説明

航空機の補助ガスタービンエンジンの圧縮機に空気を供給するシステム

【課題】 航空機推進用ガスタービンエンジンを有する航空機の航空機推進用でないガスタービンエンジンの圧縮機の入口に空気を供給するための改良されたシステムの提供
【解決手段】 航空機(20)の補助ガスタービンエンジン(18)の圧縮機(16)に空気(12)を供給するシステム(10)。システムタービン(26)は、航空機から圧縮空気(34)を受け取る入口(30)を有する。システム圧縮機(28)は、システムタービンに機械的に結合される。システム圧縮機(28)は、大気(40)を受け取る入口(36)を有する。システムタービンの出口及びシステム圧縮機の出口は、補助ガスタービンエンジンの圧縮機の入口に流体接続自在である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ガスタービンエンジンに関し、特に、航空機推進用ガスタービンエンジンを有する航空機の航空機推進用でない補助ガスタービンエンジンの圧縮機の入口に空気を供給するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の補助ガスタービンエンジンは、ある航空機においては、発電機、交流発電機及び油圧ポンプなどの電気機器及び油圧機器に機械的軸動力を供給するために設置されている。補助ガスタービンエンジンの圧縮機の入口は、大気から空気を受け取る。高度が増すにつれて空気の密度は低下するので、高度が増したとき、補助ガスタービンエンジンは、所望の軸動力を発生するために更に高出力で動作しなければならず、その結果、動作温度が上昇する。あるいは、補助ガスタービンエンジンは、動作温度限界内にとどまるために出力軸動力を低下しなければならない。
【0003】
科学者及び技術者は、今も尚、航空機推進用ガスタービンエンジンを有する航空機の航空機推進用でないガスタービンエンジンの圧縮機の入口に空気を供給するための改良されたシステム及び方法を模索し続けている。
【特許文献1】米国特許第6,283,410号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0144096号
【特許文献3】米国特許第6,704,625号公報
【特許文献4】米国特許第6,868,664号公報
【特許文献5】米国特許第6,634,596号公報
【発明の開示】
【0004】
本発明の第1の実施形態のひとつは、航空機推進用ガスタービンエンジンを有する航空機の航空機推進用でない補助ガスタービンエンジンの圧縮機の入口に空気を供給するシステムを表すものである。システムは、システムタービン及びシステム圧縮機を含む。システムタービンは入口及び出口を有し、システムタービンの入口は、航空機から圧縮空気を受け取る。システム圧縮機は、システムタービンに機械的に結合される。システム圧縮機は入口及び出口を有し、システム圧縮機の入口は大気を受け取る。システムタービンの出口及びシステム圧縮機の出口は、補助ガスタービンエンジンの圧縮機の入口に流体接続自在である。
【0005】
本発明の第1の実施形態の他のひとつは、航空機推進用ガスタービンエンジンを有する航空機の航空機推進用でない補助ガスタービンエンジンの圧縮機の入口に空気を供給するシステムを表すものである。システムは、システムタービン及びシステム圧縮機を含む。システムタービンは入口及び出口を有し、システムタービンの入口は、航空機から圧縮空気を受け取る。システム圧縮機は、システムタービンに機械的に結合される。システム圧縮機は入口及び出口を有し、システム圧縮機の入口は大気を受け取る。システムタービンの出口及びシステム圧縮機の出口は、補助ガスタービンエンジンの圧縮機の入口と流体連通している。
【0006】
ここで開示される方法は、航空機推進用ガスタービンエンジンを有する航空機の航空機推進用でない補助ガスタービンエンジンの圧縮機の入口に空気を供給する方法である。この方法は、システム圧縮機に機械的に結合されたシステムタービンの入口に、航空機からの圧縮空気を供給することを含む。また、システム圧縮機の入口に大気を供給することを含む。さらにこの方法は、システムタービンの出口からの空気及びシステム圧縮機の出口からの空気を補助ガスタービンエンジンの圧縮機の入口に供給することを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
添付の図面は、本発明の一実施形態を示す。
【0008】
