説明

自立袋

【課題】本発明は、デザイン性に優れたディスプレイ効果の高い自立袋の提供を目的とする。
【解決手段】筒状のフィルム材からなる胴部11と、下端部側が開いた袋形状のフィルム材からなる底部12とを有し、少なくとも胴部11の下端部と底部12の下端部とが全周にわたってシールされた自立袋であって、12底部の下端部が、四角形以上の多角形の底面120を形成するように拡げられており、胴部11に、底面120の多角形の頂点にそれぞれ対応するように、胴部11の上下方向に沿って山折り線15が複数本形成されている自立袋1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自立袋に関する。
【背景技術】
【0002】
固体状又は液体状の様々な内容物を収容する容器として、自立性を有する自立袋が広く用いられている。
例えば、特許文献1には、従来から知られている一般的な自立袋として、一対の対向する側面シートの間の下端側に、底面シールを折り込んだ状態で、前記一対の側面シートの周縁部を前記底面シートと共にヒートシールして、胴部の下端に底ガゼット部を設けた自立袋が示されている。
また、特許文献2には、両方の側縁に折り癖が付与された扁平筒と、下端部側が開いているポケット形状の底ガゼットとを有し、前記底ガゼットの上端を除く三方の端部を、前記扁平筒の内面に接着して、扁平筒からなる胴部の下端に底ガゼット部を形成した自立袋が示されている。
さらに、特許文献3には、本体用扁平筒と、下端部側が開いている底面部用扁平筒とを有し、前記本体用扁平筒の下端部と前記底面部用扁平筒の下端部とがシールされているのに加えて、さらに前記底面部用扁平筒の上端部の両側のそれぞれの隅から、下端部の中央に向かって45度の傾斜で下降する、前記本体用扁平筒と接着するシール部が形成されるか、又は前記本体用扁平筒の側端部と前記底面部用扁平筒の側端部とがシールされている自立袋が示されている。
【0003】
しかし、従来の底ガゼット部を有する一般的な自立袋は、デザイン性に乏しく、パウチの形状による他商品との差別化が困難であった。また、胴部の両側部にヒートシール部があるため、該胴部を手で握ったときに痛みを感じて不快感を抱くことがあった。そこで、胴部の両側部にヒートシール部を有さない自立袋の開発が試みられている。しかし、そのデザイン性は市場のニーズに応えるには至っていない。
以上のことから、胴部を手で握っても不快感がなく、デザイン性に優れたディスプレイ効果の高い自立袋の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−70947号公報
【特許文献2】特開2004−161288号公報
【特許文献3】特開2004−292028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、胴部を手で握っても不快感がなく、デザイン性に優れたディスプレイ効果の高い自立袋の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。
[1]筒状のフィルム材からなる胴部と、下端部側が開いた袋形状のフィルム材からなる底部とを有し、少なくとも前記胴部の下端部と前記底部の下端部とが全周にわたってシールされた自立袋であって、前記底部の下端部が、四角形以上の多角形の底面を形成するように拡げられており、前記胴部に、前記胴部を外面側に向かって山折りにする山折り線が、前記底面の多角形の頂点にそれぞれ対応するように、該胴部の上下方向に沿って複数本形成されていることを特徴とする自立袋。
[2]前記胴部の山折り線近傍が下端部のみで前記底部とシールされている、前記[1]に記載の自立袋。
[3]前記山折り線が前記胴部に等間隔に6本又は12本形成されており、上方から見た前記底面の形状が正六角形又は正十二角形である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の自立袋。
【発明の効果】
【0007】
