説明

航空機用ジェットエンジンの中間ケーシングの延長具であって、ナセルカバーを受け入れるための環状の溝がセクタに分けられている延長具

【課題】延長具の外周に沿って連続的または中断を有する環状の溝が、1つの同じ環状の部品において製造されているために、カバーを受け入れる溝の部分に損傷が生じた場合は、全体を交換しなければならなくなる。しかも、環状の溝にカバーからかかる応力は、通常偏り、局所的な摩耗領域が生じる。このような問題を改善するような航空機用ジェットエンジンの中間ケーシングの延長具を提供する。
【解決手段】航空機用ジェットエンジンの中間ケーシングの延長具(30)であって、中間ケーシングの外殻から下流端に向かって突き出すように意図されており、ナセルカバーを受け入れるように意図された半径方向外側に向かって開いている環状の溝(66)を形成する接続用の環状の下流端(64)を備える延長具に関する。本発明によれば、接続用の環状の下流端(64)が、複数の角度セクタ(76a、76b)を用いて製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くには、ジェットエンジン、ジェットエンジンを囲むナセル、および剛構造とジェットエンジンを剛構造へと取り付ける手段とを備える取り付け支柱を備える形式の航空機用の推進アセンブリに関する。
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、そのようなアセンブリのジェットエンジンの中間ケーシングの延長具であって、中間ケーシングとナセルの逆推力装置カバーとの間の境界を生み出すように意図された延長具に関する。
【背景技術】
【0003】
取り付け支柱は、EMS(Engine Mounting Structure(エンジン取り付け構造)という英語の略称)またはパイロンあるいはエンジンパイロンとも称されるが、航空機の翼の下方にジェットエンジンを吊り下げることを可能にし、あるいはこのジェットエンジンをこの同じ翼の上方または機体の後部に取り付けることを可能にする。実際、取り付け支柱は、ジェットエンジンと航空機の所与の構造部分との間に、接続部分を形成するために設けられる。取り付け支柱は、航空機に組み合わせられたジェットエンジンによって生成される力をこの航空機の構造へと伝達できるようにするとともに、エンジンおよび航空機の間の燃料、電気、および油圧系統、ならびに空気の循環を可能にする。
【0004】
ナセルに関する限り、慣行では、ジェットエンジンを囲むいくつかのカバーであって、開放位置にあるときにジェットエンジンへのアクセスが可能であるカバーを備える。これらのカバーは、ファンカバーおよび逆推力装置カバーという用語によって知られており、後者は、取り付け支柱の主構造に関節接続されている。
【0005】
ジェットエンジンは、いわゆる中間ケーシングによって後方に向かって延長されたファンケーシングを備え、中間ケーシングが、外殻ならびに前部横プレートおよび後部横プレートを備え、前部横プレートおよび後部横プレートは、平行であって、上記外殻に対して半径方向内側に配置されている。さらに、この中間ケーシングが、角度方向に分布して前部および後部プレートの間を放射状に外殻まで延びる構造アームを備える。
【0006】
この同じ中間ケーシングの外殻が、延長具によって下流へと延長され、この延長具が、半径方向外側に向かって開いている環状の溝を形成する接続用の環状の下流端を備え、この環状の溝が、ナセルカバー、より正確には、これらの同じカバー(通常は、逆推力装置カバー)によって保持された相補的な形状のリブを受け入れる)ように意図されている。このようにして、リブと相補的な溝との間の協働によって、離陸、飛行、および着陸の段階においてナセルからジェットエンジンへと空気力学的な力、特には軸方向の力、さらに詳しくはナセルカバーを備える逆推力システムの作動時の軸方向の反推力を、伝達することができる。
【0007】
さらに、溝へのリブの単純な進入が、支柱に関節接続された逆推力装置カバーの容易かつ迅速な開放を提供し、この開放は、例えば駐機中の航空機の保守作業の実施のために行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1553262号明細書
【特許文献2】国際公開第2005/110845号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この技術的解決策に関する1つの欠点は、延長具の外周に沿って連続的または中断を有する環状の溝が、同じ環状の部品において製造され、カバーを受け入れる溝の部分に損傷が生じた場合に、全体を交換しなければならない点にある。この欠点は、特には環状の溝に通常はカバーによる応力が偏って加えられ、きわめて局所的な摩耗領域を生じさせることが明らかになっているため、きわめて不利である。
