自転車のバーエンド型ギアシフト部の作動装置
【課題】それぞれの運転者の手が最適な位置を取る共に、装置の作動時にその手の位置をほぼ変えずとも迅速なギアシフトを可能にする、自転車のバーエンド型ギアシフト部の作動装置を提供する。
【解決手段】自転車のバーエンド型ギアシフト部の作動装置100であって、ハンドルバーの、自転車の走行方向に沿って前方に向いた端部Mに装着するのに適した装着部110と、装着部110に取り付けられており、ギアシフト指令が出されていない場合に装着部110に対してニュートラルな位置を取る作動部120とを備える作動装置100において、前記作動装置100が、装着部110に対する作動部120のニュートラルな位置を調節するための手段を備えることを特徴とする。
【解決手段】自転車のバーエンド型ギアシフト部の作動装置100であって、ハンドルバーの、自転車の走行方向に沿って前方に向いた端部Mに装着するのに適した装着部110と、装着部110に取り付けられており、ギアシフト指令が出されていない場合に装着部110に対してニュートラルな位置を取る作動部120とを備える作動装置100において、前記作動装置100が、装着部110に対する作動部120のニュートラルな位置を調節するための手段を備えることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車のバーエンド型ギアシフト部の作動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、競走用の自転車では、性能を上げるための解決策の研究が絶えず続けられている。詳細に述べると、スピードレース(典型的には、タイムトライアルなど)用の自転車では、自転車の全ての部品が空気力学的に良好な構成を有することが特に重要とされる。さらに、性能を上げる要因として、各指令部の効率と、指令部の動作に煩わされずに、運転者が奮闘することに集中できるように、指令作動を簡単かつ安全に行えることが挙げられる。
【0003】
近年、実質上前方に向いた2つの端部を有する、競走用に特化した特殊なハンドルバーが普及している。このようなハンドルバーにより、運転者は、体の位置を前方に大きく傾けた空気力学的に効率のよい姿勢を維持することができる。
【0004】
そのようなハンドルバーの普及に伴い、特殊なブレーキ作動装置やギアシフト作動装置も普及するようになった。これらの装置は運転者が姿勢を維持したまま簡単に作動できるようにまさにハンドルバーの端部に装着されることから、バーエンド型の装置と一般的に称される。
【0005】
また、ギアシフト部の電気式の作動装置も知られている。各ギアシフトにおいて、運転者は、アップワード指令を出すには第1のスイッチを作動させ、ダウンワード指令を出すには第2のスイッチを作動させる必要がある。
【0006】
特許文献1には、バーエンド型ギアシフト部の電気式の作動装置が記載されている。この作動装置は実質的に円筒状のボディを備えており、この円筒状のボディは、ハンドルバーの円筒状チューブの理想的な延設部を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2105377号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
出願人は、ギアシフト部の上記のような種類の作動装置について、すべての運転者が最適な手の位置を取る共に当該装置の作動時にその手の位置をほぼ変えずに済むように特殊設計することにより、当該装置の全体的な効率を向上できることに気付いた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上を踏まえて、本発明は、請求項1に記載の装置に関する。好ましい構成は、従属請求項に記載されている。
【0010】
詳細には、前記装置は、自転車のバーエンド型ギアシフト部の作動装置であって、前記自転車の走行方向に、前方に向いたハンドルバーの端部に装着するのに適した装着部と、前記装着部に取り付けられており、ギアシフト指令が出されていない場合に前記装着部に対してニュートラルな位置を取る作動部とを備える。さらに、この作動装置は、前記装着部に対する前記作動部の前記ニュートラルな位置を調節するための手段を備えることを特徴とする。
【0011】
これにより、各運転者は、ギアシフト部が作動されていない際に前記作動部が取る位置を、自身の身体的特徴および好みに基づいて、通常走行中に調節することができる。なお、前記ニュートラルな位置は、ギアシフトのあいだ維持される場合もあれば、維持されない場合もある。すなわち、指令のタイプに応じて、前記ギアシフト指令は、前記ニュートラルな位置からの前記作動部の移動を意味する場合もあれば、前記ニュートラルな位置からの前記作動部の運動を意味しない場合もある。
【0012】
好ましくは、前記装置は、さらに、前記作動部と関連する電気作動手段を備える。電気式の指令システムは、運転者が最小限の手または指の運動でギアシフトを実行できるようになるので、特に適している。これにより、ギアシフトのあいだも、空気力学的にベストな姿勢を維持することが容易になる。
【0013】
好ましくは、前記作動部が、レバーの形態であり、前記自転車の前記走行方向に、前記装着部から遠ざかるにつれて、前記作動部は、その断面積が減少する少なくとも1つのテーパ部位を有する。
【0014】
このような断面積の減少により、運転者は、走行方向に対して前方に向いた手がしっかりと閉じた状態を維持しながら前記装置を握ることができるので、ハンドルバーの端部において空気力学的により良好な姿勢を取ることができる。
【0015】
好ましくは、前記作動部が、前記装着部の近位にある凹状の第1の上側プレッシング(pressing)領域を有し、かつ、前記装着部から遠位にある第2の下側プレッシング領域を有する。
【0016】
運転者は、ペダル動作の際、ハンドルバーの端部を握りながら、手を置いたハンドルバーの端部に非常に近い位置で前記作動部を握るために曲げられた親指で前記第1のプレッシング領域と係合することができる。この際、前記作動部の下部で人差し指を曲げた状態にしている。これにより、前記第1のプレッシング領域の凹形状により親指が部分的に前記作動部に収まるので、空気力学的になおいっそう良好な姿勢を取ることができる。
【0017】
好ましくは、前記作動部が、前記装着部と前記第2のプレッシング領域との間に、凹状の第3の下側プレッシング領域を有する。この第3のプレッシング領域により、前記作動部の下部において人差し指を伸ばさずに曲げる、人差し指の代替的姿勢がもたらされる。この姿勢は、人差し指が凹状のプレッシング領域に部分的に収まるので空気力学的に良好な位置である。
【0018】
好ましくは、前記作動部が、前記装着部から遠位にある第4の上側プレッシング領域を有する。この第4のプレッシング領域により、前記作動部の上部において親指を曲げずに伸ばす、親指用の代替的姿勢がもたらされる。この姿勢は、親指が前方に真っ直ぐになるので空気力学的に良好な位置である。
【0019】
前記第4のプレッシング領域は、扁平でもよいが、好ましくは、若干の凹状である。凹状の形状であれば、末節骨(最も外側の指節骨)が基節骨から(他の指の方向に)少し突出する親指の典型的な骨格に適合するので、空気力学的状態が向上する。
【0020】
前記第2のプレッシング領域は、実質的に扁平でもよいが、好ましくは、若干の凹状である。凹状の形状であれば、指節骨に顕著な突部を持たない人差し指の典型的な骨格に適合するので、空気力学的状態が向上する。
【0021】
好ましくは、前記少なくとも1つのテーパ部位が、前記装着部から遠位にあるエンド部位であり、かつ、側面視および/または平面視で前記装着部から遠ざかるにつれてテーパする形状を有する。側面視でテーパする形状も、平面視でテーパする形状も、前記作動部に良好な空気力学的作用をもたらす。
【0022】
好ましくは、前記装着部が、前記ハンドルバーの前記端部に装着するためのエクスパンダー(expander)を有しており、当該エクスパンダーは、拡張可能セクタ(splayable sectors)と、前記電気作動手段に接続する電気ケーブルを通すための自由角度間隔(free angular space)とを具備する。これにより、電気式の指令システムが一般的に備えるケーブルを、ハンドルバーのチューブ内部に容易に通すことができる。これにより、ケーブルがよりよく保護され、自転車の空気力学的作用も向上し、かつ、見た目もよくなる。
【0023】
第1の好ましい実施形態では、前記作動部が、前記装着部に対して第1の動作位置と第2の動作位置との間で角度方向に運動可能であるように取り付けられており、前記電気作動手段が、前記装着部および前記作動部のうちの一方に取り付けられた2個のスイッチを含み、当該2個のスイッチは、前記装着部および前記作動部のうちの他方に設けられた、それぞれに対応するストライカによって作動されるものであり、前記作動部が前記第1の動作位置および前記第2の動作位置をそれぞれ取るときに、前記各スイッチが、アップワード指令またはダウンワード指令をそれぞれ出すように意図されている。これにより、運転者は、前記装置に対する手の握りをほぼ変えることなく、典型的にはアップワードまたはダウンワードに、手の中の前記作動部を少し動かすだけで、ギアシフトを実行することができる。したがって、最大の操作スピードと空気力学的に最適な姿勢の維持の両方を確保することができる。
【0024】
好ましくは、前記ニュートラルな位置を調節する前記手段が、前記スイッチの角度位置および/または前記ストライカの角度位置を変化させることにより、2つの前記動作位置と前記ニュートラルな位置とを一緒に調節するのに適している。
