説明

航空機のエンジンを固定するための支柱

本発明は航空機のエンジン(2)ためのエンジンマウント(4)であって、前部閉鎖リブ(36)によって前端部を閉鎖されたボックスを形成している剛体構造(10)を具備したエンジンマウントと、特に前記剛体構造(10)に固定的に組み付けられた取り付けボディ(46)を備えた前部エンジン取り付け部品(6)を具備しているエンジン組み付けシステム(11)とに関する。本発明によれば、取り付けボディ(46)は前面(38)に対向して配置され、エンジンマウント(4)は少なくとも1つのシェアピン(68)を具備し、シェアピンは取り付けボディ(46)と前部閉鎖リブ(36)とを少なくとも部分的に貫通している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全体的に航空機のエンジンアセンブリに関するものであり、そのアセンブリはエンジンおよびエンジンを固定するためのパイロンを具備し、特に、複数のエンジン取り付け部品を具備したエンジン組み付けシステムを備え、パイロンの剛体構造とエンジンとの間に配置されるものである。
【0002】
本発明は、航空機エンジンのための前記パイロンにも関する。
【0003】
本発明はターボジェットエンジン、または例えばターボプロペラエンジンが搭載された任意のタイプの航空機に使用されることが可能である。
【0004】
≪EMS≫(エンジン組み付け構造)とも称されるこの固定パイロンは、航空機の翼の下にターボジェットエンジンを懸架し、または例えばこの同一の翼の上にこのターボジェットエンジンを組み付けることを可能にしている。
【背景技術】
【0005】
前記エンジンマウントは、ターボジェットエンジンのようなエンジンと航空機の翼との間の接続インターフェイスを形成することを意図している。それは関連付けられたターボジェットエンジンによって発生される負荷を航空機のフレームに移送することを可能にし、燃料、電気および油圧システムおよびエンジンと航空機との間の空気の経路も提供している。
【0006】
負荷の伝達を確実にするために、エンジンマウントは剛体構造を具備し、その構造は頻繁に≪ボックス≫タイプとされており、すなわち、上部および下部スパーと2つのサイドパネルとを、リブを介して一体に組み立てることによって形成されている。このボックスは前部および後部を、それぞれ前部閉鎖リブおよび後部閉鎖リブによって閉鎖されている。
【0007】
また、そのエンジンマウントは、ターボジェットエンジンとエンジンマウントの剛体構造との間に配置されたエンジン組み付けシステムを備え、このシステムは全体的に少なくとも2つのエンジン取り付け部品を具備しており、それらは一般的に1つが前部取り付け部品であり、もう1つが後部取り付け部品である。
【0008】
さらに、その組み付けシステムは、ターボジェットエンジンによって発生される推進力負荷を移送するためのスラストマウント装置を具備している。従来技術において、この装置は2つのサイドリンク形状であり、例えば、第1にターボジェットエンジンのファンケースの後部に接続され、第2にエンジンケースに固定された後部エンジン取り付け部品に接続されている。
【0009】
それに類似して、エンジンマウントは、このエンジンマウントの剛体構造と航空機の翼との間に配置された第2の組み付けシステムも具備し、この第2のシステムは、通常は2つまたは3つの取り付け部品から成る。
【0010】
最終的に、エンジンマウントには、異なったシステムを分離および支持し、一方で航空力学的カウリングを担持するための第2の構造が設けられている。
【0011】
従来技術によるある実施形態において、エンジン組み付けシステムは、エンジンファンケースに固定的に取り付けられることからファン取り付け部品と称される前部取り付け部品を具備し、その部品は剛体構造の水平接触面に対向して配置される水平接触面を備えた取り付けボディを具備し、これらの接触面は固定面とも称される。したがって、これら2つの面によって形成された水平固定界面は、エンジンマウントの長手方向および横方向によって画定された面に沿って延在し、エンジンが航空機の翼の下に懸架された場合に、一般的にボックスの下部スパーの外側面に配置される。前部エンジン取り付け部品のための取り付けボディは、一般的にボックスの下部スパーに固定され、その下に配置される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
この配置は無視できない欠点を備えており、すなわち、取り付けボディの全体がボックスから下方に突出し、剛体構造をエンジンファンケース上に配置させることになり、その結果エンジンマウントの高さを高くしている。このことは、航空力学的障害に関して相当な不利益となり、航空機の性能レベルにおける損失として明白に見て取れる。この観点において、そのような損失は取り付けボディの寸法が大きくなることに依存する相対的な結果であり、エンジンマウントの剛体構造の方向においてエンジンが発生した負荷の伝達を確実にする必要性によって強いられている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明の目的は、従来技術に関連した上述の欠点を克服した航空機のエンジンマウントを提案することであり、そのエンジンマウントが設けられたエンジンアセンブリを提起することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、このエンジンマウントの剛体構造にエンジンを組み付けるための方法を提案することである。
【0015】
この目的のために、本発明の主題は、閉鎖リブによって前端部を閉鎖されたボックスを形成している剛体構造と、剛体構造に固定的に組み付けられて、明らかに剛体構造に固定的に組み付けられた取り付けボディが設けられた前部エンジン取り付け部品を具備しているエンジン組み付けシステムと、を具備した航空機のエンジンためのエンジンマウントである。本発明によると、前部エンジン取り付け部品の取り付けボディは、ボックスの前部閉鎖リブの前面に対向して配置されている。さらに、前部エンジン取り付け部品は少なくとも1つのシェアピンを具備し、そのシェアピンは取り付けボディと前部閉鎖リブとを少なくとも部分的に貫通している。
【0016】
エンジンマウントは従来技術において見られるエンジンマウントに比較して改良されているということは、上述の本発明の定義から有利に生じており、前部エンジン取り付け部品の取り付けボディはもはやボックスの下部スパーと前部閉鎖リブとの下に配置されるのではなく、その閉鎖リブの前方に配置される。したがって、エンジンマウントが航空機の翼の下にエンジンの懸架を確実にする意図があれば、提案された配置は、取り付けボディがボックスの下部スパーの上に少なくとも部分的に配置されることを大まかに可能にし、その一方で、従来技術においては、この同じボディはこの同じ下部スパーの上のみおよび後のみで下方に延在している。
【0017】
したがって、その形態は明らかにボックスの下部スパーの下に、より多くの空間を造り出し、これによって前部エンジン取り付け部品上の航空力学的障害を減少させる。同じサイズの取り付けボディに関して、発生した障害は、これまでに遭遇したよりもこのことによって有利に低下する。
【0018】
それに加えて、再度好適な場合において、エンジンマウントが航空機の翼の下に懸架されたとき、前部取り付け部品の取り付けボディは起き上がり、そのことは関連付けられたエンジンの下の地面とのクリアランスは、増加させることが可能である。
【0019】
前部閉鎖リブの前面に対向して、すなわち通常は垂直に向けられた外側面に対向して配置する、取り付けボディの突起部を形成することによって、これらの2つの部材の間で直接的に接触するための突起部を形成することを必ずしも必要としない。
【0020】
それにもかかわらず、取り付けボディは、前部閉鎖リブの前面に属する剛体構造の前部接触面と接触する、後部接触面を具備することを好適に提供されている。したがって、取り付けボディとリブとは互いに対向して平坦に配置され、個々の接触面を介して接触している。
【0021】
また、本発明によれば、前部エンジン取り付け部品は少なくとも1つのシェアピンを具備し、シェアピンは取り付けボディと前部閉鎖リブとを少なくとも部分的に貫通している。言い換えると、取り付けボディと前部閉鎖リブとによって形成された2つの部材のそれぞれは、それぞれのシェアピンによって少なくとも部分的に交差されている。
【0022】
それに加えて、前部エンジン取り付け部品は、前部閉鎖リブに取り付けボディを固定することを確実にするための複数のテンションボルトを好適に具備しており、これらのボルトは、特に使用されるシェアピンのサイズを限定することを可能にしている。
【0023】
好適に、それぞれのシェアピンは、エンジンマウントのほぼ長手方向に沿って向けられており、この配置は、エンジンマウントの横方向および垂直方向においてかけられた負荷の伝達を確実にするのに完全に適している。したがって、好適な実施例として、突起部が2つのシェアピンのために合計で2つ形成され、それらはエンジンマウントの横方向に沿って離間されている。
【0024】
一般的に、ピンは前部閉鎖リブと直交して配置され、このリブは好適に垂直に配置され、すなわち、エンジンマウントの横方向および垂直方向によって画定された平面内に配置されているということが、好適に保証されている。
【0025】
それにもかかわらず、本発明は、前部閉鎖リブが垂直方向に対して角度を持って配置され、その一方で、横方向に平行にとどまっている場合もカバーしている。
【0026】
好適に、前部エンジン取り付け部品は、エンジンマウントの横方向と垂直方向とにかけられた負荷の移送を確実にするようにデザインされており、且つエンジンマウントの長手方向にかけられたモーメントの移送を確実にするようにデザインされている。
【0027】
また、エンジン組み付けシステムは、スラストマウント装置と、エンジンマウントの横方向と垂直方向とにかけられた負荷の移送を確実にするようにデザインされている後部エンジン取り付け部品と、を具備した好適な平衡システムである。
【0028】
本発明のさらなる主題は、これまでに記載されたようなエンジンマウントと、このエンジンマウントに固定されたエンジンとを具備した航空機エンジンアセンブリである。
【0029】
本発明の最後の目的は、上述のようなエンジンマウントの剛体構造に航空機のエンジンを組み付けるための方法である。その方法は、剛体構造の前部閉鎖リブに、エンジンケースに事前に組み付けられた前部エンジン取り付け部品の取り付けボディを固定する固定ステップを含み、取り付けボディは、取り付けボディに形成された第1の一次開口部と、前部閉鎖リブに形成された第2の一次開口部とを貫通した少なくとも1つのシェアピンを通して、前部閉鎖リブに固定されるように意図されており、前部閉鎖リブに取り付けボディを固定するための固定ステップは、
− 第1の一次開口部を第2の一次開口部に対向して配置するために、エンジンをエンジンマウントに対して仮位置決めする作業と、
− 凸状のセンタリングヘッドが取り付けられたピンを、対向して面した2つの一次開口部を貫通して挿入し、凸状のセンタリングヘッドが取り付けられ且つ2つの一次開口部に収容されたピンがシェアピンを形成するようにする作業と、の連続した作業を含んでいる。
【0030】
したがって、すでに上述されているように、明らかに本発明の目的は、前方に向けられた接触面を備えた剛体構造を使用するという観点を特に有し、接触面が剛体構造に設けられ、この同じ剛体構造の下で水平に向けられた前部取り付け部品の取り付けボディを受容することを意図している従来技術による実施形態とは異なっている。
