説明

自走式ロールベーラにおける拾い上げ送り込み装置

【課題】機体の前端に設けるピックアップ装置の巾だけを拡げて、稈長の長い被成形材料の拾い上げを可能としながら、ピックアップ装置とコンベア装置との間の受け渡し部及び成形室の入口部に、被成形材料の停滞や、詰まりを生ぜしめないようにする自走式ロールベーラにおける拾い上げ送り込み装置を構成する。
【解決手段】機体に装架したベール成形装置の成形室の入口の前面に、コンベア装置を装備せしめ、そのコンベア装置の前端部の前方に、ピックアップ装置を前記コンベア装置の幅より広い幅に構成して装備せしめ、そのピックアップ装置と前記ピックアップ装置の前端部との間に、ピックアップ装置の巾寸法と略同じ長さで両端部の周面に横送りのらせん翼を装備せしめた送り込み集草ローラを、ピックアップ装置と並列する状態に配位して、機体に軸架し、その送り込み集草ローラを、コンベア装置の周速より早い周速で上周面側がピックアップ装置側からコンベア装置の前端部に向け回動するよう駆動せしめる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自走して走行する機体の前面に設けたピックアップ装置により拾い上げた被成形材料を、コンベアにより、機体後部に設けたベール成形装置の成形室に送り込んでロールベールに成形する自走式ロールベーラにおいて、被成形材料を拾い上げてベール成形装置の成形室に送り込む拾い上げ送り込み手段についての改良に関する。
【背景技術】
【0002】
自走式ロールベーラにおいて、圃場に刈り倒されて放置されている牧草・稲藁・麦藁等の被成形材料を、拾い上げてベール成形装置の成形室に送り込む技術手段は、従前にあっては、図1、図2にあるように、自走して走行する機体1の後部に装架せるベール成形装置2の成形室20の入口aの前面に、コンベア装置bを装架し、そのコンベア装置bの前端部の前面で、機体1の前端に位置する部位に、ピックアップ装置cを装架して、そのピックアップ装置cで拾い上げた被成形材料を、コンベア装置bの前端部に受け継がせ、そのコンベア装置bによりベール成形装置2の成形室20の入口aに向け搬送して、その成形室20内に送り込むように構成している。
【0003】
そして、この技術手段におけるピックアップ装置cおよびコンベア装置bは、それぞれの巾が、コンベア装置bにあっては、ベール成形装置2の被成形材料を受け入れる成形室20の入口の開口巾に対応する巾に形成され、また、ピックアップ装置cの巾にあっては、コンベア装置bの巾にそろえた巾に構成してあって、成形室20の入口aが、成形室20の室内巾である成形する成形ロールの巾に対応させて開口させてあることで、成形ロールの巾と略同程度の巾に形成されている。
【0004】
このようにピックアップ装置で被成形材料を拾い上げてコンベア装置によりベール成形装置に送り込むように構成されている自走式ロールベーラにおける被成形材料の拾い上げ送り込み手段には、以下の問題点が生じている。
1.機体の前端に設けられるピックアップ装置が、ベール成形装置の成形室で成形される成形ロールの巾と同程度の巾に作られて、被成形材料のうちの草丈の高い飼料作物の稈長の長い作物が刈り倒されて横置きに圃場に放置されているとき、これを拾い上げられない。稈長の長い被成形材料を拾い上げるためには、被成形材料を集草して切断装置により切断処理する付帯作業を要する。
2.また、稈長の長い被成形材料を拾い上げ得るよう、ピックアップ装置の巾を拡げても、ピックアップ装置の後方に位置するコンベア装置の巾が狭いことで、ピックアップ装置とコンベア装置との間の受け渡し部に、拾い上げた被成形材料の停滞が生じて、ベール成形装置の成形室の入口への搬送を不具合にする。
3.また、受け渡し部を通過しても、被成形材料が上方に膨らみ、コンベア装置の搬送面における堆積高さが高くなることで、ベール成形装置の成形室の入口に詰まりを生ぜしめる場合がある。