【0025】
好ましくは、前記2個のスイッチが、前記作動部に取付固定されたプレートに支持されており、2つの前記ストライカが、前記装着部に対して調節可能であるように固定されたストライカ支持アセンブリに形成されており、ストレスのない状態では前記作動部を前記ニュートラルな位置に保持するように、前記作動部と前記ストライカ支持アセンブリとの間で作用する、ばねが取り付けられている。
【0026】
好ましくは、前記作動部の前記ニュートラルな位置を調節する前記手段が蓋体を含み、当該蓋体には前記ストライカ支持アセンブリが定位置で取り付けられており、さらに、当該蓋体にはスロットが形成されており、当該スロットに挿入されたねじによって前記蓋体が前記装着部に調節可能位置で固定されており、前記ねじを緩ませることにより、前記蓋体の角度位置を前記ストライカ支持アセンブリの角度位置とともに、前記装着部に対して変化させることができ、前記ねじを締めることにより、前記蓋体の角度位置をロックすることができる。
【0027】
上述した構成により、構造を過度に複雑化させずとも、極めて機能的な装置を製作することができる。
【0028】
第2の好ましい実施形態では、前記電気作動手段が、前記作動部の上方からアクセス可能であるように当該作動部に取り付けられた2個のスイッチを含み、当該各スイッチが、それぞれアップワード指令またはダウンワード指令を出すように意図されている。これにより、運転者は、前記装置に対する手の握りを過度に変えることなく、親指を少し動かすだけで、前記2個のスイッチの一方または他方を作動してギアシフトを実行することができる。手の大部分の位置を維持したまま親指だけを動かせばよいので、この実施形態でも、最大の操作スピードと空気力学的に最適な姿勢の実質的な維持の両方を確保することができる。
【0029】
好ましくは、前記ニュートラルな位置を調節する前記手段が、前記作動部と前記装着部との間に、ねじ付きピンを備え、当該ねじ付きピンを緩ませることにより、前記作動部の角度位置を前記装着部に対して変化させることができ、当該ねじ付きピンを締めることにより、前記作動部の角度位置をロックすることができる。
【0030】
第1の実施形態と第2の実施形態のどちらが好適であるかは、基本的に各運転者の好みによる。第1の実施形態では、握りを変えることなく作動部を少し動かすだけでギアシフトを実行することができる。第2の実施形態では、手の大部分を全く動かすことなく1本の指を動かすだけでギアシフトを実行することができる。空気力学的作用を最大限にまで追及したい運転者にとっては、第1の実施形態が好適と思われる。他方、握りを最大限にコントロールしたい運転者にとっては、第2の実施形態が好適と思われる。
【0031】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照しながら行う、好ましい実施形態についての以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる、ハンドルバーの端部に装着された電気式の作動装置を示す斜視図である。
【図2】図1の装置の側面図である。
【図3】図1の装置の平面図である。
【図4】作動部が取る位置を3つ例示した、図1の装置の側面図である。
【図5】二番目の方法で調節された、部分的にカバーが外された状態の図1の装置の斜視図である。
【図6】三番目の方法で調節された、部分的にカバーが外された状態の図1の装置の斜視図である。
【図7】図1の装置の分解斜視図である。
【図8】図7とは異なる角度から見た、図7に類似する分解斜視図である。
【図9】ハンドルバーの端部から部分的に取り外した状態を示す、図1の装置の斜視図である。
【図10】図1の装置の一変形例を示す斜視図である。
【図11】図1の装置の他の変形例を示す斜視図である。
【図12】ハンドルバーの端部に装着された、本発明の第2の実施形態にかかる電気式の作動装置の斜視図である。
【図13】図12の装置の側面図である。
【図14】図12の装置を上方からみた図である。
【図15】二番目の方法で調節された、部分的にカバーが外された状態の、図12の装置の斜視図である。
【図16】三番目の方法で調節された、部分的にカバーが外された状態の、図12の装置の第3の斜視図である。
【図17】図12の装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
後述・図示する装置は、ハンドルバーの左側の端部用のものとする。なお、このハンドルバーの右側の端部にも、左側の端部用の装置と対称同一な装置が設けられているものとする(図示せず)。
【0034】
図1〜図9に、競走(特に、スピードレース)用自転車(図示せず)のギアシフト部の、本発明の第1の実施形態にかかる電気式の作動装置100を示す。作動装置100は、いわゆるバーエンド型の装置であり、競走用自転車(特に、タイムトライアル用として特化した自転車)に使用されるタイプの自転車ハンドルバー端部Mに装着されている。このようなハンドルバー端部Mは、自転車の前方運動方向において主軸Aに沿って前方に向いている。また、運転者に一般的なグリップを使用可能にするように、同じハンドルバーに一般的なタイプの端部、すなわち、前方に向いていない端部を設けてもよい。
【0035】
作動装置100は、ハンドルバーの端部Mに装着するのに適した装着部110と、前記方向Aを横切る軸心Tを中心として角度方向に運動可能であるように装着部110によって支持された作動部120とを備える。
【0036】
作動部120は、前記軸心Tと同軸である実質的に円筒状かつ中空のボディ130と、ボディ130の上部にほぼ正接する主軸Aの方向にボディ130から突出した延出体(extension)140とを有する。つまり、延出体140は、使用時に自転車の走行方向に沿って前方に向く。
【0037】
作動部120の延出体140は、ボディ130の近位にある凹状の第1の上側プレッシング領域141を有し、かつ、ボディから遠位にある第2の下側プレッシング領域142を有する。好ましくは、第2の下側プレッシング領域142は、実質的に扁平であるか、あるいは、若干の凹状である。
【0038】
延出体140は、さらに、ボディ130と第2のプレッシング領域142との間に、凹状の第3の下側プレッシング領域143を有する。
【0039】
延出体140は、さらに、ボディ130から遠位にある第4の上側プレッシング領域144を有する。好ましくは、前記第4の上側プレッシング領域144は、若干の凹状である。
【0040】
作動部120(詳細には、その延出体140の部分)が、レバーの形態であり、装着部110から遠ざかるにつれてテーパしている(特に、図2および図3を参照されたい)。具体的に述べると、作動部120の延出体140は、装着部110から遠位にある第2および第4のプレッシング領域142,144において、テーパしたエンド部位(端の部位)150を有する。すなわち、エンド部位150は、断面積が装着部110から自転車の走行方向に向かって遠ざかるにつれて減少する。より具体的に述べると、エンド部位150は、側面視および/または平面視で装着部110から遠ざかるにつれてテーパする形状をしている。
【0041】
既述したように、作動部120は、装着部110に対して角度方向に運動可能である。具体的に述べると、作動部120は、2つの動作位置(図4に破線で示す位置)とそれらの間のニュートラルな位置(図2に例示する位置および図4に実線で示す位置)との間で移動可能である。図4に示すように、前記2つの動作位置は、対応する2つの方向(すなわち、アップワード方向およびダウンワード方向)への、作動部120の前記ニュートラルな位置からの有限な角度方向運動に相当する。
【0042】
前記ニュートラルな位置ではギアシフト指令は出されず、前記2つの動作位置の各動作位置でアップワード指令またはダウンワード指令が出される。この目的のために、作動装置100は、作動部120と関連(associated)する電気作動手段を備える(特に、図7および図8を参照されたい)。具体的に述べると、前記電気作動手段は、プレート163に取り付けられ、多芯型の電気ケーブル164に接続された2個のスイッチ161,162と、ストライカ支持アセンブリ173に形成された2つのストライカ171,172とを含む。
【0043】
プレート163は、ボディ130の内部でねじ165によって作動部120に取付固定されている。
【0044】
ストライカ支持アセンブリ173は、装着部110に対して調節可能であるように固定されている。具体的に述べると、ストライカ支持アセンブリ173には着座部位174が設けられており、この着座部位174は、蓋体176に形成されたプロファイル175に形状カップリングによって嵌合している。蓋体176は、作動部120の中空のボディ130を介して、ねじ177によって装着部110に取付固定されている。ねじ177は、その一方の側において、装着部110にねじ118で固定されたねじブッシュ117に自身のねじ軸部が係合している。ねじ118は、その他方の側において、蓋体176に形成されたスロット178に自身の拡幅なヘッド部が係合している。蓋体176に形成された2つの突起179が装着部110に当接しているが、どのような場合でも、作動部120は確実に角度方向運動できるようにされている。ちなみに、プロファイル175はスロット178の周りに延設されている。作動部120のボディ130と蓋体176(したがって、ストライカ支持アセンブリ173)との間に、ギアシフトを実行するためのストレスが運転者によって加えられていない状態では作動部120を前記ニュートラルな位置に弾性的に保持するばね180が取り付けられている。カバー181は、作動装置100を側方から閉じるように、蓋体176に押圧固定される。