本発明の自立袋は、胴部を手で握っても不快感がないうえ、デザイン性に優れ、ディスプレイ効果が高い。そのため、本発明の自立袋を用いた商品は、優れた外観により他商品と差別化できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の自立袋の実施形態の一例を示した斜視図である。
【図2】図1の自立袋の扁平な状態を示した平面図である。
【図3】図1の自立袋の製造における胴部フィルム材を示した平面図(A)、底部フィルム材を示した斜視図(B)、及び製造の一工程を示した平面図(C)である。
【図4】図1の自立袋の上部シール部を形成する前の状態を示した斜視図である。
【図5】本発明の自立袋の他の実施形態例を示した斜視図である。
【図6】本発明の自立袋の底部シール部の他の実施形態例を示した平面図である。
【図7】本発明の自立袋の他の実施形態例を示した斜視図である。
【図8】本発明の自立袋の他の実施形態例の上部が開放されている状態を示した斜視図である。
【図9】本発明の自立袋の他の実施形態の製造方法の一工程を示した斜視図(A)〜(C)である。
【図10】図9に示した製造工程により得られる、本発明の自立袋の他の実施形態例を示した斜視図である。
【図11】本発明の自立袋の他の実施形態例を示した斜視図(A)〜(C)である。
【図12】本発明の自立袋の他の実施形態例を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の自立袋の実施形態の一例を示して詳細に説明する。図1は、本実施形態の自立袋1の内容物を収容した状態を示した斜視図である。図2は、自立袋1における、内容物を収容していない扁平な状態を示した平面図である。
本実施形態の自立袋1は、自立性を有する袋であり、図1及び図2に示すように、筒状の胴部11と、底部12とを有している。図3(A)に例示した、胴部フィルム材11Aが筒状にされ、その側端部11b、11bが貼り合わされて背貼り部16が形成されることにより、胴部11が形成されている。また、図3(B)に例示した、下端部12a側が開いた袋形状の底部フィルム材12Aの下端部12aと、胴部フィルム11Aの下端部11aとが、全周にわたってシールされて底部シール部13が形成され、該底部フィルム材12Aが、下端部11a側が開いている縁形状が四角形以上の多角形となるように拡げられることで、底部12が形成されている。つまり、底部12を上方から見た底面120の形状は、四角形以上の多角形となっている。
また、胴部11の上部は、その内面同士を合わせて上部シール部14においてシールされており、胴部11内に内容物を収容できるようになっている。
【0010】
胴部11を形成する胴部フィルム材11Aとしては、少なくとも基材層とシーラント層とが積層され、最内層がシーラント層である積層フィルムが好ましい。
基材層は、印刷適性に優れ、さらに突き刺し強度、引っ張り強度、耐衝撃性等を備えたフィルムが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド、エチレンビニルアルコール共重合体等の二軸延伸フィルム又は一軸延伸フィルムが挙げられる。また、これらのフィルムに、酸素や水蒸気に対するバリア性を付与するために、アルミニウム、マグネシウム等の金属、又は酸化珪素等の酸化物を蒸着させた蒸着フィルム、ポリ塩化ビニリデン等のバリア性コート剤等をコートしたコートフィルム等を用いてもよい。基材層は、前記フィルムの単体であってもよく、積層体であってもよい。
シーラント層は、ヒートシール可能なフィルムからなる層である。ヒートシール可能なフィルムとしては、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等の未延伸フィルムや、前記樹脂を層状に押し出したもの等が挙げられる。
【0011】
前記積層フィルムは、必要に応じて、基材層とシーラント層の間に、中間層を有していてもよい。
中間層としては、例えば、酸素バリア性、水蒸気バリア性、引裂き性等の機能性を備えたフィルムが挙げられる。具体的には、例えば、アルミニウム等の金属箔や上述の蒸着フィルム、コートフィルムに加え、バリアフィルム、直線引裂きフィルムなどが挙げられる。