4.また、ピックアップ装置の拡巾に併せて、コンベア装置の巾を拡げると、被成形材料が成形室の入口に詰まりを生ぜしめるようになり、これを解消すべく入口を拡げるには、ベール成形装置全体を改造しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明において解決しようとする課題は、機体の前端に設けるピックアップ装置の巾だけを拡げて、稈長の長い被成形材料の拾い上げを可能としながら、ピックアップ装置とコンベア装置との間の受け渡し部及び成形室の入口部に、被成形材料の停滞や、詰まりを生ぜしめないようにする自走式ロールベーラにおける拾い上げ送り込み装置を構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するための手段として、本発明においては、
機体に装架したベール成形装置の成形室の入口の前面に、コンベア装置を装備せしめ、そのコンベア装置の前端部の前方に、ピックアップ装置を前記コンベア装置の幅より広い幅に構成して装備せしめ、そのピックアップ装置と前記ピックアップ装置の前端部との間に、ピックアップ装置の巾寸法と略同じ長さで両端部の周面に横送りのらせん翼を装備せしめた送り込み集草ローラを、ピックアップ装置と並列する状態に配位して、機体に軸架し、その送り込み集草ローラを、コンベア装置の周速より早い周速で上周面側がピックアップ装置側からコンベア装置の前端部に向け回動するよう駆動せしめることを特徴とする自走式ロールベーラにおける拾い上げ送り込み装置を提起し、また、これに併せて、
前記自走式ロールベーラの拾い上げ送り込み装置において、前記送り込み集草ローラの後部上方で、コンベア装置の前端部の上方位置に、コンベア装置の巾寸法と略同じ長さで前記送り込み集草ローラより大径のローラ状に形成した送り込み押圧ローラ装置を配位して機体に軸架し、その送り込み押圧ローラ装置を、コンベア装置の周速と略同程度の周速で、下周面側がピックアップ装置側からベール成形装置の成形室の入口に向け回動するよう駆動せしめることを特徴とする自走式ロールベーラにおける拾い上げ送り込み装置を提起し、さらに併せて、
前記自走式ロールベーラの拾い上げ送り込み装置において、前記送り込み押圧ローラ装置より後方でコンベア装置の上方に位置する部位に、コンベア装置で搬送される被成形材料を上方から押さえ付ける押さえ込み手段を配位して機体に固定支架せしめることを特徴とする自走式ロールベーラにおける拾い上げ送り込み装置を提起し、さらに併せて、
前記自走式ロールベーラの拾い上げ送り込み装置において、前記送り込み集草ローラの後部上方でコンベア装置の前端部の上方に位置する部位とコンベア装置の後端部の上方に位置する部位とに、支持ローラを軸支して、これら支持ローラに、コンベア装置の巾と略同じ巾に形成したベルトをエンドレスに張架し、このエンドレスベルトを、下方回動側がコンベア装置と略同速の周速で後方に回動するよう駆動せしめ、送り込み集草ローラによりコンベア装置に受け渡された被成形材料をこのエンドレスベルトとコンベア装置との協働で圧縮しながら成形室に送ることを特徴とする自走式ロールベーラにおける拾い上げ送り込み装置を提起するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明手段は、コンベア装置よりも幅を広くしたピックアップ装置で被成形材料を拾い上げ、これを、両端部にらせんの送り翼を備える送り込み集草ローラにより、コンベア装置の巾に集草してコンベア装置に受け継がせるようにしているのだから、稈長の長い被成形材料を、集草することなく拾い上げて、幅の狭いコンベア装置に受け渡していけるようになる。また、受け渡し部の上方に送り込み押圧ローラ装置を装備せしめた場合には、ピックアップ装置から送り込み集草ローラの上周面を経てコンベア装置に受け渡される被成形材料を、上方から押さえ込みながら後方に送り込むようになるので、受け渡し部に停滞する被成形材料を、円滑にベール成形装置の入口に送り込めるようになる。
【0008】