【0045】
蓋体176の角度位置[およびストライカ支持アセンブリ173の角度位置(したがって、ストライカ171,172の角度位置)]は、カバー181を取り外した後、ねじ177を操作することによって変化させることができる。ねじ177を緩ませることにより、スロット178のサイズによって許容される範囲内で、蓋体176を装着部110に対して角度方向に動かすことができる。他方、ねじ177を締めることにより、蓋体176の角度位置をロックすることができる。図5および図6に、蓋体176が取り得る2つの限界の角度位置、すなわち、ニュートラルな位置にある作動部120が取り得る2つの限界の位置を示す。
【0046】
作動部120を、前記ニュートラルな位置(図4に実線で示す中間位置)から前記2つの動作位置(図4に破線で示す限界位置)のうちの一方の動作位置へと動かすことにより、ストライカ171、172の一方または他方が、それぞれに対応するスイッチ161,162に作用し、電気的なアップワード指令またはダウンワード指令をトリガする。このようなギアシフトを実行するための信号の管理方法は、当該技術分野において周知なので、本明細書では説明を省略する。
【0047】
当然ながら、上記の構成と逆の構成を採用してもよい。すなわち、前記スイッチを装着部に取り付けて、前記ストライカを作動部に取り付けてもよい。
【0048】
作動装置100は、ハンドルバーの端部Mの内部に装着するためのエクスパンダー190(周知なので、本明細書では詳述しない)を備えており、このエクスパンダー190は装着部110に取り付けられている。エクスパンダー190は、拡張可能なセクタ191と、ケーブル164をハンドルバーの端部Mの内部に通すために、セクタ191間の自由角度間隔192とを具備する。図7、図8および図9を参照されたい。
【0049】
図10に、本発明の前述した実施形態にかかる電気式の作動装置の、一変形例101を示す。作動装置101は、ケーブル164をハンドルバーの端部Mの外側で通す点が、作動装置100と異なる。作動装置101のその他の特徴は、全て作動装置100の特徴と同一なので、本明細書で詳述したり図示したりしない。
【0050】
図11に、本発明の前述した実施形態にかかる電気式の作動装置の、第2の変形例102を示す。作動装置102は、ケーブル164をハンドルバーの端部Mの外側で通す点と、内側のエクスパンダーの代わりに外側のストラップ191を用いてハンドルバーの端部Mに固定される点が、作動装置100と異なる。作動装置102のその他の特徴は、全て作動装置100の特徴と同一なので、本明細書で詳述したり図示したりしない。
【0051】
作動装置100(または作動装置101もしくは作動装置102)の特定の動作のおかげで、既述したようにねじ177を操作することにより、運転者は作動部120の前記ニュートラルな位置を調節することができる。前記ニュートラルな位置を変化させることにより、結果的に、ギアシフト実行に相当する前記動作位置も変化するので、ギアシフトを実行するための作動部120の(前記ニュートラルな位置からの)動きは、常に同一に維持される。運転者は、自身の身体的特徴(手の形態)および/または自身の好みの握り、ならびに総合的に自転車における自身の好ましいポスチュア(posture)に応じて、好適な位置を容易に選択することができる。
【0052】
前記ニュートラルな位置が設定されれば、操作時に、運転者は、装着部110に手を載せて、ハンドルバーを端部Mで把持する。好ましい一形態では、運転者は、延設体140の上で第1のプレッシング領域141に親指を載置し、延設体140の下で第2のプレッシング領域142に人差し指を載置した状態を保持する。親指は、第1のプレッシング領域141の凹形状により、部分的に作動部120に収まる。
【0053】
上記のような位置に指を置くことにより、運転者の手と作動装置100との組合せは空気力学的に好適な形態を取る。また、運転者は、そのような指の姿勢を、どのようなギアシフト実行時にもほぼ維持することができる。なぜなら、親指と人差し指とが作動部120を直接かつ迅速に作動させるのに適した位置に既に置かれており、その状態で作動部120を上昇または下降させることにより所望のギアシフトを実行することができるからである。
【0054】
また、第3のプレッシング領域143により、人差し指用の一代替的位置が提供される。この領域に人差し指を置くとき、人差し指は曲げた状態にあり、そのうえ、第3のプレッシング領域143の凹形状により、部分的に作動部120に収まる。この場合も、全体構成は空気力学的に良好であり、操作性(manoeuvre)も前とほぼ変わらない。
【0055】
また、第4のプレッシング領域144により、親指用の一代替的位置が提供される。この部分に載置されると、親指は第1のプレッシング領域141に載置される場合よりも伸びており、そのうえ、第4のプレッシング領域144の凹形状により、部分的に作動部120に収まる。この場合も、全体構成は空気力学的に良好であり、操作性も前とほぼ変わらない。
【0056】
事実上、運転者は、親指と人差し指のそれぞれに2種類の代替的位置を持つことができる。これは、運転者に常に同じ位置を維持することを強いらず(すなわち、引きつる(cramping)恐れがない)、また、位置の変更によって空気力学的な機能性が損なわれることもないので、極めて有益である。
【0057】
図12〜図17に、競走(特に、スピードレース)用自転車(図示せず)のギアシフト部の、本発明の第2の実施形態にかかる電気式の作動装置200を示す。
【0058】
作動装置200は、ハンドルバーの端部Mに装着するのに適した装着部210と、前記方向Aを横切る軸心Tを中心として角度方向に運動可能であるように、装着部210によって支持された作動部220とを備える。
【0059】
作動部220は、前記軸心Tと同軸である実質的に円筒状のボディ230と、ボディ230の上部にほぼ正接する主軸Aの方向にボディ230から突出した延出体240とを有する。つまり、延出体240は、使用時に自転車の走行方向に前方に向く。
【0060】
作動部220の延出体240は、ボディ230に隣接した凹状の第1の上側プレッシング領域241を有し、かつ、ボディから遠位にある第2の下側プレッシング領域242を有する。第2の下側プレッシング領域242は、実質的に扁平であるか、あるいは、若干の凹状である。
【0061】
延出体240は、さらに、ボディ230と第2のプレッシング領域242との間に、凹状の第3の下側プレッシング領域243を有する。
【0062】
延出体240は、さらに、ボディ230から遠位にある第4の上側プレッシング領域244を有する。好ましくは、前記第4の上側プレッシング領域244は、若干の凹状である。
【0063】
作動部220(詳細には、その延出体240において)が、レバーの形態であり、装着部210から遠ざかるにつれてテーパしている(特に、図13および図14を参照されたい)。具体的に述べると、作動部220の延出体240は、装着部210から遠位にある第2および第4のプレッシング領域242,244においてエンド部位(端部)250を有し、そのエンド部位250はテーパ状である。すなわち、エンド部位250が装着部210から自転車の走行方向に遠ざかるにつれてその断面積が減少する。より具体的に述べると、エンド部位250は、側面視および/または平面視で装着部210から遠ざかるにつれてテーパする形状をしている。
【0064】
既述したように、作動部220は、装着部210に対して角度方向に運動可能であるが、作動装置100(または作動装置101もしくは作動装置102)の作動部120とは異なり、ギアシフト指令を出すものではない。作動部220は、走行時にニュートラルな位置を取る役割のみを担う。なお、このニュートラルな位置は、後述するように調節可能である。
【0065】
作動装置200は、作動部220と関連する電気作動手段を備える。具体的に述べると、前記電気作動手段は、プレート263に並んで取り付けられた2個のスイッチ261,262を含む。これら2個のスイッチ261,262は、多芯型の電気ケーブル264に接続されている。プレート263は、作動部220の延設体240の下部に固定されており、2個のスイッチ261,262は、第1の載置領域241よりも前方に位置し、すなわち、第1の載置領域241と第4の載置領域244との間に位置し、それぞれに対応する孔(図示せず)を通り抜けて延設体240の上部で互いに対向する。また、スイッチ261,262は、当該スイッチ261,262を作動できるように変形自在とされた、それぞれに対応するキャップ271,272によって保護されている。カバー281が、延設体240を下方から閉じている。
【0066】
作動部220は、装着部210に対して調節可能であるように固定されている。具体的に述べると、前記軸心Tに沿ってねじ付きピン277が設けられており、その軸部は装着部210のねじ付き着座部位217に螺合され、そのヘッド部は作動部220のボディ230に係合している。
【0067】
作動部220の角度位置は、ねじ付きピン277を操作することによって変化させることができる。ねじ付きピン277を緩ませることにより、作動部220を装着部210に対して角度方向に動かすことができる。他方、ねじ付きピン277を締めることにより、作動部220の角度位置をロックすることができる。図15および図16に、作動部220がそのニュートラルな位置において取り得る2つの限界の角度位置を示す。
【0068】