バリアフィルムとしては、例えば、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリビニルアルコール(PVOH)などからなるフィルムが挙げられる。
直線引裂きフィルムとしては、一軸延伸フィルム(高密度ポリエチレン、ポリプロピレン)直線引裂き性を有するポリエステルフィルムやポリアミドフィルムなどが挙げられる。
【0012】
基材層、シーラント層、及び必要に応じて用いる中間層からなる積層フィルムは、接着剤を用いたドライラミネート法、熱接着性樹脂を用いた押し出しラミネート法等の公知の方法で製造できる。
なお、胴部フィルム材11Aは、ヒートシール可能なフィルムからなる単層フィルムであってもよい。
【0013】
底部12を形成する底部フィルム材12Aとしては、少なくとも基材層とシーラント層とが積層され、胴部フィルム材11Aの内面と接触する最外層がシーラント層である積層フィルムが好ましい。
底部フィルム材12Aにおける基材層及びシーラント層は、胴部フィルム材11Aで挙げたものと同じものが挙げられる。また、底部フィルム材12Aが積層フィルムである場合、胴部フィルム材11Aと同様に、中間層を有していてもよい。また、底部フィルム材12Aは、ヒートシール可能なフィルムからなる単層フィルムであってもよい。
胴部フィルム材11Aと底部フィルム材12Aは、同じフィルム材からなっていてもよく、異なるフィルム材からなっていてもよいが、それらのフィルム材同士のヒートシールが容易になる点から、ともに同種の樹脂からなるシーラント層を有する積層フィルムであることが好ましい。
【0014】
底部フィルム材12Aは、下端部12a側が開いた状態の扁平な袋形状のフィルム材である。該形態の底部フィルム材12Aを形成する方法は、特に限定されず、例えば、半折したフィルム材の両側の側端部を溶断シールする方法が挙げられる。また、前記方法の他に、半折したフィルム材の両側の側端部を、両側に引っ張りながら熱シールする方法を用いてもよい。
また、本実施形態における袋形状の底部フィルム材12Aは、扁平な状態におけるフィルム面の形状が矩形であるが、該フィルム面の形状は矩形には限定されず、例えば、台形、三角形、半円形であってもよい。
【0015】
本実施形態の自立袋1における底部12は、図1に示すように、胴部11の下端部11aとシールされた扁平な袋形状の底部フィルム材12Aの側面が、下端部12a側が開いた縁形状が六角形となるように拡げられた形態である。このとき、下端部12aの両端が、底部12の下端部12a側が開いた縁形状の六角形における各頂点のうちの2つの頂点に位置する。
前記のように拡げられた底部12は、四角形状の平面121と、その両側に位置する三角形状の2つの傾斜面122とからなる底面120が形成されており、上方から見た底面120の形状が六角形となる舟形の立体的な底部となっている。
【0016】
胴部11には、胴部11を外面側に向かって山折りにする6本の山折り線15(15a、15a、15b、15b、15c、15c)が、底面120の六角形の頂点にそれぞれ対応するように、胴部11の上下方向に沿って形成されている。つまり、底部フィルム材12Aの下端部12aの両端と、2本の山折り線15a、15aの位置が一致しており、胴部11の前面に2本の山折り線15b、15bが形成され、胴部11の背面に山折り線15c、15cが形成されている。
【0017】
胴部11の前面及び背面に形成される山折り線15b、15b、15c、15cの形成位置は、デザイン性の点から、図1及び図2に示すように、6本の山折り線15(15a、15a、15b、15b、15c、15c)が等間隔となる位置が好ましい。つまり、底部12の下端部12側が開いた縁形状、すなわち上方から見た底面120の形状が正六角形であることが好ましい。これにより、自立袋が正六角形の面を形成し立体感が出ることからデザイン性が向上し、ディスプレイ効果がより高くなる。
