説明

航空コンテナ

【課題】本発明は、部品点数および作業工数を削減して製品コストを抑制できると共に、内部の底面積を確保してより多くの貨物を載置できる航空コンテナを提供すること。
【解決手段】立設部16は、内部空間Sに臨む面に凹設されると共に床面101に対して平行な方向に沿って延設される溝状の溝部16aと、その溝部16aの一部分に形成される掛止部40とを備えている。掛止部40が立設部16と一体なので立設部に別部材としての掛止部材をボルト及びナットにより固着することが不要となる。従って、作業工数を削減して航空コンテナ1の製品コストを抑制できる。また、立設部16と固定具102との間に、ボルトの軸部分およびナットを配置するための領域を確保することが不要なので、ボルトの軸部分およびナットの寸法分だけ立設部16を基部15の他側へ寄せて配置することで、内部空間Sの容積をより大きく確保できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空コンテナに関し、特に、部品点数および作業工数を削減して製品コストを抑制できると共に、内部の底面積を確保してより多くの貨物を載置できる航空コンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、航空機により貨物を運搬するためのコンテナとして航空コンテナが知られている。この航空コンテナは、枠組みを構成するフレームに、壁面を構成するパネル及び底面を構成する底板がリベットにより固着され、内部に貨物を収容するための内部空間を有する箱状に形成されている。
【0003】
航空機には、航空コンテナを収納するための貨物室が設けられており、貨物室には、床面に固定具が設けられている。一方、航空コンテナは、フレームの下部の四辺を構成する下部フレームの一部が外方へ張り出して形成されている。よって、航空コンテナを貨物室へ収納する際には、下部フレームの外方へ張り出した部分を固定具により係止することで、航空コンテナの移動および転倒を規制できる。
【0004】
例えば、実開昭49−147241号公報には、コンテナ床部を構成する単板1(底板)がリベット3により固着される縁金2(基部)と、コンテナ本体側壁6(パネル)が結合される突起7(立設部)とを有し、縁金2が突起7に対して外方へ張り出して形成される下部フレームを備える航空用コンテナ(航空コンテナ)が開示されている。
【0005】
また、航空コンテナには、貨物を緊締する緊締部材の端部金具が掛止される掛止部材を下部フレームに装着しているものがある。ここで、図8を参照して、掛止部材が固着された下部フレームについて説明する。図8は、従来の航空コンテナ500の部分拡大断面図であり、掛止部材540が固着された下部フレーム512bを部分的に図示している。
【0006】
図8に示すように、下部フレーム512bは、内部空間S側に配置される一側に底板521が固着されると共に内部空間Sの外側に配置される他側が航空機の貨物室の床面501に設けられる固定具502により係止される基部515と、その基部515の上面に立設される立設部516と、その立設部516の上面側から上方に延設されると共にパネル520がリベット530により固着される板状のパネル固着部517とを備え、緊締部材の端部金具が掛止される掛止部材540が、緊締部材による引っ張り強度を確保するため、立設部516の内部空間Sに対向する側の面にボルト551及びナット552により固着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭49−147241(例えば、第4図など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した掛止部材540が設けられた従来の航空用コンテナ500では、別部品としての掛止部材540を準備し、その掛止部材540を立設部516にボルト551及びナット552により固着する必要がある。よって、部品点数および作業工数が増加するため、製品コストが嵩むという問題点があった。
【0009】
また、ボルト551の軸部分およびナット552が立設部516と固定具502の間に位置するので、ボルト551の軸部分およびナット552の寸法分だけ、立設部516を内部空間S側へ寄せて配置する必要がある。よって、航空コンテナ500の内部の底面積が小さくなり、その分、航空コンテナ500の内部に載置できる貨物が少なくなるという問題点があった。
【0010】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、部品点数および作業工数を削減して製品コストを抑制できると共に、内部の底面積を確保してより多くの貨物を載置できる航空コンテナを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0011】