(変形自在なキャップ271,272を介して)スイッチ261,262を作動させることにより、電気的なギアシフトコマンド(アップワードまたはダウンワード)をトリガすることができる。このようなギアシフトを実行するための信号の管理方法は、当該技術分野において周知なので、本明細書では説明を省略する。
【0069】
作動装置200は、さらに、ハンドルバーの端部Mの内部に固定するために、装着部210に取り付けられてたエクスパンダー290(周知なので、本明細書では詳述しない)を備えている。エクスパンダー290は、拡張可能なセクタ291と、ケーブル264をハンドルバーの端部Mの内部に通すための、セクタ291間の自由角度間隔292とを備えている。図17を参照されたい。
【0070】
作動装置200の特定の動作のおかげで、既述したようにねじ付きピン277を操作することにより、運転者は作動部220の前記ニュートラルな位置を調節することができる。運転者は、自身の身体的特徴(手の形態)および/または自身の好みの握り、ならびに総合的に自転車における自身の好ましいポスチュアに応じて、好適な位置を容易に選択することができる。
【0071】
作動部220の前記ニュートラルな位置が設定されれば、使用時に、運転者は、装着部210に手を載せて、ハンドルバーを端部Mで把持する。好ましい一形態では、運転者は、延設体240の上で第1のプレッシング領域241に親指を載置し、延設体240の下で第2のプレッシング領域242に人差し指を載置した状態を保持する。親指は、第1のプレッシング領域241の凹形状により、部分的に作動部220に収まる。
【0072】
上記のような位置に指を置くことにより、運転者の手と作動装置200との組合せは空気力学的に好適な形態を取る。また、運転者は、そのような指の姿勢を、どのようなギアシフト実行時にもほぼ維持することができる。なぜなら、親指と人差し指とがスイッチ261,262を迅速に作動させるのに適した位置に既に置かれており、所望のギアシフトを実行することができるからである。
【0073】
また、第3のプレッシング領域243により、人差し指用の一代替的位置が提供される。この領域に人差し指を置くとき、人差し指は曲げた状態にあり、そのうえ、第3のプレッシング領域243の凹形状により、部分的に作動部220に収まる。この場合も、全体構成は空気力学的に良好であり、操作性も前とほぼ変わらない。
【0074】
また、第4のプレッシング領域244により、親指用の一代替的位置が提供される。この部分に載置されると、親指は第1のプレッシング領域241に載置される場合よりも伸びており、そのうえ、第4のプレッシング領域244の凹形状により、部分的に作動部220に収まる。この場合も、全体構成は空気力学的に良好であり、操作性も前とほぼ変わらない。
【0075】
作動装置100,101,102と同じく作動装置200においても、事実上、運転者は、親指と人差し指のそれぞれに2種類の代替的位置を持つことができる。これは、運転者に常に同じ位置を維持することを強いらず(すなわち、引きつる恐れがない)、また、位置の変更によって空気力学的な機能性が損なわれることもないので、極めて有益である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車のバーエンド型ギアシフト部の作動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、競走用の自転車では、性能を上げるための解決策の研究が絶えず続けられている。詳細に述べると、スピードレース(典型的には、タイムトライアルなど)用の自転車では、自転車の全ての部品が空気力学的に良好な構成を有することが特に重要とされる。さらに、性能を上げる要因として、各指令部の効率と、指令部の動作に煩わされずに、運転者が奮闘することに集中できるように、指令作動を簡単かつ安全に行えることが挙げられる。
【0003】
近年、実質上前方に向いた2つの端部を有する、競走用に特化した特殊なハンドルバーが普及している。このようなハンドルバーにより、運転者は、体の位置を前方に大きく傾けた空気力学的に効率のよい姿勢を維持することができる。
【0004】
そのようなハンドルバーの普及に伴い、特殊なブレーキ作動装置やギアシフト作動装置も普及するようになった。これらの装置は運転者が姿勢を維持したまま簡単に作動できるようにまさにハンドルバーの端部に装着されることから、バーエンド型の装置と一般的に称される。
【0005】
また、ギアシフト部の電気式の作動装置も知られている。各ギアシフトにおいて、運転者は、アップワード指令を出すには第1のスイッチを作動させ、ダウンワード指令を出すには第2のスイッチを作動させる必要がある。
【0006】
特許文献1には、バーエンド型ギアシフト部の電気式の作動装置が記載されている。この作動装置は実質的に円筒状のボディを備えており、この円筒状のボディは、ハンドルバーの円筒状チューブの理想的な延設部を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2105377号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
出願人は、ギアシフト部の上記のような種類の作動装置について、すべての運転者が最適な手の位置を取る共に当該装置の作動時にその手の位置をほぼ変えずに済むように特殊設計することにより、当該装置の全体的な効率を向上できることに気付いた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上を踏まえて、本発明は、請求項1に記載の装置に関する。好ましい構成は、従属請求項に記載されている。
【0010】
詳細には、前記装置は、自転車のバーエンド型ギアシフト部の作動装置であって、前記自転車の走行方向に、前方に向いたハンドルバーの端部に装着するのに適した装着部と、前記装着部に取り付けられており、ギアシフト指令が出されていない場合に前記装着部に対してニュートラルな位置を取る作動部とを備える。さらに、この作動装置は、前記装着部に対する前記作動部の前記ニュートラルな位置を調節するための手段を備えることを特徴とする。
【0011】
これにより、各運転者は、ギアシフト部が作動されていない際に前記作動部が取る位置を、自身の身体的特徴および好みに基づいて、通常走行中に調節することができる。なお、前記ニュートラルな位置は、ギアシフトのあいだ維持される場合もあれば、維持されない場合もある。すなわち、指令のタイプに応じて、前記ギアシフト指令は、前記ニュートラルな位置からの前記作動部の移動を意味する場合もあれば、前記ニュートラルな位置からの前記作動部の運動を意味しない場合もある。
【0012】
好ましくは、前記装置は、さらに、前記作動部と関連する電気作動手段を備える。電気式の指令システムは、運転者が最小限の手または指の運動でギアシフトを実行できるようになるので、特に適している。これにより、ギアシフトのあいだも、空気力学的にベストな姿勢を維持することが容易になる。
【0013】
好ましくは、前記作動部が、レバーの形態であり、前記自転車の前記走行方向に、前記装着部から遠ざかるにつれて、前記作動部は、その断面積が減少する少なくとも1つのテーパ部位を有する。
【0014】
このような断面積の減少により、運転者は、走行方向に対して前方に向いた手がしっかりと閉じた状態を維持しながら前記装置を握ることができるので、ハンドルバーの端部において空気力学的により良好な姿勢を取ることができる。
【0015】
好ましくは、前記作動部が、前記装着部の近位にある凹状の第1の上側プレッシング(pressing)領域を有し、かつ、前記装着部から遠位にある第2の下側プレッシング領域を有する。
【0016】
運転者は、ペダル動作の際、ハンドルバーの端部を握りながら、手を置いたハンドルバーの端部に非常に近い位置で前記作動部を握るために曲げられた親指で前記第1のプレッシング領域と係合することができる。この際、前記作動部の下部で人差し指を曲げた状態にしている。これにより、前記第1のプレッシング領域の凹形状により親指が部分的に前記作動部に収まるので、空気力学的になおいっそう良好な姿勢を取ることができる。
【0017】
好ましくは、前記作動部が、前記装着部と前記第2のプレッシング領域との間に、凹状の第3の下側プレッシング領域を有する。この第3のプレッシング領域により、前記作動部の下部において人差し指を伸ばさずに曲げる、人差し指の代替的姿勢がもたらされる。この姿勢は、人差し指が凹状のプレッシング領域に部分的に収まるので空気力学的に良好な位置である。
【0018】
好ましくは、前記作動部が、前記装着部から遠位にある第4の上側プレッシング領域を有する。この第4のプレッシング領域により、前記作動部の上部において親指を曲げずに伸ばす、親指用の代替的姿勢がもたらされる。この姿勢は、親指が前方に真っ直ぐになるので空気力学的に良好な位置である。
【0019】
前記第4のプレッシング領域は、扁平でもよいが、好ましくは、若干の凹状である。凹状の形状であれば、末節骨(最も外側の指節骨)が基節骨から(他の指の方向に)少し突出する親指の典型的な骨格に適合するので、空気力学的状態が向上する。
【0020】
前記第2のプレッシング領域は、実質的に扁平でもよいが、好ましくは、若干の凹状である。凹状の形状であれば、指節骨に顕著な突部を持たない人差し指の典型的な骨格に適合するので、空気力学的状態が向上する。
【0021】
好ましくは、前記少なくとも1つのテーパ部位が、前記装着部から遠位にあるエンド部位であり、かつ、側面視および/または平面視で前記装着部から遠ざかるにつれてテーパする形状を有する。側面視でテーパする形状も、平面視でテーパする形状も、前記作動部に良好な空気力学的作用をもたらす。