【0031】
結果的に、ボックスの前部閉鎖リブに属し、したがってほぼ垂直に向けられることが可能なこの接触面の特別な配置によって、例えば、その面はエンジンマウントの横方向と垂直方向とによって定義された平面であり、またはその面は垂直方向に対してわずかに角度を有しており、その一方で横方向に平行であるが、剛体構造の取り付けボディのアセンブリを確実にすることを意図した固定部材を操作するための近接性における改良を有利に得られる。このボディはボックス形状の剛体構造の前部閉鎖リブの前面に、有利に固定されることを効果的に提供されている。剛体構造全体が固定界面に対して後方に向けては位置されるため、作業者は、このことによって、取り付けボディの固定を達成するために使用される異なった部品の運搬を大いに促進する、この界面の前方の自由な空間の利得を有する。
【0032】
エンジンの仮位置決め作業は、2つの一次開口部が仮センタリングされる、すなわち、これらの同じ一次開口部内にピンを挿入する作業を開始する前にそれらが大まかに整列されるようにして実施され、それはエンジンマウントに向かってかけられたエンジン負荷の移送を確実にするためのシェアピンを形成することを意図している。
【0033】
次に、このピンの挿入作業は、一次開口部内にピンを挿入することへと続き、このピンには凸状のセンタリングヘッドが設けられている。そのヘッドの機能は、ピンが挿入される間、2つの一次開口部の間で大まかな配置を徐々に修正し、これらの2つの開口部の完全な配置にすることである。
【0034】
明らかに、剛体構造に対するエンジンの仮位置決めは十分に精密に行われ、凸状のヘッドを備えたピンは連続的に第1の一次開口部に続いて第2の一次開口部に入ることが可能であるということを記しておく。またはその反対に、エンジンに関連付けられたほぼ垂直方向の負荷にもかかわらず、エンジンと剛体構造との間の相対移動として移送する、配列の連続的な修正を発生することによって行われる。
【0035】
最終的に、一旦ピンの挿入作業が完了すると、このピンは恒久的に2つの一次開口部内にとどまり、取り付けボディと剛体構造との間でシェアピンを形成することを意図しているということが示されている。したがって、本発明の特別な観点の1つは、第1に好適にオリーブ形状とされた凸状のセンタリングヘッドは、完全な配置が達成されるまで一次開口部の連続的な整列を確実にする組み付け作業の間に使用されることであり、次に、エンジンが操作されているときに、剛体構造に向かう負荷を移送するためのシェアピンの一部を形成するために使用されることである。
【0036】
好適に、複数のシェアピンが取り付けボディと剛体構造との間に設けられ、凸状のセンタリングヘッドを備えたピンの挿入作業は、シェアピンの数と同じ回数だけ繰り返される。そのような場合、エンジンの仮位置決め作業の開始は、個々に関連付けられた第2の二次開口部に対向して全ての第1の一次開口部を配置することで実施される。
【0037】
好適に、この仮位置決め作業は、
− 取り付けボディに形成された第1の二次開口部と、前部閉鎖リブに形成された第2の二次開口部と、を貫通して第1のサポートピンを挿入することを可能にし、且つ同様に取り付けボディに形成された第1の二次開口部と、前部閉鎖リブに形成された第2の二次開口部と、を貫通して第2のサポートピンを挿入することを可能にするために、エンジンをエンジンマウントに接近させる作業と、
− 関連付けられたサポートピンに対して、取り付けボディの2つの第1の二次開口部のそれぞれの上部の間で支持が得られるまでエンジンを下降させる作業と、から成る。
【0038】
したがって、インデックスサポートとも称されるこれらのサポートピンの仮位置決めは、エンジンマウントに対して最終的な位置のわずかに下にエンジンを維持することを確実にしており、この位置は、その後に一次開口部内に凸状のヘッドを備えたセンタリングピンを挿入するために、完全に好ましいことである。
【0039】
好適に、それぞれの凸状のヘッドを備えたセンタリングピンが所定の位置に配置された後、これらのサポートピンは好適な除去工具を使用して二次開口部から除去される。この暗視区は、有利な場合においては、上述の二次開口部はその後≪フェイルセーフ≫と称されるシェアピンを受容することを意図され、サポートピンのこの除去は、2つのフェイルセーフシェアピンを同じ二次開口部を貫通して挿入することによって続けられるということを記しておく。
【0040】
本発明の他の利点および特徴は、以下に与えられた限定的でない実施例、詳細な記載においてより明らかにされるだろう。
【0041】
この記載は、添付の図を参照するとともに行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
図1を参照すると、航空機エンジンアセンブリ1は、この航空機の翼3の下に懸架されることを目的としていることが見られ、本発明の主題であるこのアセンブリ1には、本発明の好適な実施形態の形状のエンジンマウント4が設けられている。
【0043】
全体的に、エンジンアセンブリ1はターボジェットエンジン2のようなエンジンとエンジンマウント4とを具備し、そのマウントには特に剛体構造10とエンジン組み付けシステム11とが設けられ、エンジン組み付けシステム11は複数のエンジン取り付け部品6,8と、ターボジェットエンジン2によって発生される推進力負荷を移送するためのスラストマウント9とを含み、したがって組み付けシステム11は、エンジンと上述の剛体構造10との間に配置されている。目安として、アセンブリ1は積荷室(図示略)によって包囲されエンジンマウント4は別のシリーズの取り付け部品(図示略)を具備して、航空機の翼の下にこのアセンブリ1を懸架することを確定するということを意図していることを記しておく。