【0010】
したがって、本発明の目的は、従来技術の設計に関係する上述の問題を、少なくとも部分的に改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を達成するため、本発明の目的は、航空機用ジェットエンジンの中間ケーシングの延長具であって、この中間ケーシングの外殻から下流に突き出すように意図されており、ナセルカバーを受け入れるように意図された半径方向外側に向かって開いている環状の溝を形成する接続用の環状の下流端を備える延長具に関する。本発明によれば、上記接続用の環状の下流端が、複数の角度セクタを用いて製造される。
【0012】
結果として、受け入れ溝の一部分を交換すべき場合に、もはや延長具の全体を交換する必要がなく、該当する1つまたは複数の角度セクタを交換するだけでよい。このように、ナセルカバーを受け入れる溝を部分に分けることで、好都合なことに、延長具について実行される保守作業の時間を短くすることができ、さらには材料の節約も達成される。
【0013】
さらに、好都合なことに、角度セクタを、各セクタに加わると予想される応力のレベルに応じて、設計および/または材料の点で互いに相違させることができる。あくまでも例として、該当のナセルカバー、すなわち好ましくは逆推力装置カバーに、ラム式の制御手段によって駆動される逆推力システムが装備されている場合、環状の溝のうちでこれらの制御手段に対向して位置する部位に、通常は最も応力が加わる。したがって、この大きな応力が加わる部位に対応する1つまたは複数の角度セクタを製造するために、これらの角度セクタが摩耗によりよく耐えるように適切な材料および/または設計を採用することができる。
【0014】
好ましくは、接続用の環状の下流端を構成する角度セクタの数が、3以上であり、さらにより好ましくは、6から12の間である。
【0015】
好ましくは、延長具が、上記接続用の環状の下流端を形成する上記角度セクタへと固定される接合シェルをさらに備え、このシェルが、上記角度セクタの上流に位置し、中間ケーシングの外殻の下流端を延長するように意図されている。
【0016】
第1の実施形態によれば、上記接合シェルが、上記接続用の環状の下流端を形成する角度セクタが好ましくはねじ留めによって取り付けられる単一の部品として製造されている。
【0017】
第2の実施形態によれば、上記接合シェルが、複数の角度セクタによって製造されており、それぞれの角度セクタが、上記接続用の環状の下流端を形成する上記角度セクタのうちの1つと一緒に単一の部品にて製造されている。この場合、接合シェルの角度セクタは、これらの角度セクタによって再構成されるリングに必要な剛性を得るために、好ましくは長手方向のフランジ式の軸方向の接続によって一体に接続される。
【0018】
さらに選択的に、上記接続用の環状の下流端を形成する上記角度セクタは、上記周方向において交互に第1の材料および第2の材料で製造される。この特質により、上述のとおり、直面する応力のレベルに従ってセクタを構成することを実際に可能になる。したがって、第2の材料で製造されるセクタは、第2のセクタと称されるが、例えば鋼またはチタニウムの使用によって高い耐摩耗性を提供するように意図されたセクタであってよい。第1の材料で製造される残りのセクタは、第1のセクタと称されるが、それに関する限りナセルカバーによる応力のレベルがより低いため、より低い耐摩耗性を呈するように意図される。すなわち、アルミニウム合金など、より軽量な材料の使用が想定される。
【0019】
しかしながら、第1および第2のセクタの間の厳密な調整に従う必要が必ずしもないこと、および本発明を3つ以上の異なる材料の使用へと拡張できることを、示しておく。さらに、やはり延長具の軽量化という理由で、最も応力の小さいセクタが、例えば穿孔を有するなどによって他のセクタとは異なる設計を採用してもよい。
【0020】
本発明の別の目的は、上述のような延長具を外殻の下流端に具備している中間ケーシングを備える航空機用ジェットエンジンである。
【0021】
最後に、本発明の別の目的は、上述のようなジェットエンジン、ならびに上記半径方向外側に向かって開いている環状の溝と協働するナセルカバーを備えるナセルを備える航空機用の推進アセンブリである。好ましくは、このアセンブリが、上記ジェットエンジンのための取り付け支柱をさらに備え、この取り付け支柱が、剛構造と、この剛構造へと上記ジェットエンジンを取り付ける手段とを備え、上記ナセルカバーが、上記剛構造へと関節接続されている。