図面を参照すると、図1は、本発明の第1の実施形態を示す。図1の実施形態の第1の表現は、航空機推進用ガスタービンエンジン22を有する航空機20の航空機推進用でない補助ガスタービンエンジン18の圧縮機16の入口14に空気12を供給するシステム10を表すものである。システム10は、システムタービン26及びシステム圧縮機28を含む。システムタービン26は入口30及び出口32を有し、システムタービン26の入口30は、航空機20から圧縮空気34を受け取る。システム圧縮機28は、システムタービン26に機械的に結合される。システム圧縮機28は入口36及び出口38を有し、システム圧縮機28の入口36は大気40を受け取る。システムタービン26の出口32及びシステム圧縮機28の出口38は、補助ガスタービンエンジン18の圧縮機16の入口14に流体接続自在である。尚、航空機の航空機推進用ガスタービンエンジンは、航空機を推進することを主な目的とする航空機用ガスタービンエンジンであり、航空機の航空機推進用でないガスタービンエンジンは、主な目的が航空機を推進することではない航空機用ガスタービンエンジンである。第1の実施例においては、システム圧縮機28の入口36により受け取られる大気40は、ECS(環境制御システム)の入口からのラム空気である。第2の実施例においては、システム圧縮機28の入口36により受け取られる大気40は、システム圧縮機28の入口36に空気を供給するための専用の航空機入口からのラム空気である。他の実施例は、当業者の判断に任される。
【0009】
図1の第1の実施形態の第1の表現を可能にする第1の例においては、航空機20は機室42を有し、圧縮空気34は機室42からの加圧空気34’である。第2の例においては、圧縮空気34は、航空機推進用ガスタービンエンジン22からの加圧空気34”(圧縮機及び/又はバイパス導管からの抽気などの破線で示される加圧空気)である。第3の例においては、圧縮空気34は、機室からの加圧空気34’と航空機推進用ガスタービンエンジン22からの加圧空気34”との組み合わせである。第1の表現を可能にする他の構成は、当業者の判断に任される。
【0010】
図1の第1の実施形態の第1の表現の1つの実現例においては、補助ガスタービンエンジン18は、発電機46に動作自在に結合される。1つの変形例においては、補助ガスタービンエンジン18は、第2の発電機48にも動作自在に結合される。同一の変形例又はそれとは異なる変形例においては、図示されるように、補助ガスタービンエンジン18は、高圧圧縮機50、燃焼器52、高圧タービン54及び低圧タービン56(一実施例においては、大気40’に対してガスを排出する)を含み、これらの構成要素の動作は、当該技術においては周知である。尚、図1におけるガスの流れは矢印付きの線により示され、図1における軸の機械的結合は矢印なしの線により示される。
【0011】
図1の第1の実施形態の第1の表現の1つの適用例においては、システム10は流れミキサ58を更に含み、システムタービン26の出口32及びシステム圧縮機28の出口38は、流れミキサ58を介して補助ガスタービンエンジン18の圧縮機16の入口14に流体接続自在である。同一の適用例又はそれとは異なる適用例においては、システムタービン26の出口32及びシステム圧縮機28の出口38は、ほぼ等しい排出圧力を有する。同一の適用例又はそれとは異なる適用例においては、システム10は熱交換器60を更に含む。熱交換器60は、航空機20から熱を受け取り、システムタービン26の入口30の上流側でその熱を圧縮空気34に伝達する。
【0012】
図1の第1の実施形態の第2の表現は、航空機推進用ガスタービンエンジン22を有する航空機20の航空機推進用でない補助ガスタービンエンジン18の圧縮機16の入口14に空気12を供給するシステム10を表すものである。システム10は、システムタービン26及びシステム圧縮機28を含む。システムタービン26は入口30及び出口32を有し、システムタービン26の入口30は、航空機20から圧縮空気34を受け取る。システム圧縮機28は、システムタービン26に機械的に結合される。システム圧縮機28は入口36及び出口38を有し、システム圧縮機28の入口36は大気40を受け取る。システムタービン26の出口32及びシステム圧縮機28の出口38は、補助ガスタービンエンジン18の圧縮機16の入口14と流体連通している。
【0013】
図1の第1の実施形態の第2の表現を可能にする第1の例においては、航空機20は機室42を有し、圧縮空気34は機室42からの加圧空気34’である。第2の例においては、圧縮空気34は、航空機推進用ガスタービンエンジン22からの加圧空気34”(圧縮機及び/又はバイパス導管からの抽気などの破線で示される加圧空気)である。第3の例においては、圧縮空気34は、機室からの加圧空気34’と航空機推進用ガスタービンエンジン22からの加圧空気34”との組み合わせである。第2の表現を可能にする他の構成は、当業者の判断に任される。
【0014】