【0044】
この記載の残りの部分においては、慣例的にXはエンジンマウント4の長手方向を画定し、その方向はターボジェットエンジンの中心軸方向に例えられることが可能であり、このX方向はこのターボジェットエンジン2の長手軸5に平行である。また、Yはエンジンマウント4の横方向を向いた方向を画定し、その方向はターボジェットエンジン2の横方向と同等である。Zは垂直方向または高さ方向を画定し、これら3つの方向X,YおよびZは互いに直交している。
【0045】
また、≪前方≫および≪後方≫との語句は、ターボジェットエンジン2によって推進力がかけられた後の航空機の進行方向に関連して考慮されており、この方向は矢印7によって概略的に図示されている。
【0046】
図1において、スラストマウント装置9、エンジン取り付け部品6,8およびエンジンマウント4の剛体構造10のみが見られている。航空機の翼の下に剛体構造を固定するための部材、または異なったシステムおよび分離且つ懸架するための二次構造ならびに航空力学的カウリングを担持するための二次構造のようなエンジンマウント4のその他の構成部品は、従来の部品と同一または類似したものであり、それらは当業者には周知の部品である。したがって、さらに詳細な記載は、ここでは行われない。
【0047】
ターボジェットエンジン2には、環状のファンダクト14を画定している大径のファンケース12が前方に設けられ、後方に向かって、このターボジェットエンジン2の中心を包囲している、より小径の中心ケース16を具備している。最終的に、中心ケース16は、ケース16よりも大径の排気ケース17によって後方に向かって延伸されている。ケース12,16および17は明確に互いに固定されている。
【0048】
図1に見られるように、複数のエンジン取り付け部品は前部エンジン取り付け部品6と後部エンジン取り付け部品8とから成る。スラストマウント装置9は2つのサイドリンク形状であり、例えば(側面図のため一方のみが見えているが)、第1にファンケース12の後部に接続され、第2にイーブナーバー(evener bar)に接続され、イーブナーバー自身は後部エンジン取り付け部品8に組み付けられている。
【0049】
前部エンジン取り付け部品6は、本発明に特有の配置が以下に記載されているが、ファンケース12に固定されており、ターボジェットエンジン2によって発生された負荷をYおよびZ方向に移送することが可能であるようにデザインされている。目安として、この前部エンジン取り付け部品6は、ファンケース12の外周の端部内に好適に入り込んでいる。
【0050】
後部エンジン取り付け部品8は、全体的に排気ケース17とエンジンマウントの剛体構造10との間に配置されている。それは従来のデザインであり、ターボジェットエンジン2によって発生された負荷をYおよびZ方向に移送することが可能であるようにデザインされているが、X方向にかけられた負荷を移送しない。
【0051】
この様式において、平衡型の組み付けシステム11を伴うことで、図2に概略的に図示されているように、X方向にかけられた負荷の移送はスラストマウント装置9を介して行われ、Y方向にかけられた負荷の移送は前部エンジン取り付け部品6と後部エンジン取り付け部品8とを介して達成され、Z方向にかけられた負荷の移送もエンジン取り付け部品6および8を介して達成される。加えて、X方向に沿ってかけられたモーメントの移送は前部エンジン取り付け部品6を介して垂直的に行われ、Y方向に沿ってかけられたモーメントの移送は取り付け部品8と共同して前部エンジン取り付け部品6を介して得られ、Z方向に沿ってかけられたモーメントの移送も取り付け部品6と取り付け部品8とを介して得られる。
【0052】
さらに図1を参照すると、剛体構造10はX方向に延在したボックス形状であることがわかりこのボックスはトルクボックスとも称される。それは従来どおりの上部スパー26、下部スパー28およびサイドパネル30(図1ではこれのみが見られている)で形成されており、X方向におよびほぼXZ平面にそって延在している。このボックスの内部には、YZ平面に沿って配置され且つ長手方向に離間された横リブ32が、ボックスの剛性を補強している。目安として、部材26,28および30は単一構造として製造されることも可能であり、または結合セクションのアセンブリによって製造されることも可能であり、付加的に互いにわずかに角度を持って配置されてもよいということを記しておく。さらに、上述の横リブ間のうちで、ボックスの前部閉鎖リブ36およびボックスの後部閉鎖リブ37が存在し、これらのリブはボックスの端部に配置されて、したがって全体的にYZ平面に沿って配置されている。
【0053】
翼3の下に懸架されることを目的としたエンジン2のケースが図示された図1を再度参照すると、突起部が構造10の前部閉鎖リブ36に形成されており、前部エンジン取り付け部品6の取り付けボディのための前方支持部として作用している。より具体的には、リブ36はYZ平面に沿った前面38または外側面を全体的に備えているが、特にこの同一の取り付けボディが配置されることを意図しているのに対して突起を形成するために、場合によっては複雑な幾何学形状となっている。
【0054】
この前面38の一部分は前部接触面(参照符号略)または前部固定面を形成し、前部取り付け部品6の取り付けボディに属する後部接触面(図示略)または後部固定面に対向し、または接触することを好適に提供している。
【0055】
したがって、取り付けボディのこの特別な配置を伴って、前部閉鎖リブ36と前部取り付け部品6のこと同一の取り付けボディとの部分的な重なりをZ方向において得ることが可能であり、それは全体的に前部エンジン取り付けアセンブリを備えた構造10の小型化を可能にし、これによってエンジン積荷室上のエンジンマウントによって形成された突起部を減少させ、航空力学的な障害を減少させている。
