説明

航空機から発生する排熱の管理法および同方式の活用を可能ならしめる航空機用冷却装置

【課題】 本発明の目的は、航空機の排熱の管理法であり、
【解決手段】同航空機は、機体(110)および少なくとも1つの推進用集合体(112)を含んでおり、少なくとも1つの同推進用集合体(112)が、機体(110)のレベルに配設してあるタンク(124)から伸びている燃料供給回路(122)を経由して燃料を補給されているターボエンジンを含んでおり、同機体(110)が少なくとも1つの排熱源(134)を含んでいて、ターボエンジン(116)を補給するために使用される燃料を冷却液として利用することによって、機体(110)のレベルに発生する排熱を、少なくとも1つの推進用集合体(112)のレベルで、少なくとも部分的に分散することからなることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機から発生する熱の排出の管理法および同方法の活用を可能ならしめる航空機用冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機は、機体および少なくとも1つの推進用集合体を含んでいる。図1に、10で機体および12で推進用集合体を図式的に示した。
【0003】
機体とは、推進用集合体を除く、広い意味での航空機の全要素、とりわけ胴体、翼、尾翼を指す。
【0004】
広く普及している方式によれば、推進用集合体は、支柱を介して、翼の下に懸架してある。もっと一般的に、推進用集合体は、図1に点線で示したインターフェース14を介して、機体に連結してある。
【0005】
推進用集合体12は、第1のエンジン冷却用回路18を具えており、第1の空気/オイルエンジン熱交換器20を貫流する冷却液、とりわけオイルが、同冷却用回路内を流動する。
【0006】
ターボエンジンは、機体のレベルに設置してあるタンク24から伸びている燃料回路22を介して、燃料を補給されている。
【0007】
場合によって、ターボエンジンのオイルを冷却させるために、例えば第1のエンジン冷却回路18のレベルで、第2のオイル/燃料熱交換装置26を利用し、ターボエンジンのオイルを冷却させるために、燃料を冷却液として利用することによる複数の冷却源を利用できる。
【0008】
補足として、推進用集合体12は、例えばターボエンジンに近接して設置された1または複数の発電機という別の排熱源28を含むことがあり得る。
【0009】
この要素28の機能を最適にするために、第3のエンジン熱交換器32、とりわけオイル/空気熱交換器を貫流する冷却液が中を流動する第2のエンジン冷却回路30を介して、その温度を調節する必要がある。
【0010】
各エンジン冷却回路の特性、すなわち冷却すべき液の特性としての例えば流量、熱交換器の特性としての例えば規模、冷却に利用される液体の特性としての例えば流量は、とりわけ発生源の温度をある程度の閾以下に維持するために、温度の調節の必要性に応じて調整される。
【0011】
第1のエンジン冷却用回路の場合、その必要性は、航空機の機能に応じて異なっており、航空機が地上にあるとき、より大きい。
【0012】
したがって、ターボエンジンに関するエンジンの冷却回路の特性は、航空機が地上にあるときのもっとも大きい制約に応じて決定される。
【0013】
機体10もまた、少なくとも1つの排熱源34を含み、通常、例えば電気付属品34、出力電子系統34’、空気調節系統34’’、航空電子工学34’’’、客設備34’’’’ のような複数の排熱源を含んでいる。この諸要素は、その機能を確立し、動作率を最高に保証するために温度の調節をする必要がある。そのために、少なくとも1つの機体の冷却回路36が予定される。図示の例では、機体は、各回路内を流動する冷却液を冷却させることのできる、それぞれが熱交換装置38、38’を保有している2の機体の冷却回路36、36’を含んでおり、この熱交換装置は、冷却回路内を流動する冷却液を冷却するために空気を利用している。
【0014】
機体の各冷却回路の特性、すなわち冷却すべき液の特性としての例えば流量、熱交換器の特性としての例えば規模、冷却に利用される液体の特性としての例えば流量は、とりわけ発生源の温度をある程度の閾以下に維持するために、温度の調節の必要性に応じて調整される。
【0015】
機体の冷却回路では、この必要性は、航空機の機能に応じて異なっており、航空機が空中を飛行するとき、より大きい。
【0016】