ただし、底部12の下端部12側が開いた縁形状が正六角形で、6本の山折り線15が等間隔となっている形態には限定されない。例えば、図5に示すように、胴部11の前面の山折り線15b、15bの間隔、及び胴部11の背面の山折り線15c、15cの間隔が狭くなっており、底部12の下端部12側が開いた縁形状、すなわち上方から見た底面120の形状が、長さが異なる4辺と2辺からなる六角形となる自立袋1Aであってもよい。
【0018】
また、自立袋1における底部12には、胴部11の前面及び背面に形成されるそれぞれの山折り線15b、15b、15c、15cに沿って、底部12を胴部11の外面側に向かって山折りにした山折り線が形成されていてもよい。底部12に胴部11の山折り線15に沿った山折り線を形成することにより、底部12を、下端部12a側が開いた縁形状が六角形となる船形の立体形状に変形させることが容易になるうえ、その底部12の形状をより安定に維持できるようになる。
【0019】
自立袋1では、図1及び図2に示すように、胴部11の下端部11aと、底部12の下端部12aとが、全周にわたってシールされた底部シール部13が形成されている。
また、胴部11における山折り線15の近傍は、下端部11aのみで底部12とシールされている。胴部11における山折り線15近傍を、下端部11aのみで底部12とシールすることにより、胴部11に形成する山折り線15を、全て同等の形状の山折り線として形成できる。つまり、胴部11の山折り線15近傍を底部12にシールすると、胴部11におけるその山折り線15近傍の形状が、底部12の形状に影響される。例えば、底部12を立体的に拡げた状態にする前の底部フィルム材12Aは扁平な袋形状であり、その側端部12b、12b近傍は、立体的にした底部12においても内側に窄む傾向がある。そのため、該部分に対応して形成される山折り線15a、15aを底部12とシールすると、底部12の形状に影響され、胴部11における山折り線15a、15a近傍が局所的に窄んでしまい、デザイン性が低下しやすい。これに対し、胴部11における山折り線15近傍を底部12とシールしなければ、胴部11の山折り線15近傍の形状は底部12の形状に影響されなくなるので、胴部11の形状が安定し、デザイン性が向上する。
また、胴部11における山折り線15近傍を底部12とシールしなければ、胴部11を手で持ったときに、山折り線15の部分で痛みを感じることも防止される。
【0020】
底部シール部13の形態は、胴部11の下端部11aと、底部12の下端部12aとが全周にわたってシールされている形態であれば、図1及び図2に例示した前記形態には限定されない。
例えば、図6(A)に示すように、胴部11の下端部11aと底部12の下端部12aとのシールに加え、底部20を底面120の形状が六角形となる立体的な形状にした状態で、底部12における平面121及び2つの傾斜面122からなる底面120以外の部分を胴部11の内面とシールした底部シール部13としてもよい。また、図6(B)に示すように、胴部11の下端部11aと底部12の下端部12aとのシールに加え、底部12における傾斜面122の縁に沿って、直線的に底部12と胴部11の内面とをシールした底部シール部13としてもよい。底部シール部13をこれらの形態にすることにより、底部12を、下端部12a側が開いた縁形状が六角形となる、平面121及び2つの傾斜面122からなる底面120を有する舟形の立体形状にすることが容易になる。なお、この場合も、胴部11における山折り線15の近傍は、下端部11aのみで底部12とシールされるようにすることが好ましい。すなわち、図6(A)及び図6(B)に示すように、胴部11の山折り線15近傍の領域11cは底部12とシールされないことが好ましい。
ただし、胴部11と底部12とのシール部分は、自立袋1のデザイン性を低下させすぎない範囲内であれば、胴部11の山折り線15近傍の領域11cまで及んでいてもよい。胴部11と底部12とのシール部分が領域11cまで及ぶ形態は、底部の形状が安定して自立性が向上する点で有利である。また、そのシール巾は、10mm以下が好ましく、2〜5mmがより好ましい。
【0021】
