説明

自転車用バックミラー

【課題】ライト部材を具備する自転車用のバックミラーにおいて、バックミラーがその側方から強い衝撃を受けたような場合にも、ミラー体やライト部材が破損するのを可及的に防止できる自転車用バックミラーを提供する。
【解決手段】自転車ハンドル2のバーエンド2aに装着される取付部材5と、この取付部材5に連結された連結部材6と、この連結部材6に連結されたミラー本体7とを有しており、
前記ミラー本体7は、前記連結部材6と連結される基体10と、ライト部材23と、このライト部材23の周囲を覆うライトカバー11と、後方を写し出すミラー体75が取り付けられるミラー取付体12とを有しており、
前記ライト部材23は、前記基体10の前側に配置される前記ライトカバー11と、前記基体10の後側に配置される前記ミラー取付体12との間で、保持固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車用バックミラーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自転車ハンドルに装着するバックミラーとして、太陽光発電を利用した警告灯回路を具備させて、ミラーの上部位置と、ミラーとは反対面(即ち、自転車の進行方向)とにおいて、警告灯が点滅発光するようにしたものが提案されている(特許文献1参照)。
このバックミラーでは、円盤形のミラー保持体に対し、その一方面のほぼ下半部にミラーが貼り付けられ他方面に太陽電池が配置されている。このミラー保持体は、その左右両側の直径位置に設けられた2本のビスで、当該ミラー保持体の外周を取り囲むリングに上下揺動自在に支持され、このリングの下端中央部が、ステーを介して自転車ハンドルに取り付けられる構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−32274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、自転車ハンドルにバックミラーを装着するには、ミラーを、自転車に乗る者より外方(側方)へ張り出させるように位置調節することが必然となり、それ故に殆どの場合、自転車ハンドルの左右端よりも更に、ミラーが外方へ張り出す状態となる。
そのため、自転車を駐輪させるときや自転車の転倒時などにミラーが他物と衝突し、自転車ハンドルの左右端よりも先にミラーがその側方から強い衝撃を受けるおそれがある点は、広く認識されているところである。
【0005】
このような事情に対し、前記従来のバックミラー(特許文献1)では、ミラーの貼り付けてあるミラー保持部が、単にリングにより囲まれた構造であり、しかもリングとミラー保持部とが、左右のビスにより支持されているだけの構造であった。
そのため、ミラー保持部(ミラー)が側方から強い衝撃を受けた場合には、ミラー保持部は衝撃を左右方向へ逃がすことができず、その結果、いとも簡単に、ミラー保持部が破損したり、ミラーが割れたり剥がれ落ちたりするということがあった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑み、ライト部材を具備する自転車用のバックミラーにおいて、バックミラーがその側方から強い衝撃を受けたような場合にも、ミラー体やライト部材が破損するのを可及的に防止できる自転車用バックミラーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この技術的課題を解決する本発明の技術的手段は、自転車ハンドル2のバーエンド2aに装着される取付部材5と、この取付部材5に連結された連結部材6と、この連結部材6に連結されたミラー本体7とを有しており、
前記ミラー本体7は、前記連結部材6と連結される基体10と、ライト部材23と、このライト部材23の周囲を覆うライトカバー11と、後方を写し出すミラー体75が取り付けられるミラー取付体12とを有しており、
前記ライト部材23は、前記基体10の前側に配置される前記ライトカバー11と、前記基体10の後側に配置される前記ミラー取付体12との間で、保持固定されている点にある。
【0008】
また、本発明の他の技術的手段は、取付部材5の先端側は自転車ハンドル2のバーエンド2aから外側方に突出され、取付部材5の先端側から連結部材6が外側方に直交する方向に突出され、連結部材6の先端側からミラー本体7が外側方に突設されており、
連結部材6は、取付部材5の先端側に着脱可能に取り付けられた連結基部89と、連結基部89に延長突設された連結先端部90とを備え、連結先端部90は連結基部89に対して外側方に直交する方向の第1支持軸111廻りに間欠的に回動自在に連結され、ミラー本体7の基体10は連結先端部90に対して左右方向の第2支持軸112廻りに間欠的に回動可能に連結されている点にある。
【0009】
また、本発明の他の技術的手段は、連結基部89又は連結先端部90の一方に、第1支持軸111廻りに円筒状の第1係止筒体115が設けられ、第1係止筒体115の内面側に周方向に波形に凹凸した第1凹凸係止部116が環状に設けられ、連結基部89又は連結先端部90の他方に、第1凹凸係止部116に係脱自在に係合する第1係合突起部117が第1支持軸111廻りに間隔をおいて複数個設けられ、これにより連結先端部90は連結基部89に対して第1支持軸111廻りに間欠的に回動可能とされ、
連結先端部90又は基体10の一方に、第2支持軸112廻りに円筒状の第2係止筒体127が設けられ、第2係止筒体127の内面側に周方向に波形に凹凸した第2凹凸係止部128が環状に設けられ、連結先端部90又は基体10の他方に、第2凹凸係止部128に係脱自在に係合する第2係合突起部129が第2支持軸112廻りに間隔をおいて複数個設けられ、これにより基体10は連結先端部90に対して第2支持軸112廻りに間欠的に回動自在とされている点にある。
【0010】
また、本発明の他の技術的手段は、取付部材5の先端側に筒状部91が設けられ、該筒状部91に挿通窓92が設けられ、連結基部89に挿通窓92から筒状部91内に突出する係止突起93が設けられ、係止突起93に左右方向に貫通した係止孔94が設けられ、取付部材5の筒状部91に外側方から内嵌する筒状体95が具備され、筒状体95に前記挿通窓92に対応して連通窓100が設けられると共に、係止孔94に内側方から係脱自在に係合する係合凸部101が設けられ、係合凸部101は連通窓100の内側縁部から外側縁部に向けて突出されており、係合凸部101が係止孔94に突出して係止突起93が挿通窓92から抜脱するのを阻止すべく筒状体95を筒状部91に対して左右方向外方に付勢する付勢手段106が設けられ、筒状体95を付勢手段106に抗して左右方向内方に押圧することにより、係合凸部101が係止孔94から外れるように構成されている点にある。