【0056】
エンジンマウント4の前部をより詳細に示した図3をここで参照すると、X方向に平行な垂直中立面Pはこの同一のエンジンマウントに関する対称面を形成しており、したがって、前部エンジン取り付け部品6はYZ平面に沿って横方向に向けられたブラケット形状の取り付けボディ46を具備しており、剛体構造10に固定されて、閉鎖リブ36の前面に対向して配置されていることがわかる。
【0057】
このアセンブリを確定するために、取り付け部品6は複数のテンションボルト52(1つのみが図示されている)を具備していてもよく、これらのテンションボルトはX方向に沿って向けられて、開口部54を貫通してボディ46とリブ36とを通している。
【0058】
また、取り付け部品6はアクティブシェアピンとも呼ばれる2つのシェアピン(図3には示されていない)を付加的に具備してもよく、それらのピンは面Pに関して対称に配置され、好適にX方向に沿って向けられている。それぞれのシェアピンはボディ46に形成された第1の一次開口部56と、リブ36に形成されてX方向において開口部56と整列された第2の一次開口部58とを貫通している。
【0059】
取り付けボディ46の2つの側の端部において、前部エンジン取り付け部品6は2つのクレビスを備え、そのクレビスにおいては2つのシャックル/リンク50が回動可能とされており、それぞれのシャックル/リンクは前部取り付け部に関してせみアタッチメントを形成し、そこを介してZ方向に沿ってかけられた負荷が移送可能とされている。当業者には周知であるように、これらのシャックル50はクレビスの他の端部においての回動可能であり、そのクレビスも前部取り付け部品6に属しており、エンジンケース2に固定的して取り付けられている。
【0060】
上述のデザインを伴うことで、この前部取り付け部はYおよびZ方向に沿ってかけられた負荷の移送を確実にするように完全に適合しており、X方向に沿ってかけられたモーメントの移送も確実にしているということが理解される。
【0061】
この観点において、上述のそれぞれの一次開口部56,58の2つのグループは、ボディ46とリブ36とに個々に設けられた二次開口部60,62のグループと関連付けられ、二次開口部のそれぞれのグループはフェイルセーフシェアピン(図示略)を収容するようにデザインされている。第1の二次開口部60と第2の二次開口部62とにそれぞれフェイルセーフシェアピンを組み付けることは径方向のクリアランスを残しており、通常状態においてそこを介して負荷が移送されることはなく、このピンが関連付けられたメインシェアピンが破損した場合に、このピンは新たな負荷の経路を提供することが可能となる。
【0062】
既知の様式において、1つの代替的な実施形態は、2つのシェアピンがフェイルセーフ機能を統合するようにデザインされることを提供することから成り、二次ピンおよび二次開口部60,62を設ける必要を排除しているということを記しておく。
【0063】
再度目安として、フェイルセーフ機能は取り付けボディ46とエンジンケースとの間に連結されることによっても確定され、そこではフェイルセーフピンはボディ46の下側中央部66においてクリアランスを持って組み付けられている。
【0064】
ボックスの前部閉鎖リブ36を示した図4をここで参照すると、このリブの前面38は全体的にYZ平面沿って向けられているが、実際には前方に突出した突起部を好適に備えている。また、リブ36は4つのフィン69を備えており、このフィンはスパー26,28と2つのサイドパネルとに固定されるために使用されることを意図している。
【0065】
上述の突起部はリブ36の一部に好適に配置され、開口部54,58,62を画定して、ボルト52、シェアピン68、およびフェイルセーフピン70を収容する。また、これらの突起部の最前部において、前面38は前部接触面72を画定し、その接触面は取り付けボディ46の後部接触面に対向して配置され、且つ接触することを意図されている。図4においてクロスハッチングされたこの接触面72または固定面はYZ平面に沿って好適に向けられ、これによって上述の開口部54,58,62の輪郭において全体的に配置されている。
【0066】
図3において参照符号≪74≫で示されたボディ46の後部接触面または固定面が面72と合致する形状を好適に備え、それによって面72のように好適に同一のYZ平面に沿ってほぼ向けられているということは、明らかに好ましいことである。
【0067】
ここで図5a〜5hを参照すると、本発明の好適な一実施形態に従って、エンジン2をエンジンマウント4に組み付ける方法を記載しており、より具体的にはボックス10の前部閉鎖リブ36に前部取り付け部品6の取り付けボディ46を固定するための固定ステップを記載している。
【0068】
この固定ステップに入る以前に、エンジン2は取り付けボディ46を坦持し、特にファンケース上で回動されるシャックル/リンク50を介して担持されることを、図5aは示している。それに加えて、エンジンはいわゆる垂直または直立位置で静止し、エンジン取り付けボディ46はエンジンの上方に位置する一方で、エンジンマウント4はエンジン2の上方の任意の位置に配置される。
【0069】
従来どおりの持ち上げ手段を使用してエンジン2の移動を始める以前に、ボディ46は工具に適合され、エンジンに対して所定の位置において動かないようにされ、これによって2つの関連付けられたシャックル/リンク50についてこのボディ46が回動することを防止している。この様式において、後に続く仮位置決め作業は、ボディ46とエンジン2との間の任意の相対移動によって有利に妨害されなくなる。
【0070】