【0022】
本発明の他の利点および特徴は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。ただし、本発明がこれらに限定されるわけではない。
【0023】
この説明は、添付の図面に関して行われる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による航空機用の推進アセンブリの概略の側面図を示しており、分かり易くするためにナセルは取り除かれている。
【図2】図1に示したアセンブリ断面について、図1の線II−IIに沿って得た一部分の詳細図を示している。
【図3】図2に示したナセルに属する逆推力装置カバーの一部分の斜視図を示している。
【図4】図3に示したカバーを装備するように意図された逆推力システムの斜視図を示している。
【図5】逆推力システムの概略図を示しており、動作した状態の逆推力システムが示されている。
【図6】図2に示した断面図の一部分の拡大断面図を示しており、中間ケーシング延長具とナセルカバーのうちの1つとの間の協働を示している。
【図7】図2に示した延長具であって、本発明の好ましい実施形態による延長具の斜視図を示している。
【図8a】図7の線VIII−VIIIに沿って得た断面図を示している。
【図8b】図8aに示した図と同様の図を示しているが、延長具が別のやり方で製造されている。
【図9】本発明の別の好ましい実施形態による中間ケーシング延長具を形成するためのセクタの斜視図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1を参照すると、本発明の好ましい実施形態による航空機用の推進アセンブリ1を見て取ることができ、このアセンブリ1は、航空機の翼(図示せず)の下方に取り付けられるように意図されている。
【0026】
全体として、一体型推進システムとも称される推進アセンブリ1が、ジェットエンジン2、ナセル(この図には示されていない)、および取り付け支柱4で構成されている。取り付け支柱4が、ジェットエンジンをこの支柱へと取り付ける手段10を備え、これらの手段が、好ましくは、前部エンジン取り付け具6a、後部エンジン取り付け具6b、および推力を吸収するための装置で構成されており、推力を吸収するための装置は、2つのカプラ8(図1においては、一方が他方によって隠されている)の形態をとっている。参考までに、アセンブリ1が、このアセンブリ1を航空機の翼の下方に吊り下げるために、もう1組の取り付け具(図示せず)を備えることに注意すべきである。
【0027】
以下の説明の全体において、慣例どおり、アセンブリ1の長手方向(ジェットエンジン2の長手方向に一致させることも可能である)がXと称され、この方向Xは、このジェットエンジン2の長手軸5に平行である。さらに、推進アセンブリ1に対して横方向に向けられた方向(ジェットエンジン2の横方向に一致してもよい)がYと称され、Zが垂直方向または高さであって、これら3つの方向X、Y、およびZが互いに直角である。
【0028】
さらに、用語「前」および「後」は、ジェットエンジン2によって推力が加えられた後に見られる、矢印7によって概略的に示される航空機の方向を基準にして考えられる。同様のやり方で、用語「上流」および「下流」は、ジェットエンジン内の流れの主たる流れの方向(方向7と反対の方向)を基準にして考えられる。
【0029】
図1において、エンジン取り付け具6a、6b、推力吸収カプラ8、および取り付け支柱4の剛構造11のみが図示されていることを、見て取ることができる。剛構造11を航空機の翼の下方に取り付ける手段や、空気力学的フェアリングを支持しつつシステムの分離および保持をもたらす二次構造など、この支柱4の図示されていない残りの構成要素は、従来技術において見られるものと同一または同様であって、当業者にとって公知である従来どおりの要素である。したがって、これらについての詳しい説明は行わない。
【0030】
さらに、ジェットエンジン2は、おおむね従来どおりの設計を有し、すなわち前部のファンケーシング12を、中間ケーシング21によって後方へと延長して備える。
【0031】
中間ケーシング21は、ファンケーシングの後部の空気力学的延長部に位置する外殻23と、この外殻23に対して半径方向内側に配置された横プレート25、27とを備え、さらに中間ケーシング21は、或る角度にて分布してプレート25、27の間を外殻23まで放射状に延び、外殻23に接している構造アーム17を備える。