【0011】
また、本発明の他の技術的手段は、前記付勢手段106は、筒状体95に一対のスリット107を形成することにより構成した弾性片108を有し、取付部材5の筒状部91の基部側内面に傾斜面109が形成され、弾性片108が傾斜面109に乗り上げて弾性変形することにより、この弾性片108の復元力により筒状体95を筒状部91に対して左右方向外方に付勢するように構成されている点にある。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る自転車用バックミラーは、ライト部材を具備する自転車用のバックミラーにおいて、バックミラーがその側方から強い衝撃を受けたような場合にも、ミラー体やライト部材が破損するのを可及的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る自転車用バックミラーの第1実施形態を示した分解斜視図である。
【図2】本発明に係る自転車用バックミラーの第2実施形態を示した分解斜視図である。
【図3】本発明に係る自転車用バックミラーの第2実施形態を分解して示した正面図である。
【図4】本発明に係る自転車用バックミラーの第2実施形態を自転車ハンドルへ装着した状態を示した正面図である。
【図5】本発明に係る自転車用バックミラーの第2実施形態を自転車ハンドルへ装着した状態を示した背面図である。
【図6】本発明に係る自転車用バックミラーの第2実施形態を自転車ハンドルへ装着した状態を示した平面図である。
【図7】(A)は第2実施形態で採用した取付部の円筒部材を示した正面図であり(B)は(A)の左側面図である。
【図8】第2実施形態で採用した取付部の台部材を示した側面図である。
【図9】図10のA−A線断面図である。
【図10】第2実施形態で採用した第1カバー体を示した正面図である。
【図11】図12のB−B線断面図である。
【図12】第2実施形態で採用したレンズ部を示した正面図である。
【図13】第2実施形態を自転車ハンドルの左側へ装着する(左側装着仕様に仕様変更する)際の組み立て状況を分解して示した正面図である。
【図14】第3実施形態を示す自転車用バックミラーの全体斜視図である。
【図15】同自転車用バックミラーの分解斜視図である。
【図16】同自転車用バックミラーの一部切欠正面断面図である。
【図17】同ミラー本体及び連結先端部部分の平面断面図である。
【図18】同ミラー本体部分の側面断面図である。
【図19】同取付部部分の分解平面図である。
【図20】同連結先端部の底面図である。
【図21】同連結基部の平面図である。
【図22】同本体基部の平面図である。
【図23】同連結先端部の側面図である。
【図24】同取付部の平面断面図である。
【図25】同図16のA−A線断面図である。
【図26】同取付部及び連結基部部分の側面断面図である。
【図27】同筒状体の平面図である。
【図28】同筒状体の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明に係る自転車用バックミラー1の第1実施形態を示している。この第1実施形態のバックミラー1は、取付部材5と、この取付部材5に一端部が連結された連結部材(枢軸)6と、この連結部材6の他端部に連結されたミラー本体7とを有している。
【0015】
取付部材5は自転車ハンドルのバーエンド(ハンドルグリップの端部)に装着するためのものである。本第1実施形態では、バーエンドに形成される円形開口(自転車ハンドルを形成しているハンドルパイプの端口)に挿入可能な円筒部材5aを有したものとしてある。
円筒部材5aの一端側には、バーエンドの円形開口へ挿入した状態で、この円形開口に係合してバーエンド外に露出する膨出端部5bが設けられており、この膨出端部5bには、六角レンチなどの回転工具を差し込んで係合させる工具係合部が形成されている。
【0016】
この工具係合部へ差し込んだ回転工具を回転操作すると、円筒部材5aの中心部分に貫
通保持された内蔵ボルトが回転し、この内蔵ボルトに螺合されたクサビ部材13が、膨出端部5bとは反対側の端部で円筒部材5aに引き込まれるようになり、もって、円筒部材5aの外周部に複数本のすり割り部14を介して形成された複数の摩擦片15が、バーエンド内で拡開するようになっている。
【0017】
連結部材6は、自転車ハンドルのバーエンドに対してその円環状断面(ハンドルパイプのパイプ断面)の径方向に突出する方向となるように、取付部材5に対して設けられている。この連結部材6とミラー本体7との連結間に、連結部材6に対するミラー本体7の左右方向の傾斜角度や連結部材6まわりの回転角度を調節自在にさせる関節部が設けられている。
【0018】
ミラー本体7は、基体10と、この基体10に結合されるライトカバー11、ミラー取付体12とを有している。ライトカバー11とミラー取付体12とは、基体10を中間においてその表裏両側面に振り分け配置とされている。すなわち、このミラー本体7は、ライトカバー11、ミラー取付体12によって基体10を挟み込んだサンドイッチ構造となっている。
【0019】
基体10には、ライトカバー11が結合される側で発光する発光部20が設けられている。この発光部20は、例えば砲弾型の発光ダイオード(LED)をライト部材23として、このライト部材23による連続点灯と点滅、消灯、場合によっては発光色の変更などを切替自在にする点灯回路と、この点灯回路に着脱自在にされるボタン電池などの電源とを具備したものとなっている。ライト部材23は、基体10の前側に配置されるライトカバー11と、基体10の後側に配置されるミラー取付体12との間で、保持固定されている。
【0020】
ライトカバー11は、基体10の一方面を全面的に覆い隠し、また基体10の外周部を全周的に囲むように形成されている。本第1実施形態において、このライトカバー11を正面視した形状は、自転車外方(自転車ハンドルの右端側にバックミラー1が取り付けられる場合は右方側を言い左端側に取り付けられる場合は左方側を言う)となる側の縦辺が、半円形に形成されたものとしてある。また、自転車内方となる側の縦辺は路面に垂直な方向に沿って直線状に形成されたものとしてある。
【0021】
また、このライトカバー11を平面視した形状は、自転車内方で自転車進行方向に分厚く、自転車外方ほど薄くなるような滑らかな曲面に形成されたものとしてある。
このライトカバー11には、発光部20による発光を外部へ透過させるレンズ部21が設けられている。ライトカバー11には、このレンズ部21の外周部を全て取り囲んでレンズ部21の外周部を保護するレンズ装着口24が形成されている。
【0022】
レンズ部21は、中央照射部26と正面拡散部27と側方拡散部28とを有している。
中央照射部26は、自転車の進行方向に向けて発光部20(ライト部材23)を正対させるようになっている。そのためライト部材23が発光してその登頂部から直進性のある光が照射されると、光の直進性をそのまま有効に利用して、より遠方からの認識が可能となっている。従って、走行する自転車をその前方から見る者(例えば、対向する歩行者や自動車のドライバーなど)から、はっきりと認識させることができる。
【0023】
正面拡散部27は、中央照射部26を中心にして、この中央照射部26の外周部をすり鉢状に外へ向けて徐々に拡径する凹面で囲んでいる。そのためライト部材23が発光したときには、中央照射部26を通過する光を拡散反射させて拡大させ、広がりのある印象の強いものにできる。従って、走行する自転車をその前方から見る者から、はっきりと認識させることができる。
【0024】
側方拡散部28は、正面拡散部27から自転車外方へ向けて導光させるように設けられたものである。本第1実施形態では、この側方拡散部28の内面に対して、長手方向を左右方向へ向けつつ、前後方向で曲線状にカーブするような凹み筋が多数本、並んで設けられたものとしてある。各凹み筋の凹部断面は蒲鉾型としてある。これにより、外方への導光性及び拡散性を一層高めてある。
【0025】
このような側方拡散部28を設けていることで、自転車の側方にいる者(例えば、併走する自動車のドライバーなど)からも、はっきりと認識させることができる。
ミラー取付体12は、ライトカバー11が基体10の外周部を取り囲んでいる周壁に対し、その周壁内側を完全に閉鎖する(蓋をする)状態とされる。従って、このミラー取付体12の正面視形状は、ライトカバー11の正面視形状とほぼ同様に、自転車外方となる側の縦辺が半円形に形成され、自転車内方となる側の縦辺が路面に垂直となる直線に形成されたものとしてある。
【0026】
このミラー取付体12には、基体10やライトカバー11とは反対側を向く面に、その全面又は一部面を覆う状態でミラー体が設けられている。従って、このミラー体により自転車の進行方向に対する後方を写し出すことができる。
なお、これら基体10とライトカバー11とミラー取付体12との結合は、ネジ止めにより行ってもよいし、各種の係合構造を組み合わせた無理嵌め構造により行ってもよいし、或いは接着により行ってもよい。
【0027】
本第1実施形態では、ミラー取付体12に対し、自転車内方となる直線状縦辺からライトカバー11へ向けて突出する結合片32が設けられ、ライトカバー11における同側の縦辺に、結合片32を嵌め入れる凹部33が形成され、結合片32を凹部33へ嵌合させた状態で結合片32側から凹部33側へネジを螺合して結合する構造としてある。また基体10は、ライトカバー11の内部でガタツキが起こらない状態が得られるように、基体10の外形状に合わせて配置したリブなどで係合止めされる構造としてある。
【0028】
以上、詳説したところから明らかなように、本発明に係るバックミラー1では、ミラー本体7が基体10とライトカバー11、ミラー取付体12とのサンドイッチ構造となっており、中間に挟まれる基体10が、連結部材6を介して自転車ハンドル2へ装着する取付部材5と連結される構成である。
そのため、ミラー本体7がその側方から強い衝撃を受けたときには、基本的に、基体10がその負荷を受けてこの基体10から連結部材6、更には取付部材5へと力の分散が図られるようになっている。従って、ミラー本体7に設けられるミラー体や発光部20の破損は、可及的に防止される。
【0029】
換言すれば、ミラー体を有するミラー取付体12や、発光部20用のレンズ部21を有するライトカバー11に、直接的に強い衝撃が加わりにくくなっているため、これらミラー体やレンズ部21の破損が可及的に防止される。
また、ライトカバー11に装備されるレンズ部21は、中央照射部26、正面拡散部27及び側方拡散部28を有しているので、走行する自転車をその前方から見る者(例えば、対向する歩行者や自動車のドライバーなど)からも、また自転車の側方にいる者(例えば、併走する自動車のドライバーなど)からも、はっきりと認識させることができる。
[第2実施形態]
図2乃至図13は、本発明に係るバックミラー1の第2実施形態を示している。この第2実施形態のバックミラー1は、前記第1実施形態と多くの点で共通する構成を具備しているが、これら共通の構成を含めて、以下に説明する。
【0030】
図2及び図3に示すように、この第2実施形態のバックミラー1は、取付部材5と、この取付部材5に一端部が連結された連結部材(枢軸)6と、この連結部材6の他端部に連結されたミラー本体7とを有している。またミラー本体7は、連結部材6との連結部分を有する基体10と、この基体10に結合されるライトカバー11、ミラー取付体12とを有している。
【0031】
ライトカバー11とミラー取付体12とは、基体10を中間においてその表裏両側面に振り分け配置とされている。すなわち、このミラー本体7は、ライトカバー11、ミラー取付体12によって基体10を挟み込んだサンドイッチ構造となっている。
以下、各部材について詳細に説明する。
前記取付部材5は、図4乃至図6に示すように、自転車ハンドル2のバーエンド(ハンドルグリップ40の外端)2aに対し、このバックミラー1を装着するための基礎的な部分である。
【0032】
なお、ここで自転車ハンドル2について簡単に説明する。
図例の自転車ハンドル2は、一般にTバータイプ(或いは、平ハンドル、フラットハンドル又はストレートハンドル)などと呼称されるもので、自転車フレームのハンドルステムを中心にしてその左右両側へほぼ一直線にハンドルパイプが延びた形状を呈している。
この種の自転車ハンドル2では、バーエンド2aに対し、長手方向を左右方向へ向けた状態でハンドルグリップ40が外嵌されている。
【0033】
このような自転車ハンドル2に対し、バックミラー1は、自転車で道路上を通行規則にしたがって走行する際に、自動車用道路に向く方の端部(例えば、右)側のバーエンド2aに装着するのが好ましいとされる。そこで、この装着側とするハンドルグリップ40の外端に装着用の孔を形成させて、その内部の円形開口(自転車ハンドル2を形成しているハンドルパイプの端口)を外部へ連通させておくものとする。
【0034】
これにより、バックミラー1を装着しようとする自転車ハンドル2のバーエンド2aに対し、円形開口が形成されることになる。
まず、前記取付部材5について説明する。
この取付部材5は、自転車ハンドル2のバーエンド2aに形成される円形開口に対し、挿入可能となる円筒部材5aを有している。また取付部材5は、円筒部材5aの一端側に、円筒部材5aよりも太く形成された膨出端部5bを有している。この膨出端部5bは、円筒部材5aをバーエンド2aの円形開口へ挿入したときに、この円形開口に係合してバーエンド2aの外に露出されるようになる。
【0035】
なお、これら円筒部材5aと膨出端部5bとは、図7及び図8に示すように、互いに別部材として形成されている。
更に取付部材5は、円筒部材5aと一軸配置に設けられるクサビ部材13と、このクサビ部材13を円筒部材5aに対して引き寄せたり、引き寄せ状態を解除(押し戻し)したりするための操作用ボルト41を有している。
【0036】
円筒部材5a(図7参照)には、内部を筒軸方向に貫通する貫通孔42が形成されている。この貫通孔42は内部に縮径部を有した段付き孔とされており、操作用ボルト41を差し込んだときに、そのボルト頭部を係合させた状態で回転自在に保持できるようになっている。
また円筒部材5aの外周部には、一端側(図7(A)の左側)から筒軸方向に沿って所定長さのすり割り部14が複数本形成されており、各すり割り部14の相互間に、径方向内方へ向かう弾性力に抗しつつ拡開自在となる摩擦片15が生じるようになっている。
【0037】
更に、この円筒部材5aの外周面には、すり割り部14が形成されたのとは他端側(図7(A)の右側)を縁取るように外鍔43が張出形成されていると共に、この外鍔43から筒軸方向に沿って所定長さの突条44が形成されている。この突条44は、径方向の相反する位置に一対設けられている。
膨出端部5b(図8参照)は、円筒部材5aを外嵌可能にする短筒状の輪部45と、この輪部45の周方向一箇所を径方向外方へ突出させた状態に設けられた支持部46とを有している。この支持部46は、その上部でミラー本体7(基体10)を支持する部分である。
【0038】
輪部45の内周面には、円筒部材5aの外周面に接してガタツキを阻止する縮径部47が形成されている。この縮径部47には、輪部45内に円筒部材5aを挿入したときに突条44を通過させる切欠48が、2本の突条44に合致させた配置で形成されている。
なお、この縮径部47は、輪部45における軸方向の中央位置に配置されている。そのため、輪部45に対し、いずれの方向から円筒部材5aを挿入したときでも、この縮径部47が円筒部材5aの外鍔43と係合して、円筒部材5aが通り抜けることのないように当て止めする作用をも奏している。
【0039】
膨出端部5bに設けられた支持部46には、上方へ向けて半球状に突出する球座50が設けられている。この球座50の内部は、球座50の外面に沿った球面天井を形成させた空洞51とされており、球座50の上面には、内部の空洞51と連通する円形孔52が形成されている。この円形孔52は、前記連結部材6を挿通させるためのものである。但し、連結部材6の軸径よりも円形孔52の内径の方が、余裕を持って径大化されている。
【0040】
これら球座50、空洞51、及び円形孔52は、取付部材5と連結部材6とを連結させると共に、後述する関節部57を構成させるためのものとなっている。
クサビ部材13は、図3に示すように、円筒部材5aのすり割り部14が設けられた方の端部(図3の左方側)に突き合わせ状に配置される。このクサビ部材13には、正方形状や六角形状などをしたナット部材55が回転不能な状態に埋め込まれるようになっており、このナット部材55に、円筒部材5aの貫通孔42へ差し込まれた操作用ボルト41の雄ねじ部が螺合可能となっている。
【0041】
また、このクサビ部材13には、円筒部材5aに形成された貫通孔42(図7参照)内へ向けて徐々に径小になるテーパ面13aが形成されており、このテーパ面13aが円筒部材5aにおける摩擦片15の先端内面に当接するようになっている。
操作用ボルト41には、例えば六角孔付きボルトが用いられている。すなわち、この操作用ボルト41のボルト頭部には、六角孔(凹部)としての工具係合部が形成されており、六角レンチなどの回転工具を差し込んで回転させることができる。
【0042】
以上のように、取付部材5は、円筒部材5a、膨出端部5b、クサビ部材13及び操作用ボルト41を備えて成るものであり、膨出端部5bから突出するようになった円筒部材5aを自転車ハンドル2のバーエンド2a内(円形開口の内部)へ差し込み、そのうえで膨出端部5b内に組み込まれた操作用ボルト41の工具係合部(六角孔)へ六角レンチなどの回転工具を係合させ、この回転工具を回転操作することで、次にようになる。
【0043】
すなわち、回転工具の回転と共に操作用ボルト41が円筒部材5a内で回転するので、操作用ボルト41に螺合したナット部材55と共に、クサビ部材13が円筒部材5aに引き込まれるようになり、クサビ部材13が円筒部材5aの摩擦片15を径方向外方へ拡開させる。そのため、これら摩擦片15がバーエンド2aの内周面を押圧して、強力な摩擦力(装着作用=取付部材5の脱出阻止作用)が得られるようになる。
【0044】
次に、前記連結部材6について説明する。
この連結部材6は、自転車ハンドル2のバーエンド2aに対して、その円環状断面の径方向に突出する方向となるように、取付部材5に対して設けられている。そして、この連結部材6の突出端部が、ミラー本体7(基体10)と固定されている。
図3に示すように、この連結部材6と取付部材5との連結間には関節部57が設けられている。この関節部57は、連結部材6として、その下端部に球面基部58が一体又は螺合等による結合によって設けられていると共に、この連結部材6を、前記したように取付部材5(膨出端部5b)の支持部46に備えられる円形孔52(図8参照)へ下から差し込むことによって構成されている。なお、本第2実施形態において球面基部58は下端面を扁平化したものを採用してある。
【0045】
この連結部材6の球面基部58は、膨出端部5bの空洞51内でその球面天井(球座50の下面)に面接触状態で当接される。また、前記したように、連結部材6の軸径に対して円形孔52の内径が余裕を持って径大化されているため、連結部材6は、この円形孔52の開口内で左右方向や前後方向の傾斜角度と、連結部材6まわりの回転角度とを自在に調節することができる。このことから明らかなように、この関節部57は、自在継手構造(ユバーサルジョイント)を構成している。
【0046】
連結部材6の突出端部は雄ねじとして形成されており、この雄ねじによってミラー本体7の基体10との連結が行われるようになっている。
次に、前記ミラー本体7について説明する。
このミラー本体7は、正面視した状態で自転車外方(自転車ハンドル2の右端側にバックミラー1が取り付けられる場合は右方側を言い左端側に取り付けられる場合は左方側を言うものであって、図4及び図6ではそれらの右方に相当する)となる側の縦辺が、半円形に形成されたものとしてある。また、自転車内方(図4及び図6ではそれらの左方に相当)となる側の縦辺は路面に垂直な方向に沿って直線状に形成されたものとしてある。
【0047】
また、ミラー本体7を平面視した形状は、自転車内方で自転車進行方向に分厚く、自転車外方ほど薄くなるような滑らかな曲面に形成されたものとしてある。
このミラー本体7は、前記したように基体10とライトカバー11とミラー取付体12とを有し、ライトカバー11、ミラー取付体12によって基体10を挟み込んだサンドイッチ構造となっている(図2及び図3参照)。
【0048】
このうち基体10には、ライトカバー11が結合される側で発光する発光部20が設けられている。
基体10は、自転車内方の縦辺(直線状の辺)を形成する主枠60と、この主枠60から自転車外方へ向けてリング状に突出するように設けられた抱き枠61とを有している。主枠60により、この基体10とライトカバー11との結合が行われ、抱き枠61により、発光部20の一部又は全部を全周的に取り囲んで、発光部20の保持と補強とが行われるようになっている。
【0049】
主枠60には、その表裏面を貫通する状態でねじ通孔62が上下に間隔をおいて設けられている。これらねじ通孔62は、ライトカバー11との結合をする際のねじを挿入するための孔である。また、この主枠60には、下部寄りに軸固定部65(図3参照)が設けられている。
この軸固定部65は、前記連結部材6の突出端部(取付部材5と連結されるのとは反対側の端部)との連結を行うためのもので、この連結部材6の突出端部に設けられた雄ねじに螺合するナット部材66を横嵌め状に埋め込んであると共に、このナット部材66に向けて基体10の下面から上方へ連結部材6を挿入可能にした構造である。
【0050】
抱き枠61に保持される発光部20は、図2に示すように、砲弾型の発光ダイオード(LED)をライト部材23とする。またこの発光部20は、ライト部材23を支持する状態で、縦型円筒形をしたケース68を有しており、このケース68内に、ライト部材23による連続点灯と点滅、消灯、場合によっては発光色の変更などを切替自在にする点灯回路と、この点灯回路に着脱自在にされるボタン電池などの電源とが収納されている。
【0051】
なお、このように主枠60と抱き枠61とを有して成る基体10は、その表裏面が対称形に形成されている。従って、基体10は、発光部20を表裏いずれの面でも保持可能であり、また且つ着脱自在である。また、基体10は抱き枠61のリング中心位置を境として上下対称形に形成されている。
次に、前記ライトカバー11について説明する。
【0052】
このライトカバー11は、基体10の一方面を全面的に覆い隠し、また基体10の外周部を主枠60を除いて囲むように形成されている。
このライトカバー11の外形状が、前記したミラー本体7としての外形状をほぼ支配している。すなわち、図9及び図10に示すように、このライトカバー11を正面視した形状は、自転車外方となる側の縦辺が半円形に形成されたものとしてある。また、自転車内方となる側の縦辺は路面に垂直な方向に沿って直線状に形成されたものとしてある。
【0053】
ライトカバー11において、この正面視した形状は上下対称形となっている。そのため、このライトカバー11を表裏反転させ、且つ上下反転させることで、基体10に対してその表裏いずれの側から結合させることができる。
また、このライトカバー11を平面視した形状は、自転車内方で自転車進行方向に分厚く、自転車外方ほど薄くなるような滑らかな曲面に形成されたものとしてある。
【0054】
このライトカバー11には、発光部20(図2参照)による発光を外部へ透過させるためのレンズ部21が設けられる。従って、ライトカバー11には、このレンズ部21の外周部を全て取り囲むようにして開口するレンズ装着口24が形成されている。このレンズ装着口24の配置やその開口形状も、ライトカバー11の正面視において上下対称となっている。
【0055】
また、このライトカバー11には、基体10との結合時に、基体10の主枠60に設けられた2個のねじ通孔62と合致する上下対称配置で、上下2個のねじ受けボス部70が設けられている。従って、基体10(主枠60)のねじ通孔62へねじを挿入してこのねじを締め込むようにすることで、ねじをねじ受けボス部70へ螺合させ、ライトカバー11と基体10とを結合することができる。
【0056】
次に、前記レンズ部21について説明する。
このレンズ部21は、全体が透明乃至半透明(着色透明を含む)のプラスチックにより形成されたものであって、図11及び図12に示すように、中央照射部26と正面拡散部27と側方拡散部28とを有している。このレンズ部21は、前記したライトカバー11のレンズ装着口24に嵌め込まれることにより、その外周部が全周的に取り囲まれるようになるので、結果、このライトカバー11によって外周部全周が保護された状態となる。
【0057】
レンズ部21の中央照射部26は、自転車の進行方向に向けて発光部20(ライト部材23)を正対させて保持できるようになったもので、本第2実施形態では、レンズ部21の表裏を貫通する円形開口としてある。ただ、透明なレンズ面として表裏非貫通の状態に形成することも可能である。
そのため、この中央照射部26では、ライト部材23が発光してその登頂部から直進性のある光が照射されると、直進性をそのまま有効に利用して、より遠方からの認識が可能
となっている。従って、走行する自転車をその前方から見る者(例えば、対向する歩行者や自動車のドライバーなど)から、はっきりと認識させることができる。
【0058】
レンズ部21の正面拡散部27は、中央照射部26を中心にして、この中央照射部26の外周部をすり鉢状に外へ向けて徐々に拡径する凹面で囲んでいる。そのためライト部材23が発光したときには、中央照射部26を通過する光を拡散反射させて拡大させ、広がりのある印象の強いものにできる。従って、走行する自転車をその前方から見る者から、はっきりと認識させることができる。
【0059】
レンズ部21の側方拡散部28は、正面拡散部27から自転車外方へ向けて導光させるように設けられたものである。本第2実施形態では、この側方拡散部28の内面に対して、長手方向を左右方向へ向けつつ、前後方向で曲線状にカーブするような凹み筋が多数本、並んで設けられたものとしてある。各凹み筋の凹部断面は蒲鉾型(図示略)としてある。これにより、外方への導光性及び拡散性を一層高めてある。
【0060】
このような側方拡散部28を設けていることで、自転車の側方にいる者(例えば、併走する自動車のドライバーなど)からも、はっきりと認識させることができる。
次に、前記ミラー取付体12について説明する。
このミラー取付体12は、基体10とライトカバー11とが結合されたときに、これら基体10の主枠60とライトカバー11との外周を一周するように形成される周壁に対して、その内側を完全に閉鎖する(蓋をする)状態とされる。
【0061】