エンジンマウント4に対するエンジン2の位置決め作業はその後開始され、その目的は、2つの第1の一次開口部56のそれぞれを、関連付けられた第2の一次開口部58に対向して配置することである。エンジン2のこの仮位置決めは、一次開口部間の大まかな整列状態を得るために、エンジン2を持ち上げて、エンジンマウント4に対して最終的な位置よりもわずかに上に配置することによって好適に実施される。従って、図5bに見られるように、第1の一次開口部56は、リブ36に形成された第2の一次開口部58に対してわずかに上方にオフセットされており、それに類似して、第1の二次開口部60はこの同じリブに形成された第2の二次開口部62に対してわずかに上方にオフセットされている。
【0071】
次に、エンジン2の仮位置決め作業は二次開口部60,62の第1のグループを通して第1のサポートピン76aを挿入すること、および二次開口部60,62の第2のグループを通して第2のサポートピン76bを挿入することへと継続される。
【0072】
明らかに、インデックスピントも称される2つのサポートピン76a,76bは、二次開口部60,62の径よりも小さい径を備えており、これらの径の間の割合は作業クリアランスを確定し、できる限り0.6〜0.9の範囲にある。この特異性は、多様なほぼ同一径の開口部間で垂直方向のオフセットが存在するにもかかわらず、ピン76a,76bの挿入が制約されないことを導くことが可能となることを、明らかに提供している。これらのピン76a,76bが二次開口部内にあらゆる摩擦抵抗を受けることなく好適に手動で挿入された後、それらのピンは重力下において、関連付けられた第1の二次開口部60の下部に配置され、関連付けられた第2の二次開口部62と接触することはない。その様子は図5cに示されている。
【0073】
その後の作業はエンジン2を下降することから成り、そこではまだ持ち上げ手段が使用されており、エンジン2は2つの第1の二次開口部60のそれぞれの上部が、関連付けられたサポートピン76a,76bに対して支持されるまで下降される。図5dに示されたこの位置において、2つのサポートピン76a,76bは、関連付けられた第2の二次開口部62の下部に静止しているということを記しておく。それはピン76a,76bをせん断することであり、そのピンは単独でエンジンをエンジンマウントに対して仮位置決めし、且つ維持することを可能にしている。その後この仮位置決めは、エンジン2がエンジンマウント4に対してわずかに下になるように行われる。その様子は図5dに明確に示されている。次に、仮位置決めは(図5eに参照された)適応する工具、例えばクランプタイプの工具を使用して、接触面72と74とを接触させることによって完成される。
【0074】
従って、一旦この作業が完了すると、エンジンはエンジンマウントに対して仮位置決めされた位置を保持するために、持ち上げ手段と協働する必要がなくなるということが理解される。
【0075】
その後、新たな作業が開始され、2つのピン80を第1のグループの開口部と第2のグループの開口部とに個々に挿入する。
【0076】
図5eに見られるように、それぞれのピン80には凸状のセンタリングヘッド82が取り付けられており、そのセンタリングヘッドは好適にオリーブ形状とされ、ねじまたは圧入によって例えばピン80のボディに組みつけられている。このピンはボディ46の第1の一次開口部56を通して最初に挿入され、その後、わずかに上方にオフセットされた第2の一次開口部58を通して挿入される。従って、ピン80が第2の開口部58を通して挿入されるとき、ヘッド82は傾斜した前部84と徐々に協働し、この同一の開口部58内にピン80の挿入を容易にするようにデザインされている。明らかに、ピン80のセンタリングヘッド82を開口部58内に挿入することは、同一の径の2つの開口部56,58を、それらの開口部の間で完全な整列状態が得られるまで徐々に整列する結果となる。目安として、開口部56,58の径は、クリアランスを除いて、そこに挿入されるピンの直径と同一であるということを記しておく。
【0077】
ピン80の挿入後、そのピンは2つの関連付けられた開口部56,58内に収容され、図5fに示しているように、シェアピン68を有利に形成する。
【0078】
図5gを参照すると、同じピンの挿入作業は一次開口部の第2のグループに関して実施され、第2のシェアピン68の配置を達成する。一旦2つのシェアピンが個々の一次開口部内に挿入されると、それと同時にまたは連続して持ち上げられたエンジン2は、開口部56,58と整列された後で、エンジンマウント4に対して最終的な位置に配置される。
【0079】
この最終的な位置において、二次開口部60,62も二つ一組になって完全に整列される。
【0080】
その後2つのサポートピン76a,76bは図5hに示されているように除去されて二次開口部をフリーにすることが可能となり、2つのフェイルセーフシェアピン70をこれらの同一の二次開口部60,62内の所定の位置に配置するその後の作業が可能となる。
【0081】
取り付けボディ46の固定ステップは、X方向に沿って向けられた上述のテンションボルトを所定の位置に配置する作業によって継続されることが可能である。
【0082】
本発明の方法において、類似の固定ステップが後部取り付け部品8に関しても実行され、一方でスラストリンクの組み付けは当業者に周知の従来どおりの様式で実施される。
【0083】
明らかに、多様な改良が、単に限定的でない実施例を記載しただけの方法および航空機エンジンアセンブリ1に対して、当業者によって行われるだろう。この点について、エンジンアセンブリ1が航空機の翼の下に懸架するのに適している形態を表現している一方で、このアセンブリ1はこの同一の翼の上に組み付けられることが可能であるような、異なった形態を備えることも可能であるということが示されている。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の好適な一実施形態によるエンジンマウントを具備した航空機エンジンアセンブリの概略的な部分側面図を示している。
