説明

自走式門型クレーンのカバー装置

【課題】門型クレーンの休止時に、該門型クレーンの設置されている搬送場を倉庫あるいは作業場として有効に活用できる自走式門型クレーンのカバー装置を得る。
【解決手段】走行輪(6)を有する一対の支持脚(4)の上部に横桁(5)を渡架し、該横桁(5)にウインチ(8)を取り付けてなる自走式の門型クレーン(3)を設け、前記門型クレーン(3)に、上面を覆う上面カバー(16)、両側面を覆う側面カバー(20)を設け、門型クレーン(3)の走行方向前面又は走行方向後面を覆う走行面カバー(25)を開閉可能に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外に設置される自走式の門型クレーンに関し、特にそのカバー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、図2に示すものがあった。図2において、1は搬送場の地面であり、該地面1に一対のレール2を左右に所定の間隔をおいて平行に設置し、該レール2上に複数の自走式の門型クレーン3(3−1,3−2)を並列に載置する。
【0003】
前記各門型クレーン3は共に同じ構造となっており、そのうちの1台を代表して説明すると以下の如くなっている。即ち、一対の枠状の支持脚4の上部に、同じく枠状の横桁5を渡架して両者を一体的に連結し、各支持脚4の下部に前記レール2上で転動する複数(本例では4個)の走行輪(車輪)6を取付け、 前記横桁5に横走台7を左右移動可能に載置し、該横走台7にウインチ8を取り付ける。
【0004】
前記走行輪6は、支持脚4の下桟4aに取付けた走行駆動部9によって正・逆回転され、門型クレーン3を前後方向(図2において矢印X方向)に移動させる。前記横走台7は横走駆動部10によって左右方向(図2においてY方向)に移動させる。前記ウインチ8はフック11が懸垂支持されるワイヤ12を巻取り又は巻き出し、フック11に掛けた被搬送物を昇降させる。
【0005】
前記従来の門型クレーン3は、全体が外部に露出していたため、門型クレーン3の休止している雨天時等においては、該門型クレーン3の設置されている広い搬送場が無駄な広場となるものであった。また、門型クレーン3の各駆動部が風雨に晒され易く、劣化し易いものであった。
【特許文献1】特開2003−261284号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、門型クレーンの休止時に、該門型クレーンの設置されている広い搬送場を倉庫あるいは作業場として活用できるようにした新規な自走式門型クレーンのカバー装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記目的を達成するために以下の如く構成したものである。即ち、請求項1に係る発明は、走行輪を有する一対の支持脚の上部に横桁を渡架し、該横桁にウインチを取り付けてなる自走式の門型クレーンを設け、前記門型クレーンに、少なくとも上面を覆う上面カバーを設ける構成にしたものである。
請求項2に係る発明は、前記各支持脚の外側に門型クレーンの両側面を覆う側面カバーを設けたものである。
請求項3に係る発明は、前記横桁に門型クレーンの走行方向前面又は走行方向後面を覆う走行面カバーを開閉可能に設けたものである。
【発明の効果】
【0008】
上面カバーが雨を遮ることになるので、門型クレーンを運転しない雨天時等に、該門型クレーンで囲まれた搬送場に資材を置いたり、該搬送場で別の作業をしたりすることができ、門型クレーンが設置された搬送場を有効に活用することができる。また、夏期時においては上面カバーが直射日光を遮ることになるので、門型クレーン内で荷造り、積み下ろしする作業者の疲労を軽減することになる。
請求項2に係る発明は、門型クレーンの上面及び側面を、上面カバー及び側面カバーが覆うので、前記搬送場に置いた資材を風雨から保護する機能が高くなるとともに、門型クレーン内での作業が容易となる。
請求項3に係る発明は、門型クレーン内の密閉機能が高くなるので、湿気に弱い資材を安全に搬送することができる。また、門型クレーンの休止時に該門型クレーン内に収容する資材の種類を拡大させることができるとともに、該門型クレーン内での作業が安全に行なえることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明の実施例を図面に基いて説明する。図1は本発明の実施例を示す一部断面斜視図である。図1において、1は搬送場の地面、2は該地面1に設置した一対のレール、3(3−1,3−2)は該レール11上に載置した自走式の門型クレーンであり、これらは前述したものと略同構造となっているので、対応する部位に図2に付した符号と同符号を付してその説明を省略する。
