説明

自転車用スタンド

【課題】自転車を略直立状態に立て掛けて保管することができる自転車用スタンドであって、単純な構造にて、自転車に傷を付けることなく、ユーザが自転車を略直立状態に容易に立て掛けて保管することができる構造を提供する。
【解決手段】スポーツ用自転車1Bを略直立状態に立て掛けて保管する自転車用スタンド1Aは、後輪4を支持するベース部10と、ベース部10に接続され、後輪を支持する支柱部12と、支柱部12の上部に接続され、先端に折り曲げ部を有する前輪支持部14とを備えている。折り曲げ部が、前輪2のタイヤにおける少なくとも先端部2Pよりも前記支柱部12から離れた位置を保持していることにより、スポーツ用自転車1Bが略直立状態に立て掛けられて保管されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に開示する技術は、自転車用スタンドに関し、特には、スポーツ用自転車を略直立状態に立て掛けることができる自転車用スタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スポーツ用自転車がその人気の高まりにより、広く一般に普及してきている。スポーツ用自転車の保管方法として、その値段が高価なものが多いこともあり、一般ユーザはスポーツ用自転車を個人の家庭内に保管する傾向が強い。具体的には、一般ユーザは、室内において、スポーツ用自転車を水平方向のまま壁面に単にもたれ掛けさせて保管しているか、またディスプレイも兼ねて、空中の所定の高さに水平方向に固定するスタンドを用いたり、省スペースに利点がある直立状態に立て掛けるスタンドを用いて保管していることが多い。このような保管方法は、スポーツ用自転車を取り扱う自転車店でも同様である。
【0003】
図4は、例としてスポーツ用自転車を直立状態に立て掛けることができる第1の従来例に係る自転車用スタンドの一例を示している。
【0004】
図4に示すように、第1の従来例に係る自転車用スタンド100Aは、スポーツ用自転車100Bを直立状態に立て掛けることができるスタンドである。具体的には、自転車用スタンド100Aは、ベース部50と支柱部62とを備えている。ベース部50は、支柱支持水平部材52及び後輪載置部材54からなり、後輪載置部材54にはスポーツ用自転車100Bの後輪74を受ける凹部5が設けられている。また、支柱支持水平部材52及び後輪載置部材54の底部には、それぞれアジャスター11及び12が取り付けられている。一方、支柱部62は、上部支柱部64及び下部支柱部66からなり、上部支柱部64には、前輪支持部材68が取り付けられており、下部支柱部66には、後輪支持部材70が取り付けられている。
【0005】
以上の構造を有する第1の従来例に係る自転車用スタンド100Aは、スポーツ用自転車100Bの後輪74を後輪支持部材70で支持すると共に後輪載置部材54の凹部5でその後輪74を受け、且つ、前輪支持部材68のフック状の係止部でスポーツ用自転車100Bの前輪72を引っ掛けて保持することにより、スポーツ用自転車100Bのスタンドを可能としている。
【0006】
また、図5は、例としてスポーツ用自転車を直立状態に立て掛けることができる第2の従来例に係る自転車用スタンドの一例を示している。
【0007】
図5に示すように、第2の従来例に係る自転車用スタンド100Cは、複数のスポーツ用自転車100Bを直立状態に立て掛けることができるスタンドである。具体的には、自転車用スタンド100Cは、ベース部80、及び先端部に湾曲部を有する支柱部86からなる。また、支柱部86間には、水平部材82が設けられており、該水平部材84には、スポーツ用自転車100Bの後輪74を支持する後輪支持部材84が設けられている。支柱部86の湾曲部間には、水平部材90が設けられており、該水平部材90には、スポーツ用自転車100Bの前輪72を引っ掛けるフック部88が設けられている。
【0008】
以上の構造を有する第2の従来例に係るスポーツ自転車用スタンド100Cは、スポーツ用自転車100Bの後輪74を後輪支持部材84で支持すると共に、スポーツ用自転車100Bの前輪72をフック部88で引っ掛けて保持することにより、スポーツ用自転車100Bのスタンドを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−326882号公報