【0022】
好ましくは、前記装着部が、前記ハンドルバーの前記端部に装着するためのエクスパンダー(expander)を有しており、当該エクスパンダーは、拡張可能セクタ(splayable sectors)と、前記電気作動手段に接続する電気ケーブルを通すための自由角度間隔(free angular space)とを具備する。これにより、電気式の指令システムが一般的に備えるケーブルを、ハンドルバーのチューブ内部に容易に通すことができる。これにより、ケーブルがよりよく保護され、自転車の空気力学的作用も向上し、かつ、見た目もよくなる。
【0023】
第1の好ましい実施形態では、前記作動部が、前記装着部に対して第1の動作位置と第2の動作位置との間で角度方向に運動可能であるように取り付けられており、前記電気作動手段が、前記装着部および前記作動部のうちの一方に取り付けられた2個のスイッチを含み、当該2個のスイッチは、前記装着部および前記作動部のうちの他方に設けられた、それぞれに対応するストライカによって作動されるものであり、前記作動部が前記第1の動作位置および前記第2の動作位置をそれぞれ取るときに、前記各スイッチが、アップワード指令またはダウンワード指令をそれぞれ出すように意図されている。これにより、運転者は、前記装置に対する手の握りをほぼ変えることなく、典型的にはアップワードまたはダウンワードに、手の中の前記作動部を少し動かすだけで、ギアシフトを実行することができる。したがって、最大の操作スピードと空気力学的に最適な姿勢の維持の両方を確保することができる。
【0024】
好ましくは、前記ニュートラルな位置を調節する前記手段が、前記スイッチの角度位置および/または前記ストライカの角度位置を変化させることにより、2つの前記動作位置と前記ニュートラルな位置とを一緒に調節するのに適している。
【0025】
好ましくは、前記2個のスイッチが、前記作動部に取付固定されたプレートに支持されており、2つの前記ストライカが、前記装着部に対して調節可能であるように固定されたストライカ支持アセンブリに形成されており、ストレスのない状態では前記作動部を前記ニュートラルな位置に保持するように、前記作動部と前記ストライカ支持アセンブリとの間で作用する、ばねが取り付けられている。
【0026】
好ましくは、前記作動部の前記ニュートラルな位置を調節する前記手段が蓋体を含み、当該蓋体には前記ストライカ支持アセンブリが定位置で取り付けられており、さらに、当該蓋体にはスロットが形成されており、当該スロットに挿入されたねじによって前記蓋体が前記装着部に調節可能位置で固定されており、前記ねじを緩ませることにより、前記蓋体の角度位置を前記ストライカ支持アセンブリの角度位置とともに、前記装着部に対して変化させることができ、前記ねじを締めることにより、前記蓋体の角度位置をロックすることができる。
【0027】
上述した構成により、構造を過度に複雑化させずとも、極めて機能的な装置を製作することができる。
【0028】
第2の好ましい実施形態では、前記電気作動手段が、前記作動部の上方からアクセス可能であるように当該作動部に取り付けられた2個のスイッチを含み、当該各スイッチが、それぞれアップワード指令またはダウンワード指令を出すように意図されている。これにより、運転者は、前記装置に対する手の握りを過度に変えることなく、親指を少し動かすだけで、前記2個のスイッチの一方または他方を作動してギアシフトを実行することができる。手の大部分の位置を維持したまま親指だけを動かせばよいので、この実施形態でも、最大の操作スピードと空気力学的に最適な姿勢の実質的な維持の両方を確保することができる。
【0029】
好ましくは、前記ニュートラルな位置を調節する前記手段が、前記作動部と前記装着部との間に、ねじ付きピンを備え、当該ねじ付きピンを緩ませることにより、前記作動部の角度位置を前記装着部に対して変化させることができ、当該ねじ付きピンを締めることにより、前記作動部の角度位置をロックすることができる。
【0030】
第1の実施形態と第2の実施形態のどちらが好適であるかは、基本的に各運転者の好みによる。第1の実施形態では、握りを変えることなく作動部を少し動かすだけでギアシフトを実行することができる。第2の実施形態では、手の大部分を全く動かすことなく1本の指を動かすだけでギアシフトを実行することができる。空気力学的作用を最大限にまで追及したい運転者にとっては、第1の実施形態が好適と思われる。他方、握りを最大限にコントロールしたい運転者にとっては、第2の実施形態が好適と思われる。
【0031】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照しながら行う、好ましい実施形態についての以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる、ハンドルバーの端部に装着された電気式の作動装置を示す斜視図である。
【図2】図1の装置の側面図である。
【図3】図1の装置の平面図である。
【図4】作動部が取る位置を3つ例示した、図1の装置の側面図である。
【図5】二番目の方法で調節された、部分的にカバーが外された状態の図1の装置の斜視図である。
【図6】三番目の方法で調節された、部分的にカバーが外された状態の図1の装置の斜視図である。
【図7】図1の装置の分解斜視図である。
【図8】図7とは異なる角度から見た、図7に類似する分解斜視図である。
【図9】ハンドルバーの端部から部分的に取り外した状態を示す、図1の装置の斜視図である。
【図10】図1の装置の一変形例を示す斜視図である。
【図11】図1の装置の他の変形例を示す斜視図である。
【図12】ハンドルバーの端部に装着された、本発明の第2の実施形態にかかる電気式の作動装置の斜視図である。
【図13】図12の装置の側面図である。
【図14】図12の装置を上方からみた図である。
【図15】二番目の方法で調節された、部分的にカバーが外された状態の、図12の装置の斜視図である。
【図16】三番目の方法で調節された、部分的にカバーが外された状態の、図12の装置の第3の斜視図である。
【図17】図12の装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
後述・図示する装置は、ハンドルバーの左側の端部用のものとする。なお、このハンドルバーの右側の端部にも、左側の端部用の装置と対称同一な装置が設けられているものとする(図示せず)。
【0034】
図1〜図9に、競走(特に、スピードレース)用自転車(図示せず)のギアシフト部の、本発明の第1の実施形態にかかる電気式の作動装置100を示す。作動装置100は、いわゆるバーエンド型の装置であり、競走用自転車(特に、タイムトライアル用として特化した自転車)に使用されるタイプの自転車ハンドルバー端部Mに装着されている。このようなハンドルバー端部Mは、自転車の前方運動方向において主軸Aに沿って前方に向いている。また、運転者に一般的なグリップを使用可能にするように、同じハンドルバーに一般的なタイプの端部、すなわち、前方に向いていない端部を設けてもよい。
【0035】
作動装置100は、ハンドルバーの端部Mに装着するのに適した装着部110と、前記方向Aを横切る軸心Tを中心として角度方向に運動可能であるように装着部110によって支持された作動部120とを備える。
【0036】
作動部120は、前記軸心Tと同軸である実質的に円筒状かつ中空のボディ130と、ボディ130の上部にほぼ正接する主軸Aの方向にボディ130から突出した延出体(extension)140とを有する。つまり、延出体140は、使用時に自転車の走行方向に沿って前方に向く。
【0037】
作動部120の延出体140は、ボディ130の近位にある凹状の第1の上側プレッシング領域141を有し、かつ、ボディから遠位にある第2の下側プレッシング領域142を有する。好ましくは、第2の下側プレッシング領域142は、実質的に扁平であるか、あるいは、若干の凹状である。
【0038】
延出体140は、さらに、ボディ130と第2のプレッシング領域142との間に、凹状の第3の下側プレッシング領域143を有する。
【0039】
延出体140は、さらに、ボディ130から遠位にある第4の上側プレッシング領域144を有する。好ましくは、前記第4の上側プレッシング領域144は、若干の凹状である。
【0040】
作動部120(詳細には、その延出体140の部分)が、レバーの形態であり、装着部110から遠ざかるにつれてテーパしている(特に、図2および図3を参照されたい)。具体的に述べると、作動部120の延出体140は、装着部110から遠位にある第2および第4のプレッシング領域142,144において、テーパしたエンド部位(端の部位)150を有する。すなわち、エンド部位150は、断面積が装着部110から自転車の走行方向に向かって遠ざかるにつれて減少する。より具体的に述べると、エンド部位150は、側面視および/または平面視で装着部110から遠ざかるにつれてテーパする形状をしている。
【0041】
既述したように、作動部120は、装着部110に対して角度方向に運動可能である。具体的に述べると、作動部120は、2つの動作位置(図4に破線で示す位置)とそれらの間のニュートラルな位置(図2に例示する位置および図4に実線で示す位置)との間で移動可能である。図4に示すように、前記2つの動作位置は、対応する2つの方向(すなわち、アップワード方向およびダウンワード方向)への、作動部120の前記ニュートラルな位置からの有限な角度方向運動に相当する。
【0042】