したがって、機体のエンジンの冷却回路の特性は、航空機が空中を飛行するとき、もっとも重要な制約に応じて決定される。
【0017】
推進用集合体と機体のための冷却の必要性が、飛行に応じて異なっていて、同一時に必ずしももっとも制約的でないことが特記される。
【0018】
したがって、熱交換装置38、38’に向かって空気を輸送するために利用される空気管路40は、もっとも制約の著しい飛行段階である上昇、巡航および下降段階のために大きさが決められるが、それは推進用集合体にとってもっとも制約的段階ではない。
【0019】
熱交換装置20、32、38、38’は、冷却回路40内に配設してあるか、または航空機の特定部分の表面、例えば推進用集合体のナセルのレベルに配置してある。ところが航空力学的流れに干渉するので、この熱交換装置は、航空機の航空力学的抵抗に関して、不利益をもたらす。したがって、推進用集合体のエネルギー消費に悪影響を及ぼす。
【0020】
航空機の設計上、機体の構成材と推進用集合体の構成材は、安全を理由に隔離してある。事実、機体のレベルで発生して、推進用集合体の機能を混乱させる故障が絶対に起こり得ないことを確認できなければならない。
【0021】
別の制約では、機体と推進用集合体との間のインターフェースになる支柱は、非常に複雑なユニットであり、その大きさは、航空機の航空力学的特性に対する影響を最小限に縮小するために、できるだけ小型化される。したがって、大きさを変えずに、航空機の航空力学的特性に対して支柱の影響を高めないで、この区域に存在する要素のほかに他の要素を加えることは、殆ど不可能である。なお、このような追加をすれば、推進用集合体の組み立てと分解のプロセスを複雑にする結果をもたらして、航空機の保守に有害になるだろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
したがって、本発明は、航空機の全体的構成を複雑にすることなく、隔離規定を変更させずに航空機の性能を改善することを狙いとする航空機の排熱の管理方式を提案することによって、従来の技術の欠点を排除することを狙いとしている。
【課題を解決するための手段】
【0023】
そのために、本発明は、機体および少なくとも1つの推進用集合体を含む航空機の排熱の管理法を目的としているのであり、少なくとも1つの同推進用集合体は、機体のレベルに設置してあるタンクから伸びている燃料供給回路を経由して燃料を供給されるターボエンジンを含んでおり、同機体は、少なくとも1つの排熱源を含んでおり、ターボエンジンを補給するために利用されている燃料を冷却液として利用することによって、機体のレベルで発生した排熱を1の推進用集合体のレベルで、少なくとも部分的に分散させることからなる点を特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、隔離規定を尊重して、機体と推進用集合体との間のインターフェースを複雑にすることなく、機体と少なくとも1つの推進用集合体との間のレベルに予定されている冷却手段の相互利用を可能にする。この相互利用は、機体のレベル、とりわけ同機体のレベルでの熱交換装置における冷却回路の特性の短縮が可能になり、それによって航空機の航空力学的特性を改善し、エネルギー消費を減少できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
その他の特性と利点は、添付図に照らして、単に例として示した記述に過ぎない本発明の今後の記述で明らかになるだろう。すなわち、
【図1】従来の技術による航空機の冷却装置を示す図である。
【図2】本発明による航空機の冷却装置を示す図である。
【図3】地上における機能位相中の本発明による航空機の冷却装置を示す図である。
【図4】飛行における機能位相中の本発明による航空機の冷却装置を示す図である。
【図5】故障の場合の本発明による航空機の冷却装置を示す図である。
【図6】本発明の別の変形態様による航空機の冷却装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0026】
前記に示したように、航空機は、機体および1または複数の推進用集合体を含んでいる。
【0027】
機体とは、推進用集合体を除く、航空機の広義の全要素、とりわけ胴体、翼、尾翼を指す。
【0028】
図2ないし図6に、機体に対応する航空機の部分を図式的に110で示し、推進用集合体を112で示した。それ以外の推進用集合体は図示していないが、通常、同一である。
【0029】