また、コンベア装置の上方に、被成形材料を上方から押さえ付ける押さえ込み手段を装備せしめたときは、コンベア装置上の被成形材料のふくらみを押さえることで、ベール成形装置の入口に詰まりを生ぜしめることなく、成形室内に送り込めるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】自走式ロールベーラに組み付け装備された状態の拾い上げ送り込み装置の側面図である。
【図2】同上の拾い上げ送り込み装置の平面図である。
【図3】本発明による自走式ロールベーラにおける拾い上げ送り込み装置の実施例の、自走式ロールベーラに組み付け装備せしめた状態の側面図である。
【図4】同上拾い上げ送り込み装置の、同上状態の側面図である。
【図5】同上の自走式ロールベーラにおける拾い上げ送り込み装置の別の実施例である第2の実施例の平面図である。
【図6】本発明による自走式ロールベーラにおける拾い上げ送り込み装置の第3の実施例の側面図である。
【図7】同上実施例の平面図である。
【図8】本発明による自走式ロールベーラにおける拾い上げ送り込み装置の第4の実施例の側面図である。
【図9】同上実施例の平面図である。
【図10】本発明による自走式ロールベーラにおける拾い上げ送り込み装置の第5の実施例の側面図である。
【図11】同上実施例の平面図である。
【図12】同上実施例の変形例の平面図である。
【図13】本発明による自走式ロールベーラにおける拾い上げ送り込み装置の第6の実施例の側面図である。
【図14】同上実施例の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に発明の実施の態様を、実施例につき図面に従い詳述する。
【実施例1】
【0011】
図3、図4は、本発明による自走式ロールベーラの拾い上げ送り込み装置の一実施例を示し、図3は本発明手段を実施せる自走式ロールベーラの、ベール成形装置の一部を破断した状態の側面図、図4は同上自走式ロールベーラの、コンベア装置の後半側およびベール成形装置を省略して示す平面図である。
【0012】
これら図において、Aは自走式ロールベーラ、1は同上ロールベーラの機体、2はその機体1の左右の一側における後部に装架したベール成形装置、20はそのベール成形装置2の成形室、aはその成形室20の、被成形材料を受け入れる入口、Bは、機体1の左右の一側で、前記ベール成形装置2の成形室20の入口aの前面に装架した拾い上げ送り込み装置、bはその拾い上げ送り込み装置Bのコンベア装置、cはその拾い上げ送り込み装置Bのピックアップ装置を示す。また、10は機体1の下面側に装架したクローラ型の走行輪、11は機体1の左右の他側に装架した運転者を収容するキャビンである。
【0013】
自走式ロールベーラAは、左右のクローラ型の走行輪10で走行する機体1の左右の一側に、ベール成形装置2と、被成形材料を拾い上げて前記ベール成形装置2の入口aに送り込む拾い上げ送り込み装置Bとを、前後方向に並列させて装架し、機体1の左右の他側に、運転者が乗り込むキャビン11を装架して構成される通常の乗用型の自走式ロールベーラである。
【0014】
ロールベール成形装置2は、図3にあるように、機筐状に形成した機体の内部に円弧状に配列させて機体に軸支した複数のガイド輪22と、それらガイド輪22の内側に、略同芯状に配位して機体に固定支架せる弧状のガイド板23とに、タイトチェン21を、弧状に並列するガイド輪22の外周側を回行した後、内周側に折り返してガイド板23の外周面に沿い回行するようにエンドレスに巻き掛け、その内周側を回行するタイトチェン21で囲う空間を成形室20として、その成形室20内に送り込まれる被成形材料をロールベールに成形する通常の構成態様のものであり、その成形室20の被成形材料を受け入れる入口aは、タイトチェン21を内周側に折り返す上部スプロケット24と下部スプロケット25の間に配設せるフロントローラFRと、下部スプロケット25との間に形成される空間をもって構成している。
【0015】