前記ニュートラルな位置ではギアシフト指令は出されず、前記2つの動作位置の各動作位置でアップワード指令またはダウンワード指令が出される。この目的のために、作動装置100は、作動部120と関連(associated)する電気作動手段を備える(特に、図7および図8を参照されたい)。具体的に述べると、前記電気作動手段は、プレート163に取り付けられ、多芯型の電気ケーブル164に接続された2個のスイッチ161,162と、ストライカ支持アセンブリ173に形成された2つのストライカ171,172とを含む。
【0043】
プレート163は、ボディ130の内部でねじ165によって作動部120に取付固定されている。
【0044】
ストライカ支持アセンブリ173は、装着部110に対して調節可能であるように固定されている。具体的に述べると、ストライカ支持アセンブリ173には着座部位174が設けられており、この着座部位174は、蓋体176に形成されたプロファイル175に形状カップリングによって嵌合している。蓋体176は、作動部120の中空のボディ130を介して、ねじ177によって装着部110に取付固定されている。ねじ177は、その一方の側において、装着部110にねじ118で固定されたねじブッシュ117に自身のねじ軸部が係合している。ねじ118は、その他方の側において、蓋体176に形成されたスロット178に自身の拡幅なヘッド部が係合している。蓋体176に形成された2つの突起179が装着部110に当接しているが、どのような場合でも、作動部120は確実に角度方向運動できるようにされている。ちなみに、プロファイル175はスロット178の周りに延設されている。作動部120のボディ130と蓋体176(したがって、ストライカ支持アセンブリ173)との間に、ギアシフトを実行するためのストレスが運転者によって加えられていない状態では作動部120を前記ニュートラルな位置に弾性的に保持するばね180が取り付けられている。カバー181は、作動装置100を側方から閉じるように、蓋体176に押圧固定される。
【0045】
蓋体176の角度位置[およびストライカ支持アセンブリ173の角度位置(したがって、ストライカ171,172の角度位置)]は、カバー181を取り外した後、ねじ177を操作することによって変化させることができる。ねじ177を緩ませることにより、スロット178のサイズによって許容される範囲内で、蓋体176を装着部110に対して角度方向に動かすことができる。他方、ねじ177を締めることにより、蓋体176の角度位置をロックすることができる。図5および図6に、蓋体176が取り得る2つの限界の角度位置、すなわち、ニュートラルな位置にある作動部120が取り得る2つの限界の位置を示す。
【0046】
作動部120を、前記ニュートラルな位置(図4に実線で示す中間位置)から前記2つの動作位置(図4に破線で示す限界位置)のうちの一方の動作位置へと動かすことにより、ストライカ171、172の一方または他方が、それぞれに対応するスイッチ161,162に作用し、電気的なアップワード指令またはダウンワード指令をトリガする。このようなギアシフトを実行するための信号の管理方法は、当該技術分野において周知なので、本明細書では説明を省略する。
【0047】
当然ながら、上記の構成と逆の構成を採用してもよい。すなわち、前記スイッチを装着部に取り付けて、前記ストライカを作動部に取り付けてもよい。
【0048】
作動装置100は、ハンドルバーの端部Mの内部に装着するためのエクスパンダー190(周知なので、本明細書では詳述しない)を備えており、このエクスパンダー190は装着部110に取り付けられている。エクスパンダー190は、拡張可能なセクタ191と、ケーブル164をハンドルバーの端部Mの内部に通すために、セクタ191間の自由角度間隔192とを具備する。図7、図8および図9を参照されたい。
【0049】
図10に、本発明の前述した実施形態にかかる電気式の作動装置の、一変形例101を示す。作動装置101は、ケーブル164をハンドルバーの端部Mの外側で通す点が、作動装置100と異なる。作動装置101のその他の特徴は、全て作動装置100の特徴と同一なので、本明細書で詳述したり図示したりしない。
【0050】
図11に、本発明の前述した実施形態にかかる電気式の作動装置の、第2の変形例102を示す。作動装置102は、ケーブル164をハンドルバーの端部Mの外側で通す点と、内側のエクスパンダーの代わりに外側のストラップ191を用いてハンドルバーの端部Mに固定される点が、作動装置100と異なる。作動装置102のその他の特徴は、全て作動装置100の特徴と同一なので、本明細書で詳述したり図示したりしない。
【0051】
作動装置100(または作動装置101もしくは作動装置102)の特定の動作のおかげで、既述したようにねじ177を操作することにより、運転者は作動部120の前記ニュートラルな位置を調節することができる。前記ニュートラルな位置を変化させることにより、結果的に、ギアシフト実行に相当する前記動作位置も変化するので、ギアシフトを実行するための作動部120の(前記ニュートラルな位置からの)動きは、常に同一に維持される。運転者は、自身の身体的特徴(手の形態)および/または自身の好みの握り、ならびに総合的に自転車における自身の好ましいポスチュア(posture)に応じて、好適な位置を容易に選択することができる。
【0052】
前記ニュートラルな位置が設定されれば、操作時に、運転者は、装着部110に手を載せて、ハンドルバーを端部Mで把持する。好ましい一形態では、運転者は、延設体140の上で第1のプレッシング領域141に親指を載置し、延設体140の下で第2のプレッシング領域142に人差し指を載置した状態を保持する。親指は、第1のプレッシング領域141の凹形状により、部分的に作動部120に収まる。
【0053】
上記のような位置に指を置くことにより、運転者の手と作動装置100との組合せは空気力学的に好適な形態を取る。また、運転者は、そのような指の姿勢を、どのようなギアシフト実行時にもほぼ維持することができる。なぜなら、親指と人差し指とが作動部120を直接かつ迅速に作動させるのに適した位置に既に置かれており、その状態で作動部120を上昇または下降させることにより所望のギアシフトを実行することができるからである。
【0054】
また、第3のプレッシング領域143により、人差し指用の一代替的位置が提供される。この領域に人差し指を置くとき、人差し指は曲げた状態にあり、そのうえ、第3のプレッシング領域143の凹形状により、部分的に作動部120に収まる。この場合も、全体構成は空気力学的に良好であり、操作性(manoeuvre)も前とほぼ変わらない。
【0055】
また、第4のプレッシング領域144により、親指用の一代替的位置が提供される。この部分に載置されると、親指は第1のプレッシング領域141に載置される場合よりも伸びており、そのうえ、第4のプレッシング領域144の凹形状により、部分的に作動部120に収まる。この場合も、全体構成は空気力学的に良好であり、操作性も前とほぼ変わらない。
【0056】
事実上、運転者は、親指と人差し指のそれぞれに2種類の代替的位置を持つことができる。これは、運転者に常に同じ位置を維持することを強いらず(すなわち、引きつる(cramping)恐れがない)、また、位置の変更によって空気力学的な機能性が損なわれることもないので、極めて有益である。
【0057】
図12〜図17に、競走(特に、スピードレース)用自転車(図示せず)のギアシフト部の、本発明の第2の実施形態にかかる電気式の作動装置200を示す。
【0058】
作動装置200は、ハンドルバーの端部Mに装着するのに適した装着部210と、前記方向Aを横切る軸心Tを中心として角度方向に運動可能であるように、装着部210によって支持された作動部220とを備える。
【0059】
作動部220は、前記軸心Tと同軸である実質的に円筒状のボディ230と、ボディ230の上部にほぼ正接する主軸Aの方向にボディ230から突出した延出体240とを有する。つまり、延出体240は、使用時に自転車の走行方向に前方に向く。
【0060】
作動部220の延出体240は、ボディ230に隣接した凹状の第1の上側プレッシング領域241を有し、かつ、ボディから遠位にある第2の下側プレッシング領域242を有する。第2の下側プレッシング領域242は、実質的に扁平であるか、あるいは、若干の凹状である。
【0061】
延出体240は、さらに、ボディ230と第2のプレッシング領域242との間に、凹状の第3の下側プレッシング領域243を有する。
【0062】
延出体240は、さらに、ボディ230から遠位にある第4の上側プレッシング領域244を有する。好ましくは、前記第4の上側プレッシング領域244は、若干の凹状である。
【0063】
作動部220(詳細には、その延出体240において)が、レバーの形態であり、装着部210から遠ざかるにつれてテーパしている(特に、図13および図14を参照されたい)。具体的に述べると、作動部220の延出体240は、装着部210から遠位にある第2および第4のプレッシング領域242,244においてエンド部位(端部)250を有し、そのエンド部位250はテーパ状である。すなわち、エンド部位250が装着部210から自転車の走行方向に遠ざかるにつれてその断面積が減少する。より具体的に述べると、エンド部位250は、側面視および/または平面視で装着部210から遠ざかるにつれてテーパする形状をしている。
【0064】
既述したように、作動部220は、装着部210に対して角度方向に運動可能であるが、作動装置100(または作動装置101もしくは作動装置102)の作動部120とは異なり、ギアシフト指令を出すものではない。作動部220は、走行時にニュートラルな位置を取る役割のみを担う。なお、このニュートラルな位置は、後述するように調節可能である。
【0065】
作動装置200は、作動部220と関連する電気作動手段を備える。具体的に述べると、前記電気作動手段は、プレート263に並んで取り付けられた2個のスイッチ261,262を含む。これら2個のスイッチ261,262は、多芯型の電気ケーブル264に接続されている。プレート263は、作動部220の延設体240の下部に固定されており、2個のスイッチ261,262は、第1の載置領域241よりも前方に位置し、すなわち、第1の載置領域241と第4の載置領域244との間に位置し、それぞれに対応する孔(図示せず)を通り抜けて延設体240の上部で互いに対向する。また、スイッチ261,262は、当該スイッチ261,262を作動できるように変形自在とされた、それぞれに対応するキャップ271,272によって保護されている。カバー281が、延設体240を下方から閉じている。
【0066】
作動部220は、装着部210に対して調節可能であるように固定されている。具体的に述べると、前記軸心Tに沿ってねじ付きピン277が設けられており、その軸部は装着部210のねじ付き着座部位217に螺合され、そのヘッド部は作動部220のボディ230に係合している。
【0067】
作動部220の角度位置は、ねじ付きピン277を操作することによって変化させることができる。ねじ付きピン277を緩ませることにより、作動部220を装着部210に対して角度方向に動かすことができる。他方、ねじ付きピン277を締めることにより、作動部220の角度位置をロックすることができる。図15および図16に、作動部220がそのニュートラルな位置において取り得る2つの限界の角度位置を示す。
【0068】
(変形自在なキャップ271,272を介して)スイッチ261,262を作動させることにより、電気的なギアシフトコマンド(アップワードまたはダウンワード)をトリガすることができる。このようなギアシフトを実行するための信号の管理方法は、当該技術分野において周知なので、本明細書では説明を省略する。
【0069】
作動装置200は、さらに、ハンドルバーの端部Mの内部に固定するために、装着部210に取り付けられてたエクスパンダー290(周知なので、本明細書では詳述しない)を備えている。エクスパンダー290は、拡張可能なセクタ291と、ケーブル264をハンドルバーの端部Mの内部に通すための、セクタ291間の自由角度間隔292とを備えている。図17を参照されたい。
【0070】
作動装置200の特定の動作のおかげで、既述したようにねじ付きピン277を操作することにより、運転者は作動部220の前記ニュートラルな位置を調節することができる。運転者は、自身の身体的特徴(手の形態)および/または自身の好みの握り、ならびに総合的に自転車における自身の好ましいポスチュアに応じて、好適な位置を容易に選択することができる。
【0071】
作動部220の前記ニュートラルな位置が設定されれば、使用時に、運転者は、装着部210に手を載せて、ハンドルバーを端部Mで把持する。好ましい一形態では、運転者は、延設体240の上で第1のプレッシング領域241に親指を載置し、延設体240の下で第2のプレッシング領域242に人差し指を載置した状態を保持する。親指は、第1のプレッシング領域241の凹形状により、部分的に作動部220に収まる。
【0072】
上記のような位置に指を置くことにより、運転者の手と作動装置200との組合せは空気力学的に好適な形態を取る。また、運転者は、そのような指の姿勢を、どのようなギアシフト実行時にもほぼ維持することができる。なぜなら、親指と人差し指とがスイッチ261,262を迅速に作動させるのに適した位置に既に置かれており、所望のギアシフトを実行することができるからである。
【0073】
また、第3のプレッシング領域243により、人差し指用の一代替的位置が提供される。この領域に人差し指を置くとき、人差し指は曲げた状態にあり、そのうえ、第3のプレッシング領域243の凹形状により、部分的に作動部220に収まる。この場合も、全体構成は空気力学的に良好であり、操作性も前とほぼ変わらない。
【0074】
また、第4のプレッシング領域244により、親指用の一代替的位置が提供される。この部分に載置されると、親指は第1のプレッシング領域241に載置される場合よりも伸びており、そのうえ、第4のプレッシング領域244の凹形状により、部分的に作動部220に収まる。この場合も、全体構成は空気力学的に良好であり、操作性も前とほぼ変わらない。
【0075】
作動装置100,101,102と同じく作動装置200においても、事実上、運転者は、親指と人差し指のそれぞれに2種類の代替的位置を持つことができる。これは、運転者に常に同じ位置を維持することを強いらず(すなわち、引きつる恐れがない)、また、位置の変更によって空気力学的な機能性が損なわれることもないので、極めて有益である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車のバーエンド型ギアシフト部の作動装置(100,101,102;200)であって、
前記自転車の走行方向に、前方に向いたハンドルバーの端部(M)に装着するのに適した装着部(110;210)と、前記装着部(110;210)に取り付けられており、ギアシフト指令が出されていない場合に前記装着部(110;210)に対してニュートラルな位置を取る作動部(120;220)とを備える、作動装置(100,101,102;200)において、
前記作動装置(100,101,102;200)が、前記装着部(110;210)に対する前記作動部(120;220)の前記ニュートラルな位置を調節するための手段(177,178;277)を備えることを特徴とする、作動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の作動装置において、前記作動装置が、さらに、前記作動部(120;220)と関連する電気作動手段(161,162,171,172;261,262)、を備える、作動装置。
【請求項3】
請求項1に記載の作動装置において、前記作動部(120;220)が、レバーの形態であり、前記自転車の前記走行方向に、前記装着部(110;210)から遠ざかるにつれて、断面積が減少する少なくとも1つのテーパ部位(150;250)を有する、作動装置。
【請求項4】
請求項1に記載の作動装置において、前記作動部(120;220)が、前記装着部(110;210)の近位にある凹状の第1の上側プレッシング領域(141;241)を有し、かつ、前記装着部(110;210)から遠位にある第2の下側プレッシング領域(142;242)を有する、作動装置。
【請求項5】
請求項4に記載の作動装置において、前記作動部(120;220)が、前記装着部(110;210)と前記第2のプレッシング領域(142;242)との間に、凹状の第3の下側プレッシング領域(143;243)を有する、作動装置。
【請求項6】
請求項4に記載の作動装置において、前記作動部(120;220)が、前記装着部(110;210)から遠位にある第4の上側プレッシング領域(144;244)を有する、作動装置。
【請求項7】
請求項6に記載の作動装置において、前記第4のプレッシング領域(144;244)が若干の凹状である、作動装置。
【請求項8】
請求項4に記載の作動装置において、前記第2のプレッシング領域(142;242)が若干の凹状である、作動装置。
【請求項9】
請求項2に記載の作動装置において、前記装着部(110;210)が、前記ハンドルバーの前記端部(M)に装着するためのエクスパンダー(190;290)を有しており、前記エクスパンダー(190;290)は、拡張可能セクタ(191;291)と、前記電気作動手段(161,162,171,172;261,262)に接続する電気ケーブル(164,264)を通すための自由角度間隔(192;292)とを具備する、作動装置。
【請求項10】
請求項2または9に記載の作動装置において、前記作動部(120)が、前記装着部(110)に対して第1の動作位置と第2の動作位置との間で角度方向に運動可能であるように取り付けられており、前記電気作動手段が、前記装着部(110)および前記作動部(120)のうちの一方に取り付けられた2個のスイッチ(161,162)を含み、前記2個のスイッチ(161,162)は、前記装着部(110)および前記作動部(120)のうちの他方に設けられた、それぞれに対応するストライカ(171,172)によって作動されるものであり、前記作動部(120)が前記第1の動作位置および前記第2の動作位置を取るときに、前記各スイッチ(161,162)が、それぞれアップワード指令またはダウンワード指令を出すように意図されている作動装置。
【請求項11】
請求項10に記載の作動装置において、前記ニュートラルな位置を調節するための手段(177,178)が、前記スイッチ(161,162)の角度位置および/または前記ストライカ(171,172)の角度位置を変化させることにより、前記2つの動作位置と前記ニュートラルな位置とを一緒に調節するのに適している、作動装置。
【請求項12】
請求項11に記載の作動装置において、前記2個のスイッチ(161,162)が、前記作動部(120)に取付固定されたプレート(163)に支持されており、前記2つのストライカ(171,172)が、前記装着部(110)に対して調節可能であるように固定されたストライカ支持アセンブリ(173)に形成されており、ストレスのない状態では前記作動部(120)を前記ニュートラルな位置に保持するように、前記作動部(120)と前記ストライカ支持アセンブリ(173)との間で作用するばね(180)が取り付けられている、作動装置。