胴部11は、胴部フィルム材11Aの側端部11b、11bを重ね合わせて筒状にし、それら側端部11b、11bを背貼り部16でシールすることで形成している。胴部11の背貼り部16における側端部11b、11bのシールは、一方の側端部11bの内面と他方の側端部11bの内面とを重ね合わせてシールする合掌貼りであってもよく、一方の側端部11bの内面と他方の側端部11bの外面とを重ね合わせてシールするテープ貼りであってもよい。
【0022】
また、本実施形態の自立袋1における背貼り部16は、山折り線15cと一致するように形成されている。ただし、背貼り部16は、山折り線15cと一致する位置に形成する形態には限定されない。例えば、図7に示すように、背貼り部16を山折り線15と一致させず、胴部11の背面において、山折り線15cと山折り線15cの間に背貼り部16を形成した自立袋1Bでもよい。
【0023】
以下、前述した自立袋1の製造方法について説明する。なお、ここでは、胴部フィルム材11A及び底部フィルム材12Aとして、ともにシーラント層を有する積層フィルムを用いた場合について説明する。ただし、本発明の自立袋の製造方法は、以下の方法には限定されない。
まず、図3(A)に示すように、胴部11を形成する胴部フィルム材11Aにおける、胴部11の上下方向に相当する方向に沿って、かつ該方向に垂直な方向に一定の間隔を開けて、5本の山折り線15を形成する。この5本の山折り線15は、胴部フィルム材11Aのシーラント層側から基材層側に向かって山折りになるように形成する。
胴部フィルム材11Aに山折り線15を形成する方法としては、例えば、トムソン刃のような凸状の刃又は金型を用いて、加熱加圧によって折り癖をつける方法や、圧力のみで折り癖をつける方法等が挙げられる。なお、底部12の側端部12b、12bに対応する山折り線15a、15a以外の、胴部11の前面又は背面に形成される山折り線15b、15b、15c、15cは、図8に示すように、胴部11の内面同士を上下方向に沿って部分的にヒートシールして細い筋11dを形成することで形成されていてもよい。ただし、図8は、便宜的に上部が開放された状態のものを示した図である。
【0024】
次に、図3(B)に示すように、半折したフィルム材の両側の側端部を、例えば溶断シールする方法又は該側端部を両側に引っ張りながら熱シールする方法等によりシールし、下端部12a側が開いた状態の扁平な袋形状で、最外層がシーラント層である底部フィルム材12Aを製造する。
次に、図3(C)に示すように、胴部フィルム材11Aのシーラント層上に、底部フィルム材12Aを、胴部フィルム材11Aの下端部11aと底部フィルム材12Aの下端部12aとが一致するように設置する。また、このとき、底部フィルム材12Aの両側の側端部12b、12bを、胴部フィルム材11Aの2本の山折り線15、15にそれぞれ一致させる。側端部12b、12bと一致する2本の山折り線15、15が、胴部11における山折り線15a、15aとなる。
【0025】
この状態で、胴部フィルム材11Aの両側の側端部11b、11bを底部フィルム材12Aの方へと折り返し、それら側端部11b、11bをシールして背貼り部16を形成し、かつ胴部フィルム材11Aの下端部11aと底部フィルム材12Aの下端部12aとをシールして底部シール部13を形成する。
背貼り部16における側端部11b、11bのシールは、溶断シール、熱シール、超音波シール、高周波シール等により行ってもよく、接着剤又は両面粘着テープを用いて行ってもよい。
胴部11と底部12をシールして底部シール部13を形成する方法としては、公知のシール方法を用いることができ、例えば、溶断シール、熱シール、超音波シール、高周波シール等が挙げられる。
【0026】
背貼り部16により胴部11の背面に1本の山折り線15cが形成される。また、底部フィルム材12Aを、下端部12a側が開いた縁形状が六角形となるように、山折り線15に沿って拡げて底部12を形成することで、図4に示すように、胴部11と底部12とを有し、胴部11に上下方向に沿って6本の山折り線15が形成された、上部が開放状態の自立袋前駆体が得られる。該自立袋前駆体は、上方から見たときの形状が六角形である。
【0027】
最後に、胴部11の前面と背面を重ね合わせて上部シール部14でシールすることにより、図1に示す自立袋1が得られる。