広く普及している実施態様では、推進用集合体は、支柱を介して、翼の下に懸架されている。しかしながら、本発明は、この実施態様に限定されているのではなく、推進用集合体と機体との連結に関するすべての変形態様に及ぶものとする。この後の記述では、機体110と推進用集合体112との間のインターフェースは、114で表してあり、点線で示してある。
【0030】
従来の技術との共通要素は、図1と同一方法で表してあるが、100が加えてある。
【0031】
推進用集合体112は、第1の空気/オイルエンジン熱交換装置120を貫流する冷却液、とりわけオイルが流動する、第1のエンジン冷却回路118を具えたターボエンジン116を含んでいる。
【0032】
ターボエンジン116と熱交換装置120は、長方形の形で示してあり、当業者に知られているので、これ以上詳述しない。
【0033】
同様に、冷却回路もまた当業者に知られているので、これ以上詳述しない。
【0034】
ターボエンジンは、機体のレベルに設置してあるタンク124から伸びている燃料回路122を介して燃料が補給されている。
【0035】
他の諸要素と同じく、燃料回路とタンクは、当業者に知られているので、これ以上詳述しない。
【0036】
場合によって、ターボエンジン116のオイルを冷却するために少なくとも1つの別の冷却源を利用できる。図示のように、第2のオイル/燃料熱交換装置126が、第1のエンジン冷却回路のレベルに予定してある。この場合、燃料は、ターボエンジン116のオイルを冷却させるために冷却液として利用されている。この機能方式では、燃料の温度は、ターボエンジンの最適機能が得られるために、製造者の推奨と保証の規定に従って、ある程度の閾以下に留まる必要がある。
【0037】
補足として、推進用集合体112は、少なくとも1つの別の排熱源112、例えばターボエンジン118に近接して設置してある1または複数の発電機を含むことができる。
【0038】
この排熱源128の機能を最適にするために、第3のエンジン熱交換装置132、とりわけオイル/空気熱交換装置を貫流する冷却液が流動する第2のエンジン冷却回路130を介して、その温度を調節する必要がある。
【0039】
推進用集合体のレベルに予定してある熱交換装置120と132は、通常、表面型であり、推進用集合体の航空力学的表面のレベル、例えば推進用集合体のナセルの外面のレベルに設置してある。しかしながら、本発明は、この実施態様に限定されていない。したがって、別の変形態様では、熱交換装置は、空気を捕捉するための入り口から空気を押し出すための出口まで伸びている1または複数の管路内に配設できるだろう。どの場合にも、熱交換装置は、空気の流れに干渉して、航空機の航空力学的特性に影響する。
【0040】
ターボエンジンまたは他の排熱源の冷却の必要性は、飛行の段階に応じて異なる。ターボエンジンの場合、航空機が地上にあるとき、その必要性は最大である。したがって、第1のエンジン回路118の特性、とりわけ熱交換装置120の特性は、航空機が地上にあるときに特定され、それは必要性がもっとも大きい飛行段階に対応する。したがって、第1のエンジン回路118、とりわけ熱交換装置120は、飛行の他の段階の間中、特に上昇、巡航および下降の段階に十分に活用されていない。第2のエンジン冷却回路130と熱交換装置132でも同様である。
【0041】
機体110は、少なくとも1つの排熱源134、そして通常、複数の排熱源である電気付属品134、出力電子系統134’、空気調節系統134’’、航空電子工学134’’’、客設備134’’’’を含んでいる。この諸排熱源は例として示したものであり、限定的ではない。
【0042】
排熱源になるこの諸要素は、その機能を確立し、最高の活動を保証するために温度を調節しなければならない。そのために、少なくとも1つの機体冷却回路136が予定されている。図示の例では、機体110は、対応する回路内で流動する冷却液を冷却することのできる、それぞれが少なくとも1つの熱交換装置138、138’を保有している2の機体冷却回路136、136’を含んでいる。
【0043】
1の実施態様では、機体冷却回路136、136’内を流動する冷却液はオイルであり、熱交換装置138、138’は、空気を捕捉するための入り口140.1から空気を押し出すための出口140.2まで伸びている少なくとも1つの管路140内に配設してあるオイル/空気型のプレート式熱交換装置である。しかしながら、本発明は、この実施態様に限定されているのではない。したがって、熱交換装置は、機体の航空力学的面のレベルに配設してある表面型であり得る。配置構成がどのようであっても、熱交換装置は空気の流れに干渉して、航空機の航空力学的特性に影響する。