【0010】
図1において、15(15−1,15−2)は門型クレーン3(3−1,3−2)に取り付けたカバー装置である。該カバー装置15はプラスチック板、あるいはシート等の資材により形成されるもので、門型クレーン3の上面を覆う上面カバー16、該門型クレーン3の左右両側面を覆う側面カバー20、該門型クレーン3の進行方向前面を覆う走行面カバー25からなる。なお、走行面カバー25は進行方向の前後面を覆うようにしてもよい。
【0011】
前記上面カバー16は、硬質プラスチック製の板材を側面視台形の山形に屈曲させ、左右に配置した多数のブラケット17を介して横桁5に固定する。該上面カバー16は門型クレーン3の左右幅及び前後幅よりも若干大きくして各横桁5に対して所定量上方に配置し、各横桁5に載置した横走台7、ウインチ8の左右(図1においてY方向)移動を阻害しないようにする。また、前記上面カバー16の前後の端縁に樋18を取り付ける。
【0012】
前記側面カバー20は、硬質プラスチック製の平板、又は波板により形成され、上下に配置した多数の取付け桟21を介して支持脚4に固定する。該側面カバー20は各支持脚4の前後幅及び上下長さと略等しくする。なお、前記側面カバー20の前後幅は各支持脚4前後幅よりも広幅にし、前後の門型クレーン3−1,3−2が接近した際に、隣接する側面カバー20の前後縁部を当接、又はオーバーラップさせ、前後の門型クレーン3−1,3−2の側面を隙間無く閉塞するようにしてもよい。
【0013】
前記走行面カバー25は、可撓性の耐水性シート(本例では塩化ビニール製のシート)により形成され、横桁5に取り付けたカーテンレール(図示省略)に左右摺動可能に垂下係止する。該走行面カバー25は門型クレーン3の進行方向前面(又は進行方向後面)の面積に略対応する面積とし、不使用時には一方の支持脚4に向けて折り畳み、上下中間部を止めベルト26により前記支持脚4に締付け固定する。なお、前記走行面カバー25は、左右中心部で分割するようにしてもよい。
【0014】
ここで、レール2上に多数の門型クレーン3(3−1,3−2)が前後に並列に載置されている場合、これらを倉庫として活用する際には、各門型クレーン3を接近させ、最前部の門型クレーン3−1の進行方向前面を前面側の走行面カバー25−1で閉塞し、最後部の門型クレーン3−2の進行方向後面を後面側の走行面カバー25−2で閉塞するようにする。このようにすれば、多数の門型クレーン3で1つの部屋を形成することができ、資材を効率良く収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例を示す一部断面斜視図である。
【図2】従来例の自走式門型クレーンを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0016】
1 地面(搬送場)
2 レール
3(3−1,3−2) 門型クレーン
4 支持脚
4a 下桟
5 横桁
6 車輪
7 横走台
8 ウインチ
9 走行駆動部
10 横走駆動部
11 フック
12 ワイヤ
15 カバー装置
16 上面カバー
17 ブラケット
18 樋
20 側面カバー
21 取付け桟
25(25−1,25−2) 走行面カバー
26 止めベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行輪(6)を有する一対の支持脚(4)の上部に横桁(5)を渡架し、該横桁(5)にウインチ(8)を取り付けてなる自走式の門型クレーン(3)を設け、前記門型クレーン(3)に、少なくとも上面を覆う上面カバー(16)を設けたことを特徴とする自走式門型クレーンのカバー装置。
【請求項2】
各支持脚(4)の外側に門型クレーン(3)の両側面を覆う側面カバー(20)を設けたことを特徴とする請求項1記載の自走式門型クレーンのカバー装置。
【請求項3】
横桁(5)に門型クレーン(3)の走行方向前面又は走行方向後面を覆う走行面カバー(25)を開閉可能に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の自走式門型クレーンのカバー装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−115007(P2008−115007A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−302310(P2006−302310)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【出願人】(506374498)丸順エンジニアリング株式会社 (7)