【0032】
さらに、ジェットエンジンは、後方の横プレート27へと接続され、この横プレート27から中間ケーシング21を後方へと延長する中央ケーシング16(コアケーシングとも称される)を備える。中央ケーシングがより大きなサイズの後端19(噴出ケーシングとも称される)まで延びていることに、注意すべきである。最後に、中間ケーシングの外殻23は、本発明の対象でもある環状の延長具30によって、後方に向かって延ばされており、延長具30の主目的は、外殻23と下流端に向かって直接的に隣接しているナセルカバーとの間の接続を確立することにある。延長具30を、以下で詳しく示す。
【0033】
前部エンジン取り付け具6aが、剛構造11(一次構造とも称される)の前端とファンケーシング12または中間ケーシング21の外殻23との間に介装されている。
【0034】
後部取り付け具6bに関しては、剛構造11と中央ケーシング16の後端19との間に介装されている。2つの前部エンジン取り付け具6a、6bを、垂直方向かつ長手方向に向けられ、軸5を通過する中央面Pが通過している。この同じ平面Pが、各側に推力を吸収するカプラ8をそれぞれ位置させ、2つのカプラ8に対して対称である平面を構成している。それぞれのカプラ8は、後部エンジン取り付け具6bの本体に関節接続された後端と、横プレート27に接続された前端とを有する。
【0035】
ここで、推進アセンブリ1のナセル32を示しているさらに詳しい図2を参照すると、ナセル32が、空気導入口34、ファンカバー36、逆推力装置カバー38、および固定の後部カウリング40を、これら要素を前方から後方へと隣接配置して構成された連続的な空気力学的外表面を形成していることに注目すべきである。
【0036】
逆推力装置カバー38は、通常は2つであって、支柱の剛構造へと関節接続され、外側の環状の外板44および内側の環状の外板46によって、環状の二次流路42を公知のやり方で画定している。
【0037】
図3および図4に示されているように、それぞれの逆推力装置カバー38は、後部カバーまたはコアカバーとも称されるもので、半円筒の全体形状を有し、上端48が支柱の剛構造に関節接続されるように意図され、下端50が、従来からの手段によって他方のカバー38の下端に固定されるように意図されている。さらに、逆推力装置カバー38は、逆推力システム(ここでは、図4に示した枢動ドア54を備えるシステムの形態をとっている)を取り付けるためのハウジング52を中央に有する。したがって、このシステム54は、全体として、開口52に形成されてドア54の受け穴58にそれぞれ収容されるように意図された対向する2つのピン56によって定められる軸を中心にして枢動できるドアを形成している。さらに、ラムなどといった制御手段が、展張したラム60がドア54を逆推力の状態に保持している図5に示されているとおり、ドア54を回転させることができる。この状態において、二次流路42を流れる空気は、下流端へと向かうこの流路が傾斜したドア54によって閉じられているがために、カバー38から抽出されるように強いられ、このナセルの外への空気の抽出が、このドア54の傾きゆえに、矢印62によって示されているとおり実質的に逆流にて生じる。例えば、ラム60が、ハウジング52のフレームへと接続された前端と、ドアそのものへと接続された後端とを有する。
【0038】
図6では、カバー38が延長具30と協働することが分かるように図示されている。この協働は、延長具30が接続用の環状の下流端64を有していて、この下流端64が、半径方向外側に向かって開いた環状の溝66を形成しており、カバー38がカバー38の外側の環状の外板44の上流端に保持している相補的な形状を有するリブ68を受け入れられるためである。
【0039】
環状の溝66は、好ましくはV字形の断面を有し、ここに半径方向内側に向かって突出し、同じくV字形の断面を有するリブ68が収容される。リブ68と相補的な溝66との間の協働により、逆推力装置カバー38からジェットエンジンへと空気力学的な力、特には軸方向の力、さらに詳しくは図5の場合のようにドア68が展張されたときにラム60を通過する軸方向の反推力を、伝達することができる。
【0040】
図7が、延長具30を半径方向外側の端部として含む装置(逆推力装置キットとも称される)を示している。この装置は、半径方向の内側に向かって、ジェットエンジンの軸5に中心を有するように意図されたリング70を備え、その目的は、逆推力装置カバー38の内側の環状の外板46との機械的な接合を確立することにある。同心リング70および環状の延長具30は、放射状に配置された構造アーム72によって剛に接続されており、構造アーム72は、例えば4つ設けられ、約90°で互いから離れている。