【図2】図1に示されたエンジンマウントに適合されたエンジン組み付けシステムによる図式的な負荷移送の斜視図を示している。
【図3】図1に示されたエンジンマウントの前方部の詳細な斜視図を示している。
【図4】図3に示されたエンジンマウントに属するボックスの前部閉鎖リブの斜視図を示している。
【図5a】本発明の好適な一実施形態による組み付け方法を実行した固定ステップの異なった作業の概略図を示しており、このステップは前部エンジン取り付け部品の取り付けボディをエンジンマウントの剛体構造に固定することから成る。
【図5b】本発明の好適な一実施形態による組み付け方法を実行した固定ステップの異なった作業の概略図を示しており、このステップは前部エンジン取り付け部品の取り付けボディをエンジンマウントの剛体構造に固定することから成る。
【図5c】本発明の好適な一実施形態による組み付け方法を実行した固定ステップの異なった作業の概略図を示しており、このステップは前部エンジン取り付け部品の取り付けボディをエンジンマウントの剛体構造に固定することから成る。
【図5d】本発明の好適な一実施形態による組み付け方法を実行した固定ステップの異なった作業の概略図を示しており、このステップは前部エンジン取り付け部品の取り付けボディをエンジンマウントの剛体構造に固定することから成る。
【図5e】本発明の好適な一実施形態による組み付け方法を実行した固定ステップの異なった作業の概略図を示しており、このステップは前部エンジン取り付け部品の取り付けボディをエンジンマウントの剛体構造に固定することから成る。
【図5f】本発明の好適な一実施形態による組み付け方法を実行した固定ステップの異なった作業の概略図を示しており、このステップは前部エンジン取り付け部品の取り付けボディをエンジンマウントの剛体構造に固定することから成る。
【図5g】本発明の好適な一実施形態による組み付け方法を実行した固定ステップの異なった作業の概略図を示しており、このステップは前部エンジン取り付け部品の取り付けボディをエンジンマウントの剛体構造に固定することから成る。
【図5h】本発明の好適な一実施形態による組み付け方法を実行した固定ステップの異なった作業の概略図を示しており、このステップは前部エンジン取り付け部品の取り付けボディをエンジンマウントの剛体構造に固定することから成る。
【符号の説明】
【0085】
1 航空機エンジンアセンブリ
2 ターボジェットエンジン
3 翼
4 エンジンマウント
6 前部エンジン取り付け部品
8 後部エンジン取り付け部品
9 スラストマウント装置
10 剛体構造
11 エンジン組み付けシステム
26 上部スパー
28 下部スパー
30 サイドパネル
32 横リブ
36 前部閉鎖リブ
37 後部閉鎖リブ
38 前面
46 取り付けボディ
50 シャックル/リンク
52 テンションボルト
54 開口部
56 第1の一次開口部
58 第2の一次開口部
60 第1の二次開口部
62 第2の二次開口部
68 シェアピン
69 フィン
70 フェイルセーフピン
72 前部接触面
74 後部接触面
80 ピン
82 凸状のセンタリングヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機のエンジン(2)ためのエンジンマウント(4)であって、
前部閉鎖リブ(36)によって前端部を閉鎖されたボックスを形成している剛体構造(10)と、
該剛体構造(10)に固定的に組み付けられて、特に前記剛体構造(10)に固定的に組み付けられた取り付けボディ(46)を備えた前部エンジン取り付け部品(6)を具備しているエンジン組み付けシステム(11)と、を具備したエンジンマウントにおいて、
前記取り付けボディ(46)は前記前部閉鎖リブ(36)の前面(38)に対向して配置され、
前記前部エンジン取り付け部品(6)は少なくとも1つのシェアピン(68)を具備し、該シェアピンは前記取り付けボディ(46)と前記前部閉鎖リブ(36)とを少なくとも部分的に貫通していることを特徴とするエンジンマウント(4)。
【請求項2】
前記取り付けボディ(46)は、前記前部閉鎖リブ(36)の前記前面(38)に属した、前記剛体構造(10)の前部接触面(72)に接触するように配置された後部接触面(74)を具備していることを特徴とする、請求項1に記載のエンジンマウント(4)。
【請求項3】
前記前部エンジン取り付け部品(6)は、前記前部閉鎖リブ(36)に前記取り付けボディ(46)を固定することを確実にするための複数のテンションボルト(52)も具備していることを特徴とする、請求項1または2に記載のエンジンマウント(4)。
【請求項4】
それぞれの前記シェアピン(68)は、前記エンジンマウントのほぼ長手方向(X)に沿って向けられていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のエンジンマウント(4)。
【請求項5】
前記前部エンジン取り付け部品は2つのシェアピンを具備し、該2つのシェアピンはそれぞれが前記取り付けボディ(46)と前記前部閉鎖リブ(36)とを少なくとも部分的に貫通しており、該2つのシェアピン(68)は前記エンジンマウントの横方向(Y)に沿って互いに離間されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のエンジンマウント(4)。
【請求項6】
前記前部閉鎖リブ(36)は前記エンジンマウントの横方向(Y)と垂直方向(Z)とで画定された面に沿って向けられていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のエンジンマウント(4)。