拾い上げ送り込み装置Bは、前記ベール成形装置2の入口aの前面に、その入口aの開口巾に略対応する巾に形成して装架するコンベア装置bと、そのコンベア装置bの前端部の前面前方に配位して機体1の前端に装架するピックアップ装置cとにより構成し、ピックアップ装置cで拾い上げた被成形材料を、コンベア装置bに受け継がせて、成形室20の入口aに送り込むようにすることについては、従前のものと同様であるが、ピックアップ装置cは、それの作用巾である左右の巾Dを、図4にあるように、コンベア装置bの巾dより拡巾させて、左右の端部が前面視においてコンベア装置bより外側にそれぞれ突出するようにしてある。
【0016】
また、コンベア装置bは、それの前後長さを短く詰めて前端部を後退させてあり、図3にあるように、そのコンベア装置bの前端部と、前述の機体1の前端に設けたピックアップ装置cの後縁との間に、間隔Wを形成するようにしている。そして、この間隔W内に、前記ピックアップ装置cの巾寸法と略同じ長さで、両端部の周面に横送りのらせんの送り翼30を装備せしめた送り込み集草ローラ3を、ピックアップ装置cと並列する状態に配位して、機体1に軸架せしめている。
【0017】
この送り込み集草ローラ3は、図面では省略しているが、それの回転軸が機体1に装架せる原動機(図示省略)の出力軸と伝導機構(図示省略)を介して伝導していて、その原動機の作動により駆動されて回転する。その回転は、該送り込み集草ローラ3の上周面側が、前面に位置するピックアップ装置cの側から後面に位置するコンベア装置bの前端部に向け回動するようにしてあり、その回転速度は、この例においては、周速度が4.49m/sに設定してあり、コンベア装置bの周速度1.59m/sに対し数倍に早くしてある。
【0018】
また、この送り込み集草ローラ3は、軸方向の長さが、ピックアップ装置cの左右の巾寸法と略同じ長さで、ピックアップ装置cに並列する状態に配置して軸架してあることから、コンベア装置bに対しては、ピックアップ装置cと同様に、前面視において、左右の端部が、コンベア装置bの左右の両側縁からそれぞれ外側に張り出すように配置して軸支してある。そして、両端に設けるらせんの送り翼30は、この前面視において、コンベア装置bから外側に張り出す部位の周面に設けてあり、コンベア装置bの前端部の前面に位置する該ローラ3の中央部位には、軸方向に沿うラグ状の突起31を設けている。
【0019】
この実施例の自走式ロールベーラにおける拾い上げ送り込み装置は、ピックアップ装置cの巾を、左右に拡げて、コンベア装置bより広巾に形成してあるから、稈長の長い被成形材料も拾い上げられる。そしてピックアップ装置cで拾い上げられた被成形材料は、そのピックアップ装置cの後位に並列する送り込み集草ローラ3の両端部に設けたらせんの送り翼30により左右巾の中央に集草されながら、コンベア装置の回動するベルトの周速より早い速度で回転する該送り込み集草ローラ3の周面により、コンベア装置bに受け渡されることから、ピックアップ装置cとコンベア装置bとの受け渡し部に、停滞を生ぜしめることなく狭い巾のコンベア装置bに受け渡されるようになる。
【実施例2】
【0020】
次に、図5は、別の実施例を示している。この実施例は、前述の実施例1の変形例で、機体1の前端側に設けるピックアップ装置cの巾と、ピックアップ装置cに並列させて設ける送り込み集草ローラ3の巾とを、機体1に装架せるキャビン11を含めた機体1の全巾にまで拡巾した例である。
【0021】
ピックアップ装置c及びこれに並列する送り込み集草ローラ3は、それらの、キャビン11側の端部側を、キャビン11の床板下面の空間に演出させて、前面視において、これらピックアップ装置cと送り込み集草ローラ3とが、機体1の左右の巾一杯に位置するようにしてある。そして、送り込み集草ローラ3の両端部に設けるらせんの送り翼30は、キャビン11側の端部にあっては、キャビン11の床下空間に延出する端部の全部にこのらせんの送り翼30を装設するようにしている。この点を除いたその余の構成は、前述した実施例1のものと変わりがないので、同じ構成部材に同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
【0022】
