説明

航空機の窓

【課題】OSU100/100の最大発熱速度および2分発熱の要件を満たす透明窓ガラスを備える航空機の窓を開示する。
【解決手段】この窓ガラスは、(コ)ポリカーボネートおよび臭素置換オリゴカーボネートを、前記オリゴカーボネート対前記(コ)ポリカーボネートの重量比0.1112〜1において含有する。1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−フェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンの残基をコポリカーボネートの重量に対して37パーセント超含むコポリカーボネートは、本発明の(コ)ポリカーボネート樹脂の範囲から除かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機の窓、特にOSU100/100として知られているオハイオ州立大学試験(The Ohio State University test)の耐燃性要件を満たす窓、に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の市販の航空機の内装は、ポリマー樹脂を含むいくつかの部品を含む。これらの中に航空機の窓の内部を形成する透明グレーチング窓ガラス(glazing pane)(これらは場合によっては「ダストカバー」とも呼ばれる。)がある。それらの光学特性(最大光透過率および最小曇り値)に加えて、これらの窓ガラスは耐燃性に対する厳しい要求を満たすことが必要とされている。
【0003】
そのような窓ガラスを製造するための従来の材料であるポリカーボネート樹脂それ自体は、そのような部品の容認基準を定める発熱試験方法によって負わされる規格(OSU100/100として知られている。)に合わない。OSU100/100における100/100は、最大発熱速度(Peak Heat Release Rate)(以下、PHRRという。)および2分発熱(2 min Heat Release)(以下、2MHRという。)をいう。条件を満たす材料であるために、両方のパラメータが100kW/m以下である必要がある。当然、窓ガラスの光学特性は、ASTM E−313によって厚さ2mmの試験片上で決定される少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%の総光透過値(Total Light Transmission value)および10%以下、好ましくは5%以下の曇り値を含む。
【0004】
よく知られている規格UL−94に合う難燃ポリカーボネート樹脂が市販されているが、これらの樹脂は、より厳しいOSU試験の要件に及ばない。すなわち、UL−94試験の条件下でよく評価される樹脂が必ずしもOSU PHRRおよび2MHR試験に記述される要件を満たすとは限らない。例えば、Makrolon 6485ポリカーボネートは、厚さ1.5mm以上においてV−0と評価され、厚さ3mm以上において5VAと評価される製品であるが、厚さ2mmにおいてこの樹脂に関するPHRRおよび2MHR値がそれぞれ228kW/mおよび190kW/mであるのでOSU発熱試験に不合格になる。更に、OSU100/100の要件を満たす樹脂は、必ずしもUL94−V0規格に合うわけではない。
【0005】
この技術には特に米国特許第6,872,798号が含まれており、それには二以上の層を含み、少なくとも一つの層の限界酸素指数(LOI)が29未満であり、かつ、少なくとも一つの層のLOI値が29超である、熱可塑的に成形された防炎性ポリカーボネート複合材料が開示されている。種々の既知の難燃剤のいずれが開示される複合物との関連で使用されてもよい。
【0006】
米国特許出願第2006−0228558号は、オハイオ州立大学発熱試験のFAA耐熱性基準を満たすポリカーボネート製の透明内層を有する航空機の窓に関する。そのような層の組成の構成は記述されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明の要旨
OSU100/100の最大発熱速度および2分発熱要件を満たす透明窓ガラスを備える航空機の窓を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この窓ガラスは、(コ)ポリカーボネートおよび臭素置換オリゴカーボネートを前記オリゴカーボネート対前記(コ)ポリカーボネートの重量比0.1112〜1で含有する。1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−フェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンの残基を(コ)ポリカーボネートの重量に対して37パーセント超含むコポリカーボネートは本発明の(コ)ポリカーボネート樹脂の範囲から除かれる。
【0009】
発明の詳細な説明
本発明の明細書中で使用される用語ポリカーボネートは、ホモポリカーボネート、コポリカーボネート(ポリエステルカーボネートを含む。)をいい、以下に記述される特定のコポリカーボネートを除く。ポリカーボネートは既知であり、その構造および製造方法は、例えば、米国特許第3,030,331号;第3,169,121号;第3,395,119号;第3,729,447号;第4,255,556号;第4,260,731号;第4,369,303号;第4,714,746号および第6,306,507号に記述されている(これらは全て参照することによって本明細書中に組み込まれる。)。ポリカーボネートは、通常、重量平均分子量10,000〜200,000、好ましくは20,000〜80,000を有し、それらのASTM D−1238による300℃における溶融流量は約1〜約65g/10分、好ましくは約2〜35g/10分である。それらは、例えば、既知の二相界面法(diphasic interface process)によって、炭酸誘導体、例えばホスゲン、およびジヒドロキシ化合物から重縮合によって製造され得る(独国公開特許第2,063,050号;第2,063,052号;第1,570,703号;第2,211,956号;第2,211,957号および第2,248,817号;仏国特許第1,561,518号;並びにH.Schnellによるモノグラフ“Chemistry and Physics of Polycarbonates”,Interscience Publishers,ニューヨーク,ニューヨーク,1964年参照(全て参照することによって本明細書中に組み込まれる。)。)。
【0010】
本明細書中、本発明のポリカーボネートの製造に好適なジヒドロキシ化合物は、構造式(1)または(2)
【化1】