図1の第1の実施形態の第2の表現の1つの実現例においては、補助ガスタービンエンジン18は、発電機46に動作自在に結合される。1つの変形例においては、補助ガスタービンエンジン18は、第2の発電機48にも動作自在に結合される。同一の変形例又はそれとは異なる変形例においては、図示されるように、補助ガスタービンエンジン18は、高圧圧縮機50、燃焼器52、高圧タービン54及び低圧タービン56(一実施例においては、大気40’に対してガスを排出する)を含み、それらの構成要素の動作は、当該技術においては周知である。尚、図1におけるガスの流れは矢印付きの線により示され、図1における軸の機械的結合は矢印なしの線により示される。
【0015】
図1の第1の実施形態の第2の表現の1つの適用例においては、システム10は、流れミキサ58を更に含み、システムタービン26の出口32及びシステム圧縮機28の出口38は、流れミキサ58を介して補助ガスタービンエンジン18の圧縮機16の入口14と流体連通している。同一の適用例又はそれとは異なる適用例においては、システムタービン26の出口32及びシステム圧縮機28の出口38は、ほぼ等しい排出圧力を有する。同一の適用例又はそれとは異なる適用例においては、システム10は熱交換器60を更に含む。熱交換器60は、航空機20からの熱を受け取り、システムタービン26の入口30の上流側でその熱を圧縮空気34に伝達する。
【0016】
ここで開示される方法は、航空機推進用ガスタービンエンジン22を有する航空機20の航空機推進用でないガスタービンエンジン18の圧縮機16の入口14に空気12を供給する方法である。方法は、システム圧縮機28に機械的に結合されたシステムタービン26の入口30に航空機20からの圧縮空気34を供給することを含む。方法は、システム圧縮機28の入口36に大気40を供給することを含む。方法は、システムタービン26の出口32からの空気12’及びシステム圧縮機28の出口38からの空気12”を補助ガスタービンエンジン18の圧縮機16の入口14に供給することを含む。
【0017】
方法を可能にする第1の例においては、加圧空気34は、航空機20の機室42からの加圧空気34’及び航空機推進用ガスタービンエンジン22からの加圧空気34”(圧縮機及び/又はバイパス導管からの抽気などの破線で示される加圧空気)のうちの一方である。第3の実施例においては、加圧空気34は、機室からの加圧空気34’と航空機推進用ガスタービンエンジン22からの加圧空気34”との組み合わせである。方法を可能にする他の例は、当業者の判断に任される。
【0018】
1つの実現例においては、方法は、補助ガスタービンエンジン18を発電機46に動作自在に結合することを更に含む。1つの適用例においては、方法は、システムタービン26の出口32及びシステム圧縮機28の出口38を補助ガスタービンエンジン18の圧縮機16の入口14に流れミキサ58を介して流体接続することを更に含む。同一の適用例又はそれとは異なる適用例においては、方法は、システムタービン26の出口32及びシステム圧縮機28の出口38から流れミキサ58へ空気をほぼ等しい排出圧力で排出することを更に含む。同一の適用例又はそれとは異なる適用例においては、方法は、航空機からの廃熱をシステムタービン26の入口30の上流側で圧縮空気34に加えることを更に含む。
【0019】
本発明の方法及び本発明の実施形態の表現のうち1つ以上又は全ての一実施例においては、航空機20からの圧縮空気34は、大気40を巻き込み且つ圧縮するために使用され、補助ガスタービンエンジン18の圧縮機16の入口14へ搬送される空気12の組み合わせ流れは、圧縮空気34の温度及び圧力と大気40の温度及び圧力との間の任意の温度及び圧力で、圧縮空気34又は大気40より大きな質量流量を有する。この実施例においては、システム10は、システムタービン26を通して圧縮空気を膨張させることにより流れ増倍装置として作用する。これによりシステムタービン26はシステム圧縮機28を駆動し、システム圧縮機28は大気40を圧縮する。この実施例の1つの変形例においては、システム10により、補助ガスタービンエンジン18は、同一の動作温度に対してより大きな高度出力を発生できる。
【0020】
この実施例の1つの変形例においては、システム10は、航空機20からの圧縮空気34を更に圧縮する前にシステムタービン26を通して圧縮空気を膨張させることにより、航空機20からの圧縮空気34の発生元(例えば、機室42及び/又は航空機推進用ガスタービンエンジン22)に戻る逆圧力勾配の存在が軽減され、それにより、逆圧力勾配と関連するサージ/失速の問題が回避されると共に、防音を提供する場合の複雑さも回避される。同一の変形例又はそれとは異なる変形例においては、航空機の構成要素は、航空機の廃熱を熱交換器60へ送り出す冷却系統(図示されないか又は他の形で説明される)により冷却される。その結果、航空機の廃熱は、システム10により回収され、補助ガスタービンエンジン18の圧縮機16の入口14へ搬送される空気12の質量流量を更に増加するために使用される。同一の変形例又はそれとは異なる変形例においては、システムタービン26の出口32及びシステム圧縮機28の出口38からの排出圧力をほぼ等しくすることにより、流れミキサ58における混合を最小限の損失で実行できる。