【0041】
外側の環状の外板44との機械的な接合を確立するように意図された延長具30に関しては、延長具30が、一部品からなる接合シェル74を有し、環状のカラー75の形態である接合シェル74の前端が、この装置を中間ケーシングの外殻23の下流端にねじによって固定できるようにしている。本発明の特質の1つは、360°にわたって1部品として広がっている接合シェル74が、共同して接続用の環状の下流端64を形成する複数の角度セクタ76a、76bを前方に向かって保持している点にある。このようにして、角度セクタ76a、76bが、協働して軸5の周囲を360°にわたって実質的に連続な様相で延びる構造を形成する一方で、延長具の外周に沿って、それに限っては連続していても、あるいは中断していてもよい環状の溝66を定めている。一般的には、この溝66は、2つの逆推力装置カバーと協働するように意図される場合には、これらのカバーが関節接続されている取り付け支柱の剛構造の通過、およびこれらの同じカバーの下端においてのみ中断される。結果として、溝66は、通常は、好ましくは時計の6時および12時の位置に設定されて正反対に対向する2つの中断を有する。
【0042】
そのままで構造アーム72を中間ケーシングの構造アーム17のいくつかを後方に向かって延ばしつつ中間ケーシングへと取り付けることができる図7の装置において、2種類の角度セクタが周方向において交互に配置される。すなわち、アルミニウム合金などの第1の軽量な材料から製造される第1の角度セクタ76aが、逆推力装置カバーによって伝達される力のレベルが比較的低い位置において、接合シェル74へと取り付けられる。第1の角度セクタ76aは、より摩耗に耐える鋼またはチタニウムなどの第2の材料から製造され、逆推力装置カバーによって伝達される力のレベルがより大きい位置において接合シェル74へと取り付けられる第2の角度セクタ76bと交互である。特には、そのような第2の角度セクタ76bが、逆推力システムが上述のような「ドア」式であっても、あるいはいわゆる「グリル」式などの当業者にとって公知の別の設計であっても、長手/軸方向において逆推力システムの制御ラム60に合わせて位置している。
【0043】
交互に配置され、摩耗の場合に容易に交換することができるこれらの角度セクタ76a、76bの数は、直面する要件に従って選択され、例えば図示の好ましい実施形態のように10個である。
【0044】
さらに、第1の角度セクタ76aを、例えば穿孔を有するなど、第2のセクタ76bの設計とは異なる設計によってさらに軽量化することができる。この点に関し、選択肢として、第1および第2のセクタ76a、76bを同じ材料から製造し、設計によってのみ相違させることも可能であり、あるいは実質的に同一の設計であってもよいことに、注意すべきである。いずれの場合も、角度の広がりは、セクタごとにさまざまであってよく、選択は直面する要件に従って行われる。
【0045】
周方向において隣接しているセクタを容易に交換できるという特徴は、それらセクタが、図8aに示されているように実質的に半径方向に向けられたねじ78によって、接合シェル74の下流端にねじで組み付けられているという点に起因する。この構成においては、ねじ78にそれぞれ協働するナット80が、この目的のために接合シェル74の下流端に設けられた貫通穴82に収容される。接合シェル74は、カラー75を使用して中間ケーシングへとねじによって取り付けられ、あるいは中間ケーシングの外殻23とともに1部品にて製造される。
【0046】
代案として、角度セクタ76a、76bとシェル74との間のねじ接合を、半径方向外側に向かって延びる2つの固定フランジを設けることによって、図8bに示されるように長手方向に向けられたねじ78によって達成してもよい。
【0047】
図9は、本発明の別の好ましい実施形態を示しており、接合シェルが1部品にて製造されているのではなく、環状の溝を形成する接続用の環状の下流端64と同様に、セクタ分けされたやり方で製造されている。これは、接合シェルが複数のシェル角度セクタ86(そのうちの1つが図9に示されている)によって形成され、これらのセクタ86が周方向において隣接しているためである。好ましくは、各セクタ86が、中間ケーシングの外殻への取り付けのために自身の固有のカラー75を保持しており、上述のセクタ76a、76bのうちの1つと一緒に単一の部品にて製造されている。したがって、単一の部品が、参照符号90によって示されている延長具セクタを形成するために、好ましくは同じ角度の広がりの上流側のカラーセクタ86および下流側の溝セクタ76a、76bを備える。