【特許文献2】特開平10−45072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記第1の従来例に係る自転車用スタンドの構造によると、ユーザが、スポーツ用自転車100Bを自転車用スタンド100Aに立て掛ける際、水平状態にあるスポーツ用自転車100Bの前輪72を持ち上げて支柱支持部材68の係止部に引っ掛けるとき、スポーツ用自転車100Bの重みで前輪72がぐらついて、支柱支持部材68の係止部にうまく引っ掛けにくく不愉快を感じるという問題があった。また、本構造では、自転車用スタンド100Aにスポーツ用自転車100Bが保持されている状態において、スポーツ用自転車100Bの前輪72のリムの部分にフック状の係止部が直接接触しており、該係止部ではスポーツ用自転車100Bが倒れようとする方向の力が大きくかかるため、高価なスポーツ用自転車におけるリムが傷つき易いという問題があった。さらに、本構造では、スポーツ用自転車100Bの前輪72を支持するためのフック状の係止部を含む前輪支持部材68、並びに、スポーツ用自転車100Bの後輪74を支持するための後輪支持部材70及び後輪74を受ける凹部56という複雑な構造を設ける必要があるという問題があった。
【0011】
また、上記第2の従来例に係る自転車用スタンドの構造によると、上記第1の従来例に係る自転車用スタンドの構造と異なり、その構造は複雑ではないが、上記第1の従来例に係る自転車用スタンドの構造と同様に、スポーツ用自転車100Bの前輪72をフック部88に引っ掛ける際の不愉快さが同様に生じるという問題があり、また、その保持状態において、高価なスポーツ用自転車におけるリムが傷つき易いという問題があった。さらに、本構造では、複数のスポーツ用自転車100Bを立て掛ける場合、その前輪72をフック部88に引っ掛けるため、スポーツ用自転車100Bが自転車用スタンド100Cに保持されている状態における安定性が良くないので、スポーツ用自転車100B間の間隔88tをしっかり取る必要があり、省スペースの面で不十分であるという問題があった。なお、上記第1の従来例に係る自転車用スタンドの構造であっても、スポーツ用自転車100Bの前輪72はフック状の係止部と支柱部62とで保持されるため、同様に安定性が良くなく、複数のスポーツ用自転車100Bを保管する構造を想定した場合、省スペース上十分ではない。
【0012】
前記に鑑み、本発明の目的は、自転車を略直立状態に立て掛けて保管することができる自転車用スタンドであって、単純な構造にて、自転車に傷を付けることなく、ユーザが自転車を略直立状態に容易に立て掛けて保管することができる構造を提供することである。また、自転車を略直立状態に立て掛けて保管することができる自転車用スタンドであって、省スペースで複数の自転車を保管することができる構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の自転車用スタンドは、略水平な面に自転車を略直立状態に立て掛けて保管する自転車用スタンドであって、自転車の後輪の底部は、略水平な面に対して略垂直な面に支持されており、自転車の前輪のタイヤにおける少なくとも先端部よりも略垂直な面から離れた位置を保持する前輪支持部よりなる。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の自転車用スタンドは、自転車を略直立状態に立て掛けて保管する自転車用スタンドであって、自転車の後輪を支持するベース部と、ベース部に接続され、ベース部に対して鉛直方向に延伸しており、自転車の後輪を支持する支柱部と、支柱部の上部に接続され、先端に折り曲げ部を有する前輪支持部とを備えており、折り曲げ部が、自転車の前輪のタイヤにおける少なくとも先端部よりも支柱部から離れた位置を保持していることにより、自転車が略直立状態に立て掛けられて保管されている。
【0015】
本発明の自転車用スタンドにおいて、折り曲げ部は、互いに対向する2つの直線部と、該2つの直線部のそれぞれから連続して延伸してなる1つのV字部とからなってもよい。
【0016】
本発明の自転車用スタンドにおいて、ベース部は、互いに間隔をあけて対向し、且つ、該間隔において複数の接続部により結合される2つのベース部材からなり、2つのベース部材の間隔は、自転車の前輪及び後輪のタイヤが収まるように設定されていてもよい。