(式中、
A は、炭素原子を1〜8個有するアルキレン基、炭素原子を2〜8個有するアルキリデン基、炭素原子を5〜15個有するシクロアルキレン基、炭素原子を5〜15個有するシクロアルキリデン基、単結合、カルボニル基、酸素原子、硫黄原子、−SO−または−SOまたは
【化2】

の基であり;
eおよびg は、両方とも0〜1の数であり;
Z は、F、Cl、BrまたはC〜C−アルキルであり、いくつかのZ基が一つのアリール基の置換基である場合、それらは同一であっても互いに異なっていてもよく;
d は、0〜4の整数であり;かつ
f は、0〜3の整数である。)
のジヒドロキシ化合物である。
【0011】
ジヒドロキシ化合物の中で本発明の実施に有用なジヒドロキシ化合物は、ヒドロキノン、レソルシノール、ビス−(ヒドロキシフェニル)−アルカン、ビス−(ヒドロキシフェニル)−エーテル、ビス−(ヒドロキシフェニル)−ケトン、ビス−(ヒドロキシ−フェニル)−スルホキシド、ビス−(ヒドロキシフェニル)−スルフィド、ビス−(ヒドロキシフェニル)−スルホン、およびα,α−ビス−(ヒドロキシフェニル)−ジイソプロピルベンゼン、並びにそれらの核アルキル化化合物である。これらおよび更なる好適な芳香族ジヒドロキシ化合物は、例えば、米国特許第5,105,004号;第5,126,428号;第5,109,076号;第5,104,723号;第5,086,157号;第3,028,356号;第2,999,835号;第3,148,172号;第2,991,273号;第3,271,367号;および第2,999,846号に記述されている(これらは全て参照することによって本明細書中に組み込まれる。)。
【0012】
好適なビスフェノールの更なる例は、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−フェニル)−プロパン(ビスフェノールA)、2,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−ブタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、α,α’−ビス−(4−ヒドロキシ−フェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,2−ビス−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス−(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−メタン、2,2−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−スルフィド、ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−スルホキシド、ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−スルホン、ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2,4−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、α,α’−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピル−ベンゼン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−フェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、および4,4’−スルホニルジフェノールである。
【0013】
重要なことに、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−フェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンの残基を(コ)ポリカーボネートの重量に対して37パーセント超、好ましくは25パーセント超、最も好ましくは15パーセント超含むコポリカーボネートが本発明の(コ)ポリカーボネート樹脂の範囲から除かれる(用語「残基」は、ジヒドロキシ化合物のヒドロキシル基の水素原子を除くジヒドロキシ化合物関連構造をいう。)。
【0014】
特に好ましいビスフェノールの例は、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−フェニル)−プロパン、2,2−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン;1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサンおよび4,4’−ジヒドロキシフェニルである。
【0015】
最も好ましいジフェノールは、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン(ビスフェノールA)である。
【0016】
本発明のポリカーボネートは、構造中に一種類以上の芳香族ジヒドロキシ化合物から誘導されるユニットを含み得る。
【0017】
本発明のポリカーボネートは、更にその中に分枝剤として少量、例えば0.05〜2.0mol%(ビスフェノールに対して)のポリヒドロキシ化合物を縮合させることによって分枝されてもよい。ポリカーボネート中で好適な分枝剤は、既知であり、米国特許第4,185,009号;第5,367,044号;第6,528,612号;および第6,613,869号(参照することによって本明細書中に組み込まれる。)に開示される化合物が挙げられ、好ましい分枝剤としては、イサチンビスクレゾールおよび1,1,1−トリス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン(THPE)が挙げられる。
【0018】
このタイプのポリカーボネートは、例えば、独国公開特許第1,570,533号;第2,116,974号および第2,113,374号;英国特許第885,442号および第1,079,821号並びに米国特許第3,544,514号に開示されている。以下は、この目的に使用され得るポリヒドロキシル化合物のいくつかの例である:フロログルシノール;4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ヘプタン;1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゼン;1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタン;トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン;2,2−ビス−[4,4−(4,4’−ジヒドロキシジフェニル)]−シクロヘキシル−プロパン;2,4−ビス−(4−ヒドロキシ−1−イソプロピリジン)−フェノール;2,6−ビス−(2’−ジヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−4−メチル−フェノール;2,4−ジヒドロキシ安息香酸;2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシ−フェニル)−プロパンおよび1,4−ビス−(4,4’−ジヒドロキシトリフェニルメチル)−ベンゼン。別の多官能性化合物の中には、2,4−ジヒドロキシ−安息香酸、トリメシン酸、塩化シアヌルおよび3,3−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドールがある。
【0019】
上記重縮合プロセスに加えて、本発明のポリカーボネートの別の製造プロセスは、均一相における重縮合およびエステル交換である。好適なプロセスが、米国特許第3,028,365号;第2,999,846号;第3,153,008号;および第2,991,273号に開示されている(全て参照することによって本明細書中に組み込まれる。)。
【0020】
ポリカーボネートの製造に好ましいプロセスは、界面重縮合プロセスである。本発明のポリカーボネートの形成における別の合成方法、例えば、米国特許第3,912,688号(参照することによって本明細書中に組み込まれる。)に開示されている方法、が使用されてもよい。好適なポリカーボネート樹脂は、例えば、ペンシルヴェニア州ピッツバーグのBayer MaterialScience LLCから商標名Makrolonで市販されている。
【0021】
本発明との関連で好適な難燃剤は、臭素置換オリゴカーボネートである。分子構造が少なくともいくつかの
【化3】

(式中、R、R、RおよびRは、互いに独立して、H、BrまたはCHである(ただし、R、R、R、Rの少なくとも一つはBrである。)。)
のユニット含むオリゴカーボネートが特に好適である。好ましいオリゴカーボネートは、末端基として、フェニル、p−tert−ブチルフェニル、クミル、ノニルフェニルおよびiso−ノニルフェニル基からなる群から選択される少なくとも一つのメンバーを含む。
【0022】
オリゴカーボネートの重量に対して40パーセント超、好ましくは50〜55パーセントの臭素含量を有し、かつ
【化4】

の構造を有するオリゴカーボネートが最も好適である。
【0023】
(コ)ポリカーボネートの重量に対する含まれる臭素置換オリゴカーボネートの重量は、0.1112〜1、好ましくは0.176〜0.667、より好ましくは0.250〜0.538、最も好ましくは0.351〜0.493である。
【0024】
本発明の組成物は、更に、一種類以上の常套の機能性添加剤、例えば、帯電防止剤、酸化防止剤、別の難燃剤、滑剤、離型剤、着色剤、蛍光増白剤およびUV安定剤、を含み得る。好適なUV吸収剤としては、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾトリアゾール、ヒドロキシベンゾトリアジン、シアノアクリレート、オキサニリド、およびベンゾオキサジノンが挙げられる。好適な安定剤としては、カルボジイミド、例えばビス−(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミドおよびポリカルボジイミド;ヒンダードアミン光安定剤;ヒンダードフェノール(例えばIrganox 1076(CAS番号2082−79−3)、Irganox 1010(CAS番号6683−19−8);ホスフィット(例えばIrgafos 168、CAS番号31570−04−4;Sandostab P−EPQ、CAS番号119345−01−6;Ultranox 626、CAS番号26741−53−7;Ultranox 641、CAS番号161717−32−4;Doverphos S−9228、CAS番号154862−43−8)、トリフェニルホスフィン、および亜リン酸が挙げられる。好適な加水分解安定剤としては、エポキシド、例えばJoncryl ADR−4368−F、Joncryl ADR−4368−S、Joncryl ADR−4368−L、脂環式エポキシ樹脂ERL−4221(CAS番号2386−87−0)が挙げられる。好適な別の難燃剤としては、リン化合物、例えば、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレシルホスフェート、ジフェニルクレシルホスフェート、ジフェニルオクチルホスフェート、ジフェニル−2−エチルクレシルホスフェート、トリ−(イソプロピルフェニル)ホスフェート、メチルホスホン酸ジメチルエステル、メチルホスホン酸ジフェニルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステル、トリフェニルホスフィンオキシド、トリクレシルホスフィンオキシドおよびハロゲン化化合物が挙げられる。
【0025】