この実施例は、ピックアップ装置cの幅を、機体幅と同程度にしてあるので、自走式ロールベーラにより、圃場に刈り倒されて横おきの姿勢で放置されている被成形材料を拾い上げてベールに成形するベール成形作業を行うときに、予め集草作業を行わずに、被成形材料を拾い上げ、送り込み集草ローラで、コンベア装置bの巾に集草してコンベア装置bに受け渡していけるようになり、集草作業を省けるようになる。
【0023】
また、機体の幅と同程度の巾で被成形材料を拾い上げていけるので、次の走行の行程で拾い上げる被成形材料を、機体の走行輪で踏み付けることがなくなり、成形するベールへの土・小石等の混入を少なくできる。
【実施例3】
【0024】
図6及び図7は、さらに別の実施例を示している。この例は、前述の実施例1及び2にあるように、ピックアップ装置cをコンベア装置bの巾よりも拡巾して、そのピックアップ装置cとコンベア装置bの前端部との間に、拡巾したピックアップ装置cと略同じ長さで両端にらせんの送り翼30を備える送り込み集草ローラ3を配位して軸支し、上周面側が後方に回動するよう駆動することで、稈長の長い被成形材料の拾い上げを可能にし、かつ、停滞を生ぜしめることなくコンベア装置bに受け渡せるようにした手段が、受け渡し部において被成形材料を上方に盛り上がらせてふくらみを生ぜしめ、コンベア装置bにより成形室20の入口aに送られて成形室20内に送り込まれるときに、嵩が増大したことで入口aに支えて詰まりを生ぜしめるようになるのを解消せしめるために、送り込み集草ローラ3の後方上方で、コンベア装置bの前端部の上方に位置する部位に、下周面側がコンベア装置bのベルトと略同速で後方に回動するよう駆動される送り込み押圧ローラ装置4を軸支している手段である。
【0025】
この送り込み押圧ローラ装置4は、図6、図7で示している例では、前記送り込み集草ローラ3の後方上方で、コンベア装置bの前端部の上方に位置する部位において、該ローラ4の下周縁が、ベール成形装置2の成形室20の入口aの上縁を形成しているフロントローラFRの下周面より少し下方に位置するように配位して軸sにより機体1に軸支してあって、その軸sは、該ローラ4の下周面側が、前方から後方に向け、コンベア装置bの周速と略同速で回転するよう、機体1に装架せる原動機(図示省略)の出力軸と伝導機構(図示省略)を介し伝導している。
【0026】
この送り込み押圧ローラ装置4は、図7の平面図にあるよう、コンベア装置bの巾と略同巾に形成して、コンベア装置bの前端部の上方位置に配位して軸架するが、それの胴周面は、図6の側面図にあるよう8角形の角筒状に形成され、かつ、その稜縁から回転方向後方に傾斜して突出する押さえ込み送り込み用の翼板40が、軸方向に沿うラグ状に設けられていて、全体としてロール状に構成してある。
【0027】
この送り込み押圧ローラ装置4は、送り込み集草ローラ3によって、巾方向の中央に向け集草されながらコンベア装置bの前端部に送り込まれることで、嵩を増大させて盛り上がってくる被成形材料を、コンベア装置bの前端部の上面に押圧しながら後方に掻き送るように作用して、コンベア装置bと協働して被成形材料を上下に圧縮して成形室20の入口aに向け送るようにするので、送り込み集草ローラ3により集草されながらコンベア装置bに受け渡される被成形材料が成形室20の入口aにつかえるようになるのを防止するようになる。
【実施例4】
【0028】
次に、図8及び図9は、さらに別の実施例を示している。この実施例は、前述の図6、図7に示した実施例3における送り込み押圧ローラ装置4の構成について変更を加えた前記実施例3の変形例である。
【0029】
この例における送り込み押圧ローラ装置4は、それの回転軸である軸sを、コンベア装置bの前端部の上方で、フロントローラFRの軸より下方となる高さ位置に配位して機体1に軸支することについては、前述の実施例3の送り込み押圧ローラ装置4と同様であるが、この軸sには、角筒状または適宜形状としたロール状体を設けずに、ディスク41を並列させて組み付け支架し、この並列するディスク41を、下周面側がコンベア装置bの回動するベルトと略同速の周速で後方に回動するように駆動させることで、送り込み集草ローラ3でコンベア装置bの前端部の上面に送り込まれてくる被成形材料を、コンベア装置bの上面に向け押圧して圧縮し、後方に送るように構成している。
【0030】
この実施例手段のものは、上述の送り込み押圧ローラ装置4の構成を、複数のディスク41が多連に並列する構成としている点を除いたその余の構成については、前述した実施例のものと変わりがないので、同じ構成部材について同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
【0031】
この実施例は、送り込み集草ローラ3で、集草を受けながら狭い巾のコンベア装置bの前端部に受け渡される被成形材料を、多連にディスク41を並列させてローラ状に構成せる送り込み押圧ローラ装置4により、コンベア装置bと協働して圧縮し成形室20の入口aに向けるようになるので、前述の実施例3と同様に作用し入口aに被成形材料がつかえるようになるのを防止するようになる。
【実施例5】
【0032】
図10、図11、図12は、さらに別の実施例を示している。この実施例は、前述の実施例3、4の手段に対し、送り込み押圧ローラ装置4を経た被成形材料を上方からコンベア装置bの上面に向け押圧する押さえ込み手段5を、送り込み押圧ローラ装置4とフロントローラFRとの間に設ける構成が、付加された構成態様のものである。この押さえ込み手段5を除いたその余の構成については、前述した実施例と変わりがないので、同じ構成部材について同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
【0033】
しかして、この押さえ込み手段5は、送り込み押圧ローラ装置4の後方で、その送り込み押圧ローラ装置4の回転軸である軸sと略揃う高さ位置に、平面視においてコンベア装置bを左右に横切る長さの支持杆50を配位して、両端部を機体1に取り付け支持せしめ、この支持杆50に、フロントローラFRの下縁に向け水平に突出する棒状体51を、図11にあるよう複数本、櫛歯状に並列させて固着装設することで構成してあり、これにより、送り込み押圧ローラ装置4を経てコンベア装置bで成形室20の入口aに向け送られる被成形材料を上方から押さえ付け、送り込み押圧ローラ装置4で押圧されて圧縮された被成形材料の再度のふくらみを抑えるようにしている。
【0034】
この押さえ込み手段5は、送り込み押圧ローラ装置4で押圧・圧縮された被成形材料が、成形室20の入口aにコンベア装置bで搬送されていく間に、再度ふくらむことで、入口aにつかえるようになるのを防止するためのもので、再度のふくらみを防止するようになればよく、図12に示しているように、コンベア装置bの巾に略対応する巾のプレート52に形成して、これを支持杆50に、フロントローラFRの下縁に向け略水平に突出するよう固定装着して構成する場合がある。
【実施例6】
【0035】
図13、図14は、さらに別の実施例を示している。この例は、送り込み集草ローラ3でコンベア装置bに受け渡される被成形材料に生ずるふくらみを抑えるための押圧と、コンベア装置bで成形室20の入口aに送られる間に生ずる被成形材料の再度のふくらみを抑えるための押圧とを、コンベア装置bの前端部の上方とコンベア装置bの後端部の上方との間に、コンベア装置bと上下に並列させて張架するベルトコンベア装置6により行わすようにしている例である。
【0036】
ベルトコンベア装置6は、この例では、コンベア装置bの前端部の上方には、送り込み押圧ローラ装置4は設けず、その送り込み押圧ローラ装置4を軸支する部位には、ベルトコンベア装置6のエンドレスベルト60を支承する支持ローラ61を軸支し、コンベア装置bの後端部の上方位置には、その位置に装設してあるフロントローラFRの軸を利用して、その軸により駆動されて回転する支持ローラ62を軸支し、これら支持ローラ61と支持ローラ62とに、コンベア装置bのコンベアベルトの巾と略同程度の巾に形成したエンドレスベルト60を巻きかけ、そのエンドレスベルト60の下周面側が、コンベア装置bの周速と略同速の周速で後方に向け回動するように駆動することで構成してある。
【0037】