【0017】
本発明の自転車用スタンドにおいて、支柱部は、互いに間隔をあけて対向し、且つ、該間隔において複数の接続部により結合される2つの支柱部材からなり、2つの支柱部材の間隔は、自転車の前輪及び後輪のタイヤが収まるように設定されていてもよい。
【0018】
本発明の自転車用スタンドにおいて、自転車は、クロスバイク又はロードバイクであってもよい。
【0019】
また、本発明の自転車用スタンドは、複数の自転車用スタンドを連結してなる自転車用スタンドであって、複数の自転車用スタンドは、上記いずれかの自転車用スタンドである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の自転車用スタンドによると、単純な構造にて、自転車に傷を付けることなく、ユーザが自転車を略直立状態に容易に立て掛けて保管することができる。また、自転車を略直立状態に立て掛けて保管することができる自転車用スタンドであって、省スペースで複数の自転車を保管することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る自転車用スタンドの構造を示す斜視図である。
【図2】図2(a)〜図2(d)は、本発明の一実施形態に係る自転車用スタンドの構造を示す図であって、図2(a)は左側面図であり、図2(b)は正面図であり、図2(c)は上部平面図であり、図2(d)は下部平面図である。
【図3】図3(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る自転車用スタンドの変形例の構造を示す図であって、図3(a)は正面図であり、図3(b)は斜視図である。
【図4】図4は、第1の従来例に係る自転車用スタンドの構造を示す斜視図である。
【図5】図5は、第2の従来例に係る自転車用スタンドの構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下では、図面及び詳細な説明をもって本発明の技術的思想を明確に説明するものであり、当該技術分野におけるいずれの当業者であれば、本発明の好ましい実施例を理解した後に、本発明が開示する技術により、変更及び付加を加えることが可能であり、これは本発明の技術的思想及び範囲を逸脱するものではない。
【0023】
まず、本発明は、略水平な面に自転車を略直立状態に立て掛けて保管する方法及び自転車用スタンドの構造であって、自転車の後輪の底部(後端部ではない)を、例えば地面や室内の床面といった略水平な面に対して略垂直な面、例えば壁面や、その垂直な面を含む具体的な部材に支持し、さらに、自転車の前輪のタイヤにおける少なくとも先端部よりもその略垂直な面から離れた位置を保持するものである。
【0024】
このように、本発明は、略水平な面に自転車を略直立状態に立て掛けた状態で、後輪がその略垂直な面に支持された自転車の前輪のタイヤにおける少なくとも先端部よりもその略垂直な面から離れた位置を保持している、例えば、その位置を挟み込むように保持したり、単純にその位置に接触して支えるように保持したりすることにより、自転車が略垂直な面から離れる方向に倒れることが防止され、ユーザは自転車を略直立状態に容易に立て掛けて保管することができる。
【0025】
ここで、自転車の前輪のタイヤにおける少なくとも先端部よりもその略垂直な面から離れた位置を保持する前輪支持部の構造は種々考えられものであり、例えば、自転車を略直立状態に立て掛ける略水平な面に対して、その略垂直な面や、自転車を介して対向する例えば天井面などの略水平な面から突き出すように設け、その先端周辺部分でその位置を挟み込んだり、接触して支えるように保持できる構造を想定できる。
【0026】
以下では、上述した本発明の技術的思想を具体的に体現する一例を挙げて説明する。
【0027】
図1及び図2(a)〜(d)は、本発明の一実施形態に係る自転車用スタンドの構造を示している。
【0028】
図1及び図2(a)〜(d)に示すように、本実施形態の自転車用スタンド1Aは、スポーツ用自転車1Bを略直立状態に立て掛けることができるスタンドである。具体的には、自転車用スタンド1Aは、ベース部10、支柱部12、及び前輪支持部14からなり、以下にその構造を詳細に説明する。