【0044】
機体の排熱源134の冷却の必要性は、飛行段階に応じて異なる。通常、同排熱源134の必要性は、航空機の飛行中、とりわけ上昇、巡航および下降段階のときにもっとも大きい。
【0045】
従来の技術とは逆に、機体冷却回路136、136’の特性、とりわけ熱交換装置138、138’の特性は、航空機の飛行中では、もっとも大きい必要性に応じて特定されるのではない。
【0046】
本発明では、航空機の排熱の管理法は、ターボエンジン116を補給するために使用する燃料を冷却液として利用して、機体110のレベルで発生した排熱を少なくとも1つの推進用集合体112のレベルで、少なくとも部分的に分散させることからなる。そのために、航空機の冷却装置は、熱を機体冷却回路138の冷却液から燃料の方へ伝達することを可能にする少なくとも1つの機体冷却回路138のレベルにおける少なくとも1つの熱交換装置142を含んでいる。
【0047】
引き続く記述では、熱交換装置142を界面熱交換装置142と呼ぶことにする。好ましい実施態様では、各機体冷却回路138、138’は、界面熱交換装置142、142’を含んでいる。
【0048】
諸図には1の推進用集合体だけを示しているが、本発明は、航空機のすべての推進用集合体に適用できる。したがって、機体に由来する熱量は、複数の推進用集合体で分散でき、それによって各推進用集合体で分散される各熱量を少なくすることができる。
【0049】
他方では、上昇、巡航および下降の諸段階における燃料の消費量は、航空機が地上にいるときよりも明らかに多いので、燃料の温度を過度に上昇させることなく、この諸段階中にもっと大量の熱を分散させることができる。
【0050】
本発明では、航空力学的特性に影響するオイル/空気熱交換装置の大きさ、導管140の大きさ、ならびに同導管内を流動する空気の供給量を減少させることが可能であり、したがって、航空機のエネルギー消費量を減少させられる。他方では、
たとえ界面熱交換装置142が搭乗重量を増加させるにしても、航空機の航空力学的特性の改善によるエネルギー消費に関する利益は、この搭乗重量の増加による損失よりも著しく大きい。
【0051】
本発明の別の利点として、機体と推進用集合体との間に流体の新たな回路の予定がひとつもないので、隔離の原則を尊重でき、機体と推進用集合体との間のインターフェースを複雑にすることがない。
【0052】
本発明では、燃料の温度がターボエンジン114のレベルで、ある閾を超えることがないように、エンジン冷却回路116は、熱を燃料からエンジン冷却回路116の冷却液の方向に移動させることによって燃料を冷却させられるオイル/燃料熱交換装置120を含んでいる。したがって、従来の技術による用法とは逆に、熱交換装置120は、回路の冷却液から燃料への熱の移動だけを確立するのではなく、飛行の若干の段階のときに、燃料から冷却回路の冷却液への熱の移動を確立する。エンジン冷却回路116の冷却液に捕捉された熱量は、次に熱交換装置120内で分散されるが、従来の技術では、飛行段階、とりわけ上昇、巡航および下降段階中に十分に活用されていない。
【0053】
1の変形態様では、他のエンジン冷却回路130 は、燃料からエンジン冷却回路130への熱量の移動を確立するためのオイル燃料型熱交換装置144を含むことがあり得るが、従来の技術では、同熱交換装置は、飛行段階、とりわけ上昇、巡航および下降段階中に十分に活用されていない。航空機の航空力学的特性に影響しない熱交換装置の付加は、搭乗重量が増加しても、航空機の消費を全体的に減少させることを可能にする。
【0054】
したがって、本発明では、機体および推進用集合体の冷却に使用する熱交換装置を相互利用し、相互に協同作用を作り出すことが可能であり、それによってその大きさ、とりわけ機体のレベルに配設してある同熱交換装置の大きさを最適にすることができ、機体のレベルに配設してある同熱交換装置で分散できなかった熱量の部分は、ターボエンジンおよび/または推進用集合体のレベルに配設してある熱交換装置内で分散される。この解決法は、推進用集合体のレベルに予定してある熱交換装置の効率も最適にすることができるのであり、推進用集合体は、飛行の段階(上昇、巡航および下降)のときに、燃料の熱を捕捉し、分散するのに、従来の技術による場合以上に利用されるからである。
【0055】