請求項1記載の航空コンテナによれば、下部フレームは、内部空間側に配置される一側にリベットにより底板が固着されると共に内部空間の外側に配置される他側が航空機に設けられる固定具により係止される基部と、その基部の上面に立設されると共にパネルがリベットにより固着される立設部とを備え、立設部は、内部空間に対向する側の面に形成されると共に内部空間に収容された貨物を緊締する緊締部材の端部金具が掛止される掛止部を備えている。即ち、掛止部が立設部と一体になっているので、別部品としての掛止部材を準備し、その掛止部材を立設部にボルト及びナットにより固着させる場合と比べて、部品点数を削減できる。また、掛止部材を立設部にボルト及びナットにより固着させる作業が不要なので、作業工数を削減できる。従って、航空コンテナの製品コストを抑制できるという効果がある。
【0012】
さらに、掛止部材を立設部に固着させるボルト及びナットが不要となるので、立設部と固定具との間に、ボルトの軸部分およびナットを配置するための領域を確保することを不要にできる。よって、ボルトの軸部分およびナットの寸法分だけ、立設部を基部の他側へ寄せて配置することができるので、その分、内部の底面積を確保して、より多くの貨物を載置できるという効果がある。
【0013】
請求項2記載の航空コンテナによれば、請求項1記載の航空コンテナの奏する効果に加え、内部空間の側面側に位置するパネルは、立設部の内部空間に対向する側の面と反対側の面にリベットにより固着されているので、内部空間の側面側に位置するパネルを固着するための部位を立設部の上方に形成することを不要とすることができる。よって、内部空間の側面側に位置するパネルを固着するための部位を立設部の上方に形成する場合と比べて、材料コストを抑制できると共に軽量化を図ることができるという効果がある。さらに、立設部の高さ寸法を小さくできる分、下部フレーム全体としての外形を小さくできる。よって、下部フレームを押出成形により成形する場合には、口金の大きさを小さくできる。従って、口金の製造コストを削減できると共に押出成形時の押し出し力を小さくして設備の小型化を図ることができるので、航空コンテナの製品コストを削減できるという効果がある。
【0014】
請求項3記載の航空コンテナによれば、請求項2記載の航空コンテナの奏する効果に加え、立設部は、内部空間に対向する側の面に凹設されると共に長手方向に延設される溝状の溝部を備え、内部空間の側面側に位置するパネルを立設部の内部空間に対向する側の面と反対側の面に固着するリベットは、一部が溝部内に収容されているので、内部空間に収納される貨物とリベットとが接触することによる貨物の破損を防止できるという効果がある。
【0015】
請求項4記載の航空コンテナによれば、請求項1記載の航空コンテナの奏する効果に加え、下部フレームは、立設部の上面側から上方に延設される板状のパネル固着部を備え、内部空間の側面側に位置するパネルは、パネル固着部にリベットにより固着されているので、内部空間の側面側に位置するパネルを立設部にリベットにより固着することを回避して、固定具がリベットに接触することを防止できる。よって、リベットの突出寸法分だけ、立設部を基部の他側へ寄せて配置することができるので、その分、内部の底面積を確保して、より多くの貨物を載置できるという効果がある。
【0016】
請求項5記載の航空コンテナによれば、請求項1から4のいずれかに記載の航空コンテナの奏する効果に加え、下部フレームは、パネルよりも剛性の高い材料から構成され、リベットは、軸状に形成されると共にかしめ加工が施されることで一端側が拡径されて拡径部となる軸部材と、その軸部材の他端側に配設され拡径部よりも大きな外径のフランジ状に張出形成される頭部とを備え、リベットは、内部空間の側面側に位置するパネル側に頭部が配設されると共に、下部フレーム側に拡径部が配設されるので、固着されたリベットの拡径部を抜けにくくすることができるという効果がある。
【0017】
よって、リベットを抜けにくくするための当板を不要として部品点数を削減できるので、航空コンテナの製品コストを削減できると共に軽量化を図ることができるという効果がある。さらに、パネルを立設部の内部空間に対向する側の面と反対側の面に固着させる場合には、不要となった当板の厚さ寸法分だけ、立設部を基部の他側へ寄せて配置させることができるので、その分、内部の底面積を確保して、より多くの貨物を載置できるという効果がある。
【0018】
また、内部空間の側面を構成するパネル側に拡径部よりも大きな外形に形成される頭部が配設されるので、パネルの剛性をより小さくした場合であっても、リベットを抜けにくく(パネルをリベットから外れにくく)することができる。よって、パネルを樹脂等のより軽量な材料から構成することでパネルを軽量化できるので、航空コンテナ全体の軽量化を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施の形態における航空コンテナの外観斜視図である。
