げ部
31、33…折り返し片 35、37…両端部折り曲げ部
41…自立型容器 43、45…突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の側部シート部材が底部シート部材を介して貼り合わされて構成された柔軟性材から成る容器本体と、前記容器本体の下端部に設けられ、前記底部シートに連なり互いに対向する一対の下端壁と、前記一対の下端壁の両端部どうしを連結する一対の下端壁連結部とを有し、内容物を充填したときに前記底部シート部材が展張して前記一対の下端壁が外側へ湾曲して自立可能となる自立型容器において、
前記一対の下端壁の内面の中央部分にそれぞれ固定される一対の固定部と、前記一対の固定部の両端に連結折り曲げ部を介してそれぞれ連結された一対の折り返し片と、前記折り返し片の前記一対の下端壁連結部に対向する部分にそれぞれ形成された両端側折り曲げ部とから成る補強部材を備え、前記一対の折り返し片を連結折り曲げ部と前記一対の両端側折り曲げ部で、一対の両端側折り曲げ部を互いに近づく方向へ折り返して、前記容器本体の自立可能な状態を補強することを特徴とする自立型容器。
【請求項2】
請求項1に記載した自立型容器において、一対の折り返し片は、一対の両端側折り曲げ部が互いに近づく方向へ折り返した状態で、下端壁連結部との間に隙間を有する寸法に設定されていることを特徴とする自立型容器。
【請求項3】
請求項1または2に記載した自立型容器において、一対の固定部は中央部分の剛性が小さくなるように構成されていることを特徴とする自立型容器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載した自立型容器において、一対の折り返し片を一対の両端側折り曲げ部が互いに近づく方向へ折り返したときに、一対の折り返し片の折り曲げを所定の折り返し位置で規制する規制部材を備えたことを特徴とする自立型容器。
【請求項5】
請求項4に記載した自立型容器において、規制部材は一対の折り返し片の両端側折り曲げ部を境にして一方側に設けられた突起部によって構成され、前記突起部は一対の折り返し片を一対の両端側折り曲げ部が互いに近づく方向へ折り返したときに、折り返し片の両端側折り曲げ部を境に他方側に当接するものであることを特徴とする自立型容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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