エネルギーの消費に関して利益をもたらすこの配置構成は、機体と推進用集合体との間の隔離規定を尊重し、機体と推進用集合体との間に新たな回路がひとつも予定されていないので、機体と推進用集合体との間のインターフェースを複雑にすることがない。
【0056】
このような相互利用は、電気圧縮機を使用する空気調節で、その電気機械とそれに配設してある、冷却を必要とする出力電子機器および捕捉した熱力を排除しなければならない熱ポンプを予定している、「より電化した」と言われる航空機工学の範囲内では特に関心に値する。
【0057】
今度は、図3から図5までに照らして、機能原理を記すことにする。
【0058】
図3では、冷却装置は、航空機が地上にある場合を示しておいた。
【0059】
各推進用集合体の冷却能力全体が利用されて、地上におけるこの飛行段階は、推進用集合体の冷却回路の寸法決定点に対応する。
【0060】
この飛行段階中では、機体の設備で生ずる熱量全体は、機体の冷却用管路140内に位置づけてある熱交換装置138と138’内で、機体のレベルで分散される。
【0061】
界面熱交換装置142、142’は活性化していない。
【0062】
図4では、冷却装置は、航空機が飛行中にある場合が示してある。
【0063】
熱交換装置120、ならびに場合によって熱交換装置132は、この飛行段階のために対応されていないので、推進用集合体のレベルで未利用の冷却能力が存在している。この飛行段階では、熱交換装置142、142’は活性である。したがって、機体冷却回路136、136’のある程度の熱量は、燃料によって、同熱交換装置142、142’のレベルで捕捉される。
【0064】
この燃料は、この熱量を推進用集合体のレベルまで搬送し、この熱量は、ターボエンジン116のレベルで分散および/または熱交換装置126および場合によって熱交換装置144のレベルで冷却液に捕捉されて、熱交換装置120および場合によって熱交換装置132のレベルで分散され、同両熱交換装置は最適な方法で利用されて、それによって機体のレベルで熱の分散の必要が縮小でき、航空機の構造、とりわけ機体/推進用集合体インターフェースのレベルでの構造を本質的に変えることなく、航空機の航空力学的特性を向上させると共に、航空機のエネルギーの消費を減少させながら、熱交換装置138と138’の大きさを縮小させることに役立つ。
【0065】
熱交換装置120と132は、ターボエンジン116に補給される燃料の温度を制限することを可能にする。
【0066】
図5には、地上または飛行中の飛行段階間の故障の場合の本装置を示した。
【0067】
冷却装置は、その良好な機能、とりわけターボエンジン内に受け入れられる前に燃料を冷却するエンジン冷却回路の能力を確認できるための測定と調節手段を含んでいる。
【0068】
したがって、推進用集合体の冷却能力を損なう機能低下が発生すると、測定と調節手段は、界面熱交換装置142、142’の活動を直ちに停止させて、機体冷却回路の燃料回路122を隔離する。したがって、燃料に向かう熱の移動は停止する。この場合、機体のレベルにおける排熱は、例えば空気調節の強さを制限したり、客設備の電気の消費を制限したり、などによって機体の諸システムを低下させることによって、機体の冷却能力を最大限の必要性以下に制限しなければならない。
【0069】
図6には、本発明の1の変形態様を示した。前期に示した諸変形態様では、燃料が搬送できる熱量は、燃料が許容できる最高温度によって限られており(保証規定とエンジンの限界で義務づけられている)、ならびに推進用集合体の燃料消費に関連した燃料の流量に限定されている。図6に示した変形態様では、ターボエンジンに必要な量以上の燃料の量をタンクの方に送り返すことを可能にする、タンク124に向かう燃料の返送回路146で、燃料の流量を増加させることによって、燃料が搬送する熱量を増加させることができる。
【0070】
この返送回路146は、ポンプ輸送手段、ろ過手段お流量調節手段を含むことができる。
【0071】
この実施態様によれば、熱量は限定される必要がなくなる。
【符号の説明】
【0072】
110.機体
112.推進用集合体
114.インターフェース
116.ターボエンジン
118.第1のエンジン回路
120.空気/オイルエンジン熱交換装置
122.燃料補給回路
124.タンク
126.第2のオイル/燃料熱交換装置
128.排熱源
130.第2のエンジン冷却回路
132.第3のエンジン熱交換装置
134’.電気付属品134出力電子系統
134’’.空気調節系統