【図2】図1のII−II線における航空コンテナの断面図である。
【図3】図2のIII−III線における航空コンテナの断面図である。
【図4】図3のIV−IV線における航空コンテナの断面図である。
【図5】図2のIII−III線における航空コンテナの部分拡大断面図である。
【図6】図5のVI−VI線における航空コンテナの部分拡大断面図である。
【図7】第2実施の形態における航空コンテナの部分拡大断面図である。
【図8】従来の航空コンテナの部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1から図4を参照して、航空コンテナ1の概略構成について説明する。図1は、本発明の第1実施の形態における航空コンテナ1の外観斜視図である。また、図2は、図1のII−II線における航空コンテナ1の断面図であり、高さ方向に垂直な断面を図示している。図3は、図2のIII−III線における航空コンテナ1の断面図である。図4は、図3のIV−IV線における航空コンテナ1の断面図である。なお、図1から図4の矢印U−D、L−R、F−Bは、航空コンテナ1の上下方向、左右方向、前後方向をそれぞれ示している。また、図面を簡素化して説明を分かりやすくするため、リベット30を模式的に図示すると共に、リベット30の一部を省略して図示する。
【0021】
図1に示すように、航空コンテナ1は、航空貨物を輸送するために使用されるコンテナであり、内部に貨物を収容する内部空間S(図2から図4参照)を有する箱状に形成され、主に、枠組みを形成するフレーム10と、そのフレーム10に固着され内部空間Sの上面側に位置する樹脂製の上面パネル20aと、フレーム10に固着され内部空間Sの側面側に位置する樹脂製の側面パネル20bと、フレーム10に固着され内部空間Sの底面側に位置する底板21と、上面パネル20a、側面パネル20b及び底板21をフレーム10に固着させるリベット30とを備えている。なお、本実施の形態における航空コンテナ1は、客室の床下に貨物室が設けられる航空機、いわゆる旅客機に搭載されるべきものであり、より多くの航空コンテナ1を一度に輸送可能として輸送効率の向上を図るべく、室内形状が半円筒状となる貨物室の壁際まで航空コンテナ1を搭載できるように、正面視において側面下部(図1では左側面下)が斜めに面取りされた五角形に形成されている。
【0022】
また、航空コンテナ1の前面には、貨物を出し入れするための開口部2(図2及び図4参照)が開放されると共に、その開口部2を覆って内部空間Sに収容された貨物を目隠しするためのカバーシート3が設けられている。カバーシート3は、ビニール製の不透明なシート材料によって形成され、上縁がリベット30によってフレーム10の前面上部に取り付けられていると共に(図4参照)、下縁にはアルミ二ウム合金によって形成された錐体4が取り付けられている。錘体4の左右両端部には、係止部(図示せず)が形成されると共に、係止フレーム12aには、錘体4の係止部が係止可能に形成されており、錘体4の係止部を係止フレーム12aに係止することで、開口部2を覆った状態でカバーシート3を保持できるように構成されている。
【0023】
フレーム10は、上述したように、航空コンテナ1の枠組みを形成する部材であり、上部を構成する4本の上部フレーム11と、下部を構成する4本のうち、前面側を構成する係止フレーム12aと、下部を構成する4本のうち、係止フレーム12a以外の3本を構成する3本の下部フレーム12bと、それら上部フレーム11の頂点及び係止フレーム12a又は下部フレーム12bの頂点を連結する側部フレーム13と、上部フレーム11及び係止フレーム12a、上部フレーム11及び下部フレーム12b又は隣接する側部フレーム13同士の連結を補強する補強フレーム14とにより構成されている。なお、側部フレーム13の形状は、直線状に形成されるものと略く字状に形成されるものとの2種類がある。
【0024】
次に、図5を参照して、下部フレーム12bの詳細構成について説明する。図5は、図2のIII−III線における下部フレーム12bの断面図である。なお、図5では、側部フレーム13の図示を省略している。また、図8は、図5に対応する。
【0025】
図5に示すように、下部フレーム12bは、側面パネル20b及び底板21が固着される部材であり、押出成形により形成されている。下部フレーム12bは、航空機の貨物室の床面101に載置される基部15と、その基部15の上面側(図5上側)に立設される立設部16とを備えている。
【0026】
基部15は、下部フレーム12bの本体をなす部位であり、上面側に立設部16が連設されると共に一側(図5右側)が立設部16から内部空間Sの外側(図5右側)へ向けて張り出して形成される張出部15aと、その張出部15aの他側(図5左側)から内部空間S側(図5左側)へ向けて延設される板状の底板固着部15bとを備えている。
【0027】
張出部15aは、航空機の貨物室の底面101に設けられる固定具102が係止される部位であり、内部が中空に形成されることで、下部フレーム12bの軽量化が図られている。底板固着部15bは、底板21が固着される部位であり、下面側(図5下側)に底板21の一辺の側端がリベット(図示せず)により固着されている。
【0028】
立設部16は、側面パネル20bを支持する断面C字状の部位であり、内部空間Sに臨む面に凹設されると共に床面101に対して平行な方向(図5紙面垂直方向または左右方向)に沿って連続的に延設される溝状の溝部16aと、その溝部16aの一部分に形成される掛止部40とを備え、内部空間Sの外方に臨む面が平坦面状に形成されている。溝部16aが床面101に対して平行な方向に沿って連続的に延設して形成されているので、下部フレーム12bを押出成形により形成する際に溝部16aも同時に形成することができる。よって、押出成形後に溝部16aを機械加工により形成する場合と比べて、作業コストを抑制できる。
【0029】
掛止部40は、内部空間Sに収容された貨物を緊締する緊締部材(図示せず)の端部金具60(図6参照)が掛止される部位であり、立設部15の内部空間Sに臨む面の一部に形成されると共に溝部16aの開口を隔てて対向する一対の円弧状の切欠部41を備えている。切欠部41は、エンドミルによる機械加工により切欠形成され、1つの掛止部40に対し、一対の切欠部41が2つ形成されている。ここで、図6を参照して、掛止部40の使用態様について説明する。図6は、図5のVI−VI線における航空コンテナ1の部分拡大断面図であり、緊締部材の端部金具60が掛止部40に掛止された状態を図示している。
【0030】
図6に示すように、緊締部材(図示せず)の端部金具60は、掛止部40に掛止されることで、緊締部材を下部フレーム12bに着脱自在に連結するための部材であり、緊締部材の端部に装着されるリング状のリング部61と、そのリング部61を一端側で保持する丸棒状の棒状部62a及びその棒状部62aの他端側にフランジ状に形成されるフランジ部62bを有する第1金具62と、その第1金具62の棒状部62bに貫設される第2金具63とを備え、第2金具63が図示しないスプリングによりフランジ部62bへ向けて付勢されている。なお、棒状部62aの外径は、立設部16の溝部16aの開口寸法(図6上下方向の寸法)よりも小さく形成され、フランジ部62bの外径は、掛止部40の一対の切欠部41の間から溝部16aの内部へ挿入可能な大きさに形成されると共に溝部16aの開口寸法よりも小さな外径に形成されている。
【0031】
端部金具60を掛止部40に掛止させる際は、第2金具63を第1金具62のフランジ部62bと対向する面から離間させつつ、第1金具62のフランジ部62bを一対の切欠部41の間から溝部16aの内部へ挿入する。フランジ部62bを溝部16aの内部に挿入した状態で、端部金具60を立設部16の長手方向(図6紙面垂直方向)にスライドさせつつ、フランジ部62bと第2金具63との対向間に、掛止部40のうち内部空間Sと溝部16aとの間に位置する部分を配置させる。このとき、第2金具63がスプリングによりフランジ部62bへ向けて付勢されることで、掛止部40が第1金具62及び第2金具63により挟持固定され、端部金具60が掛止部40に掛止される。
【0032】
ここで、掛止部40が立設部16と一体になっているので、端部金具60が掛止される別部品としての掛止部材を準備し、その掛止部材を立設部にボルトにより固着させる場合と比べて、部品点数を削減できる。さらに、掛止部材を立設部にボルト及びナットにより固着させる作業が不要なので、作業工数を削減できる。従って、航空コンテナ1の製品コストを抑制できる。
【0033】
また、別部材としての掛止部材を立設部に固着させるボルト及びナットが不要なので、立設部16と固定具102との間に、ボルトの軸部分およびナットを配置するための領域を確保することを不要とすることができる。よって、ボルトの軸部分およびナットの寸法分だけ立設部16を基部15の一側(図6右側)へ寄せて配置することができるので、その分、内部の底面積を確保して、より多くの貨物を載置できる。なお、本実施の形態では、3本の下部フレーム12bのそれぞれに3つの掛止部40が形成されている。
【0034】
図5に戻って説明する。リベット30は、中空の本体に貫設される金属製のマンドレル(図示せず)をリベット打ち工具(図示せず)で引き抜くことで、複数の板状部材を互いに連結させるための締付部材であり、軸状に形成されると共にかしめ加工が施されることで一端側が拡径されて拡径部33となる軸部材31と、その軸部材31の他端側に配設され拡径部33よりも大きな外形のフランジ状に張出形成される頭部32とを備えている。
【0035】
側面パネル20bを下部フレーム12bに固着する際には、立設部16の外方に臨む面とアルミニウム合金から構成される当板50とで側面パネル20bを挟みつつ、立設部16、当板50及び側面パネル20bをリベット30により固着する。アルミニウム合金で構成される立設部16と当板50とで側面パネル20bを挟むことにより、リベット30を抜けにくく(立設部16及び当板50をリベットから外れにくく)することができるので、側面パネル20bがアルミニウム合金よりも剛性の小さい材料から構成される場合であっても、側面パネル20bがリベット30から外れることを防止できる。よって、側面パネル20bを樹脂等のより軽量な材料から構成することで側面パネル20bを軽量化できるので、航空コンテナ1全体の軽量化を図ることができる。
【0036】
また、リベット30は、軸部材31が内部空間S側に、頭部32が内部空間Sの外方側に配設された状態で、立設部16、当板50及び側面パネル20bを互いに連結している。これにより、頭部32が内部空間S側に配設される場合と比べて、軸部材31をかしめ加工して拡径部33を形成する際の作業性を良くすることができる。
【0037】
また、側面パネル20bは、立設部16の外方に臨む面にリベット30により固着されているので、側面パネル20bを固着するための部位を立設部16の上方に形成することを不要とすることができる。よって、側面パネル20bを固着する部位を立設部16の上方に形成する場合と比べて、材料コストを抑制できると共に軽量化を図ることができる。さらに、立設部16の高さ寸法(図5上下方向の寸法)を小さくできる分、下部フレーム12b全体としての外形を小さくできる。よって、下部フレーム12bを押出成形により成形する際の口金の大きさを小さくできる。従って、口金の製造コストを削減できると共に押出成形時の押し出し力を小さくして設備の小型化を図ることができるので、航空コンテナ1の製品コストを削減できる。
【0038】
さらに、リベット30は、掛止部40が形成される位置を避けつつ、立設部16に側面パネル20b及び当板50を固着している。これにより、掛止部40が形成される溝部16aの内部にリベット30が突出することを回避できるので、緊締部材の端部金具60(図6参照)を掛止部40に掛止する際に、端部金具60がリベット30と接触することを回避でき、作業性を良くすることができる。また、立設部16の厚さ寸法(図5左右方向の寸法)が、かしめ加工されたリベット30の軸部材31の軸方向の寸法から側面パネル20b及び当板50の厚さ寸法を除いた寸法よりも大きく形成されることで、軸部材31が溝部16aの内部に収容されるので、内部空間Sに収納される貨物とリベット30とが接触することによる貨物の破損を防止できる。
【0039】
一方、側面パネル20bを側部フレーム13(図2参照)に固着するリベット30は、拡径部33が立設部16の内部空間Sの外方に臨む面側に配置されると共に頭部32が立設部16の内部空間Sに臨む面側に配置される。これにより、拡径部33が内部空間S側へ突出することを回避できるので、内部空間Sに収納される貨物とリベット30とが接触することによる貨物の破損を防止できる。
【0040】
次に、図7を参照して、第2実施の形態における航空コンテナ200について説明する。第1実施の形態では、側面パネル20bが立設部16の他面側に固着されるのに対し、第2実施の形態では、側面パネル20bが立設部216の上方に延設されるパネル固着部217に固着される。図7は、第2実施の形態における航空コンテナ200の部分拡大断面図であり、図5に対応する。なお、上記した第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0041】
ここで、航空コンテナ200は、下部フレーム212b、側面パネル220b、底板221、リベット230の各構成を除き、他の構成は第1実施の形態における航空コンテナ1と同一の構成なので、その説明を省略する。なお、側面パネル220bは、第1実施の形態における側面パネル20bよりも、高さ方向(図7上下方向)における寸法が小さく、前後方向及び左右方向(図7紙面垂直方向および左右方向)における寸法が大きく形成されている。また、底板221は、第1実施の形態における底板21よりも面方向(図7紙面垂直方向および左右方向)の寸法が大きく形成されている。
【0042】
図7に示すように、下部フレーム212bは、側面パネル220b及び底板221が固着される部位であり、押出成形により形成されている。下部フレーム212bは、航空機の貨物室の床面101に載置される基部215と、その基部215の上面側(図7上側)に立設される立設部216と、その立設部216の上面側から上方へ延設されるパネル固着部217とを備えている。
【0043】
基部215は、下部フレーム212bの本体をなす部位であり、上面側に立設部216が連設されると共に一側(図7右側)が立設部216から内部空間Sの外側(図7右側)へ向けて張り出して形成される張出部215aと、内部空間S側(図7左側)へ向けて張り出して形成される底板固着部15bとを備えている。立設部216は、基部215に対して側面パネル220bを支持するための部位であり、溝部216aと、掛止部40とを備えている。なお、張出部215aの立設部216からの張り出し寸法は、第1実施の形態における張出部15aの立設部16からの張り出し寸法よりも小さく形成されている。また、下部フレーム212bは、第1実施の形態における下部フレーム12bよりも長手方向(押出成形時の押出方向)の長さ寸法が大きくされている。
【0044】
パネル固着部217は、側面パネル220bが固着される部位であり、厚さ寸法(図7左右方向の寸法)が立設部216の厚さ寸法(図7左右方向の寸法)よりも小さく設定される板状に形成されている。
【0045】
リベット230は、軸状に形成されると共にかしめ加工が施されることで一端側が拡径されて拡径部233となる軸部材231と、その軸部材231の他端側に配設され拡径部233よりも大きな外形のフランジ状に張出形成される頭部232とを備えている。なお、リベット230は、第1実施の形態におけるリベット30よりも軸方向における寸法が小さく形成されている。
【0046】
なお、パネル固着部217の内部空間Sに臨む面は、立設部216の内部空間Sに臨む面よりも内部空間Sの外方側に位置することで、パネル固着部217の内部空間Sに臨む面と立設部216の内部空間Sに臨む面とが段状に形成されると共に、その段差は、リベット230の頭部232がパネル固着部217の内部空間Sに臨む面から突き出る突出量よりも大きく形成されている。さらに、パネル固着部217の内部空間Sの外方に臨む面は、立設部216の内部空間Sの外方に臨む面よりも内部空間S側に位置することで、パネル固着部217の内部空間Sの外方に臨む面と立設部216の内部空間Sの外方に臨む面とが段状に形成されると共に、その段差は、リベット230の軸部材231がパネル固着部217の内部空間Sの外方に臨む面から突き出る突出量よりも大きく形成されている。
【0047】
側面パネル220bを下部フレーム212bに取り付ける際には、側面パネル220bをパネル固着部217の一面側に当接させつつリベット230により固着する。リベット230は、頭部232が内部空間S側に、軸部材231が内部空間Sの反対側にそれぞれ配設される。内部空間S側には、側面パネル220bが配置されているので、拡径部233よりも大きな外径の頭部232が側面パネル220b側に配設されることで、側面パネル220bの剛性をより小さくした場合であっても、リベット230を抜けにくくすることができる。よって、側面パネル220bを樹脂等のより軽量な材料から構成することで側面パネル220bを軽量化できるので、航空コンテナ200全体の軽量化を図ることができる。
【0048】
さらに、リベット230を抜けにくくするための当板を不要として部品点数を削減できるので、航空コンテナ200の製品コストを削減できると共に軽量化を図ることができる。
【0049】
また、当板を不要とすることでリベット230の軸方向の寸法を小さく設定できる。さらに、パネル固着部217の内部空間Sの外方に臨む面と立設部216の内部空間Sの外方に臨む面との段差は、リベット230の軸部材231がパネル固着部217の内部空間Sの外方に臨む面から突き出る突出量よりも大きく形成されているので、軸部材231が立設部216の内部空間Sの外方に臨む面よりも突き出ることを回避できる。よって、立設部216と固定具102との間に、立設部216の外方に臨む面よりも突出する軸部材231の寸法分の領域を確保することを不要とすることができるので、立設部216をより内部空間Sの外方側へ寄せて配置することができ、その分、内部の底面積を確保して、より多くの貨物を載置できるという効果がある。
【0050】
さらに、パネル固着部217の内部空間Sに臨む面と立設部216の内部空間Sに臨む面との段差は、リベット230の頭部232がパネル固着部217の内部空間Sに臨む面から突き出る突出量よりも大きく形成されている。よって、リベット230の頭部232が立設部216の内部空間Sに臨む面よりも内部空間S側に突き出ることを回避できる。よって、内部空間Sに収納される貨物とリベット230とが接触することによる貨物の破損を防止できる。
【0051】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0052】
例えば、上記各実施の形態では、3本の下部フレーム12b,212bが配置され、それら3本の下部フレーム12b,212bのそれぞれに3つの掛止部40が形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、それぞれの下部フレーム12b,212bに形成される掛止部40を2つ以下または4つ以上にしてもよく、また、3本の下部フレーム12b,212bのうち、対向する2本の下部フレーム12b,212bに掛止部40を形成してもよい。それぞれの下部フレーム12b,212bに形成される掛止部40を4つ以上にすることで、緊締部材の端部金具60を掛止する位置についての自由度を大きくすることができる。また、下部フレーム12b,212bに形成される掛止部40を2つ以下にすることで、切欠部41を形成する際の作業コストを抑制できる。さらに、3本の下部フレーム12b,212bのうち、対向する2本の下部フレーム12b,212bに掛止部40を形成することで、切欠部41を形成する際の作業コストを抑制できる。
【0053】
なお、対向する2本の下部フレーム12b,212bのそれぞれに2つ以上の掛止部40を形成する場合には、下部フレーム12b,212bの長手方向一端側に形成される掛止部40および長手方向他端側に形成される掛止部40が、対向する2本の各下部フレーム12b,212bの長手方向における中心を挟んだ両側に形成されると共に、下部フレーム12b,212bの長手方向一端側に形成される掛止部40および長手方向他端側に形成される掛止部40の離間寸法が、フレーム12b,212bの長手方向の寸法の1/2以上に設定されることが望ましい。これにより、貨物を緊締部材により緊締する際に、緊締部材を十字にした状態で貨物を緊締することができるので、掛止部40の数を減らした場合であっても、確実に貨物を緊締することができる。
【0054】
上記各実施の形態では、立設部16,216に凹設される溝部16a,216aが床面101に対して連続的に延設される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、側面パネル20b,220bを立設部16,216に固着するリベット30,230の配設位置および掛止部40が形成される位置に対応して断続的に溝部16a,216aを機械加工により形成してもよい。
【0055】
上記第1実施の形態では、側面パネル20bが立設部16と当板50とに挟まれつつ、立設部16、当板50及び側面パネル20bをリベット30により固着する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、側面パネル20bを立設部16の内部空間Sの外方に臨む面に当接させつつ、リベット30の頭部32を側面パネル20bが配設される側に配設すると共に軸部材31を立設部16側が配設される側に配設した状態で、側面パネル20b及び立設部16をリベット30により固着してもよい。頭部32が側面パネル20b側に配設されると共に軸部材31が立設部16側に配設されることで、側面パネル20bの剛性をより小さくした場合であっても、リベット30を抜けにくくすることができる。よって、側面パネル20bを樹脂等のより軽量な材料から構成することで側面パネル20bを軽量化できるので、航空コンテナ1全体の軽量化を図ることができる。
【0056】
さらに、リベット30を抜けにくくするための当板50を不要として部品点数を削減できるので、航空コンテナ1の製品コストを削減できると共に軽量化を図ることができる。また、不要となった当板50の厚さ寸法分だけ、立設部16を内部空間Sの反対側へ寄せて配置させることができるので、その分、内部の底面積を確保して、より多くの貨物を載置できるという効果がある。
【0057】
上記第2実施の形態では、パネル固着部217の内部空間Sに臨む面は、立設部216の内部空間Sに臨む面よりも内部空間Sの外方側に位置して段状に形成されると共に、その段差は、リベット230の頭部232がパネル固着部217の内部空間Sに臨む面から突き出る突出量よりも大きく形成されている場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、少なくともパネル固着部217の内部空間Sに臨む面が、立設部216の内部空間Sに臨む面よりも内部空間Sの外方側に位置していればよい。これにより、リベット230の頭部232が内部空間S側へ突出する突出量を小さくすることができる。従って、立設部216と固定具102との間に、立設部216の外方に臨む面よりも突出する軸部材231の寸法分の領域を小さくして、立設部216をより内部空間Sの外方側へ寄せて配置することができるので、その分、内部の底面積を確保して、より多くの貨物を載置できるという効果がある。
【0058】
また、上記第2実施の形態では、パネル固着部217の内部空間Sの外方に臨む面は、立設部216の内部空間Sの外方に臨む面よりも内部空間S側に位置して段状に形成されると共に、その段差は、リベット230の軸部材231がパネル固着部内部空間Sの外方に臨む面から突き出る突出量よりも大きく形成されている場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、少なくともパネル固着部217の内部空間Sの外方に臨む面は、立設部216の内部空間Sの外方に臨む面よりも内部空間S側に位置していればよい。これにより、リベット230の軸部材231が内部空間Sの外方へ突出する突出量を小さくすることができる。よって、立設部216を内部空間Sの外方側へ寄せて配置することができるので、その分、内部の底面積を確保して、より多くの貨物を載置できるという効果がある。
【0059】
上記第2実施の形態では、パネル固着部217の内部空間Sに臨む面と立設部216の内部空間Sに臨む面とが段状に形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、パネル固着部217の内部空間Sに臨む面と立設部216の内部空間Sに臨む面とが面一状に形成されてもよい。また、上記第2実施の形態では、パネル固着部217の内部空間Sの外方に臨む面と立設部216の内部空間Sの外方に臨む面とが段状に形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、パネル固着部217の内部空間Sの外方に臨む面と立設部216の内部空間Sの外方に臨む面とが面一状に形成されてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1,200 航空コンテナ
11 連結フレーム
12b,212b 下部フレーム
15,215 基部
16,216 立設部
16a 溝部
217 パネル固着部
20a 上面パネル(パネル)
20b 側面パネル(パネル)
21 底板
30,230 リベット
31,231 軸部材
32,232 頭部
33,233 拡径部
40 掛止部
60 端部金具
102 固定具
S 内部空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間の上面側および側面側に位置するパネルと、前記内部空間の底面側に位置する底板と、前記パネル同士を連結する連結フレームと、前記パネル及び前記底板を連結する下部フレームと、それら連結フレーム及び下部フレームに前記パネル及び前記底板を固着するリベットとを備える航空コンテナにおいて、
前記下部フレームは、前記内部空間側に配置される一側に前記リベットにより前記底板が固着されると共に前記内部空間の外側に配置される他側が航空機に設けられる固定具により係止される基部と、その基部の上面に立設されると共に前記パネルが前記リベットにより固着される立設部とを備え、
前記立設部は、前記内部空間に対向する側の面に形成されると共に前記内部空間に収容された貨物を緊締する緊締部材の端部金具が掛止される掛止部を備えていることを特徴とする航空コンテナ。
【請求項2】
前記側面側に位置するパネルは、前記立設部の前記内部空間に対向する側の面と反対側の面に前記リベットにより固着されていることを特徴とする請求項1記載の航空コンテナ。
【請求項3】
前記立設部は、前記内部空間に対向する側の面に凹設されると共に長手方向に延設される溝状の溝部を備え、
前記側面側に位置するパネルを前記立設部の前記内部空間に対向する側の面と反対側の面に固着する前記リベットは、一部が前記溝部内に収容されていることを特徴とする請求項2記載の航空コンテナ。
【請求項4】
前記下部フレームは、前記立設部の上面側から上方に延設される板状のパネル固着部を備え、
前記側面側に位置するパネルは、前記パネル固着部に前記リベットにより固着されていることを特徴とする請求項1記載の航空コンテナ。
【請求項5】
前記下部フレームは、前記パネルよりも剛性の高い材料から構成され、
前記リベットは、軸状に形成されると共にかしめ加工が施されることで一端側が拡径されて拡径部となる軸部材と、その軸部材の他端側に配設され前記拡径部よりも大きな外径のフランジ状に張出形成される頭部とを備え、
前記リベットは、前記側面側に位置するパネル側に前記頭部が配設されると共に、前記下部フレーム側に前記拡径部が配設されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の航空コンテナ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−20747(P2012−20747A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158024(P2010−158024)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(000004617)日本車輌製造株式会社 (722)
【Fターム(参考)】