この例においては、送り込み集草ローラ3で、集草されながらコンベア装置bの前端部に受け渡された被成形材料は、ベルトコンベア装置6のエンドレスベルト60の支持ローラ61を回行する部位と、これに対向するコンベア装置bの前端部とにより、押圧を受けて圧縮し、エンドレスベルト60の下方回動側とこれに対向するコンベア装置bの搬送面とにより、圧縮された状態に保持されて成形室20の入口aに送られるようになり、入口aに生ずる被成形材料のつかえが適確に防止される。
【符号の説明】
【0038】
A 自走式ロールベーラ
B 拾い上げ送り込み装置
D 作用巾
FR フロントローラ
W 間隔
a 入口
b コンベア装置
c ピックアップ装置
d コンベア装置の巾
s 軸
1 機体
10 走行輪
11 キャビン
2 ベール成形装置
20 成形室
21 タイトチェン
22 ガイド輪
23 ガイド板
24 上部スプロケット
25 下部スプロケット
3 送り込み集草ローラ
30 らせんの送り翼
31 突起
4 送り込み押圧ローラ装置
40 翼板
41 ディスク
5 押さえ込み手段
50 支持杆
51 棒状体
52 プレート
6 ベルトコンベア装置
60 エンドレスベルト
61 62 支持ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体に装架したベール成形装置の成形室の入口の前面に、コンベア装置を装備せしめ、そのコンベア装置の前端部の前方に、ピックアップ装置を前記コンベア装置の幅より広い幅に構成して装備せしめ、そのピックアップ装置と前記ピックアップ装置の前端部との間に、ピックアップ装置の巾寸法と略同じ長さで両端部の周面に横送りのらせん翼を装備せしめた送り込み集草ローラを、ピックアップ装置と並列する状態に配位して、機体に軸架し、その送り込み集草ローラを、コンベア装置の周速より早い周速で上周面側がピックアップ装置側からコンベア装置の前端部に向け回動するよう駆動せしめることを特徴とする自走式ロールベーラにおける拾い上げ送り込み装置。
【請求項2】
前記自走式ロールベーラの拾い上げ送り込み装置において、前記送り込み集草ローラの後部上方で、コンベア装置の前端部の上方位置に、コンベア装置の巾寸法と略同じ長さで前記送り込み集草ローラより大径のローラ状に形成した送り込み押圧ローラ装置を配位して機体に軸架し、その送り込み押圧ローラ装置を、コンベア装置の周速と略同程度の周速で、下周面側がピックアップ装置側からベール成形装置の成形室の入口に向け回動するよう駆動せしめることを特徴とする自走式ロールベーラにおける拾い上げ送り込み装置。
【請求項3】
前記自走式ロールベーラの拾い上げ送り込み装置において、前記送り込み押圧ローラ装置より後方でコンベア装置の上方に位置する部位に、コンベア装置で搬送される被成形材料を上方から押さえ付ける押さえ込み手段を配位して機体に固定支架せしめることを特徴とする自走式ロールベーラにおける拾い上げ送り込み装置。
【請求項4】
前記自走式ロールベーラの拾い上げ送り込み装置において、前記送り込み集草ローラの後部上方でコンベア装置の前端部の上方に位置する部位とコンベア装置の後端部の上方に位置する部位とに、支持ローラを軸支して、これら支持ローラに、コンベア装置の巾と略同じ巾に形成したベルトをエンドレスに張架し、このエンドレスベルトを、下方回動側がコンベア装置と略同速の周速で後方に回動するよう駆動せしめ、送り込み集草ローラによりコンベア装置に受け渡された被成形材料をこのエンドレスベルトとコンベア装置との協働で圧縮しながら成形室に送ることを特徴とする自走式ロールベーラにおける拾い上げ送り込み装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−9655(P2013−9655A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145985(P2011−145985)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000132909)株式会社タカキタ (34)