説明

舗道表示用化粧シート

【課題】施工が簡単で、図柄の剥離・変形が無く、更には透水性に優れた舗道表示用化粧シートを提供すること。
【解決手段】通気度(JIS L1096)が1〜100cm/cm・秒である網目状の基材シート上に、任意の形状の熱溶融可能な着色熱可塑性樹脂シートを任意の模様に並べて接着したこと、着色熱可塑性樹脂シート上に、さらに絵柄層を設けたこと、前記基材シートが、熱及び/又は水により溶融可能なものからなること、前記着色熱可塑性樹脂シートに、直径0.5〜10mmの孔が設けられてなること等を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗道、詳しくはアスファルト、コンクリートで舗装した道路である歩道、車道、自転車道やインターロッキングブロックなどにおける道路表面に絵付けするための舗道表示用化粧シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、舗装した道路に交通表示やセンターライン、サイドラインを引いたりする場合は、熱で溶融させた塗料にて表示内容を描いていた。しかし、歩道と道路の間の段差等を知らせるマークを表示する場合は、機械が大きすぎて小回りが利かない為手間がかかるという問題があった。
【0003】
また、熱溶融式の着色テープを所望の文字および柄の形に設置した後バーナーで加熱して舗道に固着させる方法があったが、テープを所望の形に設置するのに手間が掛かり舗道上での施工時間が長引くという問題があった。
【0004】
また、図柄を印刷したシートを舗道表面、マンホールなどに貼着する方式もあったが、夏場の路面温度の上昇と外圧で、剥離、変形するといった問題があった(特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−14381
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、施工が簡単で、図柄の剥離・変形が無く、更には透水性に優れた舗道表示用化粧シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その請求項1記載の発明は、通気度(JIS L1096)が1〜100cm/cm・秒である網目状の基材シート上に、任意の形状の熱溶融可能な着色熱可塑性樹脂シートを任意の模様に並べて接着したことを特徴とする舗道表示用化粧シートである。
【0007】
また、請求項2記載の発明は、前記着色熱可塑性樹脂シート上に、さらに絵柄層を設けたことを特徴とする舗道表示用化粧シートである。
【0008】
また、請求項3記載の発明は、前記基材シートが、熱及び/又は水により溶融可能なものからなることを特徴とする舗道表示用化粧シートである。
【0009】
また、請求項4記載の発明は、前記着色熱可塑性樹脂シートに、直径0.5〜10mmの孔が設けられてなることを特徴とする舗道表示用化粧シートである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1記載の発明により、従来は表示のための着色熱可塑性樹脂シートを切り貼りして施工していたのに対して、必要な部分に必要な面積で、熱源があれば施工可能で大掛かりな装置が不要となった。また、その場でテープを組み合わせて図柄を作製するのではなく、あらかじめ化粧シートとして図柄が完成されているので施工現場での手間が省略できる。また、舗道に貼着するシールタイプと異なり、溶融固着できるので自然環境下の温度では変形・剥がれの発生はほとんど起こらない。また、施工後、着色熱可塑性樹脂シートを加熱して溶融状態にした後、基材シート下へ透過させ、基材シートを除去することも可能である。
【0011】
またその請求項2記載の発明により、着色熱可塑性樹脂シート上に施した任意の絵柄層を舗道に定着させることが可能となり、より細かい絵柄を表現することが可能となった。
【0012】
またその請求項3記載の発明により、基材シートを溶融させて排除することが可能となった。
【0013】
またその請求項4記載の発明により、着色熱可塑性シート上に透水性を付与することが可能となり、水捌けを良くし、スリップを抑制することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明の舗道表示用化粧シート及び化粧方法を図面に基づき詳細に説明する。図1に本発明の舗道表示用化粧シート及び化粧方法の一実施例の断面の構造を示す。基材シート1、着色熱可塑性樹脂シート2、絵柄層3、適宜設ける表面保護層4、舗道表示用化粧シート5を示す。
【0015】
本発明における基材シート層1としては特に規定するものではないが、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂)、EVOH(エチレン−ビニルアルコール)樹脂、松脂、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂等の熱で溶融する樹脂であれば望ましい。ただし、溶融時にガス等有毒物を発生しないものを選定することは重要である。また、水に溶融するPVA(ポリ酢酸ビニル)でもよい。これらの樹脂をフィルムにした後穴を開けたり、製膜時に発泡させて延伸することで穴を生じさせたり、繊維状のものを編みこんでもよいが、通気度(JIS L1096)1〜100cm3/cm2・秒である網目状にしておく。
【0016】
本発明における着色熱可塑性樹脂シート2としては、具体的にはEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂)、EVOH(エチレン−ビニルアルコール)樹脂、松脂、ポリオレフィン樹脂等の熱で溶融する樹脂であれば特に規定するものではないが、溶融時にガス等有毒物を発生しないものを選定することは重要である。
また、着色熱可塑性樹脂シート2の面積が5cm程度を超えた場合は、数mm程度の貫通孔を空けておくと透水性が良くなり、表示内容の妨げにもならない。
【0017】
本発明における絵柄層3のインキバインダー樹脂としては、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等耐候性に優れた樹脂であることが望ましいが、耐熱性があり加熱時に変色しない種類のものであれば特に規定するものではない。また、熱可塑性樹脂であることが望ましい。
【0018】
適宜設ける表面保護層4は、着色熱可塑性樹脂シート2を舗道に固着した後に設けるのが望ましい。イソシアネートを添加して硬化する2液硬化ウレタン樹脂タイプ、紫外線硬化タイプ等硬化形態は問わないが、アクリルポリオール樹脂、イミドアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂等、耐候性に優れ、表面硬度の高い樹脂系であることが望ましい。
【0019】
上記樹脂には、耐候性の処方を行うため、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系,トリアジン系,ベンゾフェノン系など)の耐候性処方剤を添加する。添加部数は所望の耐候性に応じて添加すれば良いが、樹脂固形分に対して0.1%〜50%、好ましくは1%〜30%である。なお、着色熱可塑性樹脂シートの孔に入り込まないような表面張力の樹脂を使用すると、孔が詰まることが無い。具体的には38mN/m以上の表面張力が望ましい。
【実施例1】
【0020】
基材シート1として厚み50μmのEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂)フィルム「X−1430」(クラボウ株式会社製)にレーザー光を照射して通気度(JIS L1096)1cm/cm・秒である網目状の基材シートを用いた。
【0021】
着色熱可塑性樹脂シート2としてEVA100重量部、松脂10部、着色顔料として白色の酸化チタン、青色のフタロシアニン、赤顔料として酸化鉄等、黄色の酸化鉄等の顔料をEVAに対し0.1重量部から20重量部添加して着色して基材シート1の上に直径100mm厚み1mmのひまわり柄の絵柄を作製した。次に、表面に直径2mmの貫通孔を炭酸ガスレーザー:ML−G9311 CO2 LASER MARKER(波長:10.6μm、出力80W、株式会社キーエンス製)により9本/100cm空けた。
【0022】
着色熱可塑性樹脂シート2への絵付けは、アクリル樹脂/塩化酢酸ビニル樹脂系バインダー樹脂と顔料からなるインキを2軸延伸ポリエステル樹脂シートに印刷した後、150℃の熱ロールを10m/分の速さで3回通して転写して行なった。
【0023】
次に、アスファルト(配合:6号砕石35%/7号砕石18.8%/砕砂15%/スクリーニングス15%/細砂7.5%/石粉2.8%/アスファルト5.9%)に舗道表示用化粧シート5を、基材シート1側をアスファルト側に、絵柄層3を上にして粘着テープで仮貼りし、ガストーチ ソードガス206オート、ガスカートリッジCT−200(コマーシャルジャパン株式会社製)を使用して、舗道表示用化粧シート5から300mmの距離から炎を当てた。熱可塑性樹脂がアスファルトの隙間に溶融して流れ込んできた状態で炎を止め、静置した。
【0024】
次に、表面保護層4となる透明樹脂としてアクリルポリオール2液硬化タイプの樹脂を絵柄層の上からスプレー塗工にて、乾固形分約5μmの厚みとなるよう噴霧した。乾燥後、更に同透明樹脂をスポンジローラーにて乾固形分で約500μmの厚みとなるよう塗工した。
【0025】
以下、実施例2〜比較例4を実施例1とともに表1に条件を記す。
実施例1から実施例4はサンプルを屋外に6ヶ月曝露し、人の行き来も経験させたが、図柄の剥離・変形等の不具合は発生せず、水捌けに関しての問題も発生しなかった。
一方、比較例1から4は、基材シートの面積が少なくて熱可塑性樹脂シートの固定が不安定であったり、多くて除去しにくかったりといった問題と、熱可塑性樹脂シート面積の大きさに対して除水用の孔の直径が小さくて基材シートの除去が絵柄の上に水が残ったり、逆に孔の直径が大きすぎて絵柄層の表示内容の妨げになった。
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明により、舗道、詳しくはアスファルト、コンクリートで舗装した道路である歩道、車道、自転車道やインターロッキングブロックなどにおける道路表面に絵付けするための舗道表示用化粧シート及び化粧方法が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の舗道表示用化粧シートの一実施例の断面の構造を示す説明図である。
【図2】本発明の舗道表示用化粧シートの一実施例の表面の構造を示す説明図である。
【符号の説明】
【0028】
1…基材シート
2…着色熱可塑性樹脂シート
3…絵柄層
4…表面保護層
5…舗道表示用化粧シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気度(JIS L1096)が1〜100cm/cm・秒である網目状の基材シート上に、任意の形状の熱溶融可能な着色熱可塑性樹脂シートを任意の模様に並べて接着したことを特徴とする舗道表示用化粧シート。
【請求項2】
前記基材シート上に、さらに絵柄層を設けたことを特徴とする請求項1記載の舗道表示用化粧シート。
【請求項3】
前記基材シートが、熱及び/又は水により溶融可能なものからなることを特徴とする請求項1または2のいずれか記載の舗道表示用化粧シート。
【請求項4】
前記着色熱可塑性樹脂シートに、直径0.5〜10mmの孔が設けられてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の舗道表示用化粧シート。

【図1】
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【図2】
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