【請求項13】
請求項12に記載の作動装置において、前記作動部(120)の前記ニュートラルな位置を調節する前記手段が、蓋体(176)を含み、前記蓋体(176)には前記ストライカ支持アセンブリ(173)が定位置で取り付けられており、さらに、前記蓋体(176)にはスロット(178)が形成されており、前記スロット(178)に挿入されたねじ(177)によって前記蓋体(176)が前記装着部(110)に調節可能位置で固定されており、前記ねじ(177)を緩ませることにより、前記蓋体(176)の角度位置を前記ストライカ支持アセンブリ(173)の角度位置とともに、前記装着部(110)に対して変化させることができ、前記ねじ(177)を締めることにより、前記蓋体(176)の角度位置をロックすることができる、作動装置。
【請求項14】
請求項2または9に記載の作動装置において、前記電気作動手段が、前記作動部(220)の上方からアクセス可能であるように前記作動部(220)に取り付けられた2個のスイッチ(261,262)を含み、前記スイッチ(261,262)の各スイッチが、アップワード指令またはダウンワード指令を出すように意図されている、作動装置。
【請求項15】
請求項14に記載の作動装置において、前記ニュートラルな位置を調節する前記調節手段が、前記作動部(220)と前記装着部(210)との間にねじ付きピン(277)を含み、前記ねじ付きピン(277)を緩ませることにより、前記作動部(220)の角度位置を前記装着部(210)に対して変化させることができ、前記ねじ付きピン(277)を締めることにより、前記作動部(220)の角度位置をロックすることができる、作動装置。
【請求項1】
自転車のバーエンド型ギアシフト部の作動装置(100,101,102;200)であって、
前記自転車の走行方向に、前方に向いたハンドルバーの端部(M)に装着するのに適した装着部(110;210)と、前記装着部(110;210)に取り付けられており、ギアシフト指令が出されていない場合に前記装着部(110;210)に対してニュートラルな位置を取る作動部(120;220)とを備える、作動装置(100,101,102;200)において、
前記作動装置(100,101,102;200)が、前記装着部(110;210)に対する前記作動部(120;220)の前記ニュートラルな位置を調節するための手段(177,178;277)を備えることを特徴とする、作動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の作動装置において、前記作動装置が、さらに、前記作動部(120;220)と関連する電気作動手段(161,162,171,172;261,262)、を備える、作動装置。
【請求項3】
請求項1に記載の作動装置において、前記作動部(120;220)が、レバーの形態であり、前記自転車の前記走行方向に、前記装着部(110;210)から遠ざかるにつれて、断面積が減少する少なくとも1つのテーパ部位(150;250)を有する、作動装置。
【請求項4】
請求項1に記載の作動装置において、前記作動部(120;220)が、前記装着部(110;210)の近位にある凹状の第1の上側プレッシング領域(141;241)を有し、かつ、前記装着部(110;210)から遠位にある第2の下側プレッシング領域(142;242)を有する、作動装置。
【請求項5】
請求項4に記載の作動装置において、前記作動部(120;220)が、前記装着部(110;210)と前記第2のプレッシング領域(142;242)との間に、凹状の第3の下側プレッシング領域(143;243)を有する、作動装置。
【請求項6】
請求項4に記載の作動装置において、前記作動部(120;220)が、前記装着部(110;210)から遠位にある第4の上側プレッシング領域(144;244)を有する、作動装置。
【請求項7】
請求項6に記載の作動装置において、前記第4のプレッシング領域(144;244)が若干の凹状である、作動装置。
【請求項8】
請求項4に記載の作動装置において、前記第2のプレッシング領域(142;242)が若干の凹状である、作動装置。
【請求項9】
請求項2に記載の作動装置において、前記装着部(110;210)が、前記ハンドルバーの前記端部(M)に装着するためのエクスパンダー(190;290)を有しており、前記エクスパンダー(190;290)は、拡張可能セクタ(191;291)と、前記電気作動手段(161,162,171,172;261,262)に接続する電気ケーブル(164,264)を通すための自由角度間隔(192;292)とを具備する、作動装置。
【請求項10】
請求項2または9に記載の作動装置において、前記作動部(120)が、前記装着部(110)に対して第1の動作位置と第2の動作位置との間で角度方向に運動可能であるように取り付けられており、前記電気作動手段が、前記装着部(110)および前記作動部(120)のうちの一方に取り付けられた2個のスイッチ(161,162)を含み、前記2個のスイッチ(161,162)は、前記装着部(110)および前記作動部(120)のうちの他方に設けられた、それぞれに対応するストライカ(171,172)によって作動されるものであり、前記作動部(120)が前記第1の動作位置および前記第2の動作位置を取るときに、前記各スイッチ(161,162)が、それぞれアップワード指令またはダウンワード指令を出すように意図されている作動装置。
【請求項11】
請求項10に記載の作動装置において、前記ニュートラルな位置を調節するための手段(177,178)が、前記スイッチ(161,162)の角度位置および/または前記ストライカ(171,172)の角度位置を変化させることにより、前記2つの動作位置と前記ニュートラルな位置とを一緒に調節するのに適している、作動装置。
【請求項12】
請求項11に記載の作動装置において、前記2個のスイッチ(161,162)が、前記作動部(120)に取付固定されたプレート(163)に支持されており、前記2つのストライカ(171,172)が、前記装着部(110)に対して調節可能であるように固定されたストライカ支持アセンブリ(173)に形成されており、ストレスのない状態では前記作動部(120)を前記ニュートラルな位置に保持するように、前記作動部(120)と前記ストライカ支持アセンブリ(173)との間で作用するばね(180)が取り付けられている、作動装置。
【請求項13】
請求項12に記載の作動装置において、前記作動部(120)の前記ニュートラルな位置を調節する前記手段が、蓋体(176)を含み、前記蓋体(176)には前記ストライカ支持アセンブリ(173)が定位置で取り付けられており、さらに、前記蓋体(176)にはスロット(178)が形成されており、前記スロット(178)に挿入されたねじ(177)によって前記蓋体(176)が前記装着部(110)に調節可能位置で固定されており、前記ねじ(177)を緩ませることにより、前記蓋体(176)の角度位置を前記ストライカ支持アセンブリ(173)の角度位置とともに、前記装着部(110)に対して変化させることができ、前記ねじ(177)を締めることにより、前記蓋体(176)の角度位置をロックすることができる、作動装置。
【請求項14】
請求項2または9に記載の作動装置において、前記電気作動手段が、前記作動部(220)の上方からアクセス可能であるように前記作動部(220)に取り付けられた2個のスイッチ(261,262)を含み、前記スイッチ(261,262)の各スイッチが、アップワード指令またはダウンワード指令を出すように意図されている、作動装置。
【請求項15】
請求項14に記載の作動装置において、前記ニュートラルな位置を調節する前記調節手段が、前記作動部(220)と前記装着部(210)との間にねじ付きピン(277)を含み、前記ねじ付きピン(277)を緩ませることにより、前記作動部(220)の角度位置を前記装着部(210)に対して変化させることができ、前記ねじ付きピン(277)を締めることにより、前記作動部(220)の角度位置をロックすることができる、作動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−43642(P2013−43642A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−184995(P2012−184995)
【出願日】平成24年8月24日(2012.8.24)
【出願人】(592072182)カンパニョーロ・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ (94)
【氏名又は名称原語表記】CAMPAGNOLO SOCIETA A RESPONSABILITA LIMITATA
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−184995(P2012−184995)
【出願日】平成24年8月24日(2012.8.24)
【出願人】(592072182)カンパニョーロ・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ (94)
【氏名又は名称原語表記】CAMPAGNOLO SOCIETA A RESPONSABILITA LIMITATA
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