【0021】
この実施例の一例においては、システム10は、エントロピー発生(効率)を、出力を発生する能力と交換し、その結果、当業者には理解されるように、発電機46からの適切な電力の発生を維持しつつ、航空機推進用ガスタービンエンジン22の高度飛行アイドルスラストを減少することが可能になる。
【0022】
一実施形態の方法及びいくつかの表現を説明することにより本発明を例示したが、添付の特許請求の範囲の趣旨をそのような詳細に制限又は限定することは、出願人の意図ではない。本発明の範囲から逸脱することなく、多くの他の変形、変更及び置き換えが当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】航空機推進用ガスタービンエンジンと、2つの発電機に結合された航空機推進用でない補助ガスタービンエンジンと、補助ガスタービンエンジンの圧縮機の入口に空気を供給するシステムとを有する航空機の一実施形態を示した概略図である。
【符号の説明】
【0024】
10…システム、14…入口、16…圧縮機、18…航空機推進用でない補助ガスタービンエンジン、20…航空機、22…航空機推進用ガスタービンエンジン、26…システムタービン、28…システム圧縮機、30…入口、32…出口、34…圧縮空気、34’、34”…加圧空気、36…入口、38…出口、40…大気、42…機室、46…発電機、48…第2の発電機、58…流れミキサ、60…熱交換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機推進用ガスタービンエンジン(22)を有する航空機(20)の航空機推進用でない補助ガスタービンエンジン(18)の圧縮機(16)の入口(14)に空気(12)を供給するシステム(10)において、
a)入口(30)及び出口(32)を有するシステムタービン(26)であって、前記入口は、前記航空機から圧縮空気(34)を受け取るシステムタービン(26)と;
b)前記システムタービンに機械的に結合され、入口(36)及び出口(38)を有するシステム圧縮機(28)であって、前記システム圧縮機の前記入口は大気(40)を受け取り、前記システムタービンの前記出口及び前記システム圧縮機の前記出口は、前記補助ガスタービンエンジンの前記圧縮機の前記入口に流体接続自在であるシステム圧縮機(28)とを具備するシステム。
【請求項2】
前記航空機は機室(42)を有し、前記圧縮空気は前記機室からの加圧空気(34’)である請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記圧縮空気は前記航空機推進用ガスタービンエンジンからの加圧空気(34”)である請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記補助ガスタービンエンジンは発電機(46)に動作自在に結合される請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
流れミキサ(58)を更に含み、前記システムタービンの前記出口及び前記システム圧縮機の前記出口は、前記流れミキサを介して前記補助ガスタービンエンジンの前記圧縮機の前記入口に流体接続自在である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記システムタービンの前記出口及び前記システム圧縮機の前記出口は、ほぼ等しい排出圧力を有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記航空機からの熱を受け取り、前記システムタービンの前記入口の上流側で前記圧縮空気に熱を伝達する熱交換器(60)を更に含む請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシステム。

【図1】
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【公開番号】特開2007−278288(P2007−278288A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−97670(P2007−97670)
【出願日】平成19年4月3日(2007.4.3)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY