説明

自転車保持装置

【課題】自転車を保持するための機構が単純な自転車保持装置を提供する。
【解決手段】自転車保持装置1は、設置面から略垂直に伸びる棒状のポール5およびポールを上下に移動可能であってかつポールに固定可能な保持部2で構成される。保持部は、ポールに略直交する方向に伸びたアーム部14と、アームの先端側に取り付けられた把持部9と、を有し、把持部が自転車BCのシートピラーSPを保持することにより自転車を転倒させることなく駐輪させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐輪させる自転車の保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる路上に駐輪された自転車は、多くの場合管理されることなく雑然と並べられており、その脇を通る人の腰が触れる等により1台が転倒すると、次々に隣の自転車に転倒が伝播する事態が、頻繁に発生する。
そこで、鉄道、地下鉄等の公共交通機関の駅周辺の管理された歩道、およびスーパーマーケット、映画館、パチンコ店等の、人が多く集まる建物の周囲等には、これらの交通機関、商店等の利用者のための駐輪場が用意される。この用意される駐輪場には、例えば特許文献1に記載されたような自転車駐輪装置、または特許文献2に記載されたような自転車保管設備が設置され、駐輪スペースの有効活用等が図られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−321740号公報
【特許文献2】特開2001−328577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された自転車駐輪装置は、自転車の前輪の前部および前輪の軸方向両側を取り囲む前輪支持枠が自転車の転倒を防止する。また、特許文献2に記載された自転車保管設備は、開口側が大きく開き奥ほど間隔が狭まる「ハ」字状のばね材が、開口側から押し入れられた自転車の後輪を挟むことにより自転車を保持し転倒を防止する。
これらの特許文献に記載された自転車駐輪装置および自転車保管設備は、自転車の転倒および転倒の伝播を防止して、整然と自転車を保管することができる優れた設備である。
【0005】
しかし、特許文献1に記載された自転車駐輪装置および特許文献2に記載された自転車保管設備は、いずれも自転車を保持するための機構が複雑である。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、自転車を保持するための機構が単純な自転車保持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る自転車保持装置は、設置面から略垂直に伸びる棒状のポールおよび前記ポールを上下に移動可能であってかつ前記ポールに固定可能な保持部からなり、前記保持部は、前記ポールに略直交する方向に伸びたアーム部と、前記アームの先端側に取り付けられた把持部と、を有し、前記把持部が自転車のシートピラーを保持するように構成される。
【0007】
好ましくは、前記把持部は2つの部材により構成され、前記2つの部材が完全に分離または一部分離したときに前記シートピラーを受け入れ可能でありかつ前記2つの部材が分離不能に組み合わされたときに前記シートピラーを保持可能な支持孔が形成される。
好ましくは、前記アーム部は、前記把持部が前記シートピラーの受入姿勢を変化させることなく前記ポールと前記自転車との距離に応じて前記把持部の位置を変更可能に形成される。
【0008】
なお、把持部における「シートピラーの受入姿勢」とは、例えば、2つの部材により構成された把持部がシートピラーを受け入れ可能な状態におかれたとき、自転車の態勢(位置および姿勢)に対して最も容易かつ自然にシートピラーSPを受け入れることができる姿勢をいう。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、自転車を保持するための機構が単純な自転車保持装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は自転車保持装置の概要を示す図である。
【図2】図2は自転車保持装置における保持部の斜視図である。
【図3】図3は自転車保持装置における他の保持部の平面図である。
【図4】図4は自転車保持装置における他の保持部の正面図である。
【図5】図5は自転車保持装置における他の保持部の平面図である。
【図6】図6は自転車保持装置における他の保持部の正面図である。
【図7】図7は他の自転車保持装置の概要を示す図である。
【図8】図8は他の自転車保持装置における保持部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は自転車保持装置1の概要を示す図、図2は自転車保持装置1における保持部2の斜視図である。
自転車保持装置1は、スタンド3および保持部2からなる。
スタンド3は、ベース4およびポール5で形成される。ベース4はプレート6およびポール支持部7からなる。プレート6は、細長い矩形の板であって、アンカーボルト11,11,11により、自転車保持装置1が設置される例えばコンクリート面に固定される。
【0012】
ポール支持部7は、厚肉の円筒であり、プレート6の長手方向の一端近傍に軸心をプレート6に直交させてプレート6の長手方向の一端近傍に溶接により固定されている。ポール支持部7の内径は、ポール5の外径に略等しい。
ポール5は丸棒であり、ポール支持部7に嵌め込まれてボルト12,12によりベース4と一体化されている。
【0013】
保持部2は、基部8および把持部9からなる。
基部8は、図2によく示されるように、固定部13、アーム14およびロック部15で形成される。固定部13は、略直方体の形状を有し、1組の平行な表面に直交して貫通する孔16(「ポール挿通孔16」という)を備える。保持部2は、ポール挿通孔16にポール5を挿通させ、ポール5の軸方向に移動可能である。
【0014】
アーム14は、丸棒であって、固定部13におけるポール挿通孔16の軸心に平行に拡がる1つの表面24からポール挿通孔16の軸心に直交する方向に伸びている。
ロック部15は、ポール挿通孔16の軸心に直交しポール挿通孔16と外部とを連通する孔に設けられた雌ネジ、この雌ネジに螺合する雄ネジが設けられたロック棒、およびロック棒におけるポール挿通孔16とは逆側の端に一体化されたハンドル17で形成される。ロック部15は、ハンドル17の正反転によりロック棒が孔を往復動する。ロック部15は、ハンドル17を正回転させ、ロック棒の先端をポール5に当接させることにより、保持部2をポール5に固定させる。
【0015】
把持部9は、アーム14における伸びた端に固定されている。把持部9は、全体として直方体の形状を有し、その表面は、いずれも固定部13のいずれかの表面と平行になるようにアーム14に固定される。把持部9には、アーム14の軸心に直交する方向から見たときにポール5に平行となり、かつアーム14の軸心方向から見たときにポール5に対して自転車BCにおけるシートピラーSPの平均的な傾斜と同じ角度αで傾斜する、断面が円形の支持孔18が設けられている。
【0016】
把持部9は、支持孔18に交差し、ポール5の軸心およびアーム14の軸心を含む仮想平面に平行な面によって2分割されている。2分割された把持部9a,9bは、ポール5の軸心に平行でアーム14の軸心に直交する軸19を有する蝶番20によって、支持孔18が開閉可能である。なお、アーム14は、把持部9における2分割された一方9aを保持する。
【0017】
2分割された把持部9a,9bにおける支持孔18が開閉するときのそれぞれ回動先端側には、支持孔18を閉じた状態に維持するための固定金具21が取り付けられている。図2に示される固定金具21は、把持部9a,9bのそれぞれ回動先端側の緊結および開放が可能な、タキゲン製造株式会社製ファスナー(商品名「キャッチクリップ」)である。
【0018】
2分割された把持部9におけるアーム14が保持する一方9aには、基部8におけるロック部15と同様の機能を有する、ピラーロック部22が設けられている。
自転車保持装置1による自転車BCの保持は、次のように行われる。
ロック部15のハンドル17を反転させてロック部15のロックを解除し、保持部2を、保持する自転車BCのシートピラーSPの高さに応じ上下動させる。その後、ロック部15のハンドル17を正転させ、保持部2をポール5に対して移動不能に固定する。固定金具21を解除し、支持孔18を開放する。自転車BCを、シートピラーSPがアーム14に固定された2分割の一方の把持部9aにおける支持孔18aに納まるように移動させる。シートピラーSPが支持孔18aに納まったら、2分割の他方の把持部9bを回動させて支持孔18を閉じ、固定金具21を締めて把持部9を開放不能にする。最後に、ピラーロック部のハンドル23を操作し、把持部9にシートピラーSPをしっかりと固定する。
【0019】
自転車保持装置1は、プレート6により例えばコンクリート面に強固に固定される。したがって、自転車保持装置1は、把持部9がシートピラーSPを把持することにより、単純な機構で自転車BCの転倒の防止および転倒の伝播の防止をすることができ、かつ整然と自転車BCを保管することができる。
図3は自転車保持装置における他の保持部2Bの平面図、図4は他の保持部2Bの正面図である。
【0020】
以下の説明において、図3における左右(方向)を横(方向)といい、図4における上下(方向)を上下(方向)というものとする。
保持部2Bは、基部8Bおよび把持部9からなる。
基部8Bは、固定部13、アーム部14Bおよびロック部15で形成される。
固定部13およびロック部15は、先に説明した保持部2における固定部13およびロック部15と同じである。これらについては、図3,4において図1,2におけるものと同じ符合を付し、その説明を省略する。
【0021】
アーム部14Bは、主アーム31B、副アーム32Bおよび2つのロッド33Ba,33Bb等からなる。
主アーム31Bは、断面形状が矩形の細長い厚板状の部材であり、固定部13におけるポール挿通孔16の軸心に平行な1つの表面24からポール挿通孔16の軸心に直交する方向に伸びている。主アーム31Bには、伸びた先端近傍が正面視で「コ」字状となるように切り欠き34Bが設けられている。また、主アーム31Bには、固定部13と切り欠き34Bとの間に、横方向に貫通する矩形の間隙35Bが設けられている。切り欠き34Bおよび間隙35Bは、その上下方向の寸法が等しい。
【0022】
副アーム32Bは、その厚さ(横方向寸法)が主アーム31Bの厚さと略同じであり、断面形状が矩形の細長い厚板状の部材である。副アーム32Bは、長手方向の一端近傍に正面視で「コ」字状となる切り欠き36Bを備える。副アーム32Bは、長手方向の他端と切り欠き36Bとの間に、横方向に貫通する矩形の間隙37Bを備える。切り欠き36Bおよび間隙37Bは、その上下方向の寸法が間隙35Bの上下方向の寸法に等しい。
【0023】
2つのロッド33Ba,33Bbは、同一の形状である。ロッド33Baは、断面形状が矩形の細長い厚板である。ロッド33Baの矩形断面における長辺の寸法は、間隙35Bの上下方向の寸法よりわずかに小さい。
ロッド33Baは、その一端が、間隙35B内において回動軸38Baにより回動可能に主アーム31Bに連結され、その他端が、切り欠き36B内において回動軸38Bbにより回動可能に副アーム32Bに連結される。
【0024】
ロッド33Bbは、その一端が、切り欠き34B内において回動軸38Bcにより回動可能に主アーム31Bに連結され、その他端が、間隙37B内において回動軸38Bdにより回動可能に副アーム32Bに連結される。
アーム部14Bは、4つの回動軸38Ba,…,38Bdを頂角とする平行四辺形を形成し、平面視(図3)におけるその形状を任意に変化させることができる。アーム部14Bには、この平行四辺形の形状を固定するため、つまり主アーム31B、副アーム32Bおよび2つのロッド33Ba,33Bbで形成された4節のリンク機構が機能しないように形状を固定するために、2つのロッド33Ba,33Bbのそれぞれの揺動を制限する2つのストッパー39Ba,39Bbが主アーム31Bに取り付けられている。
【0025】
ストッパー39Ba,39Bbは、締め込まれることによりロッド33Ba,33Bbに固定的に一体化された回動軸38Ba,38Bcを回動不能とし、ロッド33Ba,33Bbの揺動を制限する。
把持部9は、先に説明した保持部2における把持部9と同じであり、図3,4において図1,2におけるものと同じ符合を付し、細部の説明を省略する。
【0026】
把持部9は、2分割された一方9bが、支持孔18の内面が主アーム31Bとは反対の側を向くようにして、副アーム32Bにおける切り欠き36Bが設けられた側とは反対側(固定部13から離れた側)の端に固定されている。
次に、保持部2Bを用いた自転車保持装置による自転車の保持作業について説明する。
初めに、自転車保持装置における主アーム31Bが伸びた側に自転車を移動する。ロック部15のハンドル17を操作して、保持部2を、自転車のシートピラーSPの高さまで移動させポール5に固定する。2つのストッパー39Ba,39Bbを緩め、ロッド33Ba,33Bbを揺動させて把持部9を自転車BCのシートピラーSPに近づける。把持部9を開き、2分割された把持部9の一方9bの支持孔18内にシートピラーSPを収容する。このとき、必要ならば自転車を前後に移動させる。
【0027】
続いて、2分割の他方の把持部9bを回動させて支持孔18を閉じ、固定金具21を締めて把持部9を開放不能にする。ピラーロック部22のハンドル23を操作し、把持部9にシートピラーSPを固定する。最後に、ストッパー39Ba,39Bbを締め込み、ロッド33Ba,33Bbの揺動を規制してアーム部14Bの形状を固定する。
保持部2Bを用いた自転車保持装置は、把持部9がシートピラーSPを把持することにより、比較的単純な機構で自転車の転倒の伝播の防止および転倒の伝播の防止をすることができ、かつ整然と自転車BCを保管することができる。
【0028】
保持部2Bが使用された自転車保持装置は、アーム部14Bは、平面視(図3)におけるその形状を任意に変化させることができ、保ポール5と把持部9との距離における特定方向(図3における上下方向)の距離成分Dを任意に変化させることができる。また、距離成分Dが変化しても、図3に示されるように、把持部9のシートピラーSPを受け入れる姿勢は変化しない。そのため、保持部2Bが使用された自転車保持装置は、ポール5と自転車との距離を調整するために自転車を持ち上げる必要がなく、容易に把持部9の支持孔18内にシートピラーSPを収容することができる。
【0029】
なお、「把持部9のシートピラーSPを受け入れる姿勢」とは、例えば、2分割された把持部9(9a,9b)が、シートピラーSPを受け入れ可能に開かれたとき、自転車BCの態勢(位置および姿勢)に対して最も容易かつ自然にシートピラーSPを受け入れることができる姿勢をいう。
図5は自転車保持装置における他の保持部2Cの平面図、図6は他の保持部2Cの正面図である。
【0030】
以下の説明において、図5における左右(方向)を横(方向)といい、図6における上下(方向)を上下(方向)というものとする。
保持部2Cは、基部8Cおよび把持部9からなる。
基部8Cは、固定部13、アーム部14Cおよびロック部15で形成される。
固定部13およびロック部15は、保持部2,2Bにおける固定部13およびロック部15と同じである。これらについては、図5において図1,2におけるものと同じ符合を付し、その説明を省略する。
【0031】
アーム部14Cは、主アーム41Cおよび副アーム42Cからなる。
主アーム41Cは、断面形状が矩形の細長い厚板であり、固定部13におけるポール挿通孔16の軸心に平行な1つの表面24からポール挿通孔16の軸心に直交する方向に伸びている。主アーム41Cには、伸びた先端近傍が正面視(図6)で「コ」字状となるように切り欠き43Cが設けられている。
【0032】
副アーム42Cは、断面形状が矩形であって「L」字状に屈曲する。副アーム42Cは、矩形断面の長手方向の寸法が切り欠き43Cの上下方向の寸法よりわずかに小さい。副アーム42Cは、一端が、切り欠き43C内において、矩形断面の長手方向を上下方向として回動軸44Cによって揺動可能に主アーム41Cに連結されている。
副アーム42Cにおける他端には、把持部9の2分割された一方9bが固定されている。
【0033】
保持部2Cを用いた自転車保持装置による自転車の保持操作は、次のように行う。
初めに、自転車保持装置における主アーム31Bが伸びた側に自転車を移動させる。ポール5に取り付けた保持部2Cを上下させ、自転車のシートピラーSPの高さまで移動させる。続いて、保持部2Cをポール5に対して回動させ、同時に自転車を前後に移動させて、2分割された把持部9の一方9bの支持孔18内にシートピラーSPを収容する。
【0034】
次に2分割の他方の把持部9bを閉じ、固定金具21を締めて把持部9を開放不能にする。ピラーロック部22のハンドル23を操作し、把持部9にシートピラーSPを固定する。最後に、ハンドル17を操作してロック部15により保持部2Cをポール5に固く固定する。
保持部2Cを用いた自転車保持装置は、把持部9がシートピラーSPを把持することにより、比較的単純な機構で自転車の転倒および転倒の伝播を防止することができ、かつ整然と自転車BCを保管することができる。
【0035】
保持部2Cを備えた自転車保持装置は、保持部2Cをポール5周りに回動させることにより、保ポール5と把持部9との距離における特定方向(図5における上下方向)の距離成分Dを任意に変化させることができる。また、距離成分Dが変化しても、図5に示されるように、把持部9のシートピラーSPを受け入れる姿勢は変化しない。そのため、保持部2Cを備えた自転車保持装置は、ポール5と自転車との距離を調整するために自転車を持ち上げる必要がなく、前後移動させるのみで自転車を容易に保持することができる。
【0036】
図7は他の自転車保持装置1Dの概要を示す図、図8は保持部2Dの斜視図である。
以下の説明において、図7における上下(方向)を上下(方向)というものとする。
自転車保持装置1は、受輪部10D、スタンド3Dおよび保持部2Dからなる。
受輪部10Dは、樋状部51D、1対の側方係止部52D,52Dおよび傾斜形成部53Dからなる。
【0037】
樋状部51Dは、細長い板材を、断面形状が「U」字または「V」字の樋状に折り曲げて形成される。
側方係止部52D,52Dは、丸棒が「コ」字状に折り曲げられて形成される。側方係止部52D,52Dは、それぞれの両端が樋状部51Dにおける長手方向の一端近傍の両側にそれぞれ固着され、対向するように上方に立ち上げられている。
【0038】
傾斜形成部53Dは、自転車保持装置1Dが設置される例えばコンクリート面に固定され、樋状部51Dの長手方向における側方係止部52D,52Dの中間を支持する。
スタンド3Dは、傾斜形成部53Dによりコンクリート面に一端側が固定された樋状部51Dの他端側において、樋状部51Dと一体化されている。スタンド3Dは、ベース4Dおよびポール5で形成される。
【0039】
ベース4Dは、プレート6、樋支持部54Dおよびポール支持部7からなる。プレート6は、細長い矩形の板であって、アンカーボルト11,11によりコンクリート面に固定される。
樋支持部54Dは、プレート6に固着され、かつ樋状部51Dに固着されて樋状部51Dを支持する。なお、樋支持部54Dは、傾斜形成部53Dよりも低い位置で樋状部51Dを支持する。そのため、樋状部51Dは、傾斜形成部53D側よりも樋支持部54D側が低くなるように傾斜する。樋支持部54Dに支持された側の樋状部51Dの端は、その低部がコンクリート面に接する。
【0040】
ポール支持部7およびポール5は、自転車保持装置1におけるポール支持部7およびポール5と同一である。ポール支持部7およびポール5は、図7,8において図1,2と同一の符合を付し、その説明を省略する。
保持部2Dは、基部8および把持部9Dからなる。
基部8は、固定部13、アーム14およびロック部15で形成される。基部8は、自転車保持装置1における基部8と同じものであり、その説明を省略する。
【0041】
把持部9Dは、図8を参照して、アーム14における伸びた端に固定されている。把持部9Dは、間隔を有する2つの誘導部55D,55Dがアーム14に直交して水平方向に伸び、上方から見たときの形状が「U」字状となっている。2つの誘導部55D,55Dにより形成された凹状の部分を支持溝56Dという。支持溝56Dの最深部は、その母線が、アーム14の軸心に直交する方向から見たときにポール5に平行となり、かつアーム14の軸心方向から見たときにポール5に対して自転車BCにおけるシートピラーSPの平均的な傾斜と同じ角度αで傾斜する、湾曲面となっている。
【0042】
保持部2Dは、アーム14の軸心を樋状部51Dの長手方向に直交させ、支持溝56Dの開口側が、受輪部10Dにおける側方係止部52D側となるようにして、ポール5に支持されている。
自転車保持装置1Dによる自転車BCの保持は、次のように行われる。
初めに、自転車BCが、樋状部51Dの上に、樋状部51Dがコンクリート面に接する側から押し入れられる。このとき、保持部2Dは、自転車BCの進入を妨げないように、ロック部15のロックが(落下しない程度に)適度に解除されて、樋状部51Dにおけるコンクリート面に接する側に回動される。