134’’’.航空電子工学
134’’’’.客設備
136.機体冷却回路
136’.機体冷却回路
138.熱交換装置
138’.熱交換装置
140.1.入り口
140.2.出口
142.界面熱交換装置
144.熱交換装置
146.返送回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体(110)および少なくとも1つの推進用集合体(112)を含む航空機の排熱の管理法であり、少なくとも1つの同推進用集合体(112)が、一方では、機体(110)のレベルに配設してあるタンク(124)から伸びている、燃料の補給回路(122)を経由して、燃料を補給されているターボエンジン(116)、および他方では、カロリーを排除するための第1のエンジン熱交換装置(120、132)を含む、少なくとも1つのエンジン冷却回路(118、130)を含んでおり、同機体(110)が少なくとも1つの排熱源(134)を含んでおり、ターボエンジン(116)を補給するために使用される燃料が、機体(110)のレベルで発生した排熱を少なくとも1つの推進用集合体(112)のレベルで少なくとも部分的に分散するために冷却液として利用され、燃料によって搬送される熱量の少なくとも一部が、少なくとも1つの同エンジン冷却回路(118、130)の冷却液に捕捉されて、ターボエンジン(116)を補給する燃料の温度をある閾以下に維持するために、第1のエンジン熱交換装置(120、132)によって分散されることを特徴とする管理法。
【請求項2】
ターボエンジンを補給する燃料の流量を増加させることによって、燃料が搬送する熱量を増加させることを特徴とする、請求項1による航空機の排熱の管理法。
【請求項3】
請求項1または請求項2による方式の使用を可能にする航空機の冷却装置であり、
同航空機が機体(110)および少なくとも1つの推進用集合体を含んでおり、少なくとも1つの同推進用集合体(112)が、一方では、機体(110)のレベルに配設してあるタンク(124)から伸びている、燃料の補給回路(122)を経由して燃料を補給されているターボエンジン(116)および他方では、カロリーを排除するために、第1のエンジン熱交換装置(120、132)を含んでおり、同機体(110)が、少なくとも1つの排熱源(134)、ならびに熱量を少なくとも1つの推進用集合体まで燃料の方向に搬送して、そこで分散される同熱量が、流動する冷却液の熱量の一部を移動させることのできる、第1の熱交換装置(138)および少なくとも1つの第2の熱交換装置(142)を保有している、少なくとも1つの機体冷却回路(136)を含んでおり、燃料に搬送される熱量の少なくとも一部が、なくとも1のエンジン冷却回路(118)の冷却液に捕捉されて、第1のエンジン熱交換器(120、132)で分散されるように、第2の熱交換装置(126、144)を、少なくとも1つのエンジン冷却回路(118、130)のレベルに含んでいることを特徴としている冷却装置。
【請求項4】
エンジン冷却回路(118、130)のレベルで機能低下を検出できて、少なくとも1つの同機体冷却回路(136、136’)の燃料を隔離できる、測定と調節手段を含むことを特徴とする、請求項3による航空機の冷却装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4による冷却装置を含む航空機。
【請求項6】
推進用集合体に向かって輸送される燃料の流量および同燃料に搬送される熱量を増加できる、少なくとも1つの同推進用集合体に使用されていない燃料のタンク(124)に向かう戻り回路(146)を含むことを特徴とする、請求項5による航空機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−502878(P2011−502878A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533642(P2010−533642)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【国際出願番号】PCT/FR2008/052028
【国際公開番号】WO2009/068807
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(509323440)エアバス オペレイションズ エスエーエス (13)
【出願人】(508186989)エアーバス ドイチュランド ゲーエムベーハー (2)