従って、このミラー取付体12の正面視形状は、ミラー本体7(ライトカバー11)としての正面視形状とほぼ同様に、自転車外方となる側の縦辺が半円形に形成され、自転車内方となる側の縦辺が路面に垂直となる直線状に形成されたものとしてある。
また、このミラー取付体12も上下対称形に形成されていることになる。そのため、このミラー取付体12を表裏反転させ、且つ上下反転させることで、基体10に対してその表裏いずれの側から結合させることができる。
【0062】
このミラー取付体12には、図3及び図4に示すように、基体10やライトカバー11とは反対側を向く面に、その全面又は一部面を覆う状態でミラー体75が設けられている。従って、このミラー体75により自転車の進行方向に対する後方を写し出すことができる。
このミラー取付体12と基体10との結合は、ネジ止めにより行ってもよいし、各種の係合構造を組み合わせた無理嵌め構造により行ってもよいし、或いは接着により行ってもよい。
【0063】
本第2実施形態では、図2及び図3に示すように、ミラー取付体12に対し、自転車内方となる直線状縦辺からライトカバー11へ向けて突出する結合片32が設けられ、基体10における同側の縦辺に、結合片32を嵌め入れる凹部76が形成され、これら結合片32と凹部76との間でネジ止めを行う構造としてある。
以上、詳説したところから明らかなように、本発明に係るバックミラー1では、ミラー本体7が基体10とライトカバー11、ミラー取付体12とのサンドイッチ構造となっており、ライト部材23は、基体10の前側に配置されるライトカバー11と、基体10の後側に配置されるミラー取付体12との間で、保持固定され、中間に挟まれる基体10が、連結部材6を介して自転車ハンドル2へ装着する取付部材5と連結される構成である。
【0064】
そのため、ミラー本体7がその側方から強い衝撃を受けたときには、基本的に、基体10がその負荷を受けてこの基体10から連結部材6、更には取付部材5へと力の分散が図られるようになっている。
しかも、連結部材6と取付部材5との連結間に関節部57が設けられているので、ミラー本体7がその側方から強い衝撃を受けたときには、この関節部57の動作(左右方向の傾斜など)として衝撃が吸収される。
【0065】
従って、ライトカバー11及びミラー取付体12、即ち、ミラー本体7として装備されるミラー体75や発光部20の破損、故障は、可及的に防止される。
一方、ライトカバー11に装備されるレンズ部21は、中央照射部26、正面拡散部27及び側方拡散部28を有しているので、走行する自転車をその前方から見る者(例えば、対向する歩行者や自動車のドライバーなど)からも、また自転車の側方にいる者(例えば、併走する自動車のドライバーなど)からも、はっきりと認識させることができる。
【0066】
ところで、本第2実施形態のバックミラー1は、基体10が、その表裏いずれの面でも発光部20を保持可能で且つ着脱自在であり、またこの基体10を含めて、ライトカバー11及びミラー取付体12が上下対称形であるので、自転車ハンドル2に対する右側装着仕様と左側装着仕様とに仕様変更可能となっている。
その仕様変更の手順を説明する。
【0067】
いま、図4乃至図6に示したように、バックミラー1が自転車ハンドル2の右端側に装着することができるように右側装着仕様としてあるとする。
そこでまず、この右側装着仕様のバックミラー1を、一旦、基体10とライトカバー11とミラー取付体12との三つに分解して図3の状態にする。この状態で、図13に示すように、取付部材5の膨出端部5bから円筒部材5aを引き抜き、膨出端部5bの左右逆方向から円筒部材5aを差し込み直す。
【0068】
また、この取付部材5に対して連結部材6を中心に基体10の表裏を反転させる。
ここで基体10において、抱き枠61の表裏反対側へ発光部20を嵌め直しておく(図3及び図13では共に発光部20の図示を省略してある)。
そして、基体10に対してライトカバー11及びミラー取付体12を振り分ける配置関係を表裏入れ替え、且つライトカバー11及びミラー取付体12を上下反転させたうえで、これらライトカバー11、ミラー取付体12で基体10をサンドイッチにして結合させる。これによりバックミラー1は左側装着仕様となる。
【0069】
このように、本第2実施形態のバックミラー1では、何一つ、部品を交換しなくても右側装着仕様と左側装着仕様とに仕様変更ができるので、基体10、及びライトカバー11、ミラー取付体12のいずれについても、左用のものと右用のものとを作り分ける必要がない。従って、バックミラー1の全体としての低コスト化が可能となる。
[第3実施形態]
図14乃至図28は、本発明に係るバックミラー1の第3実施形態を示している。図14〜図18において、自転車用バックミラー1は、自転車ハンドル2のバーエンド2aに装着される取付部材5と、この取付部材5に連結された連結部材6と、この連結部材6に連結されたミラー本体7とを有している。
【0070】
前記ミラー本体7は、前記連結部材6との連結部分を有する基体10と、この基体10の表裏両面の一方側に、ミラー取付体12と自転車の進行方向に対する後方を写し出すミラー体75が設けられ、他方側にライト部材23と該ライト部材23による発光を外部へ透過させるライトカバー11とが設けられている。ミラー取付体12は係合爪83によって基体10の係止溝84に係合保持され、ミラー体75はミラー取付体12に内嵌されてミラー取付体12の底部に強粘着両面テープ等により接着されている。ライトカバー11はビス等の締結具85により基体10の取付片86に締め付け固定されている。ライト部材23はライトカバー11に内嵌されており、ライト部材23は、基体10の前側に配置
されるライトカバー11と、基体10の後側に配置されるミラー取付体12との間で、保持固定されている。
【0071】
取付部材5の基部側は自転車ハンドル2内に挿入され、取付部材5の先端側は自転車ハンドル2のバーエンド2aから外側方に突出されている。取付部材5の基部側は、前記第1実施形態及び第2実施形態と同様に、内蔵ボルト41、この内蔵ボルト41に螺合されたクサビ部材13及びナット部材55によって、自転車ハンドル2内で固定されている。
連結部材6が取付部材5の先端側から外側方に直交する方向である上方向に突出され、連結部材6の先端側からミラー本体7が外側方に突設されている。連結部材6は、取付部材5の先端側に着脱可能に取り付けられた連結基部89と、連結基部89に延長突設された連結先端部90とを備える。
【0072】
図16及び図24〜図28において、取付部材5の先端側に筒状部91が設けられ、該筒状部91に挿通窓92が設けられている。連結基部89に挿通窓92から筒状部91内に突出する係止突起93が設けられ、係止突起93に左右方向に貫通した係止孔94が設けられている。
取付部材5の筒状部91に外側方から内嵌する筒状体95が具備されている。筒状体95は外筒部96と内筒部97と環状連結部98とを有し、環状連結部98は外筒部96及び内筒部97の外側方側を連結している。筒状体95の外筒部96に前記挿通窓92に対応して連通窓100が設けられると共に、係止孔94に内側方から係脱自在に係合する係合凸部101が設けられ、係合凸部101は連通窓100の内側縁部から外側縁部に向けて突出されている。
【0073】
筒状部91内面の基端側に径方向一対の係合溝103が軸方向に形成され、筒状体95の外筒部外面に係合溝103に軸方向摺動自在に係合する径方向一対の係合突部104が設けられており、これにより筒状体95が筒状部91に対して回動不能でかつ係合溝103の範囲で軸方向摺動自在に保持されている。
係合凸部101が係止孔94に突出して係止突起93が挿通窓92から抜脱するのを阻止すべく筒状体95を筒状部91に対して左右方向外方に付勢する付勢手段106が設けられ、筒状体95を付勢手段106に抗して左右方向内方に押圧することにより、係合凸部101が係止孔94から外れるように構成されている。
【0074】
前記付勢手段106は、筒状体95に外筒部96に一対のスリット107を形成することにより構成した弾性片108を有し、取付部材5の筒状部91の基部側内面に傾斜面109が形成され、弾性片108が傾斜面109に乗り上げて弾性変形することにより、この弾性片108の復元力により筒状体95を筒状部91に対して左右方向外方に付勢するように構成されている。
【0075】
図16、図17及び図20〜図23において、連結先端部90はL字状に屈曲され、連結先端部90の基部側は連結基部89に対して外側方に直交する方向の第1支持軸111廻りに間欠的に回動自在に連結され、ミラー本体7の基体10は連結先端部90に対して左右方向の第2支持軸112廻りに間欠的に回動可能に連結されている。
即ち、連結基部89と連結先端部90とはボルト113とナット114により第1支持軸111廻りに回転可能に連結され、連結先端部90に第1支持軸111廻りに円筒状の第1係止筒体115が設けられ、第1係止筒体115の内面側に周方向に波形に凹凸した第1凹凸係止部116が環状に設けられ、連結基部89に、第1係止筒体115嵌合する複数の第1嵌合円弧部118が設けられると共に、第1凹凸係止部116に係脱自在に係合する第1係合突起部117が、複数の第1嵌合円弧部118にそれぞれ突設されて第1支持軸111廻りに間隔をおいて複数個設けられ、これにより連結先端部90は連結基部89に対して第1支持軸111廻りに間欠的に回動可能とされている。
【0076】
連結先端部90の嵌合凸部121を基体10の嵌合凹部122に嵌合すると共に、連結先端部90の嵌合突起123を基体10の嵌合孔124に嵌合することにより、連結先端部90と基体10とは第2支持軸112廻りに回転可能に連結され、基体10に第2支持軸112廻りに円筒状の第2係止筒体127が設けられ、第2係止筒体127の内面側に周方向に波形に凹凸した第2凹凸係止部128が環状に設けられ、連結先端部90に、第2係止筒体127に嵌合する複数の第2嵌合円弧部130が設けられると共に、第2凹凸係止部128に係脱自在に係合する第2係合突起部129が、複数の第2嵌合円弧部130にそれぞれ突設されて第2支持軸112廻りに間隔をおいて複数個設けられ、これにより基体10は連結先端部90に対して第2支持軸112廻りに間欠的に回動自在とされている。
【0077】
而して、基体10は連結先端部90に対して第2支持軸112廻りに間欠的に回動自在とされていることにより、ミラー本体7のミラー体75側とライト部材23側とが前後逆向きになるように位置変更可能とされて、自転車ハンドル2に対する右側装着仕様と左側装着仕様とに仕様変更可能に構成されている。
上記実施形態の構成によれば、ミラー本体7のミラー体75側とライト部材23側とが前後逆向きになるように位置変更可能とされて、自転車ハンドル2に対する右側装着仕様と左側装着仕様とに仕様変更可能に構成されているので、左ハンドル又は右ハンドルのどちらに取り付けても、ミラー本体7のミラー体75側を後向きに配置すると共にライト部材23側を前向きに配置することができて、自転車ハンドル2に対する右側装着仕様と左側装着仕様とに仕様変更可能になり、このため左ハンドル用のものと右ハンドル用のものとを作り分ける必要がなくなり、部品の共通化ができ、バックミラー1全体としての製造コストが安価になる。
【0078】
また、連結先端部90は連結基部89に対して第1支持軸111廻りに間欠的に回動可能とされていることによって、ミラー体75とライト部材23及びライトカバー11との前後方向への傾斜角度が適当になるように調整することができ、基体10は連結先端部90に対して第2支持軸112廻りに間欠的に回動自在とされていることによって、ミラー体75とライト部材23及びライトカバー11との上下方向への傾斜角度が適当になるように調整することができ、バックミラー1を便利に使用することができる。
【0079】
また、筒状体95を付勢手段106に抗して左右方向内方に押圧することにより、係合凸部101が係止孔94から外れて係止突起93が挿通窓92から抜脱し、連結部材及びミラー本体7を取付部材5乃至自転車ハンドル2から簡単に取り外すことができ、駐輪時に連結部材6及びミラー本体7を取り外すことによって、連結部材6びミラー本体7の盗難を確実に防止することができるし、自転車が転倒することによるミラー本体7の破損を確実に防止することができる。
【0080】
また、バックミラーがその側方から強い衝撃を受けたような場合にも、ミラー体75やライト部材23が破損するのを可及的に防止できる。また、基体10の後側に後方を写し出すミラー75を有するミラー取付体12を簡単に装着できるし、基体10の前側にライト部材23を有するライトカバー21を簡単に装着できる。
[その他]
本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
【0081】
例えば、ミラー本体7の外形状などは何ら限定されるものではない。例えば、ミラー本体7を正面視した状態で、長方形や長円形、楕円形、円形などにすることも可能である。また、ミラー本体7を正面視した状態で、連結部材6を中心としてその左右方向で対称と
なる形状にすることも可能である。
ただし、第1実施形態〜第3実施形態で例示した形状は、自転車の走行時に受ける正面側からの風(空気抵抗)に対して流面形を呈しているので、自転車の走行に悪影響が生じ難く、また後方が見やすい(振動しにくい)点で有益となることを付言できる。
【0082】
発光部20のライト部材23には、発光ダイオードを採用するのが、走行振動などに強い利点や省電力点灯の利点が得られる点で好適であるが、フィラメント球などの電球を採用することも可能である。
第2実施形態で説明した自在継手構造(ユバーサルジョイント)を有する関節部57は、基体10と連結部材6との連結間に設けることもできる。
【0083】
本発明に係るバックミラー1において、装着の対象とする自転車のタイプや自転車ハンドル2のタイプは何ら限定されるものではない。例えば、自転車のタイプとして、シティサイクル、ミニサイクル、3輪車、電動アシスト自転車などをはじめ、スポーツタイプやロードタイプ、オフロードタイプ、マウンテンバイクなどの種々様々な自転車に適用可能である。また自転車ハンドル2として、Tバータイプの他、カマキリタイプ、セミドロップタイプやドロップタイプなどに適用可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 自転車用バックミラー
2 自転車ハンドル
2a バーエンド
5 取付部材
6 連結部材
7 ミラー本体
10 基体
11 ライトカバー
12 ミラー取付体
23 ライト部材
75 ミラー体
89 連結基部
90 連結先端部
91 筒状部
92 挿通窓
93 係止突起
94 係止孔
95 筒状体
100 連通窓
101 係合凸部
106 付勢手段
107 スリット
108 弾性片
109 傾斜面
111 第1支持軸
112 第2支持軸
115 第1係止筒体
116 第1凹凸係止部
117 第1係合突起部
127 第2係止筒体
128 第2凹凸係止部
129 第2係合突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車ハンドル(2)のバーエンド(2a)に装着される取付部材(5)と、この取付部材(5)に連結された連結部材(6)と、この連結部材(6)に連結されたミラー本体(7)とを有しており、
前記ミラー本体(7)は、前記連結部材(6)と連結される基体(10)と、ライト部材(23)と、このライト部材(23)の周囲を覆うライトカバー(11)と、後方を写し出すミラー体(75)が取り付けられるミラー取付体(12)とを有しており、
前記ライト部材(23)は、前記基体(10)の前側に配置される前記ライトカバー(11)と、前記基体(10)の後側に配置される前記ミラー取付体(12)との間で、保持固定されていることを特徴とする自転車用バックミラー。
【請求項2】
取付部(5)の先端側は自転車ハンドル(2)のバーエンド(2a)から外側方に突出され、取付部(5)の先端側から連結部材(6)が外側方に直交する方向に突出され、連結部材(6)の先端側からミラー本体(7)が外側方に突設されており、
連結部材(6)は、取付部(5)の先端側に着脱可能に取り付けられた連結基部(89)と、連結基部(89)に延長突設された連結先端部(90)とを備え、連結先端部(90)は連結基部(89)に対して外側方に直交する方向の第1支持軸(111)廻りに間欠的に回動自在に連結され、ミラー本体(7)の本体基部(10)は連結先端部(90)に対して左右方向の第2支持軸(112)廻りに間欠的に回動可能に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の自転車用バックミラー。
【請求項3】
連結基部(89)又は連結先端部(90)の一方に、第1支持軸(111)廻りに円筒状の第1係止筒体(115)が設けられ、第1係止筒体(115)の内面側に周方向に波形に凹凸した第1凹凸係止部(116)が環状に設けられ、連結基部(89)又は連結先端部(90)の他方に、第1凹凸係止部(116)に係脱自在に係合する第1係合突起部(117)が第1支持軸(111)廻りに間隔をおいて複数個設けられ、これにより連結先端部(90)は連結基部(89)に対して第1支持軸(111)廻りに間欠的に回動可能とされ、
連結先端部(90)又は本体基部(10)の一方に、第2支持軸(112)廻りに円筒状の第2係止筒体(127)が設けられ、第2係止筒体(127)の内面側に周方向に波形に凹凸した第2凹凸係止部(128)が環状に設けられ、連結先端部(90)又は本体基部(10)の他方に、第2凹凸係止部(128)に係脱自在に係合する第2係合突起部(129)が第2支持軸(112)廻りに間隔をおいて複数個設けられ、これにより本体基部(10)は連結先端部(90)に対して第2支持軸(112)廻りに間欠的に回動自在とされていることを特徴とする請求項2に記載の自転車用バックミラー。
【請求項4】
取付部(5)の先端側に筒状部(91)が設けられ、該筒状部(91)に挿通窓(92)が設けられ、連結基部(89)に挿通窓(92)から筒状部(91)内に突出する係止突起(93)が設けられ、係止突起(93)に左右方向に貫通した係止孔(94)が設けられ、取付部(5)の筒状部(91)に外側方から内嵌する筒状体(95)が具備され、筒状体(95)に前記挿通窓(92)に対応して連通窓(100)が設けられると共に、係止孔(94)に内側方から係脱自在に係合する係合凸部(101)が設けられ、係合凸部(101)は連通窓(100)の内側縁部から外側縁部に向けて突出されており、係合凸部(101)が係止孔(94)に突出して係止突起(93)が挿通窓(92)から抜脱するのを阻止すべく筒状体(95)を筒状部(91)に対して左右方向外方に付勢する付勢手段(106)が設けられ、筒状体(95)を付勢手段(106)に抗して左右方向内方に押圧することにより、係合凸部(101)が係止孔(94)から外れるように構成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の自転車用バックミラー。
【請求項5】
前記付勢手段(106)は、筒状体(95)に一対のスリット(107)を形成することにより構成した弾性片(108)を有し、取付部(5)の筒状部(91)の基部側内面に傾斜面(109)が形成され、弾性片(108)が傾斜面(109)に乗り上げて弾性変形することにより、この弾性片(108)の復元力により筒状体(95)を筒状部(91)に対して左右方向外方に付勢するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の自転車用バックミラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2011−246102(P2011−246102A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273654(P2010−273654)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000205292)オージーケー技研株式会社 (31)
【Fターム(参考)】