【0048】
当然ながら、当業者であれば、あくまで本発明を限定するものではない例として上述した航空機用の推進アセンブリ1に対して、さまざまな変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 推進アセンブリ
2 ジェットエンジン
4 取り付け支柱
5 長手軸
6a 前部エンジン取り付け具
6b 後部エンジン取り付け具
7 前後方向
8 カプラ
10 取り付け手段
11 剛構造
12 ファンケーシング
16 中央ケーシング
17 構造アーム
19 (中央ケーシングの)後端
21 中間ケーシング
23 外殻
25、27 横プレート
30 延長具
32 ナセル
34 空気導入口
36 ファンカバー
38 逆推力装置カバー、ナセルカバー
40 後部カウリング
42 二次流路
44 外側の環状の外板
46 内側の環状の外板
48 (逆推力装置カバーの)上端
50 (逆推力装置カバーの)下端
52 開口、ハウジング
54 ドア
56 ピン
58 受け穴
60 ラム
62 矢印(逆流)
64 接続用の環状の下流端
66 環状の溝
68 リブ
70 リング
72 構造アーム
74 接合シェル
75 カラー
76a、76b、86 角度セクタ
78 ねじ
80 ナット
82 貫通穴
90 延長具セクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機用ジェットエンジンの中間ケーシング(21)の外殻(23)から下流端に向かって突き出すように意図されており、ナセルカバー(38)を受け入れるように意図された半径方向外側に向かって開いている環状の溝(66)を形成する接続用の環状の下流端(64)を備える延長具(30)であって、
前記接続用の環状の下流端(64)が、複数の角度セクタ(76a、76b)を用いて製造されていることを特徴とする、延長具。
【請求項2】
角度セクタ(76a、76b)の数が、3以上であることを特徴とする、請求項1に記載の延長具。
【請求項3】
前記接続用の環状の下流端(64)を形成する前記角度セクタ(76a、76b)へと固定される接合シェル(74)をさらに備え、
該シェルが、前記角度セクタの上流に位置し、中間ケーシングの外殻(23)の下流端を延長するように意図されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の延長具。
【請求項4】
前記接合シェル(74)が、前記接続用の環状の下流端を形成する角度セクタ(76a、76b)が取り付けられる単一の部品にて製造されていることを特徴とする、請求項3に記載の延長具。
【請求項5】
前記接続用の環状の下流端を形成する角度セクタ(76a、76b)が、ねじ留めによって前記接合シェル(74)に取り付けられていることを特徴とする、請求項4に記載の延長具。
【請求項6】
前記接合シェル(74)が、複数の角度セクタ(86)によって製造されており、それぞれの角度セクタ(86)が、前記接続用の環状の下流端(64)を形成する前記角度セクタ(76a、76b)のうちの1つと一緒に単一の部品にて製造されていることを特徴とする、請求項3に記載の延長具。
【請求項7】
前記接続用の環状の下流端を形成する前記角度セクタ(76a、76b)が、前記周方向において交互に第1の材料および第2の材料から製造されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の延長具。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の延長具(30)を外殻(23)の下流端に具備している中間ケーシング(21)を備える、航空機用ジェットエンジン(2)。
【請求項9】
請求項8に記載のジェットエンジン(2)、ならびに前記半径方向外側に向かって開いている環状の溝(66)と協働するナセルカバー(38)を備えるナセル(32)を備える、航空機用の推進アセンブリ(1)。
【請求項10】
前記ジェットエンジンのための取り付け支柱(4)をさらに備え、
前記取り付け支柱(4)が、剛構造(11)と、前記ジェットエンジンを前記剛構造(11)へ取り付ける手段とを備え、
前記ナセルカバー(38)が、前記剛構造(11)へと関節接続されていることを特徴とする、請求項9に記載の推進アセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9】
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