【0029】
まず、ベース部10について説明する。
【0030】
ベース部10は、特に図1及び図2(d)に示すように、中央部10b、足部10b及び接続部18a〜18cを備えている。具体的には、ベース部10は、互いに間隔をおいて対向する一対のベース部材、例えばステンレスからなり、該一対のベース部材はその中央部10bにおいて、例えばステンレスからなる接続部18a〜18cを介して接続されている。接続部18a〜18cの長さは、スポーツ用自転車1Bの前輪2及び後輪4のタイヤが一対のベース部材間に収まるように、例えば4cm(d0)である。すなわち、接続部18a〜18cは、一対のベース部材を互いに約4cmの間隔を置いて接続しており、その間隔は前輪2及び後輪4のタイヤが収まるように設けられている。また、接続部18bと18cとの距離は、例えば40cm(d1)であり、その結果、スポーツ用自転車1Bが自転車用スタンド1Aに保管されているときに、中央部10bと一緒になって形成される空間内に後輪4がタイヤの厚み程度(例えば1cm〜2cm)に沈み込む。このように、スポーツ用自転車1Bの後輪4はベース部12で支持されている。なお、接続部18aと18bとの距離は、例えば5cm(d2)である。
【0031】
また、中央部10bの両端には、特に図1、図2(a)及び(d)に示すように、中央部10bから連続して湾曲するようにして、四足状に広がる例えばステンレスからなる足部10aが設けられており、中央部19bの両端に設けられた足部10aの一方から他方までの距離(ベース部10の長さ方向の距離)は、例えば65cm(d1+d2+d3+d3)である。また、足部10aは、特に図1、図2(a)及び(b)に示すように、自転車用スタンド1Aの設置面に対してなだらかに傾斜している。なお、ベース部10の幅方向における足部10aの先端部から対抗する足部10aの先端部までの距離は、例えば50cm(d0+d5+d5)である。
【0032】
次に、支柱部12について説明する。
【0033】
支柱部12は、特に図1、図2(a)及び(b)に示すように、ベース部10の中央部10bの長さ方向における接続部18aが接続されている位置に、ベース部10の長さ方向に対して(自転車用スタンド1Aの設置面に対して)鉛直方向に延伸するように、中央部10bと溶接により接続して設けられている。支柱部12は、互いに間隔をおいて対向する一対の支柱部材、例えばステンレスからなり、該一対の支柱部材は例えばステンレスからなる接続部16a〜16cを介して接続されている。接続部16a〜16cの長さは、スポーツ用自転車1Bの前輪2及び前後輪4のタイヤが収まるように、例えば4cm(d0)である。すなわち、接続部16a〜16cは、一対の支柱部材を互いに約4cmの間隔を置いて接続しており、その間隔は前輪2及び後輪4のタイヤが収まるように設けられている。また、接続部16cはベース部10からの距離が例えば19cm(b1)の位置に設けられており、接続部16bは接続部16cからの距離が例えば45cm(b2)の位置に設けられており、接続部16aは接続部16bからの距離が例えば45cm(b3)の位置に設けられている。ここで、上記ベース部10の接続部18cと接続部18bとがスポーツ用自転車1Bの後輪4を受けて支持するように構成されているのと同様に、スポーツ用自転車1Bが自転車用スタンド1Aに立て掛けられている状態において、接続部16cは、接続部16cと接続部16bとの間の空間に後輪4が沈み込むような状態で、後輪4を受けて支持するように構成されている。なお、支柱部12の全長は例えば125cm(b1+b2+b3+b4)である。接続部16aから一対の支柱部12の先端部までの距離は、例えば16cm(b4)である。
【0034】
次に、前輪支持部14について説明する。
【0035】
前輪支持部14は、スポーツ用自転車1のタイヤを保持する折り曲げ部を有しており、支柱部12の上部に溶接により接続されている。前輪支持部14の形状は、特に図1及び図2(a)に示すように、支柱部12の先端周辺から上方に向かって少し延伸した後に支柱部12から離れる方向に緩やかに湾曲する形状を有している。また、前輪支持部14は、特に図2(b)及び(c)に示すように、一対の直線部14aと、該直線部14aのそれぞれから延伸している折り曲げ部を構成する1つのV字部14bとからなっている。一対の直線部14aは、例えばステンレスからなり、同様に、1つのV字部14bは、例えばステンレスからなる。直線部14aの長さは例えば40cm(c1)であり、V字部14bの長さは例えば15cm(c2)である。また互いに対向している直線部14a間の長さは、例えば6cm(14t)であり、スポーツ用自転車1Bの前輪2のタイヤ幅(例えば2.3cm(2t1))よりも大きくなっている。また、ハブ幅は例えば8cm(2t2)である。ここで、直線部14a間の長さ(14t)はハブ幅(2t2)よりも大きいが、これは、後述するようにV字部14bの先端部14Pを設ける位置により、前輪支持部14がスポーク6に接触することはない。ただし、V字部14bの先端部14Pを設ける位置によっては、直線部14a間の長さ(14t)をハブ幅(2t2)よりも大きくなるように設定することもできる。なお、ここでは、折り曲げ部の構成がV字部14bである場合について説明したが、これは、V字状の形状であれば、前輪2のタイヤを容易に、且つ、横振り動作なく安定的に挟んで保持することができ、且つ、前輪22のタイヤ部分を保持することからリムやスポーク6に傷を付けることもない。ただし、この形状に限定されるものではなく、その先端部が凸状に平坦になっているものなど、スポーツ用自転車1Bの前輪のタイヤを保持できる形状であれば適宜変更可能である。
【0036】
ここで、前輪支持部14は、図1、図2(a)及び(c)に示すように、そのV字部14bの先端部14Pが、スポーツ用自転車1Bの前輪2における自転車用スタンド1Aに立て掛けた状態での先端部2P(スポーツ用自転車1Bが水平状態にある場合における自転車の先端部でもある)よりも、支柱部12から離れた位置に存在するように、構成されている。本実施形態では、前輪支持部14は、図2(a)に示すように、その先端部14Pが、支柱部2からの長さとして例えば55cm(a1)の位置であって、前輪2の先端部2Pからの長さとして例えば10cm(a2)である位置になるように、構成されている。
【0037】
このように、前輪支持部14は、直線部14a及びV字部14bにより内側に空間が形成されるように構成されており、その先端部14Pが前輪2の先端部2Pよりも支柱部12から離れる位置に存在するように構成されているため、当該自転車用スタンド1Aにスポーツ用自転車1Bを立て掛ける際に、スポーツ用自転車1Bの前輪2のタイヤ部分を前輪支持部14のV字部14bで挟むようにして保持することで、スポーツ用自転車1Bの全体を横振り動作なく安定的に保持することができる。また、ベース部10及び支柱部12に設けられた前輪2及び後輪4のタイヤ幅の空間により、スポーツ用自転車1Bの全体をより安定的に保持することができる上、この空間は、ユーザがスポーツ用自転車1Bの前輪2から後輪4へと順に略直立状態に立て掛ける際のガイドとして機能するため、スポーツ用自転車1Bを略直立状態に容易に立て掛けることができる。また、前輪支持部14の先端部14Pにより、スポーツ用自転車1Aが支柱部12からスポーツ用自転車1Aのハンドルがある方向に向かって倒れることはない。また、スポーツ用自転車1Aは本来ハンドルがある方向に向かって倒れようとする性質があるため、スポーツ用自転車1Aが支柱部12がある方向に倒れることもない。このように、単純な構造にて、タイヤ部分のみを挟んでスポーツ用自転車1Bに傷を付けることなく、ユーザがスポーツ用自転車1Bを略直立状態に容易に立て掛けて安定良く保管することができる。なお、前輪支持部14の形状は上記の例に限定されるものではなく、少なくとも、前輪支持部14の先端部14Pが前輪2の先端部2pよりも少なくとも支柱部12から離れた位置に存在するように形成されていれば、V字部14bで前輪2のタイヤ部分を挟んで保持することができ、また、先端部14Pに至るまでの前輪支持部14の形状は種々の形状を想定でき、上記例に限定されるものではない。なお、本実施形態のような前輪支持部14の形状の場合には、その先端部14Pの位置は、図2(a)の側面図において、ハブやスポーク6に対してなるべく傷が付かないように、V字部14bがハブと重ならない程度の位置(つまり、V字部14bがハブよりも上になる位置)に設けることが好ましい。
【0038】