上部シール部14における胴部11のシール方法としては、公知のシール方法を用いることができ、例えば、溶断シール、熱シール、超音波シール、高周波シール等が挙げられる。
【0028】
以上説明した自立袋1は、上方から見た底面120の形状が六角形の立体的な底部12と、そのそれぞれの頂点に対応する6本の山折り線15を有する多角形状の胴部11とを有しており、デザイン性に優れ、ディスプレイ効果が高い。また、胴部11の両側部にヒートシール部を形成しなくてもよいため、胴部11を手で握っても痛みを感じることがなく不快感を抱くことを防止できる。
なお、本発明における自立袋の胴部11の上部のシールは、前述したように、胴部11の前面と背面をそのまま重ね合わせてシールする形態には限定されない。胴部11の上部シール部14における特に好ましいシール形態としては、以下に示す方法によりシールしたものが挙げられる。
【0029】
前記自立袋1の製造方法と同様にして、図4に示すように、胴部11と底部12とを有し、胴部11に上下方向に沿って6本の山折り線15が形成された、上部が開放状態の自立袋前駆体を得る。次に、図9(A)に示すように、胴部11の前面の上部において、胴部11を、両側のそれぞれの山折り線15aと山折り線15bの間で内面側に折り込む。同様に、胴部11の背面の上部においても、両側のそれぞれの山折り線15aと山折り線15bの間で内面側に折り込む。このように胴部11の上部を前記4箇所で内面側に折り込んで、図9(B)に示すように、胴部11の両側でそれぞれ折り込み線17、17を突き合わせる。さらに、図9(C)に示すように、胴部11の両側でそれぞれ突き合わせた2組の折り込み線17、17を、該折り込み線17、17が胴部11の前面に形成された2本の山折り線15bと山折り線15bの間にくるようにして折り畳み、その状態で胴部11の上部をシールする。これにより、図10に示すように、胴部11の上部において、対向する山折り線15a、15aの両側で、胴部11の前面及び背面がそれぞれ内面側に折り込まれるようにして折り畳まれてシールされた上部シール部14Cを有する自立袋1Cが得られる。
【0030】
自立袋1Cは、このように、胴部11の上部が、胴部11に形成した山折り線15を利用してさらに折り畳まれてシールされることで、胴部11にさらに複雑な立体形状が付与されているため、よりデザイン性に優れ、ディスプレイ効果が高い。
【0031】
本発明の自立袋に収容する内容物としては、固体状の内容物であってもよく、液体状の内容物であってもよいが、固体状の内容物であることが好ましい。本発明の自立袋は、底部の両側の側縁を胴部の内面とシールしない場合、底部と胴部のその部分には隙間ができている。そのため、液体状の内容物を収容すると、該隙間に液体が侵入して外観が悪くなるおそれがある。
【0032】
また、本発明の自立袋においては、底面の形状が四角形以上の多角形である。すなわち、胴部に形成される山折り線の本数は4本以上であり、前述したような底面の形状が六角形で、胴部に山折り線が6本形成された形態には限定されない。
例えば、図11(A)に示すように、底部フィルム材12Aを下端部側が開いた縁形状が十二角形となるように拡げられることで、十二角形の底面120を有する底部12が形成され、胴部11に、底面120の十二角形のそれぞれの頂点に対応する12本の山折り線が形成された自立袋2であってもよい。また、自立袋2においては、12本の山折り線15をそれぞれ等間隔にしてそれに合わせて底部12を立体形状にすれば、上方から見た底面120の形状が正十二角形となりさらにデザイン性が高まる。
【0033】
また、図11(B)に示すように、底部フィルム材12Aを下端部側が開いた縁形状が四角形となるように拡げることで、四角形の底面120を有する底部が形成され、胴部11に、底部12の四角形のそれぞれの頂点に対応する4本の山折り線が形成された自立袋3であってもよい。また、自立袋3においては、4本の山折り線15をそれぞれ等間隔にしてそれに合わせて底部12を立体形状にすれば、上方から見た底面120の形状が正方形となりさらにデザイン性が高まる。
【0034】
