説明

舗装道路における交通開放確認方法

【課題】舗装道路を敷設施工後開放する際に、開放に適した硬さになったか否かを簡易に確認出来る交通開放確認方法を提供する。
【解決手段】人が開放確認治具1に乗る際に、複数本の歯2のそれぞれに均一に加重がかかるように予め計量器で加重を確認し、人が乗る乗り位置Xを決める。例えば体重70kgの人が乗って交通開放の確認をする場合は、接地面積の合計が7cmとなるように歯2を4本設けた開放確認治具1を用意する。舗装道路の路面に人が開放確認治具1に乗ることにより接地圧を負荷した後、30秒後に接地圧の負荷箇所の轍掘量をノギス等の計測器で測定し、この測定値を基準設定値(舗装道路の路面を0とする)と比較して、轍掘量が0であれば舗装道路が開放に適した硬さに硬化したとし、舗装道路の交通開放を判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、舗装道路における交通開放確認方法に係わり、更に詳しくはアスファルト系舗装道路、コンクリート系舗装道路、樹脂系舗装道路の何れか一つの舗装道路を敷設施工した後に、舗装道路を開放する際に舗装道路が開放に適した硬さに硬化したか否かを簡易に確認を行うことが出来る舗装道路における交通開放確認方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、アスファルト系舗装道路、コンクリート系舗装道路、樹脂系舗装道路の何れか一つの舗装道路を敷設施工した後に、車両が走行した際に轍が発生しないようにするために、舗装道路の交通開放時期が問題となっていた。
【0003】
上記のような舗装道路の交通開放時期の判断については、従来から特別な基準がなく、例えば、スチールボールやゴルフボールを落下させてその反発係数により評価したり、また圧縮強度と剪断強度との関係からサンプリングして圧縮強度を測定する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
またアスファルト系の舗装道路の固まり具合を測定するのに、超音波の伝搬特性を利用して道路の固まり具合を測定する方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
然しながら、従来の交通開放確認方法や舗装道路の固まり具合を測定する方法は、確認設備が大型化したり複雑化する傾向があり、また施工現場に設備を移動させたり設置する等、準備するのに多くの手間と時間がかかり、多大な費用がかかると言う問題があった。
【0006】
また、大型車相当の輪荷重を想定した場合、過積載を想定した場合は面圧は、0.85〜1MPaとなり、1MPaの荷重負荷を掛けなければならない。しかし、施工現場を想定した場合に、1MPaの荷重を掛けるための治具は従来はなく、困難であって推測や経験等により舗装道路の交通開放時期の判断をしているのが現状であった。
【特許文献1】特開2003−129414号公報
【特許文献2】特開平3−180757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明はかかる従来の問題点に着目し、アスファルト系舗装道路、コンクリート系舗装道路、樹脂系舗装道路の何れか一つの舗装道路を敷設施工した後に、舗装道路を開放する際に舗装道路が開放に適した硬さになったか否かを簡易に確認を行うことが出来る舗装道路における交通開放確認方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は上記目的を達成するため、アスファルト系舗装道路、コンクリート系舗装道路、樹脂系舗装道路の何れか一つの舗装道路を敷設施工した後に、舗装道路を開放する際の舗装道路の交通開放確認方法であって、前記敷設施工後の舗装材表面に、接地圧の設定可能な少なくとも複数本の歯と、人の体重を支持出来る板状の部材とから成る開放確認治具により接地圧を負荷した後、接地圧の負荷箇所の轍掘量を測定し、この測定値を基準設定値と比較して舗装道路の交通開放を判断することを要旨とするものである。
【0009】
ここで、前記接地圧が、0.85〜1MPaの範囲に設定可能な開放確認治具を使用し、前記開放確認治具が、下駄状の履物である。
【0010】
また、開放確認治具の歯の一本の接地面積が0.8cm以上であり、前記開放確認治具の歯の側面に轍掘量を計測する表示手段を設け、また前記接地圧の負荷箇所の轍掘量を、ノギスにより計測するものであり、前記接地圧の負荷箇所を接地圧の負荷後30秒後に轍掘量を測定する。
【0011】