なお、本実施形態では、スポーツ用自転車1Bとして、ロードバイクと一般に呼ばれる自転車を想定しており、該自転車の全長は166cmであり、ホイールベースは略97cm〜100cmであり、ここでは、98cmのものを想定して図示している。また、この自転車における車輪半径として、68cmのものを想定して図示している。また、タイヤ幅は2cm〜2.3cmであり、ここでは、2.3cmのものを想定して図示している。なお、ロードバイクには各種サイズが存在しているが、ホイールベースで最大3cm程度の差異が存在するのみであるため、ロードバイクであればどのようなサイズのものであっても、本実施形態を同様に適用可能である。
【0039】
また、スポーツ用自転車1Bとして、ロードバイク以外に、クロスバイクと一般に呼ばれる自転車であっても、本実施形態を同様に適用可能である。すなわち、クロスバイクの場合、ホイールベースはロードバイクよりも長く、101cm〜104.5cmであって、クロスバイクを自転車用スタンド1Aに立て掛けた場合、車体が若干傾いてもその保管に全く支障はないため、本実施形態を同様に適用可能である。なお、クロスバイクのタイヤ幅についても、23cm〜32cmまでの700Cと呼ばれるサイズであれば、本実施形態を同様に適用可能である。
【0040】
その他、本実施形態ではスポーツ用自転車1Bを例にして説明したが、マウンテンバイクやスタンドのない一般用の自転車、子供用の自転車に対しても、これらの自転車のサイズに応じて、本発明の構造を適宜サイズなどにおいて変更を加えることにより、上述した自転車用スタンドを実現することができる。
【0041】
また、本実施形態では、ベース部10の足部10aが傾斜している構造である場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば傾斜させることなく水平に伸びる構造など、自転車用スタンド1Bの安定性を確保できる各種の構造を採用することができる。ベース部10の足部10aが水平に伸びる構造の場合、スポーツ用自転車1Bの後輪が地面に接触するかしないの程度に沈み込むように、接続部18b及び18cの長さを調節することもできる。また、ベース部10に対して、高さ調節を可能とするアジャスターや、自転車用スタンド1Aの移動を容易にするキャスターなどの構造を取り付けることもできる。
【0042】
また、本実施形態では、一例として自転車用スタンド1A及びスポーツ用自転車1Bにおける各種部分の長さを挙げているが、これに限定されるものではない。
【0043】
また、本実施形態では、一例としてステンレスからなる材料を用いて説明したが、これに限定されるものではなく、コストとの関係でアルミやスチールなど、その他の材料を適宜用いることもできる。
【0044】
また、ベース部10、支柱部12、及び前輪支持部14を構成するステンレスを溶接により一体化している場合について説明したが、運送費用との関係で、これらの部材の組み立て式からなる自転車用スタンドとしてもよい。
【0045】
(変形例)
図3(a)及び(b)は、本実施形態に係る自転車用スタンド1Aの変形例であって、複数のスポーツ用自転車1Bのスタンドを可能とする自転車用スタンド1Aの構造を示している。
【0046】
図3に示すように、本変形例では、一例として3台のスポーツ用自転車1Bを略直立状態に立て掛けることができる3台の自転車用スタンド1Aを連結した状態を示している。このように、上述で詳説した構造の自転車用スタンド1Aを互いに隣り合うように連結させて用いることにより、複数台のスポーツ用自転車1Bを省スペースで保管することができる。すなわち、本実施形態の自転車用スタンド1Aでは、横振り動作がなく安定性良くスポーツ用自転車1Bが保持されるため、省スペースを実現できる。特に、図示していないが、複数台のスポーツ用自転車1Bを隣り合って保管する場合における隣り合うハンドルが接触する点を考慮して、隣り合う複数のスポーツ用自転車1Bの高さ位置がおよそハンドル分互い違いになるように、自転車用スタンド1Aを複数連絡させる構造を採用することにより、省スペース化をより実現できる。
【0047】
なお、本変形例では、一例として3台のスポーツ用自転車1Bを略直立状態に立て掛けることができる3台の自転車用スタンド1Aを連結した状態の構造を用いて説明したが、これに限定されるものではなく、複数台のスポーツ用自転車1Bを保管できる複数の自転車用スタンド1Aを連結した構造であっても、適宜変更して実施可能であることは言うまでもない。
【0048】
また、本変形例では、3台の自転車用スタンド1Aの連結をそれぞれのベース部10間を接続する一本の接続部材を用いた場合について図示しているが、このような接続に限定されるものではなく、接地する場所やスペース、安定性などを考慮して適宜各種の接続構造を想定することができる。例えば、自転車用スタンド1Aを構成する前輪支持部14のみを用いて、店舗の壁から複数の前輪支持部14を突き出すような構造も考えられるし、その場合に、ベース部10を同様に、複数の前輪支持部14に対応させて設けるような構造も考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の自転車用スタンドは、略直立状態に立て掛ける構造の自転車用スタンドにとって有用である。
【符号の説明】
【0050】
1A 自転車用スタンド
1B スポーツ用自転車
2 前輪
2P 前輪の先端部
4 後輪
6 スポーク
10 ベース部
10a 足部
10b 中央部
12 支柱部
14 前輪支持部
14a 直線部
14b V字部
14P 前輪支持部の先端部
16a〜16c 接続部
18a〜18c 接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略水平な面に自転車を略直立状態に立て掛けて保管する自転車用スタンドであって、
前記自転車の後輪の底部は、前記略水平な面に対して略垂直な面に支持されており、
前記自転車の前輪のタイヤにおける少なくとも先端部よりも前記略垂直な面から離れた位置を保持する前輪支持部よりなる、
ことを特徴とする自転車用スタンド。
【請求項2】
略水平な面に自転車を略直立状態に立て掛けて保管する自転車用スタンドであって、
前記自転車の後輪を支持するベース部と、
前記ベース部に接続され、前記ベース部に対して鉛直方向に延伸しており、前記自転車の後輪を支持する支柱部と、
前記支柱部の上部に接続され、先端に折り曲げ部を有する前輪支持部とを備えており、
前記折り曲げ部が、前記自転車の前輪のタイヤにおける少なくとも先端部よりも前記支柱部から離れた位置を保持していることにより、前記自転車が略直立状態に立て掛けられて保管されている、
ことを特徴とする自転車用スタンド。
【請求項3】
請求項2に記載の自転車用スタンドにおいて、
前記折り曲げ部は、互いに対向する2つの直線部と、該2つの直線部のそれぞれから連続して延伸してなる1つのV字部とからなる、
ことを特徴とする自転車用スタンド。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の自転車用スタンドにおいて、
前記ベース部は、互いに間隔をあけて対向し、且つ、該間隔において複数の接続部により結合される2つのベース部材からなり、
前記2つのベース部材の間隔は、前記自転車の前輪及び後輪のタイヤが収まるように設定されている、
ことを特徴とする自転車用スタンド。
【請求項5】
請求項2〜4のうちのいずれか1項に記載の自転車用スタンドにおいて、
前記支柱部は、互いに間隔をあけて対向し、且つ、該間隔において複数の接続部により結合される2つの支柱部材からなり、
前記2つの支柱部材の間隔は、前記自転車の前輪及び後輪のタイヤが収まるように設定されている、
ことを特徴とする自転車用スタンド。
【請求項6】
請求項2〜5のうちのいずれか1項に記載の自転車用スタンドにおいて、
前記自転車は、クロスバイク又はロードバイクである、
ことを特徴とする自転車用スタンド。
【請求項7】
複数の自転車用スタンドを連結してなる自転車用スタンドであって、
前記複数の自転車用スタンドは、請求項2〜6のうちのいずれか1項に記載の自転車用スタンドである、
ことを特徴とする自転車用スタンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−86598(P2012−86598A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232809(P2010−232809)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(510275482)