そのような安定剤添加剤は、当業者に既知であり、標準的な参考資料、例えば“Plastics Additives Handbook”,第5版,H.Zweifel編,Hanser Publishersに開示されている(参照することによって本明細書中に組み込まれる。)。これらの添加剤は、有効量で、好ましくはポリカーボネートの総重量に対して0.01から全部で約30%までで使用され得る。
【0026】
本発明の成形組成物は、熱可塑性プロセスのいずれか(射出成形および押出を含む)による航空機の窓用の透明窓ガラス(「ダストカバー」)の製造に好適である。
【0027】
発熱の標準的な試験方法は、FAR 25.853,付録F,パートIV中に見られるようなオハイオ州立大学発熱試験である。OSU100/100中の100/100は、最大発熱速度(以下、PHRRという)および2分発熱(以下、2MHRという)をいう。条件を満たすために、試験される材料の両方のパラメータが100kW/m以下である必要がある。
【実施例】
【0028】
以下の組成物を通常の方法で製造し、試験した。
【0029】
組成物の製造に使用された材料は以下のものである。
PC−A:Makrolon 1239ビスフェノールAベースの分枝ホモポリカーボネート、重量平均分子量33000〜36500、メルトフローインデックス3.5g/10分、Bayer MaterialScience LLC製(メルトフローインデックスの示される値は、300℃、1.2kgにおいてASTM D−1238によって決定される。)。
PC−B:Makrolon 2808ビスフェノールAベースの直鎖ホモポリカーボネート、重量平均分子量27500〜29500、メルトフローインデックス10g/10分、Bayer MaterialScience LLC製。
PC−C:Makrolon 3208ビスフェノールAベースの直鎖ホモポリカーボネート、重量平均分子量32000〜34000、メルトフローインデックス4.5g/10分、Bayer MaterialScience LLC製。
BOC
【化5】

のビスフェノールAベースの四臭化オリゴカーボネート、Chemtura Corporation製。
【0030】
下記のいくつかの組成物において使用される、以下に列挙される材料は、熱可塑性ポリカーボネート成形組成物との関連で有用性が知られている。単独であっても他との組み合わせであっても、いずれも本発明との関連で必須であると考えられていない。
【0031】
:スルホン酸アルカリ金属塩。
UVA:常套のUV吸収剤。
PBT:ポリブチレンテレフタレート。
MRA:離型剤。
THS:熱安定剤。
【0032】
比較例は、それぞれ、PCおよび本発明の範囲外の難燃剤を含んだ。用語PFRは、
【化6】

(式中、nは1〜5である。)
のホスフェート難燃剤をいい、BFRは、
【化7】

の臭素置換ホスフェート(トリス(3−ブロモ−2,2(ブロモエチル)プロピル)ホスフェート)をいう。
【0033】
表1に示される実施例1、2および5のポリカーボネート(PC)は、PC−Aであった。実施例3および4のポリカーボネート樹脂は、それぞれ、PC−CおよびPC−Bであった。
【0034】
表1