また、図11(C)に示すように、底部フィルム材12の下端部12aの両端に対応する位置に対応する2本の山折り線15と、胴部11の前面に形成された1本の山折り線15と、胴部11の背面に形成された2本の山折り線15との合計5本の山折り線15が形成され、底部フィルム材12Aを下端部側が開いた縁形状が五角形となるように拡げることで、四角形の底面120を有する底部が形成された自立袋4であってもよい。
【0035】
また、本発明の自立袋は、胴部を外面側に向かって山折りにした山折り線と山折り線との間に、さらに、胴部を内面側に向かって谷折りにした谷折り線が、該胴部の上下方向に沿って形成されていてもよい。例えば、図12に示すように、胴部11における底部フィルム材12Aの下端部12aの両端に対応する位置に、外面側に向かって山折りにした2本の山折り線15aが形成され、胴部11の前面に、外面側に向かって山折りにした2本の山折り線15bと、それら山折り線15b、15bの間に位置する、内面側に向かって谷折りにした1本の谷折り線18bが形成され、胴部11の背面に、外面側に向かって山折りにした2本の山折り線15cと、それら山折り線15c、15cの間に位置する、内面側に向かって谷折りにした1本の谷折り線18cが形成された自立袋5であってもよい。自立袋5では、底面形状が、内面側に向かって谷折りにした谷折り線の位置で、胴部の内面側に入り込んだ複雑な多角形状となっており、デザイン性に優れ、ディスプレイ効果が高い。
胴部を内面側に向かって谷折りにした谷折り線の数は特に限定されず、例えば、外面側に向かって山折りにした山折り線と、内面側に向かって谷折りにした谷折り線が交互に形成された自立袋であってもよい。
【0036】
また、自立袋2〜5における、底部シール部13の形態、背貼り部16の形成位置、胴部の前面及び背面に形成する山折り線の間隔、胴部の上部シール部14の形態等は、図11及び図12に示した形態には限定されず、自立袋1で説明したのと同様に他の形態とすることができる。
また、自立袋の両側部の山折り線15a及び背貼り部16に一致する山折り線15cを除く、その他の山折り線及び谷折り線は、上部シール部まで達している必要はない。これら山折り線及び谷折り線が上部シール部に達していなければ、内容物充填後の上部シールが行いやすくなる。
【符号の説明】
【0037】
1、1A〜1C、2〜5 自立袋 11 胴部 11A 胴部フィルム材 11a 胴部の下端部 11b 胴部フィルム材の側端部 12 底部 12A 底部フィルム材 12a 底部の下端部 12b 底部フィルム材の側端部 13 底部シール部 14 上部シール部 15、15a〜15c 山折り線 16 背貼り部 18b、18c 谷折り線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のフィルム材からなる胴部と、下端部側が開いた袋形状のフィルム材からなる底部とを有し、少なくとも前記胴部の下端部と前記底部の下端部とが全周にわたってシールされた自立袋であって、
前記底部の下端部が、四角形以上の多角形の底面を形成するように拡げられており、
前記胴部に、前記胴部を外面側に向かって山折りにする山折り線が、前記底面の多角形の頂点にそれぞれ対応するように、該胴部の上下方向に沿って複数本形成されていることを特徴とする自立袋。
【請求項2】
前記胴部の山折り線近傍が下端部のみで前記底部とシールされている、請求項1に記載の自立袋。
【請求項3】
前記山折り線が前記胴部に等間隔に6本又は12本形成されており、上方から見た前記底面の形状が正六角形又は正十二角形である、請求項1又は2に記載の自立袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−168306(P2011−168306A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33668(P2010−33668)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(000143880)株式会社細川洋行 (130)
【Fターム(参考)】