【0043】
自転車BCの前輪が1対の側方係止部52D,52Dの間に達すると、自転車BCの進入が停止され、保持部2Dが元の位置(アーム14の軸心方向が樋状部51Dに直交する)まで回動される。回動された保持部2Dの支持溝56D内にシートピラーSPが嵌り込むように、自転車BCの前後の位置が調整される。
最後に、ハンドル17が操作されてロック部15がロックされ、保持部2Dがポール5に固定される。自転車保持装置1Dでは、自転車BCは、後輪側が低くなるように傾斜する樋状部51D内に前後の車輪が保持されるので、シートピラーSPは、把持部9Dおける支持溝56D内にとどまろうとする。
【0044】
自転車保持装置1Dは、自転車BCを、前輪、後輪およびシートピラーSPの3箇所で保持し、かつ傾斜する樋状部51DがシートピラーSPを支持溝56D内に維持させようとすることにより、単純な機構で自転車BCの転倒および転倒の伝播を防止することができ、かつ整然と自転車BCを保管することができる。
上述の実施形態において、把持部9を、2分割されたそれぞれ9a,9bを蝶番20により開閉する型式ではなく、2分割されたそれぞれ9a,9bが分離され、例えば2つの固定金具21,21により一体化されて支持孔18を形成するようにしてもよい。
【0045】
把持部9,9Dを、アーム14またはアーム部14B,14Cの副アーム32B,42Cに固着するのではなく、アーム14または副アーム32B,42Cに、これらの長手方向(保持部2Cにおいては図5の上下方向)を軸として揺動可能に一体化してもよい。把持部9,9Dをアーム14または副アーム32B,42Cに対して揺動可能に一体化することにより、自転車BCにおけるシートピラーSPの傾斜角度αに応じて、把持部9,9Dの支持孔18の傾斜の程度を微調整することができ、より的確かつ確実に自転車BCを保持することができる。
【0046】
自転車保持装置1,1Dにおいて、上記したそれぞれの保持部2,2B〜2Dを適宜組み替えることができる。例えば、保持部2と受輪部10Dとを組合せ、または保持部2Cと受輪部10Dとを組合せることができる。
その他、自転車保持装置1,1D、および自転車保持装置1,1Dの各構成または全体の構造、形状、寸法、個数、材質などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、駐輪させる自転車の保持装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1,1D 自転車保持装置
2,2B〜2D 保持部
5 ポール
9,9D 把持部
9a,9b 把持部を構成する2つの部材
14 アーム部(アーム)
14B,14C アーム部
18 支持孔
BC 自転車
SP シートピラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面から略垂直に伸びる棒状のポールおよび前記ポールを上下に移動可能であってかつ前記ポールに固定可能な保持部からなり、
前記保持部は、
前記ポールに略直交する方向に伸びたアーム部と、
前記アームの先端側に取り付けられた把持部と、を有し、
前記把持部が自転車のシートピラーを保持するように構成された
ことを特徴とする自転車保持装置。
【請求項2】
前記把持部は2つの部材により構成され、
前記2つの部材が完全に分離または一部分離したときに前記シートピラーを受け入れ可能でありかつ前記2つの部材が分離不能に組み合わされたときに前記シートピラーを保持可能な支持孔が形成される
請求項1に記載の自転車保持装置。
【請求項3】
前記アーム部は、
前記把持部が前記シートピラーの受入姿勢を変化させることなく前記ポールと前記自転車との距離に応じて前記把持部の位置を変更可能に形成された
請求項1または請求項2に記載の自転車保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−121512(P2011−121512A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281813(P2009−281813)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(592227243)株式会社キタコ (5)