【0035】
表1の実施例1、2、3および4の組成物は、本発明の典型である。オリゴカーボネート対(コ)ポリカーボネートの重量比が本発明の範囲外である実施例5は、2MHRに対する燃焼性要件に合わず、従って、本発明の窓の製造に不適当である。
【0036】
表2に示される実施例6〜12の組成物は、表にされる重量比で分枝PCおよびBOCを含んだ。これらの組成物は、更に、上記常套の添加剤を含んだ。
【0037】
表2

【0038】
本発明の範囲外の組成物13〜15(表3)は、分枝ポリカーボネートおよび示される量のホスフェート難燃剤(実施例13および14)または本発明の範囲外の臭素置換ホスフェート難燃剤(実施例15)を含んだ。これらの組成物は、OSU100/100の要求に及ばず、従って本発明の窓の製造に不適当である。
【0039】
表3

【0040】
表4において16〜18として例示される組成物は、分枝ポリカーボネートベースであり、本発明の臭素置換オリゴカーボネート(BOC)をそれぞれの比によって示される量で含む。OSU100/100の厳しい要件を満たすこれらの組成物は、従って、本発明の窓の製造に好適である。
【0041】
表4

【0042】
表5中に19〜21として例示される組成物は、ビスフェノールAと1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−フェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンとのコポリカーボネート(コポリカーボネート中の1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−フェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンの量は、コポリカーボネートの重量に対して42パーセントである。)および臭素置換オリゴカーボネート(BOC)をそれぞれの比によって示される量で含む。これらの組成物は、OSU100/100の要件に合わず、従って、本発明の窓の製造に不適当である。
【0043】
表5

【0044】
表6中に実施例24〜26として示される組成物は、ビスフェノールAと4,4’−ジヒドロキシジフェニル30モルパーセント(パーセントは、芳香族ジヒドロキシ化合物の総モル量に基づく)とのコポリカーボネートおよび臭素置換オリゴカーボネート(BOC)をそれぞれの比によって示される量で含んだ。実施例22および23において、これらの比は、保護の範囲外であり、OSU100/100の要件に合わないこれらの組成物は、本発明の窓の製造に不適当な材料と見なされる。実施例24は、本発明による条件を満たす材料である。
【0045】
表6

【0046】
本発明を説明の目的で上記に詳細に説明したが、そのような詳細は、請求項によって規定されるものを除いて、もっぱら説明の目的のためであって、変更が発明の精神および範囲から逸脱しない限り当業者によってなされ得ると解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(コ)ポリカーボネートおよび臭素置換オリゴカーボネートを含有し、前記オリゴカーボネート対前記(コ)ポリカーボネートの重量比が0.1112〜1であり、前記(コ)ポリカーボネートがその分子構造中に1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−フェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサンの残基を(コ)ポリカーボネートの重量に対して37パーセント以下含む、OSU100/100の最大発熱速度および2分発熱要件を満たす透明窓ガラスを備える航空機の窓。
【請求項2】
前記比が0.176〜0.667である、請求項1に記載の窓。
【請求項3】
前記比が0.250〜0.538である、請求項1に記載の窓。
【請求項4】
前期比が0.351〜0.493である、請求項1に記載の窓。
【請求項5】
該オリゴカーボネートが
【化1】

(式中、R、R、RおよびRは、互いに独立して、H、Br、またはCHである(ただし、R、R、R、Rの少なくとも一つはBrである。)。)
である、請求項1に記載の窓。
【請求項6】
前記オリゴカーボネートが、フェニル、p−tert−ブチルフェニル、クミル、ノニルフェニルおよびiso−ノニルフェニル基からなる群から選択される末端基を含む、請求項5に記載の窓。
【請求項7】
該オリゴカーボネートが
【化2】

である、請求項2に記載の窓。
【請求項8】
該窓ガラスが押出品である、請求項1に記載の窓。
【請求項9】
該窓ガラスが射出成形品である、請求項1に記載の窓。
【請求項10】
該(コ)ポリカーボネートがその分子構造中に1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−フェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンの残基を(コ)ポリカーボネートの重量に対して37パーセント以下含む、請求項1に記載の窓。

【公開番号】特開2009−84558(P2009−84558A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−203868(P2008−203868)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(503349707)バイエル・マテリアルサイエンス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (178)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience LLC
【Fターム(参考)】