また、前記治具を、比重の小さいアルミニウム等の金属材料で形成し、治具の歯は、四角形状、長方形状,円形状から選ばれた一つを使用する。更に、前記開放確認治具の歯が、板状の部材から着脱可能であり、前記開放確認治具の板状の部材のサイズが、100mm×250mm×3mm以上である。
【0012】
また、前記開放確認治具の板状の部材の表面に、人が乗る際に、各歯に均一に荷重がかかるような乗り位置が表示されており、開放確認治具の板状の部材の表面に、人を支える鼻緒,ベルト,バンドの少なくとも一つ以上を設けるものである。
【0013】
このような構成により交通開放確認方法を行うので、だれもが簡単に、しかも容易に舗装道路を敷設施工した後の交通開放を判断することが出来る。
【発明の効果】
【0014】
この発明は上記のようにアスファルト系舗装道路、コンクリート系舗装道路、樹脂系舗装道路の何れか一つの舗装道路を敷設施工した後に、舗装道路を開放する際の舗装道路の交通開放確認方法であって、前記敷設施工後の舗装材表面に、接地圧の設定可能な少なくとも複数本の歯と、人の体重を支持出来る板状の部材とから成る開放確認治具により接地圧を負荷した後、接地圧の負荷箇所の轍掘量を測定し、この測定値を基準設定値と比較して舗装道路の交通開放を判断するので、簡単で安価な設備で、舗装道路の交通開放をだれでもが簡単に判断することが出来る効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。
【0016】
図1は、この発明の舗装道路における交通開放確認方法に使用する開放確認治具の斜視図、図2は平面図、図3は側面図、図4は開放確認治具の使用状態を示す説明図であって、開放確認治具1は、舗装道路の路面Gに対して接地圧の設定可能な少なくとも複数本(この実施形態では4本であるが本数には特に限定されない)の歯2と、人の体重を支持出来る板状の部材3とから構成され、前記開放確認治具1により舗装道路の路面Gに対して接地圧を負荷した後、接地圧の負荷箇所の轍掘量をノギス等の測定器具により測定し、この測定値を予め設定してある基準設定値(舗装道路の路面Gを0とする。)と比較して舗装道路の交通開放を判断するものである。
【0017】
なお、開放確認治具1は、人Wの体重に左右されない重さで、また変形しない材料、例えば、アルミニウム等の軽金属が好ましく、板状の部材3の大きさ(タテH,ヨコL,高さt:図1参照)は、100mm×250mm×3mm以上で、板状の部材3の表面には、人Wが乗る際に、各歯に均一に荷重がかかるような乗り位置Xが表示され、人を支える鼻緒3a(またはベルト,バンド等)を少なくとも一つ以上を設けることが好ましい。
【0018】
更に、開放確認治具1の歯2は、四角形状、長方形状,円形状から選ばれた一つを使用し、着脱可能であることが好ましく、また開放確認治具1の歯2の側面には、轍掘量を計測する目盛り等の表示手段Sを設けるのが好ましい。
【0019】
また開放確認治具1により舗装道路の路面Gに対して接地圧は、大型車相当の輪荷重を想定した場合、過積載を想定した場合は、面圧が0.85〜1MPaとなり、1MPa程度の荷重負荷を掛けなければならなず、前記開放確認治具1の歯2の一本の接地面積が0.8cm以上であるように設定することで、この発明の実施形態のような開放確認治具1を使用することにより測定が可能となり舗装道路の交通開放を判断することが出来る。
【0020】
次に、開放確認治具1を用いて舗装道路における交通開放確認方法について説明する。先ず、図4に示すように人Wが開放確認治具1に乗る際に、複数本の歯2のそれぞれに均一に加重がかかるように予め計量器4で加重を確認し、人Wが乗る乗り位置Xを決める。例えば、体重70kgの人が乗って交通開放の確認をする場合は、接地面積の合計が7cm2 となるように歯2を4本設けた開放確認治具1を用意する。人Wが板状の部材3上に乗ったときの安定感と路面への荷重均一性から、出来れば長方形四角を形成する4本が好ましい。
【0021】
上記のように、歯2を4本設けた開放確認治具1の場合、全7cmの接地面積の場合、1本1.75cmの接地面積で、それが正方形であれば、1.32cm四方の歯2となるものである。歯2の形状は、上述したように特に限定しないが、四角形状、円形状のものが好ましく、その接地面積は0.8cm以上が好ましい。
【0022】
歯2の形状が線状になるにつれて、また接地面積は0.8cm未満になると、轍を外観的、触覚的に確認することが困難であるからである。また、両足で乗った方が安定ではあるが、歯2の一本当たりの接地面積の確保が必要なことから片足で乗る方が好ましい。
【0023】