【請求項7】
前記前部エンジン取り付け部品(6)は、前記エンジンマウントの横方向(Y)と垂直方向(Z)とにかけられた負荷の移送を確実にするようにデザインされており、且つ前記エンジンマウントの長手方向(X)にかけられたモーメントの移送を確実にするようにデザインされていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のエンジンマウント(4)。
【請求項8】
前記エンジン組み付けシステム(11)は、スラストマウント装置(9)と、前記エンジンマウントの横方向(Y)と垂直方向(Z)とに沿ってかけられた負荷の移送を確実にするようにデザインされている後部エンジン取り付け部品(8)と、も具備していることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のエンジンマウント(4)。
【請求項9】
前記エンジン組み付けシステム(11)は平衡システムを形成していることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のエンジンマウント(4)。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載のエンジンマウント(4)と、該エンジンマウントに固定的に組み付けられたエンジン(2)とを具備していることを特徴とする航空機エンジンアセンブリ。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか一項に記載のエンジンマウントの剛体構造に航空機のエンジンを組み付ける方法において、
該組み付け方法は、前記剛体構造の前部閉鎖リブ(36)に、エンジンケースに事前に組み付けられた前部エンジン取り付け部品(6)の取り付けボディ(46)を固定する固定ステップを含み、
該取り付けボディ(46)は、該取り付けボディ(46)に形成された第1の一次開口部(56)と、前記前部閉鎖リブ(36)に形成された第2の一次開口部(58)とを貫通した少なくとも1つのシェアピン(68)を通して、前記前部閉鎖リブ(36)に固定されるように意図されており、
前記前部閉鎖リブ(36)に前記取り付けボディ(46)を固定するための前記固定ステップは、
− 前記第1の一次開口部(56)を前記第2の一次開口部(58)に対向して配置するために、前記エンジン(2)を前記エンジンマウント(4)に対して仮位置決めする作業と、
− 凸状のセンタリングヘッド(82)が取り付けられたピン(80)を、対向して面した2つの前記一次開口部を貫通して挿入し、前記凸状のセンタリングヘッド(82)が取り付けられ且つ前記2つの一次開口部(56,58)に収容されたピンがシェアピン(68)を形成するようにする作業と、の連続した作業を含んでいることを特徴とする組み付け方法。
【請求項12】
前記凸状のセンタリングヘッド(82)が取り付けられたピン(80)を挿入する作業は、前記取り付けボディ(46)と前記剛体構造(10)との間の所望されたシェアピン(68)の数と同じ回数だけ繰り返されることを特徴とする、請求項11に記載の組み付け方法。
【請求項13】
前記仮位置決め作業は、
− 前記取り付けボディ(46)に形成された第1の二次開口部(60)と、前記前部閉鎖リブ(36)に形成された第2の二次開口部(62)と、を貫通して第1のサポートピン(76a)を挿入することを可能にし、且つ同様に前記取り付けボディ(46)に形成された第1の二次開口部(60)と、前記前部閉鎖リブ(36)に形成された第2の二次開口部(62)と、を貫通して第2のサポートピン(76b)を挿入することを可能にするために、エンジン(2)をエンジンマウント(4)に接近させる作業と、
− 前記取り付けボディ(46)の2つの前記第1の二次開口部(60)のそれぞれの上部が、関連付けられた前記サポートピン(76a,76b)に対して支持されるようになるまで前記エンジン(2)を下降する作業と、から成ることを特徴とする、請求項11または12に記載の組み付け方法。
【請求項14】
前記凸状のセンタリングヘッド(82)が取り付けられたピン(80)のそれぞれが挿入された後、前記サポートピンは前記二次開口部(60,62)から除去されることを特徴とする、請求項13に記載の組み付け方法。
【請求項15】
前記サポートピン(76a,76b)を除去した後、2つのフェイルセーフピン(70)が前記二次開口部(60,62)を通して挿入されることを特徴とする、請求項14に記載の組み付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図5e】
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【図5f】
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【図5g】
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【図5h】
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【公表番号】特表2009−510303(P2009−510303A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531715(P2008−531715)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【国際出願番号】PCT/EP2006/066637
【国際公開番号】WO2007/033995
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(501446228)エアバス・フランス (93)