そして、前記舗装道路の路面Gに人Wが開放確認治具1に乗ることにより接地圧を負荷した後、30秒後に接地圧の負荷箇所の轍掘量をノギス等の計測器で測定し、この測定値を基準設定値(舗装道路の路面Gを0とする。)と比較して、轍掘量が0であれば舗装道路が開放に適した硬さに硬化したとし、舗装道路の交通開放を判断するのである。
【0024】
以上のように、敷設施工後の舗装材表面に、接地圧の設定可能な少なくとも複数本の歯2と、人の体重を支持出来る板状の部材3とから成る開放確認治具1により接地圧を負荷した後、接地圧の負荷箇所の轍掘量を測定し、この測定値を基準設定値と比較して舗装道路の交通開放を判断するので、複雑で高価な設備を使用することなく、誰でもが簡単に安価な設備で、舗装道路の交通開放を簡単に判断することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の舗装道路における交通開放確認方法に使用する開放確認治具の斜視図である。
【図2】開放確認治具の平面図である。
【図3】開放確認治具の側面図である。
【図4】開放確認治具の使用状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0026】
1 開放確認治具
2 歯
3 板状の部材
3a 鼻緒
4 計量器
G 舗装道路の路面
W 人

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスファルト系舗装道路、コンクリート系舗装道路、樹脂系舗装道路の何れか一つの舗装道路を敷設施工した後に、舗装道路を開放する際の舗装道路の交通開放確認方法であって、
前記敷設施工後の舗装材表面に、接地圧の設定可能な少なくとも複数本の歯と、人の体重を支持出来る板状の部材とから成る開放確認治具により接地圧を負荷した後、接地圧の負荷箇所の轍掘量を測定し、この測定値を基準設定値と比較して舗装道路の交通開放を判断する舗装道路における交通開放確認方法。
【請求項2】
前記接地圧が、0.85〜1MPaの範囲に設定可能な開放確認治具を使用する請求項1に記載の舗装道路における交通開放確認方法。
【請求項3】
前記開放確認治具が、下駄状の履物である請求項1または2に記載の舗装道路における交通開放確認方法。
【請求項4】
前記開放確認治具の歯の一本の接地面積が0.8cm以上である請求項1,2または3に記載の舗装道路における交通開放確認方法。
【請求項5】
前記接地圧の負荷箇所の轍掘量を、ノギスにより計測する請求項1,2,3または4に記載の舗装道路における交通開放確認方法。
【請求項6】
前記開放確認治具の歯の側面に、轍掘量を計測する表示手段を設けた請求項1,2,3または4に記載の舗装道路における交通開放確認方法。
【請求項7】
前記接地圧の負荷箇所を接地圧の負荷後30秒後に轍掘量を測定する請求項1,2,3,4,5または6に記載の舗装道路における交通開放確認方法。
【請求項8】
前記治具を、比重の小さい金属材料で形成した請求項1,2,3,4,5,6または7に記載の舗装道路における交通開放確認方法。
【請求項9】
前記治具の歯は、四角形状、長方形状,円形状から選ばれた一つを使用する請求項1,2,3,4,5,6,7または8に記載の舗装道路における交通開放確認方法。
【請求項10】
前記開放確認治具の歯が、板状の部材から着脱可能である請求項1,2,3,4,5,6,7,8または9に記載の舗装道路における交通開放確認方法。
【請求項11】
前記開放確認治具の板状の部材のサイズが、100mm×250mm×3mm以上である請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9または10に記載の舗装道路における交通開放確認方法。
【請求項12】
前記開放確認治具の板状の部材の表面に、人が乗る際に、各歯に均一に荷重がかかるような乗り位置が表示されている請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10または11に記載の舗装道路における交通開放確認方法。
【請求項13】
前記開放確認治具の板状の部材の表面に、人を支える鼻緒,ベルト,バンドの少なくとも一つ以上を設けた請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11または12に記載の舗装道路における交通開放確認方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−299402(P2009−299402A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−157242(P2008−157242)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】